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オーステナイト系?フェライト系?マルテンサイト系? ステンレスって磁性があるの? ステンレスの基本を徹底解説します。
このカタログについて
| ドキュメント名 | 【ステンレスの基本がわかる!】表で比較する ステンレスの種類と性質の違い |
|---|---|
| ドキュメント種別 | ハンドブック |
| ファイルサイズ | 1.2Mb |
| 取り扱い企業 | 佐渡精密株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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スライド 1
表 で 比 較 す る !
ス テ ン レ ス
種類 と 性質 の違い
オーステナイト系?フェライト系?マルテンサイト系?
ステンレスって磁性があるの?ないの?
ステンレスの 基本がわかる!
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ステンレスとはどんな金属?
ステンレスは耐食性の向上を目的に、主成分を鉄(Fe)として、クロム(Cr)やニッケル(Ni)などを含有させた錆
びにくい合金鋼です。一般的にはクロム(Cr)の含有量が 10.5%以上の合金鋼がステンレス鋼と呼ばれます。
しかしステンレス鋼は種類が多く、成分や性質がそれぞれ違います。今回はステンレスの種類と代表的なステ
ンレスについて解説していきます。
ステンレスの種類
冒頭にも書きましたが、一言でステンレスと言っても数多くの種類があります。
例えば JIS 規格では 65 種類のステンレスが規定されており、海外の規格も合わせると 200 種類以上あると言
われます。今回は日本でよく使われる JIS 規格のステンレスを見ていきます。
JIS ではステンレスの記号は「SUS + 3 桁の番号 + (記号)」の構成となっています。
先頭の SUS の由来は、「Steel Use Stainless」の頭文字と言われています。
SUS の由来
S teel 鋼
(special)U se (特殊)用途
S tainless ステンレス
3 桁の番号で、そのステンレスの成分と性質が規定されています。
大きく分けると 300 番台、400 番台、600 番台があります。表 1 に大分類と主な特徴を記載します。
表 1;ステンレスの大分類と性質
熱処理での
3 桁の番号 分類 引張強度 耐食性 磁性
強化
オーステナイト系 ◯ ◯ なし ×
300 番台 オーステナイト・
△ △ あり ×
フェライト系
フェライト系 △ △ あり ×
400 番台
マルテンサイト系 ◯(焼鈍) △ あり ◎
600 番台 析出硬化系 ◯ △ あり ※
※析出硬化系は熱処理後のみ規定される
最後の記号は細かな規定を表しており、アルファベットなどで表されます。例えば SUS304L は SUS304 より
も含有炭素が少なく規定されています。
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代表的なステンレス
それぞれの分類と、よく使われるステンレスの特徴を紹介していきます。
オーステナイト系ステンレス (300 番台)・SUS304、SUS303、SUS316 など
◆クロム(Cr)とニッケル(Ni)を含む
オーステナイト系ステンレスはクロム-ニッケル系と呼ばれる
ステンレス鋼です。代表的な材質は SUS304 です。これは 18-8
ステンレスとも言われており 18%のクロム(Cr)と 8%のニッケル
(Ni)を含有するステンレス鋼です。この SUS304 を基本として、
他の元素を添加したり添加量を調製することで色々な性質を持た
せており、300 番台のオーステナイト系ステンレスは他の分類に
比べ種類が多いです。
◆耐食性・靭性に優れるが、使用環境に注意が必要
この分類のステンレスが最も錆びにくく、靭性もあるので様々な産業や業界で使われています。一方で
ニッケル(Ni)を多く含有しているので高価な材料となる他、応力腐食割れが起きやすいという特徴があり、
海水中など一部の環境で使用するには注意が必要です。
◆切削加工は難しいが、SUS303 は加工性が向上
オーステナイト系ステンレスは切削加工の面では靭性があり、加工硬化が大きいので難しい材料になり
ます。しかしその中でも快削性に優れた材質として、SUS304 に快削成分である硫黄(S)やリン(P)を添加し
た SUS303 が切削加工で多用されています。SUS303 は切りくずが分断しやすく、SUS304 と比較しても
工具寿命が長くなります。
◆非磁性(場合により磁性あり)
オーステナイト系は一般的にイメージされる磁性のないステンレスです。ただし、加工によってわずか
に磁性を帯びることがあります。
◆使用される場面
靭性や耐食性に優れているため、医療機器部品や自動車部品、各化学装置の部品など、多くの産業で使
われています。また優れた耐食性を活かして、スプーンやフォークといった洋食器や温水機、キッチン用
品などの家庭用としても用いられています。
オーステナイト系ステンレスの種類のイメージ
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フェライト系ステンレス (400 番台)・SUS430、SUS430F、SUS430LX、SUS430J1L など
◆クロム(Cr)のみを含む(ニッケルなし)
フェライト系ステンレスはクロム系のステンレス鋼です。代表
的なものは SUS430 になります。成分としては 18%のクロム(Cr)
を含有する合金鋼であり、炭素(C)を 0.12%以下に抑えられてい
る加工性の良い材質です。また SUS430 の中には切削加工し易い
ように、快削成分である硫黄(S)の含有量を増やした SUS430F と
いう材質も存在します。
近年では製錬技術の向上に伴いさらに低炭素化できるようにな
ったことから、加工性が向上した SUS430LX や耐食性が改善され
ている SUS430J1L といった材質もあります。
◆耐食性は 300 番台より低いが、コストが安い
この分類はステンレスの中では錆びやすい種類になり、引張強度もそこまで高くはありません。しかし
ニッケル(Ni)などの希少な元素が入っていないため、比較的安価な材料になります。
切削加工では強度や伸びが小さめなので加工しやすい材料ですが、管理には注意が必要です。
◆磁性あり
◆使用される場面
用途としては、自動車の部品や厨房器具、温水器などの屋内用部品に多く、比較的錆の影響を受けにく
い部分で SUS304 の安価な代替材としても用いられます。
マルテンサイト系ステンレス (400 番台)・SUS440C、SUS420J2、SUS416 など
◆クロム(Cr)が少なく、炭素(C)が多い
マルテンサイト系ステンレスはフェライト系ステンレスと同じ
クロム系のステンレスですが、フェライト系に比べクロム(Cr)が
少なく、炭素(C)が多く添加されている材料です。
◆フェライト系に比べ切削加工が難しい材質だが、一部例外もあり
フェライト系と比較して切削加工が難しい材質です。特に焼入
れ後は硬度が増すため、材質によっては研削による仕上げ加工が
必要になる場合もあります。
なお、切削性に特化したマルテンサイト系ステンレスも存在し、代表的なものに SUS416 や SUS410F2
があります。
◆耐食性はフェライト系より低いが、炭素鋼より優れる
炭素が多く含まれるため耐食性はフェライト系よりも劣りますが、炭素鋼よりは耐食性があります。ま
た錆も発生するので注意が必要です。
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◆焼入れで高強度・高硬度が得られる
マルテンサイト系ステンレスで特に引張強度の得られる材質は SUS440C です。
成分としては 17%のクロム(Cr)と 1.1%の炭素(C)が含有されており、マルテンサイト系ステンレスの中
では高クロムで最も炭素(C)の添加量が多い材質です。焼鈍材の段階でも比較的引張強度が高い材質ですが、
熱処理を行うと HRC58 以上に硬度を上げる事が出来ます。
◆磁性あり
◆使用される場面
耐食性、高い強度、耐摩耗性などの特徴から刃物、タービンのブレード、軸受、機械構造用部品(シャフ
ト・ボルト・バルブシートなど)やプラスチック射出成形用の金型などに使われており、主な材質として
は SUS420J2 が工業用や一般家庭用など、汎用的に用いられています。
その他のステンレス
・二相系ステンレス(SUS329J1, SUS329J4L):オーステナイト系とフェライト系の特徴を併せ持っています。
含有する割合によって、分類名称の前後が入れ替わります。
・析出硬化系ステンレス(SUS630, SUS631):析出硬化処理によって引張強度や硬度を高めることができます。
まとめ
・ステンレスは鉄を主成分としてクロム、もしくはクロム-ニッケルを含有する合金鋼です。
・ステンレスは「SUS+番号」で表され数多くの種類があり、その種類によって強度や耐食性の違い、磁性の有
無など性質が異なります。
表 2;ステンレスの大分類と主な特徴
3 桁の番号 分類 主な特徴
オーステナイト系 耐食性が高く、非磁性。加工硬化しやすい。
300 番台 オーステナイト・ 二相系ステンレスと呼ばれ、オーステナイト系と
フェライト系 フェライト系の特徴を併せ持っている。
フェライト系 安価で磁性あり。耐食性は 300 番台より低い。
400 番台
マルテンサイト系 高強度で磁性あり。焼入れで硬度を向上できる。
600 番台 析出硬化系 耐食性・強度を両立した特殊用途向け。
※析出硬化系は熱処理後のみ規定される
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