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汎用非線形構造解析プログラム「Marc」

製品カタログ

より複雑な現象に対する強力な、汎用性のある有限要素ソフトウェア

Marc(マーク)は、1960年代後半にロンドン大学とブラウン大学で12年以上にわたって研究、教育に携わったPedro V. Marcal博士によって開発された非線形構造解析プログラムです。その後、多くの優秀な有限要素法研究者と技術者の参加によって整備と拡張が続けられ、現在のMarcに発展してきました。
Marcプログラムは非線形解析用に最適化されており、製造プロセスシミュレーション、設計における性能評価、実働荷重下のパフォーマンスや破壊の予測といった、製品寿命の全域にわたる問題を解決するための包括的かつ安定性の高いソリューションを提供します。
また、4つのライブラリ(解析、材料、要素、機能)を有しており、これらを組み合わせることで様々
な非線形問題に柔軟に対応することが可能であることから、航空宇宙、防衛、重工業、製造、自動車、鉄道、電機電子、建設、医療といった幅広い産業分野で利用されています。

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ドキュメント名 汎用非線形構造解析プログラム「Marc」
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Brochure Marc 汎用非線形構造解析プログラム
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Marc 汎用非線形構造解析プログラム Marcは、1960年代後半にロンドン大学とブラウン大学で12年以上にわたって研究、教育に 携わったPedro V. Marcal博士によって開発された非線形構造解析プログラムです。その 後、多くの優秀な有限要素法研究者と技術者の参加によって整備と拡張が続けられ、現在の Marcに発展してきました。 Marcプログラムは非線形解析用に最適化されており、製造プロセスシミュレーション、設計 における性能評価、実働荷重下のパフォーマンスや破壊の予測といった、製品寿命の全域に わたる問題を解決するための包括的かつ安定性の高いソリューションを提供します。 また、4つのライブラリ(解析、材料、要素、機能)を有しており、これらを組み合わせることで様々 な非線形問題に柔軟に対応することが可能であることから、航空宇宙、防衛、重工業、製造、 自動車、鉄道、電機電子、建設、医療といった幅広い産業分野で利用されています。
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解析ライブラリ Marcは静的、動的あるいは連成解析によって製品の応答を、高い精度でシミュレートする解析ライブラリを提供します。 ● 構造解析 ● 動磁場解析 静解析、動解析、過渡解析、調和応答、固有値解析、 ● 動磁場 / 熱連成解析(誘電加熱解析) 座屈解析、クリープ解析、疲労解析、 ● 動磁場 / 熱 / 構造連成解析 破壊力学(クラック、J積分) 誘電加熱プロセス解析 ● 熱解析 ● 拡散(濃度)解析 定常および非定常の熱解析 ● 拡散(濃度) / 構造連成解析 ATAS(Advanced Thermal Analysis Software)に 過渡 / 静的、過渡 / クリープ、過渡 / 動的過渡 よる熱分解およびサーフェス後退機能 ● 熱 / 拡散(濃度)連成解析 ● 熱 / 構造連成解析 定常状態 / 定常状態、過渡 / 過渡 静解析、動解析、クリープ解析、熱処理 ● 熱 / 拡散(濃度) / 構造連成解析 ● 静電場解析 過渡 / 過渡 / 静的、過渡 / 過渡 / クリープ、 ● 静電場 / 構造連成解析 過渡 /過渡 / 動的過渡 ● 圧電解析 ● 拡散(圧力) 解析 静解析、過渡解析、調和応答、固有値解析 ● 拡散(圧力) / 熱連成解析 ● 熱 / 圧電連成解析 ● 拡散(圧力) / 熱 / 構造連成解析 静解析、過渡解析、クリープ解析 主な用途は、材料の熱分解 ● 静磁場解析 ● 拡散(圧力) - 構造連成解析(地盤解析) ● 静磁場 / 熱連成解析 ● 音響解析 ● 静磁場 / 構造連成解析 ● 音響 - 構造連成解析(音響 - 固体解析) ● 電流 / 熱連成解析( ジュール熱解析) ● 流体解析 ● 電流 / 熱 / 構造連成解析 ● 熱 - 流体連成解析 ● 流体 / 構造連成解析(流体 - 固体解析) ● 熱 - 流体 / 構造連成解析(流体 - 熱 - 固体解析) ■ 動解析機能 ● 流体力学解析(ベアリング解析) Marcの動解析機能では、以下の解析をサポートします。 である中央差分法を適用することができます。この際に、時間積分 の手法に応じて適切な時間ステップを選択することが重要で、いず ● 実固有値解析(逆べき乗法、ランチョス法) れの手法に対しても減衰を含めることができます。 ● 過渡解析(陰解法 /陽解法) もちろん、CONTACT 解析を含む熱 / 構造連成問題にも使用する ● 動的調和解析 ことが可能で、時間ステップの自動調整機能を適用することもでき ● スペクトル応答解析 ます。また、非線形性を含む静的な構造解析の最終結果を基底状 過渡解析の手法としては、線形問題に対してはモード重ね合わせ 態とした固有値解析、調和応答解析を実施することも可能で、複 法と直接積分法を、非線形問題に対しては直接積分法を選択する 数の荷重ケースで構成されるデータを作成することにより、これら ことができます。直接積分法を用いる場合、陰的解法であるフー 一連の解析も単一のデータで取り扱うことができます。 ボルト法、ー般化アルファ法、ニューマークベータ法を、陽的解法 適用例 免震装置の非線形調和応答解析(周波数応答) 4つのサポートブラケットに支持されているフレームを周波数領域 で解析します。解析モデルは、集中質量を設けた節点を参照節点 とした、4つのRBE 2拘束によってフレームに振動が伝達される構 造となっており、フレームとサポートブラケットの間にあるゴムパッ ドによって振動が減衰します。 ゴムパッドにはPayne効果として知られる非線形粘弾性特性を与 え、周波数や振幅に依存した調和解析を行います。 周波数 [Hz] この解析で着目する結果は、ゴムパッド底面に観測されるトータル の反力と、RBE 2拘束の参照節点に与えるトータルの加振力の大 きさの比で定義される振動伝達率です。Payne効果のために、振 動伝達率は荷重の大きさや周波数に依存しない線形調和解析と は対照的に、これらに依存します。 3 振動伝達率 [-]
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■ 熱解析機能 熱問題の検討は多くの産業分野において重要な課題であり、構造 もちろん、その温度依存性や相変化も考慮することが可能で、以下 体の熱的影響を含めた評価に際して有益な指標を与えるものです。 のような豊富な機能によってあらゆる熱的な非線形問題に対応す Marcの熱解析要素は等方性、直交異方性、異方性材料の扱いは ることが可能です。 ● 構造解析用の要素タイプと対応して ● Thermal CONTACT機能 あらゆる幾何形状に対応できる熱解析要素 ● 移流項の考慮 ● 積層材熱要素をサポート ● 放射形態係数をサポート ● 熱解析の温度結果を構造解析の温度荷重として ● 熱 / 構造連成解析機能 直接利用可能 ● 電流 / 熱連成解析機能(ジュール熱解析) ● 線形 /非線形の定常解析、過渡解析機能 ● 電流 / 熱 / 構造連成解析機能 ● 過渡解析おける固定時間増分および時間増分調整機能 ● ATAS(Advanced Thermal Analysis Software) ● 温度依存の材料特性をサポート による熱分解およびサーフェス後退機能 ● 相変化による潜熱の影響を考慮可能 適用例 Thermal CONTACT機能を使った2つの平板間の熱交換 Thermal CONTACT機能では、CONTACT機能で定義した接触 ボディ間の初期条件(非接触 /接触 /近接状態)を熱解析の境界条 件として利用することができます。この機能を使って、初期では接 触していない2つの平板の熱交換問題で放射熱の影響を考慮する ことができます。 右図の一方の平板には 500K、他方には100Kの初期温度が与え られています。 Case 1 放射熱の境界条件をMentatで計算した形態係数を 使って考慮します。 Case 2 同じ放射境界条件がThermal CONTACT機能によ る近接接触状態の放射伝熱項で考慮されています。 これらは熱問題として過渡解析で検討されています。 熱 / 構造成問題であり、CONTACT機能を使って Case 3 Case 1、2と同じ近接接触による熱放射を考慮し、加 えて左側の平板を運動させて平板同士を接触させます。 30000secが経過した後の温度分布を観測すると、2つの平板間 の温度分布の相違が明確にわかります。左側ボディの接触面中央 の節点の温度履歴で観測すると、Case 1と2は結果が一致してい ます。 Case 3では、2つのプレートが接触し、放射から接触による熱交換 に変わった後に温度履歴が急変動しています。 この事例に示されるように、Marcでは同じ熱的な問題を複数の 方法で検討することも可能で、ユーザーの目的に応じて機能を使 い分けることができます。例えば、複雑な形状の放射熱問題に対 しては、Mentatで計算した形態係数を使って熱解析を行うこと が可能であり、熱的接触の評価には接触ボディの定義が容易な Thermal CONTACT機能を利用することができます。さらに構造 の機械的、運動学的影響も考慮する必要があれば、熱 / 構造連成 問題として準静的もしくは動的に検討することが可能です。 4
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■ IH シミュレーション(動磁場 / 熱 / 構造連成解析機能) 誘導加熱シミュレーション 誘導加熱(IH; Induction Heating) は、電磁誘導によって金属 移動するプロセスをモデル化するには、構造体が移動するたびに 中に電流を発生させ、ジュール熱により加熱をするものです。この 動磁場空間のリメッシングを行わなければなりませんでしたが、         現象の解析には、動磁場 / 熱 / 構造の連成解析が必要となります。 Marc では二重メッシュ法を導入することにより、動磁場空間のリ また、IH を利用した圧延のように、構造体が電磁空間中を大きく メッシングが不要な解析を実行することができます。 誘導加熱シミュレーションに利用可能な回路コンポーネント 回路コンポーネントは、抵抗器(R)、インダクタ(L)、コンデンサ(C)、 一般コンポーネント(複素インピーダンス Z を指定) といった基本 的な電気回路を構築するもので、これらを互いに接続したり、また は任意断面の太線コイルの端子を介してFEMモデルに接続する ことができます。 回路の終端端子に電圧または電流境界条件を与えれば、任意 断面の太線コイルの非一様電流分布を容易に計算することができ ます。 以下の例では、任意断面の太線コイルを用いて、板の誘導加熱をシミュレートしています。 板の温度分布 (反対称 1/2 モデルとフルモデルで比較) 回路コンポーネントを追加した反対称 1/2 モデル 5
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■ 熱分解シミュレーション(拡散(圧力)/ 熱 / 構造解析機能) この解析クラスは、熱 / 構造、拡散 / 構造、拡散 / 熱といった連成 ● 拡散パスの主要な変数はガス圧力であり、多くの場合、間隙圧 の拡張であり、主な用途は熱分解する複合材料の研究です。 と呼ばれます。同様に、熱パスの主要な変数は温度であり、構 ● これらのカップリングで使用される拡散のタイプは、多孔質材 造パスの主要な変数は変位です。 料を透過して流れる熱分解ガスの拡散であり、拡散(圧力)/ ● カップリングの拡散パートでは理想気体をサポートしており、 熱解析で使用可能な、Darcy 熱分解モデルが拡張されてい 構造の材料タイプとしては、現在のところ等方性または直交 ます。 異方性の線形弾性材料のみが適用可能です。 適用例 宇宙から大気に再突入する単純形状モデルの熱分解とサーフェス後退 モデルは、航空宇宙 ISO認証サンプルをもとにした2-D軸対称モ 部は粗いメッシュとした2つの接触ボディで構成されます。 デルです。高温度にさらされる外表面に細かいメッシュを与え、内 接触ボディ(初期温度 300 K) 熱伝達、熱放射、サーフェスエネルギーバランス モデルの表面には、熱伝達、熱放射、および境界層に関連する最も 重要な影響を表す、サーフェスエネルギーバランスを定義します。 また、モデルの左端には、固体材料の質量流量とサーフェスエネル ギーから得られる後退速度を考慮します。 サーフェス後退 例として、 5.13秒後の温度とvon Mises相当応力分布を示します。 5.13 秒後の温度分布(300K-3000K) 5.13 秒後の von Mises 相当応力(0.0-5.0E8 Pa) また、計算された表面の後退速度から、グローバルリメッシュ機能を使用して、FEメッシュの表面を後退させることが可能であり、 材料の熱分解による消失をモデル化することも出来ます。 初期メッシュ 3.35秒後 5.13秒後 6
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数値解法 Marc には実績のある高精度の数値解析手法が組み込まれており、 Marcの自動時間増分調整機能は、静的解析、動的解析、クリープ 最先端のソルバーテクノロジーを通じて、ユーザーがより高い効率 解析、もしくはこれらの熱的効果を含む解析など、幅広い解析に適 を達成できるよう支援します。 用することができるよう、統合化された機能です。 構造物の大ひずみを伴う変形の運動学的挙動を、以下のような定 この機能は不安定問題や座屈問題といった強い非線形性を呈する 式化により検討することが可能です。 問題に対しても高い安定性を発揮し、反復計算回数とユーザー 定義 /プログラム自動判定によるアルゴリズムで時間ステップを ● トータルラグランジェ法、アップデイトラグランジェ法 自動的に調整します。 ● オイラーの定式化(ex.定常剛塑性流れ) ハードウェアの性能向上も手伝い、昨今では数百万自由度規模 の非線形問題の実行も珍しくはありません。有限要素定式化で また、以下の数値解法によって、あらゆる非線形系の解を最小の計 は、1組の線形方程式が導かれますが、Marcで対応すべき問題と 算コストで得ることができます。 規模は多岐にわたるため、その方程式の解法を提供するマトリクス ソルバーも数種類用意されています。この機能はいわばMarcプ ● ニュートンラプソン法 ログラムの中核をなすもので、以下のような解法が提供されます。 ● 動解析の陰的もしくは陽的時間積分法 ● 時間増分の自動調整機能 直接解法 ● 対称マトリクス、非対称マトリクス、複素マトリクス ● システム状態を向上させるためのプリコンディショナ 反復法 ● 対称マトリクス ● システム状態を向上させるためのプリコンディショナ Marcの最新リリースでは、マトリクスソルバーの記憶、バンド幅最 小化、メモリ管理などが最適化され、単一及び並列計算の両方に ついてスピードの改善が達成されています。 7
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材料ライブラリ 材料ライブラリには、工学の分野で用いられる様々な材料モデル た非線形材料モデルも用意されています。材料定数の温度やひず が用意されています。線形材料はもちろんのこと、金属や地盤、ゴ み速度に対する依存性も考慮することが可能です。また、最先端の ム材などの非弾性挙動を表すために塑性や粘弾性、超弾性といっ 設計や研究で使用されている新しい材料モデルも実装されています。 ● 線形弾性材料 ● 積層複合材料(進展性破壊、層間剥離を含む) ● 弾塑性材料(等方 /移動 /混合硬化則、繰り返し塑性、Chabocheモデル、橋口モデル、 べき乗則、速度べき乗則、Johnson-Cook、Kumar、GMT、Hockett-Sherby) ● 異方性塑性(Hill、Barlat、Vegterの降伏条件) ● 剛塑性材料 ● ガスケット材料 ● 非線形亜弾性材料 ● 形状記憶合金モデル ● エラストマ(Mooney、Ogden、Arruda-Boyce、Gent、Marlow、Foam) ● 静水圧に依存する降伏モデル(Mohr-Coulomb、Buyukozturk) ● パウダー材(粘弾塑性モデル) ● クリープモデル(陽解法、ORNL則、体積スウェリング、陰解法) ● 粘塑性モデル(陽的定式化、陰的定式化による統一粘塑性モデル) ● 粘弾性材料、熱 - レオロジー的に単純な材料 ● Narayanaswamyモデル(体積緩和モデル) ● 時間 - 温度 - 相変態(T - T - T) モデル ● 低張力材料(コンクリート) ● 地盤モデル(線形 /非線形弾性体、Cam-Clayモデル) ● ダメージモデル(延性金属、エラストマ) ● 非構造的材料(熱、流体、電場、磁場、音響) ● インターフェース/粘着剤モデル ● MSC Nastran スタイルの PSHELL ● ユーザー定義の材料構成則 ■ 形状記憶合金モデル 形状記憶材料は、荷重や温度変化を与えた後に、以前の形状を復 ナイト相とマルテンサイト相の相変態に基づいており、構造または 元することが出来る特殊な合金であり、医療用のステントやマイク 熱 - 構造形状記憶モデルを扱うことが可能で、実験で取得した材 ロアクチュエータの温度駆動スイッチなどに利用されている材料です。 料特性データをインプットすることにより、ヒステリシスを伴う変態 Marcで利用可能なモデルによってカバーされる材料は、オーステ 疑似弾性、形状記憶効果といった特性を評価することができます。 適用例 生体医学用器具(ステント)の拡張解析 この事例では、医療分野において重要なアプリケーションであるス テントをMarcの構造形状記憶モデルと熱 – 構造形状記憶モデル を使って解析しています。このステントモデルに対して、血圧に相当 する圧力荷重を負荷し、モデルが拡張された際のマルテンサイトの 体積分率を比較します。 2種類の材料モデルに対して同じ材料特性が定義されているため、 最終結果のマルテンサイトの体積分率は、ほぼ同じ結果が得られ ます。 8
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代表的な機能ライブラリ 機能ライブラリに含まれているユーザーサブルーチン、自動増分設定などの機能は、 解析を簡単にかつ効率的に実行することを可能とします。 ● 全自動接触解析機能(CONTACT) ● リメッシング機能(ローカルアダプティブ、グローバルリメッシング) ● 多彩なLINK機能(多点拘束 - Multipoint Constraint、非線形ばね、 MSC NastranスタイルのRBE2/RBE3、RROD、CFAST、CWELD) ● 自動時間増分調整機能 ● キャビティ機能(空隙への圧力荷重の作用) ● ボルトモデリング ● クラックおよび剥離オプション ● 溶接オプション ● 回路コンポーネント ● 設計感度、最適化 ● NC 機械加工機能(CATIA V4 形式の NC Cutting Passファイルを利用した切削プロセスの評価) ● Marc/Adams インターフェース(mnf ファイル出力) ● ユーザーサブルーチン機能(実行には Fortran コンパイラが必要です。) ● MpCCI のサポート ● GPGPU(General Purpose Graphics Processing Unit) を使用し、 マトリクス求解のパフォーマンスを向上 ● OpenMP を使用した要素ループのマルチスレッディング ● Marc DDM(領域分割法による並列計算機能) ■ 全自動接触解析機能(CONTACT) Marcの接触機能には、インターフェース要素や接触要素といった 2次の幾何形状と変位場を扱えるようになっており、接触圧力の評 特殊な設定は一切必要ありません。 価によって摩擦力や解離も正しく評価されます。 ユーザーは有限要素メッシュ、カーブやサーフェスといったエンティ 接触面における摩擦力については、バイリニア(クーロン / 剪断)、 ティに対して、変形体もしくは剛体といった�接触ボディ�と呼ばれる アークタンジェント(クーロン /剪断)、スティック - スリップ(クーロン) グループ化を定義するだけでよいのです。Marc はユーザーが定義 の摩擦モデルが用意されています。さらに、接触を考慮した熱 / 構 した接触ボディの運動や変形を評価し、これらの自己の接触を含め 造連成解析においては、摩擦熱、材料の塑性仕事による熱、非接触 た接触と解離を自動的に判定して解析を行ないます。 / 接触 / 近接状態といった接触状態の別による熱伝達境界条件も 1次のトラス、梁、シェル、ソリッド要素はもちろんのこと、2次の三角 考慮することができます。また、接触機能で定義される初期の接触 形、四辺形、四面体、五面体、六面体、ピラミッド要素といった要素 条件は、熱解析で考慮する接触ボディ間の熱伝達境界条件としても タイプも扱えます。これら中間節点を持つ要素に対しては、正確な 利用することができます(Thermal CONTACT)。 適用例 シリンダヘッドガスケットの熱 / 構造連成解析 Marcの接触機能を使って、シリンダヘッドガスケットのアッセンブ リモデルの接触をモデル化しています。 モデルを構成する個々の部品パーツは変形体ボディとして定義し て色分けして示されています。 繰り返しの負荷 /除荷の経路パスに依存するガスケットの厚み方向 の非線形材料特性は、実験で取得した温度依存性を含めた締め付 け圧とガスケットの閉鎖距離を直接与えて考慮されています。ボル トの締め付け力と内壁に作用する圧力が作用した状態で、シリン ダ下部パーツの底面に温度荷重が作用する場合の状態を熱 / 構 造連成問題として検討しています。 解析結果より、ガスケットに作用する圧力分布や各パーツの応力分 布、変形、温度履歴などを評価することができます。 9
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■ シェルと梁の接触 Marcの接触機能は、梁要素やシェル要素に対しても利用可能です。 中立面からのオフセットも考慮して接触判定を行います。これによ 3-D梁要素は接触に際して、単なる1-D形状(ライン/カーブ) で り、梁要素やシェル要素を含むモデルでも、より現実的な接触解析 はなく、拡張表現によってユーザーが定義した断面形状を忠実に を実行することができます。 再現し、接触判定を行います。また、シェル要素では厚みだけでなく、 梁要素 梁の断面形状を考慮した拡張表現 梁の拡張表現、シェルのオフセットを考慮した接触解析 ■ リメッシング機能(2-D / 3-D) 有限要素法で塑性加工のような大ひずみ問題を解析する際には、 要素のゆがみやひずみ変化に応じて自動的にリメッシングが行われ、 要素が大きくゆがんで解析の続行が困難になる状況にしばしば直 リメッシングボディの形状的な曲率変化に応じたメッシュの密度変 面します。Marc ではこの様な状況に対処するために、現在のモデ 化を考慮させることも可能です。また、接触条件を含む荷重、境界 ルの変形形状や要素情報を保持しつつ、ゆがみのない新しいメッシュ 条件に関してもその情報を保持しながらリメッシングを行いますので、 を自動的に生成して解析を続行させる、グローバルリメッシング機 ゴム材料をある領域に押し込むような解析においても、滞ることな 能が用意されています。 く解析を進めることができます。 ■ クラック進展の予測VCCT(Virtual Crack Closure Technique) VCCTは、クラックのエネルギー解放率と応力を評価して、その進 展を予測する手法です。この手法を利用して、2-Dと3-Dのクラッ ク進展をシミュレーションすることができます。 適用例 クラックの入ったゴムブロックに対する引張圧縮の繰り返し負荷 初期クラックの入ったゴムブロックに引張圧縮の繰り返し負荷を与 え、どのようにクラックが進展するかを解析します。リメッシングに よりクラック先端部に細かいメッシュを生成し、精度よくクラック進 展を予測します。 ■ Marc DDM およびマルチスレッディング、GPU オプション Marcの並列化処理は領域分割法(DDM:Domain Decom - ス(MPI)を介して内部分割領域間の通信を最小化しつつ、実行効 position Method)を用いており、大規模かつ複雑な問題を高速 率と求解精度を最適化しながら解析を進めます。 に解くことが可能です。Marc DDMでは、単にマトリクス求解時に Marc DDMにおいて良いスケーラビリティを発揮するためには、 のみ並列化処理を実行するのではなく、全てのレベルにおいてこれ できる限り領域境界節点を減らすことが求められますが、Marcお を適用することでスケーラブルな並列化を実現します。この手法では、 よびMentatには様々な領域分割手法が用意されています。 モデルを複数の領域に分割し、メッセージ・パッシング・インターフェー ● Metis Element Base ● 再帰的座標2分割 ● 角度 ● Metis Node Base ● 形状 ● アドバンスド材料 ● Metis Best ● ベクトル ● ユーザーセット ● Metis Material ● 半径 10
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また、要素のループにOpenMPを使用したマルチスレッドの並列ソリューションと GPGPUを使用した マトリクス求解の並列計算もサポートされています。 マルチスレッディング、Marc DDMおよびこれらを併用した計算パフォーマンスの比較 ■ 成形・加工シミュレーション Marcの豊富な材料ライブラリとCONTACT機能、自動時間増分 ク量、ダイにかかる力などを評価することによって製品の試作回数 調整機能などを組み合わせることで、下記のような成形、加工シミュ を削減し、設計の効率を高めることができます。 レーションを検討することができます。成形後の形状やスプリンバッ 引抜き加工(シェブロンクラックの予測) ボトルのブロー成形 適用例 低減積分シェル要素を用いたアルミニウム異方性板の深絞り解析 板の加工シミュレーションでは、正確な材料挙動を得るためには 機能を組み合わせて適用することにより、仮想的に板成形を試行 適切な異方性降伏関数を用いることが重要です。Marcには、特 して製品の品質を評価することができます。異方性塑性の降伏条 にアルミニウム合金板に適した異方平面の一般的な基準を提案し 件と成形限界図を与えて解析し、成形限界パラメータや実際の加 たBarlat のモデルが導入されています。この基準は多結晶ベー 工形状との比較が行えます。 スの降伏曲面と一致することを示し、単軸および等 2 軸引張応力 状態付近で小さな曲率半径を表します。 このような板成形問題に対しては、4節点の低減成分シェル要素が 有用です。これは低減積分要素を構成するための安定スキームと ANS(Assumed Natural Strain)法を組み合わせた要素であり、 ゆがみの人工修正の必要がありません。したがって、計算速度を犠 牲にすることなく1 積分点シェル要素の精度を向上させ、大きな非 線形挙動を可能にします。 また、要素のゆがみを考慮するために各節点における局所座標系 は各ステップで更新されます。剛体運動を抽出するために剛体の 投影マトリクスを適用して大きな回転にも対応できることから、前 述のような異方性塑性挙動も正しく表現することが可能となってい ます。加えて、Marc の CONTACT 機能、非線形ばねによるドロー ビードモデリング、成形限界図(FLD) による破壊の予測といった アルミニウム合金板のドロービード成形 適用例 モデルセクション機能を用いた多段工程の解析 モデルセクションは多段工程の解析を容易に行うために開発され 知であることを意味します。 たモダンな機能であり、自己完結型モデルとして定義されます。自 これによって、複数の解析でモデルと計算結果を簡単に引き継ぐこ 己完結型とは、節点座標、要素のコネクティビティ、材料モデル、該 とができます。以下の例では、板成型の解析とその結果を引き継い 当する場合は現在の応力、ひずみなどを含む全てのFE 情報が既 だトリミング(打ち抜き) 解析を実施しています。 初期の板形状 成形後の形状 トリミング後の形状 11
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プリポスト ■ Marc専用プリポストプロセッサ Mentat MentatはMarc専用の会話型プリポストプロセッサです。多彩 の実行、モニタリング機能にも対応しています。 なCADインターフェースとPatranのメッシング技術を組み込ん また、単なるプリポストプロセッサにとどまらず、実験結果から材 だ強力なオートメッシュ機能により、複雑なモデルを短時間で有限 料特性を同定する実験データ近似機能や、モンテカルロ法による 要素モデルにすることができます。 熱放射における形態係数を計算する機能などを備えており、材料 あらゆるMarcの非線形データの作成をサポートしており、ジョブ パラメータの同定といった面からも解析をサポートします。 ■ Mentatの特徴 ● 使いやすく効率的なモデル作成 幾何形状から要素の自動生成機能、要素の品質チェックおよび修正機能、要素の再分割、コピー、 3-Dモデルへの拡張、梁要素の任意断面形状定義、積層複合材料の定義、金属材料を中心とした 約 200 種類の材料データベースを標準装備 ● 充実したMarc入力データオプションのサポート ● 各解析クラスに対応した境界条件(マルチ荷重ケース概念の適用) ● 解析クラスに対応した物性の定義(温度依存性、加工硬化等) ● 接触機能の完全サポート(剛体、変形体の定義等) ● モンテカルロ法による熱放射形態係数の算出 ● 実験データからゴム材料等の材料定数を同定する実験データ近似機能 ● 解析の実行および制御 ● t16/t19, HDF5ポストファイル(応力、ひずみ等)の指定 ● 解析インクリメントごとの収束状況の逐次モニタリング ● 解の収束性を視覚化する収束グラフ ● メニュー等のカスタマイズ言語としてPythonスクリプトをサポート ● MSC Apexの操作に近い、ダークモードを選択可能 ■ Mentatの機能 CAD および FEA プログラムとのインターフェース Parasolid、ACIS、DXF / DWG、IGES、STL、VDAFS、CATIA V4、CATIA V5、CATIA V5、Inventor、JT、Pro / Engineer、 Rhinoceros 3D、SolidWorks、STEP、Unigraphics、ABAQUS、 CMOLD、I-DEAS、MSC.Nastran Bulk Data、Patran ※別途、オプションライセンスが必要な場合があります。  詳細はお問い合わせ下さい。 豊富な結果処理機能 変形図、等高線図、ベクトル図、シンボル表示、パス/履歴プロット、 レポートライター、モデルクリッピング(任意断面表示)、梁線図、梁 の拡張表現(3-D 表示)、結果インスペクター(検査)、バルーン表示、 マルチビュー表示、フォトレンダリング、カラーコントロール、アニメー ション表示とAVI、MPEG、GIFファイル出力、各種結果出力形式 (PostScript、BMP、RGB、TIFF、JPEG)、変形後形状の出力 12
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■ 実験データ近似機能 有限要素解析で使用される材料モデルは、多くの場合、複数の材 す。実験データを近似するプロセスは、この実験データから材料定 料定数によって特徴付けられます。これらの定数は、実験データか 数を同定することで構成されます。実験データ近似は、以下の特性 ら同定する必要があります。応力 - ひずみ関係またはその他の材 を有する材料に対して行うことができます。 料特性の関係を調べるためには、通常、専用の実験が実施されま ● 時間依存のない材料特性の近似(エラストマー) ● Mooney( 様々なタイプ)、Ogden、Arruda - Boyce、Gent、Foam ● 粘弾性材料の近似 等温のProny 級数形式 、熱-レオロジー的に単純な材料、Payne 効果 (振幅依存 /周波数および振幅依存、Bergstrom – Boyce モデル) ● ダメージ材料特性の近似 連続ダメージ、不連続ダメージ ● 塑性材料特性の近似 流動応力、異方性降伏曲面、繰り返し塑性 ● 並列レオロジーフレームワーク材料特性の近似 ダメージ、粘弾性、塑性を考慮した弾性 ● 相変態材料特性の近似 Leblond、Koistinen - Marburger ● クリープ材料特性の近似 べき乗則、指数則、ハイパボリック則 ■ ユーザープラグインによるメニューのカスタマイズ ユーザープラグインを使用すると、定型的な作業を自動で行うポッ 多くのプラグインがプリインストールされており、すぐに利用するこ プアップメニューを追加することが可能で、Mentat ユーザーイン とができます。また、これらのプラグインを参考に、新たなプラグイ ターフェースを拡張して簡単に様々な自動実行処理をコールする ンを作成することもできます。 ことができます。 円形の孔のある長方形プレートを作成するプラグイン 応力線形化プラグイン (圧力容器の解析で一般的に使用される結果処理手法) 13
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機械学習を活用した設計、生産支援ツール ODYSSEE との連携 Marc / Mentat を用いて、人工知能(AI)や機械学習(ML)に使 AI/MLの手法は、以下の図のように、十分な学習データを準備す 用するデータを収集することができます。また、AI/MLツールを用 るオフライントレーニングと、学習データを使って予測モデルを作 いて解析結果をODYSSEE CAEなどのAI/MLソフトウェアと効 成するオンラインオペレーションに大別されます。 率的に連携することができます。 予測モデルの信頼性はデータ学習の品質に依存します。信頼性の 高い予測モデルを作成するには、十分な学習データを用意する必 要があり、Marc/Mentat によるシミュレーションから得られる結 果を活用することができます。また、ODYSSEE CAEと連携した AI/MLツールは、実験計画法(DOE) によって決められたパラメー タでのモデル作成と実行を自動的に行うことができます。 上の例では、ブラケットの2-D対称モデルでODYSSEEとの連携 を行っています。ここでの目的は、ブラケットモデルの最大ミーゼス 応力が特定の値以下であるという制約のもと、穴径R1, R2をそれ ぞれの設計上限 /下限値内で最大化することです。 この作業は、以下の手順で検討することができます。 ① R1とR2に対する DOE 変動を生成します。 ② AI/MLツールを使用してDOE ジョブを準備します。 ③ 並列モードでDOEジョブを実行します。 ④ DOEの結果を抽出し,エクスポートします。 ⑤ ODYSSEE CAEで予測モデルを取得します。 ⑥ ODYSSEE CAEで最適化問題を解きます。 14
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複数のソフトウェアの連携 Co - Simulation 複数のソフトウェアを連携するCo-Simulationでは、構造解析、 Hexagonが提供するMSC CoSimでは、歴史と実績のある各分 機構解析、熱流体解析等の複数の解析領域を同時に考慮したシ 野のソフトウェアによるCo-Simulationを実現し、既存のモデル ミュレーションが可能です。 がある場合には、それらの活用と拡張を可能にします。 個々の解析のみでは表現が難しい物理現象を専門のソフトウェア Marcでは、以下のCo-Simulationを実行できます。 が個別に受け持ちつつ連携することで、より現実に近い解析が可 能となります。 Adams - Marc のCo - Simulation モデルの一部を有限要素法(FEA、Marc パート) で定義し、モデ 比べて材料非線形、幾何学的非線形等の非線形性が考慮されモ ルの他の部分はマルチボディダイナミクス(MBD、Adams パート) デリングの忠実度が向上します。また、完全な FEA モデルと比べ、 で定義します。このモデリング方法により、完全なMBD モデルに より高速なソリューションが可能になります。 Marc - scFLOW のCo - Simulation( 流体構造連成解析) Marc - scFLOWのCo - Simulationでは、構造解析と流体解 ができます。このタイプの組み合わせでは、液体を流体モデルとし 析を組み合わせた様々なタイプのフィジックスをモデル化すること て扱うことが可能です。 Adams – Marc - scFLOW のCo - Simulation Adams、Marc、scFLOW プログラムの組み合わせを1つのCo - Simulationでサポートします。 15
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Hexagonは、センサー、ソフトウェア、自律型テクノロジーを組み合わせた、デジ タルリアリティソリューションのグローバルリーダーです。当社は産業、製造、イン フラ基盤、公共、モビリティの分野で効率、生産性、品質、安全性を高めるために データを活用しています。 当社のテクノロジーは、生産エコシステムと人関連エコシステムを形成、その繋が りと自律性を促進し、発展性のある持続可能な未来を創造します。 Hexagon Manufacturing Intelligence事業部は設計からエンジニアリング、 製造、計測に至るまでデータを活用したソリューションを提供し、お客様のさらに スマートな製品製造を支援します。 Hexagon( Nasdaq Stockholm: HEXA B)に関する詳細はhexagon.com をご覧ください。 また、@HexagonABのフォローをお願いします。 日本語のサイトはこちら hexagon.com/ja/company/divisions/manufacturing-intelligence © 2023 Hexagon AB and/or its subsidiaries and affiliates. All rights reserved.