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航空宇宙用3Dプリント複合パーツ

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◆掲載内容
業界のニーズ
航空宇宙産業でAMが用いられる理由
航空宇宙用複合マテリアル
用途:航空宇宙産業でのAMの利用方法
お客様事例
Top Flight Aerostructures
Cabin Management Solutions
JJ Churchill
Hangar One Avionics
航空宇宙産業でのAMの未来
将来の見通し

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このカタログについて

ドキュメント名 航空宇宙用3Dプリント複合パーツ
ドキュメント種別 製品カタログ
ファイルサイズ 15.6Mb
取り扱い企業 マークフォージド・ジャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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航空宇宙用3Dプリント複合パーツ
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はじめに 1 業界のニーズ 2 航空宇宙産業でAMが用いられる理由 4 航空宇宙用複合マテリアル 6 用途:航空宇宙産業でのAMの利用方法 11 お客様事例 Top Flight Aerostructures 20 Cabin Management Solutions 21 JJ Churchill 22 Hangar One Avionics 23 航空宇宙産業でのAMの未来 25 将来の見通し 29 まとめ 30
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はじめに 航空宇宙産業の主要な企業は、サプライチェーンと労働市場の急速な 変化への対応力を高めるために、アディティブ製造(AM)を利用し始め ています。その用途は、商用航空でのオンデマンドのMROやスペアパー ツから、アーバンエアモビリティのイノベーションにまで及びます。 AMを利用することで、今日のメーカーは、すでになじみのあるマテリアルを使って製造を行う最も簡単な 方法を手にするとともに、テクノロジーの進歩を通じて製造の新しい可能性を拓くこともできます。最終 用途用のカーボンファイバー複合パーツを夜間に無人で製造することもできます。複合マテリアルを使った プロトタイプ、ツール、治具を、何週間ものリードタイムや特急料金なしで入手できます。難燃性、少煙性、 低毒性(FST)に優れた高性能の熱可塑性樹脂を使用し、連続カーボンファイバー強化(CFR)による強度およ び重量面のメリットを備えたパーツをプリントできます。 コンポジット3Dプリントは、これまで航空宇宙産業でどのように利用されてきたのでしょうか。そして 将来どのように利用される可能性があるでしょうか。このeブックでは、以下の点に関する概要を記します。 + アディティブ製造(AM)は航空宇宙産業でどのような役割を果たしているか + 航空宇宙企業は、アディティブ製造(AM)を使用する際のコンプライアンスと規制に関するハードルを どのように乗り越えているか + ツールやプロトタイプの作成に関して、リードタイムとコストの削減が可能な見落とされている用途と して何があるか + 航空宇宙分野で飛行用途に使用可能な高度な複合マテリアルとして何があるか + 自動プロセス内検査テクノロジーを利用して、強度の高いパーツをプリント終了後すぐに使用できるよ うにするにはどうすればいいか 航空宇宙用3Dプリント複合パーツ 1
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業界のニーズ 規制の厳しい業界で競争していくために、OEM、MROサー ビスプロバイダー、民間航空会社といった航空宇宙産業の 企業は、安全性と性能を第一に置きながら、厳格な規制ガイ ドラインを順守し、ビジネスの効率を高める方法を見つける 必要があります。 高い強度、小さい重量 従来アルミニウム合金で作られていた航空機のパーツは、しだいにカーボンファイバーな どの複合マテリアルに置き換えられつつあります。現在、ボーイング787は、重量比で 50%、体積比で80%が複合マテリアルからできています。 航空宇宙メーカーが、複合マテリアルの新しい用途を探し続けている理由はどこにあるの でしょうか。3Dプリントされたパーツを航空機部品として使用する際には、パーツの重量 を最小化することがきわめて重要です。それによって、燃料効率を改善し、CO2排出量を 減らすことができるからです。 たとえば、航空機やヘリコプターのアルミニウム部品を、強度が同等でより軽量な複合パー ツに置き換えることで、各パーツの全重量を容易に1桁程度減らすことができます。 ただし、重量を減らすために、パーツの強度やマテリアル特性を犠牲にすることは許され ません。製造するパーツはすべて、安全性と信頼性に関する厳格な要件を満たす必要があ ります。The Digital Forgeで航空宇宙グレードのマテリアルを使用してカーボンファイ バー強化パーツをプリントすることで、6061-T6アルミニウムに劣らない強度を持つパー ツが得られ、同等の強度の金属パーツに比べて重量を大幅に削減できます。 航空宇宙用3Dプリント複合パーツ 2
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マテリアル特性 The Digital ForgeのFR-Aマテリアルは、ロットレベルのマテリアルトレーサ 高い強度と小さい重量に加えて、航空宇宙用途のマテリアルは、耐食 ビリティを確立し、ほとんどの3Dプリント可能なパーツが14 CFR 25.853に 性があり、広範囲の動作温度に持続的に耐える能力を持つ必要があり 従って認証を受けるために必要なテストスイートに合格しています。 ます。Onyx FR-A、カーボンファイバー FR-A、ULTEM™ 9085*フィ ラメント(FX20でプリント可能)といった航空宇宙産業向けマテリア マテリアルトレーサビリティ ルは、ほとんどの航空宇宙用途の動作温度に耐えることができます。 材料のバッチがトレーサブルと指定されている場合、材料の供給元、テスト 履歴、製造に用いられた具体的なプロセスを記したドキュメントが付属します。 規制コンプライアンス これにより、最終製品が常に一貫したマテリアルで製造されていることを 航空宇宙産業は厳しい規制の下にあります。飛行が許可されるため 保証し、最終製品の品質を確保できます。 には、航空機のすべてのパーツとマテリアルが、連邦航空局(FAA)や 欧州航空安全機関(EASA)といった関連規制当局による承認を受ける 材料サンプルがトレーサブルと認められるためには、正式な適合証明書(CoC) 必要があります。 と分析証明書(CoA)からなる適切なドキュメントが必要です。製造元から分析 証明書が提供されると、NCAMP(National Center for Advanced Materials 航空宇宙メーカーは、自社のパーツやマテリアルが、強度、耐久性、 Performance)が製造元と協力して材料を認証します。 紫外線暴露、溶剤感度、振動、トレーサビリティ、および難燃性、 少煙性、低毒性(FST)といった包括的なテスト基準に関して、FAAの Markforged X7でプリントされたOnyx FR-Aとカーボンファイバー FR-Aは、 要件を満たすことを証明する必要があります。 現在NCAMP認証プロセスの途中です。 コンプライアンステスト要件を満たすマテリアルを選べば、このプロ パーツの統合 セスの時間と複雑性を大幅に削減できます。そうしないと、長時間の 造形ボリュームが拡大することで、航空宇宙メーカーは、複数のパーツからな 認証プロセスを初めから繰り返すことになります。異なるマテリアル るアセンブリを1つのパーツに統合できます。これにより、組み立て時間を を調達し、場合によっては設計を変更してからパーツを製造し、必要 短縮し、パーツ数を減らし、公差の累積から生じる誤差を管理することができ なテストをすべて繰り返す必要があるからです。 ます。FX20の造形ボリュームは525×400×400 mmなので、大型で強度の高 いパーツをプリントすることも、複数の小さいパーツを1回のビルドセッショ ンでプリントすることもできます。 * ULTEM™および9085の商標は、SABIC、その関連会社または子会社の許諾を受けて使用されます。 航空宇宙用3Dプリント複合パーツ 3
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航空宇宙産業でAMが用いられる理由 従来の製造技術に比べて、アディティブ製造(AM)は、 サプライチェーンのボトルネックと複雑性の緩和 航空宇宙分野の企業にとって、技術とビジネスの OEMの場合、AMテクノロジーを使用することで、サプライチェーンを管理 して、リスクと複雑性を減らすことができます。オンサイト3Dプリンター 両面で明白な利点があります。たとえば、高速で を使用することで、メーカーは、納品に不可欠なベンダーの数を減らし、 リードタイムが短いこと、設計を最適化できること、 納品時間や研究開発の速度に影響するサプライヤーの物流の非効率性や相互 コスト効率が高いこと、分散型製造により必要な 依存性を回避することができます。 場所で直接プリントできること、ツール製作の必要 サプライチェーンの混乱のために製造に必要なツールやパーツが不足す 性が減ることなどです。 ると、製造が何週間にもわたって停止する可能性があります。不可欠なパー ツが1個でも欠けていれば、新しいパーツが入手できるまで、製造が完全に 少量バッチ生産 停まってしまいます。AMを使えば、リードタイムを大幅に短縮するとと アディティブ製造(AM)は、航空宇宙産業でのカスタマイズしたパーツの もに、必要なパーツに関する物流関連のリスクを最小化して、俊敏性、 少量生産に最適です。 適応性、製造オペレーションの混乱からの回復性を高めることができます。 適切なアディティブ製造(AM)テクノロジーを使用することで、このような 設計の複雑性 パーツを必要な場所で迅速に製造でき、治具やツールの作成が不要なので AMテクノロジーを使用すれば、複雑な構造の設計を製造できるので、重量 コスト効率を高めることができます。 を減らし、マテリアルコストを最小化しながら、最終用途パーツの強度を 容易に最適化できます。多くのパーツ設計の場合、同じことを従来の製造プ リードタイムの短縮による高速なプロトタイプ作成と生産 ロセスで行うのは、実用的でないか、コスト面で引き合いません。AMでは、 分散型製造では、パーツを必要な場所で数日以内に直接プリントできます。 強度と機械的特性を維持しながら、重量を減らし、マテリアルの消費を最小 これに対して、遠隔地でパーツを製造して輸送する場合、何週間ものリー 化する機能を、プログラムで実現できます。AMソフトウェアは、幾何学的 ドタイムがかかります。リードタイムが長い最終用途パーツが航空機の インフィルや連続ファイバー強化(CFR)によるシェル強化といったユーザー 製造に必要な場合でも、生産に不可欠なコンポーネントの到着を待つ間に、 パラメーターに基づいて、軽量化機能を自動的に生成できます。 同じ形状のプレースホルダーパーツを短時間でプリントすることで、製造 が無駄にストップするのを避けることができます。 航空宇宙用3Dプリント複合パーツ 4
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高速ツール製作 古い航空機の場合、元のツールが紛失してい たり、誤って使用されていたり、経年劣化の ために使いにくくなっていたりすることがあ ります。アディティブテクノロジーを使えば、 新しいツールを必要な場所で高速かつ安価に 作成でき、終盤でカスタマイズを行うことも できます。 コスト効率 AMを使えば、従来の製造方法に比べて、いく つかの方法で費用を節約できます。航空機の 重量を減らせば、燃料消費が大幅に少なくな るとともに、重量に基づくメンテナンス料金 も下がります。ツール製作の必要がなくなり、 必要な場所で直接プリントできることで、ツー ル製作や輸送の費用を節約できるとともに、 少量バッチプリントの経済性が大幅に高まり ます。さらに、AMは従来のサブトラクティブ 製造法に比べてマテリアルの消費量が大幅に 少なくなります。航空宇宙産業では一般的に 高性能マテリアルが用いられるため、このコ ストは大きな差をもたらします。 航空宇宙用3Dプリント複合パーツ 5
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航空宇宙用複合マテリアル 連続ファイバー強化(CFR)とは CFRは、3Dプリンターが融解フィラメント製造方式(FFF)パー 連続ファイバー強化(CFR)パーツを使用するメリットとしては、以下のことが挙げられます。 ツを連続ファイバー素材で強化できるようにする、Markforged 独自のプロセスです。CFR対応のプリンターは、2つの押出シ + パーツの強度の向上 — CFRを使用すると、プラスチック程度の強度からアルミニウムに ステムを使用します。1つは従来のFFFフィラメント用で、 匹敵する強度まで、パーツの強度を動的に変えることができます。そのため、必要に応じた もう1つは長繊維の連続ファイバー素材用です。 強度でパーツを設計し、3Dプリントできます。 + 耐久性 — CFRパーツは、連続ファイバー素材の強度、剛性、耐久性により、他のどのFFF 連続ファイバー素材は層状に配置され、FFFのインフィルを置 3Dプリンターで作成されたパーツより長い寿命を実現します。さらに、充填プラスチックは、 き換えます。このようにして製造されたパーツは強度が大幅に 高い耐摩耗性と硬度を発揮します。 増加し(FFF素材よりも最大10倍の強度)、用途ではアルミニウ ム製パーツの置き換えとして使用できます。 + 耐熱性と耐薬品性 — CFRパーツは、ほとんどの製造環境で周囲の熱に対する耐熱性を発揮 します。また、パーツ強化に使用される短繊維充填フィラメントは、非常に高い耐薬品性を 連続ファイバー強化パーツは、鋼やアルミニウムよりもはるか 備えています。 に低い相対密度で高い剛性と引張強度を誇ります。強度重量比 が非常に高いため、CFRは航空宇宙や自動車といった条件の厳 しい用途に多く用いられます。 航空宇宙用3Dプリント複合パーツ 6
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ULTEM™ 9085フィラメント ULTEM™ 9085フィラメントは、超高性能のPEI熱可塑性 マテリアルです。The Digital Forgeプラットフォームでは、 連続ファイバー強化(CFR)テクノロジーと組み合わせて、 カーボンファイバー さらに強度を高めることができます。 これは航空宇宙産業では定評ある材料であり、The Digital Forgeで使用可能な初めての高温プリントポリマーです。 このポリマーは、難燃性、少煙性、低毒性(FST)に優れた 高耐久熱可塑性樹脂です。 ULTEM™ 9085フィラメント The Digital ForgeのULTEM™ 9085フィラメントは、FX20 で使用可能であり、このような高度なマテリアル特性を持 つ大型パーツをプリントするために使用できます。 ULTEM™フィラメントとMarkforgedのCFRテクノロジー の組み合わせは、航空宇宙分野の生産用途に使用でき、 航空機の内装パネル、ブラケット、ハンドル、ノブといっ た新しい分野のパーツの強度を高めることができます。 ULTEM™フィラメントは、Markforgedの新しい3200 cc XLスプールで使用できます。 航空宇宙用3Dプリント複合パーツ 7
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FR-Aマテリアル Onyx FR-Aとカーボンファイバー FR-Aは、航空 マテリアル特性 宇宙、輸送、自動車の各業界の要件に特化してい ます。 特性 単位 テスト(ASTM) Onyx FR-A テスト(ASTM) CF FR-A FR-Aマテリアルは、ロットレベルのマテリアルト 引張強度 MPa(ksi) D638 40(5.8) D3039 760(110) レーサビリティを確立し、ほとんどの3Dプリント 可能なパーツが14 CFR 25.853に従って認証を 引張弾性率 GPa(ksi) D638 3(440) D3039 57(8280) 受けるために必要なテストスイートに合格するこ 引張破断ひずみ % D638 18 D3039 1.6 とができます。Markforged X7でプリントされた Onyx FR-Aと カ ー ボ ン フ ァ イ バ ー FR-Aは、 曲げ強度 MPa(ksi) D790 71(10.3) D790 540(78.32) NCAMPプロセスによる認証プロセスの途中です。 曲げ弾性率 GPa(ksi) D790 3.6(520) D790 50(7250) 曲げ破断ひずみ % — — D790 1.6 アイゾット衝撃(ノッチ付き) J/m(ft•lb/in) D256-10 A — D256-10A 810(15.2) 密度 g/cm3 — 1.2 — 1.2 荷重たわみ温度 摂氏温度(華氏温度) D648 B 145(293) D648 B 105(221) 平均XY CTE、25~ 145℃ μm(/ m° C) — 30 — — マテリアルの性能 — FR-AタイプのOnyxおよびカーボンファイバーは、標準版と同様の方法で使用されます。カーボンファイバー FR-Aは、Onyx FR-Aパーツの機械的特性を高めます。複合則により、プリントされた複合 物の全体的な機械的特性を概算することができます。環境、プリント方向、荷重条件などの要素により、結果は異なる可能性があります。 航空宇宙用3Dプリント複合パーツ 8
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曲げ 強度 71MPa Markforged Onyx FR Onyx FR-Aは、航空宇宙用途向けのOnyxのトレー サブルな難燃性バージョンであり、パーツの不燃性 が要求される用途向けに設計されています。この マテリアルは、厚さ3 mm以上で難燃グレードV-0 (自己消火性)とみなされています。連続ファイバー 素材で補強可能であり、工業用コンポジット3Dプ リンターに対応しています。Onyx FR-Aは、NCAMP による認証プロセスの途中です。 航空宇宙用3Dプリント複合パーツ 9
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曲げ 強度 540MPa カーボンファイバー強化 カーボンファイバー FR-Aは、Markforged独自の 超高強度連続カーボンファイバーの航空宇宙用途 向けのトレーサブルな難燃性バージョンであり、 Onyx FRなどの複合ベース材料の補強に使用する ことで、6061-T6アルミニウムと同等の強度を持 つパーツを造形できます。このカーボンファイバー の強度と剛性は非常に高く、さまざまな形状への 精密な敷き詰めが可能です。たった数回のクリッ Markforged ULTEM 9085 Markforged Markforged Markforged Aluminum Onyx FR Onyx FR+25% Onyx FR+50% カーボン 6061-T6 クで、プログラムに基づいて曲面形状をトレースし、 カーボン カーボン ファイバー FR ファイバー FR ファイバー FR 穴領域を強化し、一方向繊維積層構造を再現する ことができます。 航空宇宙用3Dプリント複合パーツ 10
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用途:航空宇宙産業でのAMの利用方法 航空宇宙防衛(A&D)産業では、早くから3Dプリ ントテクノロジーが導入されていました。すでに 1980年代初めにAMテクノロジーの実験的な利用が 行われています。その後、業界でのAMの採用は 順調に広がり、プロトタイプ作成、航空宇宙用ツー ル製作、キャビン内装部品、およびその他の航空機 用最終用途パーツに用いられてきました。 プロトタイプ作成 一時フェアリング(Onyx FR)。この一時フェアリングは、機械加工された 金属によって製造する必要があった恒久的な航空機フェアリングの代わりと なる製造用パーツとして用いられました。 機械加工された金属フェアリングには、通常4か月程度の長いリードタイム がかかります。メーカーは、フライトデッキの多くの部分をフェアリング 中心に製造する必要があったので、この一時パーツを短時間でプリントして プレースホルダーとして使用することで、プロジェクトの進行が止まるのを 避けることができました。機械加工された金属フェアリングが到着した後、 簡単に置き換えることができました。一時的なプロトタイプパーツを使用す ることで、航空機メーカーは、リードタイムによる無駄な遅れの発生を防いで、 プロジェクトの期限を守ることができます。 航空宇宙用3Dプリント複合パーツ 11
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機能的ドアハードウェアプロトタイプ(Onyx)。このパーツの初期プロ トタイプは、金属を機械加工することで作成されました。これはコスト と長いリードタイムがかかり、熟練した機械工による専門的な作業が 必要です。さらに、これには機会コストも伴います。収益を生む生産用パー ツを作成するための機械工の時間が減るからです。 このプロトタイプを3Dプリントすることで、機械工は生産用パーツに 集中できるようになり、このパーツは、短いリードタイムと低いコストで、 熟練した作業員を必要とせずに受動的に製造できるようになりました。 他の3Dプリントシステムの場合、このような複雑なパーツが常に正しく はまり合うために必要なプリント精度を確保することは困難でした。 The Digital Forgeなら、パーツが常に確実にはまり合うために必要な 厳格な公差を満たしながら、このような複雑なパーツをプリントするこ とができました。このような許容誤差の小さいパーツを高い再現性で 正確にプリントできることで、効率が向上し、組み立ての問題を回避し ながら設計サイクルを短縮することができます。 航空宇宙用3Dプリント複合パーツ 12
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ツール製作 ローターチェックゲージ(Onyx)。チェックゲージは、製造 されたパーツの品質検証に用いられます。チェックゲージは 高価で、作成には熟練した機械工による作業が必要であり、 多くは非常にサイズの小さいものです。このため、紛失や破損 が大きな懸念事項となります。製造コストの高さに加えて、 リードタイムが長いため、パーツの品質検証が滞り、大きな コストを伴う工場のダウンタイムにつながるおそれがあるか らです。 チェックゲージを社内で3Dプリントすれば、製造コスト、リー ドタイム、製造にかかる人件費がいずれも大幅に減少する ため、このような懸念を軽減できます。多数の形状を持つ 複雑なチェックゲージを使用すれば、コストを大きく引き上 げることなく、さまざまな寸法を測定できます。 このローターチェックゲージは、1つのゲージで3種類の異な る寸法を検査できるので、3つの異なるツールの代わりにな ります。これにより、検証プロセスが大幅に簡素化されます。 The Digital Forgeのプリント品質とBlacksmithパーツ検査 ソフトウェアのおかげで、このチェックゲージや、高い精度 を必要とするその他のパーツを、高い再現性で正確にプリン トでき、費用と時間のかかるプリント後の加工のためにパー ツを外部に送る必要もありません。 航空宇宙用3Dプリント複合パーツ 13
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ドリルテンプレート(Onyx、連続カーボンファイバー)。 3Dプリントを使用すれば、円形 ドリルテンプレートは、穴によってドリルを正しい場所に ここに示すドリルテンプレートは、円形の物体に穴を空 の共形ドリルテンプレートを社内 導く必要があるため、剛性が重要です。連続カーボンファ けるためのものです。ただし、曲線エッジ用の共形ドリ で製造でき、リードタイムを短縮 イバーによる補強を使用することで、ドリルから加わる ルテンプレートは、加工に時間がかかり、マテリアルの して、複雑さによるコストの増加 振動力に耐えるために必要な強度と剛性を持つドリルテン 大きいブロックが必要なため、加工コストがかさみます。 を防ぐことができます。 プレートを作成できます。 航空宇宙用3Dプリント複合パーツ 14
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溶接固定具(Onyx)。当初、この溶接固 ただし、溶接で作られた初期の固定具には、設計 溶接固定具を3Dプリントすることで、 定具は、金属板を溶接することによっ の自由度が制限されるという問題がありました。 設計の自由度が格段に上がりました。 て作られていました。このような溶接 溶接の形状を固定具の形状に合わせて設計しな 必要に応じて溶接を設計した後、カスタ 固定具は、大型の溶接金属ラックを ければならないため、不要な制限が生じていた マイズした溶接固定具を短時間で安価に 製造する際に必要です。 のです。 プリントすることができるからです。 航空宇宙用3Dプリント複合パーツ 15
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ソフトジョー(Onyx、連続カーボンファイバー)。 このソフトジョーのペアは、フライス盤のワーク保持具と して使用されます。通常、ワーク保持具は機械加工によっ て金属から作られます。それは、このパーツが、フライス 盤の強い力に確実に耐えられる必要があるからです。 写真のようにワーク保持具を3Dプリントすることで、必要 な形状と向きでパーツをプリントでき、設計の自由度が上 がります。連続カーボンファイバーをプリントに使用する ことで、パーツは高い剛性と強度を持ち、フライス加工の 間中対象をしっかりと保持できる耐久性を備えています。 Onyxは、フライス加工に使用される工業用クーラントに対 して高い耐性を持つため、従来のフライス盤用の類似パー ツのように液体にさらされることで劣化するおそれがあり ません。 Onyxはパーツに傷を付けるおそれがないため、金属製の ワーク保持具を使用した場合に懸念される金属パーツ表面 のひっかき傷などの損傷を心配する必要はありません。こ のため、装飾用途にも使用できます。 航空宇宙用3Dプリント複合パーツ 16
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最終用途パーツ 交換用ナットプレート(Onyx FR-A、連続カーボ ナットプレートは、実験用航 ンファイバー FR-A)。交換用ナットプレートは、 空機の作成ではいたるところ アディティブ製造によって簡単、高速、安価に製造 に用いられます。航空機部品 できます。シンプルなCADソフトウェアと穴の を分解する際に、ナットプレー 間隔の測定だけで、ほんの10分間、わずか1ドル トを破損したり紛失したりす でこのパーツをプリントできます。 ると、調達の問題が生じるこ とがあります。 航空宇宙用3Dプリント複合パーツ 17
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金めっきベゼル(Onyx FR、連続カーボンファイバー)。これ らのベゼルは、スクリーン取り付け用ブラケットおよび制御 ユニット用ハウジングとともに、機内エンターテインメント システムの改修キットの一部です。Markforged 3Dプリン ターの高品質の表面仕上げによって、美観を要求されるこの ような装飾用パーツを簡単にプリントできます。これらのベ ゼルは、社内で短時間で安価に作成され、短いターンアラウ ンドタイムで、美しい表面仕上げを実現できました。 このパーツを3Dプリントすることで、メーカーは、特定の 時点で在庫がある金属の種類、使用可能な原材料の量、何種 類かのマテリアルやサイズの在庫を保持しておく必要性と いった一般的な制約から解放されます。 Onyxは、美しい表面仕上げが可能なので、このようなパーツ の製造には特に適した汎用マテリアルです。プリントしたパー ツは、木目のような外観を持たせたり、塗装したり、めっき して金属のように見せたりすることができます。 航空宇宙用3Dプリント複合パーツ 18