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「半導体ってなに?」から始める基礎講座
本資料は、半導体の基本構造や動作原理について、図解を交えてわかりやすく解説した入門向けコンテンツです。
「導体・絶縁体との違い」「シリコンの結晶構造」「n型・p型半導体の仕組み」「pn接合による整流作用」など、電気電子の基礎を学ぶ方に最適です。
また、MOSFETやIGBTなどのパワー半導体の概要にも触れており、電源設計や回路設計に関わる技術者の教育資料としても活用いただけます。
新電元工業が提供する、電力制御技術の基礎を学ぶ第一歩としてぜひご活用ください。
*2025/12/18:一部誤記修正を行いました。
このカタログについて
| ドキュメント名 | 半導体基礎知識 Part1 ~半導体ってなに?~ |
|---|---|
| ドキュメント種別 | ハンドブック |
| ファイルサイズ | 1.7Mb |
| 取り扱い企業 | 新電元工業株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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スライド番号 1
Basis of semiconductors
半導体の基礎知識
~ 半導体ってなに? ~
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スライド番号 2
半導体の基礎知識 Part1 ~半導体ってなに?~
目次
1 半導体の基礎 3
1-1 電気を流すものと流さないもの
1-2 半導体を使う理由
2 半導体の材料 「シリコン」 4
2-1 シリコンとはどういう物質?
2-2 シリコンの結晶化
3 n型半導体 5
3-1 n型半導体に使う不純物
3-2 シリコンにリンを混ぜると・・・
4 p型半導体 6
4-1 p型半導体に使う不純物
4-2 シリコンにホウ素を混ぜると・・・
5 p型半導体の中の電子の動き 7
6 半導体内部での電子と空席(ホール)の動き 8
6-1 n型半導体では・・・
6-2 p型半導体では・・・
6-3 なぜ電流と電子は流れる向きが逆なの?
7 pn接合による整流作用 9
7-1 pn接合半導体に順方向に電圧をかけると・・・
7-2 pn接合半導体に逆方向に電圧をかけると・・・
8 なぜ半導体を使うのか 10
9 パワー半導体とは? 11
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スライド番号 3
1 半導体の基礎
1-1 電気を流すものと流さないもの
様々な電子回路に欠かせない半導体。これら半導体の材料は現在シリコンが主流です。
半導体とは、導体と絶縁体の中間ぐらいの電気の流しやすさをもつ物質ですが、金属に比べて導電率は10桁くら
い低いので、実用的にはほとんど電気を流さない物質といえます。
では、なぜ中途半端に電流を通す物質を使うのでしょうか?
パワー半導体のような大きな電流を流す部品は、電気を流しやすい材料を使った方が良いように思えますが・・・。
高い 導電率 低い
(電気の流しやすさ)
電気を流しやすい 電気を流しにくい
導体 半導体 絶縁体
金 鉄 海 ゲ シ 紙 ガ セ ポ
水 ル リ ラ ラ リ
銀 ニ マ コ 純 ス ミ エ
ッ ニ ン 水 ッ チ
銅 ケ ウ ゴ ク レ
ル ム ム ン
ア
ル
ミ
1-2 半導体を使う理由
「電流を流しやすい」というだけなら金属の方が半導体よりはるかに優れています。
条件によって電流を流したり電流を流さなかったりすることができるのが半導体の面白いところです。
金属は「電流を流さない」ことができませんが、半導体はこの性質によって、整流したり制御したりできるのです。
高い 導電率 低い
(電気の流しやすさ)
電気を流しやすい 電気を流しにくい
導体 半導体 絶縁体
モールド樹脂
モールド樹脂は
「いつでも」電流を
端子は 通したくない
「いつでも」電流を
半導体チップ
たくさん流したい
端子
ダイオードの内部構造
(イメージ図)
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スライド番号 4
2 半導体の材料 「シリコン」
2-1 シリコンとはどういう物質?
シリコン(ケイ素)は原子番号14の元素です。
地球上で酸素に次いで2番目に多い元素として土壌や岩石など自然界に豊富に存在します。
高純度の単結晶シリコンは、集積回路などの電子部品に不可欠な材料です。
シリコンの原子は原子核の周りに14個の電子を持っています。
一番外側の軌道(最外殻)には4個の電子と4個の空席(ホール)を持っています。
電子 シリコン(silicon)
元素記号 Si
空席 空席
原子番号 14
原子核の周りに電子が14個
最外殻には4個の電子と4個の空席(ホール)がある状態
電子 電子
シリコン? シリコーン?
シリコン(silicon)とシリコーン(silicone)は名前が似てますが別の
ものです。
空席 空席 シリコンは元素のケイ素(Si)そのものを指します。金属のような見た目
をしていて半導体の材料などに使われます。
対してシリコーンは「ケイ素を含む化合物」で、ゴム、オイル、樹脂など
電子 様々な用途に用いられています。
2-2 シリコンの結晶化
「結晶」とは、原子が規則正しく並んでいる状態のことです。
シリコン原子は、一番外側の軌道(最外殻)には4個の電子と4個の空席(ホール)を持っています。
シリコン原子同士は、お互いの空席(ホール)を埋めるように電子を共有して結合します。(共有結合といいます)
お互いの空席(ホール)を埋めるように
電子を共有して結合します。
最外殻に4個の電子と4個の空席(ホール)
がある状態を図にすると・・・
電子 空席
結晶化
空席 電子
電子 空席
空席 電子
実はこのような純粋なシリコンの結晶はほとんど電流を流しません。
そこで電流を通す半導体にするためにひと工夫します。
このシリコン単結晶に、ある種の不純物を加えるとシリコンは電流を流せるようになるのです。
不純物の種類によって半導体はn型半導体とp型半導体に区別されます。
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スライド番号 5
3 n型半導体
3-1 n型半導体に使う不純物
n型半導体とは、シリコンにリンなどを不純物として添加したものです。
リンは原子番号15の元素です。リンの原子は原子核の周りに15個の電子を持っています。
一番外側の軌道(最外殻)には5個の電子と3個の空席(ホール)を持っています。
電子 リン(phosphorus)
元素記号 P
空席 電子
原子番号 15
原子核の周りに電子が15個
最外殻には5個の電子と3個の空席(ホール)がある状態
電子 電子
空席 空席
電子
3-2 シリコンにリンを混ぜると・・・
シリコンの単結晶は、共有結合により余っている電子や空席(ホール)が無い状態です。
このシリコン単結晶に少量のリンを混ぜてみると・・・
リンはシリコンより電子が1個多いので、シリコンと結合する際に電子が1個、はじき出されてしまい、電子が1個
余った状態になります。この余った電子を自由電子と呼びます。
この自由電子は、電圧をかければ+極に引き寄せられて自由に動ける(電流を流せる)状態になります。
最外殻に5個の電子と3個の空席(ホール) 電子が1個余っている状態。
がある状態を図にすると・・・ この余った電子を自由電子と呼びます。
電子 電子 自由電子
結晶化
空席 電子
電子 空席
空席 電子
はじき出された電子
↓
自由電子
n型半導体の「n」ってなに?
リンはシリコンより電子が1個多いので、
シリコンとリンを混ぜて出来る自由電子は負(negative)
シリコンと結合する際に電子が1個、 の電荷を持っていることから、n型半導体と呼ばれます。
はじき出されてしまいます。
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スライド番号 6
4 p型半導体
4-1 p型半導体に使う不純物
p型半導体とは、シリコンにホウ素などを不純物として添加したものです。
ホウ素は原子番号5の元素です。ホウ素の原子は原子核の周りに5個の電子を持っています。
一番外側の軌道(最外殻)には3個の電子と5個の空席(ホール)を持っています。
ホウ素(boron)
電子 元素記号 B
空席 空席 原子番号 5
原子核の周りに電子が5個
最外殻には3個の電子と5個の空席(ホール)がある状態
電子 電子
空席 空席
空席
4-2 シリコンにホウ素を混ぜると・・・
前述の通り、シリコンの単結晶は、共有結合により余っている電子や空席(ホール)が無い状態です。
このシリコン単結晶に少量のホウ素を混ぜてみると・・・
ホウ素はシリコンより空席が1個多いので、シリコンと結合する際に電子が不足となり、1か所、空席のままの状態が
できます。
つまりこの空席(ホール)は電子が入っていない状態であり、実体がなく仮想の粒子ともいえます。
最外殻に3個の電子と5個の空席(ホール) 1か所、空席のままの状態。
がある状態を図にすると・・・ この空席(ホール)は実体がなく仮想の粒
子ともいえます。
空席 空席
結晶化 空席(ホール)
空席 電子
電子 空席
空席 電子
p型半導体の「p」ってなに?
シリコンとホウ素を混ぜて出来る空席(ホール)は正孔とも
呼ばれ、正(positive)の電荷を持っていることから、p型半
導体と呼ばれます。
このように不純物の種類によって半導体はn型半導体とp型半導体に区別されます。
このn型半導体とp型半導体の2つを組み合わせて、ダイオードやトランジスタなどの半導体素子が作られます。
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スライド番号 7
5 p型半導体の中の電子の動き
p型半導体に電圧をかけると、電子は+極に引き寄せられて近くの空席(ホール)に移動します。
すると、電子の移動で空いたところが新たな空席(ホール)となり、また となりの電子が移動します。
これを繰り返すことで電子は+極の方へ移動し、同時に空席(ホール)は-極の方へ移動していくように見えます。
空席 電子が空席に移動する
電子 空席 電子 電子 電子 電子
電子が移動したところが空席になる
電子 電子 空席 電子 電子 電子
電子 電子 電子 空席 電子 電子
電子 電子 電子 電子 空席 電子
電子が近くにある空席(ホール)に移動すると・・・
見かけ上、空席(ホール)が-極側に移動したように見える
このことから実際に動いているのは電子ですが、空席(ホール)を+の電気を持った粒子とみなすことができます。
空席(ホール)は実体がないものですが、半導体の理論では+の電気を持った仮想の粒子として扱い、p型半導体の
内部では、空席(ホール)が移動することによって電流が流れると考えます。
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スライド番号 8
6 半導体内部での電子と空席(ホール)の動き
6-1 n型半導体では・・・ 6-2 p型半導体では・・・
シリコンにリンなどを混ぜて作るn型半導体は、自 シリコンにホウ素などを混ぜて作るp型半導体は、
由電子という電子が余った状態になっています。 電子が不足して空席(ホール)が余った状態です。
自由電子は負(マイナス)の電荷を持っているため、 このp型半導体に電圧をかけると、電子は+極に
このn型半導体に電圧をかけると、自由電子は+極 引き寄せられて近くの空席(ホール)に移動してい
に引き寄せられるように移動します。 きます。すると、電子の移動で出来た新たな空席
このとき、電流の向きは電子の移動の向きとは逆 (ホール)にとなりの電子が移動していきます。
になり、 +極から-極に向かって流れます。 実際に移動しているのは電子ですが、空席(ホー
ル)が-極に向かって移動しているように見えます。
n型半導体 p型半導体
空席(ホール)
自由電子
電流 電流
このように、p型半導体もn型半導体も電流を流すことができますが、金属ほど電流が流れやすいわけではないの
で、ただ電流を流すだけなら半導体を使う必要はありません。
条件によって、電流を「流したり流さなかったりできる」ということが半導体の特長です。
その基本的な原理がpn接合による整流作用です。
6-3 なぜ電流と電子は流れる向きが逆なの?
電流の流れる向きを決めたのは、フランスの物理学者であるアンドレ=マリ・アンペール(1775-1836)だと言わ
れています。彼は電流の単位である「アンペア」の名前の由来にもなっています。
電流の研究が始まった当初は、電流が実際にどういうものなのか?何が流れている(移動している)か?というこ
とが分かっていなかったのです。電流の流れる向きも不明でした。
そこで、アンペールは電流が流れると方位磁針が動くことから、正の電気(正電荷)が流れる方向を電流の向きとし
ました。
つまり「電流は+極から-極へ流れる」と定義したのです。
ところが1897年、イギリスの物理学者であるジョゼフ・ジョン・トムソン(1856-1940)によって「電子」が発見さ
れ、電流の正体が電子であるということがわかりました。
電子は負の電気(負電荷)なので、 「電子は-極から+極へ流れる(移動する)」ということが判明し、アンペールが
定義した電流の向きとは逆の向きに流れるとわかったのです。
しかし、そのころにはアンペールが定義した電流の向きが広く浸透していたため 「負の電気を持った電子が-極か
ら+極に向かって流れているので、電流としては+極から-極に流れている」 ということにして辻褄を合わせたの
です。
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スライド番号 9
7 pn接合による整流作用
7-1 pn接合半導体に順方向に電圧をかけると・・・
pn接合の半導体を、 p型半導体が+極になるように電圧をかけると、空席(ホール)も電子(自由電子)も、接合面
に向かって移動していきます。
接合面(ジャンクション)で空席(ホール)と電子(自由電子)が出会うと、電子が空席(ホール)に飛び込み、打ち消し
あって両方が消滅します。すると、消滅した分の電子が新たにn型半導体に流入し、 p型半導体からは電子が流出
することで新たな空席(ホール)が発生します。これを繰り返して電流が流れ続けます。
接合面(ジャンクション)
飛び込む
p型半導体 n型半導体
空席(ホール) 自由電子
消 滅
電子の流れ
電流の流れ
電子の流出 電子の流入
7-2 pn接合半導体に逆方向に電圧をかけると・・・
pn接合の半導体を、 n型半導体が+極になるように電圧をかけると、空席(ホール)も電子(自由電子)も、お互い
に遠ざかるように移動していきます。
したがって接合面(ジャンクション)で空席(ホール)と電子(自由電子)が出会うことが無くなり、電流は流れません。
接合面(ジャンクション)付近に空乏層という空席(ホール)も電子も存在しない領域ができます。
これが「耐圧」を生み出します。「耐圧」とは半導体デバイスが破壊されることなく耐えられる最大の電圧のことです。
接合面(ジャンクション)
このあたりは空席(ホール)も電子も
存在しない領域
n型半導体 p型半導体
空乏層
自由電子 空席(ホール)
電流は流れない
このようにpn接合の半導体には、かける電圧の向きによって電流を流したり、流さなかったりする「整流作用」があ
ることが分かります。
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スライド番号 10
8 なぜ半導体を使うのか
pn接合を組み合わせることで様々な半導体デバイスをつ
半導体の基本 「整流作用」
くることができます。
p型半導体とn型半導体をどのように接触させるか、組み
合わせるかで動作や特性が変わりますが、いずれも「ある p n
条件のもとでは電流を流し、ある条件のもとでは電流を流
さない」という性質を利用しています。 n p
pからnには nからpには
電流を流す 電流を流さない
ダイオード MOSFET IGBT サイリスタ
A(アノード) D(ドレイン) C(コレクタ) A(アノード)
p p
n
p G(ゲート)
G(ゲート) n G(ゲート) n
p
n p p
n
n n
K(カソード) S(ソース) E(エミッタ) K(カソード)
半導体を使うことで・・・
■ 整流作用により電流の流れる向きを制御できる
■ 電流を「流す・流さない」を制御できるので、スイッチとして使うことができる
■ 必要なときにだけ電流を流すように制御できるので、電力消費を抑えることができる
・・・など、様々な利点があります。
これらの理由から、半導体は現代社会における様々な分野で幅広く利用されています。
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スライド番号 11
9 パワー半導体とは?
半導体デバイスの中で、特に大きな電流や電力を扱うことを目的に作られたものをパワー半導体といいます。
明確な線引きはありませんが、おおむね定格電流が1A以上のものをパワー半導体と分類しています。
代表的なデバイスの種類には以下のようなものがあります。
一般整流ダイオード
ファストリカバリダイオード (FRD)
ダイオード
ショットキーバリアダイオード (SBD)
ツェナーダイオード (TVS)
バイポーラトランジスタ
トランジスタ MOSFET
IGBT
SCR (Silicon Controlled Rectifier)
サイリスタ シリコンサージ防護素子
トライアック
パワーIC (Integrated Circuit)
その他 パワーモジュール
・・・など
半導体の動作原理や素子の構造による分類とは別に、パッケージの形態による分類や、一つのパッケージに内蔵さ
れる素子の個数や接続による機能面からの分類もあります。
パッケージ・外形による分類
半導体チップを覆うモールド樹脂の形状や、端子のレイアウトによる分類の例です。
SIP DIP
(Single Inline Package) (Dual Inline Package)
接続や機能・用途による分類
搭載されている半導体チップの接続の仕方や、機能・用途による分類の例です。
ブリッジダイオード センタータップ型ダイオード
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スライド番号 12
Basis of semiconductors
半導体の基礎知識
Shindengen Electric Manufacturing Co., Ltd.
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