1/9ページ
ダウンロード(8.9Mb)
こちらのレポートは、「LiDAR技術の現在地」をテーマに、最先端の技術動向から実用化に向けた課題までを網羅的に解説するものです。ストックマーク主催のオンラインセミナーを基に、芝浦工業大学・ハイパーデジタルツインの研究者が登壇。自動運転レベル3を支えるLiDAR の測距方式や 3D 地図生成、コスト・環境耐性・データ処理などの技術的ハードルとその解決策に踏み込みます。LiDARの実用化や応用を見据えるすべての技術者・事業企画者にとって、有益な知見を提供する一冊です。
このカタログについて
| ドキュメント名 | LiDAR技術と現在地―最新技術と今後の課題― |
|---|---|
| ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
| ファイルサイズ | 8.9Mb |
| 取り扱い企業 | ストックマーク株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
この企業の関連カタログ
このカタログの内容
Page2
ストックマーク株式会社
【イベントレポート】
LiDAR 技術の現在地
―最新技術と今後の課題―
目次
はじめに 1
自動運転レベル 3 を実現させた LiDAR 2
従来の測距精度を超え、新たな可能性を切り拓く測距技術 3
- 直接 TOF(Time of Flight)
- 関節 TOF(iTOF)
- FMCW(周波数変調連続波)
3D 地図の生成を可能にする次世代 LiDAR 4
LiDAR 搭載における課題と解決の方向性 5
1 ) コストの高さと製造技術の課題
2 ) 環境耐性と天候条件の影響
3 ) データ負荷処理とリアルタイム性の確保
まとめ 6
Page3
はじめに
LiDAR はレーザー光を照射し、その反射光の情報をもとに対象物までの距離や対象物の形などを計測
する技術であり、その計測精度の高さで 3D 形状計測などに使われてきた。
昨今では、自動運転車両、産業用ロボット、重機、スマートシティなど応用分野が急激な広がりを見
せ、自動車業界だけでなく、ヘルスケア、航空宇宙、防衛、建設などさまざま な業界から注目が集ま
っているが、天候に左右される精度やデータ処理負荷などの実用化に伴う課題も残る。
今回のセミナーでは、内閣府 SBIR 発・芝浦工業大学認定スタートアップ企業としてハイパーデジタ
ルツイン技術を活用したモビリティ事業及びスマートシティ事業を展開する「株式会社ハイパーデジタ
ルツイン」の CEO 伊東氏(芝浦工業大学 元教授・現特任研究員)と CTO 新熊氏(芝浦工業大学 教授)
をお招きし、LiDAR 技術に関する最新の技術動向や課題について伺った。
※本記事は、ストックマーク株式会社が 2024 年 9 月 27 日に開催したオンラインセミナー、
『芝浦工業大学 伊東氏・新熊氏に学ぶ LiDAR 技術の現在地 〜最新技術と今後の課題〜』の内容を
中心にまとめたものです。
伊東 敏夫 氏
株式会社ハイパーデジタルツイン 代表取締役
学校法人芝浦工業大学 特任研究員
新熊 亮一 氏
株式会社ハイパーデジタルツイン 研究開発部、取締役
学校法人芝浦工業大学 教授
1
Page4
自動運転レベル 3 を実現させた LiDAR
LiDAR(Light Detection and Ranging)は、「光による検知と測距」と訳し、レーザー光を使って周
囲の物体までの距離を検知する技術である。その類似技術である「電波レーダー」を搭載した多くのク
ルマが、現在街中を走っている。電波を使って周囲の物体までの距離を検知する点においては 同じだ
が、LiDAR は相手との距離だけでなく、形や大きさまで高精度にとらえることができるのが 大きな特
徴である。クルマを運転する際、前方のクルマとの距離だけでなく、周囲の歩行者、飛び出す自転車、
障害物など、それらにも注意しなくてはいけない。この歩行者、自転車までの距離はもちろん、その
形、大きさまで立体的に LiDAR はとらえることができる。
電波レーダーは、2000 年前後の時期から運転支援システムの主流であり、その技術は高速道路の定
速走行や渋滞走行などで使われることが多かった。高速道路上には歩行者も自転車もおらず、観測する
対象は先行車しかいないため、電波レーダーの解像度が悪くても充分とされていた。
この流れを変えたのが、米国国防省が開催した DARPA 自動運転チャレンジだ。LiDAR を搭載したス
タンフォード・レーシングチームが快挙的な優勝を果たし、自動運転を目指す世界中の企業が、LiDAR
に注目した。その後、アウディの A8 が自動運転レベル 3 の“開発”に成功し、さらに Honda が国土交通
省と連携し、国土交通省は自動運転レベル 3 の市場化に向け、道路運送車両法の一部を改正し、LiDAR
を搭載した自動運転レベル 3 の世界初の“販売”を実現させた。
自動運転レベルを簡単に説明すると、人が主体となって行う自動運転がレベル 0〜レベル 2、システ
ムが主体となって行う自動運転がレベル 3〜レベル 5 である。人からシステムに移行するレベル 2 から
3 までの移行に、これまでとてつもなく大きな困難の壁があった。その困難をホンダが乗り越え、実現
させたのが LiDAR 技術である。
関連記事:自動運転レベル分けの定義一覧|完全自動運転レベル 5 はいつ実現するのか?
https://aconnect.stockmark.co.jp/coevo/autonomous-level
2
Page5
従来の測距精度を超え、新たな可能性を切り拓く測距技術
LiDAR の測距方式には大きく分けて 3 つの主要な技術がある。それぞれの方式は特定の用途や条件に
応じた利点を持ち、最近ではこれらを組み合わせることによる応用も広がっている。
直接 TOF(Time of Flight)
この方式では、レーザー光の発射から反射光が戻るまでの時間を直接測定することで、対象物との距
離を高精度に計測する。iTOF より長距離測定が得意であり、自動運転車の障害物検知や地形測量など
に広く用いられている。近年の改良により、センサーの小型化とコスト削減が進んでいる。
関節 TOF(iTOF)
連続波のレーザー光を利用し、その位相差を計測することで距離を算出する技術である。この方式
は、ノイズ耐性が高く、短距離での高精度計測に優れている。スマートフォンやタブレットなどの民生
機器にも採用され、顔認証や AR(拡張現実)の分野で応用されている。
FMCW(周波数変調連続波)
周波数変調を活用し、ドップラー効果を利用して相対速度を一度の計測で算出できる技術である。こ
れにより、高速移動する物体の検知やトラッキングが可能となり、物流や産業用ロボットなどの分野で
活用が進むことが期待されている。
3
Page6
3D 地図の生成を可能にする次世代 LiDAR
自動運転車において、LiDAR は車両の「目」として機能する重要な役割を果たしている。芝浦工業大
学の研究では、複数の LiDAR を連携させることで、周囲 360 度を高精度にモニタリングし、障害物や歩
行者の検知を実現。また、ポイントクラウドデータを活用した SLAM(Simultaneous Localization and
Mapping)技術により、リアルタイムでの自己位置推定と周囲環境の認識が可能になった。
特に、スタートアップ企業が開発する次世代 LiDAR は、より高精度な 3D 地図の生成を可能にしてい
る。たとえば、中国やアメリカのメーカーは、低コストで大量生産可能な MEMS 方式や、解像度を大幅
に向上させた新型の受光素子を用いた LiDAR を開発している。これにより、自動運転レベル 3 以上の高
度なシステムでの利用が現実味を帯びている。
また、自動運転の可能性は、街中を走る一般自動車だけではない。近年、超高齢化社会や労働者不足
に対応するためのマイクロモビリティ分野で LiDAR の導入が進んでいる。超小型自動車に LiDAR を搭載
することで、周囲環境を精密に把握し、安全で効率的な移動を支援する技術が開発されている。
しかし、超小型自動車の制約から、高精度センサーを適切に配置するための技術的課題も存在する。
この問題に対し、芝浦工業大学では環境に LiDAR を設置する「スマートインフラ」の概念を提案してい
る。たとえば、道路脇や建物に LiDAR を固定配置することで、車両や歩行者の位置情報をリアルタイム
に共有し、交通の安全性を向上させる試みが進行中である。
4
Page7
LiDAR 搭載における課題と解決の方向性
LiDAR 技術はその性能や応用可能性から注目を集めているが、現状ではいくつかの重要な課題が存在
する。それぞれの課題に対して技術革新や新たなアプローチが求められている。
1) コストの高さと製造技術の課題
LiDAR センサーの製造コストは依然として高く、特に高解像度・長距離測定が可能な LiDAR は高価格
帯である。この問題は、自動運転車などの商用化において普及の妨げとなっている。この課題に対し、
近年では以下のような取り組みが進んでいる。
・MEMS 技術の活用
Micro-Electro-Mechanical Systems(MEMS)を用いた LiDAR は、部品の小型化と低コスト化を可能
にしている。さらに、量産化技術の確立により、自動車メーカーが採用しやすい価格帯での提供が見込
まれている。
・量産技術の向上
半導体製造技術を応用したレーザーダイオードや受光素子の大量生産が進んでおり、
これによりコスト削減が可能となっている。
・パートナーシップによるコスト共有
自動車メーカーと LiDAR メーカーの協業が増え、研究開発コストを分担し、
効率的な製品開発が進められている。
2) 環境耐性と天候条件の影響
LiDAR は、霧や雨、雪などの悪天候時に性能が低下するという課題がある。特に、雪や雨粒がレンズ
に付着すると、測定データが歪み、精度が低下する。また、これらの環境条件がデータ処理にノイズと
して影響することも問題となっている。解決策として以下のアプローチが試みられている。
・自己清掃機構の導入
レンズ部分に自己清掃機能を持たせることで、雨粒や雪を除去し、データの正確性を維
持する技術が研究されている。
・天候適応型アルゴリズムの開発
AI や機械学習を活用し、ノイズ除去アルゴリズムを向上させることで、悪天候下でも
信頼性の高いデータ処理が可能となりつつある。
5
Page8
・センサーフュージョンの活用
LiDAR に加えてカメラや電波レーダーを併用することで、環境耐性を補完し、複数セ
ンサーのデータを統合する手法が進化している。
データ処理負荷とリアルタイム性の確保
LiDAR が取得するデータは非常に高解像度であるため、処理に膨大な計算資源を要する。特にリアルタ
イム性が求められる自動運転車では、データ処理の遅延が安全性に直結するため、大きな課題である。
この問題に対しては、次のような解決策が検討されている。
・エッジコンピューティングの活用
センサー近くでデータを処理するエッジコンピューティング技術により、
リアルタイム性を向上させる試みが進行中である。
・分散処理システムの構築
データをクラウド上で分散処理することで、
計算負荷を軽減し、高速化を図る手法が取り入れられている。
・データ圧縮技術の改善
不要なデータを効率的に削減し、必要な情報だけを抽出するアルゴリズムの開発が進み、
処理時間と計算リソースの削減が可能となっている。
まとめ
LiDAR技術は一般車両運転の自動化だけでなく、超高齢化社会における高齢者の移動問題や、労働者不
足におけるドライバーや配送員不足の解消、さらには温室効果ガスの排出削減による脱炭素社会の実現
において大きな期待が寄せられている。
実用化においては、価格の高額化や安全性のリスク、複数台を自動運転させた場合の全体最適化難易
度などの課題も残るが、量産化技術の進化やスマートモニタリングのための 3 次元データ化やトラッキ
ングシステムの研究も進んでおり、新たな市場開拓も期待される LiDAR にはあらゆる業界で注目する必
要がある。
執筆者:ストックマーク株式会社 Aconnect 事業部 デジタルマーケティングチーム
本資料に関するお問い合わせ先:marketing@stockmark.co.jp
6
Page9
くわしくはこちら▶▶▶▶ ▶ →くわしくはこちら |
→ Aconnect サ イ ト → → →
7