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三次元測定機・画像測定機用 フィクスチャーの使い方

製品カタログ

(著者)大場 達史氏

航空機、自動車、エレクトロニクス産業、医療用アプリケーションなどにおいて、どのような形状の部品でも測定機を用いて検査する場合、治具を利用することで繰返し精度の高い、安定した測定を行なうことができる。

これまで量産品などの場合には、部品の形状を測定する際にワークを安定して保持するために、部品ごとに専用の治具を製作しなければならなかった。またワークが少量の場合には、マグネットベースや、その他の手持ちの部品を用いて時間をかけることによって、なんとか計測対象ワークを固定する方法で対応していた。

しかしこのような方法では、ワークを固定するための準備に時間がかかり、さらに費用もかさむなどの課題を抱えていた。当社ではどのようなワークでも簡単に、短時間に、また専用ではなく汎用的に使用できる測定機用治具の販売を開始した。
ここではこれら治具部品を使用したワークの固定方法を中心に紹介する。

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このカタログについて

ドキュメント名 三次元測定機・画像測定機用 フィクスチャーの使い方
ドキュメント種別 製品カタログ
ファイルサイズ 4.6Mb
登録カテゴリ
取り扱い企業 レニショー株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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三次元測定機・画像測定機⽤ フィクスチャーの使い方 大場 達史 ツールエンジニア 2015 年 2 月号より抜粋
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航空機,自動車,エレクトロニクス産業,医療用 ●ワークの基本的な固定方法 アプリケーションなどにおいて,どのような形状の どのようなワークの固定でも,基本的な原則を守 部品でも測定機を用いて検査する場合,治具を利用 ることが重要である.これを忘れず実施することで, することで繰返し精度の高い,安定した測定を行な 安定した計測作業として,繰返し精度の高い測定を うことができる. 行なうことができる. これまで量産品などの場合には,部品の形状を測 (1)治具のワーク固定原理 定する際にワークを安定して保持するために,部品 どのような固定においても最も重要な原理である. ごとに専用の治具を製作しなければならなかった.ま ① Z 軸上に 3 か所の支持 たワークが少量の場合には,マグネットベースや,そ ② X 軸に 2 か所の固定 の他の手持ちの部品を用いて時間をかけることに ③ Y 軸に 1 か所の固定 よって , なんとか計測対象ワークを固定する方法で まず初めに,対象部品を 3 か所のピンで支持する 対応していた. (図1).これにより Z 軸方向への動きを固定する(大 しかしこのような方法では,ワークを固定するた きい部品や重い部品などの場合には,3 か所以上で支 めの準備に時間がかかり,さらに費用もかさむ,な 持する). どの課題を抱えていた.当社ではどのようなワーク 次に X,Y 方向への動きを固定する. でも簡単に,短時間に,また専用ではなく汎用的に X 軸方向への動きを固定するために 2 か所,Y 軸 使用できる測定機用治具の販売を開始した. 方向を固定するために 1 か所を支持する(図 2). ここではこれら治具部品を使用したワークの固定 (2)クランプ 方法を中心に紹介する. クランプすることにより,測定中にワークが動か 図1 Z軸方向への固定 2
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図2 XY方向の固定 図3 クランプ方法 (a)高さ調整用 (b)角度調整用 写真1 高さ調整用コンポーネント  写真2 調整用ねじ ないように固定する.基本的には,支持棒の上でク 治具製品のコンポーネントを使用した,いろいろな ランプを行なう.クランプによりワークが変形しな ワークを例に固定方法を解説する. いようにするだけではなく,基準面へしっかりと押 (i)高さや角度調整用コンポーネントを用いる場合 付けることができる(図 3). 高さを少し調整したい,斜めに傾いた製品を斜め (3)多様なワークを固定する方法 位置からサポートしたいなどの場合には,調整機構 加工された部品は,円筒形状,複雑な自由形状を のあるコンポーネントはワークをしっかりと固定す 持った製品,柔らかく形状の変形しやすい製品など るのに有効である(写真 1,写真 2). さまざまである.これら部品を固定するには,それ しかし治具構成を頻繁に変更するような場合は,同 ぞれの部品にあった治具が必要になる.次に当社の じ構成を再現しやすくするため,調整機能はできる (a)水平 (b)傾斜 写真3 円筒部品の固定 3
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だけ少ないほうがよい.またノギスなどで,治具の 長さを測定し記録しておくと,治具構成を容易に再 現しやすくなる. (ii)パイプなど円筒形状の製品固定 先端が丸みのある形状のコンポーネントを用いる と,円筒部品を支持しやすくなる.当社では,雌ね じのあいた支持棒に,丸みのあるピンを自由に組む ことができるため,さまざまな円筒形状の製品を容 易に固定できる. 写真4 丸みのある支持ピン 先端が V 字形状のコンポーネントも,丸みのある 写真5 針金状のワークの固定 (a)磁石による固定 (b)磁石を利用した支持棒 写真6 4
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写真7 タワーを用いた部品の固定 写真8 垂直ベースプレートを用いた部品の固定 形状のワークを固定するのに有効である(写真 3,写 ことで,樹脂材など柔らかい材質の製品を変形させ 真4).針金状のワーク固定の例を次に示す(写真5). たり,傷つけたりすることなく固定できる(写真 9, (iii)鉄材質製品の固定 写真 10). 磁石を利用したコンポーネントを用いることで,鉄 製の部品を容易に固定することができる(写真6).支 ●3次元測定機用治具 持棒にも数種類あり,V 字型や平面,また,ピンの 写真 11に 3 次元測定機用治具の例を示す. 立った製品などがある(写真 6). (1)プレート (iv)ケースなど立て掛けた状態でワークを測定し 通常,3 次元測定機の定盤には穴が数箇所しかあい たい場合の固定方法 ていない.これでは,ものを自由に固定することが 支持棒やテンションクランプを取り付けられるタ できない.このような場合,穴が複数あいたプレー ワー状のコンポーネントを用いることで,定盤を立 トを定盤上に設置すると便利である.当社では, てたような形でワークを固定できる(写真7,写真8). M4,M6,M8 タイプのプレートを標準で 150mm ~ (v)柔らかいプラスチックや薄板などの固定方法 1200mm の範囲で用意している(写真 12). ワイヤ状のテンションクランプや吸着盤を用いる また,これ以上の寸法でも,特注仕様として製作 写真9 樹脂材の固定 写真10 吸着盤を用いた固定 5
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写真11 3次元測定機用治具 (2)クランプツール クランプ(写真 13)には,主にテンション・クラン プ [写真 13(a)] を使用する.これまでは,ねじで締 付けるなど,時間もかかり締付ける力の調整もむず かしかったが,テンション・クランプは,単にワー ク上に抑えることで固定できる.またプッシャ・ク ランプ [写真 13(b)] は,スプリングなどでワークを 押さえることができる [写真 13(c)]. ●画像測定機用治具 バックライトの使用を考えて設計されたアクリル 製のベースプレートは,透明でクリアに製作されて おり,はっきりとした画像としてワークを捉えるこ 写真12 プレート とがでる.また,バックライトやプローブの動きの 邪魔をすることなく短時間にさまざまなワークを固 することは可能である.プレートは,アルミニウム 定できる. 鋳造で Nituff ハードコートにより硬くコーティング (1)QLC(クイック・ロード・コーナ) されており,傷が付きにくい構造になっている. 各画像測定機メーカーの寸法に合わせ,取付け用 また 600mm 以上のプレートには,取付け用の穴が の穴を加工している(写真 14).また,QLC とアクリ あいている.また格子状にあいた穴には,英数字を ル・プレートには磁石が取付けられているため,簡 配置している.また,すべてのコンポーネントには 単に脱着ができ,しっかりと固定も行なえる. 部品番号が記載されているため,穴の位置の英数字 (2)小型部品用のコンポーネント と部品番号の組合わせを記録しておけば,次回測定 小さな部品を固定するためのコンポーネントをい する際,もとの位置に短時間で正確に再現すること くつか用意している(写真15).円柱形のワークの内 ができる. 側を両側から固定する “ センタ ”,つかんで固定する (a)テンション・クランプ (b)プッシャ・クランプ (c)スプリングワイヤ・クランプ 写真13 クランプ 6
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磁石 写真14 ベースプレート(QLC) マイクロバス スライドミラー コーナ・ビューア センタ 写真15 小型部品用の治具要素 “ マイクロバイス ”,側面を鏡に映して検査する “ ス できるよう,さまざまな種類のコンポーネントを用 ライドミラー ”,ギザギザ状になった L 字型のコン 意している.今後,さらに大型の部品用の販売も予 ポーネントでワークの側面を映しだす“コーナビュー 定している.また,特注品への対応,ワークの CAD ア “ などがある. データを用いた治具の選定など,より短時間に最適 ●吸着タイプ な治具を選択し,組立てられるソフトウェアの販売も計画しており,いま以上にさまざまな部品を容易 素材が鉄以外の部品で,プラスチック,ガラス,ポ に固定できるようになると確信している. リスチレンなど,材質が柔らかい,傷が付きやすい ようワークの場合には,吸着タイプのコンポーネン ト(写真 16)が便利である.平面状,曲線状,円柱状 の製品などそれぞれの形状に合わせたいくつかの種 類を用意している. *     *     * 3 次元測定機において,精度をよく,繰返し精度の 高い測定を行なう場合には,固定方法は非常に重要 である.いままで,汎用的に使用できる固定用治具 は少なかったが,当社ではどのような部品にも対応 写真16 吸着盤 7
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