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DAQによる充放電中のバッテリー温度プロファイリング

ホワイトペーパー

充放電時の“見えない熱挙動”を可視化し、安全性・寿命・性能評価を一段引き上げるDAQ実践ガイド

リチウムイオンバッテリーの性能・寿命・安全性は、充放電中の温度挙動に大きく左右されます。特に近年、電動化の進展により高エネルギー密度化・高速充放電が進む中、局所的な温度上昇や異常発熱をいかに正確に捉えるかが、設計・評価現場における重要な課題となっています。

本ホワイトペーパーでは、KeysightのDAQ(データ収集)測定器とBenchVueソフトウェアを用いて、バッテリーの充電・放電中に発生する温度変化をリアルタイムにプロファイリングする実践的な手法を解説します。Jタイプ熱電対による多点温度測定と、電圧・電流データを同時に取得することで、従来は把握が難しかった温度と電気特性の相関を直感的に可視化できます。

また、定電流/定電圧充電や定電流放電といった実際の使用条件を模擬した測定構成例、データロギングやグラフ表示を活用した解析方法、さらには温度プロファイルから得られる設計・評価上の示唆についても具体的に紹介します。これにより、異常兆候の早期検出、耐性評価の効率化、試験時間の短縮に貢献します。

バッテリー評価の信頼性を高めたいエンジニア、EV・産業機器・民生機器向けに安全設計を強化したい開発者にとって、本書は「すぐに現場で使える」温度プロファイリングの指針となる一冊です。

EV/電池/パワーエレクトロニクス系のエンジニアに最適です。

このカタログについて

ドキュメント名 DAQによる充放電中のバッテリー温度プロファイリング
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
ファイルサイズ 1.2Mb
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取り扱い企業 キーサイト・テクノロジー株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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DAQによる充放電中の バッテリー温度プロファイリング DAQ手法 電流の充放電によってバッテリーの温度は上昇します。さらに、温度は、バッテリーの寿命と蓄電 容量に直接影響を及ぼします。バッテリーは、室温では効率が高い傾向があり、通常の寿命を維持 できますが、高温や低温にさらされると寿命が大幅に短縮されます。 バッテリーは極端な温度では破損する可能性さえあります。通常、破損にはいくつかの段階があり ます。液漏れ、発煙、出火、爆発です。各段階の破損を生じさせるような温度を特定するため、耐 性テストを実行することが重要です。各段階の破損の温度を把握しておけば、問題が発生する条件 にどれくらい近いのかがわかり、場合に応じてデバイスを管理することができるようになります。 バッテリーがダイナミックに破損(発煙や出火)するとき、その原因は通常ショートで、高速な放電 が発生してかなり温度が上昇しています。よって最近のバッテリーは、外部のショート回路を回避 するために、ヒューズとして働く特殊な保護素子を内蔵しています。 リチウムイオンバッテリーは、小型パッケージに多くのエネルギーを蓄電できる上に高速で充放電 できるため、非常に広く使用されています。リチウムイオンバッテリー電池には標準構成とカスタ ム構成があります。標準構成のものは、径と長さが標準で円筒形をしています。カスタム構成のも のは、携帯電話やタブレットのようなコンパクトなデバイスに収容できるようにデザインされてい ます。 www.keysight.co.jp 1
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以下はリチウムイオンの構成例です。 • 多くの携帯デバイス:1個の直列電池につき1個の並列電池(1S×1P) • タブレットデバイス:1S×2P、1S×3P • ノートブック/ラップトップ:2S×2P、2S×3P • 電気モーター、電動工具、照明、電気自動車、ハイブリッド電気自動車など:複数の直列×複数の並列 フラット・マルチセル・リチウムイオン・バッテリー・ リチウムイオン・バッテリー・パック パック(ラップトップ用) (電動工具用) 標準18650シングル・セル・リチウムイオン フラット・シングル・セル・ (バッテリーパック内で使用)。ティール リチウムイオン・バッテリー バッテリーの端の突起に、電流の高速な流れに (携帯電話用) 対する電気保護回路が追加されています。 www.keysight.co.jp 2
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バッテリー充電用の温度プロファイリング設定 測定器1:DAQ測定器 バッテリー性能テスト中に正確かつ効率的に温度特性を評価するには、複数のポイントにわたってモニタリングと測 定を同時に行う必要があります。これには、Keysight DAQ970A DAQデータ・ロガー・スイッチ・ユニット(DAQM901A 汎用マルチプレクサーカード搭載)のようなデータ収集(DAQ)測定器を使用できます。このような測定器は温度、電流、 電圧、周波数を測定する機能を備えています。さらに、約61 cm以上の長さの一般的なJタイプ熱電対センサと、リチ ウムイオンバッテリー両端の電圧を測定するワイヤーペアも必要になります。 図1のダイアグラムに、簡単なセットアップと、DUT、PC、電源への接続を示します。 図1. Keysight DAQ970A、E36312A DC電源、BenchVueソフトウェアによる、充電中の リチウムイオンバッテリーの温度プロファイリング。 www.keysight.co.jp 3
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測定器2:DC電源 リチウムイオンバッテリーの充電特性に応じて、十分な電圧/電流カバレージを備え “C”で表されるバッテリー充電 たDC電源を使用して、被試験デバイス(DUT)すなわちバッテリーを充電する必要があり 速度とは何でしょうか? ます。図1のセットアップでは、Keysight E36312A プログラマブルDC電源を使用して います。この電源は広い電流レンジを備え、1 mAまでの電流データを記録できます。 • Cは充電速度です(放電速度 でもあります)。1時間当た このセットアップでは、必ず、充電速度の半分から最大(0.5 C~1 C)までの任意の位 りのAhで測定されます 置で電流リミットを設定します。電圧リミットは、許容できる最終フロート充電電圧 • Cは、最大容量に対してバッ レベルに設定します。バッテリーDUTの充電中に設定電圧レベルに到達すると、定電 テリーが充放電される速度 流が自動的に定電圧に移行します。充電電流は、充電によってバッテリーが飽和状態 の指標です へと近づくと、自動的に少しずつ減少し始めます。充電電流がフル充電電流値の約3 % • 1 Cで充電される14 Ahの電 まで低下すると、充電が終了します。 池は、14 Aの電流で充電さ れます 図2は、リチウムイオンバッテリーDUTの充電特性です。 図2. リチウムイオンバッテリーの充電特性。 www.keysight.co.jp 4
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記録/データ解析ソフトウェア さらに解析するために、データをリアルタイムにモニター/記録したい場合があります。従来は、そのために最初か らプログラムを書く必要がありました。キーサイトは、Keysight BenchVueソフトウェアのようなアプリケーション によって、これを容易にしています。実際のところ、BenchVueは測定のデータロギングと表示を容易にするだけでは ありません。簡単なポイント・アンド・クリック操作によって複数の測定器を制御できるだけでなく、BenchVueに よって自動的にPC接続された測定器を検出でき、対応する測定器アプリケーションを起動できます。BenchVueを使 用すればプログラミングが不要になり、テストフロー機能によって独自の自動テストを容易に構築できます。 バッテリーを充電しながら温度をプロファイリングするには、以下のBenchVue測定器アプリケーションが必要にな ります。 BenchVue DAQアプリケーション BenchVueデータ収集制御/解析アプリケーション(BenchVue DAQアプリケーション)とJタイプ熱電対を使用して、 バッテリーの温度を測定できます。測定は、Jタイプ熱電対をDAQM901A マルチプレクサーカードに接続するだけで 可能です。この例の用途では、マルチプレクサーがスロット1に搭載されているので、測定チャネルは101になります。 BenchVue DAQアプリケーションを開いて、Jタイプ熱電対を使用して温度を測定するようにチャネル101を設定しま す。シングル・セル・バッテリーの測定には、1つの温度ポイントで十分なはずです。複雑なバッテリーパッケージで は、複数の温度ポイントにわたる測定が必要になります。 次に、バッテリーDUT両端のDC電圧測定向けにもう1つのチャネルを設定します。 図3に、BenchVue DAQアプリケーションのチャネル設定を示します。 BenchVue電源アプリケーション BenchVue電源制御/自動化アプリケーションを使用して、リチウムイオンセルの最大充電電圧に電圧を設定できま す。このケースでは電圧を4.2 V、電流を1.2 Aリミット(約0.5 C)に設定しています。図4に、BenchVue電源アプリケー ションのチャネル設定を示します。 図3. BenchVue DAQアプリケーションのチャネル設定。 www.keysight.co.jp 5
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図4. BenchVue電源アプリケーションのチャネル設定。 バッテリー放電用の温度プロファイリング設定 測定器1:DAQ測定器 バッテリー充電のセットアップと同様に、バッテリー放電用にもDAQ測定器を推奨します。以下の例では、先ほどと 同じKeysight DAQ970A DAQ/データ・ロガー・スイッチ・ユニット(DAQM901A 汎用マルチプレクサーカード搭載)、 Jタイプ熱電対センサ、リチウムイオンバッテリー両端に接続するワイヤーを使用しています。 図5に、簡単なセットアップと、DUT、PC、DAQ、電子負荷への接続を示します。 測定器2:DC電子負荷 電子負荷はDUTのバッテリー放電器として機能し、バッテリーパワーを引き込む可能性がある実際のアプリケーショ ンをシミュレートします。モードは0.5 C(1時間当たりフル充電の半分)の定電流に設定します。 放電電圧の終了値(このケースでは3.0 V)に注意する必要があります。3.0 Vのカットオフを超えると、電圧は非常に 急激にロールオフします。 図5. Keysight DAQ970A、6063B DC電子負荷、BenchVueソフトウェアによる、バッテリー放電中の 温度プロファイリング。 www.keysight.co.jp 6
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ソフトウェア:データ・ロギング・アプリケーション バッテリー充電用の温度をプロファイリングする場合と同様に、データの記録/表示を支援するアプリケーションが、 プログラムの開発/テスト時間を削減するために非常に役立ちます。充電の場合と同じKeysight BenchVueソフト ウェアを推奨します。使いやすい機能を備えていて容易に使用できるからです。バッテリーDUTを放電しながら温度 をプロファイリングするには、以下のBenchVue測定器アプリケーションが必要になります。 BenchVue DAQアプリケーション 図3に示した、バッテリー充電中の温度プロファイリングと同じセットアップを使用します。 BenchVue電子負荷アプリケーション BenchVue電子負荷制御/自動化アプリケーションを使用して、6063Bを1.2 A(約0.5 C)の定電流負荷として設定でき ます。図6に、BenchVue電子負荷アプリケーションの設定を示します。 図6. BenchVue電子負荷アプリケーションの設定。 www.keysight.co.jp 7
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結果の解析:充放電中のバッテリーの温度プロファイル BenchVueのストリップチャート、XYチャート、ヒストグラムなどを含む、直観的なグラフィカル・ユーザー・イン タフェース(GUI)とさまざまなグラフィカル表示オプションを用いて、短時間でテストを検証して詳細なトラブル シューティングを実行でき、また、次のDUTのテストを実行できます。レポートが必要な場合には、数回クリックす るだけで測定データと画面イメージをエクスポートすることもできます。 図7に、BenchVueで取得した2つのストリップチャートを示します。左側は電流/電圧プロファイルで、E36312A DC 電源によってデータ記録されたものです。右側は充電中のバッテリーの温度プロファイルで、DAQ970A DAQ/データ・ ロガー・スイッチ・ユニットによって記録されたものです。 図8は、放電中のバッテリーの温度と電圧で、DAQ970A DAQ/データ・ロガー・スイッチ・ユニットによって記録され たものです。 図7. バッテリー充電中にBenchVueソフトウェア上のストリップ・チャート・フォーマットに表示された 温度/電圧/電流プロファイル。 www.keysight.co.jp 8
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図8. バッテリー充電中にBenchVueソフトウェア上のストリップ・チャート・フォーマットに表示された 温度/電圧プロファイル その他の関連テスト テスト要件に適合する十分な仕様を備えた手軽な測定器を使用して、バッテリー性能テスト中に容易に温度を特性評 価できる方法の基本を説明しました。以下の表に見られるように、DAQ測定器では前述のアプリケーションを超える、 拡張性に優れた投資が可能になります。 拡張性のニーズ Keysight DAQ970A DAQ/データ・ロガー・スイッチ・ユニットの 機能、モジュール/カードの仕様 温度テストポイントの数 DAQメインフレームには3つのスロットがあります。各スロットで最大40個のテス トポイントに対応できます。 DAQM900A マルチプレクサー入力カードでは、カード当たり20チャネルに対応可能 データロギングの で、最大450チャネル/秒をスキャンできます。 スキャン速度 DAQM908A マルチプレクサー入力カードでは、カード当たり40チャネルに対応可能 で、最大60チャネル/秒をスキャンできます。 DAQとモジュール/カードは非常に優れた柔軟性を備えていて、温度(8種類の熱電 ユニバーサル入力 対、2線式/4線式RTD、サーミスターをサポート)、AC/DC電圧、AC/DC電流、2線式 /4線式抵抗、周波数、周期などのさまざまな入力タイプを測定できます。 このような汎用DAQはマルチプレクサーカードのスキャンだけでなく、より複雑な スイッチ テストソリューションに対応できるスイッチング機能を備えています。DAQM903A カードは20チャネルのアクチュエーター/汎用スイッチを備えています。 用途に応じて高電圧に マルチプレクサー入力カード/スイッチングカードは300 Vの最大電圧を測定でき 対応 ます。 www.keysight.co.jp 9
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関連情報 キーサイトの汎用DAQ/データロガーの詳細については、下のページを参照してください。 www.keysight.co.jp/find/DAQ Keysight BenchVueソフトウェア・プラットフォームの詳細については、下のページを参照してください。 www.keysight.co.jp/find/BenchVue Keysight E36300シリーズDC電源の詳細については、下のページを参照してください。 www.keysight.co.jp/find/E36300 温度測定の詳細については、アプリケーションノート『実用的な温度測定』をダウンロードしてください。 詳細情報:www.keysight.co.jp キーサイト・テクノロジー株式会社 本社〒192-8550東京都八王子市高倉町9-1 計測お客様窓口 受付時間 9:00-12:00 / 13:00-18:00(土・日・祭日を除く) TEL:0120-421-345 (042-656-7832) | Email:contact_japan@keysight.com www.keysight.co.jp 10 本書の情報は、予告なしに変更されることがあります。© Keysight Technologies, 2018, Published in Japan, July 24, 2018, 5992-3133JAJP