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コネクタと発熱

ハンドブック

~どうして熱くなるの?直流/交流/実効値?~

コネクタの基礎知識、第3号になります。
よろしければ、第1号「コネクタの仕組み」、第2号「コネクタと電線」とあわせてお読みください。

掲載内容
1. 電気を流すと発熱する仕組み
コラム1 電気ストーブの暖房とエアコンの暖房
コラム2 超伝導
2. コネクタの温度(発熱と放熱)
3. 定格電流
4. 直流、交流、実効値(RMS)??
5. コネクタの選定の仕方 発熱と放熱

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Phone: 03-6441-3210
E-mail: sales@odu.co.jp

このカタログについて

ドキュメント名 コネクタと発熱
ドキュメント種別 ハンドブック
ファイルサイズ 2.9Mb
登録カテゴリ
取り扱い企業 オーディーユージャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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コネクタの基礎知識 コネクタと発熱 ~どうして熱くなるの?直流/交流/実効値?~ ODU 基礎知識特集-3 | 2021 www.odu.co.jp
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2 目次 1. 電気を流すと発熱する仕組み 2 コラム 1 電気ストーブの暖房とエアコンの暖房 5 コラム 2 超伝導 5 2. コネクタの温度(発熱と放熱) 6 3. 定格電流 7 4. 直流、交流、実効値(RMS)??      10 5. コネクタの選定の仕方 発熱と放熱 13 1. 電気を流すと発熱する仕組み 温度って何?  熱さや冷たさのことで、 きちんと説明するのはすっごく難しいのですが、 簡単に言うとものを形作っている原子や分子の運動の激しさのこと です。  激しく運動しているとき温度は高く、 ゆったりと運動しているとき温度は低く、 また運動していないとき世の中で一番低い温度の絶 対 0度(-273.15℃)となります。 低温 高温 分子 分子 分子 分子 分子 分子 分子 分子 分子 分 分 子 子 分子 分子 分子 分子 分子 分子 分子
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3 目次 温度の単位もいろいろありますが、 馴染みのあるものを 3 つほど。 • ℃ セルシウス度(摂氏) 1. 電気を流すと発熱する仕組み 2 水が氷る温度を 0 ℃、 水が沸騰する温度を 100 ℃として決めた温度です。 コラム 1 電気ストーブの暖房とエアコンの暖房 5 • ℉ ファーレンハイト度( 華氏) コラム 2 超伝導 5 アメリカで一般的に使われる温度ですね。 2. コネクタの温度(発熱と放熱) 6 水の凝固点を 32℉、 沸騰点を 212℉としたものです。 • K ケルビン(絶対温度) 3. 定格電流 7 理論上、 分子や原子の運動が完全に停止する状態の温度を 0 K 4. 直流、交流、実効値(RMS)??      10 (=-273.15 ℃)として、 温度 (K)=温度(℃)+273.15 と決めた温度です。 5. コネクタの選定の仕方 発熱と放熱 13 0 K(絶対 0度)よりも低い温度は存在しません。(上限はありません) 温度と熱の関係は? これもごく簡単にスルーしたいと思います。 20 ℃の A という物質 100 g に Q カロリーの熱(熱量またはエネルギーともいいます)を加えたら 50 ℃になったとします。 でも 20 ℃の B という物質 100 g に同じ Q カロリーの熱(熱量またはエネルギーともいいます)を加えても 50 ℃になるとは限りません。 Aよりも B が温まりやすい物質だった場合、 例えば 60℃とか、 もっと高い温度になります。 例えば、 20 ℃の水 100 g をバーナーで 1分間温めて 50 ℃になったとします。 今度は 20 ℃のアルミニウム 100 g を同じバーナーで 1分間温めると 140 ℃になります。 ずいぶん違いますね。 このように、 物質に熱を加えると温度が上がりますが、 その上がり方は物質の温まりやすさ /冷めやすさ(比熱といいます)で異なります。 50 ℃ 140 ℃ それと、 熱量(カロリー)は足し算できますが、 温度は足し算できません。 360 kcal + 500 kcal = 860 kcal おにぎり 2 個と唐揚げ 5 つ 40 ℃ +40 ℃ =40 ℃ 40℃のお風呂に 40 ℃のお湯を足し湯 VS 食べ過ぎ??? 1+1=2 1+1=1 ???
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4 なんか、 不思議ですね。 電気を流すとどうして熱くなるか? さて、 電気を流すとどうして発熱するかですが、 導体に電気を流すとその導体の中を自由電子が+ に向かって動きます。 導体には自由電子の動きを邪魔する原子や不純物があり、 電子はそれらにぶつかりながら + に向かって進みます。 この衝突によって 導体を構成する原子や不純物が振動(運動)を増します。 つまり温度が高くなります。 これが発熱です。(【図 1】) 【図 1】 電流 電流はプラスからマイナスに向かって流れると決められています。 不純物 不純物 原子 物 原子 子 不純 原 原子 自由電子 電子はマイナスの電荷を 子 帯びているのでプラスに 原 向かって進みます 導体 電子の進行を妨げる度合いを電気抵抗と呼びます。 電線やコネクタは電気を流すことが求められているので、 電気抵抗が小さな材料で 作られています。 小さいと言っても電気抵抗が0では無いので、 コネクタも電線も電気を流せばそれなりに発熱します。 あとで出てきますが、 電気抵抗が 0 の状態を超伝導といいます。 コネクタの電気抵抗 (=接触抵抗)、 電線の電気抵抗 ® ODU SPRINGTAC コンタクト 電線 IEC60228 (30℃) 1 m あたりの抵抗値 10 cm では 10 分の 1、 コンタクト径 接触抵抗 2 m では 2 倍になります。 電線サイズ 導体抵抗 0.76 mm 3 mΩ 0.5 mm2 39 mΩ 1.5 mm 0.5 mΩ 1.5 mm2 13.3 mΩ 5 mm 0.2 mΩ 10 mm2 1.91 mΩ 10 mm 0.15 mΩ 35 mm2 0.554 mΩ この発熱(Q)と電流(I)と回路の抵抗(R)の関係は、 昔、 ジュールさんが発見しました。 総発熱量(Q)=[電流(I)]2 × 抵抗(R) × 時間(t)   これをジュール熱といいます。 一般に電流Iは時間の関数で、 回路の抵抗 Rは定数 *なので、 数式として利用する場合は、 と書きます。 *抵抗 R ですが、 温度が上がると若干抵抗値 R も増えます。 これは温度が上がると原子や不純物の運動が大きくなるので、 その分電子とぶつかりやすくなる  (衝突回数が増える=電気が流れにくくなる)ためです。 厳密には抵抗Rは温度Tの関数ですが、 変化はごく僅かなのでここでは定数と見なします。 物 不純 原子 原子 不純物 純物 原 不 子 原子 原子 原子 原子 原子 原子 原子
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5 コラム 1 電気ストーブの暖房とエアコンの暖房 電気ストーブ (スイッチを入れると赤くなって暖かくなるストーブ) は ジュール熱を利用しています。 発熱の全てが電気のエネルギーです。 エアコンは、 外の熱を集めて室内に持ってくるということをしています (熱力学用語 : 逆カルノーサイクル )。 電気のエネルギーは主にこの仕事 に使われます。 熱を外から持ってくるので、 同じ温度に温めるのに電気 ストーブよりも電気を使いません。 エアコンの方が安上がりです。   その分外が冷えてしまいますが...。 コラム 2 超伝導 超伝導とは電気抵抗が 0 になることです。 この超伝導は原子や分子の振動が止まり、 運動エネルギーがゼロとなる 絶対 0 度 (0 K) において起こると予想されていました。 しかし 18 世紀初頭に絶対 0 度まで冷やさなくてももっと高温の 4.2K = -268.95 ℃ ( ヘ リ ウ ム の 沸 点 ) で 水 銀 の 電 気 抵 抗 が ほ ぼ 0 に な る こ と が 発 見 さ れ ま し た。 今 で は 室 温 に 近 い 温 度 で 超 伝 導 と な る 物 質 も 発 見 さ れ て い ま す。 ( 実 用 化 は ま だ 難 し い よ う で す が )。 電気抵抗がなくなるとジュール熱は発生しません。 このため電力を消費することなく超伝導体内で電気が永久に流れ続けます。 これを利用すると強力な電磁石を作ることができます。 身近なところで実用化されているのは MRI (身体内部の 3D 映像を撮影する医療機器) やリニアモーターカーなどです。
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6 2. コネクタの温度(発熱と放熱) さて、 準備が整ったところでいよいよ本業のコネクタの話です。 通電中 のコネクタは電流によるジュール熱で発熱するのと同時に、周りの空気や電線に放熱(輻射と熱伝導)しています。電流が一定で、 周囲温度が一定の時、 この発熱と放熱が釣り合ったところで温度が安定します。 電流によってコネクタの温度が何度になるのか、 知りたいですよね︖ 放熱は温度差が大きいほど大きくなるので、 発熱=放熱となるときの温度差を計算すればいいのですが...... ......多分...無理です。 どうしても計算してみたいという方に、 考え方だけでも。 要は、 • 電流による発熱でコネクタの温度が上がる • コネクタの温度が周囲温度(気温だけでなくコネクタに接している物体の温度も含む)より高くなる • 熱は温度が高い方から低い方に移動する。 • 温度差が大きいほど熱の移動も早くなる。 • 熱は輻射(電磁波として放出される熱エネルギー)によっても放出される。 • 発熱=放熱となったところでコネクタの温度が安定する 使いそうな法則は; 発熱:ジュール熱 単位時間当たりの発熱:Q = I(t)2 R 放熱:輻射:ステファン ・ ボルツマンの法則 単位時間当たりの放熱量 Q=εσ T4 T:輻射する物体の温度 ε:物体のの輻射率 σ:ステファン ・ ボルツマン定数      熱伝導:フーリエの法則 単位時間当たりの熱伝導 Q =- λ grad T λ:熱伝導率 grad :スカラー場の勾配 (グラジエントと読みます。 ベクトル解析で用いられる演算子です。) すごく単純なモデルで考えて、 コネクタの最終温度:Tc 周囲温度:T0 電流:I コネクタの抵抗値:R とすると、 形としては となると思うのですが、 赤字の の間は均質な物質ではないので物質ごとに考えなければなりません。   ※外部からの輻射によるコネクタの温度上昇は無しとします。 やっぱり無理そうです。 どなたか計算できる方いらっしゃいましたらご教示頂きたいです。
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7 いずれにしても発熱は電流で決まるので、温度上昇を抑えるには抵抗値の低いコネクタ(=定格電流 * の大きなコネクタ)を使うことです。 また、 放熱は周囲の状況で決まるので、 温度上昇を抑えるには冷めやすい環境(空調を入れる、 太い電線を使用するなど)を整える ことです。 コネクタやその周辺の形状はとても複雑で、冷め方(放熱)を手計算で求めることはほぼ不可能です。 したがって温度も計算できません。 実機での予備実験が望ましいです。( ODU社では、 各カタログのテクニカルデータの章にある 「周囲温度による通電容量」 のページの中 で、 実験に基づいた電流値による温度上昇が説明されています。 詳しくは 3項で説明します。) *定格電流については次項で説明します。 放熱 (輻射) 放熱 (輻射) 放熱 (熱伝導) 放熱 (熱伝導) 発熱 I2R 電流I 放熱 (熱伝導) 放熱 (輻射) 放熱 (輻射) 放熱 (熱伝導) 3. 定格電流 コネクタの定格電流とは、 そのコネクタに連続的に流すことのできる最大電流のことです。 コネクタに通電するとコネクタの抵抗によってジュール熱が発生しコネクタの温度が上昇することは 1項で説明しました。 コネクタには使用で きる限界の温度があるので、 それを超えてしまうと損傷してしまいます。 このため、 コネクタには定格電流が決められています。 コネクタの定格電流の決め方は各社まちまちですが、 ODU社では次のように決めています。 定格電流:コンタクト(コネクタの導体)温度が 45 K(45 ℃)上昇する電流 最大連続電流:室温(約 20 ℃)において、 コンタクト温度がコネクタの限界温度まで上昇する電流。 この値が基礎になります。 実際の使用に当たっては、 周囲温度や通電コンタクト数も考慮する必要があります。 周囲温度: 周囲温度が高い場合、 許容される温度上昇(コネクタ限界温度と周囲温度との差)が小さくなります。 つまり周囲温度によって流 すことができる電流(通電容量)は変わります。  次ページが ODU 社 MAC シリーズの 「周囲温度による通電容量」 の資料です。 (ODU-MAC® Silver-Line カタログ P.189)
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8 Strombelastbarkeit MAC Einzelkontakt S.124 周囲温度による通電容量 モジュールに全極実装した場合 通電容量(A) 右のグラフは、IEC 60512-5- 120 0 2:2002 (DIN EN 60512-5- 110 10 2:2003)に基づく測定値から 作った基礎曲線を製品誤差、 100 20 バラつき等を考慮して0.8倍し 90 30 たものです。 80 40 70 50 *2 60 60 50 70 40 80 30 90 20 100 10 110 0 120 コンタクト モジュール コンタクト ケーブル I I I I I I I I I I I I I I I I I I I I I ∅ サイズ mm2 0.25 0 1 2 3 3.5 4 5 6 7 8 8.5 10 極 0.76 0.38 S0 troImb1elasI tba2 rkeIit M3 ACI Mo4dulI S.1525 I 6 I 7 I 8 I 9 I 10 0.25 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 6 極 1.02 0.5 0 I 1.5 I 3 I 4.5 I 6 I 7 I 8 I 9.5 I 11 I 12.5 I 14 0.25 0 1 2 3 3.5 4.5 5 6 7 8 9 14 極 1.02 0.5 0 I 1.5 I 2.5 I 4 I 5 I 6 I 7 I 8.5 I 9.5 I 11 I 12 0.25 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0.5 0 I 1.5 I 2.5 I 4 I 5 I 6.5 I 8 I 9 I 10.5 I 11.5 I 13 5 極 1.5 1 0 2 4.5 6.5 9 11 13 15 17.5 20 22 AWG 16 0 I 2.5 I 5 I 7.5 I 10 I 12.5 I 14.5 I 17.5 I 20 22.5 I 25 1.5 0 2.5 5 7.5 10 12.5 14.5 17.5 20 22.5 25 0.5 0 I 1.5 I 3 I 4 I 5.5 I 7 I 8 I 9.5 I 11 I 12.5 I 14 1 0 2.5 5 7 9 11 13 15.5 18 20.5 23 4 極 2.41 1.5 0 I 2.5 I 5 I 7.5 I 10 I 12.5 I 15 I 18 I 21 I 24 I 27 2.5 0 3.5 7 10 13 16 19 22.5 26 29.5 33 AWG 12 0 I 4 I 8 I 12.5 I 16.5 I 20.5 I 25 I 29 I 33 I 37 I 41 0.5 0 2 3.5 5 6.5 8 9.5 10.5 12 13 14.5 1 0 I 2.5 I 5 I 7 I 9.5 I 12 I 14 I 16.5 I 19 I 21.5 I 24 1.5 0 2.5 5.5 8 11 13.5 16 19 21.5 24.5 27 3 極 3 2.5 0 I 3.5 I 7 I 10.5 I 14 I 17.5 I 21 I 25 I 29 I 33 I 37 4 0 5 10 15 20 25 30*1 35.5 41 46.5 52 6 0 I 5 I 10 I 15 I 20 I 25 I 30 I 35.5 I 41 I 46.5 I 52 4 0 5.5 11 17 22.5 28 34 39.5 45 50.5 56 2 極 5 10 0 I 9.5 I 19 I 28 I 37.5 I 47 I 56.5 I 66 I 75 I 84.5 I 94 16 0 11.5 23 34.5 46 58 70 81 92 103 114 16 0 I 11.5 I 23 I 34 I 46 I 58 I 70 I 81 I 92 I 103 I 114 2 極 8 25 0 16 32 48 64 79 95 109 124 138 152 ODU 16 0 I 14 I 28 I 42 I 55.5 I 70 I 85 I 98 I 111 I 126 I 139 LAMTAC® 2 極 8 25 0 16 33 49 65 82 100 116 132 149 164 定格電流 最大連続電流 ODU SPRINGTAC® 周囲温度(℃) ジュール熱による温度上昇(K)
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9 前ページ グラフの見方: • 各コンタクトの定格電流(45 K上昇する電流)は、縦の黄色線の延長上の数値を見ます。 例えば、3 φのコンタクトに 4 スケ(mm2) が接続されている場合、 30 A です。(8 ページ 表内 *1 参照)(MAC シリーズのコネクタの限界温度が 120 ℃なので、 周囲温度 75 ℃以下で使用可能です。) • 1.5 φのコンタクトに 1 スケ(mm2)が接続されている場合、 15A流すと 60 K上昇します。(8 ページ グラフ内 *2 参照) コンタクト数(通電芯数): 通電芯数が多くなると、 お互いが近くで発熱するので、 単極の場合よりも温度が上昇します。 このことを考慮して定格電流を下方修正 する必要が出てきます。 その時定格電流をどれだけ下げれば良いか計算するために、 ディレーティング係数(減少係数)というドイツの 規格で規定されている数値を用います。(ODU本社はドイツの会社なので、 ドイツの規格が参照されます。) ODU-MAC® P.187 表 ディレーティング係数 通電芯数 ディレーティング係数 コネクタおよびケーブルは複数の導体を使用する場合、単体使用時と 5 0.75 比べて、導体の温度は高くなります。そのため、複数実装時の定格電流 の算定には、ディレーティング係数が適用されます。 7 0.65 コネクタの場合、VDE 0298-4:2013に準拠した多芯ケーブルのディレーテ 10 0.55 ィング係数が適用されます。ディレーティング係数は、5本以上の電線を使 14 0.5 用する場合に考慮されます。 19 0.45 24 0.4 40 0.35 0.8 61 0.3 0.7 0.6 通電芯数およびディレーティング係数。 0.5 空中に設置された、1.5 ~ 10 mm2の樹脂多芯ケーブル。 0.4 0.3 0.2 0 10 20 30 40 50 60 通電芯数 例: 24芯ケーブル[24極]使用。ディレーティング係数0.4適用。 ケーブルサイズは6 mm2での単極定格電流 39 A[コンタクト径 3.0 mm]使用。24極コネクタには、15.6 Aが導電可能(0.4×39 A)。 *前ページのグラフは全極実装の場合の通電容量です。単極の場合の通電容量のグラフ・表はODU-MACのカタログをご参照ください。 複数のコンタクトを使用する場合の定格電流 = 基本の定格電流(単極) x コンタクト数に応じたディレーティング係数 ここで注意が必要なのは、 放熱に関してはコネクタ周囲の状況や配線の仕方、 また通電の仕方に大きく依存するため、 カタログ値だけ では判断できないということです。 ぎりぎりのところで使用する場合は、 やはり実機での試験が望ましいです。 ディレーティング係数
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10 4. 直流、 交流、 実効値(RMS)?? ) X2sin2( × t = ) ∫I(t) 2 R R [ R = × dt Q = × R W = X ]2 × sin(t) =[X λ× 4 + gsri c and([t)] × Rt Q = X2sin2 T 2 ( = t I 2 ) σ ∫I R=ϵ 2 ( × 2 R Idc ×R=π/2×X2×R∫ t si ) n 2 Rdt 2 (t)dt (t)d sin × 2 ×R∫ R = X π /2× コネクタの定格電流についてはだいたいおわかり頂けたと思いますが、 電気には直流と交流があって、 これが話をややこしくしています。 ちょっと考えてみてください。 定格電流でコネクタを選ぶときに、 直流の電流と交流の電流を同じとみなして大丈夫でしょうか︖ この答えをこれから出していきます。(直流と交流の説明もします。) 一番身近にある電源は、 コンセントの 100 ボルトですよね。 どこが 100 ボルトかわかりますか︖ 実はほんの一瞬しか 100 ボルトになってないんです。 それにコンセントの 100 ボルトの最大値は 141 ボルトって聞いたりしますね。 何故か。 コンセントの 100 ボルトは交流だからです。 電気には直流と交流があります。 直流とは、 プラス極とマイナス極が変わらない電源から流れる電流のことです。 乾電池は直流です。 自動車のバッテリーも直流です。 交流とは、 プラス極とマイナス極が交互に入れ替わる電源から流れる電流のことです。 コンセントの 100 ボルトは交流です。 コンセントの 100 ボルトのプラス極とマイナス極が入れ替わる頻度は、 東日本は 1 秒間に 50 回、 西日本は 60 回です。 それぞれ、 周波数 50 Hz(ヘルツ)、 60 Hz(ヘルツ)といいます。 100 ボルトと呼ばれているのに 100 ボルトは一瞬ってどういうことでしょうか︖ これは 100 ボルトと呼ばれているのが 「 実 効 値 」 というものだからです。 ではこれから 「実効値」 を説明するため、 禁断の世界の扉を開けてみましょう。  数式が出てきます。数学にアレルギーのある方はアナフィラキシーに気を付けてください。 X×sinV t X d ×sin( t I(t) 2 R ∫ Tc-T0 ] Q=∫I(t)2 Rdt Q 2 Idc W=
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11 直流と交流 時間の経過と電流の変化をグラフにするとこんな感じです。 直流 V 交流 dc Vac I Iac dc AC R I R I I=Xsin(t) I=Idc X Idc t t 0 0 通電開始 終了 -X 通電開始 終了 抵抗:R 直流の電流:Idc = 一定 直流の電圧:Vdc = Idc × R (オームの法則、 中学でやりましたね。) 交流の電流:Iac=X × sin(t) 交流の電圧:Vac= X × sin(t) × R (オームの法則) Xは交流のピーク電流(電流の最大値)です。 直流と交流、 どっちが強いのか(電力が大きいのか)、 グラフを見てもわかりませんね。 交流は時間によって電流が大きくなったり小さくなったりするので、ピーク値(最大値)が直流と同じだと、交流の方が弱いのは明らかです。 では、 直流と同じ強さ(電力)の交流ってどんなものでしょうか︖ ここで、 「実効値」 の出番です。 交流の 「実効値」 とは、 同じ強さ(電力)の直流の電流または電圧のことです。 つまり実効値 100 V の交流と電圧 100 V の直流は同じ強さ(電力)だということです。 ではここで、交流の実効値が Idc と同じという条件(上の直流と交流が同じ電力)で、交流のピーク電流(グラフのX)を求めてみます。 オームの法則:(電流 ) x ( 抵抗 ) = ( 電圧 ) と、 ( 電力 ) = ( 電圧 ) x ( 電流 ) =( 電流 )2 x ( 抵抗 ) を使用します。 直流 オームの法則:I × R=V 、  電力:W=V × I = I 2 dc dc  dc dc dc × R 交流 オームの法則:X × sin(t) x R = Vac 、 電力:W=[X × sin(t)]2 × R = X2sin2(t) × R 直流と交流の電力が同じという条件なので                                                         という方程式が立てられます。 交流は時間平均を取るので 1周期(0~ 2π 秒)積分して 2π で割ります。 これを X について解きます。(X を Idc で表します。) 不定積分公式    を使っちゃいます。 (証明は自分で調べてね。)
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12 } さっき立てた方程式 ・・・以下、右辺の定積分を解いていきます。 ・ ・ ・方程式がすっきりしました。 つまり、 直流               と 交流 I I I=√2 Idcsin(t) I=Idc √2 Idc Idc Idc t t 0 0 -√2 Idc は、 電力が等価となります。  この時 Idc は直流の電流であり、 また交流の実効値電流でもあります。 交流の電圧を直流の電圧で表すには、 オームの法則を使用して以下のように導けます。
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13 交流 100Vのピーク値、 141V(√ 2= 1.41421356…)って、 こうやって出てくるんですね。 ここまでお疲れ様でした。。。 ! ちなみに 「実効値」 は 「RMS」 と呼ばれることもあります。 これは、 Root Mean Square の略で、 Root( 根:平方根のこと)、 Mean( 平均)、 Square( 平方:2乗のこと)の頭文字です。 そういえば、 いまの計算も、 電流の 2 乗(Square)の平均値(Mean:0 ~ 2π 秒までの平均を取りましたね。)のルート (平方根:Root)になってますね。 読み終わった後も念のため 15分経過観察の後 PDF を閉じてください。 5. コネクタの選定の仕方 発熱と放熱 コネクタを選定する上での注意点: 今まで述べたように、 定格電流というのは、 それを超えた電流が流れるとアウト、 それ以下なら無条件に O K というような単純なものでは ありません。 定格電流以上でも短時間であれば問題なく流せる場合もありますし、 周囲温度などの条件によっては定格電流以下でも流せない場合 があったりします。 選定にあたっては、 単に負荷(つなぐ機器)の定格電流とコネクタの定格電流を比べるだけでなく、 以下のことを考慮に入れてください。 • 発熱に関して どのように電流が流れるのかは、 負荷(電気を使うもの /何につながっているか)によって異なります。 ヒーターなどの抵抗負荷: 抵抗値が安定しているので常に一定の電流です。 モーターなどの誘導負荷: 運転開始時に大きな突入電流が流れます。 また、 連続運転をするのか、 断続的に運転をするのかでも発熱の仕方が変わります。 • 放熱について 周囲温度、 空調の有無、 周りの発熱体、 風通しのよさなどが関係してきます。 これらのことを加味して、電流値に余裕が持てない場合は、実機での試験が望ましいです。 過電流による焼損もありますので、 注意してください。
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14 放熱 (輻射) 放熱 (輻射) 放熱 (熱伝導) 放熱 (熱伝導) 発熱 I2R 電流I 放熱 (熱伝導) 放熱 (輻射) 放熱 (輻射) 放熱 (熱伝導) • ODU-MAC® シリーズのカタログに記載されている 「周囲温度による通電容量」 の数値は、[単極]の場合も 「モジュールに全極実 装した場合」 もどちらも実験値を基にした値です。    興味がある方はぜひダウンロードしてください。 URLは次のページでご確認頂けます。 いかがでしたか? 使用する電流とコネクタの定格電流からコネクタを選定するのって、思った以上に難しいですね。 文責:藍川 洋一 / オーディーユージャパン テクニカルセールス ・ マネージャー 次号:「コネクタのかたち ~沿面距離、 空間距離、 定格電圧~」 について (2021 / 11月頃を予定) *上記の内容は予告なく変更する場合がありますのでご了承ください。 編集後記 コネクタの基礎知識シリーズもお蔭様で第三号になります。 「今回は 『コネクタと発熱』 がテーマです」、 と第一稿を渡された時は 「え︕方程式︖数式︖理解不能」 と頭がハテナマークで埋め尽くされる事態に。 想定読者である私、 編集者 M が(体系的な熱力学などの知識はほぼゼロ状態)理解できるようにと いうのが本シリーズのコンセプトでしたので、 何度も分かるまで説明してもらい、 加筆修正を繰り返し ながら本書が完成しました。 シリーズを通して、 詳しい知識をお持ちの方から普段コネクタにそれほど 関わりがない方まで、 いろいろな方に楽しんでコネクタのことを知って頂けましたら幸いです。 最後までお読み頂き有難うございました。
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15 関連カタログのご紹介 P 4、P 8: ODU SPRINGTAC® ODU カタログ:ODU シングルコンタクト 以下の URL よりダウンロード頂けます: https://www.aperza.com/catalog/page/2813/29659/ P 7、P 9、P 14: ODU-MAC® ODU カタログ:ODU-MAC® Silver-Line White-Line 以下の URL よりダウンロード頂けます: https://www.aperza.com/catalog/page/2813/29643/ * 2021年下半期にカタログ更新版リリース予定
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ODU ODU ODU ODU International Trading Co., Ltd. ODU ODU GmbH & Co. KG ODU Otto Dunkel GmbH ODU ( ) Connectors Manufacturing Co., Ltd. ODU ODU ODU ( ) ODU ( ) ODU ODU ODU ODUグループ概要 品質管理 & 認証 • コネクタ業界での80年にわたる実績 • ISO 9001 (品質マネジメントシステム) • 世界全体での従業員数2,300人以上 • IATF 16949 (自動車業界向け品質マネジメントシステム) • 世界12か所の営業拠点 (ドイツ、中国、ルーマニア、 • ISO 13485 (医療機器向け品質保証) デンマーク、フランス、香港、イタリア、 スウェーデン、 • ISO 14001 (環境マネジメントシステム) イギリス、アメリカ、日本、韓国) と5か所の製造・物流拠点 • ISO 50001 (エネルギーマネジメントシステム) • ワンストップソリューション: ODUが提供する技術はデザイン・ • UL、CSA、VG、VDEといった様々なグローバル規格をクリア 開発、機械ツール・特殊機械の組立、 射出成型、型抜・ • UL認証ケーブルアセンブリ 旋盤、表面処理、組立・ハーネス加工におよびます。 すべての認証につきましては、ODUのホームページをご参照ください。 2020年2月時点 オーディーユージャパン株式会社 〒106-0032 東京都港区六本木4丁目1-1 第二黒崎ビル 3F Phone: 03 6441 3210 Fax : 050 3737 4793 E-mail: sales@odu.co.jp 掲載されている画像の一部はイメージです。 すべてのデータおよび仕様は予告なしに変更することがあります。 こちらのQRコードよりODUの 最新版の本冊子の情報が、過去のすべてのバージョンよりも優先されます。 ウェブサイトページにアクセス頂けます。 本冊子のPDF版を、Aperza Catalogからダウンロード頂けます。 www.odu.co.jp コネクタと発熱 / JP / 0721