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測定誤差の正体がわかる。 RFベクトル信号発生器で不確かさを最小化する実践ガイド

ハンドブック

I/Q劣化・位相雑音・ALC・周波数応答まで 信号源起因の誤差を体系的に解説

本資料は、RFベクトル信号発生器を用いた測定において、不確かさを最小限に抑えるための実践的な考え方と手法を解説した技術ハンドブックです。
ベースバンド生成、I/Q変調、位相雑音、周波数応答、ALC制御など、信号源側に起因する代表的な誤差要因を整理し、適切な設定・補正方法を具体例とともに紹介。
無線・RF測定の精度と再現性を高めたいエンジニア必読の一冊です。

このカタログについて

ドキュメント名 測定誤差の正体がわかる。 RFベクトル信号発生器で不確かさを最小化する実践ガイド
ドキュメント種別 ハンドブック
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取り扱い企業 キーサイト・テクノロジー株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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A P P L I C AT I O N N O T E RFベクトル信号発生器で測定の 不確かさを最小限に抑える方法 はじめに テスト機器の役割は、デザインの性能特性を評価し、被試験デバイスが期待通りに機能す るか検証することですが、試験を効果的に実行するには、テスト機器の性能が被試験デバ 測定の不確かさを最小限に 抑えるために、まず大切 イスよりも優れている必要があります。そこで、テスト機器に起因する測定の不確かさを なのは必要とする信号発生器 最小限に抑えるために、テストベッド上の全コンポーネントを注意深く検討しなければな の機能、特性、性能レベルを りません。 把握することです。 本アプリケーションノートでは、テストシステムのテスト信号に起因する測定の不確かさ 適切な装置を使用すれば、 を最小限に抑える方法について説明します。 被試験デバイスの効果的な テストに必要な信号を生成 RFベクトル信号発生器を使用して、信号品質に優れたベクトル変調信号を得る方法につい することが可能になります。 てご覧ください。 デザインの目的に合う 一方で、理解や経験を深め、 創造性を刺激するような 信号発生器と測定 ソフトウェアを選択して ください。 www.keysight.co.jp 1
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ベクトル信号発生器 今日の通信システムにおけるデジタル変調方式の普及に伴い、システムテストの多くはベクト ル信号発生器(VSG)に移行してきました。VSGは2台の任意波形発生器(AWG)を備え、図1で 示すように複雑なベースバンドI/Q信号を生成します。 この2台のAWGが、内蔵ベースバンドジェネレーターのRAM(ランダムアクセスメモリ)にダウ ンロードされている波形セグメントの再生シーケンスを制御します。ベースバンドジェネレー ターの出力I/Q信号は、I/Q変調器に伝わり、中間周波数(IF)とRFにアップコンバートします。 RF出力セクションには増幅器、アッテネータ、自動レベリング制御(ALC)回路が含まれ、出力 レベルの精密な制御を維持しています。次のセクションでは、これらのサブシステムによる誤 差の一般的な原因と、その解消方法について説明します。 I/Q RF BASEBAND GENERATOR MODULATOR OUTPUT I I RAM DAC I/Q DSP Filtering Low Digital I/Q Resampling Pass Data CH correction MUX LO 90° Filter MUX AWGN Q ALC DAC RAM Q 図1. ベクトル信号発生器の簡素化したブロック図 誤差の一般的な原因 I/Q RF BASEBAND GENERATOR MODULATOR OUTPUT I I RAM DAC 6 I/Q DSP Filtering Low 4 1 2 Digital pling 3 I/Q Resam Pass Data CH correction MUX LO 90° Filter MUX AWGN Q 5 ALC DAC RAM Q 7 ベースバンドジェネレーター I/Q変調器 R/F出力 1. 位相不連続性 4. I/Q信号劣化 6. 周波数応答 2. 補間オーバーシュート 5. 位相雑音 7. ALC使用による出力レベル誤差 3. サンプリングのイメージ www.keysight.co.jp 2
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ベースバンド生成 波形位相不連続性 任意波形発生器は、以前サンプリングした波形を繰り返し再生する際によく使用されます。波 形再生の弊害は、波形の終了点と次に再生される繰り返しの波形の開始点との間の位相不連続 性に起因するスペクトラムリグロースと歪みです。 例えば、図2でサンプリングされた波形は正弦波の周期全体をカバーしていません。波形を繰り 返し再生すると、波形の終了点と次の繰り返しの開始点との間の移行部分で位相不連続性が生 じます。この位相不連続性は周期的なスペクトラムリグロースと歪みの原因となります。図3は、 位相不連続性がある場合とない場合の影響を示しています。 波形の長さ 図2. 位相不連続性が生じているサンプリングされた正弦波の波形 Spectral Regrowth 3トーン - 20 MHz帯域幅 3トーン - 20 MHz帯域幅 図3. 位相不連続性がある場合とない場合の波形の影響 www.keysight.co.jp 3
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位相不連続性の回避 波形セグメントの生成時に整数個の周期をシミュレートすれば、図4の上部に示されている周期 的波形で位相不連続性を防ぐことができます。 時分割多元接続(TDMA)またはパルスド周期波形の場合、波形の開始点にオフ時間を追加し、波 形の終了点から同等のオフ時間を減算することで位相不連続性を解決できます(図4下部を参 照)。この調整を行うことでスペクトラムリグロースも回避できます。 Periodic Waveform . … • 周期的波形にN個の Simulated . … サンプルがあるが、 Waveform 図5に示すように波形 セグメントに最初の Pulsed Waveforms … N-1サンプルのみが 保存されている場合。 • 波形周期がAWGで利用 Simulated Waveforms … 可能な波形再生メモリを Off -time 超える場合、周期的な 位相不連続性を回避 図4. 周期的およびTDMA波形をシミュレートする できない可能性があります。 波形周期が長い場合、 再生メモリのサイズが 大きいオプションを Added sample 選択してください。 波形の長さ 図5. 信号周期のサンプルを追加する www.keysight.co.jp 4
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補間オーバーシュート 2個の任意波形発生器は、近年の複雑な変調信号を生成する際にも十分な柔軟性を発揮します。 デザインをシミュレートしてPC上で波形ファイルを作成し、AWGを使用して波形ファイルを アナログ信号に変換します。しかし、D/A変換の際に、補間オーバーシュートに起因する予想 外のエラーに注意する必要があります。 D/A変換の範囲外誤差 ベースバンドジェネレーターは、補間アルゴリズムを使用して波形のリサンプリングと再構築 を行います。しかし、補間はオーバーシュートを引き起こす場合があり、これがD/Aコンバーター (DAC)の範囲外誤差につながります。 例えば、ベースバンド波形に高速立ち上がりエッジがある場合、図6のように補間フィルター オーバーシュートが補間されたベースバンド波形の成分になります。この応答は、立ち上がり エッジのピークでリップルまたはリンギング効果を引き起こします。このリップルがDAC出力 範囲(赤い線)の上限を超え、信号発生器でDAC範囲外誤差が報告されます。 Over-Range Samples Cannot Be Interpolated Correctly Baseband Samples 図6. DACの補間フィルターによるベースバンド波形のオーバーシュート www.keysight.co.jp 5 DAC Range
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波形をスケーリングしてDAC範囲外誤差を排除する DAC範囲外の問題を避けるには、IとQの入力値をスケーリングし、オーバーシュートがすべて DAC範囲内に収まるようにする必要があります。図7で示すように、スケーリングによりベー スバンド波形の振幅が減少する一方で、ピーク対アベレージ比(PAPR)など、波形の基本的な形 状と特性が維持されます。最大のダイナミックレンジを確保するには、DAC範囲外誤差を引き 起こさない最大のスケーリング値を選択してください。 Interpolation Interpolation 3 322776767 Scaling Max Input Value Effect (%) DAC Over-Range No Over-Range -32768 -32768 図7. 波形スケーリングによるDAC範囲外誤差の回避 ランタイムのスケーリングで特性評価を容易にする Keysight MXG N5182BやKeysight EXG N5172Bなどの新しいベクトル信号発生器はランタ イムの波形スケーリング機能を備えているため、歪み性能とダイナミックレンジとのトレード オフをリアルタイムで評価することが可能です。この機能は保存されているデータには影響を 与えないので、ランタイムスケーリング機能を波形セグメントと波形シーケンスのいずれにも 適用できます。 図8の例では、波形のスケーリングを100%から70%に調整して、歪み性能を評価しています。 このスケーリングで、3次相互変調歪み( IMD3)が5-dB改善していることが明らかになってい ます。 波形のスケーリング100% 波形のスケーリング70% 測定された歪み = -48 dBc 測定された歪み = -53 dBc 3トーン - 20 MHz帯域幅 3トーン - 20 MHz帯域幅 図8. 波形のスケーリングを変更することで得られた2トーン・テストスティミュラス信号 www.keysight.co.jp 6
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サンプリングのイメージ サンプリングした波形を再生するD/Aコンバーター (DAC)は、必要な信号だけでなく、信号の エイリアスである高次イメージを生成します。このようなエイリアスは、図9に示すようにサン プリング周波数(fs)の倍数に位置します。 これら高次イメージはロー・パス・フィルター (LPF)を使用して削除することができます。一般 に「アンチエリアジング・フィルター」または「復元フィルター」ともいうLPFが、元の望ま しい信号を復元するためによく使用されます。 望ましい信号を適切に分離するために、フィルターのカットオフ周波数は、イメージを除去で きるほど低く、目的の信号の全帯域をカバーできるほど高い必要があります。 図9のフィルターはイメージを完全には除去できていません。適切に信号を取得するには、波 形のサンプリングレートを決定する前に復元フィルターの帯域を把握おくいることが必要です。 こうすることで、すべてのイメージをフィルターで確実に除去できます。 Baseband Signal Reconstruction Filter (Low Pass Filter) fs Images - F-r 周e波q数u ency 0 Hz + Fre+ q周u波e数ncy 図9. 復元フィルターを使用したサンプリングのイメージの除去 www.keysight.co.jp 7
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DSP波形のリサンプリングの利点 研究開発のエンジニアは、波形を作成する際に通常、ソフトウェアでオーバーサンプリングを 実装します。オーバーサンプリングにより、図10で示すように復元フィルターのカットオフ周 波数から離れたイメージも除去することができます。しかし、この方法では波形ファイルのサ イズも増加するため、再生用の波形をデザインする際にはメモリが制約となることがあります。 新しいベクトル信号発生器は、単一の広帯域復元フィルターを使用してサンプリングのイメー ジを除去するハードウェア・リサンプリングをサポートしています。リサンプリング処理は、 波形データをDACに送信する前にデジタル信号処理(DSP)で行われます。補間リサンプリング 処理は、オーバーサンプリング、フィルタリング、シグナルデシメーション(decimation)を組 み合わせて使用し、信号をDACのクロックレートに一致させます。 ハードウェア・リサンプリングでは、DSPがリサンプリングとサンプリングレートのDACへの 一致を行うため、波形の生成に集中することが可能になります。 Reconstruction Filter (Low Pass Filter) Baseband Signal Images Oversampling x4 fos - 周波数 0 Hz + 周波数 図10. 4倍のオーバーサンプリング比でサンプリングのイメージを遠くに移動 www.keysight.co.jp 8
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I/Q変調器 ベースバンドI/Q信号劣化 デジタルトランスミッターでは(I 同相)とQ(直交位相)の信号が同じ局部発振器(LO)で混合され ますが、図11で示すようにLOからの出力の1つに90度の移相器が配置されています。この90 度位相器によりI信号とQ信号が互いに直交するため、それぞれ干渉することはありません。測 トランスミッターの 定の不確かさにつながるI/Q信号劣化は、個別のI信号パスとQ信号パスの成分の不一致に起因 デザインにおける する場合があります。 最も一般的な信号劣化を 特定する方法については、 『Testing and Troubleshooting デジタルRF通信 トランスミッター デザインのテストと トラブルシューティング』 をご覧ください。 図11. I/Qダイアグラム I/Q利得不平衡 Gain Imbalance I/Q利得不平衡は、I信号の利得とQ信号の利得との比較により評価され Q ます。 Quadrature Skew I Q I/Q直交スキュー 直交誤差は、I信号とQ信号間の位相のシフトが90度でない場合に生じ ます。 I I/Qオフセット DC Offsets I/Qオフセット(別称I/Q原点オフセット)は、搬送波フィードスルー信号 Q またはベースバンドDCオフセットの振幅をdBで示したものです。 Timing Skew Q I/Qタイミングスキュー I 変調器、D/Aコンバーター (DAC)、IパスとQパスの異なる電気長は全て、 I信号とQ信号との間の望まない遅延の原因となります。 I 図12. 一般的なベースバンドI/Q信号劣化 www.keysight.co.jp 9
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ベースバンドI/Q調整 ベースバンドI/Q信号劣化は、ベースバンドジェネレーター、I/Q変調器、またはRFセクショ ンで生じる可能性があります。I/Q信号劣化は必ずしも最小限に抑える必要はありません。 一部のアプリケーションとテストでは、信号を正確にシミュレートするため、または許容値テ ストのために、一定の量の信号劣化を必要とします。 ベクトル信号発生器には、I/Q信号を補正するため、または劣化を追加するために、I/Q信号劣 化を使用する機能があります。表1は、I/Q調整を通じて利用可能なI/Qの影響と信号劣化をま とめたものです。 表1. ベースバンドI/Q調整 I/Q調整 影響 信号劣化 オフセット 搬送波フィードスルー DCオフセット 直交位相角度 エラーベクトル振幅(EVM) 位相スキュー エラー I/Qイメージ I/Q経路の遅延 I/Qスキュー 高サンプリングレート位相 スキュー EVMエラー I/Q経路の遅延 I/Q I/Q振幅の差 I/Q利得比 ベースバンドI/Q校正 校正ルーチンは、温度変化に関連した校正ドリフトに起因する測定の不確かさを補正します。 I/Q校正を実行する際、その校正データは工場提供の校正データに優先されます。 周囲温度と最近校正した 時の温度が摂氏±5度 I/Q校正ルーチンでは、内蔵ベースバンドジェネレーターの信号劣化を修正できるだけでなく、 以上変化したら、 外部のI/Q入力信号も修正できます。測定器の全体の周波数を選択することができますが、校 I/Q校正を実行して 正の開始周波数と終了周波数を指定して校正時間を短縮することも可能です。 ください。 www.keysight.co.jp 10
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位相雑音 位相雑音は発振器の周波数の安定度を示します。発振器の信号周波数付近のノイズスペクトラ ムを周波数ドメインで測定します。 位相雑音は、通常、搬送波周波数パワーから離れた特定の周波数において1 Hzの帯域幅に含 まれる単側波帯(SSB)パワーとして測定されます。図13はSSB位相雑音の測定結果を示して います。 位相雑音の影響の 詳細と、信号発生機の 位相雑音プロファイルを 最適化する方法に ついては、技術記事 『Making Noise in RF Receivers』を ダウンロードして ご覧ください。 図13. SSB位相雑音の測定 位相雑音が問題となる状況 信号源の位相雑音性能は、航空宇宙/防衛やデジタル通信の特定アプリケーションにおける制 限要因となる可能性があります。 レーダー : ダウンコンバートした目的の信号が位相雑音によって隠れている場合、レーダーレ シーバーは移動中の対象物を特定することはできません。 デジタル変調: コンスタレーションダイアグラム上の位相ノイズの影響はシンボルの環状のス ミアです。 直交周波数分割多重化方式(OFDM): サブキャリアの位相雑音が他のサブキャリアに干渉として 広がります。 www.keysight.co.jp 11
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位相雑音性能の最適化 位相雑音性能の最適化は必ずしも必要ではありません。一部のアプリケーションとテストでは、 正確な信号の代用または許容値テストのために、一定の量の位相雑音を必要とします。 Keysight N5182B/N5172B RF信号発生器では、ユーザーがシンセサイザー位相雑音の劣化を 調整することが可能です。この機能を使用すると、図14で示すように、2つの周波数点(f1およ びf2)と振幅値(Lmid)を制御することで信号発生器に位相雑音を導入することができます。 図15は位相雑音の劣化があるCW信号を示しています。開始周波数f1は1 kHz、終了周波数f2は 30 kHz、振幅値Lmidは-90 dBc/Hzです。 図14. 信号発生器にリアルタイムで位相雑音の劣化を適用 -90 dBc/Hz f1=1 kHz f2=30 kHz 図15. 位相雑音の劣化があるCW信号 www.keysight.co.jp 12
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内蔵のアルゴリズムは、信号発生器のリアルタイムベースバンドASICとプロセッサーアクセラ レーターを使用して位相雑音をカスタマイズして生成します。この機能では、より実際に近い 信号をシミュレートすることができ、これは被試験デバイスの特性評価とトラブルシューティ ングに役立ちます。 図16は、30 MHzシンボルレートの64-QAM変調解析を示しています。位相雑音の劣化がある 信号の復調測定のセットアップOFF(上)とON(下)が図14に示されています。RMS位相エラー は1.85°から2.20°に増加し、エラーベクトル振幅(EVM)は1.73%から1.99%に増加しています。 図16. 位相雑音の劣化なしの信号(上)と位相雑音の劣化ありの信号(下)の復調 www.keysight.co.jp 13
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RF出力セクション 周波数応答 信号発生器が変調信号を出力するとき、信号発生器内のミキサ、フィルター、増幅器などのコ ンポーネントが周波数応答の要因となり、変調品質を低下させます。これらの応答は異なる周 波数と出力レベルで生じ、振幅と位相応答が含まれます。 アダプティブ 図17は100 MHzシンボルレートの64-QAM変調解析を示しています。I/Qコンステレーション イコライゼー ションは動的にFIR は広帯域の周波数応答のため無秩序で、信号は正しく復調できません。 (フィードフォワード) アダプティブイコライゼーションがシグナル・アナライザで有効になっている状態で、図18の 補正フィルターを作成 および適用することに 右上および右下のダイアグラムに示されているように、信号の振幅と位相応答を共に表示する より、変調信号から ことができます。 リニアエラーを除去 します。エラーには 群遅延歪み、周波数 応答エラー、反射 I/Q constellation またはマルチパス 歪みが含まれます。 図17. 信号変調品質に影響を与える周波数応答 Frequency Response - Amplitude Frequency Response - Phase 図18. 信号の振幅と位相応答 www.keysight.co.jp 14
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内部チャネル補正 ベクトル信号発生器は内部校正ルーチンをサポートしています。このルーチンは、ベースバン ドとRFの両方の振幅および位相誤差の補正データを収集します。これらの測定はRF周波数と パワーレベルの範囲全体にわたって実行されます。補正データには、ベースバンド波形にリア 測定時に振幅確度を ルタイムで適用される補正フィルターのパラメータが含まれています。 向上させる方法に ついては、技術記事 DSPはデータを処理してリアルタイムのチャネル補正を実施しますが、これは広帯域の信号生 『次世代信号発生器に 成で特に重要です。 よる振幅確度の向上』を ダウンロードして 図19では、内部チャネル補正をオンにした64-QAM信号の変調解析を示しています。コンスタ ご覧ください。 レーションダイアグラム(左上)にシンボルが密集し、EVMが0.82%に低下していることが確認 できます。 I/Q constellation 図19. 内部チャネル補正をオンにした信号発生器 補正機能をオンにしているときに周波数を変更すると、 ファームウェアはチャネル補正フィルターの計算を 実行します。この処理には追加で時間がかかり、 その時間の長さは周波数スイッチングの タイプによって異なります。 www.keysight.co.jp 15
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出力レベルエラー 信号発生器の出力パワーレンジは、図20で示すようにステップアッテネータと自動レベリング 制御(ALC)回路により決定されます。ステップアッテネータは、粗い刻み(5 dBステップ)でパ ワーレベルを下げる役割を果たし、ALC回路はアッテネータのホールド範囲内でパワーレベル ALCとは? を微調整する役割を果たします。結果として信号発生器のRF出力ポートからきわめて正確な振 ALC回路は、温度の 幅レベルが供給されます。 変動によるドリフトに 影響されることなく、 一部の変調ではALC回路の使用が不可能であるため、出力レベルのエラーが生じる場合があり 出力レベルを目的の ます。このような条件では、ALCをオフにしてパワー検索機能を使用することでパワーレベル レベルに維持する回路 確度を確保できます。 です。方向性結合器と パワーディテクターが Modulator and 出力RFパワーを測定し、 amplifier block 検出されたパワーレベル Leveled がALCにフィードバック RF output を返します。この入力を Step Power Attenuator 使用してALC変調器を Detector 調整し、正確に制御 された出力レベルを 維持します。 Signal Generator External パワー検索とは? ALC input パワー検索とは、自動 図20. ALCフィードバック回路の簡素化したブロック図 レベル制御がオフに なっている状態で、 ALCオフおよびパワー検索 正確なRFレベルを設定 するために使用する校正 ALC回路でRFレベルを正確に決定できない場合、ALCはオフにすることができます。オフにす ルーチンです。パワー ると、RFレベルを検出してエラーを修正するクローズドループのフィードバック源が信号発生 検索サイクルを開始 器になくなります。このような場合は、パワー検索機能を使用することでRFレベルを校正する すると、変調が一時的に ことができます。 オフになります。次に、 ALC変調器の値を確認で パワー検索は以下の使用状況に適しています。 きる時間だけ、ALC • 繰り返しでないパルス変調 システムがオンになり ます。これによりアルゴ • パルス幅1 µs未満の繰り返されるパルス変調 リズムが正しいRFレベル • ピーク対アベレージ比が高いパワー変調信号 を決定します。最後に • 最小の振幅変調(AM)雑音を必要とするアプリケーション 変調がオンに戻ります。 • スペクトラムリグロースが最高で低シンボルレートのI/Q変調 RFシステムのゲインは • 低シンボルレートのI/Q変調のパルス変調 一定に保たれ、クローズ ドループのフィード 測定時に振幅確度を向上させる方法については、技術記事『PSGベクトル信号発生器のI/Q変 バックがない場合でも 調について考慮すべきこと』をダウンロードしてご覧ください。 正確なRFレベルを 実現します。 www.keysight.co.jp 16
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まとめ 測定の不確かさを最小限に抑えるために、まず大切なのは必要とする信号発生器の機能、特性、 性能レベルを把握することです。 適切な装置を使用すれば、被試験デバイスの効果的なテストに必要な信号を生成することが可 能になります。デザインの目的に合う一方で、理解や経験を深め、創造性を刺激するような信 号発生器と測定ソフトウェアを選択してください。 その他の測定のベスト事例については、RFテストブログを参照してください。キーサイトの信 号発生器の詳細については、 (www.keysight.co.jp/find/sg)をご覧ください。 詳細情報:www.keysight.co.jp キーサイト・テクノロジー株式会社 本社〒192-8550 東京都八王子市高倉町9-1 計測お客様窓口 受付時間 9:00-12:00 / 13:00-18:00(土・日・祭日を除く) TEL:0120-421-345 (042-656-7832) | Email:contact_japan@keysight.com 本書の情報は、予告なしに変更されることがあります。© Keysight Technologies, 2019, Published in Japan, May 21, 2019, 5992-3954JAJP 17