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【導入事例:AutoForm-Sigma plus】フランケ金型製作様 / R12.5キッチンシンクの コーナー半径が技術力を物語る

事例紹介

金型メーカーにとって大きな財産であり、また当社の競争力を維持するためにも必要不可欠なツールです

スイスのキッチンメーカー、フランケ・キュッヘンテフニクAG(フランケ・キッチン・システムズ)の金型製作部門であるフランケ・ヴェルケツォイクバウAG(フランケ金型製作)は、新製品の開発に際して初めてAutoForm-Sigmaplusを使用しました。コンピュータ上で金型を開発するにあたり、同社は製品設計部門と緊密に連携。フランケ・キッチン・システムズが創立100周年を記念して発表したシンクには、一世紀に及ぶ独自の発展の歴史と大きな成功の理由が表れています。

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ドキュメント名 【導入事例:AutoForm-Sigma plus】フランケ金型製作様 / R12.5キッチンシンクの コーナー半径が技術力を物語る
ドキュメント種別 事例紹介
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登録カテゴリ
取り扱い企業 オートフォームジャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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Case Study フランケ金型製作 R12.5̶キッチンシンクの コーナー半径が技術力を物語る スイスのキッチンメーカー、フランケ・キュッヘンテフニクAG(以下、フランケ・キッチン・シ ステムズ)の金型製作部門であるフランケ・ヴェルケツォイクバウAG(以下、フランケ金型製 【企業概要】 作)は、新製品の開発に際して初めてAutoForm-Sigmaplusを使用しました。コンピュー フランケ・ヴェルケツォイクバウAG タ上で金型を開発するにあたり、同社は製品設計部門と緊密に連携。フランケ・キッチン・シ フランケ・ヴェルケツォイクバウAGは、100 年前に創立されたフランケ・グループの傘下に ステムズが創立100周年を記念して発表したシンクには、一世紀に及ぶ独自の発展の歴史 ある企業です。中核事業はフランケ・キュッヘ と大きな成功の理由が表れています。 ンテフニクAG(フランケ・キッチン・システムズ) のクロムニッケル鋼を使った部品の生産に必 要な高品質の金型製造と業務委託で、完璧な フランケ・キッチン・システムズ 職人技、緻密なアプリケーション、そして洗練 は2011年の創立100周年に合わ されたデザインを特徴としています。CAD/ CAMシステムやシミュレーション・ソフトウェ せて、一世紀の歴史に名を刻む記念 アを使用することで、プレス成形分野のノウハ シンクを発表しました。そのデザイ ウが、コンピュータのインターフェースから、金 ンは、同社の技術力と品質に対する 型の絞り、曲げ、プレス、カットといった生産分 野へ直に伝わります。また、同社はフランケ・グ 姿勢を象徴しています。特に注目す ループの関連会社にシミュレーションや金型 べきはコーナー部分です。全体の寸 試験、金型保守などのサービスを提供してい ます。フランケ・グループはチューリッヒ工科大 法は深さ175 mm、幅500 mm、 学に戦略的資金や奨学金を提供し、スイスの 奥行き410mmと通常のシンクより 研究やビジネスの発展に貢献しています。 大きいにもかかわらず、コーナー部 www.wzb.franke.ch www.franke.com 分の半径はわずか12.5mmと小さ めです。また、3.5インチの配水管 を一体化したモデルや、フランジの な要素をすべて検討しました。その結果、成 あるタイプとないタイプがあります。 形工程をフランジの成形、シンクの深絞り、 これこそ、フランケ・キッチン・シ そして排水口の成形という相互に関連した ステムズの開発部が特別記念デザ 3つの作業に分割しました。 インにふさわしい金型をフランケ フランジ成形作業の解析結果から、フラン 金型製作に発注した理由です。この ジの材料は、ブランクのカットが判断基準に 決断は、フランケ・キッチン・シス フランケ・キッチン・システムズの創立100周年記念シンク なることがわかりました。またフランジは、有 テムズにとって、これまでの慣習を 効な制動ストリップにもなります。フランジ 脱する機会となりました。具体的には、コン 適なソリューションを分析的に決定。深絞り、 のないシンクの場合、これはドロービードに ピュータを使った開発に従来よりもはるかに フォーム金型、成形工程の3段階の評価に加 相当します。最終目標はロバストな生産であ 長い時間を費やすことにしたのです。そして え、これらの段階を組み合わせることで、評 るため、板増、拘束力、そしてブランク外形 フランケ金型製作も、同シンクの設計段階か 価の選択肢が広がりました。技術チームは解 線が、成形担当者にとって、特に注意すべき ら開発に携わることになりました。開発の初 析の一貫性を確保するためにAutoForm- パラメータとなります。 期段階で大きな投資をしても、最終的に回 Incrementalplusを使用しました。次の段 シンクの深絞り作業の評価では、シンク 収可能であると判断したためです。 階は、生産時におけるロバスト性の検討で のコーナー部分の半径が小さいと、圧縮応 す。不良品や再加工、ダウンタイムを最小限 力が高くなることが明らかになりました。材 分析的な金型開発 に抑えなければなりません。この検討には、 料や流れの特性によっては、板厚が許容範 フランケ金型製作の最高技術責任者、ミッ AutoForm-Sigmaplusを使用しました。 囲外になることが予測されました。これには シャ・ヴィドマー氏率いる技術チームは、ま 評価の初期段階では、フランケ金型製作 プリフォーミング金型のダイのエントリが良 ずフィージビリティの検討から金型開発をス の熟練技術者がAutoFormソフトウェアを い影響を及ぼします。そして副次的影響と タートしました。中立的な手法を用いて、最 使用して、深絞り工程に大きな影響が出そう して、さまざまな材料特性の影響も除外さ
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Case Study れ、その結果、工程能力も向上します。解析 を実行する上で、この材料モデルは重要な メータを定義しました。また、前回の解析で によって特定された関連パラメータは、プリ 情報でした。偶然にもこの材料モデルは、 致命的と特定された円錐形の領域に特に重 フォーミングのコーナー半径、リストライクや フランケ金型製作、AutoForm、KTI(ス 点的に取り組みました。フランケ・キッチン 拘束力および潤滑、そして材料特性です。ま イス連邦改革促進委員会の「技術革新委員 のシンクはクロムニッケル鋼を使用している た、シンクのコーナーでは致命的な板減が発 会」)、そしてチューリッヒ工科大学による産 ため、スプリングバックも検討すべき重要な 生するため、その球状半径に細心の注意を 学共同にて作成されたものです。 問題です。信頼の置ける生産は、ロバストな 払わなければならないことがわかりました。 制御可能なパラメータ、例えばドロービー スプリングバックの見込み補正が実現して 排水口の成形作業の解析では、プリフォー ドの拘束力などの設計パラメータによって、 のみ可能となります。 ミングにおける材料の引き伸ばしによって、 工程を細部まで設計して安定させることが 一体化された排水管の高品質な成形が可能 可能になり、工程の自由度の拡大と安定し AutoForm-Sigma plusを になることが判明しました。これは経験上、 た生産につながりました。フランケ金型製 使用した工程と形状の解析 3.5インチの排水管でも同様です。 作は変化を予測し、 成形工程のロバスト性 AutoForm-Sigmaplusで工程解析をする と、工程に大きな影響を及ぼす可能性のあ 成形担当者は、変数がどこでどの程度、そし 最終目標は生産のロバスト性 るパラメータに、特に注目しました。最終的 て何から影響を受けるかについての情報を 加工のバラツキに起因する制御不能な変 には100周年記念シンクの生産量は20万 受け取ります。例えば、球状半径ゾーンの板 数、例えばシート材ごとに異なる材料特性な 個にも上るため、円滑に生産することが何 減を検討する場合、特にダイの潤滑、ひずみ どは、成形業界で日常的に発生しています。 よりも重要です。そのため技術チームは、 の程度、そして保持力が重要な要素となりま しかしAutoFormは、バージョンR2のリ AutoForm-Sigmaplusを使って2段階のロ す。球状半径の重要領域の形状を解析する リースからステンレス鋼1.4301の正確な バスト性解析を実行しました。まず注目した 場合は、その領域における支配的な材料特 材料モデルを提供していたため、このプロ のは、潤滑や保持力といった工程のパラメー 性を特定できます。 ジェクトでも大きな助けとなりました。100 タです。次の段階では、材料変数と形状パラ シンクのコーナー部分の複雑なゾーンも 周年記念シンクの材料は20~ 200℃の温 メータに着目しました。これらの相互補完的 同様に検討します。ここでもダイの潤滑や保 度に敏感に反応するため、シミュレーション な解析を通じて、最適な工程と形状のパラ 持力が、板減を左右します。また、バインダ 図1:フランケ金型製作におけるAutoFormを使用 図2:AutoForm-Sigmaplusは、設計変数や加 図3:フランケ金型製作は2010年にAutoForm- した分析的な金型開発 工バラツキの検討において、板減に影響を及ぼ Sigmaplusを導入し、球状半径の板減結果変数に関する設 す主な要素を表示します 計変数の評価などが可能になりました 材料特性 (r- & n-値 ) シート板厚 支配的変数 ・潤滑 (上側ダイ) ・最初の絞り深さ 材料特性 (引張り強さ) ・拘束力 支配的変数 コーナー半径 Vz ・材料特性 (r- & n-値 ) 形状 & 材料/板減 図4:AutoFormソフトウェアはすでにバージョンR2でステンレス鋼 図5:クロムニッケル鋼の処理において、スプリ 図6:最新鋭の3D CADシステムを使い、 1.4301の温度に依存した材料モデルを用意していました。このモデル ングバックの効果が大きな問題となります。スプ 深絞り金型をデジタルに開発しました の追加機能 リングバックとしわは許容範囲内に収まります として、温度 に依存した しわの傾向 応 マルテンサ 力 イト含有量 の計算があ ります スプリングバック ひずみ
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Case Study の潤滑も特定されます。 結果を詳細に説明する機会が持てました。 マー氏は言います。 バインダ・モデルのバインダと摩擦が問 またAutoForm-Sigmaplusのグラフィック 「AutoForm-Sigmaplusには何度も感動さ 題視される箇所では、深絞りにおけるアル 表示や図表機能は、議論を展開する上で妥 せられました。実践的で、よく考え抜かれて ミニウム青銅合金の圧縮強度を考慮しまし 当かつ効率的な参考資料となりました。 います。このソフトウェアを使うことで見識が た。表面領域が硬くなると、板増領域の圧縮 さらに広がりました。金型メーカーにとって とそれに応じた拘束力が増加します。摩擦 目に見える改善と納得の費用対効果 大きな財産であり、また当社の競争力を維 モデルでは、面圧依存に注目しました。プリ フランケ金型製作はAutoFormソフト 持するためにも必要不可欠なツールです」 フォーミングでは、絞り工程の開始時の摩擦 ウェアを2004年に導入し、今ではそれを 係数が終了時よりも高いことが示されまし 日常的に活用しています。 達成された目標100周年記念シ た。感度解析を検討することで、フィージビ ンクのプロジェクトでは、新規開発に初めて ● AutoForm-Sigmaplusによって、成形工 リティが明らかになりました。 AutoForm-Sigmaplusを使用しました。この 程のロバスト性を数値化することが可能 形状解析では、プリフォーミングのコー ソフトウェアはこれまで、既存の製品や工程 になりました。さらに、工程パラメータや ナー半径が支配的であることが判明しまし に対する継続的な改善と最適化に利用され 形状パラメータの感度解析、そして工程能 た。コーナー半径を小さく定義すると、半径 てきました。トライアウトでは、AutoForm- 力評価によって、ロバストな生産への道が の圧縮応力が増加し、板増が許容範囲外と Sigmaplusによって修正ループ数が大幅に 開けました。 なります。 削減されました。 ● フランケ金型製作は、その素晴らしい手法 テスト期間中から金型部門と生産部門が フランケ金型製作の ITインフラ管理者で によって、コンピュータを使った開発によ 緊密に連絡を取り合ったこと、また、実際の あり、CAD/CAMプログラマでもあるオト り多くの時間を費やし、新しい道筋を探し 生産から得た理解を通じて問題点を共有で マー・ホイッチ氏によると、AutoForm- 出すことに成功しました。 きたことで、フランケ金型製作の関連部門全 Sigmaplusのためのハードウェアへの投資 画像提供:Franke Werkzeugbau AG 体の便益につながりました。担当者が専門 増はほぼ妥当なものであり、またトレーニン 外のスタッフや上司等を交えて議論し、検討 グの費用も合理的でした。ミッシャ・ヴィド AutoForm News No.11(2013年12月発行)からの抜粋