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高度なEIS(電気化学インピーダンス分光法)によるバッテリー内部状態・劣化メカニズム評価手法

ホワイトペーパー

セル・モジュール・パックの挙動を可視化し、性能・寿命・安全性評価を高精度に実現

リチウムイオンバッテリーの性能、寿命、安全性を正しく評価するためには、充放電特性だけでなく、内部状態や劣化メカニズムを定量的に把握することが不可欠です。電気化学インピーダンス分光法(EIS)は、バッテリー内部の反応抵抗、拡散挙動、界面特性などを周波数特性として分離・解析できる強力な評価手法として注目されています。

本資料では、キーサイトの計測技術を用いた高度なEIS測定手法を解説し、バッテリーセルからモジュール、パックレベルまでの評価への適用方法を紹介します。広帯域・高分解能のインピーダンス測定により、従来の直流試験では捉えにくかった微小な劣化兆候や内部変化を早期に検出することが可能です。

また、EISデータの取得方法、測定条件設定の考え方、等価回路モデルを用いた解析のポイントについても触れ、研究開発から量産品質管理まで幅広いフェーズで活用できる実践的な知見を提供します。EISを充放電試験や温度評価と組み合わせることで、バッテリー挙動を多角的に理解し、設計最適化や不具合解析の効率を大幅に向上させることができます。

バッテリー開発の高度化・短期化が求められる中、本資料は、EISを活用した次世代バッテリー評価に取り組む研究者、開発エンジニア、品質・信頼性評価担当者にとって有益なガイドとなります。

このカタログについて

ドキュメント名 高度なEIS(電気化学インピーダンス分光法)によるバッテリー内部状態・劣化メカニズム評価手法
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
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取り扱い企業 キーサイト・テクノロジー株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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高度な電気化学 インピーダンス分光法(EIS)に よるバッテリーテスト 測定ハードウェア、校正、 電気化学データの解釈 本書では、高度なエレクトロケミカル・インピーダンス・スペクトロス コピー(EIS、電気化学インピーダンス分光法)を使用して、高い信頼性 でバッテリーセルの電気テストおよび診断検証を実行する方法について 説明します。専用のメカニカルフィクスチャと電子校正手法を用いて 実施した正確なEIS測定を紹介します。EISの結果を材料科学の観点で 回路モデリングと合わせて考察し、セル品質を決定するのに関連する 主要な電気化学パラメータを導きます。新たな確度レベルを達成することで、セル、モジュールおよびパッ クのテスト分野におけるEISの再現性、堅牢性、アプリケーションの向上につながります。 EISの概要 リチウムイオン電池(LIB)はエネルギーとパワー密度が高いため、さまざまなアプリケー ションで広く使用されています。バッテリーには急速充電と高効率が求められるため、 電池セルの化学的特性と構造の継続的な改善が求められています。特に自動車アプリ 低インピーダンス ケーションでは、バッテリーインピーダンス(Z)が非常に低い値まで低下しています。 EIS 今日、バッテリーインピーダンスは数μΩという低い値の場合があり、対象となる 自動車アプリケー 周波数レンジは一般的に1 mHzから10数 kHzです。LIBの性能が向上し続ける一方で、 ションにおける 高性能測定器の需要も同時に高まっています。電気化学インピーダンス分光法 (EIS) バッテリーインピー は、電気化学現象の解明や電池の寄生回路要素の特性評価に有効な手法として確立さ ダンスは数μΩという 低い値になるケース れています。EISは通常、バッテリー研究開発、インラインセル製造、オフラインでの もあり、対象周波数 品質管理のために行われます。EISデータに基づいて、充電状態(SOC)と健康状態(SOH) レンジは一般的に はモデリング手順を使用して定量的に予測することができます。本書では、広い 1 mHzから10 kHzです。 周波数レンジでμΩまでの低いバッテリーインピーダンスを精密に測定できる新しい www.keysight.co.jp 1
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校正ワークフローを用いたEISを紹介します。さらに、校正データを使用して、材料科学および分析電気化学 の観点を踏まえた等価回路のモデリングや電気化学の解釈について説明します。 誘電分光法からEISへ 材料科学の分野では、MHz~GHz範囲の高周波で材料の電気的特性を直接測定するために誘電分光法が使用 されています。図1に示すように、動作周波数に関連付けて従来の誘電分光法とEISを比較すると、手法自体 の能力と材料科学の側面についてより深く理解することができます。 高周波(MHz...GHz)での 誘電材料バルク誘電率 ε 低周波(Hz...kHz)での相間での 電気化学インピーダンスZ 図1. 誘電法と電気化学法のプロセス 誘電体の特性には、誘電率(電気エネルギーの蓄積量)と導電率(電荷の伝導量)があります。インピーダ ンス・アナライザやネットワーク・アナライザを使用して、MHzおよびGHzの周波数レンジで誘電体の分光 測定を行うさまざまな機器があります。例えば、キーサイトの誘電体プローブキットは、10 MHzから50 GHz という広い周波数範囲で材料特性を測定できます [1]。誘電分光法で測定される2つのパラメータ、誘電率と 導電率はいずれも分子特性に関連しています。例えば、誘電体は、容量性電流(異なる位相)が抵抗性電流 (同じ位相)よりも高い物質です。理想的な誘電体は、電気エネルギーを蓄えることのできる自由電荷のない 絶縁体です。誘電体解析では誘電率と導電率を結合した複素誘電率ɛ∗として表し、これはɛ∗ = ɛ’ − ?? ⋅ ɛ’’という 式で表されます。ɛ’は実部の誘電率(比誘電率)でエネルギーの蓄積と双極子の配列に関係します。一方、 ɛ’’は虚部の誘電率(損失係数)でイオン伝導に関係します。誘電応答はエネルギーの蓄積とそれによる 緩和の概念に基づいています。これは、双極性分子が外部のAC電界の中で可逆的に配向するために必要な 時間です。誘電物質の容量、誘電率、導電率など周波数依存性は単一緩和周波数のデバイモデルを用いて 説明できます。従来、誘電体解析は、ポリマー、プラスチック、複合材料、非水性液体のバルク誘電特性 解析に適用され、多くの場合、1 MHzを超える周波数で扱われてきました(わかりやすい概要が参考文献に 掲載されています [2])。 www.keysight.co.jp 2
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EISでも同様の概念が使用されていますが、誘電分光法との主な違いは周波数が低い(mHz~kHz)ことと、 データ解析が複素インピーダンス??∗ = ??real + ?? ⋅ ??imagに基づいていることです。すなわち、虚部の誘電率ɛ’’は ??realの逆数に関連しており、実部の誘電率ɛ’は??imagの逆数に関連しています。EISは、電極サンプルの界面、 特にmHzまでの低周波で発生する電荷と電気化学的な反応プロセスを調査しています。誘電分光法とは異な り、インピーダンス解析はバルク材料の調査ではなく、ファラデーや二重層の界面反応や直流電位変調を含 む界面インピーダンスのパラメータに基づいています。まとめると、EISは低周波で界面分極を調査し、誘電 分光法は高周波で溶液効果を調査します(わかりやすい概要が参考文献に掲載されています [3])。 EIS測定の原理 一般的なEIS測定システムは、測定ハードウェア、ハードウェア制御およびインピーダンス計算を行うソフト ウェア、被試験デバイス(DUT)を接続するためのフィクスチャとケーブル、コネクタで構成されます(図2 参照)。EIS測定は、AC電流信号(ガルバノスタティックモード)またはAC電圧信号(ポテンショスタティッ クモード)をDUTに印加してシステム応答を記録して実行します。応答は、前者の場合はDUT端子間の電圧 降下??、後者の場合はDUTを流れる電流??です。 励起信号発生ブロックは、信号波形発生器とパワーアンプで構成され、必要な電圧または電流の振幅を供給 してDUTを励起します。EIS測定器は4線式のケルビン接続でDUTに接続されるので、応答電圧を分けてセン シングできます。 ユーザー入力: 測定設定 安全設定 ホストコンピューター 環境設定 校正 誤差補正 EIS装置 励起 応答 信号発生 信号収集 生データ処理 結果表示 電流電圧 校正済み結果 フィクスチャ データ解析 物理的特性 ポストプロセッシング 被試験デバイス 最終結果 図2. ハードウェア、ソフトウェア、校正、データ解析を含むEISの基本的なブロック図 www.keysight.co.jp 3
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電流/電圧信号は応答信号収集ブロックで処理およびデジタイズされ、それがホストコンピューターに渡さ れてデータ処理されます。励起信号の周波数?? = 2????は、定義された周波数ウィンドウ範囲で掃引されます。 各対象周波数に対して、電流と電圧信号間の位相差??と各振幅が計算されます(図2参照)。これらの値は、 虚部のインピーダンス??(??) = ???? ??????(Ω)の計算に使用されます。誤差補正の適用後、校正された最終結果を ???? 後解析に使用できます。 インピーダンスZは、振幅|??|と位相??(??)を周波数に対する関数として表示するボード線図の形で視覚化され ます。または、周波数を独立したパラメータとして、等しいスケールの実軸????(??)および虚軸????(??)を持つ 複素平面にプロットすることもできます。この種のプロットはナイキスト線図と呼ばれ、電気化学では、 虚数部の符号を反転させる(データの複素共役をプロットする)使い方が一般的です(図3 [4]参照)。 周波数 ωでのAC励起下の ボード線図 複素共役ナイキスト線図 レスポンス 図3. 励起信号と複素インピーダンスの表示 EISの電気化学界面モデル ランドルス回路(図4参照)は、セル内の単純な電気化学反応メカニズムの初期インピーダンスモデルとして 広く使用されています [5]。伝導性の高いイオンバルク溶液はバルクインピーダンスが低く、純粋な抵抗性 素子????????として表すことができます。電流は溶液抵抗性素子を流れた後で必ず界面を通過し、そこで溶液イオ 図4. ランドルス等価回路 ンと電極電子間の電荷移動交換が発生します。このプロセスは、電荷移動抵抗??????で表される反応プロセスに よって制御されます。電解質界面に滞留する電荷は、電極界面の逆符号電子電荷によって相殺され、二重層キャ パシタンス??????が構成されます。1 kHz付近の比較的高い周波数では、システムインピーダンスは実質的に完全 www.keysight.co.jp 4
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な抵抗性で????????に支配されます。1~100 Hz付近の低い周波数では、??????||??????で表される界面の反応プロセスが 支配的になり、システムインピーダンスは二重層キャパシタンス素子??????と電荷移動抵抗??????から多大な影響を 受けます。特性周波数は???? = 1/2??????????????と表されます。ナイキスト線図の理想的な半円は、電荷移動プロセ スが活性化エネルギーによって制御されていることを示しています。一方、つぶれた半円は、緩和時定数が近 い複数のプロセスが存在すること、または理想的でない反応が分布していることを示しています。さらに、 実験結果をわかりやすく表現するためにCPE(Constant Phase Element)やワールブルグ拡散インピーダンス ??????????などの複数の理想的ではない回路要素を使用します。CPEは変更を加えられたキャパシタとして使用 され、ワールブルグ要素は電極界面での物質の拡散を説明するために使用されます。理想的な抵抗やキャパシ タの応答から外れる原因にはさまざまな物理的なプロセス(電極の多孔性、界面の粗さ、電極導電率のばら つき、粒界)があり、このためにCPEを用いた表現が必要になります [2] [3]。 正確なEIS測定 EIS測定用フィクスチャ フィクスチャおよび配線は測定確度に影響を及ぼすので、EIS測定器とフィクスチャの適切な接続を確保する 必要があります。ケーブルが動くと、特にインピーダンスの値が低い場合に測定値が変化する可能性がある ため、ケーブルはしっかりと測定器に接続して固定します。図5-aは、EISの「フォース」端子による励起 信号の供給と、DUTに流れる電流の測定を示しています。結果として生じるDUT端子での電圧降下は、機器 の「センス」端子に接続されているテストフィクスチャの各接点(4線式接続)でセンシングされます。フォー スおよびセンスの両接続をツイストペア配線にすることで、相互の磁気結合を最小化してケーブルから発生 するシステム誤差およびランダム誤差を大幅に低減しています。テストフィクスチャは、各バッテリーの 形状に合わせて専用にデザインする必要があります。低インピーダンスバッテリーのEIS測定の確度は、テス トフィクスチャに対するDUTの空間的な位置に大きく依存します。図5-bは、測定プレーンに対するDUTの 位置が異なるとどのように電流経路が変わるのかを示しています。測定プレーンは、「ショート」校正標準に よって定義されます。DUTの位置が異なると電流経路が変わるため、相互の磁気結合が変化し、導電性構造 体の中で渦電流による損失が発生します。この2つの効果は、より高い周波数(通常1 kHz~10 kHz)でのイ ンピーダンスに強い影響を及ぼします。実験中は、以下の経験的で現象的な予測を順守しました: �Δ����⃗ 105|Δ?? (?? ??� = ?????? ??????)| ???????? 最大周波数???????? [Hz]および最大許容絶対インピーダンス変化量|∆????????(????????)| [Ω]により、必要な位置確度の 実用的な予測値を求めることができます。 絶対的な空間誤差ベクトル�Δ����⃗??�はミリ単位で求められます。これは校正プレーンを基準としたときにDUTに 許容される位置の変化量範囲を表します。例えば、10 kHzで絶対的な再現性誤差を100 μΩよりも小さくする 場合は、一般的に3次元すべてで1 mmよりも高い位置確度が必要になります。 www.keysight.co.jp 5
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a ツイスト配線 この領域は 最小限に フォース センス 端子 端子 EIS装置 角型電池 電流経路 1 測定プレーン 電流経路 2 位置 1 周波数(Hz) 位置 2 b c 図5. フィクスチャの配線と確度。 (a)フォース端子、センス端子、4線式接続を含むツイスト線配線図。 (b)測定プレーンに対するDUTの相対的な位置。 (c)基準位置に対するx方向位置が異なる3つの場合の周波数に対する虚数インピーダンス差。 測定サンプルを図5-cに示します。1 mΩの検査標準をx方向にそれぞれ0.5 mm、1 mm、2 mmの位置に移動し たときのインピーダンスの虚部の違いが示されています。ずれがあると同軸ではない部分の面積が拡大する ので、インダクタンスが大きくなります。一般的に、以下のポイントを十分に考慮すればランダム誤差を 最小化することができます: • テストフィクスチャは機械的に硬く安定したものにし、位置ガイドを使用して3次元すべてでDUT の位置と校正標準の位置を正確に定義します。 • 校正標準は、ドリフトが低くテストフィクスチャに機械的に噛み合うものを使用し、電流経路の 観点からDUTに類似したものを選択します。 www.keysight.co.jp 6
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• テストフィクスチャとDUTを接続する接点上で既知の接触圧を確保する。例えば、ばね押し接点を 使用したり、ねじ端子を既知のトルクまで締めたりする。 • 測定器のノイズやドリフトを必ず考慮する。ランダムな熱雑音は一般的に1~10 Hzより上の周波数 で発生し、長い測定時間をかければ狭帯域の測定とアベレージングで低減できる。測定器のドリフ トは、非常に低い周波数の測定(例:1 mHz)に特に影響する。 • 安定した一定の周囲温度と、適切なウォーミングアップ時間が推奨されます。接触熱電圧により 一定のオフセット電圧が生じる場合がありますが、測定はAC信号で行われるのでこの電圧はEISの 結果に影響しません。測定サイクル中に機器の温度が変化すると、非常に低い周波数でのみ誤差が 発生する可能性があります。 EIS測定のための校正手法 DUTを測定する前に校正プロセスを実行します。一般的に、EIS測定の確度はシステム誤差およびランダム (確率変数)誤差によって制限されます。システム誤差は校正および補正手法によって補正できますが、シス テムノイズやフィクスチャの再現性などのランダム誤差は補正できません。ショート測定を用いる単純なオ フセット減算から、一般的な3つの標準を使用する3項法によるフル校正まで、複雑さと確度の水準が異なる さまざまな校正ワークフローを使用できます。校正プロセスを使用して、機器が測定結果に追加するシス テム(再現性)誤差を決定します。次に続く補正ステップでは、実際のDUT測定を補正するために校正を 使用します。こちらでは誤差モデルを定義し、校正標準を測定して誤差係数を取得します。使用するフィク スチャ専用にデザインされた校正標準を使用することが重要です。今回使用しているのは、既知の値をもつ ショートと2つの抵抗(抵抗とインダクタンス)を含む3つの校正標準を使用する校正手法です。EISの全周波 数スペクトラムに有効です。 「校正」という用語は、測定デバイスのシステム誤差を決定するプロセスを表します。「補正」という用語は、 実際の測定値からシステム誤差を除去してより適正な結果にするプロセスを表します。EISで測定される量は インピーダンスです。これは電圧と電流の比です。インピーダンスメータを校正するには既知の標準インピー ダンスが必要です。標準インピーダンスが何から求められるのかという疑問は、トレーサブルな度量衡のト ピックに通じます。インピーダンスの度量衡は、一般的に国家計量標準機関(NMI)が保持しているインピーダ ンス標準に基づきます。例えば、オーム標準は現在、10−6の確度で量子ホール効果から導かれています。DC とAC両方について、さまざまなインピーダンスレベルの標準がブリッジ回路やヌル手法などの比較手法によっ て導き出されます。それらの標準は、1次標準として校正ラボで使用されます。1次標準に基づいて作業標準 が作成され、最終的に測定器の校正に使用されます。1次標準まで測定器校正の各ステップをトレースできる 場合、その校正は「トレーサブル」と呼ばれます。 www.keysight.co.jp 7
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図6 キーサイトのEIS機器で使用されている校正および補正ワークフローの概要を示 します。上部は校正プロセスで、既知のインピーダンス標準(例:作業標準)を測定 EIS測定時の校正 しています。図6の標準は、ショート、10 mΩおよび100 mΩのシャントです。各イン ピーダンス標準の周波数依存性複素インピーダンス応答は既知で、不確かさと一緒に 対応する方程式系を 該当する標準定義データセットに保存されています。この定義データセットは、工場 解くには3つの 校正でトレーサブルな1次標準と作業標準を比較することで決定されます。測定生デー 独立した標準測定が 必要です。 タと定義データは、周波数依存性の複素誤差係数の誤差モデルを解くために使用され 一般的には1つの ます。図6の下部には2つのナイキスト線図が示されています。これは、25 Ahの角型 ショート標準と2つの リチウムイオン電池の補正効果です。補正済みデータから、低いインダクタンスを示 抵抗シャント標準を す高めの周波数で動作が異なることがわかります。誤差モデルの複雑さは、EISハー 使用します。 ドウェア、インピーダンス範囲、確度要件によって変化する可能性があります。 校正基準 生データ 既知の標準 インピーダンス 校正プロセス 補正係数 補正プロセス 生データ 補正データ 図6. EIS測定の校正および補正ワークフロー。25 Ahの角型リチウムイオン電池の例。 こちらでは最も一般的な3項誤差モデルを使用しています。これにより、広いインピーダンス範囲をカバーし てシステム誤差をフル校正します。このモデルは、生データドメインと補正済みデータドメインの2つのベク トル間の局所的な角度を保持する、いわゆるコンフォーマルマップを実装しています。例えば、抵抗とキャ パシタ間の90 °の位相角は、校正手法によって変化することはありません。対応する方程式系を解くには3つ の独立した標準測定が必要です。一般的には1つのショート標準と2つの抵抗シャント標準を使用します。 www.keysight.co.jp 8 プロセス 校正プロセス 補 正
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これによりシャント値は、その後測定するバッテリーセルのインピーダンス範囲をカバーする必要があり ます(例:10 mΩおよび100 mΩ)。図6の下部に補正ワークフローを示します。DUTを測定し、取得した生デー タを誤差係数と一緒に補正式に代入します。補正式は、数学的な変換により誤差モデルから導かれます。 校正プロセスには3つの測定ステップと方程式系の解が必要ですが、補正プロセスでは1つの測定データセッ トに対して1つの方程式を適用するだけです。標準の詳細な機械的および電子的構造は、特に高い周波数での 補正インピーダンスに多大な影響を及ぼします。例えば、高い周波数の虚部では、純粋な幾何学的効果であ るバッテリーセルのインダクタンスが支配的です。一般的な電池(角型やパウチ型電池)の空間的なサイズ はセンチメートル範囲で、インダクタンス値は50~500 nHの範囲です。このインダクタンス値は、テストフィ クスチャの2端子間で導電率が高く接続損失が低いショート標準によって主に定義される基準位置に関連付け て解釈する必要があります。包括的なレビューが [6]によって提供されています。 EIS測定ハードウェア EIS測定の実行に必要な信号発生器と測定器は、キーサイトのバッテリー・テスト・システム(BTS)に容易に 統合できます。そのため、高電流の充放電、サイクルテスト、パルステストだけでなく、EISやサイクリック ボルタンメトリーなどの高精度測定に同じ機器を使用することができます。図7 制御ソフトウェアであるEnergy Storage Discover(ESD)を使用して異なるSOCで電池のインピーダンススペクトラムを測定したときのスクリー ンショットです。左側にはテストシーケンスが、中央部分には記録された電流と電圧が表示されていて、 交流充電とEISテストのステップが明確に視覚化されています。右側にはSOCが異なるインピーダンススペク トラムがボード線図およびナイキスト線図で表示されています。 図 7. Energy Storage Discover(ESD)制御ソフトウェアで実行した、SOC の異なる EIS テスト。 キーサイトのバッテリーテスト機器の例を図8に示します。図8-aのバッテリー・テスト・ラボには温度制御 チャンバーがあり、そちらに被試験セルを配置することができます。セルに印加する電流、電圧または電力 を制御できる電気増幅器を含むバッテリーテスト機器は別のキャビネットに収容されています。 www.keysight.co.jp 9
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図8-bはいわゆる「恒温槽一体型バッテリー・テスト・ソリューション」(CBTS)です。温度制御チャンバー (前面)と増幅器(背面)が同じキャビネットに統合されています。写真では、右側にある温度制御チャンバー の扉を取り外すとバッテリーセルを接続するフィクスチャが現れます。このようなCBTS手法の利点は、ラボ における機器の専有面積を縮小できること、パワーエレクトロニクス機器とセル間の接続(キャビネット内) が短いこと、外部の電磁界効果に対するシールド効果が高まることです。図8-aの手法の利点は、高密度のモ ジュール化、システムの柔軟性、さらに、気候、温度、貯蔵室が異なる場合にもバッテリーテスト用パワー エレクトロニクス機器を対応させることができることです。 a b 図 8. キーサイトのバッテリー・テスト・システム。 (a)テストラボ。温度制御チャンバーを使用。 (b)温度制御チャンバーと増幅器を統合したキャビネットシステム。 図9に示すように、正確なEISを実行するために、セル形状に応じてさまざまなセルフィクスチャとさまざま な校正標準をキーサイトは提供できます。また、表1に示すように、形状だけでなくセルの容量やインピーダ ンスが変化するとEIS測定器の要件も変化します。 表 1:セル形状が異なる電池および EIS の代表的な特性 特性 コイン型電池 パウチ型電池 角型電池 容量 <mAh~100 mAh 1 Ah~30 Ah 10 Ah~100 Ah インピーダンス範囲 |Z| 1 Ω~1 kΩ 10 mΩ~1 Ω 100 μΩ~10 mΩ EIS テスト電流(rms) 1 mA~10 mA 100 mA~5 A 1 A~10 A EIS インピーダンス分解能 ~10 mΩ ~1 mΩ ~10 μΩ www.keysight.co.jp 10
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コイン型電池 パウチ型電池 角型電池 セル フィクスチャ 校正基準 セルインピーダンス セルの容量とサイズ 図9. セルフィクスチャと校正標準。左から、コイン型電池、パウチ型電池、角型電池。 EISの結果とデータの解釈 EISの結果と、等価回路モデルによるデータのフィッティング 図10 2つの市販電池で測定されたEISのプロットを示します。10 mHz~10 kHzの周波数範囲で、円筒型電池 (図10-c)と角型電池(図10-d)を測定した結果です。EISデータの校正は前述のとおりに実行されています。 実験で得られたEISデータをフィッティングするために、図10-aに示されているモデルを使用しました。これ はランドルス回路に修正を加えたもので、?? + ???????? + [??????||??????] + [??????||??????] + ???? [5]と表されます。 キーサイトが開発した独自のEISフィッティングソフトウェアを使用して、EIS曲線の自動フィッティングを 行いました。こちらでは2つの共振子を直列に接続して2つの半円(ZARC)を取得しています。両方ともデータと 大きく重なっています。左から右にかけて延びているランドルス等価回路には配線インダクタンスLがありま す。これは、高周波(>1 kHz)で配線や電極の接続が電流コレクターに及ぼす影響を表しています。およそ 1 kHz付近では、電解質の抵抗(RSOL)は、インピーダンスの虚部がゼロに到達するポイントに関連します。 表面膜抵抗(RSF)と表面膜容量(CSF)を表す第一の半円(ZARC1)は最適なフィッティングから取得され、これは 電解質界面と表面膜を通過するリチウムの移動に該当します。 www.keysight.co.jp 11
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a b パラメータ ?? ???????? ?????? ?????? ?????? ?????? ???? 単位 nH Ωcm² Ωcm² μF/cm² Ωcm² μF/cm² mΩs1/2 円筒型電池 326 7.6 0.83 9,570 1.98 290 2.31 角型電池 109 3.4 0.88 1,302 1.35 456 0.091 2.7 Ah 円筒型電池 40 Ah 角型電池 測定データ 測定データ フィットデータ フィットデータ c d 図10. 校正済みのEISデータと等価回路モデルに対するフィッティング。 (a)電気化学フィットパラメータを計算するために使用された等価回路モデル。表面膜(??????)および電荷移動(??????)を表す2つの ZARC素子が含まれます。 (b)円筒型電池(有効電極面Aeff=600 cm²)および角型電池(Aeff=6300 cm²)で使用された7つのフィットパラメータの値。 (c)2.7 Ahの円筒型電池のインピーダンスプロットおよび(d)40 Ahの角型電池のインピーダンスプロット。測定周波数範囲は 両者とも mHz~10 kHz。 低周波における第二の半円(ZARC2)は、電解質と固体表面(RCT)間の電荷移動抵抗、さらに二重層キャパシタン ス(CCT)を表しています。半円は両方とも、1 Hz~1 kHzの間でデータと大きく重なっています。 半円の最上部では、容量性の動作が最も強くなり、二重層キャパシタンスの値を特定することができます。 次にワールブルグインピーダンスを2つのZARC素子に直列接続すると、低周波領域(<1 Hz)が直線になり ます。このスペクトラムは、固体電極での物質拡散プロセスに対応する特性です。これにより求められた???? はワールブルグ係数を表します。これは、酸化(??????)および還元(????????)された電気活性種の拡散係数に直接 関連します。このように、基本的なランドルス回路とは異なり、修正を加えられたモデルは表面膜抵抗と 電荷移動抵抗を別々に表します [2]、 [3]。このモデルから取得した円筒型電池と角型電池両方の7つのフィッ www.keysight.co.jp 12
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トパラメータを図10-bに示します。電気化学のフィットパラメータについては次のセクションで詳しく説明 します。パラメータの正確な値はセルのSOCやサイクル回数、またはより一般的にはセルのSOHに依存し ます。通常、バッテリーの充放電を数回繰り返すと、経年劣化や容量低下により、表面膜抵抗および電荷 移動抵抗の値が上昇します。表面膜抵抗の減少は、アノードのSEIや、一般的に多くは調査されていないカソー ドの界面層など、電解質界面層の改善に関連しています。 EISデータの解釈 EIS測定を解釈するために、一般的に、セル内のさまざまな効果を表す7つの特性評価項目があります。これ には、電気化学プロセス、二重層キャパシタンス、物質移動拡散などが含まれます [5] [2] [3]。7つのパラメー タは、セル内の特定の化学プロセスまたは物理プロセスに関連付けられるので、セルのSOHを特定するため に使用できます。図11に示したように、7つのパラメータは、EISプロットでは異なる周波数に現れるので 容易に区別することができます。使用している周波数範囲は代表的な例であり、電池の化学、形状、容量に よって変わります。 オーミック抵抗 電荷移動 拡散 図11 バッテリーセルの等価回路モデルの特性パラメータ。 1. ?? – 配線および電極の高周波誘導的動作 ?? 配線や電極に存在する補償されていないインピーダンスの高周波(一般的に>1 kHz)での誘導的動作を表 します。正確なメカニカルフィクスチャを使用して誘導性の配線ループを最小限にすることで、電気的な 接触品質と電極の表面多孔性から生じるさまざまな影響を??から取得することができます。 www.keysight.co.jp 13
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2. ???????? – バルク溶液媒体抵抗 ???????? バルク媒液抵抗を表します。一般的に1 kHzの周波数で測定され、????????~1/??です。ここで、??は電解質の 導電率です。標準的な水塩電解質を想定すると、面積が?? = 1 cm2、対向電極との距離が?? = 0.1 cm、測定イ ンピーダンスが|??| = 1 Ωの作用電極の場合、導電率は次の式で計算できます [2]: ?? 0.1 ???? ?? = = = 10 ?? ⋅ ?? 1 Ω ⋅ 1 ????2 ??/?? 3. ?????? – 電気化学的表面膜の帯電 4. ?????? – 表面膜の電極に対する吸着 表面膜抵抗??????には、100 Hz~1 kHz周辺で発生する吸着/脱着プロセスが含まれています。これは表面膜キャ パシタンス??????と並列で、電気化学的な吸着インピーダンスを形成します。これは特定の吸着または脱着プロ セスに関連する電荷、層の厚さや誘電体の物質特性に依存します。アノード極のSEI効果だけでなく、カソー ド極の界面層も含まれます。一般的に、主な半円に歪みが生じたり、電荷移動性の抵抗よりも高い周波数に 追加の円弧が現れたりします。 5. ?????? – 電極表面近くでのファラデー電子の移動 6. ?????? – 電気化学的な二層キャパシタンスの帯電 理想的な二重層キャパシタンス??????は一般的にCPECTに置き換えられます。二重層キャパシタンスの帯電は 伝導性溶液で通常1 Hzから500 Hzの間で発生し、その値は?????? = 10 … 500 μF/cm2あたりです。電荷移動抵抗 ??????は、電池内の主な酸化還元反応を表します。電荷移動反応はファラデー反応によって制御されます。この 反応は厚さが1~10 nm程度の二重層の電極表面付近で発生する電解質で電子が電気活性種に移動する速度 です。反応速度定数??0は、電極での??????の関数として表すことができます。電子移動を決定する反応速度 定数は、印加される電位と対応する標準電気化学ポテンシャルに指数関数的に依存します。したがって 過電圧に依存します。高い過電圧では、??????が外部ポテンシャルに依存しなくなり、電極プロセスは電気化学 反応に制限されなくなります。 7. ???? – バルク溶液から電極表面への物質移動、ワールブルグ拡散 電気活性種によって流れる電流に対する拡散抵抗??????????からインピーダンスが生じる場合があります。これは ワールブルグ拡散素子??????????として知られています。物質移動のワールブルグ拡散????は、1 mHz~1 Hz近辺の インピーダンスを決定します。拡散層の厚さは、バルク電解質で0.1 mm(100 Hz)~1 mm(0.01 Hz)に達する 場合があります。薄いサンプルは対向電極まで拡散する場合があるので、拡散層の厚さがサンプル全体の 厚さと同じ程度になります。標準バッテリーの場合、一般的に拡散は電極表面層において固体状態で発生し ます。このときの拡散の厚さは100 nm~100 μm程度です。ワールブルグ係数????は、??対??−1/2 のインピーダ ンスプロットの傾きから求められます。一般的なインピーダンス値は数mΩs1/2で、一般的な拡散係数は 10-9 cm2/sになります。この拡散係数は電極と電解質の界面での拡散を反映していて、標準的なバルク電解質 の拡散係数10-6 cm2/sよりもはるかに低い値です。 www.keysight.co.jp 14
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EIS対SOC;セルの充放電 セルの内部抵抗、ACインピーダンス、さまざまな電気化学パラメータは、充電状態(SOC)および温度に依存 します。図12 円筒型電池のSOCレベルが異なる状態で収集されたEISデータです。??????パラメータがSOCに よって最も大きく変化します。 低度SOC 中度SOC 高度SCO 図12. 円筒型リチウムバッテリーでSOCレベルが異なる場合のEIS曲線、10 mHz~10 kHz。 図に見られるように、SOCが低い値から中程度の値に上昇すると??????が単調に減少しますが、SOC値が高くな ると傾向が逆転します。そのため、一貫したEISデータを取得するには、EISデータを収集する前にセルを決 められたSOC値まで充電する必要があります。この場合、充放電サイクルを使用します。定格容量、容量 保持率、実効内部抵抗、容量に対する放電率の影響、ライフサイクル性能、長時間の過充電などの性能をテ ストするために、特定の期間でバッテリーを放電する標準的な手法があります。以降で、電気化学とEISのコ ンセプトを使用してバッテリーの充放電をさらに解釈します。充放電中に選択する電圧は、リチウム化およ び脱リチウム化に必要な電位差よりも高い必要があります。充電中の初期には、バッテリーの電圧が上昇し てプラトー(平坦な形)に達します。この時点で拡散の限界により電流が減少し始めます。電流が定格電流 の3~5 %まで減少するとバッテリーがフル充電状態になります。さらに充電するとリチウムメッキ現象によっ て故障リスクが高まり、安全性が損なわれます。バッテリーを放電する場合は電圧信号が低下してカットオ フ電圧に達します。この時点で放電を停止してセル内部の不要で不可逆的な変化を回避する必要があります。 充放電、ライフサイクル、電子負荷を含むバッテリーテストの詳細については、キーサイトのアプリケーショ ンノート [7]を参照してください。 充放電中の電気化学プロセスでは、LiCoO2をカソードの活物質、黒鉛をアノードの活物質とみなします。 充電前の酸化状態は、リチウムが+1、コバルトが+3です。充電プロセス中、正電極(カソード)の活物質 からLi+のデインターカレーションが起こり、Co3+はCo4+に酸化されます。負電極(アノード)では、Li+が 導電性電流コレクター(通常は銅)の黒鉛化炭素に挿入(インターカレーション)されます。電荷移動プロ セスは、黒鉛粒子で構成された多孔質電極の表面で起こります。これは電荷移動抵抗RCTに関連しています。 電解質は一般的に有機液体(LiPF6などのリチウム塩、プロピレンカーボネートなどの環状混合物、炭酸ジメ チルなどの鎖状カーボネート)です。製造ラインの最後に行う1回目の充放電形成サイクルでは、この電解質 www.keysight.co.jp 15
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の一部がアノードで分解され、固体電解質界面(SEI)を形成します。バッテリーの電圧がカソードとアノード の両方の水安定領域を4 V超えているので、電解質は非プロトン性です。バッテリー放電中は、アノードから カソードに移動するLi+イオンによって電流が非水電解質とセパレーターを通って流れます。カソードでは、 遷移金属(例:Co2+、Mn2+)が還元されます。アノードのインピーダンススペクトラムでは、拡散インピー ダンスは黒鉛粒子内のLi+ イオンの固体拡散に相当し、固体膜内での物質移動を表す標準的なワールブルグ 拡散方程式に従います。カソードのインピーダンスはアノードのそれに近く、同様に表面膜/拡散/電荷 移動インピーダンスで構成されます。SEIは初期の充放電サイクル中にアノードで形成されますが、電解質も カソード表面と反応して特に高周波で表面膜を形成します。しかし、これはあまり解明されておらず、アノー ドのSEIほど支配的ではありません。 まとめ 現在、バッテリーの研究ラボでは複数の異なる電池化学が研究されています。高いエネルギー密度が求めら れる一方で、安全性、寿命、熱暴走などの側面の重要性がさらに増しています。これらのすべての要件に 対応するために、固体電池、リチウム硫黄、リチウム空気(酸素)、さらにNaイオンやMgイオンのようなリ チウム系以外を含むさまざまな電池化学特性を用いた幅広い手法が現在試みられています。こちらで紹介し た電気化学手法は、さまざまな化学系を評価する上で不可欠です。また、EISは、内部のSOHに基づいて電池 を分類し、不良品から良品を選別するために使用されます。これはハイパワー・バッテリー・パックなどの 量産アプリケーションで特に重要です。こちらに紹介した作業では、非常に広い周波数範囲でこの課題に 対応するために、数μΩの感度と10 kHz以上の測定周波数を備えたキーサイトの測定器を使用しました。一般 的にEISスペクトラムでは、3つの特性周波数領域を確認することができます: • 低周波領域(1 mHz~1 Hz)は、次に基づく拡散制限された物質移動に基づくものを示します: ???? • さらに高い周波数(1 Hz~1 kHz)は、特性周波数でのファラデー性の電荷移動と容量性二重層の 充電電流の比によって決まります。 ?????? = 1/???????????? • この臨界周波数(1~10 kHz)より上では、インピーダンスは、バルク溶液のインピーダンス (導電率)と、配線や電極の抵抗およびインダクタンスによって決まります。 アノードやカソードでの電気化学反応、物理現象(拡散、電極の反応など)、容量特性および誘導特性などを 含むさまざまな電気化学的および物理的な寄与を区別するためにバッテリーの周波数依存性複素インピーダ ンス応答を使用できます。高品質なデータを取得するには、安定した信頼性の高いEIS測定の動作を確保する ために特別な注意を払う必要があります。内部インピーダンス値が1 mΩ程度と低い最新のバッテリーには 電流制御モード(ガルバノスタティックモード)による励起が適しており、異なるラボでの測定結果を比較 するために正確な校正が必要です。EIS測定時の校正では、適切な標準が必要で、標準の定義は可能な限り正 確な必要があります。最も望ましいのは、その定義が認定された校正ラボにトレーサブルであることです。 結果は、線形システム理論の観点から解釈され、等価回路としてモデリングされ、クラマース・クローニッ ヒの関係式を用いて不一致を確認することができます。 www.keysight.co.jp 16
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参考文献 [1] Basics of Measuring the Dielectric Properties of Materials, Keysight Technologies, 2020. [2] V. F. Lvovich, Impedance spectroscopy: Applications to Electrochemical and Dielectric Phenomena, Wiley, 2012, p. 368. [3] A. Lasia, Electrochemical Impedance Spectroscopy and its Applications, Springer, 2014. [4] Impedance Measurement Handbook: A guide to measurement technology and techniques, 6 ed., Keysight Technologies, 2016, p. 140. [5] T. Osaka, T. Momma, D. Mukoyama , H. Nara, “Proposal of novel equivalent circuit for electrochemical impedance analysis of commercially available lithium ion battery,” Journal of Power Sources, vol. 205, pp. 483-486, 2012. [6] N. Meddings, M. Heinrich, F. Overney, J.-S. Lee, V. Ruiz, E. Napolitano, S. Seitz, G. Hinds, R. Raccichini, M. Gaberšček , J. Park, “Application of electrochemical impedance spectroscopy to commercial Li-ion cells: A review,” Journal of Power Sources, vol. 480, 2020. [7] Battery Testing, Keysight Technologies, 2017. [8] A. J. Bard , L. R. Faulkner, Electrochemical Methods: Fundamentals and Applications, 2nd Edition, Wiley, 2000, p. 864. [9] C. H. Hamann, A. Hamnett , W. Vielstich, Electrochemistry, 2 ed., Weinheim: Wiley-VCH, 2007, p. 532. 詳細情報:www.keysight.co.jp キーサイト・テクノロジー株式会社 本社〒192-8550 東京都八王子市高倉町 9-1 計測お客様窓口 受付時間 9:00-12:00 / 13:00-17:00(土・日・祭日を除く) TEL:0120-421-345 (042-656-7832) | Email:contact_japan@keysight.com 本書の情報は、予告なしに変更されることがあります。© Keysight Technologies, 2021, Published in Japan, June 4, 2021, 3121-1209.JA 17