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無線レシーバー性能を徹底解説 5つの基本課題から学ぶRF受信機テスト入門

ハンドブック

雑音指数・位相雑音・消費電力・パワー測定・信号発生まで 設計と試験の勘所を体系的に理解

本資料は、無線受信機(レシーバー)の開発・評価で直面する代表的な5つの課題を体系的に解説した実践的ハンドブックです。
雑音指数や位相雑音の最適化、低消費電力設計、正確なRFパワー測定、複雑な無線信号の発生方法までを、具体的な測定手法とともに紹介。
RF/無線エンジニアが設計品質と測定効率を高めるための基礎知識を、実務目線で身につけられる一冊です。

このカタログについて

ドキュメント名 無線レシーバー性能を徹底解説 5つの基本課題から学ぶRF受信機テスト入門
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Keysight Technologies 無線受信機(レシーバー)の性能試験: 5つの基本的課題の解決 Application Note
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02 | Keysight | 無線受信機(レシーバー)の性能試験:5つの基本的課題の解決 - Application Note 無線システムの開発は、厳しい制約と多数のトレードオフを伴う困難な作 業です。性能、コスト、市場投入までの期間を常に改善することが求めら れます。対象がコンポーネントでも、サブシステムでも、あるいは無線機 全体でも、RFテストにはさまざまな困難が伴います。このアプリケーショ ンノートでは、無線レシーバーの開発段階での次の5つの基本的課題に対処 するために役立つソリューションを紹介します。 – 雑音指数の管理 – 位相雑音性能の最適化 – 消費電力の抑制 – 正確なRFパワー測定の実行 – 今日の複雑な信号の発生 レシーバーのすべてのステージでの雑音指数の管理 ノイズ、特にS/N比は、無線レシーバーの基本的問題の1つです。ノイズレベルが高いと、システム容量 やカバレージ範囲が制限され、システムの運用者やエンドユーザーにとって重要なさまざまな関連特性に 影響が及びます。場合によっては、送信出力を上げることでS/N比を改善できることもありますが、通常 は規制や消費電力の問題によりこの方法には限界があります。ほとんどの場合、デザイン段階では、コスト、 利用可能な電力、スペースの制約の下に、レシーバーのS/N比を注意深く管理することが必要です。 そのためには、各ブロックの性能目標あるいは「バジェット」を使用して、ブロック図の各セクション内 のS/N比を管理することで、無線システムの雑音特性を最適化する方法が多く用いられます。ブロックの 実効雑音特性は、ブロックの利得とそこで追加されるノイズの比に依存するので、各ブロックの入力と出 力の間のS/N比の差が適切な指標となります。2つのS/N比の間の比を対数形式で表したものが、雑音指 数です。 したがって、性能最適化には、コンポーネントやサブシステムの雑音指数の正確な測定がいつでもできる ことが必要です。この測定は、レシーバーデザインの過程で頻繁に実行できるように、容易に行えること が望ましいといえます。
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03 | Keysight | 無線受信機(レシーバー)の性能試験:5つの基本的課題の解決 - Application Note 最良の雑音指数測定の実行 雑音指数の測定に一般的に用いられる方法は、Yファクター法とコールドソース法の2つです。RF/マイク ロ波周波数では、Yファクター法が最も多く用いられます(図1)。この方法を使用するには、切り替え可能 な校正済みノイズソースをDUT入力に接続し、雑音指数アナライザまたはシグナル・アナライザを出力に 接続して、発生するノイズを測定し、比を計算します。別に行う校正測定では、ノイズソースの出力を、 オン(「ホット」)状態とオフ状態で直接測定し、DUTの利得を測定します。 ノイズ ソース 図1. Yファクター法では、ノイズソースの中核要素はダイオードであり、アバランシェ条件にドライブされることで 既知の量のノイズパワーを発生します。ダイオードは50 Ωインピーダンスとしては信頼できないので、50 Ωと 想定されるDUTのインピーダンスとの整合を改善するため、後段にアッテネータを置くことがよく行われます。 コールドソース法では、ベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)を使用し、DUTに2ポート接続します。 ノイズソースを別に用意する必要はなく、DUTとの1回の接続で測定が完結します。 どちらの方法でもレシーバーデザインのための正確な測定を得ることができ、どちらの方法も測定条件に よっては課題が発生します。一般的に、これらの課題には2つの種類があります。1つは誤差源を正確に補 正すること、もう1つは測定レシーバーのノイズとDUTで発生するノイズを区別することです。このアプ リケーションノートでは、DUTが増幅器の場合について説明します。
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04 | Keysight | 無線受信機(レシーバー)の性能試験:5つの基本的課題の解決 - Application Note 測定方法の選択 最も正確に測定を行うには、コールドソース法を使用します。これは特に、条件が厳しい場合(以下で説明) に有効です。この方法が特に役立つのは、ミリ波周波数の測定や、DUTの入力/出力の整合が取れていな い、すなわち測定器、ケーブル、アクセサリで仮定されている50 Ωと大幅に異なる場合です。 VNAのベクトル校正法は、測定構成内の複数の不整合誤差の原因を考慮することができます。これにより、 雑音指数測定で一般的に最も重要である誤差を軽減できます。インピーダンス不整合からは、パワー測定 の誤差が生じ、雑音指数計算に直接影響します。 不整合の一般的な原因としては、ウエハー、プローブ、またはフィクスチャ(あるいはあらゆる種類の非 同軸接続)の使用、DUTとノイズソースまたはアナライザの間の不整合、テストシステムの信号スイッチ ングが挙げられます。また、一般的に周波数が高いほど不整合は悪化するので、ミリ波周波数測定ではコー ルドソース法が多くの場合に最善です。 ただし実際には、ほとんどの雑音指数測定は、RF/マイクロ波周波数で、同軸接続を使用し、ノイズソース、 アナライザ、DUTの間である程度インピーダンス整合が取れた状態で実施されます。このような測定では、 コストと便利さのために、多くの場合にYファクター法が選ばれます。この方法では、計測ベンチに存在 する可能性が高いシグナル・アナライザが利用できます。シグナル・アナライザは一般的にVNAよりも安 価であり、確度と測定コストの適切なバランスを実現できます。このようなトレードオフを念頭に置きな がら、不利な条件にも注意を払うことが重要です。 例えば、次のような場合には、測定が困難になったり、誤差が大幅に増加したりする可能性があります。 – 利得が小さく、かつ雑音指数性能がきわめて高いDUT:このようなデバイスによるノイズの増加はご くわずかしかありません。このため、アナライザの入力信号がアナライザ自身のノイズフロアに近く なり、正確な測定が困難になることがあります。 – 伝導または放射干渉:アナライザでは、伝導または放射干渉から生じるパワーを分離する方法があり ません。可能な場合、測定はシールドした容器の中で、携帯電話やモバイルネットワークの影響を排 除して、実現できる場合はバッテリー動作によって行います。 – 複雑またはきわめて長い接続やアダプター:ケーブルやアダプターはインピーダンス整合を悪化させ、 供給または測定されるノイズパワーを減衰させます。カスタムケーブルを作成してアダプターを不要 にしたり長さを短くしたりすれば、低コストで測定性能を改善し、誤差を減らすことができます。 – 校正ステップと測定ステップでの接続の不一致:ケーブルとコネクタの手入れと接続方法(正しいト ルクなど)が特に重要です。 – 測定中のデバイスの温度変化やドリフト:雑音指数測定と不確かさの計算では、パラメータが静的で あることを前提としています。校正後や測定プロセス中にドリフト(あるいはその他の変化)が発生す ると、確度に直接影響します。 最後に、外付けまたは内蔵のプリアンプを使用すると、測定機器のノイズフロアが改善され、雑音指数の 確度が高まります。プリアンプが効果を発揮するためには、それ自体の雑音指数が、必要な周波数レンジ 内できわめて小さいことが必要です。
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05 | Keysight | 無線受信機(レシーバー)の性能試験:5つの基本的課題の解決 - Application Note 高密度のコンスタレーションと狭いチャネル間隔での 位相雑音性能の最適化 位相雑音はレシーバーの一般的な問題の1つであり、さまざまな理由で性能の低下を引き起こします。例 えば、I/Qシンボルの位置を歪ませたり、OFDMシステムの搬送波間干渉を引き起こしたりして、復調プ ロセスでのエラーの原因となることがあります。また、S/N比の悪化にもつながることがあります。レシー バーの入力信号にはある程度の量の位相雑音が存在し、その後のダウンコンバージョンプロセスでも位相 雑音が追加されることは避けられません。 位相雑音は搬送波から小さいオフセットで大幅に増加するため、ここから予想できるように、搬送波間隔 が狭いほど大きい影響があります。現在の多くの無線システムではOFDM物理層が使用されており、スペ クトラム効率を高めるためにサブキャリアの間隔は狭まる一方です。同じ量の位相雑音でも、サブキャリ アの間隔が狭いほど生じる問題は大きくなります。 最も明らかな対策は、レシーバーに使用されている発振器やシンセサイザーの位相雑音を単に減らすこと ですが、現実にそれが可能とは限りません。位相雑音を全体的に減らすには、金銭的コストがかかるだけ でなく、消費電力や物理スペースの増加も招きます。幸いなことに、OFDMシステムでは、サブキャリア トラッキングの使用により、この分野でのトレードオフの余地が広がっています。OFDM復調器は、送信 信号に埋め込まれた「パイロット」サブキャリアとシンボルを常時トラッキングしており、この情報を使 用することで、ある程度の量の位相雑音をリアルタイムで補正できます。 レシーバーのデザインでは、このトラッキングの有効性を把握することが課題となります。すなわち、デ ザインで許容される位相雑音の最大の大きさを知って、それに基づいてレシーバーの性能、コスト、バッ テリー寿命を最適化するのです。 テストシステムの位相雑音の制御 テストにおいてデバイスやサブシステムの代わりに信号発生器を使用する場合、発生する信号の位相雑音 が、実際のデバイスやサブシステムよりもはるかに小さくなることがあります。このような信号発生器の 性能は、残留位相雑音の測定や、トラブルシューティングのための問題の絞り込みには便利です。ただし、 レシーバー(特にパイロットトラッキング機能を備えたもの)の全体的最適化の際には、信号発生器のもっ と重要な機能として、既知で適切な量とスペクトラム分布の位相雑音を持つ信号を発生することが求めら れる場合があります。 意図した位相雑音性能を持つダウンコンバージョンチェーン信号やOFDMを正確に発生するために、 Keysight N5182B MXG Xシリーズ信号発生器は、リアルタイムのベースバンド処理を使用して、位相雑 音注入機能を実現しています。ほとんどの場合、ノイズの量とスペクトラム形状は、位相雑音の裾のレベ ルと、裾の初めと終わりの周波数ブレークポイントによって指定できます。図2は、目標の曲線を表示し た信号発生器の設定画面と、位相雑音測定アプリケーションを搭載したシグナル・アナライザでの対応す る測定結果を示します。
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06 | Keysight | 無線受信機(レシーバー)の性能試験:5つの基本的課題の解決 - Application Note 図2. 左側は、Keysight N5182B MXG信号発生器で追加の位相雑音を指定するための設定画面です。予想される位相雑 音曲線が示されています。右側は、シグナル・アナライザの測定アプリケーションによる実際の位相雑音の測定結果です。 変調品質の評価 テストとシステム最適化のもう1つの重要な要素は、レシーバーでの変調品質に対する位相雑音の影響を、 エラーベクトル振幅(EVM)などの指標によって検証することです。EVMは信号劣化の一般的なリニア測定 です。位相雑音を最適化する際には、信号劣化において位相雑音が支配的であると仮定するのが便利です。 この場合、経験則より、パイロットトラッキングによって、OFDMサブキャリア間隔の最大約10 %のオ フセット(サブキャリア間隔が312.5 kHzの場合は31 kHz)での位相雑音が実効的に除去されると、わかり やすく考えることができます。1 この場合、EVMを予測するには、サブキャリア間隔の10 %より大きく、チャネル帯域幅より小さいオフセッ トで単側波帯(SSB)位相雑音パワーを積分し、3 dBを加算することによってSSBパワーを両側波帯(DSB) パワーすなわち全パワーに変換します。 EVM (dB)≒[SSB位相雑音積分結果]+3 (dB) ここで、SSB位相雑音は、サブキャリア間隔の10 %を起点とし、チャネル帯域幅まで積分した結果です。 図2では、測定アプリケーションのバンドパワーマーカーによって積分を実行しており、マーカー読み値 は-29.35 dBcなので、それに3 dBを加算することによって-26.35 dBcという結果が得られます。劣化 した信号を発生し、レシーバーへのその影響を検証することによってループを閉じるプロセスは、OFDM システムやその他の複雑なデザインを最適化するための強力なツールです。 1. 「サブキャリア間隔の10 %」という経験則は、やや控えめと思われますが、最適化の予想のためにはほとんどの場合に 十分正確です。
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07 | Keysight | 無線受信機(レシーバー)の性能試験:5つの基本的課題の解決 - Application Note 信号品質の維持と消費電力の抑制の両立 頻繁に充電が必要な従来のモバイルデバイスの場合のように、顧客を満足させ、競争に勝つためには、電 力管理の最適化が重要です。そのためには、電源の寸法と重量がデザインゴールと一致している必要があ ります。 ほとんどのポータブルデバイスは容量が限られた充電式バッテリーを電源としているので、低消費電力で 動作することが求められます。特に、バッテリーやパワーコンバーターは、出力抵抗が大きく、電圧/電 流スルーレートで表される動的パワー性能が制限されているのが普通です。標準的なラボ用電源を使用し た場合、追加容量が付加されるため、存在する問題が発見できない可能性があります。 バッテリー、電源、またはパワーコンバーターの制限のために、瞬時パワー/全パワーとRF性能の間のト レードオフが生じます。このようなトレードオフは、機能面と競争面の両方で重要です。例えば、デバイ スの寸法、重量、バッテリー寿命は、顧客が重視する特性なので、競争上の差別化要因となります。 最近急成長しているIoT(モノのインターネット)デバイスの分野には、特別な課題があります。これは特に、 ホストや他のデバイスとの間で少量のデータを間欠的に交換するデバイスの場合に当てはまります。こう いったデバイスは、充電式バッテリーやAC電源ではなく、小型の1次電池を電源とする場合が多く、バッ テリー交換なしで数か月あるいは数年間動作することを求められます。家庭用デバイスの例としては、サー モスタット、モーションセンサ、照明スイッチ、アラームセンサなどが挙げられます。 アクティブ動作中の消費電力を小さくすることが不可欠です。一方、RFエンジニアにとっては、超低消費 電力の休止モードについても別の種類の課題が存在します。メンテナンスや交換の間隔をできるだけ長く したいという顧客の期待に応えるには、休止モードの消費電力を理解するとともに、スリープ状態とアク ティブ動作の間の遷移を管理することが重要です。
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08 | Keysight | 無線受信機(レシーバー)の性能試験:5つの基本的課題の解決 - Application Note 消費電力のトレードオフの理解 パワー効率の高い信頼できる動作を、特に低パワーレベルあるいは超低パワーレベルで実現するには、さ らに別のエンジニアリングトレードオフと、それに関連するテストが必要になります。対象がデバイス でもサブシステムでも、出発点としては実際の消費電力を理解することが適切であり、そのためには複 数のDC電源と詳細なパワー測定を組み合わせたDC電源/アナライザが便利なソリューションです。この 比較的新しいカテゴリーの製品を利用すれば、消費電力の詳細な把握がこれまでよりも容易になります (図3、4)。 図3. 消費電流の時間変化を、オシロスコープ表示で30 m(s 左)およびデータロガー表示で30秒(右)示します。 このような測定により、デバイスやサブシステムの実際の電力需要をより完全に理解することができます。 代表的なアドバタイズメント シーケンス 電荷量/エネルギー ソース/メジャメントユニット付きN6705B ゴールデンデバイス 被試験デバイス 図4. DC電源/アナライザは、動的消費電力測定を実行することで、バッテリードレインや電源への要求を 詳細に理解するために役立ちます。 消費電力に関連する課題には短期的性質のものと長期的性質のものがあり、どちらも対処が必要です。 DC電源/アナライザにはタイムドメイン(オシロスコープ)測定機能があり、電力需要の変動を把握する ために役立ちます。特に、デバイスの電源を急速に消費するピーク電力に注意が必要です。別の観点とし て、データロガーやストリップチャート表示を使用すると、数秒あるいは数分といった長時間にわたるパ ワー要件を知ることができます。これらの測定は、電源、コンバーター、バッテリーをデザインする際に、 全消費電力を評価するために必要となります。また、例えば、特定の熱バジェットを持つサブシステムや コンポーネントの消費電力を理解するためにも役立ちます。
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09 | Keysight | 無線受信機(レシーバー)の性能試験:5つの基本的課題の解決 - Application Note 電圧/電流プロファイルのエミュレーション 上記の基礎に基づいて、次のステップでは、スペースとコストを最小化しながら十分な電源を供給すると いうトレードオフを解決します。関連するツールとしては、意図的かつ現実的に制限されたパワー出力を 供給できる電源があります。エンジニアはぎりぎりのところでトレードオフを最適化し、電源のサイズを 過大にすることなく、十分な性能を確保できます(図5)。 実際の DC出力特性 被試験回路 電圧 DC出力特性の エミュレーション 被試験回路 電圧 図5. キーサイトの低ノイズ・パワー・ソースは、さまざまな種類の電源のDC電圧/電流出力特性をエミュレート できるので、電力が制限された状況での実際の動作に関する情報が得られます。 Keysight B2961/62A 低ノイズ・パワー・ソースのような製品は、現実的な出力エミュレーションが可能 であり、プログラム可能な出力抵抗、きわめて小さい電流値、きわめて小さいノイズといった特長を備え ています。これらの電源は、電圧/電流エミュレーションモードで動作でき、ADC、DAC、RFIC、VCO、 センサ/トランスデューサー、水晶発振器への電力供給に使用できます。エミュレーションモードは、電 圧/電流ポイントのマップを使用して設定でき、太陽電池などのデバイスのシミュレーションに利用でき ます。 電流 電流
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10 | Keysight | 無線受信機(レシーバー)の性能試験:5つの基本的課題の解決 - Application Note 微小電流レベルの測定と解析 ポータブルデバイスの場合、少ない電力で長時間動作するために、何らかの電力スケジューリングを導入 して、デジタル処理とRF動作の同時発生による過大な電力消費を防ぐことが必要な場合があります。この シナリオを評価するには、小さい電流を広い帯域幅で測定できる測定器と、外部電源またはシステム自身 の電源を組み合わせて使用する方法があります。そのような測定器としては、Keysight CX3300Aのよう なデバイス電流波形アナライザが挙げられます。これもDCパワー測定関連の比較的新しいソリューショ ンの1つです。このアナライザは、被試験回路に適したアナログプローブと組み合わせて使用するのが普 通で、デジタルプローブを接続してパワー測定とデバイス制御動作を協調させることもできます(図6)。 電流波形 デジタル信号 図6. デバイス電流波形アナライザにはアナログ入力とデジタル入力があり、それらの解析を同期させることができます。 データバスのステータスを消費電流と相関させて、RF/ベクトル・シグナル・アナライザなどの他の測定のトリガとして 使用できます。 測定の際には、アナライザの200 MHzの帯域幅により、電源に負荷を掛けたり回路を損傷したりする可能 性がある過渡電流を捕捉できます。デジタルプローブにより測定トリガが得られ、大容量メモリにより、 トリガとは別の時間の電流波形を確認することができます。2 デバイスによっては、すべてのステージ、充電状態、またはデザイン構成で、DC電力が十分であるかが 懸念事項となります。これらすべてはRF性能に影響する可能性があります。システムのDCパワーに制限 がある場合、論理的にRFパワー/歪みへの影響が生じますが、ほかにも変調エラーの増加といった影響が 考えられます。RF測定に瞬時DCパワーステータスおよびシステムのデジタル動作を組み合わせると、最 適化やトラブルシューティングのための強力な手法になります。特に送信または受信時の過渡現象、複数 の無線動作、負荷の高いDSP動作などに対して有効です。 デバイス電流波形アナライザに備わったパターン/状態/グリッチでトリガする機能は、ベクトル・シグ ナル・アナライザ(VSA)に備わった信号の捕捉、再生、ポスト処理などの機能を適切に補完する機能です。 一般的な測定シーケンスは、デバイス電流波形アナライザのトリガ機能で開始します。その機能を使って、 VSAで1回の測定や信号の捕捉を起動する外部のトリガを作成できます。次に、正または負(プリトリガ) の遅延を使って、電圧や消費電力の測定(および関連するグリッチや他の問題)とRFパワー、スペクトラム、 変調品質の測定を一致させます。 2. その他のヒントについては、『正確な電流測定 - 7つのヒント -』を参照してください。
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11 | Keysight | 無線受信機(レシーバー)の性能試験:5つの基本的課題の解決 - Application Note 複雑な信号に対する包括的で正確なRFパワー測定 正確なパワー測定は、開発と製造のすべての段階で重要であり、多くの場合に時間変動信号に対して行わ れます。対象となる信号は、トランスミッター全体の出力以外に、トランスミッターまたはレシーバーの 個別のコンポーネントまたはサブシステムの入力または出力である場合もあります。 無線システムの場合、多くのRF信号はノイズに似ており、指定された周波数バンドまたはチャネル内のパ ワーレベルを測定する必要があります。このような場合、正確で再現性のある測定を実行するには、測定 されたパワーをある周波数範囲にわたって積分し、ある時間内、信号バースト内、またはその両方の平均 を取る必要があります。 パワーメータとシグナル・アナライザは、どちらも無線測定に利用でき、それぞれ異なる特長があります。 それぞれについて詳しく見ていきましょう。 適切なツールの選択:パワーメータ パワーメータは、安価で精度が高く、周波数レンジとソースマッチの点で優れています。パワーセンサが 交換可能なものは、特に周波数カバレージが優れており、優れたインピーダンス整合を維持することで、 測定確度に寄与します。パワーメータは、トランスミッターのブロック図のさまざまなポイントで、また は個々のブロックに対して、利得要素、アッテネータ、周波数コンバーターの特性評価のために使用でき ます。きわめて有用なピークパワー機能を備えたものもあり、時間変動信号、動的要素、熱現象、または 電源に起因する効果の測定に利用できます(図7)。 SENSe:SWEep:APERture 1 ms 1サブフレーム = 1 ms 図7. 多くのパワーメータではパワー対時間の測定が可能であり、タイミングパラメータを選択できます。この トレースは、LTE信号の1つのサブフレームの測定であり、バースト平均パワー設定が使用されています。 パワーメータの主な制約は、その広帯域特性です。パワーメータが広帯域応答であるため、高レベル信号 の近くにある低レベルの信号を正確に測定できなかったり、正確な測定のために振幅の下限が高いという 問題があります。広帯域デバイスでは、狭い測定帯域幅を使用して、広帯域ノイズ、スプリアス、干渉な どをフィルターで除外することができません。
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12 | Keysight | 無線受信機(レシーバー)の性能試験:5つの基本的課題の解決 - Application Note 適切なツールの選択:シグナル・アナライザ シグナル・アナライザは、パワーメータに比べて、個々の高レベルの信号に対する最終的なパワー 測定アプリケーションを の確度が低くなります。しかし、特性評価の対象がトランスミッター全体であっても、特定のサブ 使用した複雑さへの対応 システムであっても、シグナル・アナライザには、RFトランスミッターテストにおいて多くの利 指定したチャネル間隔とパワー制 点があります。 限に焦点を絞って、複数の隣接/ 交互チャネルの帯域幅に相対測定 無線システムのパワー測定におけるシグナル・アナライザの第1の利点は、周波数の選択度と時間 を行わなければならないことがよ の選択度、およびその両方の組み合わせから生じる結果です。周波数の選択度により、ACPRなど、 くあります。測定アプリケーショ チャネルまたはバンドのパワー測定が可能になります(図8)。この選択度により、測定に含まれる ンで、以下の測定課題に容易に対 広帯域のノイズパワー(ノイズフロア)が減少し、主に小さい信号やノイズフロアの近くにある信号 応できます。 の確度とダイナミックレンジが向上します。 – 信号パワーと統計値は、伝 送間隔によって変動するた め、トランスミッターのバー ストまたはフレームの特定 部分を測定することがしば しば必要となります。この 一例として、OFDM信号の トレーニングシーケンスが あります。ここでは、パワー とタイミングがしっかり定 義されています。 – アベレージングタイプと検 波器は互換性があり、一貫し ている必要があります。そ うでないと、結果が一貫性 を欠き、予測不可能(つまり、 再現不可)となります。 – ACPR測定値に反映される歪 みは割り当ての一部であり、 デバイスの異なる段階で異 なる制限がある場合があり 図8. 無線システムの一般的なパワーと歪みの測定は、隣接チャネル電力比(ACPR)です。測定アプリケーション ます。 は、メインと隣接/交互チャネルの測定を自動的に設定して比較し、グラフと表で結果を表示します。 ピーク・パワー・メータに比較した場合、シグナル・アナライザは、パワー対時間測定に対する、 時間ドメインの選択度が一段と高くなっています。実際、パワー測定における主な使用方法の1つ に、1個のチャネルでのパワー対時間の選択測定があり、これによりバーストまたはフレーム中に そのチャネルのダイナミックなパワー動作が解明できます。
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13 | Keysight | 無線受信機(レシーバー)の性能試験:5つの基本的課題の解決 - Application Note 今日求められる複雑な信号発生 無線モバイルデータ/音声サービスは、常にチャネル容量を増やす必要に迫られており、無線LANについ てもおおむね同じことが言えます。このような必要を満たすため、デザインではさまざまな技法が用いら れていますが、RFエンジニアにとってレシーバーテストと信号発生はますます困難になっています。例と しては、複雑な変調方式、フレーム構造、多重化方式などが挙げられます。その上、MIMOやキャリアア グリゲーションといったマルチキャリア方式やマルチチャネル拡張のために、さらに複雑さが増加します。 こういった技法を規定する規格や規制もそれに劣らず複雑であり、コンポーネント、サブシステム、レシー バーのテストに必要な規格信号を高い信頼性で作成するのは困難です。多くの無線システムでは、この複 雑さと、動的に変化する非繰り返し信号の必要性から、RF/マイクロ波信号発生器を制御するためにアプ リケーションソフトウェアが必要とされています。 信号発生器は、それ自体でレシーバーテストのさまざまな側面で有用です。発振器やシンセサイザーの代 わりに使用でき、連続波(CW)、変調された干渉信号、ブロッキング信号など、さまざまな信号を発生で きます。さらに、ベクトル任意波形機能、大容量メモリ、広い変調帯域幅を備えた信号発生器もあります。 このため、アプリケーションソフトウェアと組み合わせることで、規格に準拠した複雑な信号を発生する ための理想的なプラットフォームとなります。 例えば、Keysight Xシリーズ信号発生器は、何十種類ものKeysight Signal Studioソフトウェア製品を利 用できるように設計されています。その中には、多様化する複雑な無線データ/無線ネットワーキング規 格に対応するものが多数用意されています。 Signal Studioソフトウェアの基本機能は、コンポーネントおよびトランスミッターのテスト用にデザイ ンされています。ACPR/ACLR、EVM、チャネルパワー、占有帯域幅のテストに必要な信号を発生できます。 レシーバーに対しては、感度、選択度、相互変調、ブロッキングのテストのための高度な機能が用意され ています。ソフトウェアは、規格に準拠した検証済みの信号と、定義済みのテストセットアップを提供し ています。信号はACPRおよびEVM用に最適化されており、マルチキャリア/マルチフォーマットテスト 用に使用できます。
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14 | Keysight | 無線受信機(レシーバー)の性能試験:5つの基本的課題の解決 - Application Note 多くの信号は、信号発生器の任意波形メモリにデータのブロックをダウンロードすることで発生できます が、一部のレシーバーテストにはリアルタイムの信号発生が必要です。例としては、LTEシステムに対す るクローズドループHARQ/タイミング調整テストが挙げられます。ソフトウェアの高度な機能を利用す ることで、完全にチャネルコード化された信号を作成して、レシーバーのビット/ブロック/パケット/ フレーム・エラー・レートの解析に使用できます(図9)。 DUT: BTSまたはMSレシーバー BER/ BLER/ RF FER/PER フロントエンド 復調器 デコーダー アナライザ RF IF IQ 図9. Signal Studioソフトウェアの高度な機能を利用して、ベクトル信号発生器と組み合わせることで、完全に チャネルコード化された信号を発生し、レシーバーのスループットテストを実行できます。 今日の無線信号の課題をいっそう難しくしている原因の1つが、規格の進化の速さです。規格に基づく信 号発生ソフトウェアの利点の1つは、最新の変更に合わせてアップデートして検証できることです。 まとめ 無線システムの設計と測定には、DCからRF、マイクロ波、ミリ波周波数まで、さまざまな分野で課題が 存在します。最高のソリューションを得るには、エンジニアの経験、洞察、創造性と共に、DUTの効果的 なテストが行える信号発生器と測定ソフトウェアの組み合わせが必要です。 測定に関するその他のヒントについては、RFテストブログをご覧ください。キーサイトの信号発生器の詳 細については、www.keysight.co.jp/find/sgをご覧ください。
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15 | Keysight | 無線受信機(レシーバー)の性能試験:5つの基本的課題の解決 - Application Note 次世代の専門知識を活用 キーサイトのソフトウェアには、専門知識に裏付け されたノウハウが凝縮されています。キーサイトは 初期のデザインから最終製品の出荷に到るまでに必 要となるツールを提供し、解析データが有用な情報 へ、さらに設計上の知見となることを加速させ、デ ザインサイクルの効率化に貢献します。 詳細については、 – エレクトロニック・デザイン・ www.keysight.co.jp/find/software オートメーション(EDA)ソフトウェア をご覧ください。 – アプリケーションソフトウェア – プログラミング環境 30日間の無料試用をお試しください。 – プロダクティビティーソフトウェア www.keysight.co.jp/find/free_trials 1939年以来、進化し続けています キーサイト独自のハードウェア、ソフトウェア、サービス、スペシャリストが、お客様の 次のブレークスルー達成を支援します。テクノロジーの未来を切り開きます。 ヒューレット・パッカードからアジレント、そしてキーサイトへ。 myKeysight www.keysight.com/find/mykeysight ご使用製品の管理に必要な情報を即座に手に入れることができます。 www.keysight.com/find/emt_product_registration ご使用の製品を登録すれば、最新の製品情報を入手したり、 保証情報を参照いただけます。 Keysight Services www.keysight.co.jp/find/service 私達は、計測器業界をリードする専門エンジニア、プロセス、 ツールにて、設計、試験、計測サービスにおける様々な提案をし、 新しいテクノロジーの導入やプロセス改善によるコスト削減を お手伝いします。 www.keysight.com/go/quality キーサイト・テクノロジー株式会社 DEKRA Certified ISO9001 Quality Management System Keysight Technologies, Inc. 本社〒192-8550 東京都八王子市高倉町9-1 DEKRA Certified ISO 9001:2015 Quality Management System 受付時間 9:00-12:00 / 13:00-18:00( 土・日・祭日を除く) キーサイト保証プラン www.keysight.com/find/AssurancePlans TEL 0120-421-345 (042-656-7832) 予想外のコストが発生せず、最長で10年間の保護があることから、 FAX 0120-421-678 (042-656-7840) 測定器が仕様に従って動作することが保証され、正確な測定が Email contact_japan@keysight.com 確実に行えます。 www.keysight.co.jp 契約販売店 www.keysight.co.jp/find/channelpartners キーサイト契約販売店からもご購入頂けます。 お気軽にお問い合わせください。 © Keysight Technologies, 2018 www.keysight.co.jp/find/sg Published in Japan, February 2, 2018 5992-2695JAJP 0000-00LTK www.keysight.co.jp