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赤外線カメラの基礎

ホワイトペーパー

赤外線カメラをご検討・ご使用時に知っていると役立つ情報・知識をご紹介

目に見えない熱を視覚化できる赤外線カメラ。
近年、測定性能が飛躍的に向上し、低価格帯の製品も数多く出てきていることもあり、研究開発や品質保証だけでなく、電気設備、太陽光発電の保守、断熱不良や水漏れチェックなど様々な分野・用途で活用が拡大しています。

【主な内容】
1. 赤外線カメラとは?
2. 放射、反射、透過
3. 解像度、IFOV、最小焦点距離
4. 正確な測定をするための設定と反射への対応策
5. 熱電対と赤外線カメラの比較
6. 赤外線カメラの種類と用途

このカタログについて

ドキュメント名 赤外線カメラの基礎
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
ファイルサイズ 2.3Mb
登録カテゴリ
取り扱い企業 アンリツ株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

Page1

スライド番号 1

赤外線カメラの基礎 2021年06月 アンリツ株式会社
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スライド番号 2

赤外線カメラとは 赤外線カメラは、対象物から出ている赤外線を検出して、温度分布表示が行 えるカメラ。 人間の目では捉えられない物体の『表面温度』を測定でき、 サーモグラフィカメラ、サーモカメラとも呼ばれる。 高温 赤外線 (多) 赤外線 カメラ ・すべての物体から赤外線が 出ており、高温になるほど 多くの赤外線が出る。 低温 ・赤外線カメラは、物体から 出る赤外線を受けるだけ。 赤外線 カメラから何かを出している 訳では無い。 (少) ANRITSU CORPORATION プレゼンテーションタイトル 2
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スライド番号 3

赤外線とは 赤外線は、可視光よりも波長が長い電磁波で、人間の目では見ることができ ない。可視光線の赤色の外側という意味で赤外線と呼ばれる。赤外線は更に 波長の長さによって、近赤外線、中赤外線、遠赤外線の3つに分けられる。 0.2μm 0.4μm 0.75μm 1000μm 紫外線 可視光線 赤外線 近赤外線 中赤外線 遠赤外線 0.75μm 2.5μm 4.0μm 1000μm ANRITSU CORPORATION プレゼンテーションタイトル 3
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スライド番号 4

放射、反射、透過 赤外線カメラには、測定対象物が発する赤外線の『①放射』だけでなく、周 囲のモノから放射された赤外線が『②反射』や『③透過』した赤外線も混 ざって飛んで来る。 ①放射 : 対象物が発する赤外線 ②反射 : 対象物で反射した周囲からの赤外線 ③透過 : 対象物を透過した背後からの赤外線 赤外線カメラ ②反射 ①放射 測定対象物 ③透過 ANRITSU CORPORATION プレゼンテーションタイトル 4
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スライド番号 5

物体の放射率 物体の種類によって、放射率は異なる。 金属などの表面がピカピカしている物は、放射率が低い(反射率が高い) 放射率が高い=反射率が低い 放射率が低い=反射率が高い *例えば銅は、放射率:5%で、 反射率:95% ANRITSU CORPORATION プレゼンテーションタイトル 5
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スライド番号 6

反射による影響 表面がピカピカしている金属部分は、反射が大きいため、対象物の温度では なく、反射先の温度が鏡のように映るので注意が必要。 反射 可視画像 赤外線画像 ANRITSU CORPORATION プレゼンテーションタイトル 6
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スライド番号 7

透過 人間の目には透明でも、赤外線は透過しないモノもある。 反対に、人間の目には不透明でも赤外線を透過する素材もある。 プラスチック ガラス 水 ポリエチレン ゲルマニウム 透過 透過 しない する ANRITSU CORPORATION プレゼンテーションタイトル 7
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スライド番号 8

数値計測と相対比較 赤外線カメラを使用する目的は、主に『数値計測』と『相対比較』の2つが ある。 数値 この対象物が何℃なのかを 相対 周辺よりも高温になっている 計測 測りたい 比較 箇所を知りたい ⇒高い温度測定精度が必要なため、 ⇒温度分解能や画素数が重視される。 高性能カメラが必要となること 温度測定精度は不要なため が多い 安価なカメラで充分なことも多い ANRITSU CORPORATION プレゼンテーションタイトル 8
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スライド番号 9

解像度:必要な画素数は? 赤外線カメラの画像もデジカメと同じように、複数の画素(ピクセル)の集合で 作られている。測定対象物の大きさ・細かさで、必要画素数は変わる。 低画素カメラ カメラに 高画素カメラ で充分 必要な画素数 が必要 大きい・粗い 大きい・細かい 対象物の 小さい・粗い 大きさ・細かさ 小さい・細かい 極小 ANRITSU CORPORATION プレゼンテーションタイトル 9
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スライド番号 10

低画素と高画素カメラの違い(1/2) 同じ基板を映す場合でも、低画素カメラと高画素カメラでは、 以下のような違いが出る。 低画素:大きな部品の発熱状況しか分からない 高画素:小さな部品の発熱状況も分かる FLIR C2 FLIR T540 80×60 464×348 =4,800ピクセル =161,472ピクセル ANRITSU CORPORATION プレゼンテーションタイトル 10
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スライド番号 11

低画素と高画素カメラの違い(2/2) 必要な画像分解能が不足している場合、発熱箇所を見逃したり、測定結果が 10℃以上異なる可能性がある。 31.1℃ 40.8℃ 49.3℃ 画像分解能:低 画像分解能:中 画像分解能:高 測定対象 画素サイズ 小 :画素サイズが発熱ピークのサイズよりも充分に小さい場合、 50℃ 正確なピーク温度(100℃)を検出できる。 100℃ 大 :画素サイズが大きい場合、ピーク温度(100℃)と 周囲温度(50℃)の平均温度(例えば70℃)が表示される。 ANRITSU CORPORATION プレゼンテーションタイトル 11
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スライド番号 12

測定に必要な画素サイズ 基板搭載部品サイズと必要な画素サイズ 0603サイズ時の一例 JIS略称 EIA略称 長さ 幅 測定に必要な 0.6mm (mm) (インチ) [mm] [mm] 画素サイズ 0402 01005 0.4 0.2 66μm 0.3mm 0603 0201 0.6 0.3 100μm 1005 0402 1.0 0.5 166μm 0.1mm (100μm)の 1608 0603 1.6 0.8 266μm 画素サイズが必要 正確な温度測定を行うには、測定対象物が少なくとも3x3画素(合計9画素分) でカバーされることが必要。そのため、例えば、1辺が0.3mmの部品の温度を 測定するには、0.1mm(100μm)の画素サイズのカメラが必要。 ANRITSU CORPORATION プレゼンテーションタイトル 12
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スライド番号 13

IFOV(瞬時視野角) IFOVは、カメラを対象物から1m離した際の1画素の大きさを表す。 測定距離が決まれば、カメラの計測範囲と1画素の大きさを算出できる。 1m離れのC2の計測範囲 1画素の計測範囲 11㎜角 1m 縦: 66㎝ (11mm x 60画素) FLIR C2の例 ・IFOV:11mrad *1m離れの1画素が11mm角 ・80x60画素 横: 88㎝ (11mm x 80画素) ANRITSU CORPORATION プレゼンテーションタイトル 13
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スライド番号 14

距離と計測範囲の関係  対象物が遠いほど、カメラの計測範囲は広くなるが、画像は粗くなる  遠方から小さい対象物を計測する場合、IFOVの良いカメラが必要 0.14mm 1.65mm 0.23mm 2.75mm 0.9mm 11mm 15cm 25cm (IFOV) 1m 10m 10m 20m 110mm 220mm 9mm 18mm 15cm 25cm 1m 10m 20m (IFOV) FLIR C2 1.65 mm 2.75 mm 11 mm 110 mm 220 mm FLIR T540 0.14 mm 0.23 mm 0.9 mm 9 mm 18 mm ANRITSU CORPORATION プレゼンテーションタイトル 14
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スライド番号 15

赤外線が届く距離 Q: 赤外線カメラは、どのくらいの距離まで測定可能か? A: 赤外線は数100m程度であればほとんど減衰なく カメラに届く。ただし、測定対象物が小さい場合には、 画像分解能の限界のため温度が正確に計測できない ことがある。 ANRITSU CORPORATION プレゼンテーションタイトル 15
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スライド番号 16

最小焦点距離  最小焦点距離は、カメラの焦点(フォーカス)が合う、最短の距離を指す。  この距離よりも近づけて測定すると、焦点が合わないため、画像が不明瞭 となり、測定結果も不正確になる。 *メーカによっては、測定距離範囲と温度精度の保証範囲が異なることが あるので注意が必要。 (例)測定距離範囲:10cm~、温度精度保証:30cm~  測定距離が近いほど、小さな画素サイズを実現できるため、微小な対象物を 測定するには、最小焦点距離とIFOVの両方の性能が重要となる。 焦点が合う 最短の距離 測定対象物 ANRITSU CORPORATION プレゼンテーションタイトル 16
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スライド番号 17

接写(顕微)レンズ  接写(顕微)レンズは、電子部品、プリント基板などの極小対象物の温度 計測用途に使用される。  接写レンズから対象物の焦点距離はWD(ワーキ ングディスタンス)と呼ばれる。  通常のレンズとは異なり、焦点距離が固定とな り、分解能(画素サイズ)も固定になる。 ANRITSU CORPORATION プレゼンテーションタイトル 17
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スライド番号 18

正確な測定をするための設定 1. 放射率:100%放射の理想物である黒体と比較して、実際に対象物 から放射されるエネルギーの比率。物体の種類によって 異なる。 (スライド5 参照) 2. 反射温度:対象物で反射してカメラに入る周囲物体の温度 3. 対象距離:カメラと対象物の距離 4. 大気温度:カメラと対象物の間の空気の温度 5. 相対湿度:カメラと対象物の間の空気の湿度 * 最も測定結果に影響を与えるパラメータは『放射率』 *『放射率』が低い場合は、『反射温度』の設定値は重要になる *『対象距離』、『大気温度』、『相対湿度』は、測定距離が 数m以下の場合には影響は小さい ANRITSU CORPORATION プレゼンテーションタイトル 18
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スライド番号 19

反射に対する対応策 放射率の低いモノや金属などの表面がピカピカしているモノを測定する場合、 反射の影響で正確な温度測定ができなくなるため以下のような対応策が必要。 ①反射先の環境を一定にして補正 ・ダンボールなどの安定した温度(=室温)となるモノをカメラと反射先の 間に置き、周囲にある照明や電子機器などの熱源からの反射の影響を 遮断し、補正しやすくする。 ②黒体テープを貼る ・黒体テープを測定対象物に貼りつけて測定を行う ・キレイに剝がせるタイプの黒体テープもある ・対象物が微小な場合には、貼りつけが大変 ③黒体スプレーを使用する ・黒体スプレーを測定対象物に塗布して測定を行う。 ・微小な対象物や凹凸のある対象物の場合に有用 ・スプレーの色は落ちないので、通常、サンプル・ 試作品などで使用される ANRITSU CORPORATION プレゼンテーションタイトル 19
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スライド番号 20

熱電対と赤外線カメラの比較 熱電対 赤外線カメラ  多点測定が瞬時にできるため、意図  安価 しない箇所の発熱も確実に捕捉  奥まった場所でも測定可  非接触で測定が容易 長所  測定対象物の材質を気にしない  非接触測定のため、測定対象物に 影 響を与えない  特定箇所の温度しか見れないので、 意図しない箇所の発熱を取りこぼす  反射率が高い場合は対策が必要  対象物が微小な場合、取付けが困難  直視できない奥まった場所の温度 測 定は苦手 短所  対象物が微小な場合、接触した熱 電 対に熱が逃げ、対象物の温度が  熱電対と比べると高価 低く なる ANRITSU CORPORATION プレゼンテーションタイトル 20