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【事例付】IoT実現のため製造現場に適したコントローラとは

ホワイトペーパー

高度な制御と情報システムの一体化を実現する産業用コントローラ

製造業において,ソフトウェアやネットワークなどのデジタル技術を用いて製造現場データを利活用し,付加価値を創出するという
新たなコンセプトへの期待が高まっている。これは,デジタル技術によって製造現場の機械・設備の制御の高度化と,情報システムとのシームレス接続によるデータの相互利用を可能とし,生産最適化,生産品質管理,設備稼働管理といった産業デジタルソリューションの実現を加速するというものである。
日立では,この新たなコンセプトの実現に必要となる,製造現場に設置可能な IoT 対応産業用コントローラを製品化している。本稿
では,高度化した制御と情報システムの一体化を実現した,基本技術と事例を紹介する。

このカタログについて

ドキュメント名 【事例付】IoT実現のため製造現場に適したコントローラとは
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
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取り扱い企業 株式会社日立インダストリアルプロダクツ (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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株式会社 日立インダストリアルプロダクツ 高度な制御と情報システムの一体化を実現する産業用コントローラ 製造業において,ソフトウェアやネットワークなどのデジタル技 術を用いて製造現場データを利活用し,付加価値を創出するという 新たなコンセプトへの期待が高まっている。これは,デジタル技術 によって製造現場の機械・設備の制御の高度化と,情報システムと のシームレス接続によるデータの相互利用を可能とし,生産最適化, 生産品質管理,設備稼働管理といった産業デジタルソリューション の実現を加速するというものである。 日立では,この新たなコンセプトの実現に必要となる,製造現場 に設置可能な IoT 対応産業用コントローラを製品化している。本稿 では,高度化した制御と情報システムの一体化を実現した,基本技 術と事例を紹介する。 1. はじめに 2. リアルタイム制御とシームレスな 情報連携 工場の製造現場において使用される機械や設備 の電動化が進む中,より高度な制御方式を実現す 従来,製造現場の設備を構成する装置や機械は る産業用コントローラによってこれらの機械や設 PLC(Programmable Logic Controller)を使用 備の性能が格段に向上している。 し,ハード配線あるいはネットワークで接続され 一方,製造現場のデジタル化に伴うデジタルソ たセンサーやアクチュエータを介して,リアルタ リューションの活用においては情報システムと現 イム制御により自動化されてきた。製造現場では 場の機器のシームレスな接続が不可欠となってお 生産性を改善する活動が継続的に進められており, り,機械や設備を制御する産業用コントローラに 設備運用や動作性能の向上のため,PLC プログラ これを実現する機能が求められている。 機械や設備に対する高度な制御は,高速処理が 図 1|情報システムと製造現場のシームレス接続の概念図 可能なハードウェアと制御ネットワーク,リアル タイム性を有するモータドライブが可能なコント ローラによって実現可能である。しかし,情報シ ステムとの接続におけるデータ処理を産業用 PC などで行う場合,PC とコントローラ間でのデータ の受け渡しにおいてリアルタイム性が損なわれ, シームレスな接続が難しいという課題があった。 本稿では,リアルタイム性を損なうことなく現 場機器と情報システムのシームレスな接続を実現 する IoT(Internet of Things)対応産業用コント ローラ HF-W/IoT シリーズについて,ユースケー スを交えながら紹介する。 製造現場に設置した産業用コントローラによって,情報システ ムと製造現場のシームレス接続を実現する。 - 1 - 株式会社 日立インダストリアルプロダクツ 2020 年 2 月
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ムの変更が日常的に行われている。さらに,この 4. IoT 対応産業用コントローラを実 PLC がリアルタイム制御に使用している実データ 現する要素技術 を情報として集め,他の情報システムの情報と組 み合わせて分析・解析を行うことで,製造現場の デジタルソリューションを実現するには情報シ さらなる最適化を行うデジタル化が加速している ステムと製造現場の双方向のデータ交換をスムー (図 1 参照)。 ズかつ柔軟に行う必要があり,従来はその機能を 生産現場のさらなる最適化に対するアプローチ PC やゲートウェイが担っていた。 として製品化したのが,HF-W/IoT シリーズであ これらの機器を用いることなく製造現場の産業 る。HF-W/IoT シリーズは,日立の産業用コンピ 用コントローラと情報システムのシームレス接続 ュータとして 20 年の実績がある HF-W シリーズ を実現するためには,情報システム側の接続要件 にソフト PLCを搭載した IoT 対応産業用コントロ に合わせたコントローラ側の対応が求められる。 ーラである。HF-W/IoT シリーズは,PLC 機能と しかし,従来の PLC に代表される製造現場で使用 Windows※1)アプリケーションを並行して実行す されるコントローラのプログラムは自動制御に適 ることが可能であり,現場データの収集や情報シ したラダー言語で記述されるのが一般的であり, ステムとの接続によるデータ活用,現場データを 情報システム側の要件に合致しないという課題が 処理してフィードバックすることによる製造現場 あった。具体的には,情報システム側が求める文 の最適化など,製造現場のデジタル化の実現に活 字列や JSON 形式などのデータをラダー言語を用 用できる。 いて再現しようとすると,自動制御に必要なリア ※1)Windows は米国 Microsoft Corporation の米国およびその他 ルタイム性が損なわれるという課題である。 の国における登録商標または商標である。 HF-W/IoT シリーズは各種産業用 Ethernet※2) (EtherCAT※3),EtherNet/IP※4),PROFINET※5), 3. 産業向け IoT 対応に向けたコンセ Modbus※6)/TCP,FL-net※7))に対応しており, プトと基本技術 既存の制御機器や設備機器との接続が可能な前述 の共有メモリと組み合わせることで,制御処理を HF-W/IoT シリーズでは,Windows をリアル タイム拡張し,その上にソフト PLC を搭載するこ 図 2|HF-W/IoTシリーズの要素技術 とで,HMI(Human Machine Interface)やデー タログなどの Windows の情報処理と設備機器の リアルタイム制御処理の並列実行を可能としてい る。マルチコア CPU(Central Processing Unit) を採用し,Windows とソフト PLC それぞれに専 用の CPU コアを割り当てることで制御処理に対 する情報処理の影響をなくし,制御処理のリアル タイム性を確保した。制御処理と情報処理間のデ ータのやり取りについては,共有メモリを提供し ており,データを共有メモリ内に一時的にバッフ ァリングすることで,制御系の高速周期データを 漏れなく情報系に伝えられるようにした。また, 複数個のデータを一つのブロックとして管理でき るようにし,データの同時性も確保した。データ の定義は定義ファイルによって容易に変更が可能 である。 情報系処理と制御系処理を各 CPU コアが実行し,共有メモリ を介したデータ連携,各種制御ネットワークに対応している。 - 2 - 株式会社 日立インダストリアルプロダクツ 2020 年 2 月
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行うと同時に設備機器からデータを収集し,共有 5. ユースケース紹介 メモリ経由で情報系に受け渡して,クラウドなど の上位サーバに転送することができる。これによ HF-W/IoT による工作機械や半導体製造装置な って,設備機器と情報サーバのシームレスな接続 ど,一般産業向け装置でのユースケースを図 3 に を可能としている(図 2 参照)。 示す。HF-W/IoT は,装置の IoT 対応における制 HF-W/IoT シリーズでは今後,新たな機能とし 御と情報を接続するコンポーネントとして装置に てデータベース連携機能を搭載する予定である。 組み込まれる。EtherCAT 経由でセンサーデータ 本機能は,ユーザーが指定するタイミングやイベ や稼働データなどの収集を行い,既存制御機器と ントに応じて設備データを HF-W/IoT 上のデータ は FL-net 経由で接続する。収集したデータは共有 ベースに蓄積するものであり,異常検知や制御処 メモリを介して情報系に受け渡し,データベース 理へのフィードバックなどの応答スピードが重要 連携機能でデータベースに格納する。収集した稼 となる設備データのみを蓄積し,HF-W/IoT 上で 働データを解析し,制御側にフィードバックする 処理することで,高速周期で大量に収集されるリ ことで,生産効率の向上や異常データのサポート アルタイムデータのデータ量や,制御システムと センターへの送信など,装置メーカーの保守ビジ 情報サーバの応答スピード差といった課題を解決 ネスに活用できるようにする。 する。 ※2)Ethernet ならびにイーサネットは,富士ゼロックス株式会 6. おわりに 社の登録商標である。 ※3)EtherCAT は,ドイツ Beckhoff Automation GmbH により HF-W/IoT シリーズは,制御系と情報系をつな ライセンスされた特許済み技術であり登録商標である。 ※4)EtherNet/IP は,ODVA,Inc の商標である。 ぐコンポーネントとして,共有メモリミドルウェ ※5)PROFINET は,PROFIBUS Nutzerorganisation e.V.(PNO) アの搭載や各種産業用ネットワークへの対応を行 の商標である。 い,現場から情報システムへのデータの伝達,接 ※6)Modbus は、Schneider Electric の登録商標であり、Modbus Organization, Inc.にライセンスされている。 続性の強化を行ってきた。 ※7)FL-net は、一般社団法人日本電機工業会の登録商標である。 今後は収集したデータを現場で処理・解析する エッジコンピューティング機能の強化を進め,制 御系と情報系をつなぐことで,オートメーション 図3|工作機械や半導体製造装置にHF-W/IoTを組み込んだ 事例 システムの IoT 対応に貢献していく。 本稿は、日立評論 2019 Vol.101 No.6 の記事の一部を編集したも のです。 製品に関する詳細・お問い合わせは下記へ HF-W/IoT が装置内のセンサーや制御機器から稼働データを 収集・解析し,解析結果の制御フィードバックによる生産効率 ■ 製品情報サイト・インターネットでのお問い合わせ アップ,装置メーカーサポートセンターへの障害データ送信に https://www.hitachi-ip.co.jp/products/hfw/products/iot_ctr よる保守サービス向上を実現する。 株式会社 日立インダストリアルプロダクツ - 3 - 株式会社 日立インダストリアルプロダクツ 2020 年 2 月