Moldex3D User Report
株式会社アシックス様 Moldex3D 導入事例
https://corp.asics.com/jp/
株式会社アシックスは、 兵庫県神戸市中央区に本社を置く、 大手総合スポーツ用
品メーカーである。 各種スポーツ用品等の製造および販売を手掛けている。 スポー
ツシューズに強みを持ち、 とりわけランニング、 バレーボールなどで高いブランド力
を持つ。
現在では国内の同業界内で売上高一位を誇り、 業界屈指の総合スポーツ用品企業
の座に君臨する。 また海外売上比率は特に 2000 年以降拡大しており、 2018 年
12 月末時点の海外売上比率は約 75%を記録する等、 グローバル企業として高い
知名度を誇っている。
同社のスポーツ工学研究所 (神戸市西区) では、人間の身体や動きの分析をもとに、
シューズ、アパレル、用具などの材料や構造設計の研究を行っている。 同研究所は、
同社の掲げる 「スポーツでつちかった知的技術により、 質の高いライフスタイルを創
造する」 というビジョンを具現化するために 1985 年に設立された。
今回は、 このアシックススポーツ工学研究所の研究員である若杉晋作氏に
Moldex3D の導入の経緯とその効果についてお話を伺った。
アシックススポーツ工学研究所外観
■同社の課題 「解析精度と高度な解析」
スポーツシューズは、 機能性やデザインを付与するため、 様々な形状の複数のパーツから形成されている。 それらパーツのいくつかは
熱可塑性樹脂を使用し、 射出成形により製造されている。
当研究所では、 製品パーツ金型の設計時の不良予測を行うことで、 製品の品質向上を図っている。 また最新の射出成形技術の研究と
導入検討を行っている。
「シューズはパーツの形状が多様かつ複雑であるため、 効率的に検討を進めるためには、 精度の高い流動解析により、 様々な条件や
形状におけるケーススタディを行う必要があるのです。」 と若杉氏は語る。
同社では以前は別の解析ソフトを使用していたが、 メッシュ作成の手間や精度の問題があったという。
「実際の成形結果と解析結果との差異がみられるケースが多く、 解析結果の信頼度
に課題がありました。 また発泡成形や混色成形など高度な射出成形の解析が難しく、
実際の成形実験の結果に頼らざるを得ないことがありました。」 と若杉氏は続ける。
このようなトライ&エラーによるデータ分析では、 効果的なデータ収集が行えず、 さら
に成形プロセスでの流動状態や、 金型内部の圧力、 温度などのデータを得ることが
できなかった。
■Moldex3D との出会い
そのような課題に直面しているときに、 インターネットで発泡成形や混色成形、 インサート成形など高度な射出成形に対応できる流動解析ソ
フトを検索したという。
「Moldex3D は高度な射出成形技術についても、 高精度で計算可能なのではないかと思い、 早速セイロジャパンの大阪営業所に連絡を入
れました。」 と若杉氏は語る。
導入に際して最終的には他社と Moldex3D を比較したが、 Moldex3D を選んだ理由は大きく二つあるという。
一つ目は Moldex3D は、 Hybrid mesh を簡便に作成することが可能で、 それによりメッシュ精度および解析精度が向上することが期待でき
ることであった。
二つ目は発泡成形や混色成形など、 高度な解析機能を 3D で実行し、 データの取得が可能であることだった。
■Moldex3D 導入後の効果
「まず一つ目の課題であった解析精度は、 以前に比べて向上しました。 特に樹脂の流路および流動プロセスでの形状については、
Hybrid mesh を生成してモデルを作成することで、 実際の成形品とよく一致するようになりました。」 (若杉氏)
これにより解析を利用したデータ収集の社内における信頼度が向上したという。
また二つ目の課題である高度な解析の実施については、 発泡成形や混色成形などの 3D での解析が可能になったため、 以前は実験ベー
スのみであったが、 解析結果を考慮しながら設計検討を行うことができ、 多様なモールド形状におけるケーススタディを高速で行えるよう
になった。 さらにデータや知見の収集が効率的に行えるため、 作業効率が非常に向上した。
形状による流動バランスの比較検討 ゴム材料のフィッティング
■Moldex3D の操作性にも満足
Moldex3D は、 メッシュ作成から解析、 結果の分析まで一通りの解析がスムーズに行えるため、
操作性にも優れている。
「Moldex3D は非常に使いやすいソフトだと思います。 さらにシューズに使用する材料は、 特殊
な材料も多く、 材料ライブラリにはない材料を使用し、 細かな条件設定を行って解析することも
多いのですが、 その際に材料のフィッティングや精度改善のための質問事項への対応などの手
厚いサポートもしていただいており、 大変助かっています。」 (若杉氏)
さらにメッシュの作成および修復が以前に比べて楽になり、 解析開始前の準備時間が減少し、
効率的な解析が可能になった。
■導入後の立ち上げおよびサポートにも満足
Moldex3D 導入後には、 セイロジャパンよりお客様の実務に合わせた立ち上げ支援講習な
どが提供される。
「操作研修や、 操作に関する問い合わせへの対応がわかりやすく、 満足しています。 また、
材料のフィッティング依頼や、 質問事項への対応、 要望の改善依頼など大変よく対応して
いただいている印象です。 社外秘などの理由により、 解析モデルなどのような依頼のため
に必要な情報が提供できない場合などもあるなか、 提供可能な情報のみで可能な限り対応
していただき、 大変助かっています。」 (若杉氏)
■解析結果を活用した製品開発に期待
同社のシューズに使用する材料には、 非常に軟質な材料や架橋発泡体など、 特殊な材料が多い。 そのため、 一般的な射出成形の知識が
そのまま当てはまらないこともある。 研究員達は解析から得られた数値データが、 実際にどのような不良の指標になるのかを、 実際の成形結
果を基にして分析している。
「現在は解析結果と成形結果を比較しながら、 現象の分析を進めていますが、 将来的にはそれらの知見を体系化し、 シューズ部品の射出成
形における不良や変形の予測を、 流動解析データから高精度で行えるようにしていきたいと考えています。」 と若杉氏は語ってくれた。
これからも Moldex3D が同社の製品開発を後押しし、 高品質な製品が多くのアスリート達に届けられることだろう。
株式会社 セイロジャパン http://www.saeilo.co.jp/
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Moldex3D についての詳細はこちら : https://www.saeilo.co.jp/products/moldex3d.html