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過剰な経路損失・広帯域ノイズ・測定不確かさにどう立ち向かうか ミリ波解析の課題と解決策を体系解説
ミリ波技術は5G、衛星通信、車載レーダーの進化を支える一方、過剰な経路損失、広帯域ノイズ、複雑なOTAテストなど、従来にない測定課題を生み出します。本資料では、ミリ波信号解析における代表的な課題を整理し、信号経路の最適化、低ノイズ測定、外部ミキシング、基準面移動や校正手法など、測定確度と再現性を高める具体的アプローチを解説。
可視性・確度・信頼性を確保し、次世代ミリ波アプリケーション開発を成功に導くための実践的ホワイトペーパーです。
このカタログについて
| ドキュメント名 | ミリ波測定の壁を越える。 5G・衛星・車載レーダーを支えるミリ波信号解析の実践知 |
|---|---|
| ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
| ファイルサイズ | 4.5Mb |
| 登録カテゴリ | |
| 取り扱い企業 | キーサイト・テクノロジー株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
Page1
W H I T E P A P E R
ミリ波信号解析:
課題への取り組み
はじめに
ミリ波テクノロジーは、無線通信を革新します。次世代の5G、衛星、および車載用レーダー
通信は、超広帯域の使用によって、さらに高いデータスループットと超高分解能を実現し この記事では、現在と
ます。ミリ波テクノロジーは主要な実現技術で、性能向上のための十分なマージンを 将来のミリ波アプリケー
提供しますが、経路損失、厳しい設計マージン、複雑な変調、厳格な規格などの課題も ションのテスト課題に
生じます。 取り組むときの主要な
検討事項について
ミリ波周波数では、過剰な経路損失により、RF出力レベルが制限され、コストが高くな 説明します。
ります。また、無線(OTA)テスト手法を使用して性能指標を測定すると、正確で再現性
の高い結果を取得することがより困難になります。広帯域幅により、高いデータスルー
プット、レンジ分解能と確度、そして低遅延を実現できますが、多くのノイズが発生す
るようになります。過剰な経路損失とノイズにより、テストの複雑さと測定の不確かさ
が増します。
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ミリ波テストの課題
無線テクノロジーでは、高速なデータレートを実現するために、信号帯域幅を拡張し、さらに
高次の変調方式を使用します。周波数帯域が広いことはミリ波の魅力的な特長です。しかし、
広い帯域幅と高次変調方式により、ミリ波周波数でのリンク品質要件に関連する課題が生じ
ます。フランジ接続のスキューによって不要な反射が生じ、信号の品質/パワーが劣化する
可能性があります。エンジニアは、ミリ波コンポーネントとデバイスを正確に評価するために、
細心の注意を払う必要があります。
過剰な経路損失
ミリ波周波数では、機器と被試験デバイス(DUT)間の過剰な経路損失により、S/N比(SNR)
が低下します。S/N比が低下すると、エラーベクトル振幅(EVM)、隣接チャネルパワー、
スプリアスエミッションなどの信号解析測定が困難になります。
コンポーネントもコンパクトで高度に統合されており、プロービングする場所がありません。
そのため、OTAテストとしても知られる放射テストが必要になります(図1参照)。信号レベ
ルが大幅に低下するため、テストセットアップ周辺の放射環境を制御/校正する必要があり
ます。
図1. OTAテストチャンバー
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広帯域ノイズ
ミリ波周波数バンドでは、使用できる帯域幅が拡大します。しかし、レシーバーでの感度を
向上させるためには、チャネルのノイズフロアに匹敵する送信信号が必要です。同様に、
解析帯域幅が拡大すると、シグナル・アナライザに対するノイズも増大します。このノイズ
により測定のS/N比が低下し、正確なミリ波測定がさらに困難になります。
周波数応答
テストシステムの主要な目的は、DUTの特性評価です。システムは、DUTの測定結果を、
他のすべてのテストセグメント効果から分離する必要があります。テストシステムを構築す
る際、シグナル・アナライザとDUTの間にある、ミキサー、フィルター、アンプなどのコン
ポーネントが周波数応答に影響します。これらの応答はさまざまな周波数で発生し、振幅お
よび位相のエラーを含みます。変調信号の振幅および位相のエラーにより、変調品質が劣化
します。より広い帯域幅とより高い周波数で信号をテストすると、周波数応答は悪化します。
図2は、OFDM(直交周波数分割多重化)信号の悪い周波数応答(左側)とフラットな周波数
応答(右側)を示しています。
図2. 周波数ドメインに対する周波数応答の影響
信号経路損失の低減
シグナル・アナライザのハードウェアとソフトウェアは柔軟性に優れているので、トランス
ミッターの評価、レシーバーのトラブルシューティング、無線信号の解析など、あらゆる
目的に最適なソリューションを構築できます。入力信号としては、ハイパワーからノイズの
ような信号、低周波からTHzまでの信号、さらに連続波から複雑な広帯域変調までの信号が
考えられます。さまざまな入力信号を測定するために、シグナル・アナライザでは高いパワー
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レベルにはアッテネータを、低いパワーレベルにはプリアンプを適用することができます。
シグナル・アナライザは、デフォルト経路、マイクロ波プリセレクターバイパス経路、低ノ
イズ経路、フルバイパス経路などの複数のRF信号経路を使用して、ノイズの低減、感度の
向上、信号経路損失の低減を実現してS/N比を向上させます。
デフォルト経路 ̶ 低レベル信号の測定
図3に、シグナル・アナライザの通常の信号経路を示します。入力信号は、RFアッテネータ、
プリアンプ、プリセレクターを通過して、ミキサーに到達します。これがデフォルト経路です。
プリセレクターの帯域幅によって制限される、帯域幅が45 MHz未満の低レベル信号を測定
する場合に非常に有用です。
RF入力 プリアンプ
アッテネータ (オプション) プリセレクター ミキサー IFゲイン デジタイザ
LO
図3. シグナル・アナライザのRFデフォルト経路
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マイクロ波プリセレクターバイパス経路 ̶ 広帯域ベクトル信号の解析
RFプリセレクターの帯域幅は45~ 70 MHzに制限されています。これは、イメージフリー
解析用の調整周波数によって異なります。この帯域幅によってRF解析帯域幅が制限され
ます。プリセレクターのバイパスにより、デジタイザの帯域幅全体で広帯域解析が可能に
なり、フラットな周波数応答を実現することができます(図4参照)。さらに、プリセレクター
の振幅ドリフトや通過帯域リップルがなくなり、振幅確度が向上します。マイクロ波プリセ
レクターのバイパスにより、5G、衛星通信、802.11ax/be、レーダー信号などの広帯域信号
を測定できるようになります。
RF入力 プリアンプ
アッテネータ (オプション) プリセレクター ミキサー IFゲイン デジタイザ
LO
プリセレクター
バイパス
6 dB
図4. マイクロ波プリセレクターバイパス経路
例えば局部発振器(LO)のリーケージやスプリアスを伴うミキサーテストなど、強いバンド外
信号が入力信号に含まれる場合には、これらの信号によって、解析帯域幅内にイメージやバ
ンド内干渉が発生する可能性があります。このイメージにより、測定が失敗する場合があり
ます。シグナル・アナライザの入力でバンドパスフィルターを使用すれば、これらの不要信号
を回避することができます。
低ノイズ経路 ̶ 変調解析の改善
EVM測定など、高いパワーレベルでトランスミッターの変調品質をテストする場合は、低ノ
イズ経路を選択して、プリアンプ経路内の高損失スイッチやプリアンプをバイパスすること
ができます(図5参照)。周波数が高くなると、アンプ利得、周波数応答、挿入損失は悪化し
ます。この最適な経路は経路損失を低減し、プリアンプとスイッチによって生じる周波数応答
およびノイズを除去します。このプロセスにより、信号忠実度と測定感度が向上し、高い
周波数での広帯域EVM測定結果が最適化されます。
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RF入力 プリアンプ
アッテネータ (オプション) プリセレクター ミキサー IFゲイン デジタイザ
LO
ローノイズ・パス
図5. 低ノイズ経路は、プリアンプ経路の高損失スイッチをバイパスします
OTAテストのようなパワーレベルが低いテストでは、変調解析の十分なS/N比を達成するた
めに内部または外部アンプが必要です。
フルバイパス経路 ̶ 広帯域変調解析のテスト
図6にフルバイパス経路を示します。これは、低ノイズ経路とマイクロ波プリセレクターバ
イパス経路を組み合わせたものです。このRF経路は、低帯域スイッチ回路の複数スイッチを
回避し、マイクロ波プリセレクターをバイパスします。ミリ波周波数の場合、フルバイパス
経路では、デフォルト経路よりも最大10 dBの損失が低減されます。
RF入力 プリアンプ
アッテネータ (オプション) プリセレクター ミキサー IFゲイン デジタイザ
フルバイパス
LO
ローノイズ・パス
プリセレクター
バイパス 6 dB
図6. フルバイパス経路は、プリアンプとプリセレクターを避けて迂回します
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フルバイパスには、経路損失の低減、信号忠実度と測定感度の向上という利点があります。
ただし、低パワーレベルのテストに対しては、インバンドのイメージングやS/N比の低下
など、いくつかのデメリットもあります。バンドパスフィルターを追加すれば、目的のバン
信号経路損失を低減させて
ド内でイメージを除去してEVMの結果を1~ 2 dB改善することができます。さらに、外部
S/N比を向上させる方法の
プリアンプを追加すれば、低パワーレベル信号をテストするときのS/N比を改善することが 詳細については、
できます。 アプリケーションノート
Full Bypass Path for
外部ミキシング ̶ 周波数レンジの拡張と測定プレーンの延長 X-Series Signal Analyzers
ミリ波テストシステムを構築すると、シグナル・アナライザとDUT間の経路にあるケーブル をダウンロードして
やアクセサリによって挿入損失が増加します。ケーブル損失は最大5 dBになる可能性があり、 ご覧ください。
テストシステムのS/N比を低下させる可能性があります。外部ミキサーの追加が、高いコス
トパフォーマンスでシグナル・アナライザの周波数レンジを拡張できる方法です。これにより、
ミキサーをDUTの近くに移動してミリ波信号のルーティングを短縮することができるので、
経路損失が減少し、S/N比が向上します。
アナライザは、マイクロ波LO信号を外部ミキサーに供給し、ミキサーから中間周波数(IF)
信号を受信します。アナライザはさらに、内部ミキシング信号に使用するのと同じフィルタ
リング、デジタイジング、解析、表示の演算を用いてIF信号を処理します。キーサイトの
USBスマートミキサーにより、接続と測定セットアップが簡素化されます。アナライザは
ミキサーを検出して、変換係数を自動的にダウンロードし、ドライブレベルをモニターする
ことができます。図7に、外部ミキサーを用いたシグナル・アナライザ周波数拡張ソリューショ
ンを示します。
図7. スマートミキサーにより、初段のミキシングをアナライザの外に移動します
製造テストの場合、ミリ波テストシステムの統合とテストコストにより、研究開発から量産
までの障壁が高くなります。バンド別ソリューションが、量産テストに対する一般的なアプ
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ローチです。例えば、RFベクトル・シグナル・アナライザ(VSA)とRFベクトル信号発生器(VSG)
は、5G周波数レンジ1(FR1)のバンド内RFテストケースに不可欠です。VSAおよびVSGは、
FR2バンドテスト用の外部ミリ波トランシーバーと結合すればIFシグナル・アナライザおよ
び信号発生器として使用できます(図8参照)。この手法は、高性能のマイクロ波シグナル・
アナライザおよび信号発生器を使用するよりも低コストです。
図8. キーサイトのS9130A 5Gパフォーマンス・マルチバンド・ベクトル・トランシーバーは、
5G FR1とFR2をカバーしています
外部ミキシングにより、ミリ波信号解析用のコストパフォーマンスの高いソリューションを
構築でき、テストポートをDUTの近くに移動することができます。ただし、ミキサーのフロ
ントエンドにプリセレクターはありません。強いバンド外信号があると、目的のバンドに不要
なイメージが発生し、測定確度を低下させる可能性があります。ミキサーの周波数バンド
外の周波数(例:Keysight M1970Wの周波数レンジは75~ 110 GHz)を測定する場合は、
テスト信号をシグナル・アナライザのRF入力ポートか、または帯域が異なる別のミキサーに
接続し直す必要があります。次に、それに応じて操作インタフェースからの入力ソースを
変更する必要があります。これらの手順により、テストの複雑さと測定の不確かさが増します。
キーサイトのV3050A 外部周波数エクステンダーは、シグナル・アナライザのシームレスな
操作インタフェースを用いて、プリセレクターとRFスイッチをダイナミックレンジの広いミ
キサーに統合します(図9の中央を参照)。このソリューションでは、バンドの分断やイメー
ジの管理なしで、2 Hz~ 110 GHzのバンド別ではないプリセレクトされた掃引パワースペ
クトラムを実現できます。ベクトルモードでは、IF帯域幅を最大11 GHzまで使用できます。
また、Keysight U9361 RCalレシーバーキャリブレーターを使用すれば、最大110 GHzま
での測定セットアップにおける振幅および位相エラーを除去して、測定を最大限まで活用し
て実際のデバイス性能を確認することができます(図9参照)。システム校正については後述
します。
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図9. キーサイトのV3050A 周波数エクステンダー(中央)とU9361 RCalレシーバー
キャリブレーター(右)は、ミリ波のテストおよび測定を革新します
信号状態の改善
高速データレートアプリケーションに対する需要の急増により、高い周波数で広い信号帯域幅
に対応可能なテクノロジーのニーズが生じています。残念ながら、帯域幅が広くなるとノイ
ズも増えてしまいます。ミリ波周波数におけるシグナル・アナライザとDUT間の広帯域ノイ
ズと過剰な経路損失により、デジタイザのS/N比が低下します。S/N比が低いと、トランス
ミッター測定のEVMや隣接チャネル電力比の性能が劣化し、DUTの性能を表すことができま
せん。
図10は、VSAの簡略化したブロック図です。EVM測定を実行するときには、シグナル・アナ
ライザの入力ミキサー、LOの位相雑音構成、デジタイザの最適なレベルを設定して、最高の
結果を取得する必要があります。これらの各要素には、それぞれ制約やユースケースがあり
ます。
RF入力 プリアンプ
アッテネータ (オプション) ミキサー フィルター IFゲイン デジタイザ
LO
図10. シグナル・アナライザのブロック図
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入力ミキサーレベルの最適化
すべての無線規格は、最大出力パワーでのトランスミッター測定を仕様化しています。シグ
ナル・アナライザの初段ミキサーでパワーレベルを減衰させて、ハイパワー入力信号がシグ
ナル・アナライザに歪みを生じさせないようにすることができます。OTAテストや挿入損失
が莫大なテストシステムなどのシナリオでは、入力信号レベルが最適なミキサーレベルより
も低くなる可能性があります。内蔵プリアンプにより雑音指数を向上させることができま
すが、ノイズフロアに対する相互変調歪みのダイナミックレンジが劣化します。低入力レベ
ルテストのシナリオの場合は、この設定をオンにすることができます。
入力ミキサーレベルの設定は、歪み性能とノイズ感度のトレードオフです。入力ミキサーレ
ベルが高ければS/N比が向上し、入力ミキサーレベルが低ければ歪み性能が向上します。
最適なミキサーレベル設定は、測定ハードウェア、入力信号の特性、規格テストの要件に
依存します。
内蔵プリアンプの有無にかかわらず、外部低雑音増幅器(LNA)をフロントエンドに適用して、
ミキサーの入力レベルを最適化することもできます。キーサイトの新しいシグナル・アナラ
イザは、内蔵のLNAとプリアンプにより、さまざまなテストシナリオに対応します(図11
参照)。2段階の利得により、ノイズと歪みのバランスを取るための柔軟性が向上し、最高の
低入力レベル測定性能に最適化することができます。
RF入力 LNA プリアンプ
アッテネータ (オプション) (オプション) ミキサー フィルター IFゲイン デジタイザ
LO
図11. 内蔵LNAによりノイズが低減され、2段階の利得によりノイズと歪みのバランスを取るための
柔軟性が向上します
IFデジタイザ - S/N比の最適化
シグナル・アナライザのシステムIFノイズは、最高のEVM測定結果を取得するために十分低
くなければなりません。同時に、デジタイザへの入力信号は、デジタイザが過負荷にならな
い程度に十分高くする必要があります。このバランスを取るには、測定信号のピークレベル
に基づいて、RFアッテネータ、プリアンプ、IF利得値を組み合わせる必要があります。
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新しいシグナル・アナライザでは、1つのキーを押すだけでこれらのハードウェア設定を
最適化して、S/N比の向上とデジタイザ過負荷の回避が可能です(図12参照)。最適化プロセ
スには、信号ピークレベルの測定とアナライザのセットアップが必要です。ただし、測定さ
EVM測定を正確に実行して
れた期間では、入力信号のすべてのパワー特性を表せない可能性があります。ユーザーは、
最適化するベストプラクティス
最高の測定結果を取得するために、IF利得やRFアッテネータなどの設定を手動で微調整する については、技術記事
ことができます。 Three Best Practices for
Optimizing EVM
Measurements for
Wideband Signalsを
ダウンロードして
ご覧ください。
図12. 5G NR変調解析用EVM測定の最適化
DUTへの基準面の移動
測定器の仕様によって、テスト機器やシグナル・アナライザの確度が決まります。シグナル・
アナライザの仕様は、測定器の入力コネクタ、または出力コネクタまで有効で、コネクタの
位置に測定器は基準面を設定しています。テスト測定器の外部では、測定器とDUT間の経路
にあるコンポーネントの影響を考慮する必要があります。この影響により、システム全体の
測定確度が劣化する場合があります。
帯域幅が広くなり、周波数がミリ波以上に上昇すると、広帯域測定でのエラーマージンが
小さくなるため、RFエンジニアは周波数応答エラーを低減させるための新たな方法を模索し
なければなりません。応答はさまざまな周波数で発生し、位相および振幅応答に影響を及
ぼします。シグナル・アナライザは、その周波数応答を補正するための内部校正ルーチン
を提供しています。
シグナル・アナライザとDUT間の経路にケーブル、コネクタ、スイッチ、フィクスチャを接続
すると、これらのコンポーネントは周波数応答エラーが原因で測定確度を劣化させる可能性
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があります。シグナル・アナライザの入力ポート(基準面)からDUTのテストポート(測定面)ま
での測定確度を強化する必要があります(図13参照)。シグナル・アナライザでは、振幅補正
と複素補正(振幅および位相)を設定して、周波数応答を除去することができます。テスト
回路での振幅および位相のエラーを補正することで、測定を最大限活用して、デバイスの
実際の性能を確認することができます。
基準面 測定面
テストシステム
シグナル・アナライザ
テスト
ネットワーク
図13. チャネル補正のためのテスト回路構成要素の検討
信号発生器およびパワーセンサを使用した振幅補正
シグナル・アナライザでは振幅補正や、振幅と位相の補正を含む複素補正を設定して、周波数
応答を補正することができます。振幅補正の場合、信号発生器とパワーメータおよびセンサ
を使用してテスト回路の振幅周波数応答を測定してから、補正値をシグナル・アナライザに
入力することができます。
ベクトル・ネットワーク・アナライザを利用した複素補正
複素補正の場合、ベクトル・ネットワーク・アナライザを使用してテスト回路の周波数応答
を測定して、測定結果を.s2pフォーマットで保存することができます。Keysight Xシリーズ
シグナル・アナライザでは、.s2pファイルをロードして、振幅および位相の周波数応答を
補正することができます。
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コムジェネレーターを利用した複素補正
もう1つの校正方法は、コムジェネレーターを使用する方法です。コムジェネレーターは、
必要な校正面(テスト回路の入力)に容易に挿入できるユニバーサルなレシーバー・システム・
キャリブレーターです。振幅と位相が既知の連続波(CW)トーンを発生させます(図14参照)。
シグナル・アナライザは、テスト回路の出力における各トーンの振幅および位相を測定し、
それらを既知の振幅および位相と比較します。図15に、テスト回路の振幅および位相のチャ
ネル応答を示します。
櫛歯固定間隔
より高い周波数で
低電力
図14. コムジェネレーターは、振幅と位相が既知のCWトーンを発生させます
図15. テスト回路の測定周波数応答
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RCalレシーバーキャリブレーターの使用
U9361 RCalレシーバーキャリブレーターは、基準面をDUT側に移動させることで、テスト・
レシーバー・システムの校正に確度、効率、価値をもたらします。トーン間隔が一定の、高周波
ではパワーが低いコムジェネレーターとは異なり、RCalでは中央周波数を変更することが
でき、櫛歯の間隔を調整可能です(図16参照)。これは、より高い周波数でより広い帯域幅を
テストする際に有益です。
櫛の中央:
10 MHz~110 GHz
歯間隔:
100 kHz~100 MHz
図16. RCalレシーバーキャリブレーターから発生するトーンは、中央周波数とトーン間隔の調整が
可能です
手のひらサイズのUSB電源/制御のRCalによって効率的なテストセットアップを維持する
ために、キャリブレーターは、USBのプラグアンドプレイ機能を介してデータをメモリから
シグナル・アナライザに自動的に転送します(図17参照)。アナライザも、キャリブレーター
のモデル番号、シリアル番号、搭載オプションを自動検出します。このセットアップにより、
テスト・レシーバー・システムの校正に必要な手間や複雑さを軽減することができます。
シグナル・アナライザの
テスト確度を向上させる
方法については、アプリ
ケーションノート
The Essential Guide to
Receiver Calibrationを
ダウンロードして
ご覧ください。
図17. シグナル・アナライザと手のひらサイズのUSB電源/制御のRCal
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RCalを使用すれば、シングルデバイスで絶対パワー確度、振幅フラットネス、位相フラット
ネスを補正することができます。RCalにより、複数の機器を用意してシグナル・アナライザ
測定システムを校正する必要がなくなります。
ミリ波測定の前進
5G、衛星、車載用レーダーなどの次世代無線通信には、より高い周波数、広い帯域幅、
複雑な変調が求められます。エンジニアは、テストの複雑化、測定の不確かさ、過剰な経路
損失、ノイズなど、デバイス性能に影響を及ぼす新たな課題に直面します。
可視性、確度、再現性を向上させるキーサイトのテストソリューションを使用すれば、デバ
イスの性能に確信が持てるようになり、次の革新に集中することができます。
詳細情報:www.keysight.co.jp
キーサイト・テクノロジー株式会社
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本書の情報は、予告なしに変更されることがあります。 © Keysight Technologies, 2021, Published in Japan, March 15, 2021, 7121-1035.JA 15