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純水システムの微生物管理における紫外線の最適な使用方法とは?

ホワイトペーパー

純水を精製するうえで非常に重要な微生物の管理。その中でも微生物の増殖そのものを抑制するためには紫外線が有効といわれています。
一方で紫外線を既存の方法で使用したのみでは、純水システム における微生物管理を十分に行うことができないことが指摘されてきています。

本書では、そういった課題を踏まえた、純水システムの微生物管理における紫外線の最適な使用方法について解説しています。

【掲載内容】
・純水精製ラインにおける紫外線設置の効果
・貯水時における微生物増殖抑制
・純水システムの微生物管理における紫外線の最適な使用方法

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このカタログについて

ドキュメント名 純水システムの微生物管理における紫外線の最適な使用方法とは?
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
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このカタログの内容

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The R&D Notebook 純水システムの微生物管理における 紫外線の最適な使用方法 メルク株式会社 ライフサイエンス ラボウォーター事業部 石 井 直 恵 Laboratory Water Division, Millipore S.A.S. Ichiro Kano 緒言 純水精製ラインにおける紫外線設置の効果  純水中の微生物は Fig.1 のように非常に速く増殖する。また、  Fig.2 の純水システムを用い、精製ラインにおける紫外線の有無 その速度は温度によって異なり、25 〜 30℃を至適温度とする がタンクに貯水された純水中の微生物数に及ぼす影響を検討した。 ものが多い。1)通常、純水の水温は 25℃前後であり、微生物は  純水のサンプリングはタンクから行い、純水システムの稼動 非常に増殖しやすい環境である。このため、純水を精製するう は 1 週間に 5 日とし、1 日 1 回タンクから自動的に 30 L の排水・ えで微生物の管理は重要であり、様々な手法が検討され用いら 給水を行った。微生物のサンプリングは R2A agar 充填済みミリ れている。なかでも、微生物の増殖そのものを抑制するために フレックス(0.45 µm)(メルク)を用い、30 L の排水・給水を は紫外線が有効である。その使用方法は純水の精製ラインに組 行う直前に行った。培養条件は 30℃、72 時間とした。サンプル み込む方法(流水型)と純水を貯水するタンクに設置する方法 量は微生物数によって 0.1 mL から 100 mL の間で調整した。 (浸漬型)に大別できる。一般に、流水型紫外線は連続使用され、  結果を Fig.3 に示す。純水精製ラインに紫外線ランプを有さ 浸漬型は間欠的に使用される。また、流水型は精製ラインを流れ ない純水システムでは 100 〜 200 cfu/mL を越える微生物が観 ている純水中の微生物の増殖を抑制することはできるが、タンク 察された。一方、紫外線ランプを設置した純水システムではタ などにおける滞留時のバイオフィルムの形成を抑制することはで ンク純水中の微生物を 10 〜 30 cfu/mL 程度まで低減すること きない。さらに、タンクにおける微生物の増殖も抑制することは ができた。即ち、純水精製ラインに紫外線ランプを設置するこ できない。タンク壁面は純水精製ラインと比較し、流速が非常に とは微生物数の低減に効果的であった。しかし、純水精製ライ 遅く微生物の増殖が起こりやすいため、問題である。これに対し、 ンに紫外線ランプを設置した純水システムであっても、時間の 浸漬型はタンクでの問題を解決することができるが、タンクに流 経過に伴ってタンク内の微生物数が増加する傾向が見られる。 入する純水中の微生物が管理されていない。そのため、タンクか (Fig.3 参照)これは、タンクでの微生物増殖抑制が行なわれて ら採水する際の純水中の微生物数が一定しない。 ないためである。即ち、純水システムの微生物管理を行うため  このように、紫外線は使用方法・使用箇所によって効果が異 には、精製ラインの紫外線照射のみでは不十分であり、貯水時 なる。紫外線を既存の方法で使用したのみでは、純水システム における微生物の増殖を抑制する必要がある。 における微生物管理を十分に行うことができないことが指摘さ れてきた。 EDI  そこで、純水システムの微生物管理における紫外線の最適な 水道水 RO膜 連続イオン交換 タンク 使用方法について検討を行った。 紫外線 105 プロガード ランプ プレフィルター 純水製造装置(紫外線ランプあり)( 紫外線ランプなし) サンプリング 104 Fig.2 純水システムフロー ( 純水精製ラインにおける紫外線ランプ設置の有無) 103 30℃ 40℃ 20℃ 250 200 102 150 紫外線ランプなし 紫外線ランプあり 10 100 Initial bacteria : 6 cfu/100 mL Resistivity : 17.2 M・cm 50 1 20 40 60 80 100 120 140 Time (hour) 0 0 10 20 30 40 50 60 Fig.1 Propagation of bacteria in ultrapure water 1) day Fig.3 純水精製ラインにおける紫外線の効果 The life science business of Merck operates as MilliporeSigma in the U.S. and Canada. Bacteria (C.F.U/100 mL) タンク内純水中の微生物数 ( cfu/ml)
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貯水時における微生物増殖抑制  また、Fig6 は紫外線照射後の微生物数を、流速を変化させて  タンクに貯水されている純水中の微生物の増殖を抑制するた 測定し、微生物数低減に及ぼす紫外線通過流速の影響を観察し めには、タンクに浸漬型紫外線を設置する方法と、タンクに循 たものであるが、流速の上昇に伴い残存している微生物数が多 環ラインを設けて流水型紫外線を設置する方法がある。そこで、 いことが分かる。 Fig.4 に示すように 2 種類の純水システムを用い、微生物増殖  前述の通り、システム B では、採水量を確保するために紫外 抑制効果の比較を試みた。 線通過流速を高く設定しなければならない。そのため、紫外線  一般に、純水採水口はシステム A ではタンク、システム B で 照射直後においても微生物を十分に低減できなかったと考えら は紫外線照射直後である。システム B では循環ライン上に採水 れる。当然、タンクに貯水されている純水に含まれる微生物数 口を設けているため、使用量を確保するためにも流速をある程 は更に高いと考えられる。これは、タンクにおける微生物の増 度高くする必要があり、紫外線通過速度は 1 L/min. 程度のもの 殖を防ぐことができないばかりでなく、バイオフィルムの形成 が多用されている。 も示唆している。一方、システム A ではタンクでの微生物の増  Fig.5 は、システム A および B で精製された純水中の微生物 殖が抑制されており、タンクに貯水された純水中の微生物数が 数である。システム A は 1 日に 1 回 10 分間の UV 照射を行い、 低く安定している。 その後 30 L の排・給水を行った。また、システム B における  即ち、タンクにおける微生物の増殖を抑制するためには、タ 紫外線の効果と比較するため、システム A のサンプリングのタ ンクに浸漬型紫外線ランプを設置することが必要である。 イミングは紫外線照射後 10 分後とした。この結果、貯水時に おける微生物の増殖抑制には、システム A の方が効果的である ことが分かった。 純水システムの微生物管理における紫外線の最適な 使用方法 タンク タンク (紫外線ランプあり) (紫外線ランプなし) 純水製造装置 純水製造装置  以上より、純水システムの微生物管理には精製時と貯水時、 紫外線 両者を行うことが重要であることが分かる。精製時としては精 ランプ 製ラインに、貯水時に関してはタンクに浸漬型紫外線ランプを 0.16L/min. 設置し、二者を並列で用いることで、純水システムにおける微 (10L/hr.) 生物の増殖を抑制することができる。(Fig.7) 純水採水口 1L/min. タンク 純水採水口 (紫外線ランプあり) システムA(浸漬型) システムB(循環流水型) 純水製造装置 Fig.4 純水 システム フロー(純水貯水時の微生物増殖抑制) 50 40 システムA (浸漬型) 紫外線 ランプ 30 システムB (循環流水型) 20 純水採水口 10 Fig.7 微生物管理に適した純水システム 0 0 5 10 15 20 25 day Fig.5 UV の使用方法が純水貯水時の微生物増殖抑制に及ぼす影響 参考文献 10 1) 半導体基盤技術研究会編;超純水の科学、p348-349、353、 リアライズ社(1990) 1 0.1 0 20 40 60 流速(L/hr.) チャレンジ液:RO水(1週間タンクに貯水、微生物数6.8×103cfu/mL) 紫外線ランプ:電力4Wタイプを使用 Fig.6 紫外線通過流速の微生物増殖抑制に及ぼす影響 本書の内容の一部または全部を無断で複写複製することは、著作権の侵害となります。すべての著作権はメルク株式会社に帰属します。 転載や二次利用を希望される方は、あらかじめ弊社まで許諾をお求めくださるようお願いいたします。 本紙記載の製品構成は諸般の事情により予告なく変更となる場合がありますのでご了承ください。記載価格に消費税は含まれておりません。記載内容は2019年12月時点の情報です。 Merck, the vibrant M, and Milli-Q are trademarks of Merck KGaA, Darmstadt, Germany or its affiliates. All other trademarks are the property of their respective owners. Detailed information on trademarks is available via publicly accessible resources. ©2006 Merck KGaA, Darmstadt, Germany. All rights reserved. ライフサイエンス ラボウォーター事業部 〒 153-8927 東京都目黒区下目黒 1-8-1 アルコタワー 5F 製品の最新情報はこちら www.merckmillipore.com/LW On-Line: www.merckmillipore.com/jpts Tel: 03-4531-3939 Fax: 03-5434-4875 LWM205-1912-PDF-H 微生物数(cfu/mL) 微生物数(cfu/mL)