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薄く柔軟性のあるポリイミドフィ ルム上に銅箔で回路形成した伸縮FPC。 ウェラブルデバイス、ウェラブル機器等へ。
沖電線 伸縮FPC は、複雑な動作を要する部分や曲面に使用可能な、柔軟で伸縮性を有するFPCです。伸縮箇所や可動部、ウェラブル機器やウェラブルデバイス、ロボット等のアプリケーションを想定していますが、その他にも様々な用途でご検討頂けますと幸いです。回路導体は銅箔を用いているため、伸縮時の導体抵抗値の変化はわずかです。部品実装が可能です。全てカスタム対応となります。お見積り、ご質問等はお問合せよりご連絡ください。必要であれば、メーカーが訪問してのお打合せも可能です。宜しくお願い致します。
◇メーカーサイト
https://www.okidensen.co.jp/jp/prod/fpc/flexible/shinsyuku_fpc.html
このカタログについて
| ドキュメント名 | 沖電線 伸縮FPC (伸縮フレキシブル基板) テクニカルレビュー |
|---|---|
| ドキュメント種別 | 製品カタログ |
| ファイルサイズ | 1.5Mb |
| 登録カテゴリ | |
| 取り扱い企業 | 二松電気株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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ウエアラブルデバイス向け
伸縮フレキシブル基板
岩崎 とも子
電子機器の高機能化、小型化が進む中、クラウドデー ウエアラブルデバイスの動向と配線材への要求
タやデータ解析技術を活かしたウエアラブルデバイス ウエアラブルデバイスとは、腕や胸部などの人体に装
サービスが実現し、多種多様なウエアラブル機器が開発 着して利用するICT端末の総称である。ウエアラブルデバ
されている。その中で、OKI電線(以下、当社)は体周りの イスを通して収集したデータを分析することでさまざま
配線など、新たな要求を満足させる、伸縮フレキシブル基 な分野・対象に対して多彩なサービスが検討され、実際
板を開発中であり、以下に紹介する。 に、健康管理、スポーツ、医療などの分野で先進的な製品、
サービスが登場しはじめている。これは近年、①半導体技
術の進展によるデバイスの小型、軽量化、②スマートフォン
フレキシブル基板とは の普及によるデバイスとの無線通信の簡便化、③クラウド
フレキシブル基板は、薄く柔軟性のあるポリイミドフィ データサービスの普及、の三つの背景からウエアラブルデ
ルム上に銅箔(はく)で回路形成したプリント基板である。 バイスサービスの市場規模が増加しているためである1)。
一般的なリジッド基板は厚み1.6mm程度のガラスエポ 写真3は胸部に装着するウエアラブルデバイスである。
キシ樹脂を基材として銅箔で回路形成しているが、フレキ 胸部に装着した端末が、衣服の下に配線されたセンサー
シブル基板は、リジッド基板と比較し、厚さはおよそ1/10 を通して得た生体データを集約し、無線通信を介してタ
以下と軽薄性に優れ、小型電子機器内の配線材として広 ブレットなどの端末へ送信、解析結果が表示される。人
く用いられている(写真1)。 体へ沿わせる配線材は装着した際の柔らかさや、人の動
きへの高追従性など、従来の配線材とは異なる新たな特
性が求められる。当社はこのようなウエアラブルデバイス
用配線材への要求に応える手段の一つとして、伸縮フレ
キシブル基板を開発している。
写真 1 フレキシブル基板の例
フレキシブル基板は、前述の軽薄性に加え、柔軟性に優れる
ため、曲げることで立体配線が可能となる。そのため、スペー
スに余裕のない筐体(きょうたい)内部でも配線が可能である。
加えて、スライド屈曲などの可動配線も可能であり、ケーブルで
は対応が困難だった狭小部への可動配線を実現する(写真2)。
写真 3 胸部に装着されたウエアラブルデバイスの例
ウエアラブルEIT:装着型肺密度検査装置
(POSH WELLNESS LABORATORY株式会社)
伸縮フレキシブル基板
伸縮フレキシブル基板は、基板自体が伸縮するため複
写真 2 フレキシブル基板とケーブルの比較 雑な動作へ追従可能なフレキシブル基板である(写真4)。
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図 3 伸縮時のミアンダパターン
また、銅箔を用いているため、部品実装に非伸縮部を
設ければ、その部分には従来のフレキシブル基板同様に
実装が可能である(写真5)。
写真 4 伸縮フレキシブル基板
伸縮性を実現するために、従来のフレキシブル基板と
は異なった材料を用いている。従来のフレキシブル基板
は、絶縁体としてポリイミドフィルム、導体として銅箔で
構成されるため、伸縮性を持たない(図1)。
写真 5 部品実装例
(2)導電ペースト
導電ペーストは、自身に伸縮性を持つ伸縮性導電ペース
図 1 従来のフレキシブル基板の構成 トを用いている。これは、銀フィラー(充填剤)などの導
電性粒子と、伸縮性のあるバインダー(接合剤)樹脂から
対して、伸縮フレキシブル基板は、絶縁体としてゴムの なる。そのため、銅箔のようにミアンダパターンを形成さ
ように伸縮可能な基材、導体として銅箔若しくは、導電 せる必要がなく、従来のフレキシブル基板同様に配線可
ペーストで構成されている(図2)。 能である。また、基板全てが伸縮材料で構成されるため、
全方向への伸縮が可能になる(写真6)。
図 2 伸縮フレキシブル基板の構成
伸縮フレキシブル基板の導体
前述したとおり、伸縮フレキシブル基板は、導体として、 写真 6 全方向への伸縮例
銅箔若しくは、導電ペーストを用いている。それぞれの特
徴を紹介する。
伸縮フレキシブル基板の特性
(1)銅箔 伸縮フレキシブル基板の伸張性、伸縮性及びそのほか
銅箔は、自身に伸縮性がないため、ミアンダパターンを の特性を紹介する。
採用することで、伸縮性を持たせている。
図3に伸縮時のミアンダパターンを示す。図左が伸縮前、 (1)伸張性と伸縮性
図右が伸縮後である。基材に合わせてミアンダパターン 伸縮フレキシブル基板を一方向へ伸張させた際の抵抗
の間隔が広がることで、基材の伸縮に追従している。 変化を図4に示す。
OKI テクニカルレビュー
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従来のフレキシブル基板とは異なった材料を用いてい
20 1200
15 1000 るが、絶縁抵抗、耐電圧、半田耐熱はいずれも従来のフレ
10
800
5 キシブル 基 板と同 様に特 性を満 足した 。また、
0 600
‐5 400 125℃500Hの高温環境下でも特性の劣化は見られな
‐10
200
‐15 かった。そのほかの環境下(恒温恒湿、温度サイクルな
‐20 0
0 20 40 60 80 100 0 50 100 ど)の特性や、導電ペーストも同様に確認する予定である。
図 4 銅箔と導電ペーストの伸張性
伸縮フレキシブル基板の今後の展開
銅箔は伸張率が増加しても導体の抵抗変化が少ない 今後の展開として、当社の独自技術である長尺化技術
傾向にある。対して導電ペーストは伸張率の増加に伴い と銅箔導体の伸縮フレキシブル基板を組み合わせた長尺
抵抗変化が大幅に上昇する。 伸縮フレキシブル基板がある。
図5は伸縮フレキシブル基板を一方向へ繰り返し伸縮 通常のフレキシブル基板の製品長は、最大500mm程
させた際の抵抗変化を示す。伸縮率は10%とした。 度であるが、当社では最大100mの長尺化が可能であり、
半導体製造装置を始めとした各種産業用機器や医療機
20 1200 器など、さまざまな用途で採用されている。
15
1000
10 ウエアラブルデバイスにも長尺化への要求がある。胴
5 800
0 600 周りや、両腕の指先から指先までの長さを配線するため
‐5
400
10 には、通常の伸縮フレキシブル基板の場合、複数枚で繋
15 200
20 0 ぐ必要がある。しかし、この場合は、接続部が多いため、
0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000
重量増や可動域の制限が生じる。それに対し、長尺の伸
図 5 銅箔と導電ペーストの繰り返し伸縮性 縮フレキシブル基板は、1枚で配線が可能であるため、こ
れらの問題を解決できる。長尺伸縮フレキシブル基板の
銅箔は伸縮回数が増加しても導体の抵抗変化は小さ 試作品を写真7に示す。
い傾向にある。対して導電ペーストは伸縮回数の増加に
伴い抵抗値が上昇している。
上記のように導体によって伸張性、伸縮性は異なる。
銅箔はミアンダパターンが必要であるが、一方向の伸
張性、伸縮性に優れる。導電ペーストは抵抗変化が大き
いが、ミアンダパターンが不要で、全方向への伸縮が可能
である。銅箔はウエアラブル機器内配線及び周辺の回路
用、導電ペーストはより高い追従性が求められる人体末
端部のセンサー用、といったウエアラブルデバイス配線の
要求に応じて使い分けることが考えられる。
(2)そのほかの特性
写真 7 長尺伸縮フレキシブル基板の例
伸縮フレキシブル基板(銅箔)の縁抵抗、耐電圧、半田
耐熱の特性を表1に示す。
表 1 伸縮フレキシブル基板の特性(銅箔) おわりに
当社では、ウエアラブルデバイス市場をはじめとする電
子機器市場で、新たに生まれるさまざまな要求を満足す
る製品を開発し、今後も社会に貢献する。 ◆◆
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1)総務省 政策白書28年度版 情報通信白書 第3章 第1節 4.
ウエアラブルデバイス
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/
ja/h28/html/nc131410.html
岩崎とも子:Tomoko Iwasaki. 沖電線株式会社 FPC事業部
ポリイミド
エンジニアリングプラスチックの一種。剛直で強固な分
子構造をもち、高分子中で最高レベルの熱的、機械的、化
学的性質を備える。フレキシブル基板の絶縁基材として広
く使われている。
ICT(Information and Communication Technology)
情報通信に関する技術の総称。
ウエアラブルEIT
(EIT=Electrical Impedance Tomography)
胸部に巻きつけて人体の電気インピーダンスの変化を
画像化し、肺の病態や異常を簡易的に解析する医療機器。
ミアンダパターン(meander pattern)
プリント基板上に意図的に設計したミアンダ(蛇行)形状
の導体パターン。
パターン配線長を揃え、信号の遅延時間を合わせるため
の等長配線設計に多く使用されるパターンの呼び名。
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