1/6ページ
ダウンロード(5.1Mb)
高精度バッテリー解析と自動化テストで、 Formula SAE North Electric 総合2位を獲得
ミシガン大学の学生チーム Michigan Electric Racing(MER)は、フル電気フォーミュラカーの性能向上を目指し、バッテリーとパワートレインの高度な評価環境を構築しました。
KeysightのN7900アドバンスト電源、回生型双方向電源、Truevolt DMM、BenchVueを活用し、放電特性・温度・ピーク電流を高精度に可視化。実測データに基づく設計最適化により、バッテリー冷却と安全性を向上させ、2019年Formula SAE North Electric大会で総合2位を獲得しました。
このカタログについて
| ドキュメント名 | 0–60 mphを4秒で達成。 学生フォーミュラEVを加速させた計測×電源ソリューション |
|---|---|
| ドキュメント種別 | 事例紹介 |
| ファイルサイズ | 5.1Mb |
| 登録カテゴリ | |
| 取り扱い企業 | キーサイト・テクノロジー株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
この企業の関連カタログ
このカタログの内容
Page1
ケーススタディ
Wolverines Don’t Usually Run This Fast
Wolverines(クズリ:イタチ科)は、時速30マイル(mph)もの速度で走ることができる強力
な動物です。しかし、もっと速く走れるクズリもいます。Michigan Electric Racing 組織:
(MER)は、ミシガン大学の学生運営のミシガン・ウルヴァリンズに所属するチームです。 • Michigan Electric Racing
チームの使命は、4秒あまりで0~ 60 mphまで加速する高性能の全電気式フォーミュラー 課題:
カーの設計、製作、試験、および資金調達を行うことです。このチームは、毎年夏に開催 • ハイブリッドからフル電気
されるFormula SAE大会に出場し、世界中のチームと対戦しています。この厳しい設計/ 自動車への移行
製作プロジェクトでは、学内のあらゆる学生が実際のエンジニアリングに携わることがで • 前年の電気運転システム
きます。これは、学生が学生運営チームにて教室で学んだことをさらに進めさせる機会 の改善
です。 ソリューション:
• N7900アドバンスト電源
課題:高速でよりパワフルな電気自動車の製作 • BenchVue
2011年にMichigan Hybrid Racingチームとして設立されたこのチームは、自動車業界の • 14585A 制御 / 解析ソフト
ウェア
トレンドに対応して、2019年にハイブリッド車からフル電気自動車へと移行しました。
燃費の向上と環境負荷の少ない自動車を求める消費者の需要に応えるために、多くの自動 • 34465A Truevolt DMM
車メーカーが電気自動車に取り組み始めています。 • RP7933A回生型双方向
直流電源
MERには以下の部門があります。 結果:
• 2019 Formula SAE North
• 車両ダイナミクス/シャーシ部門:自動車のすべての車両ダイナミクスコンポーネン Electric大会にて総合2位
トを担当します。シャーシとサスペンションの設計および調整を行います。 を獲得
• 駆動部門:機械的な動力をモーターから地上に送り出す役割を担います。車両シミュ
レーションを実施し、ギアボックス、コーナー、および冷却システムの設計/製作を
行います。
• 空気力学部門:すべての車両の空気力学とボディパネルを担当します。フロント/
リア/サイドウィング、アンダートレー、ノーズコーン、およびサイドパネルなどの
設計と製作を行います。
www.keysight.co.jp 1
Page2
• 人間工学部門:運転者が車で操作するすべてのコンポーネントを担当します。シート、
ステアリングホイール、ペダルボックスなどのコンポーネントの設計と製作を行います。
• 制御部門:すべての低電圧用配線および車両用ソフトウェアを担当します。自動車を
動かすためのソフトウェアと車両ダイナミクスプログラムを設計します。制御部門は、
自動車の性能を調整するためのデータ・ロギング・システムも担当しています。
• パワートレイン部門:モーターと大部分の安全システムに対する電源供給を担当します。
カスタム・バッテリー・パック、バッテリー、高電圧安全システム、カスタム・モーター・
インバーターの設計と製作を行います。
図1. テスト走行でゴムが燃焼したMER 19電気自動車
ソリューション:キーサイトのAutomotive Customer
Centerでのテスト
MERは、約50人の学生と1人の指導教官で構成されています。学生の約半数は電気工学の
専攻で、残りは主に機械工学を専攻しています。キーサイトは、制御部門とパワートレイン “
部門に技術サポートと電子計測器を提供して、バッテリーアルゴリズム、バッテリーパック 「キーサイトの機器の
安全機能、およびモーターコントローラー性能の設計と最適化を支援しました。 おかげで、チーム史
ミシガン州ノバイにあるキーサイトのAutomotive Customer Centerは、パワートレイン部 上最も正確なバッテ
門のリードエンジニアで、同大学電気工学科4年生のSpencer Hansenとパートナーシップを リーデータを収集す
結びました。 Hansenのパワートレイン部門は、MERレーシングカー用のカスタム・バッテ ることができました。
リー・パックとモーターコントローラーの設計および製作を担当しています。彼は「キーサイ これは、バッテリー
トの機器のおかげで、私たちのチームは非常に正確なバッテリーデータを収集することがで パックの冷却を設計
きました。これは、バッテリーパックの冷却を設計するために非常に役立ちました。」と述べ するために非常に
ました。 役立ちました。」
毎年、チームは前年の電気運転システムを元に作業を開始して、その効率、パワー、速度を ̶ MERパワートレイン部門、
向上させるための試みを行います。チームメンバーは前年の実際のデータを使用してそれを 学生エンジニア、
最近の設計シミュレーションと比較し、改良したバッテリーを設計します。Hansenは、 Spencer Hansen
2020年シーズン(MER 20レーシングカー)用の次世代バッテリーパックでメンバーが使用す
www.keysight.co.jp 2
Page3
る予定の18650リチウムイオン電池をテストしたいと考えていました。チームは、リチウム
電池の通常電圧にて30 A以上を消費できるものを使用して、さまざまな動作条件下で放電
曲線とバッテリー温度を測定するための簡単な方法を必要としていました。
図2. キーサイトのN7900A アドバンスト電源/電力消費ユニット、34465A Truevoltデジタルマルチメータ、および
PathWave BenchVueソフトウェアによるバッテリー電池テスト(MER開発ラボ)
「Automotive Customer Centerでは、N7900 アドバンスト
電源製品ファミリーをBenchVueと14585A 制御/解析
ソフトウェアと組み合わせて使う事もできました。
私はBenchVueでテスト自動化シーケンスのサンプルを
いくつか記述しました。これを使用すると、放電率と
カットオフ電圧を設定し、34465A Truevoltデジタル
マルチメータでバッテリーの電圧、電流と、熱電対を
使用して温度を記録することができます。」
-ノバイ事業所、キーサイトのパワー・アプリケーション・エンジニア、JOSHUA LOVE
www.keysight.co.jp 3
Page4
キーサイトは、Scienlabバッテリー・テスト・システムを通じてさまざまなテストソリューショ
ンを提供していますが、MERチームがテストしたときにはAutomotive Customer Centerで
それを使用することはできませんでした。
図3. 18650リチウムイオン電池の組み立て/テスト(MERレーシング工場)
そこでMERチームは、カスタムのテストスクリプトを作成して、正確に解析したかったパラ
メータをテストしました。このセットアップを使用して、昨年のレーシングカーから捕捉し
た電流データをインポートして、実環境下で新しいバッテリーの性能を確認しました。実際 “「キーサイトの機器を
のテストデータを解析することで、MERチームは、大会の耐久レース中にバッテリーの
過熱を防止するためにバッテリーパックを冷却する必要があると判断しました。 用いて、私たちはバッ
テリー用の高度な充電
さらにMERチームは、パック内の各バッテリーにヒューズとして使うためのアルミニウム製 状態アルゴリズムを
ラミネートバスバーをテストするための支援を求めていました。バスバーはMERのカスタム
開発しました。これ
設計でしたので、製造を担当したメーカーには溶断性能を簡単に見積もる方法がありません
でした。MERは、さまざまな設計をテストして、最もニーズに合うものを選択しました。 により、自動車の性能
そのテストデータをFormula SAEに提出して、承認を得ました。このテストで必要な電流レ を大幅に向上させる
ベル(100 A強)に対応するために、MERはキーサイトのRP7933A 回生型双方向直流電源と ことができます。」
14585A 制御/解析ソフトウェアを組み合わせてデータロガーとして動作させました。 ̶ MER制御部門、学生
エンジニア、Colin Bott
www.keysight.co.jp 4
Page5
図4. ガレージで出番を待つMER 19
「収集したテストデータを用いて、私たちのバッテリーモデルは、バッテリーパックの性能を
安全に押し上げることができます。」とHansenは述べています。「バッテリーパックのラミネー
トバスバーの溶断性能をテストすることで、バッテリーパックの主要なフェールセーフ機能
を調整して、安全性を高めることができました。」
チームは、テストのために、ミシガン大学の駐車場や、近くのミシガン州チェルシーにある
クライスラー試験場も使用しています。このテストにより、チームは性能と設計変更を短時
間で評価して、毎回、自動車の速度と効率を確実に向上させることができます。Formula
SAEレースイベントには、設計、プレゼンテーション、コスト、および性能に関する一連の
イベントがあります。
• 加速(0~ 60 mph)
• スキッドパッド
• オートクロス
• エネルギー効率の結果を含む耐久レース(22 km)
結果:優勝候補
MER 19は、カナダのオンタリオ州バリーで開催された2019年のFormula SAE North Electric
大会で総合2位を獲得しました。30 mphでしか走れないと思われていたクズリにとっては悪く
ない結果です。
MERチームは、2020年の春から夏にMER 20モデルを完成させて発表する予定でしたが、
新型コロナウイルス感染症のパンデミックとそれが教育/製作に及ぼした影響のために、
実現できませんでした。
www.keysight.co.jp 5
Page6
ミシガン大学のElectric Racingプログラム、キーサイト・テクノロジーとその自動車用テス
トプログラムの詳細については以下を参照してください:
• University of Michigan Electrical Engineering
• Michigan Electric Racing Revs Up
• Michigan Electric Racing
• キーサイト・テクノロジー
• キーサイトのEモビリティーソリューション
• Scienlab
タイトルは識別のためだけに提供されています。記載されている見解や意見は個人のものであり、
必ずしもミシガン大学の立場を反映するものではありません。
詳細情報:www.keysight.co.jp
キーサイト・テクノロジー株式会社
本社〒192-8550 東京都八王子市高倉町9-1
計測お客様窓口
受付時間 9:00-12:00 / 13:00-17:00(土・日・祭日を除く)
TEL:0120-421-345 (042-656-7832) | Email:contact_japan@keysight.com
本書の情報は、予告なしに変更されることがあります。 © Keysight Technologies, 2020, Published in Japan, September 3, 2020, 7120-1160.JA 6