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原理から理解する「3D スキャナーの基礎&使い方」

ホワイトペーパー

3Dスキャナーの測定原理を理解して、業務にあった機種を選定しましょう。

3Dスキャナーは便利な計測器ですが、世の中の情報やカタログを見渡せば、価格、機能、製造元など、非常にバラエティに富みます。また同じようなクラスの機器であっても、方式の違いがあります。これでは、「何をどうやって選べばいいのか、よく分からない」という方も少なくないと思います。ですが、3Dスキャナーの原理への理解を深めれば、自分の現場に合った計測機器を選定することが可能です。

本資料では、まず3Dスキャナーの測定原理や、それぞれの方式について分かりやすく説明した上で、機器選定時のチェック項目、上手に測定するためのポイントについて紹介していきます。
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アンリツはCreaform (クレアフォーム)社製3Dスキャナーを取り扱っております。

【HandySCAN 3D】
携帯性に優れ、対象物を高精度に(最大0.025 mm)短時間でキャプチャーできるのが特長です。
環境の変化や対象物の動きにも左右されずに測定できるため、品質保証や製品開発向けの理想的なツールです。

【Go!SCAN 3D】
セットアップ不要で、対象物に向け、撮影するだけでスキャンできるよう設計されています。
小さな部品でも、大型の対象物でも、誰でも数分でカラー情報付きでスキャンできます。スキャン経験がなくても心配いりません。

【MetraSCAN 3D】
品質や効率性に妥協したくない生産責任者やメトロロジー責任者向けに特別に設計されたスキャナー(3D光学式CMM)です。
MetraSCAN 3Dは、対象物が動いたり、振動や不安定要因があるといった、あらゆる生産環境に耐え得るだけでなく、3D測定ワークフローも加速させます。

※アプリケーション:
寸法検査,リバースエンジニアリング,プロトタイピング,設備管理,非破壊検査,文化財,デジタルアーカイビング

このカタログについて

ドキュメント名 原理から理解する「3D スキャナーの基礎&使い方」
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
ファイルサイズ 1.2Mb
登録カテゴリ
取り扱い企業 アンリツ株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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White Paper Note 原理から理解してスッキリ! 3D スキャナーの基礎と使い方 3D スキャナーは、さまざまなモノを詳細かつ 3 次元的に寸法値取得がで きる便利な道具です。「スキャナー」という事務機器のような名称である ものの、「寸法測定機」の一種です。3D スキャナーでの寸法測定は、ノ ギスやマイクロメーター、メジャーなどアナログな測定器でコツコツと 計測するよりもはるかに捗る上に、測定精度も高く、かつ測り間違いも 激減します。そこから取得可能なデジタルな 3D 寸法データは、PC に取 り込んで測定レポートや 3D CAD などを用いて分析や設計支援といった 用途に活用できます。 そのような便利な道具ですが、世の中の情報やカタログを見渡せば、価 格、機能、製造元など、非常にバラエティに富みます。また同じような クラスの機器であっても、方式の違いがあります。これでは、「何をどう やって選べばいいのか、よく分からない」という方も少なくないと思い ます。ですが、3D スキャナーの原理への理解を深めれば、自分の現場に 合った計測機器を選定することが可能です。 本資料では、まず 3D スキャナーの測定原理や、それぞれの方式につい て分かりやすく説明した上で、上手に測定するためのポイントについて 紹介していきます。
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本資料における「3D スキャナー」とは 「3D スキャナー」は、モノの寸法情報を XYZ の 3 軸から立体的に取得する、「3 次元計測システムの一種」です。3 次元 計測システムには、大きく、測定物に触れて計測する「接触式」、触れずに計測する「非接触式」とありますが、レーザ ー照射して 3D 形状情報を取得する 3D スキャナーは後者に該当します。 3 次元計測システムとは 上図のように、非接触式システムは、「レーザー照射」と「カメラ撮影」に分類できます。さまざまな角度から写真撮影 して立体を捉える「フォトグラメトリー」も、報道やマーケティングなどのシーンで「3D スキャナー」と呼称される場 合もありますが、本資料ではそれとは区別します。 また図 1 では、レーザーをモノに照射して寸法情報を把握する「レーザー照射」について、「パターン投影」「光切断」 「TOF(Time-of-Flight):タイムオブフライト」の 3 方式に分類しています。本資料ではそのうち、パターン投影と光切 断による幾何形状認識技術を「3D スキャナー」、距離測定技術の「TOF(Time-of-Flight)」については「レーザートラッ カー」と分けて定義します。後者も「3D スキャナー」と呼称される場合がありますが、本資料では前者と区別します。 3D スキャナーの方式と測定原理 3D スキャナーで寸法の根拠となるデータを取得する方法には、パターン投影式と光切断式があります。パターン投影式 には、「構造白色光式」、光切断式には「測定アーム型」「追跡型」「ハンドヘルド型」があります。 3D スキャナーが生成する 3D 形状のデータは、ポリゴンメッシュもしくは点群という細やかな測定点の集合データで、 機種や方式により異なります。また、形状と併せてカラーのデータを取り込むには、カラーカメラが付いた機種である必 要があります。 2
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パターン投影式 構造白色光式 3D スキャナー パターン投影式である構造白色光式 3D スキャナーは、測定対象に白色 LED 光の縞模様(パターン)を投影し、縞が表面 形状に沿ってどのように歪むかを画像センサー(CCD カメラ)で詳細に捉えて、寸法を伴う形状データとして処理しま す。 光切断式 光切断式は、線状のレーザー光を測定対象に照射し、その反射光を画像センサー(CCD カメラ)で捉えて、寸法値を伴う 形状データとして処理します。光切断式で測定する装置は、レーザー光照射やセンシング、校正の仕組みをどのような装 置(システム)構成で実現しているかで分類します 測定アーム型 測定アーム型は、CMM という座標測定機と測定アームで構成されます。三脚で固定された本体から伸びた関節付きアー ムの先端を測定対象に近づけて測定します。センサーと検針(プローブ)を付け替えることで、非接触測定と接触測定の 両方に対応できます。 追跡型 追跡型は、手に持ったり、ロボットに搭載し測定対象にレーザー照射する器具と、三脚で設置する光学追跡器(レーザー トラッカー)と組み合わせて測定します。測定物から反射したレーザー光を、測定物付近に置かれたレーザートラッカー が捉えます。ロボットに搭載して検査業務を自動化することは、昨今の自動車業界でのトレンドです。 3
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ハンドヘルド型 ハンドヘルド型は、PC に接続し、本体を直接手に持って測定する機器を指します。本体の中に、レーザー光照射、CCD カメラ、CMM がオールインワンで組み込まれています。2 つのカメラで測定物のポジショニングターゲットを読み取 り、立体視のようにして測定位置を定めます。三脚やアームを必要とせず、測定器本体を自由に動かすことができます が、そのためには対象物とスキャンの 3 次元空間での位置関係を把握処理する位置決め技術が重要になります。 ハンドヘルド型は万能の 3D スキャナではありません。位置決めの仕組みは、機種により異なり、導入前に対象物のサイ ズ・形状・測定精度・速度・価格など長所短所をよく理解する必要があります。 4
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各測定方式の長所と短所 これまで説明したそれぞれの方式の長所と短所は、下記の表の通りです。 方式 システム型 長所 短所 ▪ 1 回のスキャンで大量の ▪ 複雑な形状を詳細に捉えようと データを取得可能 するほど、測定に時間がかかる ▪ 解像度が高く、測定対象 ▪ 振動の影響を受けやすく、環境 パターン投影式 構造白色光式 の特徴を詳細に捉えるこ 制約が発生しやすい とが可能 ▪ 使用場所や測定対象が限定的で あり、柔軟性に欠ける ▪ 非接触測定と接触測定の ▪ 振動の影響を受けやすく、環境 切り替えが 1 つの装置で 制約が発生しやすい 可能 測定アーム型 ▪ 持ち運びがしやすい ▪ 使用場所や測定対象が限定的で あり、柔軟性に欠ける ▪ 測定ボリュームの大きさ ▪ トラッカーの性能によって処理 に関係なく測定精度を担 の制限がある 保できる ▪ スキャン対象と 3D スキ ▪ スキャンパラメータを拡張する ャナー本体の物理的リン と、プロセスが複雑になり、測 追跡型 クが不要で、測定者は自 定に不確実性が追加される可能 光切断式 由に動き回れる 性がある ▪ ▪ ハンドヘルド型比で高価 ▪ 持ち運びしやすい ▪ スキャン容量が大きくなるほど エラーが出やすい ▪ 位置決めが正確かつ柔軟 ▪ エラーが出やすい条件下でのセ ハンドヘルド型 ットアップにややコツがいる ▪ 測定中にポリゴンメッシ ▪ ポジショニングターゲットを必 ュデータが構築できる 要とする場合、大きなワークに は多くのターゲットを要する。 5
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パターン投影式は取得データが大きくなるほど処理に時間がかかってしまうため、比較的小型の測定物に向いています。 逆に大型の測定物を扱う場合には光切断式が適しています。特に追跡型は大型設備の測定などに向いていますが、同方式 の他の型と比較して高価になりがちです。特に予算に限りがある場合は採用が難しいかもしれません。 また追跡型は、測定機とレーザートラッカーの両方が必要であるため出張測定には不向きです。一方、測定アーム型やハ ンドヘルド型は運搬に適しており、出張測定などに向いています。ただし、測定アーム型は測定物や測定環境に制限があ るので、注意が必要です。その点、ハンドヘルド型は測定物や測定環境に柔軟に対応しています。 ハンドヘルド型「HandyScan 3D」の仕組み 同じ方式の中でも採用している技術や特色が少しずつ異なります。よってここでは、光切断法のハンドヘルド型 3D スキ ャナー「HandyScan 3D」(クレアフォーム製)を例にして、3D スキャナーの仕組みや使用方法について、掘り下げて説 明していきます。 HandyScan 3D は、1kg 弱と片手で持てるほどのポータブル機ですが、PC とケーブルで接続する必要があります。測定前 に約 30cm 四方に、背景や測定物に最低 3 つのポジショニングターゲットを設置し、装置に内蔵された 2 つのカメラで捉 えて位置決めすることで、測定準備が完了します。なお同機のポジショニングターゲットは、測定物に貼り付ける、丸く て白いシールです。 一度ターゲットの設定をすれば、スキャナーの位置を三角測量で随時割り出していくため、測定物は動かしても問題がな く、手に測定物を持って測ることもできます。 測定準備が出来た後は、HandyScan 3D から照射される複数本(機種によって本数が異なる)のレーザー光を測定物に浴 びせます。それと同時に本機のカメラが反射光を捉えながら、三角測量で寸法計測して 3D 形状を自動計算して割り出し ていきます。 また本機の場合は、データ取得しながら 3D のポリゴンメッシュデータ(STL)をどんどん生成していきます。生成して いる 3D データの進捗は、測定しながら PC の画面で確認できます。なおデータを 3D CAD で扱いたい場合には、測定し たてのデータ表面が荒いため、専用ソフトウェアで修正して、CAD に適したデータ形式に変換します。 「HandyScan」シリーズのレーザー色は、赤と青がありますが、青の方が高出力で、光沢面でのデータ取得により強くな ります。クレアフォーム社の製品はターゲットシールを貼り付けする機種が主流でしたが、近年は不要な機種も登場して います。 HandyScan 3D で上手に測定するためには? HandyScan 3D は、据置の三次元測定システムとは異なり、自動で位置合わせをして 3D 形状を取得するため、幾何や寸 法測定に詳しくない人であっても、特別な研修など必要なく簡単に寸法測定ができます。とはいえ、上手く測定するため の予備知識はある程度必要です。 光切断式は、反射光を捉えるため、光を吸収する黒や、光が通りすぎてしまう透過色の測定物が苦手です。例えば、黒以 外の色に塗装をするなどの対処をする場合もありますが、装置側の設定変更をした方が手間がかからない場合もありま す。苦手な条件を緩和するためのパラメータ設定やシャッターの取得時間をコントロールすることで、データをある程度 取得しやすくすることが可能です。 6
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測定物にターゲットシール(白い丸のシール)を貼り、3D スキャナーで測定する ターゲットシールの貼り方には注意が必要です。まず汚れている、あるいは破損や変形をしているターゲットシールを使 用しないようにします。ターゲットシールの設置の仕方としては、湾曲がなるべく大きいサーフェスを選びます。さら に、エッジ部や細い部分、表裏になるようなフィンやリブがある場合はその付近に追加するようにターゲットシールを貼 ります。また、ターゲットシールを均等にまんべんなく配置せず、ところどころ島になるような配置や、直線での配置を 避けます。そうすることで、エラーの少ないスムーズな三角測量の処理が行えます。 ハンディスキャナの 2 つのカメラを自分の目だと考えてください。対象物まで 30cm に近づき、30cm 四方内で目が 3 つ 以上のターゲットを捉えていれば、三角測量ができます。2 つ以下ですと、エラーが出てデータは得られません。 測定物周囲へのターゲットシールの配置例 測定対象が小物あるいは形状が複雑である場合、測定物の周囲にもターゲットシールを貼ります。あるいは測定物自身に 貼れない場合にも、周囲にシールを貼ることで測定ができます。測定物自身は動かしても問題ありませんが、ターゲット シールの位置は動かさないようにします。 7
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・測定のちょっとしたコツ 測定のコツとしては、測定物の中央から端に向かって移動させるようにレーザーを照射させていくとよいです。またスキ ャナー本体は測定面に対してなるべく垂直になるようにして動かします。多少傾いても問題がありませんが、傾きが大き くなるほどスキャン精度が落ちていくことを意識しておいてください。エッジ部(稜線)のデータを取りたい場合は、エ ッジに沿って平行にスキャナー本体を動かします。深い穴の奥など光が届きづらい部分を取る場合は、レーザーの本数を 1 本に絞って指向性を強くすることで、データが取得しやすくなります。 3D スキャナー選定チェックリスト 各方式の比較検討をする際、下記の評価項目が考えられます。 精度検証 ✓ トレーサビリティ ✓ 精度の定義(1σか 2σか) ✓ 繰り返し精度 使いやすさ ✓ 現場での準備、取り回し、スキャンのしやすさ ✓ ソフトの使い勝手 使用シーン ✓ ラインに固定して計測 ✓ 計測器までワークを運んで来て計測 ✓ ショップフロアで現場計測 測定効率 ✓ 測定時間だけでなく、準備と後処理の時間も評価する (デモはスキャンして終わりではない。前後の時間が意外とかかっている。) 保守サポート ✓ 保守の種類、サービス内容、カバー範囲、校正期間 ランニングコスト ✓ 消耗品、アクセサリ、年間の保守費用 投資対効果 ✓ 作業効率、スクラップコスト減、品質向上、対外的 PR 導入支援 ✓ ものづくり助成金の対象か ✓ リースでの導入は選択肢か 購入後の稼働率 ✓ 用途は限定的か、部門間で共有できるか 8
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既存ソフトウェアとの親和性 ✓ 新規ソフトウェアを購入要か(何ライセンス) ✓ 既存ソフトを使いまわせるのか ✓ リバースエンジニアリング用途、寸法検査用途のブリッジソフトは必要か さいごに 本資料で説明したように、3D スキャナーの操作は容易で、使用するための特別な研修や資格も必要ありません。今、使 うと決めさえすれば、すぐに立ち上がり、そのままデータ蓄積も始められ、DX(デジタルトランスフォーメーション) を進めることが可能です。ぜひ、あなたの現場でも導入してみてください。 参考文献: “3D Scanning With Structured Light” https://bitfab.io/blog/3d-structured-light-scanning/ 篠田達也 “3D 計測技術の動向とその応用” https://home.komatsu/jp/company/tech-innovation/report/pdf/168-J03.pdf “3D stereo cameras, High-speed cameras, Ultra high-fidelity cameras, Camera systems for X-ray applications” https://www.stemmer-imaging.com/fr-ch/donnees/cameras-3d-time-of-flight-cameras/ “What are the best photogrammetry software options for beginners?” https://medium.com/llamazoo-interactive/photogrammetry-software-for-beginners-2789b21e2f8e お見積り、ご注文、修理などは、下記までお問い合わせください。 記載事項は、お断り無しに変更することがあります。 アン リツ株式会社 環境計測カンパニー 営業本部 パートナーソリューションチーム 〒243-8555 神奈 川県厚木市恩名 5-1-1 お問い合わせ TEL. 046-296-6661 E-mail. contact-ps@anritsu.com http s://www.anritsu.com/ja-JP/partner-solutions/products/3dscanner/ ■記載内容は2021年6月現在のものです。 No. ES-GPB21158 (1.00) 9