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【製薬・食品・電子部品】 製造現場の空調フィルタ管理のきほん

ハンドブック

製造現場に配属されたばかりの新人担当者や専門外の設備管理者、生産技術者を対象に空調フィルタの基礎科学から最新の国際規格、実践的な運用メンテナンス手法、複雑な廃棄物処理法規などを解説します。

■フィルタとは? ~捕集の物理学と基本性能~
■フィルタの基本特性
■主なフィルタの種類 ~階層的な防衛システム~
■換気用エアフィルタの規格体系:JIS B 9908とISO 16890
■クリーンルーム用高性能フィルタの規格:HEPAとULPA
■クリーンルーム用高性能フィルタの各種試験
■運用管理の基本 ~「見える化」とデータに基づく予知保全~
■フィルタはどこで、どう使われている?
■寿命判断と交換時期 ~最適なタイミングの見極め~
■フィルタの交換作業手順 ~汚染を広げないための作法~
■廃棄方法 ~コンプライアンス遵守の要~

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このカタログについて

ドキュメント名 【製薬・食品・電子部品】 製造現場の空調フィルタ管理のきほん
ドキュメント種別 ハンドブック
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取り扱い企業 ニッタ株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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はじめに

はじめに 製造業における「見えないインフラ」としての空気質管理 現代の製造業において、 QCD(製品の品質:Quality、コスト:Cost、納期:Delivery)の管理(追求)は 物理的な生産設備や原材料の管理だけでは完結しません。これに加え、現場における「空気質(Air Quality)」の管理も単なる環境衛生の維持活動にとどまらず、企業の競争力を左右する戦略的インフラ へと、その役割を大きく変化させています。 第4次産業革命(Industry 4.0)が牽引する製造プロセスのデジタル化・自動化は、製品の名のレベルでの 微細化と高精度化を同時に要求しています。その結果、従来は無視し得た微小な浮遊粒子が、現在では生 産歩留まり、設備稼働率、さらには最終製品の信頼性にまで致命的な影響を及ぼすリスク要因として顕在 化しています。 製造現場には、目に見える切り粉やゴミだけでなく、人間の目には捉えられない微細な浮遊粒子、オイル ミスト、腐食性ガス、さらには微生物など、多種多様な汚染物質(コンタミネーション)が存在します。 これらが製品に付着すれば、半導体回路の短絡、塗装面のブツ不良、医薬品への異物混入、食品の腐敗と いった致命的な欠陥を引き起こします。また、労働安全衛生法や関連法規の観点からも、従業員が呼吸す る空気の清浄度を維持し、健康被害を未然に防ぐことは企業経営における法的かつ倫理的な責務です。 空調エアフィルタは、この「空気の質」を物理的・化学的に制御するための最重要デバイスであり、製造 現場における「防波堤」の役割を担っています。 しかしながら、フィルタは単に設置すれば機能するものではありません。 その捕集原理を正しく理解し、現場の汚染物質の特性に合わせた最適な種類を選定し、適切な時期に交換 し、そして法規制に則って適正に廃棄するという、ライフサイクル全体を通じた管理(マネジメント)が なされて初めて、その真価を発揮します。 特に近年、エアフィルタの性能評価に関する国際規格は大きな再編期を迎えています。一般換気用フィル タでは、従来の「捕集効率(%)」という単一指標から、環境大気中の汚染物質(PM1、PM2.5)の質量 濃度低減性能を評価する「ISO 16890」への移行が進んでいます。一方、クリーンルーム用フィルタでは、 欧州規格EN 1822を基盤とした国際規格「ISO 29463」が制定され、日本のJIS規格もこれら国際規格と整 合する形で改定が行われています。これらの新規格は、フィルタ性能をより実使用環境に近い条件で評価 することを目的としており、管理者には最新の規格体系に対する深い理解が求められています。 本書「製造現場の空調フィルタ管理のきほん」は、製造現場に配属されたばかりの新人担当者や専門外の 設備管理者、あるいは生産技術者を対象に空調フィルタの基礎科学から、最新の国際規格、実践的な運用 メンテナンス手法、そして複雑な廃棄物処理法規に至るまでを網羅的かつ体系的に解説するものです。 教科書的な知識にとどまらず、現場で発生しうるリスクやコストと品質のトレードオフに関する洞察を交 え、実務に即した「生きた知識」を提供することを目的としています。 1 NITTA Corporation All Rights Reserved.2026
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もくじ

もくじ フィルタとは? ~捕集の物理学と基本性能~・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 フィルタの基本特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 主なフィルタの種類 ~階層的な防衛システム~・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 換気用エアフィルタの規格体系:JIS B 9908とISO 16890・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 クリーンルーム用高性能フィルタの規格:HEPAとULPA・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 クリーンルーム用高性能フィルタの各種試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 運用管理の基本 ~「見える化」とデータに基づく予知保全~・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 フィルタはどこで、どう使われている?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 寿命判断と交換時期 ~最適なタイミングの見極め~・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 フィルタの交換作業手順 ~汚染を広げないための作法~・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 廃棄方法 ~コンプライアンス遵守の要~・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 NITTA Corporation All Rights Reserved.2026 2
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フィルタとは? ~捕集の物理学と基本性能~

フィルタとは? ~捕集の物理学と基本性能~ 空調フィルタ(Air Filter)とは、気流中に浮遊する固体粒子や液滴、あるいはガス状物質を分離・捕集す るための多孔質体や装置の総称です。一見すると、単なる「網」や「スポンジ」のように見えますが、そ の内部では流体力学とエアロゾル工学に基づく複雑な物理現象が作用しており、ハイテク製品の一種と 言っても過言ではありません。フィルタの基本を理解するためには、まず「どのようにゴミを取るのか (捕集原理)」と「どのような負担がかかるのか(圧力損失)」という二つの側面を知る必要があります。 |捕集のメカニズム:単なる「ふるい」ではない 一般的にフィルタというと、ザルや網戸のように「穴より大きいゴミが引っかかる」という単純な「さえ ぎり効果(ふるい効果)」をイメージしがちです。確かに、落ち葉や昆虫、粗大な砂埃などの大きな粒子 に対してはこの原理が主となります。しかし、製造現場で問題となる数マイクロメートル(μm)からナ ノメートルオーダーの微粒子に対しては、繊維の隙間はあまりにも広大です。それでもなお、高性能な フィルタがこれらの微粒子を捕捉できるのは、以下の5つの物理的メカニズムが複合的に作用しているか らです。 慣性衝突(Inertial Impaction) 1μm以上の比較的大きな粒子に有効。粒子の慣性により気流の 方向変化に追従できず、繊維に直接衝突して捕捉されます。 ✓ 大型粒子の効率的除去 ✓ 高風速時により効果的 ✓ 花粉・ホコリなどに最適 さえぎり(Interception) 中程度サイズの粒子(0.1‐1μm)に効果的。気流に沿って流れる 粒子が繊維表面に接触して捕捉 ✓ 中間サイズ粒子に効果的 ✓ 気流パターンが重要 ✓ フィルタ密度との関係が深い 拡散(Diffusion) 0.1μm以下の微粒子に有効な捕集メカニズム。粒子がブラウン運 動により不規則に動き、フィルタ繊維に衝突することで捕捉。 ✓ 超微細粒子の除去に最適 ✓ 低風速時により効果的 ✓ HEPAフィルタの核となる原理 重力沈降(Gravitational Settling) 大型で重い粒子に対して重力の作用により沈降・捕捉するメカニ ズム。主に前段フィルタで大きなゴミを除去する際に利用されま す。 ✓ 大型・重粒子の除去 ✓ 自然沈降の利用 ✓ プレフィルタ段階で活用 静電気(Electrostatic) 荷電した粒子や分局可能な粒子に対して、クーロン力により引き 寄せて捕捉。特に小さな粒子に対して効果的です。 ✓ 荷電粒子に特に効果的 ✓ 低圧力損失で高効率 ✓ 電子機器周辺で重要 3 NITTA Corporation All Rights Reserved.2026
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フィルタの基本特性

フィルタの基本特性 |捕集効率とは 捕集効率とは、フィルタやエアシャワーを通過する前後の粒子を比較し、「どれだけの割合の粒子をつか まえられたか」を示す指標です。ここでの粒子とは、塵埃・毛髪片・繊維くず・微生物などで、対象とす る粒径が何μmの粒子かを示さないと数値の意味が変わってしまいます。 捕集効率は、一般的に「圧力損失」とトレードオフの関係にあります。 高性能なフィルタほど繊維が細く密であるため、初期圧力損失は高くなる傾向があります。 管理者は、「必要な清浄度を確保しつつ、いかに圧力損失(=エネルギーコスト)を抑えるか」というバ ランスを常に考慮しなければなりません。 圧力損失 140 圧力損失: 120 総合圧力損失 ろ紙の圧力損失と構造圧力損失 の合算で決定します。 100 80 捕集効率: ろ紙圧損 60 ろ材の設計(繊維配合)で決定 構造圧損 します。 40 20 ろ材面積 0 0 2 4 6 8 10 12 (プリーツ数) |圧力損失(ΔP:Pressure Drop):性能の代償 圧力損失とは、フィルタを通過する空気が受ける抵抗の大きさを言い、入口側と出口側の圧力差を「圧力 損失(差圧)」と呼び、通常パスカル(Pa)で表します。 抵抗が小さいほど省エネ・静穏・長寿命になります。フィルタが粒子を捕集するために繊維を密にすれば するほど、空気の通り道は狭くなり、抵抗が増大します。  圧損が大きい ファンの負荷が増え、電力消費が増えます。  圧損が上昇 設計風量が確保できず、空調性能の低下につながります。 そのため、初期圧損・最終圧損は使用設計に必須であり、フィルタ管理においても最も重要な指標の一つ と言えます。 初期圧力損失(Initial Pressure Drop) 新品のフィルタを設置した直後の抵抗値。 この値が低いほど、送風機(ファン)にかかる負荷が小さく、省エネルギー性能が高いと言えます。 最終圧力損失(Final Pressure Drop) 使用に伴い粒子が堆積し、目詰まりが進行して抵抗が増大した状態での交換推奨値。 これを超えて使用し続けると、以下のような致命的なトラブルを引き起こします。 • 風量低下: 換気不足による室内の温度・湿度・清浄度の悪化。 • エネルギー浪費: インバータ制御ファンの場合、設定風量を維持しようとして回転数が上がり、消費電 力が3乗の法則に従って急増します。 • 物理的破損: 過大な風圧に耐え切れずフィルタ濾材が破れ(ブローバイ)、捕集した塵埃が一気に流出 する事故 。 NITTA Corporation All Rights Reserved.2026 4
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スライド番号 6

|粉塵保持容量(Dust Holding Capacity) 粉塵保持容量とは、フィルタがどれだけ粉塵を捕集しながら使用を継続できるかを示す指標のことです。 粉塵保持容量が高いと、圧損の上昇が遅く、フィルタ交換サイクルが長くなります。それにより、フィル タの長寿命につながり、ランニングコストの低減にもなります。 捕集効率の測定方法は、JIS B 9980:2019の規格で次のように記載されています。 通風時、エアフィルタの上流側から試験粒子(捕集率用のJIS8種ダスト)を流し、試験フィルタの試験 フィルタの上流側と下流側の粒子数をパーティクルカウンタで測定し、その平均を算出する方法をとって います。 ※除電前性能及び除電(IPA暴露)後性能を測定しその平均を算出します。 |優れたフィルタとは 優れたフィルタとは「圧力損失」と「粉塵保持容量」のバランスが良いフィルタです。  初期圧損が低い  粉塵保持容量が大きい  使用中の圧損上昇が緩やか  目的粒子に対する捕集効率が高い という 性能バランス(圧損 捕集効率 粉塵保持) が最適化されています。 5 NITTA Corporation All Rights Reserved.2026
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主なフィルタの種類 ~階層的な防衛システム~

主なフィルタの種類 ~階層的な防衛システム~ 製造現場の空気清浄化は、単一のフィルタですべての汚染物質を除去しようとすると、すぐに目詰まりを 起こし、コストとメンテナンス頻度が増大します。 粒子の大きさや目的に応じて、複数のフィルタを組み合わせる粒径ごとの分離効率を考慮した「多段ろ過 方式(Multi-stage Filtration)」が一般的です。 ここでは、代表的なフィルタの種類と、その性能評価基準について詳述します。 |フィルタの種類とフィルタごとの性能評価基準 プレフィルタ(第一段階:粗塵用フィルタ) 空調システムの最前線に配置される「第一の盾」です。 対象 外気に含まれる落ち葉、昆虫、綿埃、大きな砂粒など、肉眼で確 認できる10μm以上の粗大粒子。 素材 ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの不織布や、金属メッ シュ、サランネットなど。 機能 後段に控える高価な中性能・高性能フィルタが早期に目詰まりす るのを防ぎ、システム全体の寿命を延ばすことが最大の目的です。 ニッタのプレフィルタは繊維の方向性がなく、立体的に配置する という不織布の特性を生かした構造で、塵埃保持量が大きく、か 特徴 つ空気抵抗が少ない、優れた除塵効果を発揮。 再生タイプは復元力が高く再使用に耐え経済的。 難燃タイプは優れた防火性能を有しています(JACA No.11A-2003 に準拠)。 洗浄して再利用できる「再生型」と、使い捨ての「ロングライフ 形態 型(不織布)」があります。自動巻き取り式のロールフィルタも、 メンテナンスの手間を省くために大規模工場で採用されています。 構造 ●軽量で取付交換作業が簡単です。 ●復元力が高く、洗浄・再使用に耐えます。 ●優れた防火性能を有します。 NITTA Corporation All Rights Reserved.2026 6
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スライド番号 8

中高性能フィルタ(第二段階・主フィルタ:プリーツ型、折り込み型、袋型) プレフィルタを通過した微細な粉塵を捕集します。 ろ過面積を大きく取って圧力損失を抑えるため、ろ材を袋状に縫製した「バグ型」やジグザグに折り たたんで厚みを持たせた「ボックス型(奥行き150mm~290mm程度の多風量タイプ)」があります。 プリーツ型(パネル型/ミニプリーツ型) 対象 数μm~10μm程度の浮遊粉塵。カビの胞子や燃焼煤煙の一部も対 象となります。 構造 ろ材を蛇腹状に折り込んだ薄型構造。 標準パネル型のほか、省スペース性の高いミニプリーツ型も主流。 ガラス繊維ろ紙や、帯電処理された合成繊維不織布が用いられま 素材 す。ガラス繊維は湿度や薬品に強く性能が安定していますが、廃 棄時の取り扱いに注意が必要です。合成繊維は軽量で取り扱いが 容易ですが、静電気効果の減衰を考慮する必要があります。 特徴 薄型、低圧損、均一な風量、扱いやすい。 用途 コンパクト空調機に多く採用されている他、各種空調機、狭いス ペースで採用されています。 折り込み型(エンボス構造) 対象 数μm~10μm程度の浮遊粉塵。カビの胞子や燃焼煤煙の一部も対 象となります。 構造 ろ材の間に波型セパレーターを入れ耐圧性を確保した厚みのある 箱型構造。 ガラス繊維ろ紙や、帯電処理された合成繊維不織布が用いられま 素材 す。ガラス繊維は湿度や薬品に強く性能が安定していますが、廃 棄時の取り扱いに注意が必要です。合成繊維は軽量で取り扱いが 容易ですが、静電気効果の減衰を考慮する必要があります。 特徴 長寿命タイプや多風量タイプがあり、安定した性能。 用途 病院、工場、研究施設、商業ビルで広く使用されています。 袋型(バッグフィルタ/ポケットフィルタ) 対象 数μm~10μm程度の浮遊粉塵。カビの胞子や燃焼煤煙の一部も対 象となります。 構造 ろ材を複数の袋状に成形した形状。 ガラス繊維ろ紙や、帯電処理された合成繊維不織布が用いられま 素材 す。ガラス繊維は湿度や薬品に強く性能が安定していますが、廃 棄時の取り扱いに注意が必要です。合成繊維は軽量で取り扱いが 容易ですが、静電気効果の減衰を考慮する必要があります。 特徴 ろ過面積が大きく、粉じん保持容量が非常に大きい。 低圧損で省エネ性が高く、大風量。 用途 外調機・AHUが主流で、大風量用途で使用されます。 7 NITTA Corporation All Rights Reserved.2026
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スライド番号 9

エンボス構造 V字構造 ろ材だけによる構造 フィルタ断面を均一なV字型にし アルミセパレータを使わず、接 て圧力損失を大幅に低減し、さ 着剤以外はろ材のみで構成する らにプリーツのエンボス同士を ことで構造を簡素化し、性能が 接着固定することで圧力による 変形を防ぎ、安定した性能を維 安定して均一な性能を維持しま 持します。 す。 エンボス加工 プリーツ間の固定 対面するプリーツに左右対称の エンボス頂点同士を接着して一 薄い半円形エンボスを施し、先 体化し、プリーツ先端もビード 端に向かって深さを徐々に浅く 状の接着剤で複数箇所固定する してゼロにします。さらに対向 ことで、強固なフィルタパック するエンボス同士を接着するこ を実現しています(イメージの とで、プリーツ先端に鋭角形状 為、黄色で表現しています)。 を形成します。 <エミレント >の構造の特徴は、フィルタ断面の対面するプリーツにシンメトリックなエンボス加工をして、 そのエンボス頂点相互間を接着させてプリーツ断面をテーパ上に固定した一体構造にあります。 そして、プリーツの先端部分を接着剤で接着固定することにより、強固なフィルタパック化を実現しています。 糸状セパレータを流入、流出側共に切れ目なく配置することで、高次元の耐圧強度を実現。 ミニプリーツ構造 お客様によって異なる多重多様な使用用途でも最適なフィルタをお選びいただけます。 ●ウレタン樹脂を含侵させた糸 ●お客様のご要望により、 状セパレータを流入・流出に切 パック厚最薄32mmから最 れ目なく配置することで、プ 厚85mmの中より最適なも リーツ間隔を強固に保持でき、 のをお選びいただけます。 高い耐圧強度を発揮します。 ●剛度の高いろ材を使用し、 ●プリーツ間隔は、糸状セ 高い耐圧強度を発揮します。 パレータにより、均一に保 持されています。 NITTA Corporation All Rights Reserved.2026 8
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スライド番号 10

HEPA/ULPAフィルタ(最終段階) 半導体、医薬品、食品製造など、清浄度が製品品質に直結する分野で使用される「最終防衛ライン」です。 HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ 定 定格風量でMPPS粒子に対して99.95(35H)~99.995(45H)の粒 義 子捕集率を持ち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエ アフィルタ(JIS B 9927より)と厳密に定義。 対 象 MPPS粒子を高い効率で捕集。 用 半導体、医薬品、食品製造だけでなく、病院や医療・介護施設な 途 どでも使用。 素 極細のガラス繊維を紙状に抄いたろ材を使用。 材 わずかな物理的接触でも破損するため、取り扱いには細心の注意 が必要です。 ULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタ 定格風量でMPPS粒子に対して99.999(50U)~99.999995(75U) 定義 の粒子捕集率を持つ(JIS B 9927より)HEPAを超える超高性能 フィルタと定義。 対象 MPPS粒子を高い効率で捕集 用途 半導体のナノプロセスなど、極限の清浄空間を作り出すために用 いられる 極細のガラス繊維を紙状に抄いたろ材を使用。 素材 わずかな物理的接触でも破損するため、取り扱いには細心の注意 が必要です。 ケミカルフィルタ 他のフィルタの「粒子(Particle)」除去とは違い、ケミカルフィルタは「ガス(Gas)」を除去します。 対象 自動車排気ガス(NOx, SOx)、有機溶剤(VOCs)、酸性ガス、ア ルカリガス、オゾン、分子状汚染物質(AMC)。 活性炭の微細孔による「物理吸着」や、活性炭や繊維に添着させ 原理 た薬剤との「化学反応(化学吸着)」、イオン交換樹脂による 「イオン交換」を利用します。 半導体工場の露光装置(レンズの曇り防止)、美術館・博物館、 用途 腐食性ガスが発生する現場の制御盤保護など。寿命判断は差圧で はなく、ガスの破過(吸着能力の飽和)で行うため、定期的なサ ンプリング分析が必要です。 9 NITTA Corporation All Rights Reserved.2026
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換気用エアフィルタの規格体系:JIS B 9908とISO 16890

換気用エアフィルタの規格体系:JIS B 9908とISO 16890 エアフィルタの性能評価規格は長年にわたり国や地域ごとに独自の手法が用いられてきましたが、グロー バリゼーションと環境意識の高まりに伴い、近年劇的な統合と再編が進んでいます。特に一般換気用フィ ルタ(中性能以下)においては、従来の「質量法」「比色法」から、より科学的な「微粒子計数法(ISO 16890)」への移行が決定的となっています。 |新しい国際規格 ISO 16890 のインパクト 従来、中性能以下のフィルタの評価には「比色法」や「質量法」といった試験方法が用いられてきました が、これらは実際の環境中での性能を正確に反映しにくいという課題がありました。そこで近年、世界的 に導入が進んでいるのが ISO 16890 です※1。 この規格は、WHOなどの環境基準で使用される粒子径区分(PM1, PM2.5, PM10)と整合性を持たせてお り、フィルタが「どのサイズの粒子をどれだけ除去できるか(ePM: efficiency Particulate Matter)」で分 類します。  ISO ePM1: 0.3~1μmの粒子に対する捕集効率(ウイルス、排気ガス煤煙など)  ISO ePM2.5: 0.3~2.5μmの粒子に対する捕集効率(バクテリア、胞子など)  ISO ePM10: 0.3~10μmの粒子に対する捕集効率(花粉、粗塵など) ※1 ISO 16890は帯電効果を除去した後の「最低効率」も評価に組み込むため、静電気に頼ったフィルタの性能が見かけよりも低く評価さ れる可能性があります。製造現場にとっては「PM2.5対策を強化したいならePM2.5グレードを選ぶ」といった具合に目的ベースでの選定が 容易になるメリットがあります。 |粒子のサイズ 0.0005 0.001 0.01 0.1 1 10 100 1000 一 般 スモッグ 雲・霧 大 大気塵 気 タバコの煙 セメント粉塵 カーボンブラック PM2.5 代 花粉 表 ガス分子の直径 オイルミスト 黄砂 的 粒 海塩粒子 子 肺に害のあるダスト 毛髪 例 ウイルス 真菌(カビ) 細菌 電子顕微鏡で見える粒子 光学顕微鏡で見える粒子 肉眼で見える粒子 適 用 ケミカルフィルタ エ ULPA/HEPAフィルタ ア フ ィ 中高性能エアフィルタ ル タ プレ(粗塵)エアフィルタ 0.0005 0.001 0.01 0.1 1 10 100 1000 NITTA Corporation All Rights Reserved.2026 10
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|JIS B 9908の変遷と現状 日本の産業規格JIS B 9908(換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試験方法)は、日 本の空調設備における基本規格として長年運用されてきました。 その歴史的変遷を理解することは、既存設備の図面や仕様書を読み解く上で不可欠です。 【旧JIS B 9908(2011年版以前)の分類】 2011年版以前のJIS B 9908では、試験方法の違いによってフィルタを以下の4つの形式に分類していまし た。多くの古い仕様書や現場では、依然としてこの呼称が使われています。 通称(形式) 試験原理 主な対象 評価指標 計数法 粒子計数器(パーティクルカウン タ)で個数濃度を測定 HEPA / 準HEPA 0.3μm粒子捕集率(%) 比色法 光散乱式粉じん濃度計や変色度合 いで汚れを比較 中性能フィルタ 比色法捕集率(%) 質量法 給気・排気中の試験粉体重量を測 定 プレフィルタ / 粗塵用 質量法捕集率(%) 電気集塵 電気集塵機の性能試験 電気集塵機 - 特に「比色法(Colorimetric method)」は、大気塵に近い粉塵を用いた際の濾紙の汚れ具合(黒化度) を比較するものでしたが、実際の粒径ごとの除去性能とは相関が曖昧であり、PM2.5対策などの現代的な 要求には応えられないという課題がありました。例えば「比色法65%」のフィルタが、具体的に何μmの 粒子をどれだけ除去できるのかは、この数値からは正確に読み取れません。 【JIS B 9908:2019によるISO整合化と規格再編】 2019年、JIS B 9908は国際規格ISO 16890シリーズとの整合を図るため、抜本的な改正が行われました。 これにより、従来のJIS B 9908:2011は廃止され、以下の部編成に再構成されました。  JIS B 9908-1: 粒子状物質捕集率に基づく仕様,要件及び分類(ISO 16890-1 対応) ・フィルタの新たな分類体系(ePM分類)を規定する中核規格です。  JIS B 9908-2: 粒径別捕集率及び圧力損失の測定方法(ISO 16890-2 対応) ・0.3μm~10μmの範囲での粒径別除去効率の測定手順を定めます。  JIS B 9908-3: 試験粉じん負荷に対する質量法捕集率及び圧力損失の試験(ISO 16890-3 対応) ・ダスト保持容量(寿命)を評価するための負荷試験方法です。  JIS B 9908-4: 換気用エアフィルタユニットの除電処理の試験方法(ISO 16890-4 対応) ・静電気帯電効果を除去した後の「最低効率」を測定するための前処理方法(イソプロパノール蒸気暴 露)を規定します。  JIS B 9908-5: 換気用電気集じん器の性能試験方法  JIS B 9908-6: 超高性能フィルタユニットの性能試験方法(※2022年廃止、JIS B 9927等へ移行・再編 の流れあり)。 この改正により、日本国内においても「比色法」による効率表示から、後述するISO ePM分類への移行が 正式に進められています。カタログ等では新旧併記が見られますが、実務上はJIS B 9908-1(ISO 16890準 拠)に基づく選定が推奨されます。 11 NITTA Corporation All Rights Reserved.2026
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スライド番号 13

|ISO 16890:新たなグローバルスタンダード ISO 16890は、WHO(世界保健機関)などの環境基準で使用されるPM(Particulate Matter)指標と整合 性を持たせた画期的な規格です。従来の欧州規格EN 779や米国ASHRAE 52.2が抱えていた「試験用ダスト の非現実性」や「帯電フィルタの過大評価」といった課題を克服し、世界統一基準として策定されました。 【評価クラスの定義(ePM分類)】 ISO 16890では、フィルタが捕集できる粒子径範囲に応じて4つのグループに分類されます。分類のために は、対象となる粒子径範囲において最低50%以上の捕集効率を有する必要があります。数値は5%刻みで 切り捨て表示されます(例:測定値53% → 表記50%)。 ISO 16890によるフィルタ分類(ePM分類) ISO グループ 対象粒子径範囲 定義要件(判定基準) 主な捕集対象・用途 ISO ePM1 0.3μm ~ 1.0μm ePM1 効率 50% ウイルス、燃焼煤煙、ナノ粒子 高度なオフィスビル、病院、精密工場 ISO ePM2.5 0.3μm ~ 2.5μm ePM2.5 効率 50% バクテリア、真菌胞子、花粉、トナー粉 一般商業施設、工場給気 ISO ePM10 0.3μm ~ 10μm ePM10 効率 50% 微細砂塵、石炭粉塵 プレフィルタ後段、一般空調 ISO Coarse 10μm以上(粗塵) ePM10 < 50% 落ち葉、虫、粗大な綿埃、砂 プレフィルタ、防虫網 【画期的な「IPA放電処理(Discharge Step)」の導入】 ISO 16890の最大の特徴にして技術的な核心は、試験プロセスに「IPA(イソプロパノール)蒸気による除 電処理」が必須工程として組み込まれている点です。 多くの合成繊維フィルタ(不織布)は、製造時に静電気を帯電させることで初期性能を高く見せています。 しかし、実使用環境では大気中の油分や湿気、微粒子の付着により静電気が中和され、数週間から数ヶ月 で性能が大幅に低下することが知られています。従来の規格EN 779などでは新品時の効率のみを評価して いたため、この性能低下リスクを隠蔽する形となっていました。 ISO 16890では、以下の手順で評価を行います。  新品時の効率測定: 帯電効果を含む初期性能を測定。  除電処理(Conditioning): フィルタサンプルをIPA蒸気に24時間暴露し、静電気を完全に除去する。  除電後の効率測定: 物理的な繊維構造のみによる「最低効率」を測定。  平均値の算出: 新品時と除電後の効率の平均値を算出し、これを最終的な格付け(ePM値)に使用する。 これにより、静電気のみに過度に依存した「見かけ倒し」のフィルタが排除され、実環境での長期的な信 頼性が担保されるようになりました。 NITTA Corporation All Rights Reserved.2026 12
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|ASHRAE 52.2とMERV(北米規格)との関係 北米を中心に広く使用されているのがASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)が定めた規格です。ここでは MERV(Minimum Efficiency Reporting Value)という1~16の数値指標が用いられます。  MERV 1~4: 粗塵用(ISO Coarse相当)。  MERV 5~8: 中性能下位(プレフィルタ~中性能)。3.0-10.0μmの粒子を対象。  MERV 9~12: 中性能上位。1.0-3.0μmの粒子を対象。  MERV 13~16: 高性能(準HEPAクラス)。0.3-1.0μmの粒子を対象。 MERVは12の粒径チャンネルで計測を行いますが、ISO 16890のような厳格な平均値評価とは異なり、各粒 径レンジにおける「最低効率(Minimum)」を報告値とする点が特徴です。また、標準試験では除電処 理を行いませんが、Appendix Jと呼ばれるオプション試験を選択することで、ISO 16890に近い除電後の 性能評価(通称:MERV-A)を行うことも可能です。グローバル企業では、MERVとISOの数値を併記して 管理するケースが増えています。 |規格間の比較と換算の目安 各規格は試験用ダスト(JIS 11種、JIS 15種、ASHRAE dustなど)や試験エアロゾル(DEHS、KClなど)、 試験手順が根本的に異なるため、厳密な意味での「=」による換算は不可能です。しかし、実務上の目安 として、以下のような対応関係が一般的に参照されています。これにより、旧JIS規格で設計された設備 のフィルタを、最新のISO規格品に置き換える際の指針とすることができます。 一般換気用フィルタの規格比較目安(近似値) フィルタ区分 旧 JIS B 9908 旧 欧州規格 米国規格 新 ISO 16890 (形式2/3) (EN 779) (ASHRAE MERV) (JIS B 9908-1) 質量法 ~80% G1 - G2 MERV 1-4 ISO Coarse < 50% 粗塵 (Coarse) 質量法 80%~ G3 - G4 MERV 5-8 ISO Coarse > 90% 中性能 (Medium) 比色法 65% M5 MERV 8-10 ISO ePM10 50% - 70% 中高性能 (Fine) 比色法 90% M6 - F7 MERV 11-12 ISO ePM2.5 50% - 65% 高性能 (High) 比色法 95% F7 - F8 MERV 13-14 ISO ePM1 50% - 80% 準HEPA 計数法 (形式1) F9 - E10 MERV 15-16 ISO ePM1 > 95% ※注意: MERV 8は製品によって性能幅が広く、ISO Coarseクラスになる場合もあればePM10クラスになる場合もあります。特に帯 電効果の強い製品では、ISO試験(除電あり)を行うと評価が大きく下がることがあるため注意が必要です。 13 NITTA Corporation All Rights Reserved.2026
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クリーンルーム用高性能フィルタの規格:HEPAとULPA

クリーンルーム用高性能フィルタの規格:HEPAとULPA 一般空調用の規格とは一線を画し、半導体、医薬品、食品製造などの「クリーンルーム」で使用される HEPA/ULPAフィルタには、極めて厳格な品質保証が求められます。ここでは、日本のJIS B 9927および国 際規格ISO 29463について詳述します。 |HEPA/ULPAフィルタの厳密な定義(JIS Z 8122) まず、日本国内においてHEPAフィルタとULPAフィルタの定義は、JIS Z 8122「コンタミネーションコン トロール用語」によって一言一句厳格に定められています。これは製造現場における「憲法」のような存 在であり、仕様書作成において必ず準拠すべき基準です。  HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter):「定格風量で粒径が 0.3μm の粒子に対して 99.97% 以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が 245Pa 以下の性能を持つエアフィルタ。」 ・なぜ0.3μmなのか:前述の物理法則において、慣性衝突と拡散効果の狭間に位置し、かつては最も捕 集しにくいとされた粒径(当時のMPPS概念)であったためです。  ULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter):「定格風量で粒径が 0.15μm の粒子に対して 99.9995% 以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が 245Pa 以下の性能を持つエアフィルタ。」 ・半導体の微細化に伴い、より小粒径での保証が必要となったために策定されました。 |JIS B 9927:クリーンルーム用エアフィルタ性能試験方法 JIS B 9927は、上記のHEPA/ULPAフィルタユニットの性能試験方法を具体的に規定したものです。 JIS B 9908が一般空調用であるのに対し、こちらは「個数濃度管理」を前提とした高次元の試験法です。 【試験装置と測定要件の厳格化】 JIS B 9927では、フィルタユニット単体での絶対的な性能を保証するため、以下のような厳密な条件を求 めています。  整流と濃度均一性: 試験ダクトは円形を基本とし、風速分布ができる限り平坦であること。フィルタ前 面での試験粒子濃度は均一でなければなりません(8.1項)。  純圧力損失の算出: フィルタユニットを取り付けていない状態(空)での装置圧損(風洞自体の抵抗) をあらかじめ測定し、フィルタ取り付け時の全圧損から差し引くことで、フィルタ本来の正しい圧力 損失を求めます(8.2項)。  微細差圧の計測: 1Pa単位で読み取れる精度の高い差圧計(マノメーター)の使用が必須です。  等速吸引: 粒子計数器のサンプリングプローブは、ダクト内流速と同等の速度で吸引(等速吸引)しな ければなりません。速度が異なると、慣性効果によってサンプリング濃度に誤差が生じるためです。 NITTA Corporation All Rights Reserved.2026 14
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|ISO 29463 と EN 1822:高性能フィルタの国際階層 欧州規格EN 1822は、世界で最も厳格なHEPA/ULPAフィルタの評価基準として長年君臨してきましたが、 これをベースに国際標準化されたのがISO 29463シリーズです。日本のJIS B 9927も2022年の改正で、こ のISO 29463との整合性を強化しています(JIS B 9927-5など)。 【MPPSに基づく新しいクラス分類】 ISO 29463(およびEN 1822)では、従来の「0.3μm」固定ではなく、そのフィルタ固有のMPPS(最大透 過粒径)における捕集効率に基づいて、フィルタをEPA、HEPA、ULPAの3グループ・13クラスに分類し ます。 MPPSは通常0.1μm~0.2μmの間に存在するため、JIS Z 8122の0.3μm定義よりも厳しい条件での評価とな ります。 高性能フィルタのクラス分類(ISO 29463 / EN 1822) グループ 旧 EN 1822 ISO 29463 総合効率 局所効率 クラス クラス (Overall) (Local) 主な用途・ @ MPPS @ MPPS 産業 E10 - >85% - 準クリーンルーム、病院 EPA (Efficient) E11 ISO 15 E >95% - 高機能オフィス、前処理 E12 ISO 25 E >99.5% - 無菌病室、食品充填 HEPA H13 ISO 35 H >99.95% >99.75% 一般的な産業用CR、製薬 (High Efficiency) H14 ISO 45 H >99.995% >99.975% 無菌製剤、 バイオハザード ULPA U15 ISO 55 U >99.9995% >99.9975% 半導体前工程 (45nm~) (Ultra Low U16 ISO 65 U >99.99995% >99.99975% 最先端半導体 (7nm~) Penetration) U17 ISO 75 U >99.999995% >99.9999% 極限環境、ナノテク研究 ※JIS定義との差異に注意: JIS Z 8122のHEPA(0.3μmで99.97%)は、EN/ISOのクラスで言うとH13(MPPSで99.95%)とH14(MPPSで99.995%)の 間に位置します。厳密なスペック選定、特に海外製の装置を導入する際は、"0.3μm定格"なのか"MPPS定格"なのかを明確 に区別する必要があります。半導体や製薬のバリデーションにおいては、より厳しい条件であるMPPS保証(H14以上)が 求められるケースが増えています。 15 NITTA Corporation All Rights Reserved.2026
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クリーンルーム用高性能フィルタの各種試験

クリーンルーム用高性能フィルタの各種試験 【漏れ(リーク)試験とスキャンテスト】 クリーンルーム用フィルタにおいて、平均効率以上に重要なのが「ピンホール(微細な穴)」や「シール 不良」による局所的な漏れがないことです。 JIS B 9927及び関連するISO規格では、スキャンテスト(走査試験)が規定されています。 これは、フィルタの吐出面全域をパーティクルカウンタのプローブで数センチ単位で走査し、局所的な粒 子の漏れ(Local Penetration)がないかを検査するものです。 平均効率が99.99%であっても、一箇所に針の穴ほどの欠陥があれば、そこから汚染空気がジェット状に 噴出し、クリーンルーム全体を汚染してしうため、この試験は出荷前全数検査として実施されるのが一般 的です。 |総合捕集率試験とは  捕集率は、MPPSで測定する(0.3μmではない)。  試験の実施は、単分散又は多分散試験エアロゾルのいずれかを使用。  多分散エアゾルを使用する場合は、粒径別粒子計数法を使用。  総合捕集率は、代表的な部分流動をフィルタユニットの上流側及び下流側で抽出し、粒子数を測定 し算出します。下流側の粒子数は稼動プローブを使用した走査漏れ試験設備による代替総合捕集率 試験を用います。  対象粒子の範囲 区分下限値:CLL SMPPS/2<CLL<SMPPS/1.5 区分上限値:CUL 1.5xSMPPS<CUL<2xSMPPS 計算例) 粒径下限範囲 : 0.16×1/2~2/3 = 0.08~0.10(μm) 測定レンジ(対象粒径範囲) 粒径上限範囲 : 0.16×1.5~2 = 0.24~0.32(μm) 0.1~0.3μm MPPSを含む 粒径範囲(区分)で 測定する NITTA Corporation All Rights Reserved.2026 16
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|走査漏れ試験とは  漏れ試験では、フィルタユニットの局所透過率値を測定し、許容レベルを超えているかどうかを評 価します。  検査定格風速は0.5m/s (代表例) ※1 面風速 = パーティクルカウンタ吸引量/プローブ開口面積 = 0.0283(m3/min)/0.03(m)/0.03(m)/60 = 0.5240(m/sec)  漏れ試験では、限界値を超えている場所を調べるためにフィルタ下流側を走査し粒子分布測定を行 います。  下流側粒子分布を測定するには、決められた個所でサンプリング空気を吸引するために規定の形状 の吸引プローブを下流側で使用します。この局所部において、粒子計測器によって吸引時間当たり の粒子個数を測定します。  統計的ばらつきを考慮して予想される上流側及び下流側の粒子個数によって、局所透過率の統計的 最大値を決定します。全ての局所透過値が限界値を下回った場合にフィルタは漏れが無いことを判 定されます。 ※1 検査風速は、フィルタの定格風量に基づいて設定される。 プローブ開口面積およびパーティクルカウンタの吸引量から、等速吸引となることが好ましいです。 項目 規格 備考 プロ-ブサイズ(開口面積) [9±1cm2] パ-ティクルカウンタ-吸引量 [28.3L/min] 検査風速 上記等速吸引となる風速 定格風速 0.5m/sec 空調・集塵・産業用フィルタなど、ほぼすべてのフィルタに共通する重要な評価軸が圧力損失(ΔP: Pressure Drop)と粉塵保持容量(Dust Holding Capacity)です。 17 NITTA Corporation All Rights Reserved.2026
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運用管理の基本 ~「見える化」とデータに基づく予知保全~

運用管理の基本 ~「見える化」とデータに基づく予知保全~ フィルタは設置して終わりではなく、日々の運用管理こそが重要です。 フィルタ管理=交換時期の管理です。 適切な管理(交換)は、品質リスクの低減やトラブルの未然防止だけでなく、エネルギーコストやランニ ングコストの削減にも直結します。 ✓ マノメーター(差圧計)の設置 ✓ 管理基準の設定 ✓ トレンド監視 差圧管理 ✓ 漏れ(リーク)の原因 ✓ インバータ制御ファン ✓ 漏れ(リーク)の対策 漏れ対策 エネルギー ✓ 定速ファン 管理 差圧管理(フィルタの健康診断)の絶対性と可視化 フィルタの状態を客観的に把握する唯一の手段は、圧力損失(差圧)の測定です。 すべての主要な空調機や集塵機のフィルタには、U字管マノメーターやアナログ マノメーター 指針計(マヘリックゲージ等)、あるいはデジタル差圧センサが設置されていま (差圧計)の設置 す。これらが「正常に動いているか(ゼロ点調整がずれていないか)」も含めて 日常点検項目として確認します。 • 初期値:設置直後やフィルタ交換直後のクリーンな状態での値をベンチマーク として記録します(例:100Pa)。JIS B 9927の「装置圧損の除外」を現場レ 管理基準の設定 ベルで簡易的に行う意味合いがあります。 • 交換推奨差圧値の設定:一般に初期差圧の2倍、またはメーカー推奨値(例: 中性能で250Pa、HEPAで500Pa)や設備の能力限界(ファンの静圧能力)に基 づき設定します。 毎日の点検で数値を記録し、グラフ化することで交換時期を予測します。 異常トレンドの検知: トレンド監視 • 急激な上昇 外部環境の悪化(黄砂、近隣工場)や前段フィルタの破損。 • 上昇しない・低下する フィルタの破損(穴あき)、枠からの脱落、シール漏 れの極めて危険な兆候であり、即時の点検が必要。 NITTA Corporation All Rights Reserved.2026 18
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エネルギー管理の視点とLCC(Low Cost Carrier:設備管理) 「フィルタ代がもったいないから」と限界まで使い続けることは、結果的に電気代の無駄遣いとなり、 トータルコストでは損をするケースが多々あります。 インバータ 差圧が上昇した状態でファンを運転し続けると、設定風量を維持しようとして 制御ファン ファンの回転数が自動的に上がるため、消費電力は3乗の法則に従って比例して 急増し、電力コストの増大につながります。 定速ファン 風量が低下し、空調効果が悪化します。 適切な交換サイクルを見極めることが、 省エネ活動の基本です。 差圧上昇によるファン電力増加コストが新品フィルタの購入・交換コストを上回 LCC る分岐点を計算し、交換時期・最適交換ポイントを決定します。 (高度な設備管理) ISO 16890の導入により、エナジーレーティング(エネルギー効率区分)を表示 する製品も増えており、初期圧損が低く、かつ圧損上昇が緩やかなフィルタを選 定することが主流です。 漏れ(リーム)対策 いくら高性能なHEPAフィルタを使っていても、取り付け枠との間に隙間があれば、汚染空気は抵抗の少 ない隙間(バイパス)を通って流出します。これを「バイパスリーク」と呼びます。 原因 パッキンの劣化、クランプの締め付け不足、枠の歪み、フィルタろ材のピンホール。 対策 定期的なパーティクルカウンターによるスキャンテストや、発煙管を用いた気流可視化 で漏れがないか確認します。特に交換作業後のリークチェックは必須です。 19 NITTA Corporation All Rights Reserved.2026