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小動力・高回転の伝道師 フレキシブルシャフト ガイドブック

製品カタログ

様々な用途で活躍するフレキシブルシャフト

フレキシブルシャフトは、回転動力を離れた位置へ伝達する優れものとして、産業界で活躍しています。しかし、このフレキシブルシャフトの利点を理解している方は、意外と少ないのが現実です。

◼︎機器の配列が自由にできる
◼︎機器の正確な芯出しが不要
◼︎高い伝達効率
◼︎振動を吸収
◼︎メンテナンスが 防塵性がある容易
◼︎防塵性がある

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このカタログについて

ドキュメント名 小動力・高回転の伝道師 フレキシブルシャフト ガイドブック
ドキュメント種別 製品カタログ
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登録カテゴリ
取り扱い企業 株式会社昌和発條製作所 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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小動力・高回転の伝道師 フレキシブルシャフト ガイドブック 小動力・高回転の伝道師 フレキシブルシャフト ガイドブック 発行 株式会社 昌和発條製作所 〒580-0031 大阪府松原市天美北5丁目13番8号 TEL.072-331-3303(代) FAX.072-336-1204 2018年6月1日発行 禁複写  株式会社 昌和発條製作所
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目 次 はじめに……………………………………………………………………1 様々な用途で活躍するフレキシブルシャフト……………………………2 1 フレキシブルシャフトとは……………………………………………4 2 フレキシブルシャフトの構造    2-1 コアー…………………………………………………………7    2-2 フレキシブルチューブ(アウターチューブ)…………………………9    2-3 接続金具…………………………………………………… 11    2-4 潤滑について ……………………………………………… 12    2-5 耐熱温度について ………………………………………… 12    2-6 防水、防湿、防塵について …………………………………… 13 3 フレキシブルシャフトの選定に必要な項目……………………… 14 4 選定のための知識    4-1 トルク(Torque)とは………………………………………… 16    4-2 最高回転数と曲げ半径 ……………………………………… 17    4-3 伝達効率…………………………………………………… 17    4-4 フレキシブルシャフトの寿命 ………………………………… 17    4-5 フレキシブルシャフト選定のポイント ………………………… 18 5 フレキシブルシャフトの種類    5-1 チューブ付きフレキシブルシャフト …………………………… 20    5-2 チューブなしフレキシブルシャフト …………………………… 21 6 他製品との比較    6-1 フレキシブルシャフトとフレキシブルカップリングを比較 ……… 22    6-2 フレキシブルシャフトとユニバーサルジョイントを比較 ………… 23 7 よくあるQ&A …………………………………………………… 24 8 昌和のフレキシブルシャフト    8-1 昌和発條制作所の得意なこと ……………………………… 26    8-2 接続金具もご要望に合わせて作成します……………………… 27
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フレキシブルシャフトの コンシェルジュ 昌和発條製作所 フレキシブルシャフトは、 回転動力を離れた位置へ伝達する優れものとして、 産業界で活躍しています。 しかし、このフレキシブルシャフトの利点を理解している方は、 意外と少ないのが現実です。 機器の配列が 機器の正確な 自由にできる 芯出しが不要 高い伝達効率 振動を吸収 メンテナンスが 容易 防塵性がある これらの特徴を理解いただき、生産性の向上や安全性の確保などに貢献していきたく思っております。 ㈱昌和発條製作所は、フレキシブルシャフトのコンシェルジュとして、この動力伝達ツールの解説書と して「フレキシブルシャフト ガイドブック」を発刊いたしました。 前半はフレキシブルシャフトの優れた点を中心に掲載。その後は構造について詳しく解説しています。 また後半には弊社のフレキシブルシャフト標準品カタログを掲載しております。 この冊子が皆さまの事業の一助となり、産業界の躍進に貢献できれば幸いです。 1
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様々な用途で活躍する フレキシブルシャフト フレキシブルシャフトは、正確な回転動力伝達に優れた、 シンプルで柔軟性のある製品です。 このページでは、そのメリットと取扱いにあたっての注 意点を記載いたします。 フレキシブルシャフトのメリットと注意点 メリット ●取付が自在  コアーの太さに見合った曲げ半径と回転速度であれ ば取付が自在です。また、手間である正確な芯出し が不要で、機器の配列が自由なので、設計がとても 簡単になります。駆動側は固定、従動側が移動また は振動する…などの特殊な機構でも回転を伝えるこ とができます。 ●振動を吸収(比較的騒音が小さい) ●ローコスト  正確な芯出しなどが不要なため、余計な設計が要り ません。また、ユニバーサルジョイントなどと比べ ても(特に特注品)は比較的ローコストといえます。 ●高速回転が可能  適正な曲げ半径を設定すれば高速回転での使用が 可能です。フレキシブルシャフトは一般的には低 トルク、高速回転の動力伝達に最適で、基本的に はMAX約15000N /㎝までのトルク対応が可能 です。また、一つの動力源から複数の動力を取り 出せる多軸穴あけ機になど使用されます。 注意点 ●高トルクには向かない  コアーの構造から製作可能な太さには限界があり(太いコアー程作りにくい。また曲げにくい)どちらかといえば低トルク・高速回転用といえま す。基本的にはMAX約15000N /㎝まで。 ●同じ太さの棒鋼にくらべるとねじり剛性が小さい ●正・逆、同じトルクを伝えられない  フレキシブルシャフトのコアーは右または左の巻き方向をもっています(2-1⑶参照)。例えば右回転用の場合、正回転で最外層が締まり方向の力 を受け、逆回転させるとゆるみ方向の力を受けることになるので、同じコアーで正逆回転で同一のトルクを伝えることは出来ません。ただし、線 構成を工夫することによって、正逆ともに伝達トルクに差が少ないコアー(左右両回転用)もあります。 2
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様々な用途で活躍する フレキシブルシャフト フレキシブルシャフトは、正確な回転動力伝達に優れた、 シンプルで柔軟性のある製品です。 このページでは、そのメリットと取扱いにあたっての注 意点を記載いたします。 ●特注品に強い  標準品の中に使用環境に適応するものがない場 合、必要トルクと曲げ半径、相手接続部の形状、 防水の有無などの使用条件さえわかれば、特注品 でも比較的安価で短納期対応が可能です。 ●安全  フレキシブルチューブ付の場合、回転部の露出は 両端軸部だけであり、他はチューブと接続金具で カバーされているので、巻き込まれ等の危険性が 低いです。 ●ある程度の防塵、防湿性がある  フレキシブルチューブ付の場合、標準型でも回転部 がほとんどカバーされているので、多少の粉塵、湿 気などの環境でも使用できます。Oリングやオイル シールを取り付けることで更にその効果を高めるこ とも可能です。 ●メンテナンスが容易  給油の必要がほとんどなく、工具があれば簡単に 分解することが出来ます。 ●回転オクレ(ねじれ角) ねじれ角を少なくしたい場合  回転オクレ(ねじれ角)があるコアーの構造上、回転オクレというものが存在しま す。例えば遠隔操作などで、ハンドルを一定角度まで回さないとトルクが伝わり始 コアーが長い ➡ できるだけ短くする めないというようなことが起こります。回転オクレはコアーの太さに比例した係数 と、長さ、負荷側のトルクのかけ算で示されます。 負荷トルクが大きい ➡ 太い目のコアーを選ぶ 負荷側のトルクを小さくする ●ショック・ロードに弱い  コアーは細い鋼線を組合せた構造なので、急加速や急停止などによるショック・ロード(慣性により回転中に突然大きなトルクがかかる)に弱く、 定トルク、定回転の連続が望ましい運転条件といえます。過負荷(ショック)の予想される装置には、トルクリミッターなどを設けて保護する必 要があります。 3
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1 フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ 1 フレキシブルシャフトとは ト と は 2 フ 〔フレキシブルシャフトは自由自在な動力伝達軸〕 レ キ シ ブ フレキシブルシャフトは約70年前、その応用機器とともにドイツから日本に紹介されたの ル シ ャ フ が始まりとされ、古い歴史をもつ動力伝達軸といえます。動力を一方から他方へ伝えるとい ト の 構 うことは、機械、機器、装置などには欠かせない機構の一つで、いろいろな商品がそれぞれ 造 の目的に合わせて使用されています。フレキシブルシャフトは、一定の条件をクリアすれば、 3 フ 駆動軸と従動軸の位置関係を自由自在(フレキシブル)に設定できる動力伝達軸です。 レ キ シ ブ ル シ ャ フ ト の 選 定 に 必 要 な 項 目 4 ベルト(Vベルト、平ベルト、丸ベルト、歯付きベルト) 選 定 の た め 平行軸 チェーン(ローラーチェーン、サイレントチェーン、 の 知     プラスチックチェーン) 識 その他 5 フ レ 平行または キ シ ギア、カム、ラチエット ブ 交差軸 ル シ ャ フ ト の 種 類 固定軸継手(フランジ形など) 6 動力伝達 他 フレキシブルカップリング(金属ばね、ゴム樹脂など) 製 品 と の 対向軸 流体軸継手 比 較 ユニバーサルジョイント スプライン/セレーション 7 よ く クラッチ/ブレーキ あ る Q & A その他の自在軸 フレキシブルシャフト 8 昌 和 の フ レ キ シ ブ ル シ ャ 4 フ ト
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1 フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ ト と は 2 フ 駆動側 レ キ シ ブ ル モーター シ ャ フ ト の 構 造 3 フ レ キ シ ブ ル 余計な設計費用や複雑な機構が要らない シ ャ フ ト の トルク伝達において、従来のギアとシャフトを使った構造だと 選 定 従動側 に 必 必要不可欠となる正確な芯出し作業が要らないので、設計が簡 要 な 項 目 単で済み、よりシンプルな機構にすることが出来ます。また、 駆動側と従動側の位置関係を自由にすることが出来ます。 4 選 定 の た め の 動く物体に動力伝達出来る 知 識 駆動側 従動側が移動する、振動するような特殊な 機構であっても動力伝達が可能 ( 逆も可 ) モーター 5 フ 従動側 なので、開発側の自由度が上がります。 レ キ シ ブ ル フレキシブルシャフトは、一定の条件をクリアすれば、駆動軸と従動軸の位置 シ ャ フ 関係を自由自在(フレキシブル)に設定できる動力伝達軸です。 ト の 種 類 〔こんな問題でお困りの場合は、フレキシブルシャフトを採用ください〕 6 他 製 ⑴ 動力源の近くに従動体を置けない 品 と  ・スペースがとれない(パイプの内面研磨など) の 比  ・相手は振動体 較   (振動篩機、コンクリートバイブレーター、コンクリートブレーカーなど)  ・相手は回転しながら移動する(磨き、削り、穴あけなど) 7 よ  ・従動体の雰囲気が悪い(ガス、高温、湿気、水中など) く あ  ・相手との位置関係をフリーにしたい(多軸穴あけ機など) る Q &  ・動力源の重さなどの関係から離したい(彫刻機、手持工具、フレキシブルグラインダーなど) A ⑵ 操作位置と被駆動体が離れている  ・ダンパー、窓の開閉 8  ・無段変速機などの遠隔操作 昌 和 の フ  ・計測器などの遠隔表示(スピードメーター、ロータリーエンコーダーなど) レ キ シ ブ ル 5 シ ャ フ ト
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1 フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ ト と は 〔使用事例〕 2 フ 農業関係 製鉄・製管関係 レ キ シ ◦刈払機 ◦畦造り機 ◦管内面研削機 ブ ル ◦しいたけ植菌用穴あけ機 ◦その他各種装置の駆動用 ◦管内面検査機 シ ャ ◦茶摘機、たばこ葉刈機 ◦管切断機 フ ト の ◦穀物移送用  (管内面より) 構 造 ◦スクリューコンベアの駆動 ◦チューブクリーナー ◦ビニールハウスの扉開閉 ◦屈曲管内部研磨機 3 ◦芝刈機 ◦管内掃除装置 フ レ キ ◦豆刈機 シ ブ ル シ ◦整地機 ャ フ ト ◦枝打機 の 選 定 に 必 要 な 工作機械 機械工場 項 目 ◦多軸穴あけ機 ◦フレキシブル・グラインダー 4 ◦多軸タッパー ◦小形高速研削ユニット 選 ◦研削盤のロータリー ◦手作業での磨き、削り 定 の  ドレッサーの駆動 ◦パイプ部分の内面洗浄、仕上げ た ◦研削ヘッドの駆動 め の ◦クーラントの駆動 知 識 ◦曲面ならい研削機 ◦面取用具 5 フ レ キ シ ブ 土木関係 漁業関係 ル シ ャ ◦コンクリート・ ◦冷凍魚の切断 フ ト  バイブレータ ◦魚体のウロコ取り の 種 ◦水中ポンプ ◦養殖真珠貝の 類 ◦コンクリート・ブレーカ  付着物除去 6 ◦地中パイプの切断 ◦いか釣機の駆動装置 他  (管内面より) ◦海苔原藻摘集装置 製 品 ◦船舶操舵システム と の 比 較 7 木工機械 その他 よ ◦多軸穴あけ機 遠隔操作(リモートコントロール) く あ ◦ほぞ切り機 ◦無断変速機のハンドル操作 ◦水門の開閉 る ◦電動彫刻機 ◦水中バルブの開閉 Q & A ◦窓、ダンパーの開閉 8 ◦各種計測機のダイヤルコントロール ◦危険区域での各種駆動 昌 ◦カウンター、目盛板への指示駆動 ◦放射線域での遠隔操作 和 の フ ◦ロータリエンコーダーなどの駆動 ◦アーケードの開閉 レ キ ◦有機溶剤などの攪拌駆動 ◦組立ラインのネジ締め装置 シ ブ ル シ ャ 6 フ ト
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1 フ レ キ シ ブ 2 フレキシブルシャフトの構造 ル シ ャ フ ト と は 〔フレキシブルシャフトを裸にすると〕 2 フ レ キ 標準的なフレキシブルシャフトは、3つの部分で構成されます。 シ ブ ル シ ャ フ 代表的な構造図(ボールベアリング型) ト の 構 造 カップリング 鋼線ブレード コアー 3 フ フレキシブルシャフト、イン レ キ ベアリング シ ライナ ナーシャフト、または単に ブ ル シャフトともいう シ ャ フ ト の 選 定 に 必 要 な 項 目 4 細線(硬鋼線) 選 ハウジング 定 フレキシブルチューブ の ケーシング、アウターチューブ、保護管、 た め または単にチューブともいう の 知 フレキシブル部分 識 接続金具 ハウジング、ケーシング、 カップリング 5 フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ 2-1コアー ト の 種 類 コアーは自由な形(U形、L形、円形など)を 6 保ちながら回転力(トルク)を伝える、文字通 他 製 りフレキシブルシャフトの中核となる部分で 品 と す。 の 比 ⑴ コアーの構造 較  右の図①ように、まず中心となる芯線の上 に数本の鋼線を右上がり方向に一気に巻き 7 よ 付け、その上の層に今度は左上がり方向に、 く あ またその上に右上がり…と交互に数層巻き る Q & 重ねてコアーは作られます。巻き上げられ A たコアーを構成する各鋼線は互いに僅かな 隙間をもっているため硬直した直軸とはな ①S巻き(左) ②Z巻き(右) 8 らず自由に曲げられる、つまりフレキシブ 右回転用 左回転用 昌 和 (時計方向) (反時計方向) の フ ル性をもったものとなります。 レ キ シ ブ ル 7 シ ャ フ ト
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1 フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ ト と は 2 ⑵ コアーの材質 フ レ  コアーには一般的に、引張りの強さとねじり応力が高く、耐摩耗性に優れている硬鋼線 キ シ ブ (SWCやJIS G3521)が使われています。また、耐熱や耐食、耐磁性などを持たせるため、 ル シ ャ フ ステンレス鋼線(SUS304WP-B)を使ったものもあります。この場合、硬鋼線材のコアー ト の 構 と比較して許容伝達トルクは多少低下します。その割合は材料の引張りの強さに比例す 造 るといえます。 3 フ レ キ シ ブ ル ▪引張りの強さ(N/ mm 2N)の比較 シ ャ フ ト の 選 線径 定 に 必 要 材質 0.5> 1.0> 1.6> 2.0> な 項 目 SWC 2206.5〜2317.0 1961.3〜2206.5 1814〜2059 1716〜1961 4 SUS304 WP-B 1961.3〜2206.5 1863〜2108 1765〜2010 1667〜1912 選 定 の た め ⑶ コアーは最外層の巻き方向によって回転方向が決まってしまう の 知  前述のように、コアーは数本の鋼線 識 を一気に、何層にも巻き重ねて形づ 5 くるので、最外層の鋼線がどの方 最外層が左巻き(左上り)のものは…右回転用(CW) フ レ 向に巻かれたかによって回転方向が 最外層が右巻き(右上り)のものは…左回転用(CCW) キ シ ブ ル 決まります。これは最外層を構成す シ ャ フ る鋼線がトルクに大きな影響力をも 右回転用(CW) 左回転用(CCW) ト の 種 つためであり、最外層の鋼線がその 類 内側の線を締めつける方向(タオル 6 他 をしぼるようなイメージ)に回すの 製 品 が主な回転方向となります。このコ と の 比 アーを逆方向に回転させて使用する 較 ①S巻き(左) と、最外層はゆるみ方向の力を受け ②Z巻き(右) 右回転用 左回転用 ることになり、伝達トルクは低下し (時計方向) (反時計方向) 7 ます。この場合の伝達トルクは正回 よ く あ 転(締めつけ方向)の約60%になり る Q ます。これは最外層の鋼線がゆるんでも、その次の層が締まり方向の力が働くためです。 & A ⑷ 左右両回転用 8  コアーの巻き方向によって回転方向が決まってしまう…これはフレキシブルシャフトの欠 昌 和 点ですが、正逆どちらの方向に回転させても出来るだけ伝達トルクに大きな差が出ない の フ レ キ ようにと、構造を工夫した左右両回転用というものがあります。反時計回転させた時の シ ブ ル シ ャ 8 フ ト
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1 フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ ト と は 許容トルクが80%まで上がっており、使い勝手が良いものとなっています(主回転右の両 2 回転用)。しかし、通常の右回転用よりも柔軟性が劣るという弱点もあります。また、特 フ レ キ 注品にはなりますが、主回転左の両回転用というものもあります。さらに100rpm以下 シ ブ ル で使用した場合には、正逆の差がほとんどない場合が多いので、特に遠隔操作用に使用 シ ャ フ ト されることが多いです。 の 構 造 3 ⑸ コアーの特性(性質)は、線構成と材質によって変わる フ レ キ  同じ外径のコアーでも、それを構成する鋼線の太さ、条数、層数、熱処理の有無によって シ ブ ル シ ャ 特性は変わります。一般に フ ト の 選 定   ・細い鋼線で、層数を多くしたものは に 必 要 な 項     柔軟性はある(曲げやすい)が、許容伝達トルクは低い。 目 4 選   ・やや太い鋼線で、層数を少なくしたものは 定 の     柔軟性は劣るが、許容伝達トルクは大きい。 た め の 知 識   ・熱処理を施したコアーは     巻き加工時の残留応力(曲がりぐせ)が除去されるとともに、耐性、柔軟性が増し、 5 回転ムラも減少します。ただし、許容伝達トルクはやや低下します。 フ レ キ シ ブ ル シ   ・SUS材で製作したものは ャ フ ト     防錆能力等があるが、許容伝達トルクが90%まで落ちる の 種 類 このように、目的、用途によって線構成、材質を変え、コアーの特性を生かした適用が可能 6 です。これらは、それぞれのメーカーのノウハウとして独自に蓄積されたものです。 他 製 品 2-2 フレキシブルチューブ(アウターチューブ) と の 比 ⑴フレキシブルチューブの役割 較  ・ コアーと共に自在な形を保持し、その中で回転しトルクを伝達するコアーを外側から支 えます。また、ある程度の長さ(太さにもよるが目安として約300㎜程度)以上でコアー 7 よ のまま使用すると〝ねじれようとする力〟が働くため、伝達効率と破断トルクが低くなっ く あ てしまいますが、フレキシブルチューブを使用することでこの〝ねじれようとする力〟 る Q & を防ぐことが出来ます。 A  ・ コアーとフレキシブルチューブの隙間には潤滑油(標準はグリース)が封入されます。フ レキシブルチューブの内面はコアの軸受けとして、円滑な回転を保つ役割を果たします。 8  ・ ホコリ、湿気、水分などが外部から浸入するのを防ぐとともに、潤滑油が外部に漏れ出 昌 和 の フ すのを防止する保護チューブにもなっています。 レ キ シ ブ ル 9 シ ャ フ ト
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1 フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ ト と は ⑵フレキシブルチューブの構造 2  目的、用途に応じたいくつかの種類がありますが、大別してつぎの二つに分類できます。 フ レ キ シ ブ  低トルク型 ル シ ャ フ   硬鋼線材と軟鋼線材をそれぞれ異形線に成形し、 ト の 構 2本を組み合わせてチューブ状に巻きあげます。 造 (電線スタンドのチューブのようなもの)。その上 3 フ にビニールまたはゴムを被覆して二重構造のフ レ キ シ ブ ル レキシブルチューブになります。軽く曲げやすい シ ャ フ ト の 反面、ねじれやすく、どちらかといえばトルクの 選 定 に 必 要 小さい用途に使用されます。 な 項 目 4  高トルク型 選 定 の   平鋼線をスプリングのように巻いてチューブ状 低トルク型 た め にしたもの(ライナーという)が一番内側でコ の 知 アーと接触する部分となります。その外面に鋼線 識 のブレード加工を施してライナーを補強し、更に 5 その上にビニールまたはゴムの被覆加工を施し フ レ た三重構造のフレキシブルチューブです。 キ シ ブ ル   低トルク形に比べて曲がりにくい反面、チューブ シ ャ フ 自身のねじり応力が高いため、高トルク用に使用 ト の 種 されます。 類   最外層が被覆されているので(仕様によっては、 6 他 〝被覆なし〟の場合もあり)、金具との接続をおろ 製 品 そかにしたり、チューブの外面にキズを付けたり と の 比 しない限り、湿気、ホコリの侵入はありません。 較 また内部の潤滑油が外へ漏れ出すこともありま 高トルク型 せん。 7 よ く あ る Q & A 8 昌 和 の フ レ キ シ ブ ル シ ャ 10 フ ト
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1 フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ ト と は 2-3 接続金具 2 コアーは細い鋼線の組合わせなので、そのままでは相手側接続部と接続しにくいです(先端 フ レ キ を溶かしたりプレスして固めることもあります)。 シ ブ ル そのため、接続しやすくするためにコアーに接続金具を取り付けます。フレキシブルチュー シ ャ フ ト ブには軸受付の接続金具を取り付け、コアーとフレキシブルチューブ、接続部との関係を保 の 構 造 持したり、チューブを支えたり掴んだりするための箇所を作ったりします。 3 フ レ キ ⑴標準的な金具の取付方法 シ ブ ル シ ャ  圧着(カシメ) フ ト の 選 定  ハンダ付け(約230℃) に 必 要 な 項 目 カシメ 4 選 定 の た め の 知 識 5 フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ ト の 種 類 ⑵特殊な取付方法 6  ・低温溶接 他 製  ・ロウ付け 品 と の 比 較 7 よ く あ る Q & 低温溶接 A 使用するコアーが太くて、大きな トルクが必用な場合の方法の一つ 8 昌 和 の フ レ キ シ ブ ル 11 シ ャ フ ト
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1 フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ ト と は 2 2-4 潤滑について フ レ チューブ付きのフレキシブルシャフトには、コアーの外面とフレキシブルチューブ内面の間 キ シ ブ に、また接続金具の軸受部に潤滑油が封入されます。封入された潤滑油は、その性能が劣化 ル シ ャ フ するまでメンテナンス(補油など)は不要です。 ト の 構 潤滑油には通常グリースが使用されます。 造 3 フ レ キ シ 標準仕様(常温)で使用できるグリース ブ ル シ ャ フ リチウム石ケン基グリース(-20℃~+110℃) ト の 選 定 に 必 要 な 項 目 標準外仕様の場合は、温度に適した潤滑油を使用する必要があるため、発注時に雰囲気温度 4 を指定する必要があります。 選 定 の た め の 知 2-5 耐熱温度について 識 標準型のフレキシブルシャフトは常温での使用を前提としています。したがって環境温度の 5 ちがいによって構成する部品の材質その他を変える必要があります。一般的な対応は下表の フ レ 通りです。 キ シ ブ ル 標準(常温) 標準外(高温) シ ャ フ 材質 MAX.60℃ MAX.80℃ MAX.250℃ MAX.350℃ ト の 種 コア SWC SUS304WP ー B 類 6 内層 鋼線またはSK材 他 フレキシブル 製 品 チューブ と 被覆 塩化ビニール エチレンプロ の またはゴム ピレンゴム シリコンゴム なし 比 較 接続金具 SS41(ユニクロメッキ) SUS304 潤滑油 リチウム石ケン基グリース 高温用グリース 7 上記の対応はメーカーによって違う場合があります。表以外の条件の場合もメーカーと打合 よ く あ せする必要があります。 る Q & A 8 昌 和 の フ レ キ シ ブ ル シ ャ 12 フ ト
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1 フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ ト と は 2-6 防水、防湿、防塵について 2 標準型のフレキシブルシャフトは室内・標準環境での使用を前提としており、通常、防水・ フ レ キ 防湿・防塵に対する特別な配慮はされていません(フレキシブルチューブ付については、大 シ ブ ル 部分はカバーされているので多少の湿気や粉塵の環境では使用出来ます)。したがって標準 シ ャ フ ト 型のものはフレキシブルチューブと接続金具の継手部及び軸受部から浸水などがおきる可能 の 構 造 性があります。しかし、以下の対策を実施することでこれらに対応することが可能です。 3 フ レ キ  ・これらの部分を防水構造にする(軸受部にOリング・オイルシール等を取付ける)。 シ ブ ル シ ャ  ・露出する接続金具の材質をSUS304にする。 フ ト の 選 定 に 必 要 な 項 以上の対策を施されたフレキシブルシャフトは海水中、または水中数メートルの環境でも使 目 用されることがあります。また、従来のチューブなしフレキシブルシャフト(SWC製)に 4 選 熱収縮ゴムチューブを被膜させることで、簡易的な防錆、防塵機能を付与することも可能で 定 の す。 た め の 知 識 湿気の多い作業場に 水門の開閉バルブに 5 フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ ト の 種 類 6 他 製 品 と の 比 較 7 よ く あ る Q & A 8 昌 和 の フ レ キ シ ブ ル 13 シ ャ フ ト
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1 フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ 3 フレキシブルシャフトの選定に必要な項目 ト と は 2 ⑴伝達トルク(N・㎝) フ レ  従動側の実測値があればその値、なければ駆動側の動力と回転数から計算(4-1参照) キ シ ブ ル シ ャ フ ⑵動力(kW) ト の 構  モーターなどの動力源の大きさです。 造 3 フ ⑶回転数(rpm)(4-2参照) レ キ シ ブ ル シ ャ フ ト の ⑷回転方向(右・左・両) 選 定 に 必 要  駆動側から被駆動側を見て時計方向が右回転用(CW) な 項 目  反時計方向が左回転用(CCW)どちらでも使用するなら両回転用 4 選 定 の た め の 知 識 5 フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ ト の 種 類 6 他 ■本図は右回転用(CW)を示す 製 品 と の 比 較 ⑸長さ(m、または㎜) 7  必要な長さを計算または測定する。(7-Q7参照) よ く あ  この場合、曲げ半径をできるだけ大きく設定するのが望ましい。(4-5⑵参照) る Q & A ⑹曲げ半径(㎜)  可能な範囲で大きくする(大きい程伝達効率と耐久力が高くなる)。(4-5⑵参照) 8 昌 和 ⑺負荷変動の有無 の フ レ キ  フレキシブルシャフトに掛かってくる、負荷トルクの大きさに変動が有るか無いか。 シ ブ ル シ ャ 14 フ ト
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1 フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ ト と は ⑻接続方法 2  相手側接続部(駆動側、従動側)の形状や寸法及び着脱方法などにより決定します。(8-2 フ レ キ 参照) シ ブ ル シ ャ フ ト ⑼使用条件 の 構 造  定速・連続○○時間運転、正逆くりかえし○分ごと△△運転、間欠○○分運転・△△時間 3 停止、手回しなど。 フ レ キ シ ブ ル シ ャ ⑽使用環境 フ ト の 選 定  室内、水中、常温、高温、低温(MAX.△℃)、湿度、粉塵の有無、真空中、非磁性、そ に 必 要 な 項 の他必要項目。 目 4 選 曲げて取付けた場合の長さの求め方 定 の た め の 知 識 R 2 2 Y R = X + Y 4Y 5 R フ レ キ シ ブ ル X シ ャ フ ト の 種 上記計算式で得られた曲げ半径(R)が選んだフ 類 レキシブルシャフトの最小曲げ半径より大きい 6 かどうか、チェックしてください。小さい場合は、 他 製 X又はY寸法を変えて、R寸法が最小曲げ半径以 品 と 上になるよう調整してください。 の 比 較 選定の重点項目 ・コアーの巻き方向と回転方向は逆→2-1⑶参照 7 よ ・トルクは回転数に反比例→4-1⑵参照 く あ る ・出来るだけ高回転、低トルクで使用する→4-5⑴参照 Q & ・曲げ半径はできるだけ大きく→4-5⑵参照 A ・両回転用の場合は大きめのコアーを選ぶ ・回転オクレ(ねじれ角)に注意する→ 8 昌 和 P.3注意点・回転オクレ(ネジレ角)参照 の フ レ キ シ ブ ル 15 シ ャ フ ト
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1 フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ 4 選定のための知識 ト と は 2 4-1 トルク(Torque)とは フ レ ⑴トルク キ シ ブ  定 義…『回転軸のまわりの力のモーメントのこと』 ル シ ャ フ ト の 構 造 3 回転体フ レ キ シ ブ ル シ ャ 例えば、半径10㎝の一端に45.4Nの重りを付け フ ト の L 選 定 たとき動き始めた回転体のトルクは に 必 要 な 項 T=L・W10×490.3N・㎝ 目 4 選 W 定 の た め の 知 識 ⑵トルク-動力-回転数の関係 5  フレキシブルシャフトの選定に必要なトルク(T)は以下の式で計算することが出来ます。 フ レ キ シ ブ ル シ 9545×kW×100  ャ フ T = T : トルク(N・㎝) ト rpm        の kW : 動力 種 類 7017×PS×100  PS : 動力(馬力) 6 T = rpm        rpm : 回転数/分 他 製 品 と の 比 較 ・動力を一定とすると……回転数が多い程、トルクは小さい。 ・トルクを一定とすると…回転数が多い程、大きな動力を伝えられる。 7 よ く あ ⑶フレキシブルシャフトの許容伝達トルク る Q  フレキシブルシャフトの構造(2-1参照)のようにフレキシブルシャフトのコアーには、 & A その太さと線構成から得られる破壊トルク値があり、それに安全率を掛けたものを許容伝 達トルクといいます。 8  許容伝達トルクは曲げ半径によって変ります。(曲げ半径が小さくなる程、許容伝達トル 昌 和 クは低下します。) の フ レ キ  通常、許容伝達トルクの最大値はコアーの破壊トルク値の約1/10 シ ブ ル シ ャ 16 フ ト
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1 フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ ト と は 4-2 最高回転数と曲げ半径 2 フレキシブルシャフトは、一般的には低トルク・高回転に適した動力伝達軸とされています フ レ キ が、それでも許容最高回転数がありその値は、コアーの太さと曲げ半径に関係します。フレ シ ブ ル キシブルシャフトを曲げて回転させた場合、コアー自身、及びコアーとチューブの摩擦によっ シ ャ フ ト て熱を発生します。熱量は回転数が高く、曲げ半径が小さくなる程増加します。そして伝達 の 構 造 効率も低下させます。 3 フ レ キ シ 最高回転数の目安〔d=コアー外径(mm)〕 ブ ル シ ャ 曲げ半径(mm) 最高回転数(rpm) フ ト の 選 定 25d 〜 50d 48,000/d に 必 要 な 50d以上 60,000/d 項 目 4 選 定 4-3 伝達効率 の た め の  曲げ半径が小さくなるとやや低下しますが、基本的にはほとんど変わりません。 知 識  ・ほぼ直線で使用した場合(50d以上)……………………………約99〜95%  ・曲げ半径に比例して低下 最小曲げ半径(25d)………………約95〜90% 5 フ レ 4-4 フレキシブルシャフトの寿命 キ シ ブ ル シ フレキシブルシャフトの耐久力は、選定時に決まってしまうといえます。なぜならほとんど ャ フ ト の場合、使用開始数時間で問題点がみえてくるためです。 の 種 類 ⑴適正に選定された場合 6  ・振動、ねじれなどなく静かな運転を継続する。 他 製  ・チューブ付きの場合、チューブに触れても異常温度はみられない。 品 と  ・通常、ベアリングなどと同時間の運転寿命がある。 の 比  ・チューブ内面と摩擦によるコアの摩耗は僅少。 較   (Ф6コアーで1,000時間連続運転後の摩耗量……約0.1㎜) 7 よ ⑵選定を誤った場合 く あ  ・ねじれ及びねじ切れ(破損)…伝達トルクの設定が低かった(特に過負荷に対する読み る Q & 不足) A                 曲げ半径の不足、取付不良  ・異常発熱…………………………曲げ半径不足(回転数と曲げ半径のバランス不良) 8                 取付不良(特に接続金具の近くで発熱) 昌 和 の フ  ・振動、脈動の発生………………設定トルク値不足、曲げ半径不足 レ キ シ ブ ル 17 シ ャ フ ト
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1 フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ ト と は 2 4-5 フレキシブルシャフト選定のポイント フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ ト できるだけ高速域でフレキシブルシャフトを使う の 構 造 3 回転数に比例して細いコアーが選べる フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ ト の 選 定 に 必 要 な 曲げ半径を小さくできる 重量が軽くなる 取扱いやすい ローコスト 項 目 4 メリット 選 定 の た め の 知 ⑴高速回転・低トルクの領域で使用する 識  例えば0.75kWの動力を駆動側から従動側へ伝達する構造で、3,600rpmの速さで回転さ 5 せるA案と、1,200rpmで回転させるB案として比較します。 フ レ キ シ ブ ル シ ャ フ A案 高回転の場合 ト の 種 類 T= 9545×kW×100 = 9545×0.75×100 6 rpm 3600 = 198.8N・㎝ 他 製 品 B案 低回転の場合 3倍 と の 比 較 T= 9545×kW×100 = 9545×0.75×100 rpm 1200 = 596.5N・㎝ 7 よ く あ  A案では、B案の1/3のトルクしか必要ありません。つまり、必要トルクは回転数に反 る Q 比例します。選定したコアーのスペックに対応する最高回転数と曲げ半径をチェックする & A ことが必要です。 8 ⑵曲げ半径を大きく 昌 和  ・コアーには太さに比例した最小曲げ半径があります。(≧25d) の フ レ キ  ・最小曲げ半径のときの伝達効率は、ほぼ直線時の約90〜95%。 シ ブ ル シ ャ 18 フ ト