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DCDCコンバーター向けEMCフィルターをどのように最適化するのか、その実装方法に関して説明しています。
電源は、高効率を得るために、電力損失を低減する必要があります。スイッチング電源とDC/ DCコンバーターは、先端技術により優れた効率特性低が実現できます。しかし、回路及び基板レイアウトの設計が理想状態でない場合、妨害電波の影響が増加します。このドキュメントでは、DC/ DCコンバーターによる妨害電波の影響を低減させるための入力フィルターの実装方法について説明します。
このカタログについて
ドキュメント名 | DCDCコンバーター向けEMCフィルターの最適化について |
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ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
ファイルサイズ | 408Kb |
取り扱い企業 | 株式会社マクニカ (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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DC/DC コンバーター向け
EMC フィルターの最適化について
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© 2021 Macnica, Inc.
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DC/DC コンバーター向け EMC フィルターの最適化について
目次
1. はじめに .........................................................................................................................................................3
2. 入力フィルターの必要性 ................................................................................................................................3
3. DC/DC コンバーターの帰還動作の影響と入力フィルタの効果 ..................................................................5
4. まとめ .............................................................................................................................................................7
参考文献 ................................................................................................................................................................8
改版履歴 ................................................................................................................................................................9
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はじめに
電源は、高効率を得るために、電力損失を低減する必要があります。スイッチング電源と DC/ DC コンバーター
は、先端技術により優れた効率特性低が実現できます。しかし、回路及び基板レイアウトの設計が理想状態でな
い場合、妨害電波の影響が増加します。このドキュメントでは、DC/ DCコンバーターによる妨害電波の影響を低減
させるための入力フィルターの実装方法について説明します。
入力フィルタの必要性
DC/ DCコンバーターや全てのタイプのスイッチング電源は、他の電気・電子機器の誤作動の可能性を高める雑
音端子電圧や広帯域の妨害波を出します。雑音端子電圧の発生の原因は、DC/ DCコンバーターの入力コンデン
サーへ流れる入力電流によるものです。そのコンデンサに流れる電流は、ESR と容量の割合に依存して発生する
電圧降下VRippelの原因となります。
雑音端子電圧の測定
入力フィルターは、雑音端子電圧、高調波の振幅を抑制し、雑音端子電圧を許容可能なレベルにまで減少させる
のに重要な役割を果たしています。一般的な規格EN 61000-6-4は、150 kHzで 79 dBμVの仮想ピーク値のリミット
値を設定しています。受動部品の市場は、70dB と 100dB間の高い挿入損失を持つ「既製フィルター」として幅広いポ
ートフォリオを提供しています。 しかし実際には、これらの挿入損失値は 50Ωシステム用に測定された値のため、電
源のインピーダンスに対する挿入損失の値は異なります。よって、それぞれのシステムに合ったフィルターの検討を
推奨します。まず、入力フィルターを選定する為に、干渉ノイズのタイプを認識する必要があります。ディファレンシャ
ルモードかコモンモードノイズか確認します。フィルターは、ディファレンシャルモードノイズを抑制するために、DC/
DCコンバーターの入力段に配置します。雑音端子電圧は、LISN(Line Impedance Stabilization Network)とスペクトル
アナライザーを用いて測定を行います。図 1 は、測定のテストセットアップを示します。このセットアップにより基準電
位が、スイッチンググランドと異なる基準グランドとなるため、精度良くディファレンシャルモードノイズを測定ができま
す。
図1:テストセットアップ
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LISNは、雑音端子電圧から交流成を分離します。LISNの内部のローパスフィルターが、公共電源に接続されている
他のデバイスの誤動作を防止します。 図2は、入力電圧10V、実効入力電流0.7A、スイッチング周波数 2MHzのス
テップダウンDC/DCコンバーターの雑音端子電圧Vnoise(dBµV)を示しています。
図 2: 入力フィルター無し条件の雑音端子電圧
雑音端子電圧レベルVnoiseは、次の式で表されます
明らかに基本波は、スイッチング周波数と一致しています。MHzよりも高い高調波エリアでは、基本周波数の最も大き
い 116 dBµVよりも振幅が減少しますがリミット値を超えています。Vrippleは次の式で計算されます。
.
計算すると、Vrippleが 631mVとなり、入力フィルターが必要となります。
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DC/DCコンバーターの帰還動作の影響と入力フィルターの効果
ここからは、今まで話をしていた DC/ DC コンバーター用の入力フィルターの検討をおこないます。ローパスフィル
ターは、コイル(Lfilter:WE-PD2, unshielded, L = 1 µH, SRF=110 MHz, RDC = 49 mΩ) とコンデンサー(Cfilter:FK シリ
ーズ, 電界コンデンサー, C = 10 µF, U = 35 VDC)で構成されます。フィルターは、DC/ DCコンバーターの入力
コンデンサー(Cin)の前に配置されます。図 3は、フィルターを配置した構成図になります。
図 3: 入力フィルター構成図
コイルは、一般的に寄生容量により高い周波数範囲ではフィルター性能を失うために、高い自己共振周波数(SRF)
を持つフィルターコイルを選択します。コイルのコアが飽和しない様に、コイルの許容飽和電流は、入力電流のピーク
値よりも少なくとも 10パーセント以上マージンを持たせます。RDCは、DC電圧降下を最小限に抑えるために可能な
限り低いことが望ましいです。フィルターのコーナー周波数をDC/DCコンバーターの周波数の1/10でクロスオーバー
周波数よりも低い周波数になるように設定しインダクタンス値を決めることで、基本波と高調波の殆どを減衰させます。
コーナー周波数では、入力フィルターは高い Q を持ち共振のオーバーシュート特性を持つため、フィルターにより減
衰させる必要があります。DC/ DC コンバーターのループの安定性を確保するために、フィルターのコーナー周波数
と DC/ DC コンバーターのクロスオーバー周波数の間に十分な周波数差を保つよう注意が必要です。これらの周波
数が重なった場合、DC/ DCコンバーターの入力が発振することや、DC/DCコンバーターが、入力電圧の早い変化に
追従できません。これは、DC/ DC コンバーターが負性抵抗の振る舞いをする特徴を持つためです。DC/ DC コンバ
ーターに与える電力はPout = Pinです。DC/DCコンバーターの入出力が一定であれば、入力電流 Iinが減少すると、
入力電圧 Vin が増加することを意味します。この現象は、式で表されている様に、DC/ DC コンバーターが負の入力
抵抗Zinの動きをすることが理解できます。
しかし、この式は、大信号解析になります。周波数に依存するDC/ DCコンバーターの構成部品については、入力抵
抗が変動する小信号解析が必要です。実用的な考え方として、入力フィルターのインピーダンスZfilterは、DC/ DCコ
ンバーターの入力インピーダンス Zin よりもはるかに低くすることを推奨します。次の式を満たすことが求められま
す:
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一般に、コイル(Lfilter)は、電波の放射原因にならない為、WE-PD2などのシールドしていない製品を選択できます。
コンデンサー(Cfilter)の容量を選択する際には、コンデンサーは電圧ディレーティングを持っているため、最大許容
動作電圧が使用電圧より 25%以上であることを確認してください。電圧が増加すると、誘電体に依存して容量やフィ
ルター効果が減少します。高い自己共振周波数を保つためには、低 ESL 値の部品を選定します。 ここでは例外とし
て、比較的高いESR値を選定します。理由としては、ESRによりフィルターのQを低減しローパスフィルターのオーバ
ーシュートを少なくするためです。インダクタンスの増加が自己共振周波数を低下させるため、比較的大きなフィルタ
ー容量(Cfilter)と小さなコイル(Lfilter)を選定します。コンデンサー(Cfilter)として電解コンデンサーの選択がベストです。イ
ンピーダンス不整合を回避するためには、フィルターの構成の右側(DC/ DC コンバータに近い場所)に配置すること
が重要です。入力コンデンサー(Cin)によって、DC/ DCコンバーターの入力インピーダンスは電源よりも低くなるので、
コイル(Lfilter)は電源とDC/ DCコンバーターの入力コンデンサー(Cin)との間に配置されます。コンデンサー(Cfilter)は、
コイル(Lfilter)と電源間に並列に接続されます。コイル(Lfilter)は、リップル電流を相殺し、コンデンサー(Cfilter)は雑音端
子電圧を取り除きます。図 4は、入力フィルターを追加した後の雑音端子電圧測定結果です。
図 4: Result of the input filter
コイル(Lfilter) WE-PD2 とコンデンサー(Cfilter)は、低インダクタンスの 1μH と 10μF の容量ですが、良好な結果を
達成することができました。基本波の振幅は 30dB 減衰しました。最も大きい高調波は、環境周囲雑音の中に消えま
す。基本波の振幅と周波数全体の大きな減衰を得るために、コイル(Lfilter) WE-PD2 のインダクタンス値をさらに大き
くすることも可能です。さらなる調整により 40dB以上の挿入損失を持つフィルターが可能になります。
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まとめ
入力フィルターは不可欠であり、開発期間であっても検討すべきです。ディファレンシャルモードの干渉は、DC/
DCコンバーターにLCフィルターを入れることで抑制可能で、雑音端子電圧を許容可能なレベルまで低減することが
できます。入力フィルターがきちんと設計され、適当な受動フィルタ部品選定された場合、DC/ DC コンバーターの安
定性を維持しながら、可能な限り高い挿入損失を実現することができます。
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参考文献
1. Application Note : EMC Filter for DC/DC switching controller optimized / Würth Elektronik,
(https://www.we-online.com/web/media/07_electronic_components/download_center_1/bl_tterkatalog_1/blaetter_ap
plication_note_emv_filter_en/index.html?lang=en_GB)
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改版履歴
Revision 年月 概要
1 2015年 12月 初版
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