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樹脂すべり軸受の基礎知識

ホワイトペーパー

【高機能樹脂イグリデュールの特性】
・イグスのすべり軸受に使われている高機能樹脂「イグリデュール」とは?
・すべり軸受の荷重・面圧
・すべり軸受の許容表面速度
・すべり軸受の許容PV値
・すべり軸受の摩擦係数
・すべり軸受の耐摩耗性
・耐熱性、温度熱膨張率
・すべり軸受の軸材質
・すべり軸受の機械加工・組込み・接着

このカタログについて

ドキュメント名 樹脂すべり軸受の基礎知識
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
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取り扱い企業 イグス株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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イグリデュール| 高性能ポリマー イグリデュール| 高性能ポリマー 高性能ポリマー製すべり軸受に置き換え 一般的性質 イグリデュール- 高性能ポリマー製すべり軸受 耐摩耗性に優れたトライボポリマーに強化剤や固体潤滑剤 を最適に添加し、綿密なテストを経て豊富な実績を持つイ イグリデュールすべり軸受の一般的性質 グリデュール。イグスの技術者は年間100種類以上の樹脂 コンパウンドを開発し、テストしています。すべてのトライボ ポリマーで樹脂母材、強化成分、固体潤滑剤を精密に ●●無潤滑 組合わせ、それぞれの特性に関するデータベースを得 ●●耐食性 ています。当社試験施設ににおいて、200以上の試験 台を使用して年間10,000を超えるテストを行い、既存 ●●優れた耐薬品性 のイグリデュール材料とイグリデュール材料の候補を ●●高い圧縮強度 含む材料はすべて徹底的にテストされます。その結果 は、メンテナンスフリーの樹脂製すべり軸受の摩擦学 ●●優れた機械的耐振性 に関する独自のデータベースに追加されます。このデー ●●低い摩擦係数 タベースにより、用途に基づいてお客様に最適なイグ リデュールすべり軸受を選定し、予測寿命を計算でき ●●メンテナンスフリー 無潤滑で技術を向上させる トライボポリマー 何千回にもおよぶテストとそれに基づく実証 ます。必要に応じて、既存のイグリデュールのラインアップ - ●●汚染に対する高い耐性 を使用してコスト削減 データ 以外にも、温度要件や機械的要件、摩擦学的要件に合わせ た用途専用の材料を開発することも可能です。さらに、自由 ●●軽量 イグスは無潤滑で使用できるトライボポリマーを開発して 高頻度、高速、高加速などの厳しい環境下で使用するアプリ にアクセスできる使いやすいオンラインツールにより、イグ います。イグスのポリマー製軸受は、潤滑された各種軸受 ケーションでは、試験済みで信頼できるシステムが必要で ●●高い耐摩耗性 リデュール製品一覧からユーザーが自分に必要なすべり軸 からの置き換えが可能です。また、無潤滑により、-100℃~ す。イグスは自社試験施設にて、常に実際の使用条件に基 受を選定できます。イグリデュール製品検索、寿命予測、ピス ●●優れたコストパフォーマンス +250℃の温度環境、クリーンルーム、汚れ、真空、高湿度な づいた試験を行なっています。毎年、すべり軸受では9,600 トンリングや丸棒のコンフィギュレーターを使用すれば、何 どの環境でも長寿命を実現し、お客様のコスト削減に貢献 以上、エナジーチェーンとケーブルでは4,100以上のテスト 度かクリックして使用条件を入力するだけで、最適な軸受を します。直接の製品比較では、置き換えによってベアリン が実施され、その結果は、メンテナンスフリーの樹脂製すべ すぐに見つけることができます。 グのコストを最大50%削減することが可能であることを示 り軸受の摩擦学に関する独自のデータベースに追加され www.igus.co.jp/online-tools しています。 ます。ぜひ当社の試験施設を有効にご活用ください。デー イグリデュールすべり軸受の各材質には、一般的性質に加 タベースや過去の事例に無い案件の場合、個別条件での え、さまざまな特性や強みがあり、特定の用途や必要条件 試験を行うことも可能です。 に適合します。各章では、寸法表の前に材質に関する詳細 な説明があります。 写真02:射出成形のイグリデュールすべり軸受は均質な構 写真03:繊維および固体潤滑剤を添加したベースポリマ 造を持っています。ベースポリマー、結合材質および個体 ー。染色後200倍に拡大。 潤滑剤が互いの物性を補完しあっています。 写真01: 当社試験施設の様子: 業界最大規模の試験施設(2,750m2)にて、300の試験装置で、15,000の摩擦試験(摩擦お よび摩耗)を行っています。 1 オンラインツール、詳しい情報は www.igus.co.jp/iglidur 3D-CAD データのダウンロードは www.igus.co.jp/iglidur 2
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イグリデュール| 高性能ポリマー イグリデュール| テクニカルデータ イグリデュールについて 荷重 従来のソリューション 120 すべり軸受の荷重は、面圧 [p(] 単位MPa)で表します 硬質の母材に軟質の被覆を施します。給油式のすべての イグリデュールの自己潤滑効果 (N/mm2と一致)。 したがって、ラジアル荷重はベアリング 100 ベアリング、および特殊摺動層を備えたメンテナンス不要 の投影面積で決まります。 80 な軸受のほとんどは、この原理で作動します。ただし、この イグリデュール用の高性能ポリマーは、下記から構成 60 軟質摺動層は、強度が不十分です。荷重が高い場合、端部 されています。 ラジアルベアリング: スラストベアリング: に圧縮がかかる場合、または揺動の場合、摺動層がすぐに 40 F F 摩耗してなくなります。 ●●ベースポリマー p = p = d1 x b1 (d22 – d 12 ) x π 20 ●●繊維および充填材 4 ベースポリマーと工業繊維 0 ●●固体潤滑剤 20 50 80 120 150 軸受にかかるラジアル方向の面圧を支えるのは、ポリマー 温度 [℃] ここでは以下を表します。 のベース材料です。この材料は、接触部で軸を支持します。 これらの構成材質は、層状に構成されているのでは イグリデュールG イグリデュールJ260 イグリデュールA290 F = 荷重 [N] イグリデュールM250 イグリデュールL250 イグリデュールT220 ポリマーのベース材料は、極端に高い面圧が潤滑剤にかか なく、均質に混合して製作されます。この設計上の利 イグリデュールP イグリデュールR イグリデュールQ d1 = ベアリング内径 [mm] イグリデュールGLW イグリデュールD イグリデュールF るのを防ぎます。またこのベース材料は、工業繊維や充填 点は、軸受表面に対する要求事項を考えてみれば明 イグリデュールJ イグリデュールJ200 イグリデュールUW b1 = ベアリング幅 [mm] イグリデュールW300 イグリデュールA180 イグリデュールB 材で強化されています。これらの添加材料によって、特に 白です。 イグリデュールJ3 イグリデュールA200 イグリデュールC d2 = ベアリング外径 [mm] 連続運転時に、安定した性能を発揮します。 1. 摩擦係数はほぼ軸受の表面状態で決まりますが、 自己潤滑性 160 その値はできるだけ小さくなければなりません。 140 固体潤滑剤は、微細粒子からなり、普通、繊維で強化さ 推奨最大許容面圧 120 れた数百万の小部屋に埋め込まれています。すべり軸受 2. 軸受に作用する力によって表面が摩滅してはなり イグリデュール材料の比較値は、+20℃における推奨最 100 は、運転中にこれらの小部屋から微量の固体潤滑剤を放 ません。 大許容静的面圧[MPa]です。 この値は各イグリデュール 80 出します。それは摺動面を充分に潤滑させることが可能 間で大きく異なります。 値[p]は、すべり軸受の圧力限界 60 です。固体潤滑剤は、イグリデュールすべり軸受の摩擦係 3. 摩擦力は特に軸受表面に作用するため、耐摩耗性 を表します。 すべり軸受は、この圧力を損傷なしに支えま 40 数を下げる役割を果たします。それはベアリングの構成 に優れていなければなりません。 す。 値は静荷重に適用されるもので、この圧力では0.01 20 に不可欠ではありませんが、骨材の役目を果たします。固 m/s以下のごく遅い速度にしか耐えることができません。 0 体潤滑剤は小部屋に埋め込まれているので、表面に押出 荷重のかかる時間が短ければ、これより高い圧力も可能 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 されることはありません。軸受または軸が運動を始めた これらの要求事項にすべて同等に応える万能の材質 です。 温度 [℃] ときに、固体潤滑剤がすぐ効果を発揮します。 はまだ存在しません。このため、イグリデュールは別の イグリデュールK イグリデュールV400 イグリデュールH2 イグリデュールJ350 イグリデュールUW500 イグリデュールA350 アプローチをとります。イグリデュールの各構成材料 材質 p.56 イグリデュールX イグリデュールH1 イグリデュールA500 イグリデュールZ イグリデュールH370 イグリデュールH4 が、軸受に対する要求事項にそれぞれ応えるのです。 イグリデュールX6 イグリデュールH 図02および03: イグリデュールの推奨最大許容面圧と温 ●●ベースポリマーは耐摩耗の役割を持ちます。 面圧と温度 度との関係 ●●繊維と充填材は軸受を強化し、高い面圧や局部 図02と03は、イグリデュールの許容静的面圧[p]と温度との 荷重に耐えるようにします。 関係を示します。温度が上がるに従って、この値は継続的 ●●固体潤滑剤は、各個独立して軸受を潤滑し、装置 に下降します。イグリデュールの長所を使用して前もって 100 の摩擦を軽減します。 温度を予測するか、試験で実際の温度を確かめて下さい。 面圧と速度 すべり軸受のラジアル荷重が減少するにつれて、許容表 10 面速度は増加します。面圧[p]とすべり速度[v]との積は、ベ アリングの摩擦熱の尺度と考えることができます。この関 係は、各イグリデュール材料の章の最初にあるPV図で示 されます。 1 5 10 20 45 荷重[MPa] イグリデュールG イグリデュールW300 イグリデュールQ 写真04:無潤滑で寿命予測可能なイグリデュールすべり軸 イグリデュールP イグリデュールZ イグリデュールJ イグリデュールV400 受のベースコンパウンド、ポリマーペレット 図04: 中~高荷重におけるイグリデュールの摩耗 3 オンラインツール、詳しい情報は www.igus.co.jp/iglidur 3D-CAD データのダウンロードは www.igus.co.jp/iglidur 4 摩耗量 [µm/km] 許容面圧 [MPa] 許容面圧 [MPa]
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イグリデュール| テクニカルデータ イグリデュール| テクニカルデータ 面圧と摩耗 面圧と摩擦係数 すべり軸受への荷重は、軸受の摩耗に影響します。以下の 易に分ります。摩耗は摩耗率 [µm/km]で示されています。 荷重が増すにつれて、すべり軸受の摩擦係数は減少しま 摩擦係数 p.47 図は、イグリデュール材質の摩耗挙動を示します。これら す。この意味で、軸の材質と表面状態も重要です。 の図から、圧力の高さに応じて最適な軸受があることが容 0 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 図08:イグリデュール材料 100 イグリデュールG イグリデュールG 摩擦係数(S50C製軸) イグリデュールJ イグリデュールM250 イグリデュールM250 イグリデュールP210 10 イグリデュールW300 イグリデュール イグリデュールP P イグリデュールL250 イグリデュールK イグリデュールR イグリデュールGLW イグリデュールA180 イグリデュールJ 1.0 イグリデュールA200 イグリデュールW300 イグリデュールA500 イグリデュール イグリデュールJ3 A290 イグリデュールF イグリデュールJ350 0.1 イグリデュールQ イグリデュールJ260 0.25 0.75 1 2 5 イグリデュールX イグリデュールW360 イグリデュールV400 イグリデュールL250 イグリデュールZ イグリデュールL350 イグリデュールH イグリデュールH370 イグリデュールL500 100 イグリデュールH4 イグリデュールR イグリデュールD イグリデュールJ200 10 イグリデュールX イグリデュールZ イグリデュールX6 イグリデュールV400 1.0 イグリデュールHSD350 イグリデュールUW500 イグリデュールH1 0.1 イグリデュールH370 0.25 0.75 1 2 5 イグリデュールH イグリデュールC500 イグリデュールH2 イグリデュールA181 100 イグリデュールA350 イグリデュールA500 イグリデュールA180 イグリデュールA200 10 イグリデュールA160 イグリデュールA290 イグリデュールUW160 1.0 イグリデュールT220 イグリデュールQ2 イグリデュールQ イグリデュールQ290 0.1 イグリデュールF 0.25 0.75 1 2 5 イグリデュールF2 荷重[MPa] イグリデュールH4 イグリデュールUW イグリデュールN54 イグリデュールG V0 イグリデュールJ2 図05~07:低荷重におけるイグリデュールの摩耗 イグリデュールAB イグリデュールRW370 イグリデュールB イグリデュールC 5 オンラインツール、詳しい情報は www.igus.co.jp/iglidur 3D-CAD データのダウンロードは www.igus.co.jp/iglidur 6 摩耗量 [µm/km]
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イグリデュール| テクニカルデータ 表面速度 材質 回転時 揺動時 直動時 長期 短期 長期 短期 長期 短期 表面速度はすべり軸受にとって重要な要素です。絶対回転 これらの限界値に達することはほとんどありません。面圧 イグリデュールG 1.0 2.0 0.7 1.4 4.0 5.0 速度ではなく、軸とベアリング間の相対速度である表面速 が増大するにつれて、許容表面速度は必然的に減少しま イグリデュールM250 0.8 2.0 0.6 1.4 2.5 5.0 度が重要になります。周速はメートル/秒[m/s]で表されて、 す。また、その逆も成り立ちます。 イグリデュールP210 1.0 2.0 0.7 1.4 3.0 4.0 以下の方法で回転数n[rpm]から計算出来ます。 速度限界は軸受の熱特性によって決まります。運動の種 イグリデュールP 1.0 2.0 0.7 1.4 3.0 4.0 揺動運動のように速度が変化する場合、必要になるのは平 類が変わると、運転速度が変わるのはこのためです。直動 イグリデュールK 1.0 2.0 0.7 1.4 3.0 4.0 均速度です(下の式を参照)。 動作の場合、軸受が接する軸の面積が増えるので、軸から イグリデュールGLW 0.8 1.0 0.6 0.7 2.5 3.0 の熱放散が増加します。 イグリデュールJ 1.5 3.0 1.1 2.1 8.0 10.0 イグリデュールW300 1.0 2.5 0.7 1.8 4.0 6.0 回転運動: n x d1 x π v = [ m ] 表面速度と摩耗 イグリデュールJ3 1.5 3.0 1.1 2.1 8.0 10.0 60 x 1,000 s 許容表面速度を検討する場合、すべり軸受の耐摩耗性も考 イグリデュールJ350 1.3 3.0 1.0 2.3 4.0 8.0 慮しなければなりません。運転速度が上がると、それに応じ イグリデュールJ260 1.0 2.0 0.7 1.4 3.0 4.0 揺動運動: 2 x ß f m v = d1 x π x x [ ] て摩耗速度が自動的に増加します。運転速度が上がると、 イグリデュールW360 1.2 2.7 0.9 2.0 3.0 5.0 360 1,000 s イグリデュールL250 1.0 1.5 0.7 1.1 2.0 3.0 摩耗率が高くなるだけでなく、摩耗そのものも増加します。 ここでは以下を表します。 イグリデュールL350 3.0 4.0 1.5 3.0 4.0 6.0 d1 = 軸径 [mm] ß イグリデュールL500 3.0 4.0 1.5 3.0 5.0 8.0 表面速度と摩擦係数 f = 周波数 [Hz] イグリデュールR 0.8 1.2 0.6 1.0 3.5 5.0 すべり軸受の摩擦係数の実際値は、表面速度の実際値 ß = 揺動角度 [°] イグリデュールD 1.5 3.0 1.1 2.1 8.0 10.0 で決まります。表面速度が小さい場合より大きい場合 n = rpm イグリデュールJ200 1.0 1.5 0.7 1.1 10.0 15.0 の方が、摩擦係数が大きくなります。 イグリデュールX 1.5 3.5 1.1 2.5 5.0 10.0 イグリデュールZ 1.5 3.5 1.1 2.5 5.0 6.0 イグリデュールX6 1.5 3.5 1.1 2.5 5.4 10.0 許容表面速度 イグリデュールV400 0.9 1.3 0.6 0.9 2.0 3.0 イグリデュールは、当初低速から中速の連続運転用に開発 イグリデュールUW500 0.8 1.5 0.6 1.1 2.0 3.0 したものです。表01は、回転動作、揺動動作、直動動作に イグリデュールH1 2.0 2.5 1.0 1.5 5.0 7.0 おけるイグリデュールの許容表面速度を示します。これら イグリデュールH370 1.2 1.5 0.8 1.1 4.0 5.0 の表面速度は、軸受に最小面圧がかかった場合の限界値 イグリデュールH 1.0 1.5 0.7 1.1 3.0 4.0 です。荷重と速度とは反比例の関係にあるので、実用上、 イグリデュールC500 0.9 1.1 0.7 1.0 2.4 2.8 イグリデュールH2 0.9 1.0 0.6 0.7 2.5 3.0 イグリデュールA181 0.8 1.2 0.6 1.0 3.5 5.0 イグリデュールA350 1.0 1.2 0.8 0.9 2.5 3.0 イグリデュールA500 0.6 1.0 0.4 0.7 1.0 2.0 イグリデュールA180 0.8 1.2 0.6 1.0 3.5 5.0 イグリデュールA200 0.8 1.5 0.6 1.1 2.0 3.0 イグリデュールA160 0.5 0.7 0.4 0.6 2.0 3.0 イグリデュールA290 1.0 2.0 0.7 1.4 3.0 4.0 イグリデュールUW160 0.3 0.5 0.3 0.4 1.0 2.5 イグリデュールT220 0.4 1.0 0.3 0.7 1.0 2.0 イグリデュールQ2 1.0 2.0 0.7 1.4 4.0 5.0 イグリデュールQ 1.0 2.0 0.7 1.4 5.0 6.0 イグリデュールQ290 0.8 2.0 0.6 1.4 1.0 2.0 イグリデュールTX1 0.4 0.9 0.2 0.5 1.0 2.0 イグリデュールF 0.8 1.5 0.6 1.1 3.0 5.0 イグリデュールF2 0.8 1.4 0.7 1.1 3.0 5.0 イグリデュールH4 1.0 1.5 0.7 1.1 1.0 2.0 イグリデュールUW 0.5 1.5 0.4 1.1 2.0 3.0 イグリデュールN54 0.8 1.5 0.6 1.1 1.0 2.0 イグリデュールG V0 1.0 2.0 0.7 1.4 4.0 5.0 イグリデュールJ2 0.8 1.9 0.7 1.1 3.0 5.0 イグリデュールAB 0.7 1.0 0.5 0.7 1.0 1.8 イグリデュールB 0.7 1.0 0.5 0.7 2.0 3.0 イグリデュールC 1.0 1.5 0.7 1.1 2.0 3.0 表01:イグリデュールの表面速度[m/s] (連続使用および短期使用時) 7 オンラインツール、詳しい情報は www.igus.co.jp/iglidur 3D-CAD データのダウンロードは www.igus.co.jp/iglidur 8
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イグリデュール| テクニカルデータ PV値と摩擦係数 すべり軸受については、面圧[p]と表面速度[v]の積を新しい 潤滑剤 補正係数 摩擦係数と表面状態 数値として使用します。PV値は摩擦熱の尺度として考えら 無潤滑運転 1.0 ここで、摩擦係数と軸材質の表面粗さとの関係について れ、すべり軸受を適正に適用するための分析手段として使 取付け時 1.3 検討します。摩耗量は種々の要因で決まるのは明らかで 用します。PV値は「実PV値」と様々な要因を加味した「許容 連続、グリース 2.0 す。 PV値」があります。許容PV値は、シャフト材料、温度と運転 連続、水 4.0 軸の面祖度が非常に粗い場合、摩耗のレベルに大きく影 時間の影響を受けます。 連続、油 5.0 響します。小さい面積であっても凹凸があると、それらが 互いにかみ合って表面を摩耗させます。 表02: 許容PV値の潤滑による補正 補正係数 ただし、表面が滑らかすぎると表面同士が粘着しやすくな 間欠運転の場合、軸受温度が、短期運転のために最高許 ります。粘着に打ち勝つには大きな力が必要で、その結果 容温度に達することが絶対になければ、PV値の許容範囲 材質 熱伝導率 [W/m x k] 摩擦係数が増大します。 が増加します。試験によれば、運転時間が10分未満であれ 8 スチール 46 静摩擦係数と動摩擦係数との間に大きな差があり、接触 ば、この説明が正しいことが分かりました。休止時間が長 アルミニウム 204 面の粘着傾向が増すと、スティックスリップが起こる可能 7 ければ、冷却が十分に行われます。ここで運転時間と休止 ねずみ鋳鉄 58 性があります。スティックスリップは間欠運転の場合にも 6 時間との割合が、性能を決める重要な指標になります。図 SUS 304 16 起こり、ギーギーと大きな音がすることがあります。これ 5 09に、この割合(3倍は休止時間が運転時間の3倍である セラミック 1.4 らの騒音が発生しないように、軸表面を少し粗くする必要 4 ことを意味する)を変えた場合の曲線の違いを示します。 樹脂 0.24 が生じることがよくあります。スティックスリップの発生の 3 可能性が高い用途、たとえば、低速運転やハウジングとの 2 表03:各種軸材質またはハウジング材質の熱伝導率 潤滑剤: 共鳴が大きい運転の場合、軸の表面が最適な粗さになっ 1 イグリデュールは、無潤滑運転を前提に設計しています ているかどうか注意しなければなりません。 0 が、標準の潤滑油およびグリースにも優れた適応性をも 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 っています。組込み時に一度潤滑すれば起動時の性能と 運転時間 [分] 摩擦係数 摩擦係数が改善され、摩擦熱の発生を抑えます。潤滑す 4倍 3倍 2倍 1倍 イグリデュールは、固体潤滑剤が添加されているので自己 れば、この効果によってすべり軸受の許容荷重が増加しま 図09:PV値用補正係数 潤滑性があります。固体潤滑剤は、すべり軸受の摩擦係数 す。表02に潤滑した場合のPV値の補正係数を示します。 を下げ、耐摩耗性を向上させます。相対的な動作に必要 な力は摩擦係数μと乗直抗力の積によって示されます。 静止位置から開始するのか、運動が進行中でその状態を 維持するのかによって、静摩擦係数または動摩擦係数を 選択しなければなりません。 PV値と潤滑 許 容 値 ([ K1 × π × k × T ] + [K2 × π × s × T ] PV = ×10–3 μ × s μ × b1 × 2 ) ここでは以下を表します。 K1、 K2 = 熱放散定数( K1 = 0.5、 K2 = 0.042) s = ベアリング肉厚 mm b1 = ベアリング幅 mm μ = 摩擦定数 s = 熱伝導率(軸) k = 熱伝導率(ベアリング) T = Ta – Tu Tu = 周囲温度 [℃] Ta = 最高使用温度 [℃] 写真 05: 高い品質を確保する業界最大の試験施設。広さ2,750 m2 の試験施設にて年間15,000もの試験及び20億テスト ストロークを実施。 9 オンラインツール、詳しい情報は www.igus.co.jp/iglidur 3D-CAD データのダウンロードは www.igus.co.jp/iglidur 10 補正係数
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イグリデュール| テクニカルデータ –100 –50 0 +50 +100 +150 +200 +250 +300 材質 温度 [℃] イグリデュールG イグリデュールG +80 温度 イグリデュールM250 イグリデュールM250 +60 イグリデュールP210 イグリデュールP210 +50 高性能ポリマー製すべり軸受の耐温度性は、過小評価さ 値は継続的に下降します。すべり軸受の場合、摩擦のため イグリデュールP イグリデュールP +90 れることがよくあります。樹脂製の軸受が300℃を超える に軸受温度が周囲温度よりも高くなる場合があるので注意 イグリデュールK イグリデュールK +70 温度で使用できるといっても、信じ難いかもしれません。 が必要です。 イグリデュールGLW イグリデュールGLW +80 技術書には連続使用温度ということばがよく出てきます。 イグリデュールJ イグリデュールJ +60 この連続使用温度というのは、その樹脂が、あらかじめ指 熱膨脹率 イグリデュールW300 イグリデュールW300 +90 定した引張強度を減少させずにある期間耐えうる最高温 ポリマーの熱膨脹率は、金属の約10倍から20倍になりま イグリデュールJ3 イグリデュールJ3 +60 度です。この標準テストはあくまで一定の荷重条件下で す。金属と異なり、樹脂では膨張は非線形になります。イ イグリデュールJ350 イグリデュールJ350 +140 のテスト結果となっております。使用温度が材質にとって グリデュールの熱膨張率は、軸受に要求されるすきまに イグリデュールJ260 イグリデュールJ260 +80 重要になります 対して重要な意味を持ちます。所定の使用温度であれば、 イグリデュールW360 イグリデュールW360 +90 軸の軸受への焼付きは高温でもおこりません。イグリデ イグリデュールL250 イグリデュールL250 +55 使用温度 ュールの熱膨張率は、広い温度範囲にわたって試験して イグリデュールL350 イグリデュールL350 +140 イグリデュールL500 イグリデュールL500 +135 最低使用温度は、それ以下では材質の剛性と硬さとが上 おり、各章のはじめに個々の材質についてその結果を掲 イグリデュールR イグリデュールR +50 がり過ぎ、標準的な使用に対して脆くなりすぎる温度のこ 載しています。 イグリデュールD イグリデュールD +50 とです。最大使用温度は、材質の物性が著しく変わること イグリデュールJ200 イグリデュールJ200 +60 なしに使用できる温度です。 イグリデュールX イグリデュールX +135 最高短期使用温度は、それを超えると材質が軟らかくなり イグリデュールZ イグリデュールZ +145 すぎて、わずかな外部荷重にしか耐えられなくなる温度で イグリデュールX6 イグリデュールX6 +165 す。「短期」は数分間を意味します。 イグリデュールV400 イグリデュールV400 +100 すべり軸受を軸方向に動かすか、軸方向に力が発生する イグリデュールHSD350 イグリデュールHSD350 +130 と、圧入した軸受が緩む可能性が高くなります。この場合、 イグリデュールUW500 イグリデュールUW500 +150 圧入したあと軸受を固定する必要があります。表04はイ イグリデュールH1 イグリデュールH1 +80 グリデュールに対して追加の固定処置を必要とする温度 イグリデュールH370 イグリデュールH370 +100 イグリデュールH イグリデュールH +120 を表しています。荷重が大きいほど抜け止めの重要性は イグリデュールC500 イグリデュールC500 +130 増します。 イグリデュールH2 イグリデュールH2 +110 イグリデュールA181 イグリデュールA181 +60 温度と荷重 イグリデュールA350 イグリデュールA350 +140 図02および03( p.41)は、イグリデュールの許容面圧 イグリデュールA500 イグリデュールA500 +130 [p]を温度との関係で示します。温度が上がるに従って、この イグリデュールA180 イグリデュールA180 +60 イグリデュールA200 イグリデュールA200 +50 イグリデュールA160 イグリデュールA160 +60 イグリデュールA290 イグリデュールA290 +110 イグリデュールUW160 イグリデュールUW160 +70 イグリデュールT220 イグリデュールT220 +50 イグリデュールQ2 イグリデュールQ2 +70 イグリデュールQ イグリデュールQ +50 イグリデュールQ290 イグリデュールQ290 +80 イグリデュールTX1 イグリデュールTX1 +100 イグリデュールF イグリデュールF +105 イグリデュールF2 イグリデュールF2 +70 イグリデュールH4 イグリデュールH4 +110 イグリデュールUW イグリデュールUW +80 イグリデュールN54 イグリデュールN54 +60 イグリデュールG V0 イグリデュールG V0 +100 イグリデュールJ2 イグリデュールJ2 +60 イグリデュールAB イグリデュールAB +50 イグリデュールRW370 イグリデュールRW370 +120 イグリデュールB イグリデュールB +50 イグリデュールC イグリデュールC +40 図10:連続使用および短期使用における上限温度の比較 [℃] 表04:イグリデュールに対して抜け止 写真06:材質試験は+250℃まで可能 めを必要とする温度 11 オンラインツール、詳しい情報は www.igus.co.jp/iglidur 3D-CAD データのダウンロードは www.igus.co.jp/iglidur 12
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イグリデュール| テクニカルデータ 耐摩耗性 コンポーネントの摩耗の要因にはさまざまなものがあり、 がるとすべり軸受の摩耗量も増えます。ただひとつの例 摩耗挙動についてひとまとめに述べることは簡単ではあり 外は、イグリデュールXです。イグリデュールXの耐摩耗性 ません。多くの実験や試験では、摩耗の測定が重要です。 は温度が上昇するにつれて飛躍的に増大し、温度+160℃ 軸と軸受とについてどんな材質の組合せが可能かが、実 でピークに達します。これ以降、耐摩耗性は再び徐々に低 験によって、明確になってきました。一定の荷重と表面速 下します。 度の場合、互いに接触しながら運動する材質の組合せによ って、耐摩耗性が10倍も変ってしまうことがよくあります。 摩耗性粉塵の蓄積による摩耗 研削性の粉塵粒子が軸受に侵入すると、摩耗の問題が頻 軸材質 p.52 繁に起こります。イグリデュールはこれらの問題に関して、 機械設備のダウンタイムを大幅に改善します。材質の優れ 摩耗と圧力 た耐摩耗性と自己潤滑性とにより、最大の寿命を実現しま 荷重の大きさが、軸受の摩耗に大きく影響します。イグリデ す。軸受表面には油もグリースも存在しないので、粉塵粒 ュールの中でも、ある材質は低荷重に最適であったり、また 子は軸受内に容易には巻込まれないからです。大部分は 別の材質は高荷重や超高荷重に対して良好な性能を発揮 軸受からこぼれ、損傷を起こりにくくします。たとえ硬い粒 するなど、材質によって特長は様々です。 子が軸受に食い込んだとしても、イグリデュールはこの粒 子を吸収します。すなわち異物は、軸受の壁に埋め込まれ 摩耗と温度 るのです。粉塵が大量に蓄積していても、あるレベルまで イグリデュールの耐摩耗性は、広い温度範囲にわたって、 は、運転が最適の状態に維持されます。 ほとんど変化しません。ただし、最高温度域では、温度が上 しかし、軸受および軸を傷めるのは硬い粒子だけではあ りません。たとえば、繊維や紙のような軟らかい物質でも 100 摩耗を増加させることがよくあります。この場合、イグリデ ュールの自己潤滑性および耐塵性が威力を発揮します。 10 摩耗と表面状態 写真07:高い耐摩耗性:砂と接触するすべり軸受 写真8:アルミ製軸による摩耗実験 軸受の摩耗には軸の表面状態が大きく影響します。摩擦 1 係数の検討のところで述べたように、軸表面が粗いと摩 耗量が増大しますが、逆に軸が滑らかすぎても問題です。 0.1 0.25 0.75 1 2 5 表面の粗い軸はやすりのような挙動を示し、軸受表面から 荷重[MPa] 微小粒子を削り取ります。しかし、軸表面が滑らかすぎて イグリデュールG イグリデュールM250 イグリデュールX も摩耗量が増えることがあります。粘着が起きると、摩擦 イグリデュールJ イグリデュールW300 が極端に増加してしまうのです。滑り面に働く力が非常に 図11:低荷重時におけるイグリデュールの摩耗(軸) 大きいので、軸受材質が剥がれていきます。 S50C、V=0.1m/s 腐食による摩耗が、非線形であることにも十分注意してく ださい。これはばらつきが激しく、まえもって正確に予測す ることは非常に難しいのが現実です。 100 10 1 5 10 20 45 荷重[MPa] イグリデュールG イグリデュールP イグリデュールZ イグリデュールJ イグリデュールV400 イグリデュールQ イグリデュールW300 図12:中~高荷重時におけるイグリデュールの摩耗( 軸) S50C、V=0.1m/s 写真9:滑らか過ぎる軸により、キャビテーションを起こした軸受表面 13 オンラインツール、詳しい情報は www.igus.co.jp/iglidur 3D-CAD データのダウンロードは www.igus.co.jp/iglidur 14 摩耗量 [µm/km] 摩耗量 [µm/km]
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イグリデュール| テクニカルデータ 摩耗と軸材質 軸受を使用するにあたり、すべり軸受自身の次に重要な 用して評価試験を行うと、他の軸材質に比して耐摩耗性 15 15 パラメータが軸です。軸は軸受と直接接触し、軸受と同じ が向上する例が多数みられます。ただし、硬質クロムめっ ように相対運動の影響を受けます。軸も基本的には摩耗 きを施した軸は、ふつう表面粗さが小さいので、スティッ 12 12 しますが、イグリデュールは軸の摩耗がほとんど起こらな クスリップを起こす危険性が特に高くなります。 9 9 いように設計されていますので、従来の測定技術では摩 SUS440Bでも、同様の良好な結果が得られます。S50Cで 耗は検出されません。軸はその硬さと表面粗さとによっ も結果は良好です。他の軸材質の場合、摩耗結果はさま 6 6 て分類します。 ざまです。例えばSUS304を使用した低面圧試験の場合、 3 3 軸受の材質が適切であれば良好または非常に良好な結 摩擦係数 p.47 果が得られます。ただし、軸受材質による摩耗のばらつき 0 0 耐摩耗性 p.50 がこれほど激しい軸材質はありません。したがって、軸材 図 13: S50C製軸の摩耗量 図 17: 硬質アルマイト処理アルミ製軸の摩耗量 質がSUS304やSTKM12Aの場合、軸受材質の選定は大変 (p = 1 MPa、v = 0.30 m/s、Ra = 0.20 μm) (p = 1 MPa、v = 0.30 m/s、Ra = 0.20 μm) 軸の硬さも重要な役割を果たします。軸の硬さが低いと、 重要です。 慣らし運転時に軸が滑らかになります。とがった部分が除 ここに掲載している試験結果は、既存のデータのほんの 15 15 去され、表面の手入れが行われます。これはある材質によ 一部です。結果はすべて同じ面圧と速度によるものです。 っては良い効果をもたらし、ポリマー製軸受の耐摩耗性 12 12 が増大します。以下の図は一般的な軸材質とイグリデュ 9 9 ールとの組合せによる摩耗量を示しており、これらを比較 すれば、どの組合せが最適かが分かります。摩耗量を示す 6 6 縦軸の目盛は、比較しやすいようにすべての図で同じにし 3 3 てあります。 特に、硬質クロムめっきを施した軸の装置の摩耗が少な 0 0 いのが注目に値します。この非常に硬く、そして滑らかな 図 14: SUS304製軸の摩耗量 図18:快削鋼製軸の摩耗量 軸は、多くの軸受の組合せで優れた耐摩耗性を発揮して (p = 1 MPa、v = 0.30 m/s、Ra = 0.20 μm) (p = 1MPa、v = 0.30m/s、Ra = 0.20µm) いることが分ります。イグリデュールに対してこの軸を使 15 15 12 12 9 9 6 6 3 3 0 0 図 15: STKM12A軸の摩耗量 図19: SUS440B製軸の摩耗量 (p = 1 MPa、v = 0.30 m/s、Ra = 0.20 μm) (p = 1 MPa、v = 0.30 m/s、Ra = 0.20 μm) 15 12 9 6 3 0 写真10: 低荷重揺動動作における摩耗試験に使用する揺 写真11: 中荷重揺動動作における摩耗試験に使用する揺 図 16: 硬質クロムめっき製軸の摩耗量 動摩耗試験装置 動摩耗試験装置 (p = 1 MPa、v = 0.30 m/s、Ra = 0.20 μm) 15 オンラインツール、詳しい情報は www.igus.co.jp/iglidur 3D-CAD データのダウンロードは www.igus.co.jp/iglidur 16 摩耗量 [µm/km] 摩耗量 [µm/km] 摩耗量 [µm/km] 摩耗量 [µm/km] G G G G M250 M250 M250 M250 P P P P J J J J W300 W300 W300 W300 J3 J3 J3 J3 J350 J350 J350 J350 X X X X Z Z Z Z X6 X6 X6 X6 H1 H1 H1 H1 A180 A180 A180 A180 摩耗量 [µm/km] 摩耗量 [µm/km] 摩耗量 [µm/km] G G G M250 M250 M250 P P P J J J W300 W300 W300 J3 J3 J3 J350 J350 J350 X X X Z Z Z X6 X6 X6 H1 H1 H1 A180 A180 A180
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イグリデュール| テクニカルデータ イグリデュール| テクニカルデータ 耐薬品性 材質 グリース、 耐紫外線性 炭化水素 潤滑油 希酸 希 イグリデュールは、使用中に種々の薬品に接触する可能 (添加剤なし) アルカリ 放射線 性があります。この薬品との接触により、物性が変わること イグリデュールG + + 0 ~ – + 耐放射線性の比較を、表07に示します。イグリデュール があります。何らかの薬品に対する樹脂の挙動は、温度、 イグリデュールM250 + + 0 ~ – + X、UW500、Z、X6、A160、A500が耐放射線性にもっとも優 暴露時間および機械的荷重の種類と大きさによって変わ イグリデュールP210 – – 0 – れています。 ります。イグリデュールは、耐薬品性がありますので、これ イグリデュールP – + 0 – らの薬品の中でも使用可能です。ときには、周囲の薬品が イグリデュールK + + 0 ~ – + 耐紫外線性 潤滑剤の役目を果たすこともあります。したがって、すべり イグリデュール 材質 耐放射線性 GLW + + 0 ~ – + すべり軸受を屋外で使用すると常に日光や風雨にさらさ 軸受を潤滑しながら使うことも可能です。しかし、粉塵の多 イグリデュールJ + + 0 ~ – + れます。耐紫外線性は重要な尺度であり、材質が紫外線 イグリデュールW300 + + 0 ~ – + X、 Z、 UW500、 A160 1 x 105 Gy い環境では、従来の潤滑剤は無潤滑の場合に比べて、耐摩 イグリデュール によって劣化するかどうかの目安になります。この影響は、 J3 + + 0 ~ – + X6、 A500 2 x 105 Gy 耗性を低下させることがあります。耐薬品性の詳細なリス イグリデュールJ350 + ~ 0 + + + わずかな色の変化から材質の脆性までの範囲で表されま M250、 J3、 A200、 N54 1 x 104 Gy トは巻末にあります。 イグリデュールJ260 + 0 ~ – – + ~ 0 す。材質の比較は、表08の通りです。この表からイグリデ L250 3 x 104 Gy イグリデュールW360 + + 0 ~ – + ュールが屋外使用に適していることが分かります。数種 耐薬品性一覧 p.1452 V400、 C 2 x 104 Gy イグリデュールL250 + + 0 ~ – + 類のイグリデュール材質については、物性の変化が予想 P、 K 5 x 102 Gy イグリデュールL350 + ~ 0 + + + されます。 G、 J、 W300、 P210、 J260、 J200、 R、 D、 C500、 3 x 102 Gy イグリデュールL500 + + + + 食品工業用途 A180、 A290、 UW160、 T220、 F、 F2、 Q、 Q2、 イグリデュールR + + 0 ~ – + 真空 食品の機械・設備で使用可能な、特殊な要求事項に応え イグリデュール + + 0 ~ – + UW、 G V0、 J2、 B、 GLW、 L500、 Q290、 AB D イグリデュールすべり軸受は真空下で使えますが、ある られるイグリデュール製品として、専用に開発した材質が イグリデュールJ200 + + 0 ~ – + J350、 H、 H1、 H370、 H2、 H4、 A181、 2 x 102 Gy 制約があります。すなわち、微量のガスが放出されます。 6種類あります。イグリデュール材料A180、A181、A160、 イグリデュールX + + + + A350、 W360、 TX1 A200、A350、A500はFDA(米国食品医薬品局)に準拠し イグリデュール イグリデュールの大部分は、ガスを放出しても材質特性 Z + + + + 表06:イグリデュールの耐放射線性 が変りません。通常真空中で使用する際には吸湿率の低 ています。イグリデュール材料A290はBfR(ドイツ連邦リ イグリデュールX6 + + + + イグリデュールV400 + + + + い材質を選定致します。 スク評価研究所)に準拠しています。 日本国内の食品衛生法については、イグリデュールG、J、 イグリデュールHSD350 + + + + イグリデュールUW500 + + + + 電気的性質 材質 表面抵抗[Ω] W300、X、A180、A350、A500、A160、J3が適合していま イグリデュールH1 + + + ~ 0 + メンテナンスフリーの自己潤滑性すべり軸受の製品群に イグリデュールX < 103 す。 イグリデュールH370 + + + ~ 0 + は、絶縁材質も導電性材質もあります。重要な電気的性 イグリデュールX6 < 105 イグリデュールH + + + ~ 0 + 質については、個々の材質ページで詳しく説明しており イグリデュールUW500 < 109 イグリデュールC500 + + + + ます。表07:導電性イグリデュールの電気的性質 ここに挙 イグリデュールH < 102 イグリデュールH2 + + + ~ 0 + イグリデュール がっていないイグリデュールは、電気的絶縁性をもってい イグリデュールH370 < 105 A181 + + 0 ~ – + ます。材質によっては、吸湿の度合いにより性質が変るこ イグリデュールF < 102 イグリデュールA350 + ~ 0 + + + イグリデュールA500 + + + + とにご注意ください。条件が変っても、所要の性質が得ら イグリデュールF2 < 109 イグリデュール れるかどうかは事前の実験で確かめる必要があります。 イグリデュールUW < 105 A180 + + 0 ~ – + イグリデュールA200 + + 0 ~ – + 表07:導電性イグリデュールの電気的性質 イグリデュールA160 + + + + イグリデュールA290 + + 0 ~ – + イグリデュールUW160 + + + + イグリデュールT220 – + 0 – 材質 耐紫外線性 材質 耐紫外線性 材質 耐紫外線性 材質 耐紫外線性 イグリデュールQ2 + + 0 ~ – + イグリデュールQ + + 0 ~ – + イグリデュールQ290 + + 0 ~ – + イグリデュールG 5 イグリデュールL350 5 イグリデュールH 2 イグリデュールQ 2 イグリデュール イグリデュールM250 4 イグリデュールL500 5 イグリデュールC500 4 イグリデュールQ290 4 TX1 + + + + イグリデュールP210 3 イグリデュールR 4 イグリデュールH2 1 イグリデュールF 5 イグリデュールF + + 0 ~ – + イグリデュールP 5 イグリデュールD 4 イグリデュールA181 3 イグリデュールF2 3 イグリデュールF2 – + 0 – イグリデュールK 4 イグリデュールJ200 4 イグリデュールA350 4 イグリデュールH4 1 イグリデュールH4 + + + ~ 0 + イグリデュールGLW 5 イグリデュールX 5 イグリデュールA500 3 イグリデュールUW 3 イグリデュールUW + + 0 ~ – + イグリデュールJ 3 イグリデュールZ 3 イグリデュールA180 3 イグリデュールN54 4 イグリデュールN54 + + 0 ~ – + イグリデュールW300 3 イグリデュールX6 5 イグリデュールA200 4 イグリデュールG V0 3 表05(: 右)イグリデュールの耐薬品性 イグリデュールG V0 + + 0 ~ – + イグリデュールJ3 3 イグリデュールV400 3 イグリデュールA160 4 イグリデュールJ2 2 +: 耐性あり イグリデュールJ2 + + 0 ~ – + イグリデュールJ350 2 イグリデュールHSD350 3 イグリデュールA290 4 イグリデュールAB 2 0: 制限付きで耐性あり イグリデュールAB + + 0 ~ – + イグリデュールJ260 1 イグリデュールUW500 5 イグリデュールUW160 4 イグリデュールRW370 3 –: 耐性なし イグリデュールRW370 – + + + イグリデュールW360 3 イグリデュールH1 2 イグリデュールT220 2 イグリデュールB 1 条件:室温+20℃の場合 イグリデュールB – – 0 ~ – – イグリデュールL250 3 イグリデュールH370 5 イグリデュールQ2 5 イグリデュールC 1 イグリデュールC + + 0 ~ – + 表08:イグリデュールの耐紫外線性 1: 耐性が低い 5: 耐性が高い 18 オンラインツール、詳しい情報は www.igus.co.jp/iglidur 3D-CAD データのダウンロードは www.igus.co.jp/iglidur 19
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イグリデュール| テクニカルデータ イグリデュール| テクニカルデータ 組込み 公差と寸法単位 イグリデュールは圧入して組込まれます。推奨公差で仕 イグリデュールの組込み寸法および公差は、材質および肉 上げられたハウジング穴にイグリデュールを圧入するこ 厚によって変ります。各材質について、吸湿率と熱膨張率 とで内径が調整されます。圧入前のオーバサイズ寸法は が必ず分っていなければなりません。公差を最小限にした 最大で内径の2%です。これによってイグリデュール圧入 い場合、吸湿率の低いすべり軸受を使って設計します。肉 後の保持が確実に行われます。また、ハウジング内での軸 厚については、軸受が厚くなるほど公差が大きくなければ 方向または半径方向のずれが防止できます。 なりません。したがって、イグリデュールには種々の公差レ ハウジングの穴はすべてのイグリデュールに対して推奨公 ベルが存在します。イグリデュールは、これらの公差内に入 差(通常はH7)で仕上げ、滑らかで、凹凸がなく、必要に応じ っていれば、組込み推奨事項に従って、許容温度以内かつ て25~30℃で面取りされていなければなりません。軸受の 湿度70%以下で運転できます。湿度がもっと高い場合、ま 圧入には平面プレスを使用する必要があります。不適切な たは水中で使用する場合の適切な条件については、当社 圧入治具を使うとイグリデュールが損傷し、すきまが増加す までお問合せください。 る可能性があります。 試験方法 接着 イグリデュールはH7公差のハウジングに圧入されるよう設 通常、イグリデュールの組込みに接着剤を使用する必要 写真12: 軸受の圧入には平面プレスを使用する必要があ 計されています。この圧入により軸受がハウジング内に固 写真13:圧入すべり軸受の内径の測定 はありません。圧入したイグリデュールが、高温のため緩 ります。 定され、すべり軸受の内径が圧入によってある寸法に落ち む場合は、耐熱性がもっと高いイグリデュールを使用す 着きます。 るよう推奨します。もし、イグリデュールを接着によって固 最小指定寸法に仕上げた穴に軸受を組込んだあと、ピンゲ 定するのであれば、個々に試験する必要があります。ある 圧入治具で組込み簡単 ージを使って軸受の検査を行います。 用途でうまく行っても、他の用途でどうなるかは予測でき ●●最小公差のピンゲージが、軸受の穴に容易に挿入できな 1 ません。 ければなりません。 イグリデュールはH7公差のハウジングに圧入して使 ●●ベアリング圧入後3箇所の測定面で内径を測定し、その 用いたします。必ずしも圧入する際に冶具は必要で 値が所定の公差に入っていなければいけません。 機械加工 はありませんが、 圧入治具とソフトヘッドハンマーを 2 (図20) 用いることで簡単に組付けることが可能です。(軸径 イグリデュールすべり軸受はいつでも組込みできる状態 13~50mm:PT-1350、軸径6~20mm:PT-0620) で出荷します。広範囲の製品を取り揃えており、大部分は 不具合対策 標準寸法で使用できます。何らかの理由で、すべり軸受の 軸受を慎重に製作し、組込んでも、推奨組込寸法に関す 追加加工が必要な場合、表 3 09の機械加工標準仕様をご覧 る差違や疑問が生じることがあります。このためもっとも ください。摺動面の追加工は避けてください。摩耗進行度 頻繁に経験する差違の原因をリストにまとめました。たい が増すことがよくあります。 ていの場合、このリストを見れば差違の原因がすぐに分り Ø ただし、イグリデュールM250は例外で、この材質は追加工 ます。 が可能です。他のイグリデュールの場合、すべり面を加工 ●●穴の面取りが不適切で、圧入時に軸受材質が削ぎ取ら 図20:測定平面の位置 すると潤滑能力が低下します。 れてしまった。 ●●使用した圧入治具により、圧入時に軸受内径が広がって しまった。 ●●ハウジング穴径が推奨仕様を満足していない(通常は H7です。) PT-1350 PT-0620 ●●ハウジングが軟質材質で作られており、組込み時に広が ってしまった。 ●●軸径が推奨公差内に入っていない。 ●● 軸受の測定が、イグス標準と異なる方法で行われてい 工程 切削 穴あけ フライス削り る。 20–30° 工具の材質 ステンレス ステンレス ステンレス 送り量 [mm] 0.1 ~ 0.5 0.1 ~ 0.5 >0.5 逃げ角 5 ~ 15 10 ~ 12 3 すくい角 0 ~ 10 3 ~ 5 切削速度 [m/min] 200 ~ 500 50 ~ 100 >1,000 表09:機械加工ガイドライン 図 21: 断面図:軸受の圧入 20 オンラインツール、詳しい情報は www.igus.co.jp/iglidur 3D-CAD データのダウンロードは www.igus.co.jp/iglidur 21
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イグリデュール| 計算 イグリデュール| 計算 寸法公差 公式 はめあい公差 F = 荷重 [N] イグリデュールすべり軸受の軸の公差はhになります。(最 はベアリングの肉厚によって異なります。 面圧 F = 摩擦力 [N] R 小でもh9を推奨) H7公差のハウジングに圧入するよう設 ラジアルベアリング: アキシアルベアリング: d1 = 内径 [mm] 計されています。推奨公差のハウジングに圧入後、内径は F F b1 = 長さ [mm] 自動的に正しい公差になります。特定の寸法の場合、公差 p = p = d1 x b1 (d22 – d 12 ) x π d2 = 外径 [mm] 4 p = 面圧 [N/mm2] ISO 寸法公差 イグリデュール[mm] v = 表面速度 [m/s] 表面速度 n = 回転数 直径 ハウジング 軸 公差は ISO 3547-1 に準拠 回転運動: ß = 揺動角度 [°] d1 H7 h9 E10 F10 D11 n x d1 x π [ m ] f = 周波数 [Hz] 最大 3 0 +0.010 0~0.025 +0.014 +0.054 +0.006 +0.046 +0.020 +0.080 v = K1、K2 = 熱放散定数 > 3 ~ 6 0 +0.012 0~0.030 +0.020 +0.068 +0.010 +0.058 +0.030 +0.105 60 x 1,000 s (K1 = 0.5、K2 = 0.042) [N] > 6 ~ 10 0 +0.015 0~0.036 +0.025 +0.083 +0.013 +0.071 +0.040 +0.130 s = ベアリング肉厚 [mm] > 10 ~ 18 0 +0.018 0~0.043 +0.032 +0.102 +0.016 +0.086 +0.050 +0.160 揺動運動: μ = 摩擦係数 > 18 ~ 30 0 +0.021 0~0.052 +0.040 +0.124 +0.020 +0.104 +0.065 +0.195 2 x ß f m v = d1 x π x x x [ ] s = 熱伝導率(軸) > 30 ~ 50 0 +0.025 0~0.062 +0.050 +0.150 +0.025 +0.125 +0.080 +0.240 360 1,000 s k = 熱伝導率(ベアリング) > 50 ~ 80 0 +0.030 0~0.074 +0.060 +0.180 +0.030 +0.150 +0.100 +0.290 T = (T - T ) > 80 ~ 120 0 +0.035 0~0.087 +0.072 +0.212 +0.036 +0.176 +0.120 +0.340 値 a u PV T = 周囲温度 [℃] >1 20 ~ 180 0 +0.040 0~0.100 +0.085 +0.245 +0.043 +0.203 +0.145 +0.395 u 許容 値 ( [K1 x π x k x T ] [K2 x π x s x T ] PV = + x10–3 T = 最高使用温度 [℃] μ x s μ x b1 x 2 ) a 材質 E10 F10 D11 材質 E10 F10 D11 イグリデュールG イグリデュールC500 摩擦係数 イグリデュールM250 イグリデュールH2 イグリデュールP210 イグリデュールA181 FR = μ x F イグリデュールP イグリデュールA350 イグリデュールK イグリデュールA500 イグリデュールGLW イグリデュールA180 イグリデュールJ イグリデュールA200 イグリデュールW300 イグリデュールA160 イグリデュールJ3 イグリデュールA290 イグリデュールJ350 イグリデュールUW160 イグリデュールJ260 イグリデュールT220 イグリデュールW360 イグリデュールQ2 イグリデュールL250 イグリデュールQ イグリデュールL350 イグリデュールQ290 イグリデュールL500 イグリデュールTX1 イグリデュールR イグリデュールF イグリデュールD イグリデュールF2 イグリデュールJ200 イグリデュールH4 イグリデュールX イグリデュールUW イグリデュールZ イグリデュールN54 イグリデュールX6 イグリデュールG V0 イグリデュールV400 イグリデュールJ2 イグリデュールHSD350 イグリデュールAB イグリデュールUW500 イグリデュールRW370 イグリデュールH1 イグリデュールB イグリデュールH370 イグリデュールC イグリデュールH 表10:イグリデュール材質ごとの寸法公差 22 オンラインツール、詳しい情報は www.igus.co.jp/iglidur 3D-CAD データのダウンロードは www.igus.co.jp/iglidur 23