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超音波攪拌(ナノレベルの攪拌・乳化・分散・粉砕)技術

製品カタログ

--メガヘルツ超音波の非線形振動現象を制御する技術による攪拌--

超音波攪拌(ナノレベルの攪拌・乳化・分散・粉砕)技術
--メガヘルツ超音波の非線形振動現象を制御する技術による攪拌--
     超音波システム研究所 斉木 和幸
はじめに
超音波を利用した攪拌・乳化・分散・粉砕技術は、
一般的に、以下のような問題を指摘されている。
1)対象物・対象液の状態に合わせた、
超音波(出力・周波数)の最適化(ダイナミック制御)が必要。
2)容器を利用する場合、容器内が、真空・空中では効果が小さい。
3)ナノレベルの超音波刺激(高い周波数・音圧レベルのダイナミックな変化)は難しい。・・・・

・・・・

超音波システム研究所は、2012年に超音波の音圧測定解析システムを開発(製造販売)し、2023年の現在まで様々な攪拌装置を含めた超音波機器の音圧を測定解析して、コンサルティング対応して来た。

この経験から、ナノレベルの攪拌において、最も重要な事項が、
非線形振動現象(攪拌液の音響流、対象物の表面に伝搬する表面弾性波)である。

超音波の音圧データを測定・解析(自己相関・バイスペクトル・応答特性)・評価することで、
超音波の振動現象(キャビテーションと音響流)について、
ダイナミック特性の分類を実現した。

このカタログについて

ドキュメント名 超音波攪拌(ナノレベルの攪拌・乳化・分散・粉砕)技術
ドキュメント種別 製品カタログ
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超音波攪拌(ナノレベルの攪拌・乳化・分散・粉砕)技術 --メガヘルツ超音波の非線形振動現象を制御する技術による攪拌-- 超音波システム研究所 斉木 和幸 はじめに 超音波を利用した攪拌・乳化・分散・粉砕技術は、 一般的に、以下のような問題を指摘されている。 1)対象物・対象液の状態に合わせた、 超音波(出力・周波数)の最適化(ダイナミック制御)が必要。 2)容器を利用する場合、容器内が、真空・空中では効果が小さい。 3)ナノレベルの超音波刺激(高い周波数・音圧レベルのダイナミックな変化)は難しい。 4)対象物・対象液の攪拌状態は、単調な超音波刺激を継続すると、 低周波の共振現象を発生させ、全体を揺らすだけの(攪拌効果の小さい)状態になる。 5)水槽・治工具・超音波振動子(超音波発振プローブ)の形状・材質・構造により 振動モードが、(攪拌効率の低下した)低周波の振動状態になる。 6)攪拌装置の振動測定解析に基づいた、攪拌制御システムの検討が必要。 以上の対応として、 攪拌目的に合わせて超音波の状態をコントロール可能にした超音波攪拌装置は無い。 主要な理由は、以下の2点である。 1)目的の攪拌状態に適切な超音波の伝搬状態が明確になっていないこと (超音波の測定解析技術)。 2)超音波攪拌経過に対応したダイナミックな超音波振動の制御が行われていないこと (超音波のダイナミック制御技術)。 超音波システム研究所は、2012年に超音波の音圧測定解析システムを開発(製造販売)し、 2023年の現在まで様々な攪拌装置を含めた超音波機器の音圧を測定解析して、 コンサルティング対応して来た。 この経験から、ナノレベルの攪拌において、最も重要な事項が、 非線形振動現象(攪拌液の音響流、対象物の表面に伝搬する表面弾性波)である。 超音波の音圧データを測定・解析(自己相関・バイスペクトル・応答特性)・評価することで、 超音波の振動現象(キャビテーションと音響流)について、 ダイナミック特性の分類を実現した(図1)。
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この分類に基づいて、超音波攪拌装置のダイナミック制御による、ナノレベルの攪拌・乳化・ 分散・洗浄・加工・化学反応・表面処理・・・・の論理モデルを開発した。 その結果、各種の目的に合わせた超音波攪拌のダイナミック制御システムが実現した。 図 1:キャビテーション・音響流の分類(超音波のダイナミック特性分類モデル) 特に、100kHz以下の超音波発振(出力100-300W)と1メガヘルツ以上の超音波発 振(出力5-20W)による50メガヘルツ以上の高調波の組み合わせが、金属粉末や食品粉 末の組織レベルへの超音波刺激として実現可能になり、新しい効果に発展している。
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1.どのようにして解決するのか? 1.1 原理 1.1.1 対象物を容器に入れ、(約 70%程度の真空度:10-40kPa)真空にする。容 器内には、対象物の必要に応じてアルコール等の液体も入れる。対象が粉末の場合は、空気と 一緒の状態から真空装置で真空にする。(ナノレベルの物質・空気(液体の場合は溶存気体)の 化学反応を抑えるための真空レベルが必要 例:食品粉末のナノ化 酸化防止) 1.1.2 対象物は、容器との接触部から超音波伝搬が起きる。主要操作として、容器の動 き(回転・揺動)により、対象物には、ダイナミックな動きが発生する。容器には、超音波水 槽内の超音波が伝搬した液体の流れや、回転装置の操作による動きにより、表面弾性波が変化 を伴って伝搬する。
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1.1.3 超音波は100kHz以下で発振機の出力50-600Wの発振制御(例:23 秒ON 11秒OFF あるいは37秒ON 14秒OFF)と、発振器の出力30W以下で メガヘルツ(例:1-24MHz あるいは83kHz-23MHz)の発振制御を組み合わ せてキャビテーションと音響流をコントロールする。 1.1.4 以上の結果、対象物の表面、あるいは対象液に、目的の効果に応じた音圧レベル (数十キロヘルツから百メガヘルツ)の超音波振動が伝搬する。 液循環や容器の動きの影響を音圧測定解析に基づいた、超音波のダイナミック特性分類モデル により、容器内に0.1~1ms(千分の一秒)以内の時間で、非線形の振動モード(バイス ペクトル)がダイナミックに変化する(100kHz~100MHzの伝搬周波数のピーク値 が変化する)ように出来る。ナノレベルへの対応として、制御設定の最適化により、1~10 μs(十万分の一秒)以内の時間で、非線形の振動モード(バイスペクトル)がダイナミック に変化する(1kHz~100MHzの伝搬周波数のピーク値が変化する)ことで、ナノレベ ルの超音波攪拌・乳化・分散・粉砕が実現する。
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1.1.5 さらに、複数の超音波・複数の液循環・・各種制御の最適化により、単調な振動 現象(低周波の共振現象)にならないように非線形な伝搬現象を、対象の状態変化の範囲に合 わせて最適化することで、「安定した、環境に影響されない」攪拌が可能になる。 1.1.6 容器内の真空状態は、超音波伝搬と化学反応(例:酸化)とのトレードオフであ る。音圧測定・解析により(音圧レベルと高調波による非線形現象の)最適化を行うことが必要。 1.1.7 容器の材質・構造・表面(対象物と接触する側も含め)状態に合わせた、 音響特性(超音波伝搬特性)について、音圧測定・解析により(治工具と対象物・対象液の) 最適化(超音波変化の音圧レベルと主要周波数の変化範囲設定)を行うことも必要。 1.1.8 最も重要な事項(ノウハウ)は、容器内の対象の動きとして、対象が容器に接触 する面積・力・頻度・変化を目的(攪拌レベル:サイズ・流動性・均一性)に合わせて、音圧 測定解析により(バイスペクトルの変化の範囲を)最適化することである。 1.2 実施の形態
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(超音波による化学反応処理)
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超音波攪拌装置(洗浄液と水槽)の音圧測定 【上記グラフの説明】 グラフ1(上) 縦軸:電圧 最大500mV 横軸:時間 最大5ms グラフ2(下) 縦軸:パワー dBu 横軸:周波数 最大790kHz 超音波発振1 300kHz~4.5MHz スイープ発振(linear) 出力18W 超音波発振2 3MHz パルス発振 出力13W 超音波発振3 40kHz 出力200W
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(水と油の攪拌・乳化処理) 超音波攪拌装置(洗浄液と水槽)の音圧測定 【上記グラフの説明】 グラフ1(上) 縦軸:電圧 最大500mV 横軸:時間 最大1ms グラフ2(下) 縦軸:パワー dBu 横軸:周波数 最大3.2MHz 超音波発振1 800kHz~12MHz スイープ発振(linear) 出力15W 超音波発振2 5MHz パルス発振 出力10W 超音波発振3 40kHz 出力200W
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(粉末の超音波攪拌・分散処理) 超音波攪拌装置(洗浄液と水槽)の音圧測定 【上記グラフの説明】 グラフ1(上) 縦軸:電圧 最大500mV 横軸:時間 最大500μs グラフ2(下) 縦軸:パワー dBu 横軸:周波数 最大12.5MHz 超音波発振1 3MHz~20MHz スイープ発振(linear) 出力18W 超音波発振2 11.5MHz パルス発振 出力14W 超音波発振3 40kHz 出力170W
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音圧データの解析結果(自己相関・バイスペクトル・パワースペクトル) 1.3 音圧データの測定・解析・確認 1.3<< 超音波の音圧測定・解析 (超音波のダイナミック特性評価)>> 1.3.1 時系列データに関して、多変量自己回帰モデルを利用したフィードバック解析に より、測定データの統計的な性質(超音波の安定性・変化)を解析評価 1.3.2 超音波発振による、発振部の影響を、対象物の表面状態に関する超音波振動現象 のインパルス応答特性・自己相関の解析結果として評価 1.3.3 発振と対象物(洗浄物、洗浄液、水槽・・)の相互作用を、パワー寄与率の解析 結果として評価 1.3.4 超音波の利用(洗浄・加工・攪拌・・)に関して、超音波効果の主要因である対 象物(表面弾性波の伝搬)、あるいは対象液に伝搬する超音波の非線形現象を、バイスペク トルの解析結果として評価 以上の解析方法は、超音波の音圧測定により、複雑な超音波振動のダイナミック特性を、時系 列データの解析手法に適応させる、これまでの経験と実績に基づいて実現している。 注:解析には下記ツールを利用 注:OML(Open Market License) 注:TIMSAC(TIMe Series Analysis and Control program) 注:「R」フリーな統計処理言語かつ環境
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音圧データの解析結果(バイスペクトルの変化 矢印は20μs経過) 音圧データの解析結果(自己相関の変化 矢印は20μs経過)
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音圧データの解析結果 (自己相関・バイスペクトル・パワースペクトル・パワー寄与率)
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1.4 超音波プローブの製造技術 1.4.1 超音波の音圧測定プローブ 測定(解析)周波数の範囲(0.1Hz~100MHz)に対して、同じ特性の超音波プロ ーブを製造するために、超音波とファインバブルにより、超音波素子と超音波素子に取り付け る部材に対して、表面残留応力の緩和処理を行う。 特に、低周波の振動特性や24時間の連続測定を行うためには、表面残留応力の緩和処理と ともにエージング処理が必要である。 このような超音波プローブを利用して、様々な同時測定(攪拌液、攪拌対象物、攪拌水槽、治 工具の表面振動、・・の音圧測定)を行う。 測定した音圧データについて、位置や状態・環境による影響を考慮した解析で、各種の振動・ 相互作用を音響特性として検出・評価する。
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1.4.2 超音波の発振制御プローブ 超音波発振制御プローブは、超音波素子の振動面を、調整(注)することで、0.01Hz~ 1GHzの範囲の測定・発振・解析・制御を可能にする。 注)超音波素子の振動面について、微細な加工・微細な部品の接着、あるいは音響特性を確認 している対象物(金属、ガラス、樹脂、・・)を、接着することで、超音波のスイープ発振によ り、表面弾性波が各種形状のエッジ部の複雑な伝搬状態の変化により、1/100、1/10 のサブハーモニック、あるいは、10次、100次の高調波を簡単に発生・制御可能にする。 その結果、目的とする超音波伝搬現象を、効率よく実現できる、超音波発振制御プローブの製 造と超音波発振制御を実現する。
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2.どうして新しい超音波システムなのか? 超音波システムの特徴 1.超音波とファインバブルによる表面改質(表面残留応力の緩和)技術 2.統計数理に基づいた、時系列データのフィードバック解析技術 上記1,2により、超音波振動子・超音波水槽・治具・・・の表面残留応力分布が均一になり、 利用目的に合わせた効率の良い超音波の制御が簡単に実現出来る。さらに、現状では検出・解 決が難しい、時間経過とともに瞬間的に変化する超音波伝搬状態の最適化問題を、音圧データ の自己相関・バイスペクトル・パワー寄与率・インパルス応答特性を評価することで解決した。 その結果、超音波システム研究所は、「メガヘルツの超音波制御による非線形現象のコントロー ル技術」を利用した、ナノレベルの超音波攪拌制御システムを開発。 超音波発振制御プローブとファンクションジェネレータにより 20kHz~24MHz の超音波 発振制御を行うことで、1kHz~100MHzのダイナミックな超音波振動(伝搬状態)制 御が可能な技術に発展した。 超音波伝搬状態の測定・解析・評価・技術に基づいた、攪拌・乳化・分散・粉砕への新しい応 用技術として、2019 年 7月以降、コンサルティング実績を増やしている。 各種(対象物・対象液・装置・治工具)の音響特性(表面弾性波)を利用することで、20W 以下の超音波出力で、2000リットルの水槽でも、1000kg以上の対象物でも、超音波 刺激は制御可能。 弾性波動に関する工学的(実験・技術)な視点と、抽象代数学の超音波モデルにより、非線形 振動現象(音響流)の応用方法として開発。 ポイントは、治工具(弾性体:金属・ガラス・樹脂)に伝搬する表面弾性波の利用。対象物の 特徴による超音波の伝搬特性を測定・解析・確認することで、オリジナル非線形共振現象(注 1)として応用。 注1:オリジナル非線形共振現象 オリジナル発振制御により発生する高調波の発生を、共振現象により高い振幅に実現させたこ とで起こる超音波振動の共振現象