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MS1007SH|HVスタートアップ・オートバースト搭載・SOP8パッケージ
MS1007SHは、擬似共振動作により高効率・低ノイズ化を実現するスイッチング電源制御ICです。起動抵抗不要のHVスタートアップ機能を搭載し、部品点数を削減。オートバースト機能で軽負荷時の効率を改善し、スタンバイ電力を低減します。ソフトスタート・ソフトドライブによりスムーズな起動とノイズ抑制を実現。過電圧・過電流・過負荷・過熱保護を内蔵し、白物家電や産業機器など幅広い用途に対応します。小型SOP8パッケージ採用。
このカタログについて
| ドキュメント名 | アプリケーションノート|MS1007SH|擬似共振で高効率・低ノイズを実現するスイッチング電源制御IC |
|---|---|
| ドキュメント種別 | ハンドブック |
| ファイルサイズ | 1.1Mb |
| 取り扱い企業 | 新電元工業株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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MS1007SH
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CAT. No.1D0400-1
『製品及び製品仕様は、お断りなく変更する場合があります。ご了承下さい。』
SHINDENGEN ELECTRIC MFG. CO. , LTD.
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CAT. No.1D0400-1
使用上の注意
このたびは、弊社製品をご使用いただき誠にありがとうございます。
当 IC をご使用の際は、お客様の安全を確保するため下記の警告ならびに注意を必ず守ってご使用下さい。
警
誤った取り扱いをした時に死亡や重大な人身事故及び大きな物的損害に結びつく危険性のあるもの。
告
注
誤った取り扱いをした時に軽傷に結びつく恐れ、または軽微な物損事故に結びつく恐れのあるもの。
意
当 IC は、一般電子機器(事務機器・通信機器・計測機器・家電製品等)に使用されることを意図して
警 おります。誤動作や事故が直接人体や生命を脅かす恐れのある医療器、航空宇宙機、列車、輸送機器
告 (車載、船舶等)、原子力等の制御機器には使用しないで下さい。一般電子機器以外にご使用になる場
合は弊社までご相談下さい。
修理や改造は、重大な事故につながりますので、絶対にやめて下さい。
《感電、破壊、火災、誤動作等の危険があります。》
異常時は出力端子に過大電圧が発生したり、電圧低下となる場合があります。 異常時の、負荷の誤動
作や破壊等を想定した保護対策(過電圧保護、過電流保護等の保護対策)を最終機器に組み込んで下
さい。
注
意 入力端子、出力端子の極性を確認し誤接続の無いことを確認してから通電して下さい。
《保護素子が切れたり、発煙・発火の原因になります。》
決められた入力電圧を必ず守っていただくとともに、入力ラインに必ず保護素子を挿入して下さい。
《異常時には発煙・発火の危険があります。》
使用中に故障または、異常が発生した時は、すぐに入力を遮断して電源を停止させて下さい。また、直
ちに弊社にご相談下さい。
●本資料に記載されている内容は、製品改良などのためお断りなしに変更することがありますのでご了承下さい。
●御使用頂く際には、仕様書の取り交わしをして頂けます様お願いします。
●ここに記載されたすべての資料は正確かつ信頼し得るものでありますが、これらの資料の使用によって起因する損害ま
たは特許権その他権利の侵害に関しては、当社は一切その責任を負いません。
●本資料によって第三者または当社の特許権その他権利の実施に対する保証または実施権の許諾を行うものではありません。
●本資料の一部または全部を当社に無断で転載または複製することを堅くお断りいたします。
当社は、品質と信頼性の向上に絶えず努めていますが、半導体製品はある確率で故障が発生したり、誤動作する場合
があります。必要に応じ、安全性を考慮した冗長設計、延焼防止設計、誤動作防止設計等の手段により結果として人身事
故、火災事故、社会的な損害等が防止できるようご検討下さい。
本資料に記載されている当社半導体製品は、特別に高い品質・信頼性が要求され、その故障や誤動作が直接人命を脅
かしたり、人体に危害を及ぼす恐れのある機器あるいはシステムに用いられることを目的として設計、製造されたもので
はありません。下記の特別用途、特定用途の機器、装置にご使用の場合には必ず当社へご連絡の上、確認を得て下さい。
特別用途
輸送機器(車載、船舶等)、基幹用通信機器、交通信号機器、防災/防犯機器、各種安全機器、医療機器 等
特定用途
原子力制御システム、航空機器、航空宇宙機器、海底中継器、生命維持のための装置 等
なお、IC 製品に関しては、特別用途・特定用途に限らず、連続運転を前提として長期製品寿命を期待される機器、装
置にご使用される場合に関しては当社へお問い合わせ下さい。
当社は IC 製品を安全に使っていただくために回路支援をしております。弊社担当営業にお問い合わせ
下さい。
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目次
1:概要 … 4 4:各端子の機能 … 16
1.1:はじめに … 4 4.1:Z/C 端子 … 16
1.2:特長 … 4 4.2:F/B 端子 … 16
1.3:用途 … 4 4.3:GND 端子 … 16
1.4:外形寸法図 … 5 4.4:OCL 端子 … 16
1.5:基本構成回路 … 5 4.5:VG 端子 … 16
2:ブロック図 … 6 4.6:VCC 端子 … 16
2.1:ブロック図 … 6 4.7:Vin 端子 … 16
2.2:端子名称 … 6 5:設計方法 … 17
3:回路動作 … 7 5.1:設計フローチャート … 17
3.1:起動 … 7 5.2:メイントランス参考設計条件 … 18
3.1.1:起動回路 … 7 5.3:メイントランス参考計算式 … 18
3.1.2:ソフトスタート … 8 5.4:各動作点を確認する … 20
3.1.3:バイアスアシスト … 8 5.4.1:式中の記号について … 21
3.2:発振動作 … 9 5.4.2 谷飛び開始電力を
… 21
3.2.1:オントリガ回路 … 9 求める計算式
3.2.2:擬似共振動作 … 9 5.4.3 谷飛び解除電力を
… 21
3.2.3:ソフトドライブ … 10 求める計算式
3.2.4:谷飛び動作 … 10 5.4.4 オートバースト開始・解除
… 23
3.2.5:出力電圧制御 … 11 電力を求める計算式
3.3:バーストモード発振動作 … 11 5.4.5 垂下点電力を
… 24
3.3.1:オートバースト(自動スタンバイ)機能 … 11 求める計算式
3.4:保護機能 … 13 5.5 各端子の設計 … 26
3.4.1:VCC 過電圧保護(OVP) … 13 5.5.1 Z/C 端子(5 番端子)周辺 … 26
3.4.2:過電流保護(OCP) … 13 5.5.2 F/B 端子(6 番端子)周辺 … 27
3.4.3:過負荷保護(自動復帰タイプ) … 14 5.5.3 OCL 端子(2 番端子)周辺 … 28
3.4.4:VCC-GND 短絡保護 … 14 5.5.4 VG 端子(1 番端子)周辺 … 29
3.4.5:リーディングエッジブランク 15 5.5.5 VCC 端子(3 番端子)周辺 … 29
3.4.6:オントリガ誤動作防止回路 … 15 5.5.6 共振コンデンサの設定 … 32
3.4.7:過熱保護(TSD) … 15
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1:概要
1.1 はじめに
MS1007SH は、ラッチ停止機能がない自動復帰タイプであり、擬似共振回路を用いてスタンバイ
電力低減・高効率・低ノイズ化を実現できます。また、各種高付加価値機能により少ない外付け部
品でより使いやすく簡単に電源設計を行うことができる高機能 IC です。
1.2 特長
1)擬似共振動作により高効率・低ノイズ化に寄与
2) 4STEP ソフトスタート機能内蔵
3)起動抵抗が不要な起動回路(HV Startup)を内蔵し、起動回路での損失を大幅に削減
4)自動谷飛び機能により発振周波数の上昇を抑制し軽負荷時効率を改善
5)部品追加なしに軽負荷領域の効率を改善するオートバースト機能
6)ノイズに有利なソフトドライブ回路を内蔵
7)自動復帰タイプの過熱保護・過電圧保護・過負荷保護を内蔵
8)1 次電流制限回路に入力電圧依存補正回路を内蔵し、部品点数を削減
9)起動回路バイアスアシスト機能内蔵
10)VCC-GND 短絡保護機能内蔵
11)小型化に有利な SOP8/7J パッケージを採用
1.3 用途
■白物家電
■産業機器
■DVD/BD レコーダ・プレイヤー
■Digital-STB 用電源
■OA 機器
■その他電化製品
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1.4 外形寸法図 単位:mm
1.27
0.4
0.605
5.02
1.5 基本構成回路
GND VCC OCL VG
4 3 2 1
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5 6 7 8
Z/C F/B NC Vin
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2:ブロック図
2.1 ブロック図
LONG TIMER COUNTER S
Q
R
POWER
Ton
Dead Restart LIMIT F/F
TSD
Timer
ZCD EDIGE SOFT
1 VG
TRIGA OVP DRIVER
ON OFF COMP
Z/C - COUNTER F/F
5 S
+ LOGIC
Z/C S Q Q
BOTTOM R R
COMP SKIP Circuit 2 OCL
Latch F/F
IDP Limit
VCC
Ton COMP
COMP OCL
F/B 6 - OFF TIMER
+ Circuit1
F/B Clamp OFF LEB IDP burst
COMP Circuit2 COMP
Ton
-
Timer +
BURST START
STOP COMP
- DRAIN
+
+ KICK 8 Vin
-
BURST OFF VFB Stup UVLO
COMP TIMER
AUTO BURST COMP
- COUNT 3 VCC
+ LOGIC
LOGIC
VCC UVLO
COMP
4 GND
2.2 端子名称
8 7 6 5
Vin NC F/B Z/C
VG OCL VCC GND
1 2 3 4
端子番号 記号 端子名称
1 VG VG 端子
2 OCL オーバーカレントリミット端子
3 VCC VCC 端子
4 GND グランド端子
5 Z/C ゼロ電流検出端子
6 F/B フィードバック端子
7 NC NO CONNECT
8 Vin Vin 端子
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3:回路動作
3.1 起動
起動シーケンスは下図にようになります。
Vin
Nc巻線 なし あり なし あり なし あり なし あり
バックアップ
ノーマルモード スタンバイモード ノーマルモード
スタンバイ
VCC(start)=
VCC(stup off)=12V
VCC(stup on normal)=9V
VCC(stop normal)=8V
ノーマルしきい値
VCC(stup on stby)=8V スタンバイしきい値
VCC(stop stby)=7V
VCC
VCC UVLO
起動
UVLO
起動シーケンス
3.1.1 起動回路
起動抵抗を必要としない起動回路を内蔵して Np
いますので部品点数が少なく簡単に動作させ
8 Vin端子
ることができます。右図は、起動回路略図です。
起動回路
起動するまでは、Vin 端子から VCC 端子へ起
動回路電流 ICC(stup)により右図 C を充電しま
す。 ICC(stup)
VCC 電圧が発振開始電圧 VCC(start)=12V(typ) 3
に達すると発振が開始され、起動回路がオフし VCC端子
C Nc
起動回路電流 ICC(stup)を止めます。VCC 端子
は、VCC(start)で発振開始し、発振停止電圧
VCC(stop stby)=7V(typ)もしくは VCC(stop normal)=8V(typ)で発振停止するヒステリシスを持ちます。
また VCC 電圧をアシストする機能によって安全に起動させることができます。このアシスト機能
については、3.1.3 項を参照してください。
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3.1.2 ソフトスタート
起動時には、OCL レベルが 4 段階に変わり、それに伴って主スイッチング(SW)素子に流れる電流
は段階的に増加します。この動作により主スイッチング素子に流れる電流の包絡線は 4step の形状
になりソフトに立ち上がります。
ソフトスタートの時間は Tss1~Tss3 で規定され、時間設定は IC 内部で決定しています。
VCC(start)=12V(typ)
VCC
通常OCL値
Vss3=350mV
Vss2=120mV
Vss1=40mV
主スイッチ電流
ID
Tss1=45ms Tss2=35ms Tss3=35ms 定常動作
SS
reset
SSreset
3.1.3 バイアスアシスト
起動時において、発振開始直後に VCC 電圧が下がる過程で発振停止電圧 VCC(stop stby)=7V(typ)
もしくは VCC(stop normal)=8V(typ)を下回り発振停止してしまわないように VCC へエネルギーを
供給するアシスト機能を内蔵しています。この機能により、起動の失敗がありません。
下図は、この機能による VCC の起動略図です。
VCC(stup on stby)
VCC(Start) or VCC(stup on normal)
アシスト機能あり
VCC(stop stby) VCC(stop stby)
or VCC(stop normal) or VCC(stop normal)
VCC VCC
発振停止電圧を下回ることがないので
発振停止電圧を下回ると発振が停止する 発振停止期間がありません。
期間が発生し再起動動作をします。
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3.2 発振動作
3.2.1 オントリガ回路
VZ/C
右図のようにZ/C端子電圧が立ち下がり(ネガテ =0.25V
ィブエッジ)のゼロ検出電圧 VZ/C=0.25V(typ)に
Z/C端子電圧
達するとゲート信号を出し、主スイッチング素
子をオンさせます。
エネルギー放出タイミングをコントロール巻線 ID
(Nc)から検出し、主スイッチング素子をオンす
ることで電流臨界動作を行っています。
2次整流ダイオード電流
Z/C 端子電圧が Hi から Low への移行時に検出
するネガティブエッジ検出を採用することでノ
イズの影響を最小限に抑えています。また、
主スイッチ電圧
VZ/C=0.25V(typ)に対して 50mVのヒステリシス VDS
をもたせることにより、さらに耐ノイズ性を高
めています。
コントロール巻線電圧
3.2.2 擬似共振動作
主スイッチング素子のドレイン-ソース間に右図のように共振コンデンサを付加した回路におい
て、2 次側ダイオード電流が 0A になったときにメイントランスの 1 次インダクタンス Lp と共振
コンデンサ Cq による共振周波数での減衰振動が始まります。
Z/C 端子に接続される右図 CR 時定数を調整することにより、減衰振動電圧の谷点で主スイッチン
グ素子をターンオンさせることができます。
これにより、ターンオンロスを低減することができます。
Lp
Vin端子
8
VG端子 Z/C端子
Cq 1 5
R
4 C
GND
端子
CとRの時定数で
オンタイミングを遅らせる
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3.2.3 ソフトドライブ
ドレイン電流に合わせた
ソフトドライブ回路により、ゲートドライブ電圧はオン直後に ゲート電圧供給
主スイッチング素子のゲートしきい値を少し越えるトリガ電
VGS
圧を与えます。その後、定電流駆動とする事で必要以上のゲー
ト電圧供給を抑制しています。 急峻なゲートチャージ
を低減
この動作によりゲートチャージ電圧による損失低減及び共振
IG
コンデンサ放電電流ピークを抑制し、ノイズを低減させます。 軽負荷時の
無効電荷削減
共振コンデンサ放電電流の
ダンピング
I
D
3.2.4 谷飛び動作
谷飛び動作は、発振周波数の上昇を抑制し軽負荷効率を改善する自動谷飛び機能を有します。
擬似共振モードと谷飛びモードの切り替えはスイッチング周期を監視しており、スイッチング周
期が谷飛び開始周期 T(bottom skip start) =7.5μs(typ)以下になると
通常の擬似共振モードから谷飛びモード(谷点 2 回目オン)
へ切替る事によりオフ時間を共振 1 周期分延長し周波数上昇を抑える機能を持っています。オフ
時間を共振谷飛びモードに切り替わると周期監視タイマー時間が変更され、オンしてから 1 回目
の電圧谷点までの時間が、谷飛び停止周期 T(bottom skip stop)=13μs(typ)以上となった時に通常の擬
似共振動作に戻ります。このようにヒステリシスを確保する事で波形バタつきや音鳴きの対策を
行っています。
MS1007SH のシーケンス図
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3.2.5 出力電圧制御
MS1007SH は、F/B 端子電圧 VF/B に比例したオン幅
VCC
TonF/B で出力電圧を制御しています。
VF/B が 1.5V の時に TonF/B が最小となり、V IF/B
F/B が 4.5V
の時に TonF/Bが最大となるようにリニアに制御されま 6 フォトカプラにより
F/B端子 出力電圧を制御
す。F/B 端子からは IF/B を流出しており、F/B-GND 端
子間に外部接続されるフォトカプラトランジスタのイ 出力電圧誤差検
出帰還信号
ンピーダンスが、2 次側出力検出回路からの制御信号に
より変化することで、主スイッチング素子のオン幅を
制御し定電圧化しています。
また、F/B 端子にはプロテクトモードカウント開始電圧
VF/B(Protect mode count)=4.6V(typ)が設定されており、
この電圧以上になるとタイマーが動作し始めます。こ
の状態をプロテクトモードカウト T(Protect mode
count)=250ms(typ)維持すると過負荷保護モード(3.4.3 頁
参照)に入ります。
3.3 バーストモード発振動作
3.3.1 オートバースト(自動スタンバイ)機能
MS1007SH は、ノーマルモードとバーストモードを自動で切り替える事で、スタンバイ用の外付
部品を追加する事なく、スタンバイ時の低消費電力化が実現できます。
1)ノーマルモードからバーストモードへの切り替え動作
負荷が軽くなり、ドレイン電流を電流検出している OCL 端子電圧 VOCL が、スタンバイ切替電圧
VOCL(stby)=40mV(typ)以下の状態を、スタンバイ切替時間 Tstby=250ms(typ)以上継続させると、ノ
ーマルモードからバーストモードへ自動で切り替わります。
Tstby=250ms(typ)以上
VOCL(stby)
=40mV
ID
動作 ノーマルモード バーストモード
モード
VF/B
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F/Bオン幅 TonF/B[μs]
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2)バーストモード制御
バーストモードでは、VOCL(stby)=40mV(typ)以下の状態からドレイン電流を OCL 端子で検出しス
タンバイ電流しきい値電圧 VTH(stby)=60mV(typ)にし、毎パルス制限することにより発振を制御し
ます。
出力電圧の制御は、ノーマルモード時のリニア制御から VF/B が発振開始電圧 VF/B(stby
start)=1.8V(typ)で発振開始し、発振停止電圧 VF/B(stby stop)=0.8V(typ)で発振が停止する制御に変わ
ります。この制御により出力電圧にリップルを持たせて間欠発振を行い、単位時間当たりのスイ
ッチング損失を削減する事でスタンバイ時の消費電力低減を行っています。
また、ノーマルモード時のしきい値に対して下記のしきい値の切り替えを行っています。
発振停止電圧、起動回路 ON 電圧は、それぞれノーマルモードから、しきい値が1V 下がります。
VCC(stop normal)=8V(typ)→VCC(stop stby)=7V(typ)
VCC(stup on normal)=9V(typ)→VCC(stup on stby)=8V(typ)
これにより、スタンバイ時の VCC 設定の調整をし易くする事で更なる消費電力の削減が可能にな
ります。
3)バーストモードからノーマルモードへの切り替え
負荷が重くなり VF/Bが上昇し、スタンバイ解除 F/B 電圧 VF/B(stby reset)=3V(typ)を越えると、ノー
マルモードへ自動切り替えを行います。
バーストモードからノーマルモードへ切り替るとスタンバイ時に切り替えていた各しきい値が戻
ります。このとき、通常起動の約 1/70 の時間(Tss(stby return)1,2,3)にソフトスタートが掛かり、切
り替え時の波形バタツキ等を抑えています。
通常起動の約1/70の時間のソフトスタート
ID
3V VF/B(stby reset)
1.8V VF/B(stby start)
0.8V VF/B(stby stop)
VF/B
バーストモード ノーマルモード
スタンバイ
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3.4 保護機能
3.4.1 VCC 過電圧保護(OVP)
MS1007SH には自動復帰タイプの過電圧保護(OVP)が搭載されています。Nc 巻き線電圧を
平滑した VCC 電圧が過電圧発振停止電圧 VOVP(STOP)=23V(typ)以上で発振を停止します。つ
まり、間接的に 2 次側出力の過電圧保護を行います。また、発振が止まり、VCC 電圧が過電
圧発振停止解除電圧 VOVP(RESET)=8V(typ)電圧以下まで下がると、起動回路が動作を開始し、
発振開始電圧 VCC(start)=12V(typ)以上になると発振を再開します。
VOVP(STOP)=23V
VCC
VOVP(RESET)=8V
VDS(VCE)
Vout
VCC電圧→上昇(出力検出オープン等異常モード) VCC電圧→通常値(異常モード解除)
3.4.2 過電流保護(OCP)
OCL-GND Np
端子間に電流検出抵抗を接続することで
主スイッチング素子のソース電流を検出し、オン幅によ VG端子 8 Vin端子
って決定されるしきい値電圧により、パルス・バイ・パ 1
ルス動作で主スイッチング素子の電流制限を行います。
2
この電流制限保護機能には、入力電圧依存を補正する機
電流検出 OCL端子 4
GND端子
能が内蔵されており、IC 内部の OCL しきい値は 抵抗
VTH(OCLstart)=0.38V(typ)⇒VTH(OCL)clamp=0.54V(typ)
のように変化させています(下図参照)。主スイッチング素子のドレイン電流の傾斜(di/dt)
は、入力電圧に比例することから、入力電圧が高くなるとより小さな IDP で OCL しきい値に
達するようになり垂下が補正されます。
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3.4.3 過負荷保護(自動復帰タイプ)
電流検出抵抗で設定した垂下電力以上の電力を取 VTH(OCL)垂下電力制限以上の電力を取ると、
る(過負荷状態になる)と、VF/B が上昇します。 VF/Bが上昇しT(Protect mode count)=250ms経過で
過負荷保護モードへ切り替え
VF/B がプロテクトモードカウント開始電圧
VF/B(Protect mode count)=4.6V(typ)以上で、その状
態をプロテクトモードカウント T(Protect mode 過負荷保護モード
count)=250ms(typ)継続すると、過負荷保護モード
に切り替えます。
過負荷保護モードでは、過電流検出を通常動作モ
ードのしきい値である垂下入力補正クランプ電圧 0 出力電流 Iout
VTH(OCL)clamp=0.54V(typ)からプロテクトモー
ド電流しきい値電圧 VTH(Protect mode)=120mV(typ) (VTH(OCL)clamp の 1/4.5)に変更した上で電流
制限し、且つ起動バイアスアシスト機能をオフします。
通常動作モードへの復帰は、負荷を軽くして過負荷状態が解除され、VF/B がプロテクトモードカ
ウント開始電圧 VF/B(Protect mode count)=4.6V(typ)以下になると、通常動作モード(通常 OCL、バ
イアスアシストオン)に戻ります。
出力短絡時は入力電圧が高いと IC の発熱が高くなりますので、IC の温度を確認してご使用下さい。
過負荷
Iout
ID(IC)
VF/B(Protect mode count)
=4.6V
250ms
VF/B
VCC
モード 通常動作モード 過負荷保護モード 通常動作モード
3.4.4 VCC-GND 短絡保護
VCC-GND を短絡すると、起動回路に電流が流れ続けるため IC が発熱してしまいます。この状態
を回避するため短絡時に VCC 電流 ICC を低減する機能が内蔵されています。このことにより短
絡時の過大な発熱を抑えることができます。
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3.4.5 リーディングエッジブランク
MS1007SH には主スイッチング素子がオンしてから一定時間ドレイン電流検出回路からのトリガ
信号を受け付けない期間を設け、ノイズマージンを上げる機能“リーディングエッジブランクタイ
ム TLEB=300ns(typ)”を搭載しています。
これにより、主スイッチング素子がオンする瞬間のゲートドライブ電流や、共振コンデンサの放
電電流による誤検出を防ぎます。
3.4.6 オントリガ誤動作防止回路
起動・負荷短絡時には、出力電圧が設定電圧より極端に小
さくなるので、出力電圧に比例したコントロール巻線電圧
も非常に小さい値となり、オフ時のリンギング電圧により
オントリガタイミングを誤検出し、電流臨界点に到達する
前にオンしてしまう可能性があります。
MS1007SH では起動・負荷短絡時のオントリガ誤動作防止
回路を内蔵しています。
この機能は、IC 内部主スイッチング素子がオフしてからオ
ントリガを禁止する期間 Tondead=2μs(typ)を設けることで、オフ時のリンギング電圧による誤検出
を防止します。
3.4.7 過熱保護(TSD)
MS1007SH の過熱保護回路(サーマルシャットダウン TSD)は過熱保護発振停止温度
OTS(H)=150℃(typ)になると発振動作を停止し、過熱保護発振復帰温度 OTS(L)=110℃(typ)まで下
がると発振動作を再開するヒステリシス動作となります。
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4:各端子の機能
4.1 Z/C 端子(5番端子)
Z/C 端子は、Nc 巻線電圧を検出しターンオン信号を決定する端子です。次の機能を持ちます。
1)ゲートオントリガ
2)オントリガ誤動作防止(Tondead)
3)谷飛び機能
4.2 F/B 端子(6番端子)
F/B 端子は、定電圧制御におけるオン幅を決定する端子です。次の機能を持ちます。
1)F/B 端子電圧に対するオン幅を決定(ゲートオフトリガ)
2) 過負荷保護モードへの切り替え
4.3 GND 端子(4番端子)
IC のグランド基準となる端子です。
4.4 OCL 端子(2番端子)
検出抵抗を用いて 1 次電流制限をする端子です。次の機能を持ちます。
1)最大 1 次電流ピーク値を決定(パルスバイパルス方式)
2)4step ソフトスタート時の 1 次電流ピーク値を決定
3)オートバースト(自動スタンバイ)時の 1 次電流ピーク値を決定
4)リーディングエッジブランク機能
4.5 VG 端子(1番端子)
ゲート電圧を出力する端子です。ソフトドライブ機能を持ちます。
4.6 VCC 端子(3番端子)
IC の電源端子です。次の機能を持ちます。
1)UVLO 機能
2) VCC 過電圧保護(OVP)
3) VCC バイアスアシスト
4)起動回路のオン・オフ
5)VCC-GND 短絡保護
4.7 Vin 端子(8番端子)
入力コンデンサの正側へ接続し、IC を起動させる端子です。
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5:設計方法
本項の設計方法は、電気的な設計方法の一例です。
絶縁材料、絶縁構成、構造などについては、必要に応じ公的機関の定める安全基準に沿って設計して
ください。計算式で使われているパラメータの単位系は以下の一覧表をご参照ください。
・本項の計算式で取り扱う単位一覧
名称 単位 名称 単位
電圧 V (ボルト) 時間 s (秒)
電流 A (アンペア) 長さ mm (ミリメートル)
電力 W (ワット) 面積 mm2(平方ミリメートル)
A/ mm2
コンデンサ容量 F (ファラッド) 電流密度
(アンペア パー 平方ミリメートル)
インダクタンス H (ヘンリー) 磁束密度 mT (ミリテスラー)
抵抗 Ω (オーム) 巻数 Turn (ターン)
5.1:設計フローチャート
仕様の決定
【5.2:メイントランス参考設計条件】 P.18
メイントランスの設計 【5.3:メイントランス参考設計計算式】 P.18
各動作点の確認 【5.4:各動作点を確認する】 P.20
再
検 主要回路部品の決定
【5.5:各端子の設計】 P.26
討
試作
動作確認
完成
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5.2:メイントランス参考設計条件
参考値はあくまで目安です。負荷条件などにより調整してください。
名称 記号 単位 参考値
入力電圧範囲 VAC [V] 85~276
効率 η - 0.80~0.85
最低発振周波数 f(min) [kHz] 35~50
オンデューティ比 D - 0.4~0.6
共振コンデンサ容量 Cq [pF] 100~3300
コントロール巻線電圧 VNC [V] 15~20
磁束密度変化 ΔB [mT] 250~300
巻線電流密度 α [A/mm2] 4~6
※共振コンデンサの容量について、設定する共振コンデンサ容量に対して主 SW 素子の
出力容量(Coss)が無視できない場合は“共振コンデンサ容量+Coss”を Cq としてください。
5.3:メイントランス参考計算式
1 最低直流入力電圧 V [V]
DC (min) 1.2 VAC (min)
2 最大直流入力電圧 VDC (max) 2 VAC (max) [V]
1
3 最大発振周期 T(max)
f [s]
(min)
4 最大オン幅 t D
on(max)1
f [s]
(min)
N
5 S1 VD t
最大オフ幅 t C (min) on(max)1
off (max) tq [s]
Np (VO1 VF1)
6 擬似共振期間 tq Lp Cq [s]
7 最大負荷電力 PO(max) Vo IO(max) [W]
8 最大出力電力(目安) PL 1.2 PO (max) [W]
2 P
9 主 SW L
素子ピーク電流値 I DP
V [A]
DC (min) D
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VDC in) ton(max)1
10 一次巻線インダクタンス Lp (m [H]
I DP
V (min) t 9
11 一次巻線数 Np DC on(max)1 10
[Turn]
B Ae
12 コアギャップ lg 4 Ae Np 2 10 10
※ Ae:コアの断面積 [mm]
Lp
※ギャップ lg はセンターギャップの値とします。
※ここで lg が 1mm 以上になった場合は、トランスコアサイズ、発振周波数などを見直して
再設計を検討してください。
Np (VO1 VF1) ( 1 ton(max)1 tq)
13 制御系出力巻線数 f
N (min) [Turn]
S1
VDC(min) ton(max)1
14 非制御系出力巻 N N VO2 VF 2
線数 S 2 S1
V [Turn]
O1 VF1
15 Nc N VNC VFNC
コントロール巻線数 S1
V rn]
O1 V [Tu
F1
※13 式~15 式で使われている記号
制御系巻線出力
制御系巻線 出力電圧 1 VO1 VF1
整流ダイオードの順電圧
非制御系巻線出力
非制御系巻線 出力電圧 2 VO2 VF 2
整流ダイオードの順電圧
コントロール巻線出力
コントロール巻線 出力電圧 1 VNC VFNC
整流ダイオードの順電圧
※コントロール巻線電圧 VNC のレギュレーションが悪い場合は低めに設定します。
A 2 D Po
16 一次巻線サイズ NP [mm2]
3 VDC(min) ton(max)1 f(min)
2 Io 1 D (tq f
17 二次巻線サイズ A (min))
NS [mm2]
3 (toff (max) tq) f(min)
※NC 巻線は取り扱いなどの理由から、ANC=0.2mmφ 以上を推奨しています。
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5.4:各動作点を確認する
MS1007SH は、制御 IC がもつ機能によって発振周波数が変化する動作変曲点をもっています。
それぞれの動作点を求めることで試作電源における動作を予測します。
下図は出力電力に対する動作周波数特性のモデル図です。各動作点を把握することで変曲点の電
力やヒステリシス幅、垂下点の目安を知ることができます。
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動作周波数特性モデル図
オートバースト開始点
オートバースト解除点
谷飛び動作開始点
オートバースト動作
ヒステリシス
谷飛び動作解除点
谷飛び動作
ヒステリシス
垂下点
出力電力 [W]
本項で、算出する動作点は、上図の丸印のポイントです。
・谷飛び動作開始点及び谷飛び動作解除点
・オートバースト開始点及びオートバースト解除点
・垂下点
これらの動作点を算出することにより
“待機状態において十分スタンバイ動作になっているかどうか。”
“谷飛び動作ヒステリシスは十分確保できているか。”
“垂下点は、出力に対して十分に余裕あるか。”
を確認します。
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動作周波数 [kHz]