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【防爆基礎概要 】技術・理論と考え方

ホワイトペーパー

<目次>

■はじめに

■爆発の前提条件
 ・防止対策
 ・第1次防爆
 ・第2次防爆
 ・爆発伝播の防止

■爆発危険性の評価

■可燃性ガスおよび液体の 安全パラメータ

■可燃性粉塵の 安全パラメータ

■出典と参照資料

■防爆基礎概要 (Pepperl+Fuchs編集)

このカタログについて

ドキュメント名 【防爆基礎概要 】技術・理論と考え方
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
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取り扱い企業 株式会社ピーアンドエフ (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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技術・理論と考え方 防爆基礎概要 (抜粋)
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免責事項

免責事項 本書の内容は、技術的措置の有効な法的規制について、誠実か つ慎重に編集者が編集されました。それにもかかわらず、不完 全で、不正確であいまいな記述を本書から除外することはなお 困難です。本書は、爆発保護に関する一般的な基本情報を含む いくつかの独立した章で構成されています。本書の内容は、特 定のプラントの危険状況を評価するためのものではなく、その ような目的に使用されるべきものではありません。 本書が参照する防爆に関するすべての規制は、ドイツ労働保護 法、国内および国際基準を含むドイツの法律によって制定され ています。これらの規制およびドイツ労働保護法の遵守は、プ ラント設計者、プラント運営者、および雇用者の基本的な義務 です。 防爆規制は法律ガイドラインの対象となり、国によって異なる 場合があります。 さらに、工業プラントは、その設計、使用される材料および 操作方法が大きく異なる可能性があります。 本書は、防爆に関する項目の概要を記載しています。このため、 本書に記載されている防爆の技術的および組織的な措置は、一般 的な部分だけを含んでおり、完全な解説書ではありません。特定 のケースでは、その責任者が個々の危険度評価に基づいて自身の 要件と対策を決定し、それを国の規則に従って検証可能な方法で、 解釈・適用してください。 製品の供給に関しては、次の文書の最新版が該当します:ド イツ電気・電子工業連盟(German Electrical and Electronic Manufacturers' Association)によって発行され た電気産業の製品およびサービスに関する一般条項の最新バ ージョンおよび補足条項:「所有権の拡大保持」
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目次 本書について .......................................................................................................................... 6 はじめに .................................................................................................................................. 7 爆発の前提条件 ...................................................................................................................... 9 防止対策 .......................................................................................................................................1 3 第1次防爆 .....................................................................................................................................1 4 第2次防爆 .....................................................................................................................................1 8 第3次防爆 .....................................................................................................................................2 2 爆発伝播の防止 ............................................................................................................................2 3 爆発危険性の評価 ................................................................................................................ 25 可燃性ガスおよび液体の 安全パラメータ ............................................................................... 26 可燃性粉塵の 安全パラメータ ................................................................................................ 35 出典と参照資料 ..................................................................................................................... 39 防爆基礎概要 (Pepperl+Fuchs編集) ....................................................................................... 40 索引 ............................................................................................ Error! Bookmark not defined. 4
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本書について、信頼できるパートナー、学び続けること

本書について 本書について 本書は、防爆基礎概要の一部であり、防爆の概要について述べています。 信頼できるパートナー Pepperl + Fuchsは、世界のオートメーション市場向けのセンサなどの開発および製造をリ ードしています。弊社のプロセスオートメーション部門は、本質安全防爆の分野における マーケットリーダのなかでも際立っています。60年以上にわたって続くイノベーション、 高品質な製品、絶え間ない成長。弊社はプロセス業界で信頼できるビジネスパートナーで す。 学び続けること オートメーション業界で働くということは、常に新技術や開発に直面することを意味して います。継続的な教育と学び続ける姿勢により、これらの発展に歩調を合わせることがで きます。本書は理論と考え方について解説しています。また弊社のトレーニングコースは、 経験から学んだことの実用的な応用を詳細に説明しています。当社のソリューション、出 版物、トレーニングに関する詳細は、当社のウェブサイト www.pepperl-fuchs.comをご覧 ください。 6
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はじめに、歴史的発展

はじめに 爆発は、壊滅的な人身傷害および財産の損傷に関連することが多く、したがって爆発の危 険があるプラントでは、特別な予防措置を講ずる必要があります。これらの予防措置は、 使用される物質およびその安全関連性に関する知識に基づいています。 歴史的発展 蒸気機関、石炭鉱業、鉄鋼生産は、19世紀半ばの工業化の基礎でした。ヨーロッパの森林 から得られる木材は、 需要が急増した蒸気機関に供給するのには、もはや十分ではありま せんでした。石炭は理想的な「新」エネルギー源であり、最初は露天掘りでした。後に、 石炭採掘は地下でも行われるようになりました。 当時の露天掘りでは、点火可能なメタン/空気混合物(爆発物)に起因する爆発の危険性は ありませんでした 。しかし、「地下」鉱山では、空中のメタン濃縮が危険な爆発限界に達 することがあります。器具や光源によって引き起こされた地下爆発は、多くの場合、石炭 の粉塵に引火し、数え切れないほどの人命を奪いました。したがって、石炭採掘産業は、 これらの爆発の危険に対処することを余儀なくされました。 まず、メタン濃度が高い大気が、引火しない安全灯が開発されました。 1880年ごろには、鉱山設備の電化が原因の爆発事故が急増しました。電気による点火源を 回避する機能的な防護措置が導入された後に、様々な技術的進歩が可能になりました。こ の時点で、「耐圧容器」、「安全増し」、「本質安全」タイプの保護方式が登場しました。 時が経つにつれて、鉄は材料としてますます重要になりました。しかしながら、以前は、 石炭が鉄鋼生産に適していないため、溶鉱炉は木炭を用いて操業していましたが、後に石 炭をコークスに変えることで大量生産されるようになりました。可燃性ガスがコークス炉 プラントの副生成物として生成されました。この水素、メタン、一酸化炭素の混合物は、 もともと照明や蒸気ボイラの加熱用に使用されていました。 しかしすぐに、コークス炉のプラントガスによる最初の爆発が起こりました。当時のメタ ンを中心に考えられていた防爆方式を、水素と一酸化炭素の特性に対応させる必要が出て きました。さらに、ミネラルオイルの使用および絶え間なく発展する化学工業からの多く の可燃性物質が、防爆対象として加えられています。 7
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現在の手順、燃焼プロセス、グループI、II、IIIへの細分化

はじめに 現在の手順 爆発リスクを評価するために、各物質の化学的 - 物理的挙動および安全性に関連した特性を 考慮します。 これらの特性は、可燃性ガスおよび液体の安全パラメータ(SP)、または可燃性粉塵の安全 パラメータに記載されています。 燃焼プロセス 物理的な観点からは、燃焼と爆発は反応速度が異なる発熱反応です。外部エネルギーの入 力なしで、自発的に燃焼する不安定な物質が存在しますが、これらの物質はここで扱いま せん。さらに、酸化剤が可燃性物質の中に混入している爆発性物質が存在します。これら の物質はドイツの爆発物質条例に該当し、ここでは扱いません。 本書は、大気条件下で空気と混合されたときに、点火すると爆発する可燃性物質を取り扱 っています。 グループI、II、IIIへの細分化 欧州連合では、地下鉱山の爆発の危険性と鉱山以外の爆発の危険性は別々に検討されてい ます(2014/34 / EU指令 ; ATEX指令)。区別するために、欧州指令では、グループ分類「I」 鉱山と「II」鉱山以外の分野を使用しています。 2014/34/EU指令は、グループIIをさらにグループIIG(ガス)およびグループIID(粉塵) に細分しています。この指令は「大気条件」も定義しています。これは、可燃性物質が呼 吸気に放出され、従業員を危険にさらす状況に関係しています。 機器の国際的標準化は、国際電気標準会議(IEC)および非電気機器の国際標準化機構 (ISO)によって厳密に施行されています。 その際にIECでは、爆発性雰囲気で使用される電気機器の識別システムと粉塵の分類に矛盾 が生じるために、更に区別をしています。グループIIの識別は、厳密にはガスを含む雰囲 気内で使用される機器にのみ適用されます。グループIIIは、粉塵のある環境内で使用でき る機器が適用されます。この分類はさらにグループIIIを、繊維および糸くず(IIIA)、非 導電性粉塵 (IIIB)、導電性粉塵(IIIC)に細分化しています。 説明を簡単にするため、ISO規格を個々のケースの基礎として使用すべき場合であっても、 本書では、世界標準を指す場合はIECに従った規則を参照します。 8
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爆発の前提条件、爆発の三要素

爆発の前提条件 爆発の前提条件 爆発が起こるには、3つの要素が同時に存在しなければなりません:  可燃性物質、例えば:可燃性ガス  可燃性液体のミストや蒸気  可燃性の粉塵・繊維・浮遊粒子  酸化現象を引き起こすもの  通常は大気中の酸素  点火・着火源  燃焼プロセスを開始するエネルギー(通常は電気的または熱的)。爆発には、最小点 火エネルギーが必要です。必要なエネルギー量は、物理条件に依存します。 これらの要素の組み合わせは、「爆発の三要素」と呼ばれます。 爆発の三要素 点火エネルギー 酸素 可燃物 図1:爆発の三要素は、3つの要素で構成されます。 爆発が起こるには、次の前提条件を満たす必要があります。  燃料と酸素との混合比が特定の範囲内にある。  潜在的に危険な量が存在する状態である。  エネルギーが最小点火エネルギーよりも高いか、または温度が最小発火温度よりも 高い。 すべての防爆の方法は、爆発の三要素の少なくとも1つの要素を排除することにより、爆発 の危険性を排除できます。 9
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燃焼速度 – 火炎速度(v)、爆発スピード

爆発の前提条件 燃焼速度 – 火炎速度(v) 点火後、燃焼は特定の燃焼速度で未燃焼混合物を燃やすことにより継続されます。このプ ロセスは、空気と燃料の混合比と拡散の程度に依存します。拡散した燃焼ガスは次々に引 火し、その速度は毎秒数キロメートルに達する可能性があります。 燃焼速度に応じて、以下の現象の1つが適用されます:  低速爆発:より低速(m/s)、圧力上昇 1 barまで  爆燃:最大330 m/s、圧力上昇10 barまで;v < 音速  爆轟:最大数km/s、20 bar以上の衝撃波 爆発スピード 爆轟 20 bar ~約3000 m/s まで ロッキードSR-71: 970 m/s 爆燃 ガス:10 bar 粉塵:14 bar ~約330 m/s まで フェラーリ 599 GTO: 93 m/s 低速爆発 cm/s (低圧上昇) ~数m/s まで スプリンター: 10 m/s 図2:圧力波の爆発圧力と伝播速度 10
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大気条件、拡散の度合い、濃度の範囲

爆発の前提条件 約100 %死亡 (肺損傷)損) 2000 mbar 傷) 構造用鉄鋼製の 約50 %死亡 建設物崩壊 600 mbar (肺損傷) 壁 と屋根 崩壊 500 mbar 鼓膜破裂 140 mbar 100 mbar 人が吹き飛ばされる 住居が使用不可能になる 70 mbar 窓ガラスが吹き飛ぶ 30 mbar 図3:建物と人間に対する爆発圧力の影響 大気条件 防爆の主な目的は、労働安全性を確保することです。従業員は一般的に通常の大気条件 下で働きます。通常の大気条件は、IEC/EN 60079-0に準拠して以下のように定義されて います。  温度 -20 ℃ ~ +60 ℃  圧力 80 kPa(0.8 bar)~ 110 kPa(1.1 bar)  通常の酸素含有量のある空気、通常は体積比で21% 拡散の度合い 可燃性物質は十分なレベルまで酸素と混合されている場合にのみ点火します。 可燃性物質は十分に拡散されなければならず、すなわち拡散の程度は十分に高くなけれ ばなりません。 濃度の範囲 可燃性混合物は、その物質固有の限界値の範囲内でのみ爆発性です。爆発が可能な最低濃 度は、「爆発下限界」(LEL)、爆発が可能な最高濃度は「 爆発上限界」(UEL)と呼ばれ ます。これらの爆発限界内の可燃混合物は、爆発性混合物と呼ばれます。大気条件が満た されている限り、混合物は「潜在的爆発性雰囲気」と呼ばれます。 11
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潜在的に危険な量、引火点、酸素含有量

爆発の前提条件 潜在的に危険な量 事業者は、爆発性混合物または潜在的爆発性大気の量が脅威をもたらすかどうかを判断す るために、かならず危険性評価をする必要があります。 潜在的に危険な量はほとんどの国で定義されていません。 ドイツでは、潜在的爆発性雰囲気の量は10リットルです。100 m3より小さい空間では、潜 在的に危険な量は、空間容積の1/10,000となります。 この場合、空間容積の1/10,000は、天井高の1%と部屋の床面積の1%との積です。 引火点 気化した液体は、液体から十分な蒸気が放出された場合にのみ点火できます。 液体の温度が非常に高く、液体表面上で気相が点火できるならば、発火点に達しているか、 既にそれを超えています。 液体は通常、直接点火することは非常に困難です。実際には、液体表面上にある気化した ガスが点火し、次に液体自体に点火することがあります。 酸素含有量 潜在的爆発性雰囲気は、大気中の酸素を除去することによって防ぐことができます。爆発 限界(「濃度の範囲」11ページ参照)は、空気中の21 vol%の酸素濃度が適用されます。 ほとんどの可燃性混合物が点火し始める酸素濃度は、物質ごとに実験的に決定することが できます。 この濃度が限界酸素濃度(LOC)です。 12
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防止対策

爆発の前提条件 防止対策 ドイツの労働安全法上の義務により、STOPの原則(下記)は従業員を保護するために使用さ れます: 1. Substitution (置換え施策) 2. Technical measures (技術的対策) 3. Organizational measures (組織的対策) 4. Personal measures (人的対策) IECは「電気設備の選択と設置」に関するIEC/EN 60079-14:2013規格の導入において、爆 発のリスクを低減するために使用すべき予防措置を指定しています。 1. 可燃性物質を着火しないまたは着火しにくい他の物質に置換(S) 2. 監視(T、O) 3. 希釈(T、O、P) 欧州のATEX規制(指令1999/92/EG)によれば、統合的防爆の考え方を従業員保護に適用す る義務があります。 潜在的 潜在的 爆発の影響を 爆発性雰囲気 爆発性雰囲気 許容範囲に の発生防止 の点火防止 抑制 第1次防爆 第2次防爆 第3次防爆 技術的 + 組織的防止対策 1. 第1次防爆:危険な潜在的爆発性雰囲気(SまたはT)の発生を防ぐ 2. 第2次防爆:潜在的点火源(T、O)の排除 3. 第3次防爆または構造的防爆:爆発の抑制または爆発の影響を低減(T、O、P) 13
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第1次防爆、潜在的爆発性雰囲気を防止するための注意事項、可燃性物質濃度・堆積の監視

爆発の前提条件 第1次防爆 第1次防爆を行うための標準的な措置は、不燃性物質の使用、大気中への酸素放出防止、お よび酸素の置換え、すなわちプラント内部を不活性化することです。さらなる措置には、 機械による換気および自然換気を用いて、放出ガスの排気や、既存のガス濃度の希釈があ ります。後者の措置は、作業エリアにおける燃料濃度の監視と組み合わせることが殆どで す。 潜在的爆発性雰囲気を防止するための注意事項 潜在的爆発性雰囲気を防ぐためには、次の点を考慮する必要があります。  取り扱う物質の選択  不燃性物質の使用  引火点が処理温度より高い溶媒の使用  粉末製品や粉塵を生成する可能性のある製品の使用を避ける:例えば、粉砂糖の代わり に砂糖シロップを製造レシピに使用 可燃性物質濃度・堆積の監視 可燃性物質の濃度は、引火点、換気措置および粉塵除去の状況に影響されます。  換気機器を使用して、爆発下限界(LEL)以下になるように濃度を下げる。 (例えば排気口から放出、室内換気)  発火点の高い液体を使用するか、非燃焼性液体を添加して発火点を上昇させる。  堆積量が危険なレベルになる前に、定期的に粉塵を除去処分する。 (例えば湿式清掃または吸引を使用)  構造的手段を使用して、掃除しにくい場所での粉塵の削減または除去する。 (例えば、堆積が起こりやすい水平面を作らないなど) 14
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大気中酸素の不活性化または置換

爆発の前提条件 混合物の場合、それがLEL以下である場合は、それがあまりにも「少量」なので非点火性 になります。放出される燃料の量が限定されている場合、ガス/空気混合物の濃度はLEL以 下に保たれます。したがって、燃焼反応が連鎖するリスクはなくなります。 換気を使用して濃度を下げる場合、機械式換気システムには特定の要件があります。  操作可能な専用換気ダクトが常に利用できる状態であること。  排出された空気は、点火源に接触してはならない。  潜在的爆発性雰囲気では、換気機器は防爆仕様である必要があります。 ゾーン分類を参照のこと。  送気される空気に可燃性物質が含まれていないこと。  排気ファンの有効性は継続的に必ず監視する。例えば、ガス漏れ検出器または過剰流量 弁を使用  最初の運転前、そしてその後は定期的に、換気システムとそれに付随する監視シス テムの有効性をチェックし、完全な状態であることを確認する必要があります。 大気中酸素の不活性化または置換 燃料/空気混合物の反応は、酸素濃度減少により低下します。これは一般に窒素などの不活 性ガスの送気によって行えます。これにより、爆発性がなくなるまで混合物中の酸素濃度 を低下させます。最終的な値は、限界酸素濃度によって決まります。不活性化が有効なこ とを確実にするために、酸素濃度または不活性ガスの流量を常に監視しなければなりませ ん。 承認されたしきい値の範囲が維持されない場合は、適切な防護措置が必要です。これを 達成するために、プラント内の最大酸素濃度は、限界酸素濃度よりも大幅に低く維持す る必要があります。例えば点火源を不動作にするなど、故障時に適切な保護施策を作動 させるために十分な時間を確保できます。 15
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動作条件の調整、プラントの構造上の予防措置、ガス漏れ検知器の使用による監視

爆発の前提条件 動作条件の調整  液体の場合:発火点以上に加熱しないこと。  物質の放出を防止、例えば、機器内を真空化する。 動作温度が発火点を下回っているプロセスでは、温度の超過が絶対発生しないことを確実 にする。故障により潜在的爆発性雰囲気が発生しないように、温度の超過を排除できない 場合は、警告機器を設ける必要があります。 プラントの構造上の予防措置  物質の放出防止:機械的施工および締付具が用いられます。例えば、デュアルエンドフ ェース・メカニカルシール、タングアンドグルーブ・フランジ、溶接接続、磁気結合さ れた非シールポンプ  物質取り扱いはエンクローズドサイクルを適用して下さい。例えば、容器充填時の ダブルバルブシステム、プローブを取り外すときのフィーダなど  可燃性液体を移し替える時は、ベイパーリターン装置を使用  物質が放出された場合:急速に希釈すること。例:作業を屋外で実施  屋外作業における自然な空気の交換は、建物内の作業ステーションの空気の交換よりも はるかに優れています。IEC/EN 60079-10によると、0.5 m/sの空気速度は、換気回数約 100/h に相当します。室内では、BGR 104(ドイツの職場安全衛生規則)/ TRBS 2152-2 (職場における安全のためのドイツ技術規制)によると、1/hにしかなりません。 ガス漏れ検知器の使用による監視 ガス漏れ検知器は、例えば爆発性のガス雰囲気が通常発生しない可能性のある領域で、 換気システムの有効性を監視するために使用されます。防爆の観点から点火源とみなさ れる産業機器を、この領域で使用できる場合があります。 定義された燃料濃度、例えばLELの10%に達すると、潜在的爆発雰囲気にならないように、 換気システムの速度を上げたり、追加の換気ユニットを起動させたりします。同時に、従 業員に音声や目視可能なアラームで、危険性が増大していることを警告します。 燃料濃度が増加し続けた場合、潜在的な点火源をすべて即座に遮断することで、爆発する 可能性がある雰囲気への着火を防ぎます。 例:LELの25%で自動シャットダウン。 16
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粉塵の取り扱いについて

爆発の前提条件 このようなガス漏れ検出器は、安全性能に関わる制御を行うので、機能安全と信頼性に関 する指令2014/34/EUの要求事項に適合する必要があります。ドイツでは、TRGS 725:2016 も有用です。 粉塵の取り扱いについて 第1次防爆の最優先目的は、爆発性雰囲気が発生するのを防ぐことです。潜在的な爆発性 雰囲気の防止が完全に保証されない場合は、時間的・空間的に潜在的に爆発性雰囲気を制 限する対策を講じなければなりません。拡散した粉塵は爆発する可能性がありますが、堆 積した粉塵も特定のリスクをもたらします。これにはいくつかの理由があります:  堆積した粉塵がくすぶり温度(点火直前の温度)になる。  堆積した粉塵はいつでも拡散する可能性がある。  堆積した粉塵の量はさらに増大する可能性がある。  粉塵層の厚さが増加すると、粉塵のくすぶり温度が低下する。  機器は、粉塵層の厚さが増加すると冷却効果が失われ、過熱状態になる。 したがって、堆積した粉塵層を除去することは、初期の防爆対策として重要です。厚さ1 mmの堆積した粉塵が空中に拡散すると、その上の空間を満たす雲のように広がります。 したがって、堆積した粉塵層は定期的に除去しなければなりません。このためには堆積し た粉塵がある箇所に容易にアクセスできる必要があります。 洗浄を行う際は、粉塵が拡散を起こさないように注意します。一般的な方法は次のとおり です:  湿式洗浄  掃除機を使用した除去 掃除機が点火源にならないように 、この機器は必ず防爆仕様になっているものを使用して ください。清掃プロセスをより簡単にするために、構造的観点および設計の段階から、対 策を行ってください。粉塵が堆積しやすい水平面を、できるだけ作らないようにしてくだ さい。ケーブルトレイの場合では斜め形状を用いることで、床の上または簡単に安全にア クセス可能な区域に粉塵を集められます。壁は滑らかで継ぎ目のない設計でなければなり ません。床にマーキングして注意を喚起し、定期的な掃除を行うことにより、危険な粉塵 層が蓄積しないようにします。 17
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第2次防爆、爆発危険区域(ゾーン)の決定、潜在的爆発性雰囲気、ゾーン分類

爆発の前提条件 第2次防爆 潜在的に爆発性雰囲気の形成の危険性を一次の対策で排除できない場合は、二次的な防爆 対策を講じなければならない。その目的は、対象となる雰囲気における点火を防ぐことで す。様々な物質の放出が可能である場合、その対策は、必ず最も点火に敏感な物質の安全 パラメータ(SP)に対して行います。 爆発危険区域(ゾーン)の決定 危険区域即ち「ゾーン」は、爆発性雰囲気の発生の頻度および持続時間に基づいて分類さ れます。ゾーン分類を使用して、可燃性物質、ガス、蒸気、ミスト、および粉塵の種類に 応じて異なる領域が設定されます。その他の放出条件:頻繁に発生、通常運転中に発生あ り、通常運転時には発生なし、異常時に短時間発生。 潜在的爆発性雰囲気、ゾーン分類 ゾーン 燃料の種類 潜在的爆発性雰囲気:発生の持続時間 0 ガス、蒸気、ミスト 永続的、頻繁、長期間 20 粉塵 1 ガス、蒸気、ミスト 通常の動作中に時々発生する 21 粉塵 2 ガス、蒸気、ミスト 通常の操作では発生しない標準的な操作から逸脱 22 粉塵 した場合には、短期的な発生の可能がある 表4:燃料の種類と発生期間に応じたゾーンの分類。 18
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燃料タンクのゾーン分類の例、点火源の判定

爆発の前提条件 燃料タンクのゾーン分類の例 ゾーン 1 ベント ゾーン 2 ゾーン 0 ガソリンタンク 浮き屋根なし 図5:固定された屋根と通気口を有する燃料タンクの周囲がどのように異なるゾーンに分割されているかを示す概略図 点火源の判定 すべての点火源は、各ゾーン内で許される適切なレベルまで除去または削減する必要があ ります。危険性の評価は、点火源を特定し点火源が動作する可能性のある状況を判定しな ければなりません。 点火の危険性は、例えば、清掃プロセスまたは保守作業中など、まずプラント内の従業員 の操作および活動を通じて生じる可能性があります。これらの基本的な活動は、ハザード アセスメントの際に考慮する必要があります。 EN1127-1の標準的な点火源の例は:  熱を持った表面  炎  電気スパーク  静電スパーク放電  機械的スパーク  等化電流  電離放射線  電磁場(電波)  可視光、UVおよび赤外線  超音波  雷  断熱圧縮と衝撃波  粉塵の発熱反応と自然発火 19
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非防爆の機器、防爆仕様の機器、機器カテゴリとゾーン、温度等級による機器の選択

爆発の前提条件 非防爆の機器 防爆仕様ではない機器は、ゾーン領域の外側に設置する必要があります。これにより、潜 在的爆発性雰囲気と点火源が、同じ空間に存在することを回避します。これらの機器は爆 発性雰囲気が、一定時間以上にわたり通電中の点火源に触れない場合に、ゾーン1およびゾ ーン2またはゾーン21およびゾーン22で操作することができます。 例として、既存の燃料濃度に応じて点火源を迅速にシャットダウンできる状態にあること が挙げられます。 防爆仕様の機器 適切なメカニズムを使用して、機器(つまり点火源)の空間的な分離もしくは停止が実用的 でない場合、防爆仕様の機器を使用する必要があります。意図した通りに使用された場合、 防爆仕様の機器は該当ゾーンで点火源を持たないため、シャットダウンする必要はありま せん。前提条件の1つは、機器が該当ゾーンで指定された機器カテゴリに適合しているこ とです。 機器カテゴリとゾーン ゾーン 機器カテゴリ 要件 0 II 1G 機器の故障がまれにしか起きない状態。 20 II 1D 安全性を保証する必要があります。 1 II 2G 頻繁なデバイスの故障または障害状態が予 想される場合。安全性を保証する必要があ 21 II 2D ります。 2 II 3G 通常動作中は、使用する機器が点火源として 22 II 3D 動作しないこと。 表6:各ゾーンに属する機器カテゴリとその要件 この機器の保護に関して製造業者が行わなければならない施策レベルは、爆発性雰囲気が 存在する確率に依存します。したがって、ゾーン0またはゾーン20に比べ、ゾーン2または ゾーン22に機器を提供する方がはるかに簡単です。一般に、機器カテゴリ1Gまたは1D機器 は、非常に高いレベルの安全性を提供し、重要度の低いゾーン1および2、またはゾーン21 および22でも使用できます。 温度等級による機器の選択 機器の最大許容表面温度は、ガスおよび蒸気の様々な発火温度によって制限されます。温 度等級を決定する段階で、製造業者はすべての機器カテゴリについて測定された最高の表 面温度(正常動作中または故障時)に対してセイフティ・マージンを追加します。これは、 温度等級T6~T3それぞれに対して5Kです。温度クラスT2およびT1については、それぞれ10K です。機器カテゴリ1の場合、それぞれの温度クラスで、最大で80%までが許されています。 20