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ニッケル合金とはどう違うの?どんな場面で使われてる?ニッケル基合金の基本を解説します!
このカタログについて
| ドキュメント名 | 【ニッケル基合金の基本がわかる!】表で比較する ニッケル基合金の種類・特徴・用途の違い |
|---|---|
| ドキュメント種別 | ハンドブック |
| ファイルサイズ | 1.1Mb |
| 取り扱い企業 | 佐渡精密株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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スライド 5
表 で 比 較 す る !
ニ ッ ケ ル
基 合 金
種類・特徴・用途 の違い
ニッケル合金とはどう違うの?どんな場面で使われてる?
ニッケル基合金の
基本がわかる!
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ニッケルとはどんな金属?
ニッケル(Ni)は、鉄や銅と並んで古くから知られる金属元素のひとつです。
銀白色で耐食性や耐熱性に優れているため、多くの合金材料の基礎となっています。
ニッケルの特徴としては以下が挙げられます。
耐食性
ニッケルは酸やアルカリなどの腐食環境に強く、錆びにくい性質があります。そのため、化学装置や海洋
構造物など、過酷な腐食環境下での利用に適しています。
耐熱性
高温に耐える性質があり、熱による変形や劣化が少ないことから、エンジン部品や発電設備などの高温環
境に使われます。
加工性
金属としての延性や展性があり、加工しやすい一方で、加工時に加工硬化が起こりやすいという特徴があ
ります。特にニッケル基合金ではその影響が顕著です。
磁性
ニッケルは磁性を持つ数少ない金属のひとつであり、電気機器や磁気記録媒体にも利用されています。
これらの特性を活かし、ニッケルは単独でも利用されますが、合金として他の金属と組み合わせることで、さ
らに優れた耐熱性や耐食性を発揮します。特に「ニッケル基合金」は、ニッケルを主成分として設計された高機
能合金であり、極限環境での使用に耐える材料として重要視されています。
ニッケル基合金とはどんな金属?
ニッケル基合金とは、主成分にニッケルを用いた耐熱・耐食性合金のことを指します。
中でも「ニッケル合金」と「ニッケル基合金」という似た用語が使われますが、両者には明確な違いがあります。
・ニッケル合金 :ニッケルを含む合金全般(ニッケルの含有量は高くない場合もある)
・ニッケル基合金:ニッケルを主成分とする、特に耐熱・耐食性に優れた特殊合金を指す。
つまり、ニッケル基合金は、耐熱・耐食性を目的として設計された「高性能なニッケル合金」と言えます。
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主なニッケル基合金の種類と特徴
表 1;ニッケル基合金の種類と特徴
合金名(商標名) JIS 番号(代表例) 特徴 主な用途例
・熱交換器
インコネル 600 NCF600 高温化での酸化・腐食に強い ・原子炉部品
・科学機器
・海水装置
耐食性・耐酸化性に優れ、
インコネル 625 NCF625 ・化学プラント
溶接性も良好
・排ガス系
・航空エンジン
高温強度が高く、
インコネル 718 NCF718 ・タービン
加工性・溶接性も優れる
・金型
インコロイ ・石油化学炉
NCF800H など 高温耐酸化性と構造安定性
800H/HT ・加熱炉部品
高い耐酸性・ ・化学プラント
ハステロイC-22 NW6022(参考)
耐塩素化合物性を持つ ・排ガス処理装置
・ポンプ部品
モネル 400 NW4400(参考) 海水や酸に対して強い耐食性 ・熱交換器
・海洋装置
ワスパロイ 高温での強度と耐酸化性が ・ジェットエンジン
―(ASTM使用が主)
(Waspaloy) 非常に高い ・ガスタービン部品
これらの合金は、使用温度、腐食環境、機械的負荷などによって選定されます。
尚、インコネルやハステロイなどはそれぞれ商標名であり、メーカーや規格団体により化学成分や特性が若干
異なる場合があります。
次のページからは、切削加工時に注意する点などについて説明していきます。
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ニッケル基合金の切削加工時の注意点
ニッケル基合金はその優れた耐熱性と高温強度ゆえに、切削加工において以下のような特有の難削性がありま
す。
加工硬化が起こりやすい
切削時の局所的な変形により、加工表面が元の材料よりも激しく硬化します。この硬化層を次の刃が擦る
ことで、工具への負荷が雪だるま式に増加します。
熱伝導率が低い
チタンやステンレスよりも熱が逃げにくく、発生した切削熱の大部分が刃先に集中します。これにより、
工具の軟化やワークへの焼き付きが引き起こされ、寸法精度の低下を招きます。
工具摩耗が激しい
高温・高硬度な環境下で切削が進むため、工具のチッピング(欠け)や摩耗が発生しやすくなります。ま
たワークと接触する境界部分の急激な摩耗(境界摩耗)により、工具寿命が短くなりやすいです。
粘り強さによる切りくずトラブル
高温でも強度が落ちないため切りくずが分断されにくく、長く伸びた切りくずが工具やチャックに絡み
つき、工具破損や加工面を傷つけるなど加工トラブルの原因となります。
振動(びびり)の発生
切削抵抗が非常に大きいため、機械や工具が負けて異常振動(びびり)や騒音が発生し、寸法精度に影響
を及ぼすこともあります。
ニッケル基合金の被削性指数とは?
被削性指数とは、基準となる材料(一般的には硫黄快削鋼を 100 とする)に対して、その材料がどれだけ削り
やすいかを総合的に数値化した目安です。工具寿命、切削抵抗、切りくずの処理性、加工面粗さなどを基準に評
価されます。
ニッケル基合金の被削性指数は一般的に「10〜30」程度と極めて低い値を示します。これは、炭素鋼はもちろ
ん、難削材とされるステンレス鋼(被削性指数:約 50前後)と比較しても非常に削りにくい材質です。
この指数の低さは、前述した「高温強度の高さ(熱を持っても硬いまま)」と「加工硬化性の高さ」が相乗効果を
起こすことに起因しています。なお、同じニッケル基合金でも、固溶強化型(インコネル 600 など)と、より強
度の高い析出硬化型(インコネル 718 など)では指数が大きく異なり、熱処理の状態(溶体化処理か時効処理か)
によっても加工の難易度は変動します。
ただし、評価基準の違いによって数値にはバラつきがあります。
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被削性を改善するためのポイント
被削性指数の低さを理解した上で、材料の特性にあわせた「工具」と「アプローチ」の最適化が重要です。
耐熱性と靱性を両立した工具選定
刃先が高温にさらされるため、高硬度で耐熱性のある超硬合金や、超高速加工が可能なセラミック工具な
ど、高耐摩耗工具の使用が推奨されます。
皮膜の特性を活かしたコーティングの選択
耐熱性と耐酸化性に優れ、高温下で保護膜(アルミナ層など)を形成するTiAlN(窒化チタンアルミ)や
AlCrN(窒化アルミクロム)などの PVDコーティングが効果的です。
「低速・適正な送り量」による硬化層の回避
切削速度を抑えて発熱を抑制しつつ、送り量は抑えすぎないようにすることが重要です。。これにより、
前のパスで硬化した「加工硬化層」の下にある柔らかい内部組織を刃先が捉えられるようになり、工具摩
耗を抑制できます。
高圧・ピンポイントな油剤供給
冷却効果だけでなく、切りくずを強制的に分断・排出させるために、加工点(刃先とワークの隙間)へ高
圧で直接クーラントを噴射するシステムが効果的です。
ニッケル基合金の切削加工時の対策
実際の加工現場においては、加工トラブルを未然に防ぐために以下のような運用・工程設計が推奨されます。
加工工程の分割
一度に加工しようとせず、粗加工・中仕上げ・仕上げに工程を分割します。またその際、前加工の硬化層
を確実に削り取れるよう、次工程の切込み深さを硬化層の深さよりも大きく設定すると、より工具摩耗の
抑止効果が高まります。
工具交換タイミングの管理
摩耗した工具を使い続けると急激な破損につながります。摩耗の兆候(加工音の変化や火花の発生)を待
つのではなく、加工個数や切削時間ベースで余裕を持った「定期交換(寿命管理)」が必要です。
まとめ
ニッケル基合金は、過酷な環境での信頼性が求められる用途において欠かせない材料です。しかしながら、優
れた特性を持つ反面、極めて削りにくいという難削性も併せ持っています。用途に応じた最適な合金の選定はも
ちろんのこと、その特性に合わせた工具選定や切削条件の見直しなど、適切な加工技術を適用することが安定生
産への鍵となります。
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