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Automation as a Service で、生産機能を使い、変え続ける
・自動化は、「設備を入れたら終わり」ではない
・Automation as a Service とは何か
・AaaS は何をサービス化するのか
・AaaS を支える実行アーキテクチャ
・AI エージェントは自動化をどう変えるのか
・構成要素は、もう目の前まで来ている
・国内展示に見る AaaS の先行例
このカタログについて
| ドキュメント名 | 工場の競争力は、自動化を変え続ける力で決まる |
|---|---|
| ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
| ファイルサイズ | 1.7Mb |
| 登録カテゴリ | |
| 取り扱い企業 | 新エフエイコム株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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工場の競争力は、
自動化を変え続ける力で
決まる
Automation as a Service で、
生産機能を使い、変え続ける
https://itfactory.s-facom.jp/
IT Factory White Paper No.2 1
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目次
エグゼクティブサマリー
1. 自動化は、「設備を入れたら終わり」ではない
2. Automation as a Service とは何か
3. AaaS は何をサービス化するのか
4. AaaS を支える実行アーキテクチャ
5. AI エージェントは自動化をどう変えるのか
6. 構成要素は、もう目の前まで来ている
7. 国内展示に見る AaaS の先行例
8. まとめ:自動化を「買う」から「変えられる」へ
IT Factory White Paper No.2 2
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エグゼクティブサマリー
工場の自動化は、「設備を導入したら終わり」ではありません。
品種が変われば、検査条件が変わります。部品の供給方法が変われば、搬送の順
序が変わります。新しい製品をつくるなら、設備の動作だけでなく、設備同士の連
携、データの扱い、品質判定、保守方法まで変えなければなりません。
ところが、従来の自動化は、設備、PLC、ロボット、検査装置、搬送システムを
個別の導入プロジェクトとして構築することが多く、変更のたびに個別改修、現地
調整、再試験が必要になります。生産システムは動く。だが、簡単には変えられな
い。ここに、現在のものづくりが抱える大きな課題があります。
工場の競争力は、自動化を変え続ける力で決まります。
Automation as a Service(AaaS)とは、工場の自動化機能を、サービスとして継
続利用する考え方です。検査、搬送、制御、把持、位置決めなどの機能を、必要な
ときに組み合わせ、更新し、別ライン・別工場へ展開できる可能性を広げます。
AaaS の価値は、設備を月額で借りることでも、導入後の保守を外部化することで
もありません。導入前の機器選定、設計、設定、配線、仕様・図面・データの準備
から、導入時の立ち上げ、導入後の更新、保守、データ活用、専門知識、変更管理
までを、ひとつながりのサービスとして扱えることにあります。自動化の価値は、
設備の性能や導入価格だけでなく、導入のしやすさ、工場が変化に対応する速度、
機能を再利用する能力、改善を続ける力で評価されるように変わります。[1]
さらに、Software-defined Automation によって自動化機能と実行ハードウェア
を分離できれば、特定のハードウェアベンダーだけでなく、特定の型式や機器その
ものに縛られにくくなります。ソフトウェアの更新やプログラムの改修が必要にな
っても、生産機能を引き継ぎやすくなります。これも、AaaSが利用者にもたらす重
要な選択肢です。
これは、映像コンテンツを買い切って再生する方式から、クラウドサービスとし
て視聴する Video on Demand(VoD)への変化に似ています。利用者は、モニター
とネット接続機器を揃えたあとは、コンテンツの選択、配信、更新、履歴管理を含
む利用環境を受け取ります。AaaSでは同じ発想を自動化に当てはめ、機器とソフト
ウェア一式をそろえて使い始めるまでの負担と、使い始めた後に管理し続ける負担
を軽くします。機器を一式そろえたあとは、制御ソフトウェアの選択、利用、更
新、履歴管理を含む利用環境をサービスとして受け取ることになるのです。
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AaaS がもたらすのは、設備の所有方法の変更ではなく、生産機能を使い始め、組
み替え、更新し、広げていくまでの時間と負荷を変えることです。
その実現を支えるのが、Software-defined Automation、Virtual PLC、Cloud
PLC、Edge、情報モデル、運用サービスです。AI エージェントは、目標や制約に合
う自動化サービスを検索し、構成し、検証し、承認された範囲で配備・監視する上
位機能として位置づけられます。
AaaS という統合された市場定義は、まだ確立していません。しかし、その構成要
素は、標準、製品、産業プロジェクト、展示の中にすでに現れています。以下で
は、AaaSがものづくりにもたらし得るインパクトを整理し、終盤で 2023 年以降の
国内展示事例として、新エフエイコムの「外観検査 as a Service」と「部品物流 as a
Service」を取り上げます。
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1. 自動化は、「設備を入れたら終わり」ではない
生産システムは動く。だが、簡単には変えられない。
月曜日、製造する品種が変わりました。検査条件、部品の供給順序、ロボットの
把持位置、作業者の画面を変更しなければなりません。火曜日には品質判定のルー
ルが変わり、水曜日には部品の供給方法が変わり、木曜日には制御ソフトウェアの
更新が予定されています。
設備は故障していません。生産ラインも止まっていません。それでも、工場は簡
単には変えられません。
検査装置の設定、PLCのプログラム、ロボットの動作、WCSや上位アプリのデー
タ、設備間のタイミング、安全確認を、一つずつ調整し、試験し、現場で立ち会う
必要があります。作業が異なるベンダー、異なるツール、異なる担当者に分かれて
いれば、変更はさらに重くなります。
工場が支払っているのは、設備を動かすための費用だけではありません。自動化
を変更するための調整時間、専門人材、再試験、停止リスク、保守契約、データ連
携の費用も支払っています。導入時には見えにくかった負担が、運用期間中に積み
上がります。
生産活動上の課題
n 変更のたびに、個別改修が始まる
多品種少量生産では、品種変更は例外対応ではなく、日常業務です。しかし、制
御プログラム、検査アプリ、ロボット、搬送設定、上位システムのデータ定義が設
備ごとに分かれていると、一つの変更が複数の改修に広がります。
検査条件を変えるだけのつもりでも、搬送タイミングに影響します。搬送順序を
変えるだけのつもりでも、ロボットの待機位置やインターロックに影響します。変
更のたびに、対象を特定し、設定を変え、設備間のデータとタイミングを確認し、
品質・安全・復旧条件を試験しなければなりません。
n 自動化が、再利用・更新・人材の資産にならない
あるラインで実現した検査や搬送を、別ライン・別工場へ展開したくても、設備
構成、PLC、通信方式、データ名、ロボット、カメラ、安全条件の違いが個別設計を
呼び込みます。標準化のためにつくった仕組みが、工場ごとの例外処理に変わり、
企業全体の生産能力として蓄積されにくくなります。
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更新も同じです。脆弱性対応やOS・ランタイム更新は必要ですが、制御ロジッ
ク、通信、検査判定、安全機能、復旧手順を確認しなければなりません。更新でき
ない自動化は古くなり、更新する自動化は毎回リスクを負います。さらに、設備固
有の設定を一人の担当者が抱えていれば、異動・退職によって「動くが、変えられ
ない」状態が生まれます。
n 設備が増えるほど、選択肢が減る
専用 I/O、専用通信、専用ライブラリ、専用ツール、専用の保守技能は、合理的
な選択として導入されます。しかし、積み重なると、別のベンダーや機器へ移行す
るための再設計、再試験、安全再認証、教育、停止リスクが発生します。
これは、ハードウェアベンダーへの依存だけではありません。特定の型式、世
代、機器構成に依存すると、調達困難や老朽化が起きたとき、生産機能まで作り直
すことになります。設備を所有していても、変更の自由を失うことがあるのです。
n 稼働率だけでは、変化対応力を測れない
設備が止まっていないことは重要です。しかし、工場の競争力には、次の問いも
含まれます。
• 新品種を立ち上げるまで何日かかるか
• 検査条件を変更するまで何時間かかるか
• 新しい機能を別ラインへ展開するまで何週間かかるか
• 更新を安全に実行し、失敗から復旧できるか
• 専門人材が不在でも、診断・復旧できるか
需要の変動、製品の短命化、人手不足、サプライチェーンの変化に対応するに
は、設備の稼働率だけでなく、自動化を変更する速度が重要になります。
自動化を、生産機能として捉え直す
ここまでの課題は、個別の設備が悪いという話ではありません。従来の設備導入
モデルが、導入時点の性能、価格、納期を中心に最適化されてきたということで
す。
工場の競争力は、設備を買った瞬間だけで決まりません。どれだけ早く変えられ
るか、どれだけ再利用できるか、どれだけ安全に更新できるか、どれだけ少ない専
門人材で運用できるかによって差がつきます。
検査する。運ぶ。把持する。位置決めする。判定する。設備を連携させる。これ
らを、必要なときに使い、更新し、別の場所へ展開できる生産機能として提供でき
ないか。
この問いから、Automation as a Service という考え方が始まります。
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2. Automation as a Service とは何か
AaaSの価値は、導入前から始まる
AaaS を導入後の更新・保守サービスとしてだけ捉えると、価値の半分を見落とし
ます。自動化では、実際に機器を動かす前にも、制御機器を選び、構成を決め、設
定し、配線し、プログラム・図面・取扱説明書を管理し、データを保存・連携する
ための準備があります。これらの前後工程が重いほど、機能を使い始めるまでの時
間と社内調整が増えます。
製造の前後工程を軽くするという価値は、映像コンテンツの VoD化を考えると理
解しやすくなります。利用者は、モニターとネット接続機器を揃えたあとは、コン
テンツの選択、配信、更新、履歴管理を含む利用環境を受け取ります。AaaSでは同
じ発想を自動化に当てはめ、機器とソフトウェア一式をそろえて使い始めるまでの
負担と、使い始めた後に管理し続ける負担を軽くします。機器を一式そろえたあと
は、制御ソフトウェアの選択、利用、更新、履歴管理を含む利用環境をサービスと
して受け取ることになるのです。
このようにAaaSは、導入前から導入時、導入後までの仕事の流れを変え、自動
化機能を使い始めるまでの摩擦を減らします。そのうえで、使い始めた機能を更新
し、別の工程や工場へ展開し、変化に合わせて使い続けます。AaaSは、この一連の
生産活動を支える提供モデルです。
段階 従来の負担になりやすい仕事 AaaS が目指す変化
機器選定、制御構成、設定・ 利用する機能を起点に構成
導入前 配線、仕様・図面・データ準 し、必要な準備をサービス側
備 と分担する
導入時 現地調整、設備間連携、立ち 検証済みの機能・構成を使
上げ、再試験 い、立ち上げの不確実性を減
らす
導入後 保守、更新、脆弱性対応、デ 監視・更新・専門知識・変更
ータ管理、変更改修 管理を継続的に利用する
もちろん、AaaSがすべての作業を自動的に不要にするわけではありません。安全
確認、現場条件の確認、最終的な品質責任、設備固有の作業は残ります。重要なの
は、ユーザーが毎回すべてを個別に抱え込むのではなく、どの仕事をサービスとし
て任せ、どの責任を現場に残すかを設計できることです。
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また、Software-defined Automation によって制御機能をソフトウェアとして定
義し、実行環境から分離できれば、ハードウェアの変化にも対応しやすくなりま
す。これは、特定のハードウェアベンダーに縛られにくくするだけではありませ
ん。特定の型式、世代、機器構成そのものに縛られにくくする価値でもあります。
機器の入れ替えが必要になったとき、機能の再設計から始めるのではなく、機器差
分を吸収して同じ生産機能を継続できる可能性が広がります。ただし、実際の移行
可能性は、標準インターフェース、アプリ移植性、性能、安全、契約条件の設計に
左右されます。
AaaSが可能にすること
AaaS とは、工場の自動化機能を、サービスとして継続利用する考え方です。
AaaS のインパクトは、設備の所有形態を変えることだけではありません。従来は
個別設備プロジェクトとして扱われやすかった活動を、継続的なサービスとして扱
える可能性があります。
n 自動化機能を、設備購入の単位から切り出して利用する
必要なのは、必ずしも新しい設備一式ではありません。必要な工程に、検査機
能、搬送機能、把持機能、制御機能を追加したいという要求かもしれません。
AaaS では、機器の型式ではなく、工程で必要な機能をサービスの単位として捉え
ます。機器は顧客が所有する場合も、提供者が用意する場合もあります。重要なの
は、顧客が機器そのものではなく、定義された機能を利用できることです。
この考え方は、導入前の判断も変えます。最初から設備一式を固定するのではな
く、「どの生産機能を、いつ、どの品質・速度・安全条件で使いたいか」を起点
に、必要な機器と実行環境を組み合わせます。機器の選定・設定・配線・保守を含
む準備の一部をサービス側と分担できれば、新しい自動化を試すまでの時間と社内
負荷を抑えられます。
n 品種・工程の変更に合わせて、自動化を組み替える
自動化機能がソフトウェアとして定義され、設備能力や制約条件が記述されてい
れば、変更時に利用可能な機能を検索し、構成し、検証するという流れをつくれま
す。
これは、変更が自動的に終わるという意味ではありません。安全確認、人の承
認、現場試験は必要です。ただし、毎回ゼロから作り直すのではなく、再利用可能
な機能と検証手順を積み上げることができます。
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n 一つの工場で作った自動化を、別ライン・別工場へ展開する
設備の違いをすべてなくすことはできません。しかし、機能の目的、入力、出
力、制約、状態、データの意味を標準化できれば、差分を管理しながら横展開する
可能性が広がります。
n 導入後も、ソフトウェアと専門知識を取り込む
自動化を導入して終わりにせず、監視、診断、更新、脆弱性対応、遠隔支援、改
善提案を継続的に受けます。これにより、工場内だけでは確保しにくい専門性を、
必要なときに利用する考え方が可能になります。
n ベンダーを変える選択肢を残す
AaaS だから、直ちにベンダーロックインがなくなるわけではありません。しか
し、標準インターフェース、データ可搬性、アプリ移植性、退出条件を契約・調達
条件に組み込むことで、将来の選択肢を増やすことはできます。
n 自動化の評価軸を、設備性能から改善速度へ広げる
設備の処理速度や精度だけでなく、変更に何日かかるか、別ラインへ何週間で展
開できるか、更新失敗からどれだけ早く復旧できるかを評価します。
つまり、AaaS は、ものづくりの競争力を「何を所有しているか」から「どれだ
け速く、柔軟に、生産機能を変えられるか」へ広げるのです。
AaaSの価値と利用時の条件
AaaS の価値は、導入後の改修時間だけに現れるものではありません。導入前に、
機器・制御構成・データ連携・保守方法を一から組み立てる負担を減らせれば、新
しい機能を検討し、試し、採用するまでの意思決定も速くなります。導入後も、監
視、診断、更新、専門知識、セキュリティ対応を継続的に受けられれば、導入時点
の機能を固定せず、改善を続ける運用へ移行できます。
n ハードウェア・ベンダーロックイン
AaaS は、ベンダーロックインを自動的に解消しません。しかし、Software-
defined Automation、標準インターフェース、データ可搬性、アプリ移植性、退出
条件を組み合わせれば、特定ベンダーだけでなく、特定の機器・型式・世代への依
存も小さくできる可能性があります。接続できること、構成を移行できること、ア
プリを移植できること、安全と性能を再現できること、契約終了後も第三者が運用
できることは、それぞれ別に確認しなければなりません。
n 責任分界と退出条件
AaaS を利用する際は、通信断・Cloud障害・更新失敗時の継続運転と安全停止、
更新・検証・ロールバックの責任、物理機器・ランタイム・アプリ・データの保守
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責任、データの所有・利用、SLA、契約終了時のコード・設定・データ・運用手順の
移管条件を決める必要があります。技術要素だけでなく、責任分界と退出条件まで
設計して、初めて継続利用の選択肢になります。
3. AaaS は何をサービス化するのか
AaaS を理解するために、サービスの対象を 6層に分けます。この 6層は、本稿の
整理モデルです。
1. 機器層
センサー、ロボット、I/O、搬送機、加工機、制御盤内機器など、物理的に工程へ
作用するものです。機器を提供者が所有する場合も、顧客が所有する場合もありま
す。
機器層だけを月額化した場合、それは機器リースや Equipment-as-a-Service に近
いものです。AaaSでは、機器の上で動く機能と、その後の運用まで含めて考えま
す。
2. 実行機能層
検査する、運ぶ、把持する、位置決めする、温度を制御する、設備を連携させ
る、といった工程上の能力です。
ここがAaaSの中心です。顧客が本当に利用したいのは、PLCの型式や制御盤の
台数ではなく、生産工程で必要な機能だからです。
3. ランタイム層
PLC、Virtual PLC、Cloud PLC、Edge Runtime、HMI、SCADAなど、機能を実行
する基盤です。
Siemens は SIMATIC S7-1500V を、Industrial Edge 上で配備・管理できるハード
ウェア非依存の Virtual PLC として説明しています。AWSも、Software-defined
Automation による Cloudベースの PLC管理とコード配備のガイダンスを公開して
います。これらは、制御機能をソフトウェアとして管理し、更新する方向を示す公
式例です。[2][3]
4. データ・知識層
設備能力、状態、レシピ、品質、ログ、AAS、OPC UA 情報モデル、シミュレーシ
ョン、AI モデルなどです。
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AI エージェントが「この設備は何ができるか」「今どの状態か」「どの条件では
使えないか」を判断するには、設備・工程・機能の意味が記述されていなければな
りません。データを集めるだけでは、サービスとして検索・構成することはできま
せん。
5. 運用層
監視、診断、保守、脆弱性対応、更新、検証、配備、ロールバック、遠隔支援で
す。
単発の設備導入とAaaSを分けるのは、この運用層です。導入後の変化に対応
し、機能を使い続けられる状態を維持する責任が含まれます。
6. 成果層
稼働率、品質、処理量、切替時間、エネルギー、保全負荷などです。
成果保証や成果連動課金は魅力的ですが、原材料、作業者、上流・下流設備、計
画変更などの影響を分けなければなりません。成果層はAaaSに含められる選択層で
あり、必須条件ではありません。
6 層モデルが示すこと
AaaS の価値は、機器をなくすことではありません。機器の上で動く実行機能を、
ソフトウェア、データ、運用、更新と組み合わせ、継続利用できるようにすること
です。
4. AaaS を支える実行アーキテクチャ
Software-defined Automation:自動化機能をソフトウェアとして定義する
Software-defined Automation は、自動化機能を専用ハードウェアに固定せず、
ソフトウェアとして定義し、管理し、更新する設計の方向性です。Siemens は、ア
プリケーション管理の集中化、ランタイムの仮想化、IT型のエンジニアリング、複
数の機械・ライン・工場への展開を要素として説明しています。[4]
重要なのはハードウェアを否定することではなく、どの機器を使うかと、どの自
動化機能を提供するかを分離していくことです。機器を交換すれば同じ機能がその
まま動くという意味ではなく、機器能力の記述、標準インターフェース、検証、再
認証が前提になります。
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Cloud PLC、Cloud 制御盤、Edge の役割分担
Cloud PLC は、PLCランタイムを集中計算基盤で実行・管理する考え方です。
「Cloud」が外部のパブリックCloudを指すのか、工場内のサーバーや Edge Cloud
を指すのかで、遅延、可用性、安全、データ主権は変わります。Virtual PLC は制御
ランタイムの実行形態であり、Cloud PLC は配置・管理形態の一つです。
Cloud制御盤は、現場の電源、保護、I/O、安全系と、Cloud/Edge 側のソフトウ
ェアサービスをつなぐ構成概念です。現場機器をクラウドへ接続するだけではAaaS
にはならず、通信断や更新失敗時の動作、現場とサービス側の保守責任まで設計す
る必要があります。
Edge は、工程・設備に近いローカルの実行環境です。低遅延、ローカルデータ処
理、プロトコル変換、通信断時の継続・縮退運転に向きます。安全機能、非常停
止、高速制御を外部Cloudの到達性に依存させないことが重要です。NIST も、一般
的な ITとは異なるOT固有の制約を考慮する必要があるとしています。[5]
5. AI エージェントは自動化をどう変えるのか
AI エージェントはAaaSそのものではありません。AaaSとして利用可能になった
自動化サービスを、目的や制約に合わせて扱う上位機能です。
AI エージェントが担う可能性のある仕事
1. 生産目標、品質、納期、品種、制約を理解する。
2. サービスカタログから、利用可能な検査・搬送・制御機能を検索する。
3. 設備能力と生産要求を照合する。
4. 機能の組み合わせ、配置、パラメータの案をつくる。
5. シミュレーション、テスト、変更影響分析を依頼する。
6. 承認された変更を配備する。
7. 実行結果を監視し、異常時の再計画や復旧を提案する。
人の承認と安全境界
AI エージェントが自然言語の指示を、そのまま PLCや安全機器へ流すという話で
はありません。
配備、停止、ロールバック、安全パラメータの変更は、権限、承認、監査の対象
です。安全インターロックと非常停止は、AI エージェントの判断とは独立した仕組
みとして維持します。
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AI エージェントの最初の実用領域は、自由な直接制御ではなく、サービス検索、
能力照合、構成案、検証、異常説明、運用監視になるでしょう。
これは、AI の能力を小さく見積もるということではありません。AI に任せる範囲
を、現場の安全と責任に合わせて段階的に広げるということです。
6. 構成要素は、もう目の前まで来ている
AaaS という統合市場が完成しているわけではありません。しかし、その構成要素
は、すでに各所に現れています。
標準・情報モデル
Asset Administration Shell(AAS)は、資産の情報やサブモデルを扱う標準化の取
り組みです。OPC UA は、機器、制御、IT、Cloudにまたがる相互運用性の基盤とし
て使われています。MTP は、モジュールの機能・サービスを上位のオーケストレー
ション層から扱う考え方を支えます。[6][7][8]
Virtual PLC と Software-defined Automation
Siemens、Beckhoff、CODESYS などは、専用 PLCハードウェアから制御ランタイ
ムを分離する Virtual PLC や仮想制御の製品を提供しています。AWSも、SaaS とし
ての Software-defined Automation による PLCコード管理・配備を説明していま
す。[2][3][4]
産業プロジェクト
Factory-X には、Autonomous Operation-as-a-Service のユースケースがありま
す。Edge 上のソフトウェア管理、監視、診断、遠隔制御、手動およびAI による介
入を扱うものです。これは、本号のAaaSと同一のサービスではありません。しか
し、自動化機能や運用能力を、設備の買い切りではなくサービスとして扱う方向を
示しています。[9]
AaaSの成熟度
現時点で言えるのは、AaaSが確立したということではありません。
言えるのは、次の部品が、標準、製品、プロジェクト、展示の各段階で存在して
いるということです。
• 自動化機能をソフトウェアとして扱う
• ランタイムを仮想化・集中管理する
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• 設備能力とデータの意味を記述する
• Cloud と Edge を役割分担する
• 運用、監視、更新、保守を継続提供する
• AI による検索、構成、検証、監視を支援する
次に必要なのは、これらを現場の安全、責任、SLA、データ、退出条件と結びつ
けることです。
7. 国内展示に見る AaaS の先行例
ここまで、AaaSがものづくりにもたらし得るインパクトと、それを支える構成要
素を説明してきました。
ここでは、2023 年以降に新エフエイコムが展示してきた「生産機能をサービスと
して扱う」事例を取り上げます。これらはAaaSの一般定義を証明するものではあり
ませんが、AaaSの考え方が国内の展示・提案でどのように具体化されてきたかを示
す例です。
2023 年 11 月 iREX:外観検査 as a Service
2023 年 11 月の iREX で展示された「外観検査 as a Service」では、Cloud制御盤
を介してクラウドと接続し、クラウドから外観検査を実行し、NG品を除去する構成
が示されています。
展示内容には、外観検査アプリとNG品除去アプリをクラウドから選択・設定す
ること、最新版への自動更新、メンテナンスやデータアップロードの負担を減らす
考え方が示されています。[10]
この展示は、検査装置をクラウドにつないだ構成であると同時に、外観検査と
NG品除去を生産機能としてアプリから選択・設定・更新する構成としても整理でき
ます。後者の見方では、機器の所有単位ではなく、生産機能の利用単位で自動化を
捉えています。
この構成から確認できる論点は、次のとおりです。
• 検査機能を、設備一式ではなく機能として捉える
• 機能を設定し、更新する
• 導入後の保守やデータを、継続運用の対象にする
2024 年 4月 関西物流展:部品物流 as a Service
2024 年 4月の関西物流展では、「部品物流 as a Service」が展示されました。
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展示内容には、部品物流 as a Service、Cloud WCS、Cloud制御盤、AGV・AGF、
クラウドアプリ、データ活用、保守・省エネが含まれています。[11]
この展示では、物流機器単体ではなく、部品供給、搬送、WCS、現場制御、デー
タ活用、保守を組み合わせた機能群として、部品物流を捉えています。
外観検査と部品物流は、対象工程が異なります。しかし、両者には共通点があり
ます。
• 現場設備とCloud/Edge 側の機能を接続する
• アプリや機能を選択・設定する
• 導入後の更新・保守・データ活用を扱う
• 機器ではなく、生産機能をサービスとして捉える
8. まとめ:自動化を「買う」から「変えられる」へ
Automation as a Service は、設備をなくす概念ではありません。設備の上で動く
自動化機能を、必要なときに使い、更新し、組み替え、横展開するための提供モデ
ルです。
AaaS がものづくりにもたらし得るインパクトは、工場を「固定された自動化」か
ら「変化に対応する自動化」へ近づけることです。
• 品種・工程変更に対応しやすくする
• 機器選定、設定、配線、データ準備など、導入前の負担を軽くする
• 新しい機能を小さく試し、段階的に広げる
• 一つのラインでつくった機能を、別ライン・別工場へ展開する
• 導入後もソフトウェア、専門知識、保守を取り込む
• 特定のハードウェアベンダーや機器に縛られにくくする
• 設備性能だけでなく、改善速度と変更対応力を評価する
そのためには、機器、実行機能、ランタイム、データ・知識、運用、成果を分け
て考える必要があります。Cloudサーバー、Cloud PLC、Cloud制御盤、Edge を役
割に応じて配置し、AI エージェントには検証・承認・安全統制を組み込まなければ
なりません。
最後に、導入を検討する際は、次の問いから始めてください。
- 私たちがサービスとして利用したい自動化機能は何か。
- その機能は、どの工程の変化対応力を高めるのか。
- どこまでをCloud、Edge、現場制御に置くのか。
- 更新、停止、復旧、責任分界を誰が担うのか。
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- 別ライン、別工場、別ベンダーへ移せるのか。
- AI エージェントに、どの権限まで与えるのか。
自動化の導入を、設備を買う一回限りのプロジェクトから、生産機能を使い続
け、変え続けるサービスへ変えます。その先に、Automation as a Service があり
ます。
IT Factory White Paper No.2 16
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参考文献・参照資料
[1] 新エフエイコム資料
[2] Siemens, “SIMATIC S7-1500V Virtual PLC,” https://www.siemens.com/en-
us/products/simatic/s7-1500v/ (確認日:2026-08-07)
[3] AWS, “Guidance for Automation Software Management with Software Defined Automation
on AWS,” https://aws.amazon.com/solutions/guidance/automation-software-management-
with-software-defined-automation-on-aws/ (確認日:2026-08-07)
[4] Siemens, “Software-defined automation,” https://www.siemens.com/en-
us/company/insights/industrial-operations-x/software-defined-automation/ (確認日:2026-
08-07)
[5] NIST, “SP 800-82 Rev. 3, Guide to Operational Technology (OT) Security,”
https://csrc.nist.gov/pubs/sp/800/82/r3/final (確認日:2026-08-07)
[6] OPC Foundation, “OPC Unified Architecture - Part 80: UAFX Overview and Concepts,”
https://reference.opcfoundation.org/specs/OPC-10000-80/full (確認日:2026-08-07)
[7] IDTA, “Asset Administration Shell Specification - Part 1: Metamodel Schema,”
https://industrialdigitaltwin.org/wp-content/uploads/2023/06/IDTA-01001-3-
0_SpecificationAssetAdministrationShell_Part1_Metamodel.pdf (確認日:2026-08-07)
[8] PROFIBUS & PROFINET International, “MTP - Module Type Packages,”
https://www.profibus.com/technologies/mtp (確認日:2026-08-07)
[9] Factory-X, “TP 2.07 Autonomous Operation-as-a-Service,” https://factory-x.org/use-case/tp-2-
7-autonomous-operation-as-a-service/ (確認日:2026-08-07)
[10] 新エフエイコム資料
[11] 新エフエイコム資料
IT Factory White Paper No.2 17