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BOM/生産管理システム 成功事例集 2022 【大塚商会】

製品カタログ

BOM管理、生産管理システムにおける5社の最新事例をご紹介!

【成功事例集 掲載内容】

■図解 ものづくりDX オフィス&工場まるごとソリューション
■事例1:BOMによる流用化・標準化設計を推進しDX基盤を確立
■事例2:生産管理のリプレースで製造リードタイムを9日間短縮
■事例3:生産管理と会計の一元化で、上場基準に対応した業務基盤を構築
■事例4:生産管理システムとBIツールの連動で生産業務の効率化・自動化
■事例5:共通部品(仕掛品)の効率的な計画生産で短納期化と原価低減

このカタログについて

ドキュメント名 BOM/生産管理システム 成功事例集 2022 【大塚商会】
ドキュメント種別 製品カタログ
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登録カテゴリ
取り扱い企業 株式会社大塚商会 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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Case Study 2022 成功事例集 2022 製造業生産管理 編      ものづくりDX p 2 図 解 オフィス&工場まるごとソリューション 製造業でのお悩みを IT・デジタル活用で解決! p 6 株式会社ワイエイシイデンコー 様 業界をリードする加熱装置メーカーがBOM (部品構成表)による流用化・標準化設計を推進 新たな事業展開につながるDX基盤を確立 p 10 株式会社水登社 様 油圧配管製造のパイオニア企業が 生産管理システムのリプレースで 製造リードタイムを9日間短縮 p 14 エブレン株式会社 様 生産管理と会計の一元化による 業務改善を継続的に実施しながら 株式上場基準に対応した業務基盤を構築 p 18 株式会社日本自動調節器製作所 様 生産管理システムとBIダッシュボードの連動で 業務の効率向上・自動化・「見える化」を図り データドリブン経営をいち早く実現 p 22 日本特殊光学樹脂株式会社 様 共通部品(仕掛品)の 効率的な計画生産で 短納期化と原価低減を目指す
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図 解 ものづくりDX オフィス&工場 まるごとソリューション 製造業でのお悩みをIT・デジタル活用で解決! 工場の“見える化”をして、 BCP 〈オフィス〉 経営判断に役立てられ ないかなぁ? 1 RPA 複合機 データセンター 人手が足りない! 6 情報系システム 棚卸しで帳簿在庫と もっと効率的に 購買・製造部門との 定型業務の自動化 ズレるけど何故? ならないの? 部品表のやり取り、 情報の整理、伝達、共有 効率的にできないかしら? 2 3 5 7 CAD 総 務 社長室 設 計 1 2 3 6 9 営 業 2 3 5 6 7 ワークフロー ドキュメント管理 スケジューラ コミュニケーション 4 6 購 買 1 2 3 6 9 2 基幹系:業務管理システム 1 2 3 6 9 保守サービス 会議室 7 生産ダッシュボード 業務効率化・生産性向上 自分の受注案件の 生産進捗状況をすぐに 1 6 9 2 3 5 7 現場のリアルタイム“見える化” ITを活用して、 把握できないかなぁ? もっと仕事をスムーズに できないかな? テレビ会議 販売 会計 人事給与 8 技術伝承・現場改善 現場作業の標準化・人材育成 3 基幹系:生産管理システム 受 注 調 達 製 造 出 荷 販 売 保 守 業種・業態に特化したシステム 〈工 場〉 働き方改革 テレワーク 勤怠管理 LED 製 造 9 クラウド業務アプリ 作業実績の報告が 工程間の進捗が 見えるようにならない 5 思いのまま気軽に情報共有 すごく面倒!! 間違いも多いし… かなぁ? 4 BOM管理システム 8 10 標準化設計・生産連携 10 タブレット現場帳票 記録・報告をタブレット入力 製造業で同業他社の 作業基準書が紙だけだと、 品質管理 修理・サービス IT活用方法を参考にして、 導入した生産設備の 技術ノウハウが 管理業務を効率化したい 効果測定をしたい うまく伝わらない… 1 6 9 10 1 6 9 10 設備の日次・月次点検を 5 IoT してるけど、故障前に 予兆をとらえたい 製造現場データの可視化 生産管理 生産技術 品質を確保するため、仕様の変更点や、 久しぶりに受注が入った品目、 初めての品目は、品質管理側でも 1 3 5 6 9 10 5 8 9 10 能動的に捉えたいな 2 3
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図 解 ものづくりDX オフィス&工場まるごとソリュー ション 1 RPA 定期的かつ単純な転記作業やシステム間のデータ受け渡しなどは、 6 情報系システム ワークフロー ドキュメント管理 定型業務の自動化 自動操作でRPAに代行してもらいましょう! 情報の整理、伝達、共有 「帳票の電子化」だけでなく、申請フォームに承 「複合機連携」による紙文書の電子化、高度な 認ルートや運用ルールを埋め込んだ「簡単ルー 「検索機能」でのナレッジ発掘、「セキュリティ機 製造業でのRPA活用例 ・ 品質管理 ト管理」で「内部統制」に対応した業務プロセス 能」による印刷や持ち出しの制御など、ナレッ ・ EDI受注/納期回答/納期遅延管理 ・ 金型メンテナンス通知 の標準化を支援するワークフローシステムです。 ジの体系化と安全な文書共有を実現します。 ・ 生産計画準備 ・ 設備保全 スケジューラ コミュニケーション ・ 発注納期確認/納期遅延督促 ・ 実績集計業務 など ワークフロー ドキュメント管理 スケジューラ コミュニケーション 日々のスケジュール管理だけでなく、「会議開催調 セキュリティを考慮した情報の伝達や情報を周 整」「行動予定」「施設予約」など、スケジュール登録 知させるための機能をご提供。社内のコミュニ と連動してさまざまな業務活動をサポートします。 ケーションの活性化を実現します。 2 基幹系:業務管理システム 販 売 会 計 人事給与 業務効率化・生産性向上 売り上げ・売り掛けから仕入 高度な分析機能と数多くの 人事管理から定型の給与計 7 生産ダッシュボード 設備メンテナンス 生産・稼働モニタリング 設備稼働モニタリング 品質管理・分析 れ・買い掛け、在庫管理まで 管理機能をラインアップし、 算業務までをフルサポート。 の全般をカバー。マスターや 財務会計から管理会計まで 自由項目を利用した独自の 現場のリアルタイム“見える化” 伝票に独自項目の追加や、 を幅広くサポート。スピー 人事情報や、履歴情報を管 各種実績の集計・オリジナル ディーで正確な伝票処理、柔 理することで、人事異動の判 帳票の作成・多角的なデー 軟なデータの分析と有効活 断材料などにご活用いただ 販売 会計 人事給与 タ分析などが行えます。 用を実現します。 けます。 IoTデジタルサイネージに最適! さまざまなデータソースに 直接接続し、リクエストに合わせて集計結果をダイナミックに リアルタイムに情報更新 可視化。専門知識を必要としない直感的に使える操作性。 3 基幹系:生産管理システム 生産革新ファミリー 「生産管理ソフト」導入シェア1位 業種・業態に特化したパッケージシステム (年商500億円未満の企業<複数回答可>) (他社と同率1位) 8 技術伝承・現場改善 技術継承 作業手順書 ・ 製販一気通貫型生産管理システム「 生産革新 Fu-jin」 部品構成表管理システム 出典:「2020年版 中堅・中小企業の ムダ取り ITアプリケーション利用実績と評価レポート」 ・ ハイブリッド型生産管理システム「 生産革新 Raijin」 (ノークリサーチ) 現場作業の標準化・人材育成 標準化 ・ 繰返・量産型生産管理システム「 生産革新 Ryu-jin」 多品種小ロット生産向け 計測 動画 ハイブリッド型生産管理システム クラウド型 生産販売管理システム ・ 配合型生産管理システム「 生産革新 Blendjin」 効果測定 マニュアル 作成 ・ クラウド型生産販売管理システム「 生産革新 Wun-jin」 作業工程改善 動画マニュアル 製造現場の働き方改革と人手不足解消に! ・ 個別受注機械装置業向け生産管理システム 製販一気通貫型生産管理システム 作業効率化・生産性の向上・作業分析・工程改善・スキル継 技術伝承 各種 「TECHS-S」 繰返・量産加工型生産管理システム 配合型生産管理システム 承を支援する現場改善ツール 教育 帳票類 ・ 個別受注型部品加工業向け生産管理システム 作成 「TECHS-BK」 組立業 加工業 装置業 9 クラウド業務アプリ 営業部門 開発・設計部門 4 BOM管理システム 思いのまま気軽に情報共有 標準化設計・生産連携 営業支援 営業日報 顧客管理 案件管理 工数管理 進捗管理 ・ 部品構成表管理システム「 生産革新 Bom-jin」 製造部門 サポート部門 Excelや紙で我慢していたあの業務を改善! kintoneは、自分たちが利用したいシステムをノンプログラミ ングで作成できるクラウドサービスです。手軽に導入するこ ▶ 流用化・標準化設計をサポートし、「生産革新Raijin」との双方向連携が可能。 QC活動管理 改善要望管理 ヒヤリハット 改善提案箱 問合わせ管理 FAQ とができます。 5 IoT 生産管理システム「生産革新 Ryu-jin」 10 タブレット現場帳票 i-Reporterなら ・ 集計してくれる! 製造現場データの可視化 タブレット 記録・報告をタブレット入力 ・ 記入がカンタン! 入力 データ取込 ・ Excelも出力! 管理システム ・ 残業が短縮! 装置連動 現場での使いやすさを徹底追求した、シムトップス「i-Reporter」 ・ 漏れ、ミスがゼロに! 製造現場の情報をリアルタイムに収集、“見える化”し、経営の実現を データ抽出 とは、現場で作成している報告書など紙帳票を、iPadなどタ ・ 紙の保管スペースが不要に! 支援。タブレットのみでの運用のほか、「装置連動」では、生産実績 ブレットに取り込み、電子帳票化、データ化、ペーパーレス化 i-Reporter ※既設装置の制御シーケンスを改造 日報データベース ・ 管理システムへデータ転送も! (数量・時間) だけでなく、温度などのアナログ情報の取得も可能。  することなく、製造実績を取得可能 できる、業務の効率化を改善するツールです。 報告書 4 5 繰返受注 個別受注
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CASE STUDY BOMと3D CADの連携で部品手配漏れを防止 株式会社ワイエイシイデンコー 株式会社ワイエイシイデンコー 株式会社9Times 業界をリードする加熱装置メーカーがBOM 業務の標準化 遠赤外線ヒーター技術で業界を 次なる成長を目指すという新ビジョンを描き出している。  青木氏は「復興事業を推進するため、同じワイエイシイグ 生産性向上対策 背 景 リードする加熱装置メーカー (部品構成表)による流用化・標準化設計を推進 ループで加熱装置を製造するYAC国際電熱株式会社(以下、  株式会社ワイエイシイデンコー(以下、ワイエイシイデン YAC国際電熱)を吸収合併しました。原点に立ち戻り、時代 新たな事業展開につながるDX基盤を確立 コー)は、遠赤外線ヒーター技術で業界をリードする加熱装 が求めるエネルギー効率の良い加熱装置作りに注力する一 置メーカーである。1961年に国際熱処理工業株式会社として 方で、新規事業では今まで挑戦できなかった市場にも果敢に 設立後、電気ヒーターを熱源とする各種金属の熱処理炉の製 チャレンジしていきます」と抱負を語った。 造・販売事業を開始した。現在は、FPD(フラットパネルディス プレイ)製造用加熱装置が売り上げの大部分を占めており、ス 設計データ流用化の仕組みとして マートフォンやタブレット端末、TV用加熱装置の需要が高い。 経 緯 『生産革新 Bom-jin』を導入  ワイエイシイデンコーは2009年、大塚商会のコンサルティ ングの下、部品構成表管理システム『生産革新 Bom-jin』を導 入。その最大の狙いは標準原価の大きな割合を占めている 導入システム 代表取締役社長 ・ 部品構成表管理システム FPD事業部長 設計コストの抑制にあった。 『生産革新 Bom-jin』 青木 康浩氏  同社が製造する加熱装置は「一品一様」の受注生産品であ り、設計者は受注時の仕様に応じて、その都度設計を行って いる。しかし完成品の仕様は一品一様でも、それを構成する 部品には共用できるものも多い。それにもかかわらず、各設 計者が同じような部品を毎回一から設計しており、過大な人 件費やリードタイムの長期化をもたらしていた。また、製品ご 株式会社ワイエイシイデンコーは、長年にわたり設計コストの削減、流用化・標準化による原価低減を目的  供給先が国外へと広がる中、事業のグローバル化に対応 とに属人化した業務は、設計ミスのフィードバックやナレッジ に部品構成表(BOM)管理システムによる設計業務の標準化を推進。設計資産の流用化や業務の属人化回 する経営基盤を確保するため、2012年には技術開発型企業 の共有化を図るうえでも課題となっていた。 避、3D CADとの連携による部品の手配漏れ防止など、DX基盤となるBOMを確立している。 グループ、ワイエイシイホールディングスの傘下に入った。創  そこで、同社は各設計者が手掛けた部品などの設計データ 立60周年を迎える2021年には、開発・研究部 部長であった を全社で共有・流用できるようにする仕組みとして、『生産革 導入の狙い 解決策 青木 康浩氏が代表取締役社長に就任。「究極の赤外線加熱 新 Bom-jin』の導入を決定したのである。 設計データの流用・標準化を推進し、業務 部品構成表管理システムを導入し、業務の 技術とあらゆる加熱手法を駆使し、クリーンで効率の良い熱  『生産革新 Bom-jin』最大の特長は、「品目台帳」によって設 プラットフォームを確立したい 標準化を図る 源を顧客に提供する」を新たなミッションに掲げた。 計資産の管理、有効活用を可能とし、BOM構築を支援する点 アナログチェックにより発生していた部品 3D CADと『生産革新 Bom-jin』を連携する  さらに、FPD(フラットパネルディスプレイ)関連を中心とす である。ワイエイシイデンコーは、これをベースに部品設計の の手配漏れをなくしたい ことで、CADデータと部品構成表との差異 をなくす る「既存事業」、創業以来手掛けてきた製品群を補強する「復 流用化と標準化を進め、標準原価の低減を図ろうと試みた。 興事業」、全く新しい製品を生み出す「新規事業」の3本柱で、  とはいえ、トップダウンでスタートした経緯もあり、当初は 導入したメリット ● 共通のプラットフォームで吸収合併や ● データ連携で手配漏れがなくなり 新規事業発足時もスムーズに運用 下流工程での業務効率がアップ 既存事業 吸収合併企業の 事業 新規事業 1製品当たりの手配漏れ NEW ゼロ 流用化・標準化設計プラットフォーム 10件 業界屈指の加熱装置メーカーであるワイエイシイデンコー。FPD(フラットパネルディスプ 『生産革新 Bom-jin』の利用シーン。3D CADデータを自動でひも付け、構成差異を自動で レイ)を中軸に電子部品や自動車部品など、多様な分野で熱処理技術を提供している 検知するため、人的な見落としがなくなった 6 7
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株式会社ワイエイシイデンコー 図1『 生産革新 Bom-jin』と3D CADを連携 長の廣瀬 治行氏は、「従来は1製品当たり10件程度あった部 品の手配漏れがなくなり、短納期の実現に結び付きました。 Before 標準部品を全て3Dモデル化するのは大きな負担でしたが、 ファーネス事業部 大塚商会さんがしっかりサポートしてくれたおかげで、結果 生産技術部 技術課 2D 設計データ 『生産革新 Bom-jin』 ・ 確認作業が煩雑で効率が良くない リーダー 的に半年ほどで完了しました」と振り返る。 河西 啓至氏 目視確認 部品構成表 ・ 人的ミスによる手配漏れが発生 作成 ・ 検図にかける時間が十分にとれない ・ 製品の納期が遅れてしまうことも FPD事業部 生産技術部 After 機械設計課 課長 廣瀬 治行氏 3D 設計データ 『生産革新 Bom-jin』 ・ 設計データとの構成差異を自動で確認  青木氏は、「業務標準化のためのプラットフォームが整っ ・ 部品手配漏れがゼロに たことで、吸収合併した業務や新規事業の展開を進めやすく データ連携 ・ 製造工程での業務が効率アップ なったことはDXにほかなりません。この基盤を用いて、世の ・ 納品までの時間が短縮された 中のDXを実現する製品作りを目指していきたい」と語る。  実際に、従来は手作業で行っていた3D CADデータと『生産 革新 Bom-jin』の品番とのひも付けを自動化させるなど、日々  「設計段階で部品の全てを3D CAD化することは設計者に の業務改善は一歩ずつ進んでいる。それによって、標準原価 設計の現場から大きな反発を受けることになった。受注生産 できないかと考えたのです」と語るのは、アドテック事業部 生 とっては一時的には負担かもしれませんが、結果、製造とい のさらなる低減や短納期化、品質向上といった効果が既存、 品を手掛ける設計者にとっては、仕様に応じて部品を設計す 産技術部 生産技術課 チーフの宮﨑 友道氏である。 う下流工程での業務効率向上に結び付いていることを、効果 復興、新規全ての事業に広がり、会社全体としての成長に結 るのは当たり前であり、「設計の標準化」という考え方そのも として実感しています」(青木氏) び付くことを同社は期待している。 のがなじまなかったからだ。  最後に青木氏は、「『生産革新 Bom-jin』を導入したのは10  しかし、実際に進めれば設計者もそのメリットに気付いてく 効果と 自社業務のDX基盤が整ったことで 年以上も前ですが、その間、大塚商会さんの担当者は一度も れるはずという考えをぶらさず、設計の標準化に向けたルー アドテック事業部 展 望 世の中のDXに役立つ製品を開発 変わることなく、過去の経緯も踏まえながら的確なアドバイス 生産技術部 ルを作成して『生産革新 Bom-jin』の活用を促した。『生産革 生産技術課 チーフ をしてくれています。これからも、当社の事情や目標に沿った 新 Bom-jin』は、設計業務の進め方そのものを標準化する仕 宮﨑 友道氏  この3D CADと『生産革新 Bom-jin』をひも付けた部品手配 役立つご提案を期待しています」と語った。 組みを備えており、使い続けることによって自然とルールに の仕組みは、既存事業、復興事業、新規事業の全てで活用さ のっとった業務が定着していった。 れている。前述のように復興事業は吸収合併したYAC国際電 株式会社ワイエイシイデンコー  導入から10年以上が経過した今では、流用できる設計デー 熱がその一翼を担っているが、同社の設計者たちは合併と同 業種 機械製造業 タは最大限に利用し、より核心的な設計に注力して顧客ニー 時に『生産革新 Bom-jin』を使った設計業務の標準化に従う 事業内容 ズに応えようとする意識が社内に根付いているという。 ことになったという。 フラットパネルディスプレイ用熱処理 装置、電子部品用加熱装置、自動車  同社では従来、2D CADで部品を設計し、出来上がった設  元YAC国際電熱の社員で、現在は復興事業を担当する 用熱処理装置、遠赤外線ヒーターお BOMと3D CADを連携 計図を見ながら部品構成表を作成して部品を手配するという ファーネス事業部 生産技術部 技術課 リーダーの河西 啓至 よび応用機器の設計・製造・販売 ポイント 従業員数 部品の手配漏れがゼロに 作業を行っていた。しかし、このようなアナログのやり方では 氏は、「既に『生産革新 Bom-jin』を使った標準化ルールが 85名(2021年7月時点) どうしても人的ミスによる見落としが発生してしまい、手配漏 しっかり出来上がっていたので、新しいやり方にもスムーズ ホームページ https://www.yac-denko.co.jp/ 2021年7月取材  設計業務のさらなる効率向上を目指したワイエイシイデン れによって製品の納期が遅れることも珍しくなかった。 に移行できました」と語る。 コーは2020年、『生産革新 Bom-jin』と3D CADを連携させる  そこで、約7万点に及ぶネジなどの標準部品を全て3D CAD という新たな試みに挑んだ(図1)。 でモデリングし、『生産革新 Bom-jin』の品番に一つ一つ割り  そもそも同社が3D CADを導入したことには、干渉チェック 当てるという作業を行った。これによって、ネジ1本にいたる などの効率を向上し、リードタイムの短縮や品質向上を実現 標準部品の全てが部品構成表とひも付けられ、漏れなく部品 大塚商会担当者 「十数年にわたる活用がDX基盤構築を実現した好事例です」 からのコメント 株式会社ワイエイシイデンコー様は、設計の標準化に限らず、さまざまな業務や事業を改革し、DXを推進しています。 させるという狙いがあった。「目標はある程度果たせたので を手配できる仕組みが整えられた。 今後もその実現に役立つソリューションを積極的にご提案します。 すが、納期に大きく影響する部品の手配漏れも防げるように  その効果についてFPD事業部 生産技術部 機械設計課 課 8 9
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CASE STUDY 生産工程の可視化で製造業におけるDX基盤を構築 株式会株式会社水登社 株式会社水登社 社9Times 油圧配管製造のパイオニア企業が 業務の効率向上 国内外に拠点を展開し  背   景生産工程の可視化  建機メーカーのニーズに対応する 生産管理システムのリプレースで 客観的な人事評価  株式会社水登社(以下、水登社)は、建設機械用の油圧配管 製造リードタイムを9日間短縮 加工・組み立てを軸に、発電所ガスタービン周り配管、トンネ ル掘削機用の油圧制御装置などを製造するものづくり企業で ある。その歴史は古く、1938年に代表取締役社長 平井 大介 氏の祖父である登氏が三菱重工業神戸造船所の協力工場と して創業した平井工作所がルーツ。以来80年以上にわたり、 水配管、船舶用配管、建設機械用油圧配管と、時代の変遷に 油圧配管加工を中心に事業を展開する株式会社水登社。建設機械メーカーからのさまざ まなニーズに応えるため、国内外に複数の工場を構える 応じて用途は変わっても、一貫して配管加工を中軸として事 業を展開してきた。現在は兵庫県神戸市西区の神戸ハイテク まだまだ多いと平井氏は語る。その一つが、工場での作業当 パークに本社を構え、国内5工場と物流センター、中国・無錫 日の朝までにその日の作業完了時間が把握できる環境の実 工場と常州工場、フィリピン工場という体制で、国内外の建設 現だった。 導入システム ・ 『システム企画支援サービス』 機械メーカーからのニーズにフレキシブルに応えている。  「当社の場合、主要顧客からの受注は基本的に2週間先の ・ ハイブリッド型生産管理システム 納品を見越して行われています。ところが実際の製造現場で 『生産革新 Raijin』 ・ 生産スケジューラ は、定時を過ぎても作業完了の時間が見えないという状態が 『FLEXSCHE』 続いていました。これでは、現場の作業員たちは日々のプライ 代表取締役社長 ベート時間を確保できません。こうした状況を何としても変え 平井 大介氏 たいと思いました。また生産工程の不透明さは、本当に必要 な残業なのかどうかの判断を難しくするなど、経営という観 建設機械の油圧配管の加工・組み立てを手掛ける株式会社水登社。生産工程を可視化するため、同社は 点でも大きな課題です。生産管理システムの移行に当たり、こ 生産スケジューラと一人一台のタブレット端末による工程管理システムを構築。生産性向上を図るととも の課題を確実に解決することが一番のポイントでした」 に、従業員一人一人の貢献を人事評価に確実に反映する仕組みづくりに取り組んでいる。  平井氏の要望を受け、システム刷新の実務を担当したのが 事務業務改善室 業務部 業務課 生産管理G・購買G 係長(情 導入の狙い 解決策 報システム管理責任者)の桂 貴志氏だった。本来の業務の一 生産工程を細かく「見える化」し、生産性を 第三者によるRFP作成で客観的に課題を洗  その一方で、近年積極的に推進しているのが事業の多角化 方でシステム刷新プロジェクトを進めるという厳しい状況の 向上させたい い出す だ。「最大顧客である建設機械メーカーとの取引は、現在でも 中、桂氏が選んだのは、大塚商会に課題の洗い出しから提案 日々の作業量や完了時間を把握できるよう 生産スケジューラで生産工程を可視化 グループ連結売上の約4割を占めています。ありがたいお話で 依頼書(RFP)作成までを委託するという選択肢だった。 にしたい 一人一台のタブレット端末で、生産工程を すが、建設機械は景気の影響を受けやすい市場ということも  「以前の生産管理システムでも、作業量を可視化し作業時 現場判断の作業順序が、後工程の待ち時間 時間単位で管理 や過剰な仕掛につながっている あり、この状態では景気変動の直撃を避けられません。そこで、 間を予測することはある程度可能でした。しかし抜本的な改 航空機リース事業や機械設備・プラント設備のエンジニアリン 革には、システムに加えて使い手の意識も改めて見直す必要 グ事業、道路をはじめとする設備維持管理業などを通し、ど 導入したメリット れかの事業が一時的に沈んでもほかが支える全天候型経営 事務業務改善室 業務部 業務課 ● 生産工程が可視化され ● 作業指示状況が一目で確認でき への移行に積極的に取り組んでいるところです」(平井氏) 生産管理G・購買G 係長 業務効率が大幅向上 現場対応力がアップ (情報システム管理責任者) 桂 貴志氏 製造のリードタイム 特急案件への対応スピード向上 作業完了時間が予測できる体制を目指し  経   緯 客観的に業務課題を洗い出す 9日 短縮  同社の経営理念は「全従業員とその家族の物心両面の幸 14日 5日 せの追求」。多角化経営による雇用の安定化もその一つだ が、物心両面の幸せを追求するうえで、取り組むべき課題は 10 11
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株式会社水登社 があります。そこで、信頼できる第三者の視点で、当社の業務 『FLEXSCHE』に登録された作業工程の都度、終了報告を行う 図1『 生産革新 Raijin』と『FLEXSCHE』の連携システムによるメリット のどこに課題があり、何を改善していくべきなのか診断して 体制を構築したことも注目すべきポイントである。「作業員が Before After もらう必要があると考え、大塚商会さんの『システム企画支援 モニター 朝出勤し、社員番号等をiPadに入力すると当日のタスクが優 毎日の作業の 生産工程が 製造の サービス』の利用を決断しました」(桂氏) 先度順に表示されます。その順序に従い、作業を行うというの 完了時間が 属人化 リードタイムが 分からない している 9日間短縮! が新システムの基本的な考え方です。またタスク終了後は画 FLEXSCHE システムに合わせて今の業務を見直し 面上の終了ボタンを押すだけで、その報告がスケジューラ側 後工程の  ポ イン ト プライベートの 特急案件への 現場判断が  スケジューラ連携で生産順序を徹底 にフィードバックされます。それにより、これまでは困難だった 待ち時間や 予定が立て 対応速度が なくなった結果 過剰な仕掛が 作業状況のリアルタイムな把握が可能になりました」(桂氏) られない 早くなった! 仕掛が減少! 発生  水登社は大塚商会が主導する形で2016年2~4月にかけ、  『生産革新 Raijin』の導入は、基本的にカスタマイズを行わ 週1、2回のペースで部門単位のヒアリングを実施。複数回の ず、業務をシステムに合わせる形で行われた。製造業のノウ 本当に その日の 現場の 正しい レビューを経て、提案依頼書(RFP)の内容を固めていった。 ハウが蓄積されたパッケージシステムに備わる標準機能に 必要な残業か 作業予定が 作業進捗が 人事評価の 分からない 一目で分かる 「見える化」 基盤を構築  「ヒアリングは、製造、生産管理、原価管理、在庫管理、物流 合わせ自社の工程を見直すことは、今回のシステム刷新の狙 iPad などの部門ごとに、それぞれの課題を洗い出し、改善策を探 いの一つだったと桂氏は語る。 るという流れで行いました。部門単位のヒアリングは要望が 先立ってしまうという懸念もありますが、大塚商会さんの担当 者が弊社社長平井の要望を念頭に、上手にその場を誘導して くれたことで、とても生産的な内容になりました」(桂氏) 示し、その進捗(しんちょく)状況がリアルタイムで把握できる ているのは、貢献度に基づく客観的な人事評価の実現です。 ようになったことは大きな効果といえます」(桂氏) 生産スケジューラは、標準作業時間よりどれだけ早く作業を 複数社の提案から『生産革新 Raijin』を  また、当初から3カ年計画で進められてきた改革の第一の 終えられたか把握することが可能です。これまでのように長 中軸にしたソリューションを採用 狙いであった作業の完了時間予測についても、ある程度のめ 時間働けば手当が増えるというのではなく、現場作業員が創  RFPに基づく複数社の提案から同社が選定したのは、大塚 どが立っているという。「現場の判断で生産順序を変更するこ 意工夫をして作業時間を短縮し、それが正しく評価される仕 商会が提案した『生産革新Raijin』を中核にしたソリューショ とは今もゼロではありませんが、生産指示の改善に生産管理 組みを実現することが、3カ年計画の最終目標であり、弊社の ンだった。その第一のポイントは、指示に基づく生産順序を と現場がタッグを組んで取り組むことで、ようやくゴールが見 目指すDXです」(平井氏) 徹底するため、時間単位で工程を可視化する生産スケジュー 作業員一人一人に配布されたiPadには、当日のタスクが優先順に表示される。作業完了 えたというのが現時点の状況です。その先の課題として考え  その取り組みを平井氏は、「Raijinに魂を込める」という言葉 後は終了ボタンを押すことでスケジューラにフィードバック ラ『FLEXSCHE』を連携した点にあった。一般的な生産管理 で表現する。どれだけ優れたシステムでも、あくまで仕組みに パッケージは1日を単位に工程を管理する。それは現場の裁 すぎない。それをどう運用するかは、使い手次第。「魂を込める」 量で製造工程を前後させる余地を生み、結果として作業の 効果と 生産管理システムの活用で という一言は、その関係性を端的に表しているといえそうだ。 完了時間が見えない状況にもつながっていた。新システムで  展  望 人の価値を高めるDXを推進 は、その弊害を回避するため『FLEXSCHE』による作業順序の 管理が図られることになった。  新システムの本稼働は2018年5月。それから3年が過ぎた 株式会社水登社  また、製造現場の作業員に一人一台のiPadを配布し、 今、生産現場の可視化は当初からの課題であった残業削減 業種 機械製造業 事業内容 に加え、筋肉質な会社経営への転換という観点でも大きな成 建設機械用油圧配管の製作、各種建 果につながっている(図1)。その一つが製造リードタイムの短 設機械部品の組立 従業員数 縮である。これまで1日単位で行ってきた工程管理を、設備ご 209名(2021年6月現在) とに時間単位で行えるようになったことで、移行後は製造リー ホームページ 『FLEXSCHE』のデータを本社の『生産革新 Raijin』に取り込み、生産進捗をリアルタイムに http://www.suitousha.com/ 2021年5月取材 ドタイムが14日間から5日間へと短縮された。また、作業指 把握することが可能 示状況が一目で確認できるようになったことで、指示の見直 しも容易になり、特急案件にもスムーズに対応できるように なったことも大きなポイントだ。営業においても、マスター登 「RFPの策定からソリューションの提案まで行います」 録の段階で製作可否がすぐに判断できるため、得意先への提 大塚商会担当者 株式会社水登社様は、生産スケジューラを中心としたシステム構築で、生産工程の可視化と大幅な製造リードタイ 案力が向上したという。「これまで生産管理の仕事は図面を からのコメント ム短縮など、さまざまな効果を上げられました。今後も同社の目指すDXの実現に向け、コンサルティングから製品提 作業現場には大型のモニターを設置。『FLEXSCHE』で徹底管理された生産スケジュール 案まで、トータルにサポートします。 を表示している 出力しそれを製造現場に渡す程度でしたから、作業順序を指 12 13
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CASE STUDY 生産管理の効率と信頼性の向上を実現 株式エブレン株式会社 エブレン株式会社 会社9Times 生産管理と会計の一元化による 業務効率の向上 多種多様な分野で利用される 背 景コスト削減 産業用電子機器の専門メーカー 業務改善を継続的に実施しながら テレワーク対策  エブレン株式会社(以下、エブレン)は、1973年に設立され 株式上場基準に対応した業務基盤を構築 た産業用電子機器や工業用コンピューターの専門メーカー で、2023年10月に設立50周年の節目を迎える。東京都八王 子市の本社・八王子事業所を中心に、入間(埼玉)、大阪、上野 (東京)、中国蘇州に生産拠点があり、主に産業用電子機器 の中核を担うバックプレーン(回路基板)と、電子機器を格納 するシステムシャシーの受注生産で事業を拡大。その事業領 域は、通信・放送、電子応用、計測・制御、交通関係、防衛な ど多岐にわたる。  2020年6月にはJASDAQに上場。コロナ禍で半導体不足が 深刻化するなど大きな社会的変化に直面したが、多種多様 導入システム ・ ハイブリッド型生産管理システム な分野で事業を広範囲に展開することで安定した売り上げを 『生産革新 Raijin』 維持している。 ・ 基幹業務システム 『SMILE 会計/人事給与』 エブレンが製造するバックプレーンやシステムシャシーの一例。顧客の要望に合わせ、そ ・ 開発ツール のほとんどは個別受注生産だ 『SMILE Custom AP Builder』 ・ ネットワークサービス で異なる品番で登録されていた。その結果、全社で部品情報 取締役 『どこでもコネクトライン:クローズド網タイプ』 経営企画部 部長 を共有できず、無駄な在庫を抱えてしまうケースがあった。ま 上村 和人氏 た、工程ごとの負荷状況を把握できないため、効率の良い生 エブレン株式会社は、産業用電子機器や工業用コンピューターの専門メーカーで、2020年6月にJASDAQ 産体制が確立できないという課題を抱えていた。 に上場。その業務基盤を支えているのが、生産管理システム『生産革新 Raijin』だ。生産管理と会計の一元  経営企画部 経営企画課 課長の神田 淳司氏は「一番大き 化による業務改善を実現し、テレワークにも即応できるセキュアな業務基盤をいち早く構築している。 な課題は、生産管理と会計システムが分かれていたことです。 生産管理のデータをCSVファイルにいったん吐き出してから 導入の狙い 解決策 会計システムに取り込んでいたので、データの整合性を確認 生産管理と会計システムを一元管理し、業 生産管理と会計システムを一元化するERP する検証作業にかなりの時間がかかっていました」と当時を 務効率を改善したい パッケージシステムを導入  取締役 経営企画部 部長の上村 和人氏は「当社の特長は、 振り返る。 生産拠点ごとの業務負荷を可視化し、軽減 通信インフラを含めたセキュアな業務基盤 あらゆる分野の新たなニーズに対応できる技術力を有して したい を整備 いることです。例えば、コロナ禍で医療機関の設備投資が減 株式上場を視野に入れた、信頼性の高い 業務基盤を整備したい 少し、MRIなどの高額な医療機器の分野は痛手を受けまし た。その一方で、半導体製造装置の分野の売り上げは伸びて 経営企画部 経営企画課 課長 います。業種によって浮き沈みはあるものの、全方位でビジネ 神田 淳司氏 導入したメリット スを展開することで、会社全体として業績が安定していること ● ワンクリックの仕訳連携で ● ERPシステムと通信インフラの が大きな強みです」と語る。 月次決算の作成時間が短縮 信頼性が大幅に向上 通信インフラを含めた 株式上場準備 テレワーク対応 経 緯 セキュアな業務基盤を整備 標準機 3~4日 5~6日  エブレンは、株式上場を視野に入れながら2014年ごろから  そこで、旧システムのサポート終了を機に、生産管理シス 生産管理システムの再構築に着手した。以前のシステムは、 テムを刷新するプロジェクトを立ち上げた。経営企画部でRFP 生産拠点ごとに個別に運用していたので、同じ部品が各拠点 (提案依頼書)を作成し、ITベンダー9社に提案を依頼。その 14 15
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エブレン株式会社 貸し出し、各拠点とWeb会議で密接に連携を図った。 図1 ERPと通信インフラ整備が、上場時の審査でも信頼性を発揮  「ITベンダー任せにせず、生産現場と一緒に現状の課題を 洗い出し、それを改善するために創意工夫を重ねることが大 SMILE 会計 IPO審査でシステムの信頼性が評価され /人事給与 どこでもコネクト 生産と会計 信頼性の高い スムーズな上場を実現 切です。その技術的なサポートをしてくれたのが大塚商会さ データが連携 ネットワーク インフラ 2020年6月 んです。まさに、内外の関係者が一丸となって新システムを作 JASDAQ上場 り上げたのです」(上村氏) 生産革新 Raijin  例えば、社内で課題管理表を作成し、それぞれの課題が新 各拠点の ADによる 業務負荷が システム導入に向けて解消されたかどうかを随時確認しなが セキュアな認証 軽減 ら作業を進めていったという。 半世紀にわたって培われたエブレンの高い技術は、通信・放送、電子応用、計測・制御、交  「生産現場の担当者が自分たちの言葉で日々の課題を書き 通関係、防衛など、幅広い分野に活用されている 留め、その課題を確実に解消していくことでモチベーション 中から最終的に大塚商会をITパートナーに選定し、通信イン がおのずと高まり、プロジェクトの一体感が生まれました」(神  「新システムを導入した最も顕著な効果は、生産管理と会  「当社は、大手の取引先が多いため、サプライチェーンの品 フラを含めた生産管理基盤を整えた。 田氏) 計業務が一体化したことです。クリック一つで仕訳連携ができ 質管理の一環として、社内システムの信頼性に関するアンケー  具体的には、繰返と個別生産に対応したハイブリッド型生 るため、以前は5~6日かかっていた月次決算の作成が3~4 ト調査を要求されるケースがよくあります。新システムのおか 産管理システム『生産革新 Raijin』と『SMILE 会計/人事給 開発ツール『CAB』で生産現場の意見を反映 日で完了するようになり、データの信頼性が格段にアップしま げで、ほぼ全てのチェック項目で満点回答することができ、取 与』を導入。開発ツール『SMILE Custom AP Builde(r CAB)』も  神田氏は、生産現場の細かな課題を解決する手段として、 した。そのうえ、CABを使ってさまざまなデータを瞬時に集計 引先との信頼性の強化に大いに役立っています」(上村氏) 併せて導入し、社内で柔軟に帳票の作り込みが行える環境を 開発ツール『CAB』を積極的に活用している。 して分析できるので、とても重宝しています」(上村氏)  また『どこでもコネクトライン』は、コロナ禍のテレワークで 整備。さらに、大塚商会のネットワークサービス『どこでもコ  「新システムの利点の一つは、『CAB』を活用することで、自  新システムは、社員の業務改善に対する意識向上にも大き も効果を発揮。自宅からセキュアなデータセンターを経由し ネクトライン:クローズド網タイプ』を導入することで、社外か 分たちで集計項目などを自由に設定できることです。例えば く寄与している。製品マスターに工程別の作業時間を登録し、 て社内のシステムにアクセスできるため、新たな設備投資を らも安全かつ快適に社内システムへアクセスできる業務基盤 生産現場から、こういう情報がほしいと言われた場合は、新 実際の作業時間と照らし合わせて日々業務改善を実践。例え することなく、テレワーク導入の際に即座に対応できた。 を構築した。 たな項目を追加することで瞬時に検索・表示されます。その ば、本来1時間で終わる作業が3時間かかっていた場合には、  今後は、2022年1月に改正される電子帳簿保存法への対  「大塚商会さんのシステムを選定したポイントは、生産管理 ため、大掛かりなカスタマイズを一切することなく、生産現場 その原因を調査し、問題点を洗い出して解決策を導き出して 応が課題だという。それにより、契約書や請求書など企業間 と会計システムを一元管理することで生産拠点の業務負担が の意見をシステムに反映させることができます」(神田氏) いる。新システムの運用を通じて、このような業務改善の取り 取引において交わされる文書の電子化が進展し、業務効率 軽減されることです。そのうえで、通信インフラやセキュリティ 組みが社内に浸透し、生産工程のコストダウンに結び付いて がより一層向上する見通しだ。 を含めた幅広い提案をしてくれたので、安心してお任せする いる。 ことができました」(神田氏) 株式上場が円滑に進み 各拠点の生産現場と一体となって コロナ禍のテレワークでも効果を発揮 ポイント 新システムで従来の課題を解消  新システムは、2020年6月にJASDAQに上場した際にも重 要な役割を果たした(図1)。『生産革新 Raijin』と『SMILE 会 エブレン株式会社  新システムは、八王子、入間、大阪の3拠点同時並行で導入 計/人事給与』は、ほかの上場企業でも導入されている実 業種 産業用機械製造業 事業内容 準備を進め、その後、上野の生産拠点にも導入し、生産管理 績がある。さらにAD(アクティブディレクトリー)による認証や 産業用電子機器、工業用コンピュー と会計システムの一元化を図った。 『どこでもコネクトライン』によるセキュアなネットワーク基盤 ターの設計・製造 『生産革新 Raijin』の利用シーン。複数拠点のデータが一元管理できるほか、会計とのシー 従業員数  「当時、拠点任せとなっていた品目マスターの登録件数が ムレスな連携を実現している が構築されていることも大きなポイントだ。そのため、IPO審 112名(2021年3月現在) 約1万件あったので、そのマスターの見直しや整備に少なか 査の際にはシステムの信頼性などが評価され、円滑な上場を ホームページ https://ebrain.co.jp/ 2021年10月取材 らず時間を要しました。しかし、大塚商会の担当者が2週間 効果と クリック一つで仕訳連携を実現し 実現している。 に1回のペースで社内の打ち合わせに参加し、きめ細かくサ 展 望 月次決算の作成時間が大幅に短縮 ポートしてくれたので、そこまで苦労することなくスムーズに 導入できました」(上村氏)  新システムの構築により、生産管理業務の標準化を実現。  その一方で、社内では拠点ごとに新システムの導入責任者 そのため、もともと別会社であり、M&Aで統合した上野の生 大塚商会担当者 「お客様との定例会を通じて業務改善を継続的にご支援します」 からのコメント ITシステムを導入して終わりではなく、今後もお客様と定例会を実施し、ITライフサイクルに即した最新の情報をご提 を選定。各拠点が経営企画部と一体となって導入準備を進め 産拠点に追加導入した際も、標準化されたシステムをそのま 供します。それにより、お客様の課題を解決する業務改善を継続的にサポートします。 ていった。その際、大塚商会が簡易的なテレビ会議ツールを ま移行するだけで即座に運用できる環境が整った。 16 17
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CASE STUDY 業務効率の向上とデータに基づく経営を実現 株式会社日本自動調節器製作所 株式会社日本自動調節器製作所 株式会社9Times の変化に対応するための業務改革や新規事業の展開に人員 生産管理システムとBIダッシュボードの連動で 業務効率の向上 万全な品質管理で顧客満足度を 背 景データドリブン経営 高める工業用バルブの専門メーカー や時間を割くことがなかなかできなかった。 業務の効率向上・自動化・「見える化」を図り  そうした中、現在の経営企画室 室長の中川 逸斗(はやと)  株式会社日本自動調節器製作所(以下、日本自動調節器製 氏が2017年に入社。前職で経営コンサルティング業務などを データドリブン経営をいち早く実現 作所)は、大阪府大東市に本社を構える工業用バルブの専門 行ってきた経験を生かし、現状を把握するための経営分析を メーカーだ。発電プラント・石油プラント、タンカーなどで使 実施した。そのうえで、中期経営計画を策定し、ITを活用した 用されるバタフライ弁を主とした各種自動調節弁を受注生産 業務改革に本格的に取り組むことになった。 し、それに付随するアフターサービスや部品類の販売も行っ  「業務改革に取り組むに当たり、『業務の属人化』『二重入 ている。顧客の仕様に合わせてあらゆる弁種に対応できるノ 力・二重チェック等の不要な業務』『手動による発注などの ウハウと生産一貫性を有していることが大きな強みで、これ ルーティン業務による付加価値向上業務の構成比の低さ』 までに数万種類の弁種を設計・生産してきた実績がある。 『納期遵守率および納期に対する意識の低さ』『受入業務の  安全面で欠かせない「バルブ」という製品を取り扱っている 手入力による実際在庫と理論在庫の乖離(かいり)』『紙によ ため品質力は極めて高く、特に加工技術においては、さまざ る集計作業』など、非効率な業務が全体の30%を占めている まな工作機械と熟練者によるノウハウを社内で保持。全数検 ことが分かりました。紙ベースで運用しているが故に、生産 導入システム ・ ハイブリッド型生産管理システム 査はもちろん、熟練者が納入先に出向いて製品メンテナンス 改善のためのデータ活用が行えず、データドリブンな経営・ 『生産革新 Raijin SMILE V』 を実施するなど、品質保証の一貫したバリューチェーンを実 業務運用ができていなかったのです」(中川氏) ・ アプリケーション開発ツール 『SMILE V Custom AP Builde(r CAB)』 現している。 ・ BIダッシュボード『MotionBoard』  代表取締役社長の藤野 忠氏は「バルブは配管の間に取り 個別生産と標準生産に対応した ・ 現場記録・報告・閲覧ソリューション 『ConMas i-Reporter』 付けて流体を制御する重要な部品です。当社は、お客様の用 ハイブリッドシステムを導入 ・ AI自動翻訳『T-4OO』 途に応じて一品一様のものづくりを実践しています。現在は、  そこで、課題解決の中心施策として生産管理システムのリ カーボンニュートラル(脱炭素社会)が世界的な潮流になり プレースに着手。中川氏が、とあるベンダーに相談したとこ 工業用バルブの専門メーカーとしてのノウハウを生かし、顧客の仕様に合わせた各種自動調節弁を受注生産 つつありますが、その中でお客様の新たなニーズを吸い上げ ろ、個別生産と標準生産に対応したハイブリッドシステムであ している株式会社日本自動調節器製作所。生産管理システムの刷新に着手し、業務の効率向上・自動化・「見 て、バルブの開発・製造に磨きをかけていきます」と語る。 れば、『生産革新 Raijin SMILE V』が最適だと推奨されたとい える化」をBIダッシュボードとの連動で実現。データドリブンな意思決定が行える経営基盤を早期に構築した。 う。その後、大塚商会に直接連絡して導入へと至った。  「当社は、受注生産だけでなく標準品の生産も行っている 導入の狙い 解決策 ので、まさに自社のスタイルに最適なシステムでした。その 業務効率を高めて労働生産性を向上させ 最適なシステムを導入・活用し業務効率を うえで、大塚商会さんは、自社製品のメリットだけでなく、デ たい 改善 代表取締役社長 メリットもきちんと伝えてくれたので信頼できると確信しまし 生産的な仕事に従事できる人材を増やし BIツールとの連動でデータドリブン経営を 藤野 忠氏 た。きめ細かなヒアリングによって、当社の業務内容や業務フ たい 支援 ローを深く理解してもらえたことも大きな選定理由の一つで データドリブン経営を実現したい す」(中川氏)  またシステム構築に際しては、アプリケーション開発ツール 導入したメリット 『SMILE V Custom AP Builde(r CAB)』を活用することで、社 内でカスタマイズできる領域が広いことも決め手となった。 ● 紙ベースの集計業務が ● 5人工の固定費(3,000万円相当) 40%減少 の削減を実現 二重入力などの無駄や 経 緯二重入力・ 必要なデータが 事務処理に追われる 紙ベースの集計業務を一掃 従来の業務フローを抜本的に見直し ポイント二重チェック 自動生成 生産的な データドリブンな経営基盤を構築 仕事に  日本自動調節器製作所は、ものづくりに対するこだわりや 標準機 人材をシフト 58% 品質に対する誠実さでは極めて強みがあるものの、IT活用で  新システムの構築に当たり、中川氏は各部署から現場作業 はやや後れを取っていた。これまでは、受注から設計・生産に に詳しい若手メンバーを選出し、プロジェクトチームを発足。 至る社内のさまざまな指示を基本的に紙ベースで伝達。各部 各部署の課題や要望を細かい部分までヒアリングしたうえで 門の社員は、非効率的なルーティン業務に追われ、事業環境 RFP(提案依頼書)を作成した。その際、既存の業務フローを 18 19
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株式会社日本自動調節器製作所 図1 日本自動調節器製作所が実施したデータドリブン経営に必要なシステム構築 Before After オーダーシステム パッケージシステム システム開発環境 特定業務の効率向上、度重なるカスタマイズ 全社業務の統合、サポート品質の均一化・標準化 特定の個人や部署の効率化(ボトムアップ) 全社的な効率化・最適化(トップダウン) システム構築の観点 個人のやりたいことが中心なので、全体の整合性が 最適解としての新たな業務フローに合わせたシステム 取りにくい 部分的 全面的 『生産革新 Raijin』と『MotionBoard』を連動して全てのバリューチェーンを可視化。過去と 『生産革新 Raijin』はオフィスだけではなく工場内からもタブレットで入力することで、手書 現在だけでなくこの先の予測数値までを表示させている き作業の無駄をなくしリアルタイムな数値の把握を実現している データの連携 一部の帳票でデータ連携されていないため、 受注データをほとんどの帳票にひも付けることで、 二重入力・チェックや手書きが発生 データ処理の効率向上を図る 比較的粗い 比較的細かい 解消され、従来の紙ベースの業務が約40%削減されたという。 です。しかし、『ConMas i-Reporter』で電子帳票化すれば、そ データの粒度 細かい分析はアクセスで実施 細かい分析も新システム内で実施可能  「例えば、営業や設計部が必要な項目にデータを入力すれ の手間が一気に省けます」(中川氏) ば、部品表や購買スケジュール、工程スケジュールなどが自  また、AI自動翻訳『T-4OO』も導入し、翻訳業務の効率向上 データの更新 バッジ処理 リアルタイム処理 動で生成されます。また、以前は資材部が注文書を発行する を図っている。 際に、部品ごとに手入力していたので非常に手間と時間がか  今後の展開として、RPAの導入準備も始めている。RPAは、『生 システムに反映させるのではなく、逆に、システムの標準機能 件定義から開発・稼働フェーズに至るまで、当社の業務内 かっていました。しかし、現在は、所要量計算の結果に基づ 産革新 Raijin』とシームレスに連動させ、入力作業の自動化・省 に自社の業務フローをできる限り合わせることで抜本的な業 容を十分に理解したうえで適切なアドバイスをしていただき いて効率良く発注できます。それら各部署の施策を合算した 力化を図る。事務作業は基本的にロボットが行い、外でビジネス 務改善を図った(図1)。 ました。その結果、特に問題が生じることなく、当初のスケ 結果、全体で人員5名分の業務量削減を実現し、年間で3,000 チャンスをつかむ人材を増やし、業績を拡大することが狙いだ。  「既存業務を抜本的に見直し、データをどのように活用でき ジュールどおりに本稼働させることができました」(中川氏) 万円程度の固定費削減につながりました。その分、営業部、  「これまでのKPIは労働生産性でしたが、次のステップでは、 るかという新たな観点で業務フローや作業内容の策定を行う 資材部、生産管理課などで、より生産性の高い仕事にシフト 最終ゴールである経営KPIでROAや営業利益率、自己資本比率 ことが重要です。具体的には、既存業務を『廃止する』『整流化 2台の大型モニターでデータの『見える化』を実現 できる人材が増えています」(中川氏) など、経営財務に直結する方針・施策を打ち出していきます。 する』『標準化する』『統合化する』『自動化する』という五つの  新システムは、データドリブン経営を実現するために、BI  『MotionBoard』との連動により、納期遵守率などの数字を 今はコロナの影響もあってどの業種も大変なご時世ですが、そ 視点で新たな業務フローを描きました」(中川氏) ダッシュボード『MotionBoard』とのデータ連動を実現してい 「見える化」できるようになったことも大きな成果だ。それに んな状況だからこそ、価値のあるリスクを取り、事業拡大に向 ることも大きな特長だ。 より、社員の業務改善の意識が着実に高まっている。「社内で けて経営のかじ取りを行っていきたいと考えています。今後は、  「『生産革新 Rai j in』で自動生成される多くのデータを データの重要性が浸透し、データに基づいて業務改善に主 ものづくりのノウハウとDXの両輪で、新規事業に積極的に参 『MotionBoard』で分析し、オフィスに設置した2台の大型モニ 体的に取り組む人材が増えました。同時に、変化・変革への 入しながら業績アップにつなげていきます」(中川氏) 経営企画室 室長 ターでリアルタイムに共有しています。具体的には、限界利益率 拒否反応も少なくなりました」(中川氏) 中川 逸斗(はやと)氏 や工程別納期遵守率、残業時間、営業予算達成状況、不良率な ど、全てのバリューチェーンに関するデータを可視化しました。 品質管理の電子帳票化とRPAによるDXを推進 株式会社日本自動調節器製作所 業種 工業用バルブ製造業 一般的に中小企業ディスアドバンテージとされるデータを駆使  さらに、現場記録・報告・閲覧ソリューション『ConMas 事業内容 した意思決定が迅速に行える環境を整えています」(中川氏) i-Reporter』を導入。『生産革新 Raijin』のデータと連携させて 流体を制御する各種自動調節弁の 製造・販売。それに付随するアフター 品質保証帳票類のデジタル管理に活用していく考えだ。 サービスや部品類の販売。 効果と 非効率な業務が約40%削減  「現在、品質保証に関する紙の資料は全て棚に収納してい 従業員数 150名(2021年12月現在) 2021年12月取材 展 望 より生産性の高い仕事に注力 ますが、その数が膨大なので必要な資料を探すだけで一苦労  全部署が使用するシステムの画面イメージを業務フローに 基づき作成し、プロジェクトメンバーと協議を重ねていった。そ  新システムを本稼働させた直後は、社員から操作に関する の結果、「この検索項目も必要ではないか?」など、各現場から 質問などが多数寄せられたが、1年が経過した現在は全社員 さまざまなアイデアが出てきたという。その意見を反映させる が日常業務で滞りなく活用できている。 大塚商会担当者 「データドリブン経営の基盤づくりをご支援します」 ことで、手戻りがほとんどないシステム構築を実現している。  最も顕著な導入効果は、非効率な業務が減少したことだ。紙 からのコメント 株式会社日本自動調節器製作所様は、単に業務の効率向上を図るだけではなく、データドリブンな意思決定を実現 するためのシステム化に取り組んでいます。今後も、お客様の業務改革を全面的に後押しします。  中川氏は、大塚商会のサポート面も高く評価している。「要 の帳票を印刷していたときの二重入力・二重チェックの無駄が 20 21
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CASE STUDY 生産計画に基づく合理的なものづくりの実現へ 日本特殊光学樹脂株式会社 日本特殊光学樹脂株式会社 株式会社9Times 共通部品(仕掛品)の 業務効率の向上 「ファクトリー&ラボ」で 手書き日報による生産管理を 背 景生産性向上対策 顧客に付加価値を提供する 経 緯 システムで一元管理したい 効率良い計画生産で コスト削減  日本特殊光学樹脂株式会社(以下、日本特殊光学樹脂)は、  2012年に代表取締役となった佐藤氏は、旧態依然とした 短納期化と原価低減を目指す フレネルレンズを中心とする特殊なプラスチックレンズの製 販売管理と生産管理の抜本的な見直しに着手。特に大きな 造会社だ。フレネルレンズとは、アクリル樹脂などのシートに 課題を感じていたのは、手書き日報による現場状況の管理で 微細な溝(プリズム)を加工することで、1枚のレンズとして機 ある。日報は、社員それぞれが生産実績や在庫状況、不良品 能させるもの。一般的なガラスレンズに比べて軽量かつ安価 の発生数といった数字を紙に記入していたが、集計や分析は で、プリズムの角度によって焦点距離を自由に変えられるの されていなかった。 が特長である。「1974年の創業以来、『本物を創る』を社是に  さらに、その日報の内容は経営者など、ひと握りの人間し 掲げ、国内有数のメーカーとして確固たる地位を築いてきま か把握しておらず、現場の社員たちは生産や在庫状況などの した」と代表取締役の佐藤 公一氏は語る。 全容をつかむことができずにいた。  「販売管理システムはかなり早い段階で導入していたので すが、伝票出力などに用いる程度で、せっかくのデータベー 導入システム ・ 繰返・量産型生産管理システム ス機能がほとんど生かせていませんでした。そこで、手書きの 代表取締役 『生産革新 Ryu-jin SMILE V』 佐藤 公一氏 日報をやめ、実績を全てシステムに入力するという方法にあ ・ 基幹業務システム 『SMILE V 販売』 らためたいと考えたのです」(佐藤氏) ・ グループウェア  もう一つ、佐藤氏が改善を図りたいと考えたのが金型の管 『サイボウズ Office』 ・ タブレット端末 理である。フレネルレンズを成形するための金型は約2,000 『Surface』 種類以上にも上るが、どの金型がどこに保管されているのか きちんと管理されておらず、注文を受けてから探し出すのに プラスチックレンズのパイオニア企業である日本特殊光学樹脂株式会社。同社は非効率だった受注ベー 時間がかかっていた。そうした無駄を極力省くため、販売管 スのものづくりから合理的な計画生産へと移行するため、繰返・量産型生産管理システム『生産革新 Ryu- 理だけでなく、生産管理も最新鋭のシステムによって合理化 jin』を刷新。必要な共通部品を一定量確保し、短納期と原価率低減を実現させる取り組みを進めている。  精度の高いフレネルレンズを作るには、精巧な金型作り、 を図ることにしたのである。 金型の形状を忠実にプラスチックに転写する技術、大型レン 導入の狙い 解決策 ズの製造にも対応できる卓越した加工技術の三つが要求さ 工程を切り分けて管理できる点を評価 生産計画に基づく合理的なものづくりを実 『生産革新 Ryu-jin』を導入し、共通部品(仕 れる。日本特殊光学樹脂は、創業当初からこれらの技術に磨  同社は、複数のベンダーが提案するシステムを検討し、そ 現したい 掛品)の効率良い見込み生産と製品(完成 きを掛け、他社にまねのできない強みとしてきた。 の中から、大塚商会の繰返・量産型生産管理システム『生産 手書き日報による現場報告をデータベース 品)の顧客ニーズに基づく受注生産に対応  しかし、その強さにあぐらをかくことなく、新たなニーズに 革新 Ryu-jin』を選定した。佐藤氏は『生産革新 Ryu-jin』の選 化したい した生産管理を確立する 受注から生産までの工程を「見える化」し、 グループウェアの導入で受注状況や生産計 対応すべく研さんを重ねている。「従来フレネルレンズは、カ 定理由について「当社のものづくりに適合した運用が可能で 業務効率を改善したい 画を現場で共有する メラの視野レンズやストロボ、プロジェクターなどに使われて あることが大きな決め手になりました」と説明する。 きましたが、最近ではヘッドマウントディスプレイやLED照明、  同社のフレネルレンズ製造には、大きく分けると原料を成 センシング装置など、用途の幅が広がっています。それに合 形して共通部品(仕掛品)を作る上流工程と、共通部品を外形 導入したメリット わせて、より薄く、より精度の高いレンズが求められるように 加工して製品(完成品)に仕上げる下流工程の二つがある。 ● 手書き日報をデータベース化し ● 生産計画に基づく なっています」(佐藤氏) 『生産革新 Ryu-jin』であれば、二つの工程それぞれに対して 製造品質や業務効率が改善 効率良いものづくりを実現  そうした中、同社は2020年11月、NTTドコモが開発した超 適切な生産管理ができる点を高く評価したのである。 製造品質向上 機械稼働率UP 短納期の実現 原価率DOWN 広視野角VRゴーグルの製造・販売に関するライセンス契約を 結んだ。時代の最先端を行くVRの分野でも、同社のプラスチッ 短納期と原価低減のため クレンズが高く評価されたのである。佐藤氏は「単なるメー ポイント 『生産革新 Ryu-jin』を選定 カーではなく、ニーズに応じて今までにないレンズ作りに果 敢に挑戦する『ファクトリー&ラボ』として、今後もお客様に付  なぜ、上流工程と下流工程を切り分けて生産管理を行う必 加価値を提供していきたい」と語る。 要があったのか。その理由について、佐藤氏は「共通部品を 22 23
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日本特殊光学樹脂株式会社 図1 日本特殊光学樹脂株式会社の新たな販売・生産管理システム構成図 本社 工場 受注入力 出荷指示伝票発行 複合機で スキャン 自社作成のバッチファイルを 受注データ出力 利用して自動連携 受注データ取り込み GlobalScanで 日本特殊光学樹脂は、大塚商会から『Surface』を現場社員に一人一台導入。『サイボウズ 平置きでも見やすく折り曲げて使える現品票のレイアウトや、出荷指示票に重量を記載す 受注情報とひも付け Office』による金型台帳の確認やコミュニケーション促進に役立てている る欄を設けるなど、『SMILE V』の自由帳票機能もフル活用 サイボウズ 成形・加工・検査・ Office 梱包(こんぽう)の状況等 のも大きな効果です」と技術部部長 兼 工場長の佐藤 章志氏 業務フローを可視化し、無駄をなくす取り組みを推進 は語る。  日本特殊光学樹脂は2019年、『生産革新 Ryu-jin SMILE V』 本社と工場で共有 進捗(しんちょく)状況入力 受注情報  工場全体の稼働能力も正確に把握できるようになり、量産 にバージョンアップ。これを機に、同社はシステムの活用をさ Surface 進捗情報 注文で適切な見積りが出せるようになった。生産管理システ らに推し進めようとしている。 出荷指示情報 ムの導入は、日本特殊光学樹脂の競争力強化に着実に結び  関谷氏は「生産実績などをシステムに入力するという習慣 付いているようだ。 は根付きましたが、共通部品を生産計画に基づいて用意して 受注ベースではなく、生産計画に基づいて製造する体制に変  なお同社は、『サイボウズ Office』を使って、懸案であった おくという当初の目的は、残念ながらまだ定着していません。 えたかったからです」と説明する。 金型管理の強化も実現した。金型のスペックや使用履歴、保 今回のシステムバージョンアップを機に本格的に取り組んで  従来、日本特殊光学樹脂では、注文を受けるたびに必要量 技術開発センター長 管場所などを一覧化した金型台帳を作り、注文に応じて必要 いきたい」と語る。 関谷 忠明氏 の共通部品を製造していた。しかし、製品は異なっても同じ な金型をスピーディーに使用できる体制を整えている。  佐藤代表取締役は、今後の計画として「受注から出荷まで 共通部品を使用する場合は、複数の注文分をまとめて製造し  さらに現場の社員に一人一台ずつ、大塚商会からタブレッ の業務フローを可視化して、無駄な作業をなくし、自動化す た方が製造原価は抑えられる。また、生産計画に基づいてあ ト端末『Surface』を導入。以前は現場に設置していた一台の る取り組みを進めていきたいです。こちらにも、引き続き大塚 らかじめ共通部品を一定量確保しておけば、注文を受けてか PCを共有して順番に確認していたが、その待ち時間がなくな 商会さんのコンサルティング、サポートを期待しています」と らすぐに加工できるため納期短縮も同時に実現する。 り、より効率の良い業務が実現している。 展望を語った。  これらの点から、二つの工程を別々に管理できる『生産革 新 Ryu-jin』の導入が望ましいと判断したのだ。 日本特殊光学樹脂株式会社  こうして、2015年6月に本格運用がスタート。グループウェ 業種 製造業 技術部部長 兼 工場長 プロジェクトのキックオフで社員の理解が深まる ア『サイボウズ Office』も追加導入し、受注情報と生産スケ 佐藤 章志氏 事業内容 フレネルレンズ、レンチキュラーレン  『生産革新 Ryu-jin』と販売管理システム『SMILE 販売管理』 ジュールが現場に通知されるよう連携させた(図1)。 ズ、平面プリズム、リニアフレネルレン を導入した日本特殊光学樹脂は、2013年9月から活用のため ズ、フライアイレンズ、導光板、非球面 レンズなど、プラスチック製光学部品 のプロジェクトをスタートさせた。 効果と 不良品の傾向が「見える化」 の製造・販売  それまで紙の日報に記入していた生産実績や金型・機械の 展 望 機械ごとの稼働率も把握可能に 従業員数 29名(2021年12月現在) 利用状況、不良品の発生数などをPCに入力してもらい、デー ホームページ タベース化していくためのプロジェクトである。  システム化による効果は、さまざまな場面で表れている。 https://www.ntkj.co.jp/ 2021年12月取材  「PCを触ったこともない社員からは抵抗もありましたが、 まず、不良品の件数や傾向が「見える化」されたことが大き キックオフの際に全社員を集めて説明したおかげで、手書き い。『サイボウズ Office』の掲示板に、不良品の傾向をまとめた の日報をデータ化したらどんなメリットがあるのか理解して 「品質月報」を掲載し、社員全員で共有することで歩留まり率 もらえたと思います」と佐藤氏とともにプロジェクトをリード が改善し、品質向上の足掛かりとなっている。 大塚商会担当者 「業務フローの最適化をご支援します」 からのコメント 日本特殊光学樹脂株式会社様は現在、業務フローを可視化して無駄な作業を省き、自動化を進める取り組みを行っ した技術開発センター長の関谷 忠明氏は語る。  「機械ごとの稼働率を毎週報告するようにしたことで現場を ています。当社としても、マルチベンダーの強みを生かし全面的にご支援します。 『見える化』し、無駄な稼働を防ぐことができるようになった 24 25
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大塚商会は「 実 稼 働 主 義 」を掲げ追求する、 生産管理・部品構成表管理システムソリューション 製造業に特化した専門組織「製造SP」 組立業・加工業・装置業などの業種・業態に特化した自社開発パッケージシステム が、 「生産革新ファミリー」や、IoTなどの製造業向けシステムを多数ご用意しています。 中堅・中小製造業のIT活用をサポート 組立業向け 製販一気通貫型生産管理システム 加工業向け 繰返・量産加工型生産管理システム します 生産革新 Fu-jin 生産革新 Ryu-jin 販売管理と一体化された組立業向け生産管理システ 多品種少量ロット生産から少品種大量ロット生産まで ムです。製販一気通貫によるデータ連携により、製造 繰り返し生産型の製造業をトータルにサポートする生 と営業の部門間連携を強化し、企業体質の強化や販売 産管理システムです。内示・フォーキャスト・確定受注 力の強化が図れます。 など生産計画に基づく生産の管理に最適です。 ▼構成マスター保守 ▼製番別進捗照会 ▼品番別基準生産計画 ▼品番工順マスター Family 部品構成表管理システム 多品種小ロット生産向け ハイブリッド型生産管理システム クラウド型 生産販売管理システム 組立業向け ハイブリッド型生産管理システム 加工業向け 多品種小ロット生産向け 生産革新 Raijin クラウド型生産販売管理システム 標準品の量産と、個別品の個別受注生産の両方に対 生産革新 Wun-jin 応しているハイブリッド型生産管理システムです。設 販売管理をベースに工程管理や製造指図書発行など 計~製造~販売の一気通貫によるコスト削減、納期短 が行える、カンタン&シンプルなオールインワンパッ 縮、生産効率の向上を実現します。 ケージのクラウド型システムです。クラウド利用で初期 製販一気通貫型生産管理システム ▼個別部品表作成処理 ▼原価集計グラフ出力例 ▼日程調整処理 ▼工程負荷状況照会 費用を抑えることによって、 これまでシステム導入が難し 繰返・量産加工型生産管理システム 配合型生産管理システム かった小規模加工業様もす ぐにご利用いただけます。 組立業 加工業 装置業 組立業向け 部品構成表管理システム 配合業向け 配合型生産管理システム 「本稼働させること」にゴールを置くのではなく、「システム導入時の目的・目標を達成すること」に こだわり、そのために策定した運用計画を実行することで、その効果につなげる「実稼働」を目指す 生産革新 Bom-jin 生産革新 Blendjin 生産管理とのデータ連携を重視し、設計技術部門の図 化学製品製造、原材料製造業向け生産管理システムで サポートを常にご提供していく。それが大塚商会の「実稼働主義」です。 面・技術情報などの設計資産を「品目台帳」で管理。部 す。配合表(レシピ)での手配管理やロットトレース機能 門内の設計ルールを統一して標準化と流用化を実現 など、在庫・品質管理強化を図り、多段階配合にも対応 お客様の抱える問題・課題を見極め、ITを活用した新しい仕組み(イノベーション)をお客様とともに します。 しています。 実現していきます。 ▼構成編集 ▼マルチビュー ▼配合マスター保守 ▼生産予定表 製造SPが実稼働までを全力でサポート フィッティング マスター 運用 並行稼働 コンサルティング シミュレーション シミュレーション (移行) 実稼働 組立業向け 個別受注型 機械製造業向け 加工業向け 個別受注型部品加工業向け パッケージの持つ標準業務 貴社の代表製品のサンプ 貴社の代表製品の 新旧システムにて 新システム移行 生産管理システム 生産管理システム 事 フローをもとに新業務フ ルデータをマスターに設定 サンプルデータを データを投入する 後、定例会を重ね 前 ローを策定し、GAP事項へ し、それぞれの設定した結 使い、新業務フ 打 概 並行稼働を行い、 当初目的の実現状 ご ち 算 契 の対策整理・移行計画を策 果の検証を実施し、方針を ローに沿って、受 データ比較・運用 況把握と対策を進 保守 合 提 約 定します。 決定します。 注からの一連の業 検証を実施します。 め、「実稼働報告 サポート わ 案 会」にて実稼働を フェーズ 運 用 G 移 ※プログラム製造 務手順の検証を行 機械製造業(個別受注生産)向けに開発された個別 単品加工部品、ASSY部品を個別にて小ロット生産 原価把握を目的とした生産管理システム。受注/購 を行っている加工業向けの生産管理システム。受 せ フィッティングコンサルティ います。 共有します。 計 A 行 画 P 計 ング時に発生した要件のう 買/原価管理はもちろん、予算や部品表、作業実績 注・購買・原価はもちろん、ハンディーターミナルで ち、貴社の目的遂行に必須 策 精 画 管理も可能。仕掛途中での原価把握も可能です。 の進捗管理も可能。 策 事項となるカスタマイズの 定 査 定 みを行います。 IoT/MES実績収集システム NEW パッケージシステムの ※既設装置の制御シーケンスを改造することなく、製造実績を取得可能 キ 現 パ 新 持つあるべき姿の標準 課 報 ッ 状 ッ 業 題 業務フローと新業務フ ( 移 告 導 導 ク 業 ケ ー 務 行 会 入 生産革新 Ryu-jin 連携版 用 G 計 ( 「製造SP」は、製造業のお客様の課題解決 ローを比較・検証しな 入 オ 務 ジ 運 目 フ の シ フ A 画 共 プ のための専門チーム。製造業に特化した がら、貴社における新 ロ P システム「生産革新」と大塚商会の「総合 的 会 概 ス テ の 要 ム ー ) の 有 ロ 立 ) セ の の の 力」を駆使し、お客様のIT活用を総合的に 製造現場の情報をリアルタイムに収集、見える 業務フローを策定して 実 把 の ス いきます。 化し、データに基づいた最適な経営の実現をサ 施 策 抽 案 実 握 理 へ サポート。人手不足、長時間労働、売り上 解 定 出 施 げの伸び悩みなど、数々の課題解決のお ポートするシステム。既設装置を改造することな 手伝いをします。 く、生産実績データや温度など生産プロセスに 関わるアナログ情報の取得も可能です。 繰返受注 個別受注
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大塚商会の全てのITソリューションを結集。 製造業のお客様の 未来を輝かせる 発 信 型 サ イ ト生産管理NAVI 製造業のお客様の課題を一気通貫で解決し、全ての製造業を成功へと導く使いやすいシステムをご紹介します。 さらに、仕事を効率化するために有益な情報を多数発信し、ビジネスの発展をサポートします。 イベント情報 大塚商会が全国で年間数百 回開催するイベント・セミナーの最新情 報を掲載。最新の製品やノウハウが得ら れ、ITシステムや製品の検討ができるイ ベントに、ぜひご参加ください。 製品紹介 生産革新ファミリーを中心に、 さまざまな生産管理ソリューションを分 かりやすくご紹介しています。 導入事例 豊富な導入成功事例を紹介。 多くの困難を克服してIT導入に成功した 事例を参考に、お客様の課題解決を実現 します。 コラム 製造業の現場を知り、企業体 質改善法を的確にアドバイスするコラム や、ちょっと視点を変えてのユニークな 課題解決提案をするコラムなど、企業発 展のヒントが得られます。 毎月開催中! Webで受講できる 生産管理オンラインセミナー 生産管理NAVIへは、 生産管理システム検討・選定・導入のポイントを パソコン・タブレット・ ご紹介。導入企業様が生出演するセミナーもご スマートフォンからも ざいます。 簡単に! いつでも見られる! オンデマンド配信サービス実施中! 生産管理ナビ 検 索 ※事例中に記載の肩書や数値、固有名詞などは取材当時のものであり、配布される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。 ※会社名、製品名などは、各社または各団体の商標もしくは登録商標です。 ※このカタログの内容は、予告なく変更することがあります。 ※このカタログに記載されている内容は、2022年3月現在のものです。 Copyright©2022 OTSUKA CORPORATION All Rights Reserved. HAS-EXP193-2203-1000