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このカタログについて
ドキュメント名 | MCZ5209SN アプリケーションノート |
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ドキュメント種別 | ハンドブック |
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取り扱い企業 | 新電元工業株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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CAT.NO : 1H0500-3
MCZ5209SN APPLICATION NOTE JUN .2019 Ver1.1
スタンバイ対応 自己起動端子付
PFC + LLC制御IC
MCZ5209SN
アプリケーションノート ver. 1.1
新電元工業株式会社
SHINDENGEN
ELECTRIC MFG.CO.,LTD
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使用上の注意
このたびは、弊社製品をご使用いただき誠にありがとうございます。
当 ICをご使用の際は、お客様の安全を確保するため下記の警告ならびに注意を必ず守ってご使用下さい。
警
誤った取り扱いをしたときに死亡や重大な人身事故および大きな物的損害に結びつく危険性のあるもの。
告 !
注
誤った取り扱いをしたときに軽傷に結びつく恐れ、または軽微な物損事故に結びつく恐れのあるもの。
意 !
警 当 ICは、一般電子機器(事務機器・通信機器・計測機器・家電製品等)に使用されることを意図しております。誤動作や事
故が直接人体や生命を脅かす恐れのある医療器、航空宇宙機、列車、輸送機器(車載、船舶等)、原子力等の制御機器
告 ! には使用しないで下さい。一般電子機器以外にご使用になる場合は弊社までご相談下さい。
修理や改造は、重大な事故につながりますので、絶対にやめて下さい。
! 《感電、破壊、火災、誤動作等の危険があります。》
異常時は出力端子に過大電圧が発生したり、電圧低下となる場合があります。 異常時の、負荷の誤動作や破壊等を想定
! した保護対策(過電圧保護、過電流保護等の保護対策)を最終機器に組み込んで下さい。
注
入力端子、出力端子の極性を確認し誤接続の無いことを確認してから通電して下さい。
意 ! 《保護素子が切れたり、発煙・発火の原因になります。》
! 決められた入力電圧を必ず守っていただくとともに、入力ラインに必ず保護素子を挿入して下さい。
《異常時には発煙・発火の危険があります。》
! 使用中に故障または、異常が発生した時は、すぐに入力を遮断して電源を停止させて下さい。また、直ちに弊社にご相談
下さい。
●本資料に記載されている内容は、製品改良などのためお断りなしに変更することがありますのでご了承下さい。
●御使用頂く際には、仕様書の取り交わしをして頂けます様お願いします。
●ここに記載されたすべての資料は正確かつ信頼し得るものでありますが、これらの資料の使用によって起因する損害または特許権そ
の他権利の侵害に関しては、当社は一切その責任を負いません。
●本資料によって第三者または当社の特許権その他権利の実施に対する保証または実施権の許諾を行うものではありません。
●本資料の一部または全部を当社に無断で転載または複製することを堅くお断りいたします。
! 当社は、品質と信頼性の向上に絶えず努めていますが、半導体製品はある確率で故障が発生したり、誤動作する場合があります。
必要に応じ、安全性を考慮した冗長設計、延焼防止設計、誤動作防止設計等の手段により結果として人身事故、火災事故、社会的な損
害等が防止できるようご検討下さい。
! 本資料に記載されている当社半導体製品は、特別に高い品質・信頼性が要求され、その故障や誤動作が直接人命を脅かしたり、人
体に危害を及ぼす恐れのある機器あるいはシステムに用いられることを目的として設計、製造されたものではありません。下記の特別
用途、特定用途の機器、装置にご使用の場合には必ず当社へご連絡の上、確認を得て下さい。
特別用途
輸送機器(車載、船舶等)、基幹用通信機器、交通信号機器、防災/防犯機器、各種安全機器、医療機器 等
特定用途
原子力制御システム、航空機器、航空宇宙機器、海底中継器、生命維持のための装置 等
! なお、IC製品に関しては、特別用途・特定用途に限らず、連続運転を前提として長期製品寿命を期待される機器、装置にご使用さ
れる場合に関しては当社へお問い合わせ下さい。
当社は IC製品を安全に使っていただくために回路支援をいたしています。弊社担当営業または商品企
画にお問い合わせ下さい。
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Index
1 : 概要
1.1: 特長 4
1.2: ブロック図 5
1.3: 端子配置図 5
1.4: 各ピン機能一覧 6
2 : 基本動作の説明
2.1: はじめに 7
2.1.1: 各動作ブロックについて 7
2.1.1: 各動作モードについて 7
2.2: 電源供給部 8-9
2.2.1: 制御 IC電源供給部 8-9
2.3: PFC制御部 10-16
2.3.1: 電流臨界型オン幅制御方式 PFC の動作原理 10
2.3.2: ゼロ電流検出 ZC端子 (3pin) 11
2.3.3: PFC出力電圧制御 FBP端子 (5pin) 12
2.3.4: PFC位相補償 COMP端子 (4pin) 13
2.3.5: PFCゲートドライバ VGP端子 (1pin) 14
2.3.6: PFC部各種保護機能 15-16
2.4: LLC制御部 17-28
2.4.1: 発振制御部 FBL端子 (12pin) 17-18
2.4.2: ゲートドライバ出力 VGH端子、VGL端子 (22、16pin) 19
2.4.3: LLC部各種保護機能 20-28
2.5: 共通制御部 29-33
2.5.1: AC入力監視機能 LS端子 (7pin) 29
2.5.2: アクティブスタンバイおよびバースト機能 30-32
2.5.3: 過熱保護機能 33
3 : 周辺回路定数の決定
3.1: PFC部の設計 34-38
3.2: LLC部の設計 39-44
3.3: 共通部の設計 45-46
4 : 回路例
4.1: 代表回路図 47
5 :外形寸法図
5.1: SOP24 (MCZ5209SN) 48
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1 概要
MCZ5209SNは、電流臨界型 PFC(Power Factor Correction)制御用コントローラと、高耐圧ゲートドライ
バを有した周波数変調タイプの LLCブリッジ型全波電流共振電源制御用コントローラの 2つの制御回路を
集積したコントローラ ICです。高耐圧自己起動端子(ドレインキック機能)を搭載しており、無損失起動が可能
です。
PFC部の制御は電流臨界型を採用し、低ノイズ・高効率を実現できます。また、LLC部は 600V耐圧の高
耐圧ゲートドライバを有し、ハイサイド MOSFETの直接駆動が可能であるとともに共振はずれ保護
(Capacitive Mode Protection)機能等の各種保護機能を備えており、部品点数の削減や高効率を実現でき
ます。
スタンバイ時の待機電力改善機能(アクティブスタンバイ機能、バースト機能)を搭載しており、全負荷領域に
わたって高効率を維持した電源を実現出来ますので以下の製品に最適です。
• レーザープリンタ等の OA機器用電源
• ACアダプタ等の外付け電源
• PDP / LCD 等大画面フラット TV用電源
• 産業機器用電源
• 絶縁型 LED照明用電源
• Audio、プロジェクタ用電源
1.1 特長
【共通部特長】
1. PFC機能と LLC機能をワンチップ化し、SOP24パッケージで実現。
2. 自己起動端子を搭載し、無損失起動を実現。
3. 高効率バースト機能を搭載し、0W付近のスタンバイ負荷領域での消費電力削減を実現。
4. アクティブスタンバイ機能を搭載し、数 W付近の軽負荷領域での消費電力削減を実現。
5. 外部ラッチ機能を搭載し、過電圧ラッチ回路を構成可能。
6. 過熱保護 TSD(Thermal shut down)機能を搭載し、IC異常発熱時の保護を実現。
【PFC部特長】
1. 電流臨界型 PFCにより高効率・低ノイズを実現。
2. オン幅(電圧)制御により入力ライン検出不要で、部品点数削減を実現。
3. 過電流検出しきい値は 0.5Vであり、検出抵抗損失削減を実現。
4. フィードバックオープン・ショート保護、過電圧発振停止保護(OVP:Over Voltage Protection)、
軽負荷時の PFC出力電圧上昇保護機能を搭載。
【LLC部特長】
1. 高信頼性実績を誇る 600V耐圧ゲートドライバ内蔵、ハイサイド MOSFETも直接駆動可能。
2. MOSFET駆動電源用レギュレータを内蔵し、過渡状態での安定ドライブを実現。
また、ハイサイド・ローサイドゲートそれぞれ独立した電圧低下保護機能(UVLO)搭載。
3. 出力負荷の短絡および過電力時の保護に対応出来る 2種類の過電流保護機能(OCP)を搭載。
ピーク負荷の大きいアプリケーションにも最適。
4. 共振はずれ保護機能搭載により、共振はずれ(Capacitive mode)を回避し MOSFETを保護。
5. Brown Out保護機能を搭載し、低入力電圧動作時の保護を実現。
6. MOSFETの di/dtストレスを低減するソフトスタート機能搭載。
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1.2 ブロック図
Buffer2 Band Gap
Vc2
VREF_P 5V-VREF
VGP 1 24 Vin
Buffer2 Buffer1
PGND
VREF_L VREF_LP
CSP 2 OCP LEB DK TSD 23 (NC)
STBY2
VREF
ZC 3 On Trig Restart Time 22 VGH
PFC UVLO
Voltage clamp Control
Logic
COMP 4 Ton Max off trig. 21 VS
COMP dischg Level Shift
ref Ton Burst
FBP 5 AMP 20 VB
PFC
OVP
STOP
SST15 DK
SGND 6 FBP open Protect ON/OFF 19 (NC)
Vsen-on/off
Vc2
SST UVLO
TSD Latch
LS 7 Burst / 18 Vc2
SSC
ON/OFF Latch
TSD ON/OFF
BURST 9 17 PGND
DK
ON/OFF
ASTBY 8 STBY 16 VGL
Dropper
Voltage clamp AS mode
CSL 11 didt1± 15 Vc1
COMP dischg
OCP2± OCP1±
CSO chg
CSO 10 two-stage 14 SSC
FBL
dischg LLC LLC SST Latch
OSC
FBL 12 Control Logic STOP Protection Timer 13 SST
f
TSD
f
SST
SS20 SS st/sp
CSO
図 1 . MCZ5209SN ブロック図
1.3 端子配置図
VGP 1 24 Vin
CSP 2 23 NC
ZC 3 22 VGH
COMP 4 21 VS
FBP 5 20 VB
SGND 6 19 NC
LS 7 18 Vc2
ASTBY 8 17 PGND
BURST 9 16 VGL
CSO 10 15 Vc1
CSL 11 14 SSC
FBL 12 13 SST
図 2 . MCZ5209SN 端子配置図
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1.4 各ピン機能一覧
端子番号 記号 機能
PFC 部のドライバ出力回路
1 VGP
PFC 部のゲート駆動用電源出力端子です。
PFC 部の過電流検出端子
2 CSP
PFC 部主スイッチの過電流を検出します。
PFC 部のオンタイミング検出端子
3 ZC
ゼロ電流を検出して、PFC部主スイッチのオンタイミングを決めます。
PFC 部のフィードバックアンプの出力端子(位相補償設定用)
4 COMP
PFC 部の位相補償設定用の端子です。
フィードバックアンプ入力端子、PFC 出力電圧制御、低入力保護、SS リセット
5 FBP
PFC 部出力電圧のフィードバックや低入力保護を行います。
制御信号系 GND 端子
6 SGND
制御信号系の GND 接続端子。
AC 入力監視用端子
7 LS
AC 入力電圧監視を行い、AC低入力保護を行います。
アクティブスタンバイ切り替え端子、バーストモード切り替え端子
8 ASTBY
通常動作モード、アクティブスタンバイモード、バーストモード切り替え端子です。
バースト動作制御端子
9 BURST
バーストモード時にバースト動作を制御する端子です。
LLC部の過電流平均化検出応答調整用端子
10 CSO
OCP 検出時の応答を調整する端子です。
LLC部の過電流検出、過電流平均化検出、di/dt(共振はずれ)検出端子
11 CSL
LLC部の過電流(OCP1)、過電流平均(OCP2)および di/dt 検出用の端子です。
LLC部発振器の周波数設定用端子:Duty や動作周波数の制御
12 FBL
LLC部の発振周波数や Duty を制御し出力フィードバックを行う端子です。
LLC部のソフトスタートと異常検出時の間欠動作用コンデンサ接続端子
13 SST
LLC部のソフトスタート時間および OCP1/2 動作時の間欠動作時間を決めます。
LLC部のバーストモード時ソフトスタート切り替え用端子
14 SSC
バーストモード時にオープンとなり、ソフトスタート時間を短くします。
制御回路の電源供給端子
15 Vc1
制御 IC の電源供給端子です。
LLC部のローサイドドライバ出力端子
16 VGL
LLC部のローサイドゲート駆動用電源出力端子です。
パワー系 GND 端子
17 PGND
パワー系の GND 接続端子。
ドライバ用電源出力端子
18 Vc2
PFC 部および LLC部のゲート駆動用電源出力端子です。
未接続端子
19 NC
沿面距離確保のための空きピン。
LLC部のハイサイドドライバ電源端子
20 VB
LLC部のハイサイドゲート駆動用電源出力端子です。
LLC部のハイサイドドライバ基準電源端子
21 VS
LLC部のハイサイドゲートの基準端子です。
LLC部のハイサイドドライバ出力端子
22 VGH
LLC部のハイサイドゲート駆動用電源出力端子です。
未接続端子
23 NC
沿面距離確保のための空きピン。
起動回路入力端子
24 Vin
起動回路用の入力端子です。
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2 基本動作の説明
※ 特に指定がない場合、しきい値等の数値は TYP表記しています。詳細は特性仕様書をご覧下さい。
また、各特性図の詳細についても特性仕様書の特性図をご覧ください。
2.1 はじめに
2.1.1 各動作ブロックについて
MCZ5209SNは、以下の主要ブロックから構成されています。各ブロックの動作については 2.2項以降
をご覧下さい。また、各機能の調整方法については 3項以降をご覧下さい。
・ 電源供給部
自己起動回路や各電源供給部について記載しています。詳細は 2.2項をご覧下さい。
・ PFC制御部
PFC部の動作および各種保護機能について記載しています。詳細は 2.3項をご覧下さい。
・ LLC制御部
LLC部の動作および各種保護機能について記載しています。詳細は 2.4項をご覧下さい。
・ 共通制御部(アクティブスタンバイ機能、バースト機能など)
共通制御部の動作および各種保護機能について記載しています。詳細は 2.5項をご覧下さい。
2.1.2 各動作モードについて
MCZ5209SNには 3つの動作モードがあります。この 3つの動作モードは ASTBY端子の電圧に
よって決まります。ASTBY端子電圧と動作モードの関係は P30の 2.5.2項をご覧ください。
各動作モードでの PFCおよび LLC部の動作を表 1に、その時の動作波形を表 2に示します。
特に動作モードの指定がない場合、本ページ以降の説明では通常動作モードを基準に記載しています。
表.1 各動作モードでの PFCおよび LLC部動作
通常動作モード アクティブスタンバイモード バーストモード
PFC部動作 動作 停止 停止
LLC部制御 対称制御 非対称制御 非対称制御
LLC部動作 連続動作 連続動作 バースト動作
表.2 各動作モードでの PFCおよび LLC部動作波形
通常動作モード アクティブスタンバイモード バーストモード
PFC部MOS
ゲート電圧
PFC部MOS
ドレイン電流
LLC部上側MOS
ゲート電圧
LLC部下側MOS
ゲート電圧
LLC部上側MOS
ドレイン電流
LLC部下側MOS
ドレイン電流
*バーストモード時の LLC部ゲートおよび電流波形はアクティブスタンバイモードと同様に非対称動作です。
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2.2 電源供給部
2.2.1 制御 IC電源供給部 (自己起動回路および電源制御回路)
MCZ5209SNは起動抵抗を必要としない起動回路を PFC部
内蔵していますので、部品点数が少なく簡単に動作させ Vin端子
ることが出来ます。 24
Np
図 3に自己起動回路の概略図を示します。
起動回路
Vc2端子
Vin端子は電源起動時に高圧部から Vc2端子に接続 Logic,
18
したコンデンサ C237を充電するための端子で、高耐圧 gate
C237
スイッチと定電流回路で構成されています。 Dropper
Vc1端子
電源起動後は補助巻線 Ncから Vc1端子に電圧供 15
給を行います。なお、ドロッパ回路を内蔵しており Vc1耐 Nc
C233
圧は 35Vとなります。
電源起動時の動作シーケンスを図 4に示します。
図.3 自己起動回路概略図
ACin
2.0V
LS
3.0V
2.2V
FBP
COMP 0.8V
PFC VG
2.0V
SST 0.6V
LLC VG
4.0V
ASTBY
放電ON
BURST
放電OFF
12.6V 12.6V
Vc1 8.0V
13.3V 13.3V
11.8V 11.8V
Vc2 8.0V
V1c低下
した場合
起動回路
期間(A) 期間(B) 期間(C)
図.4 起動シーケンス図
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Vin端子から Vc2端子に接続したコンデンサ C237への供給電流は Vc2端子電圧により変化します。
Vc2=1V時が Idk(on)1=2.8mA、Vc2=4V時が Idk(on)2=33.0mAです。
【期間(A)】
電源起動時、Vc1端子電圧が Vc1(dkoff) 12.6V未満の場合、Vc2端子電圧は 13.3Vになるまで充電
されます。Vc2端子電圧が 10V以上、LS端子電圧が 2.0V以上になると PFCおよび LLCが動作可能に
なります。PFCおよび LLCの発振開始タイミングについては、後述する 2.3.6.2項および 2.4.3.3、2.5.1
項をご覧ください。
電源動作し補助巻線 Ncに電圧が発生するとコンデンサ C233に充電され Vc1端子電圧が上昇してき
ます。Vc1端子電圧が Vc1(dkoff) 12.6V以上になると起動回路は切り離されて補助巻線からの供給のみ
となります。その場合、Vc2端子電圧は Vc2(dkoff) 11.8Vにクランプされます。
【期間(B)】
ドレインキック回路がオフした状態で SST端子電圧が 2.0V未満の場合、ASTBY端子は放電していま
す。SST端子電圧が 2.0V以上になると ASTBY端子が充電を開始します。ASTBY端子が 4.0V未満の
場合、BURST端子は 400uAで放電しています。ASTBY端子が 4.0V以上になると BURST端子の放電
がオフします。起動時は常に通常動作モードで起動するシーケンスとなります。バーストモード時の動作シ
ーケンスについては 2.5.2項をご覧ください。
【期間(C)】
Vc1端子電圧が Vc1(dkon) 8.0V以下まで低下した場合、起動回路が再度動作します。なお、Vc2端
子電圧が Vc2(SP) 8.0Vまで低下すると ICは停止します。
Vc1端子および Vc2端子に接続するコンデンサ C233、C237は起動・切断などの過渡状態で安定動
作する容量を挿入してください。所望の入出力条件にもよりますが、100u~470uF程度を推奨します。
また、 C233および C237のコンデンサが MCZ5209SNの Vc1端子および Vc2端子から遠い場合、
Vc1端子および Vc2端子にノイズが入り誤動作する可能性があります。その場合、Vc1端子および Vc2
端子直近に誤動作防止用の 0.1u~1.0uF程度の MLCC(C234、C238)を挿入してください。
表.3 制御 IC電源供給部関係しきい値 各規格値の詳細は特性仕様書をご確認ください。
項目 記号 条件 規格値
ドレインキック供給電流 1 Idk(on)1 Vin=100V、Vc2=1.0V 2.8 mA
ドレインキック供給電流 2 Idk(on)2 Vin=100V、Vc2=4.0V 33.0 mA
ドレインキック ON時 Vc2 電圧 Vc2(dkon) Vin=100V 13.3 V
ドレインキック OFF時 Vc2 電圧 Vc2(dkoff) Vc1=16V 11.8 V
ドレインキック停止 Vc1 電圧 Vc1(dkoff) Vin=100V 12.6 V
ドレインキック再起動 Vc1 電圧 Vc1(dkon) Vin=100V 8.0 V
Vc2 動作開始電圧 Vc2(st) 10.0 V
Vc2 動作停止電圧 Vc2(sp) 8.0 V
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2.3 PFC制御部
2.3.1 電流臨界型オン幅制御方式 PFC の動作原理
IL(peak) = 2Iin
IL(peak)
包絡線
チョーク電流
IL
Iin = IL(ave)
チョーク電流
IL
Vin Vin
Ion Ioff
0A 0A
Ton Toff Ton Toff Ton Toff Ton Ton Toff
図 5 . 臨界動作 図 6 . スイッチング 1サイクル波形
MCZ5209SNの PFC部は、電流臨界型を採用しており、図 5のようにチョーク電流 ILはゼロスタート・ゼ
ロエンドの繰り返し三角波となります。また、オン幅制御方式であるため、オン幅 Tonは負荷に応じて決定さ
れ一定値となります。なお、オフ幅 Toff は入力電圧 Vinに応じてスイッチング毎に変化しますので、スイッチ
ング周期は変動します。
各電流値は以下の式により算出されます。Tonおよび L値は一定であるため、ILのピークである IL(peak)
は Vinに比例します。Vinは正弦波状であるため、IL(peak)も正弦波状となります。(式 A)
Vin ×Ton
IL(peak) = [ A] ・・・(A)
L
ただし、スイッチング周波数は AC商用周波数より十分高く、スイッチング 1周期では Vin一定とみなしま
す。(図 6)
入力電流 Iinは、コンデンサ Cinにより ILから高周波成分が除去され平均化された電流 IL(ave)と等しくな
ります。また、ILは三角波のため、IL(ave)は IL(peak)の 1/2となります。(式 B)
IL(peak)
Iin =IL(ave) = [ A] ・・・(B)
2
式(B)に式(A)を代入し、
IL(peak) Vin ×Ton
I ( ) = [A] ・・ ( )
in =IL ave = ・ C
2 2L
式(C)のように、MCZ5209SNのオン幅制御により、Iinと Vinは比例関係となるため、力率改善が可能と
なります。回路上での波形例を図 7に示します。
IL(peak)
Iin = IL(ave) IL(ave)
Iin(ac) チョーク電流
= 1 IL(peak)
IL 2
Vin(ac) 0A Vin 0 0
Iin Vin IL Ioff
Iin(ac)
Vo (PFC)
L D2
~ +
Q
Cin 制御 Ion Co
IC
~ ー
D1
0V
図 7 . 回路上の波形例
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2.3.2 ゼロ電流検出 ZC端子 (3pin)
MCZ5209SNは、コントロール巻線電圧を検出しスイッチング素子のオンを行っています。このオンタイ
ミングは ZC端子により決まります。
図 8のように ZC端子電圧が Vzc(L) 0.5Vを下回ったタイミングで、主スイッチをオンさせております。そ
の結果、スイッチングサイクル毎にチョークコイルのエネルギが確実に放出完了したタイミングで主スイッ
チがオンするため、電流臨界動作となります。また、このゼロ検出電圧に対して、+1Vのヒステリシスをもた
せることにより耐ノイズ性を高めています。
ZC端子に Vzc(H) 1.5Vを超える電圧が印加されない場合は Trestart 400usでオントリガが入ります。
これにより、電源起動時に ZC端子電圧が発生していない状態においてもゲートをオンする信号が入るた
め、発振させるトリガーとなります。
さらに、MCZ5209SNには軽負荷時に発振周波数が高くなりすぎることを抑制するために、ゲート出力
がオフしてから ZCのオントリガを受け付けない Toff(min) 4.0usを設けています。この期間に ZC端子電
圧が 0.5Vを下回ってもオントリガを受け取らず、ゲート出力はオンしません。最小 OFF時間経過後に ZC
端子電圧が 0.5Vを下回ったタイミングでゲート出力がオンします。
ZC端子周辺部品の定数設定については、3.1.5項 を参照してください。
ヒステリシス Toff(min)
1V
ZC検出電圧(L)
ZC端子電圧 0.5V
0V
PFC部MOS
ドレイン電流 0A
PFC部
ダイオード電流
0A
PFC部MOS
ドレイン電圧
0V
図 8 . オンタイミング(Z/C端子)
表.4 ZC端子関係しきい値 各規格値の詳細は特性仕様書をご確認ください。
項目 記号 条件 規格値
ZC 検出電圧(H) Vzc(H) 1.5 V
ZC 検出電圧(L) Vzc(L) 0.5 V
最小 OFF時間 Toff(min) 4.0 us
リスタート時間 Trestart ZC=0V 400 us
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2.3.3 PFC出力電圧制御 FBP端子 (5pin)
MCZ5209SNは PFC部の出力電圧を検出し PFC部主スイッチのオン幅を変化させることで、出力電
圧を制御しております。
図 9に示すように出力電圧から抵抗分圧(R111~R114, R115) して FBP端子に接続することにより、
出力電圧は FBP端子電圧が Vo(ref) 3.0Vになる値で安定になります。
また、フィードバックエラーアンプの出力である COMP端子電圧と主スイッチのオン幅は比例関係であ
り、Vth(bst) 0.8V以上でオン開始、4.0Vで最大オン時間になります(図 10)。COMP端子は最大で約
5.5Vまで充電します。フィードバックが掛かることにより、COMP端子電圧が制御され、出力電圧が安定
します。
FBP-GND端子直近にノイズ対策としてコンデンサ(C112)を接続してください。なお、コンデンサ容量が
大きすぎると応答にも影響してきますので、1000p~2200pF程度を推奨します。
PFC OUT
COMP
R111 4
~ 3.0V= Vo(ref)
R114
FBP
5
R115 C112
SGND
6
図 9. FBP端子内部ブロック図
COMP vs Ton
30
25
20
15
10
5
0
0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5
COMP [V]
図 10 . COMP端子電圧とオン幅の関係
表.5 FBP端子関係しきい値 各規格値の詳細は特性仕様書をご確認ください。
項目 記号 条件 規格値
エラーアンプ入力しきい値 Vo(ref) 3.0 V
最小 ON時間 Ton(min) COMP=Vth(bst) 320 ns
最大 ON時間 Ton(max) COMP=open or 5V 27 us
軽負荷間欠用しきい値 Vth(bst) 0.8 V
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Ton [us]
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2.3.4 PFC位相補償 COMP端子 (4pin)
PFCコンバータは、商用 AC入力の周波数に対して応答しないように調整する必要があります。
COMP端子‐SGND間にコンデンサ(C132,C133)および抵抗(R132)を接続する事でアンプの位相補償を
行い、商用 AC入力の周波数でのフィードバックループゲインを落とします。
回路例を図 11に示します。目安として、C133は 1.0u~2.2uF程度、C132は 0.22u~0.47uF程度、
R132は 1k~47kΩ程度を推奨します。COMP端子の調整方法は、3.1.6項 をご覧下さい。
COMP
4
C133 3.0V=Vo(ref)
C132 FBP
R132 5
SGND
6
図 11 . COMP端子接続例
表.6 COMP端子関係しきい値 各規格値の詳細は特性仕様書をご確認ください。
項目 記号 条件 規格値
エラーアンプ出力ソース電流 1 Ieaso1 SST=0V,FBP=0.6V,COMP=3.0V -100 uA
エラーアンプ出力ソース電流 2 Ieaso2 SST=2.4V,FBP=0.6V,COMP=3.0V -50 uA
エラーアンプ出力シンク電流 Ieasi FBP=5.0V,COMP=3.0V 100 uA
軽負荷間欠用しきい値 Vth(bst) 0.8 V
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2.3.5 PFCゲートドライバ VGP端子 (1pin)
PFCのゲート出力は VGP端子にて行います。
VGP端子は安定した Vc2電源より供給され、ゲートドライバ駆動能力は 0.6A(Source)/0.6A(Sink)
です。この値は信号系誤動作を引き起こさずに MOSFETを十分高速にドライブできるように調整されて
おります。
一般的に用いられる駆動回路の例を図 12に示します。
抵抗 R1および R2は使用する MOSFETのゲート容量 Qg等に応じて調整してください。
また、R3には 10k~47kΩ程度の抵抗を接続してください。
A)、B)の様に電荷引き抜き用ダイオードを用いる場合には小容量ショットキーダイオードなど
を用い、スナッピー(ハード)リカバリーダイオードは使わないように注意して下さい。
推奨ダイオード例として 新電元製 D1NS4(アキシャル)や M1FM3(面実装)があります。
また、Qgの大きい MOSFETを接続して引き抜きが十分でない場合、図 12 C)のように
引き抜き側に PNP トランジスタを使用して下さい。
A) B)
Q1 Q1
R2 D1 D1
Qa Qa
Qb Qb
VGP R1 VGP R1 R2
R3 R3
CSP CSP
検出抵抗 検出抵抗
GND GND
C)
Q1
Qa
R1 D1 R2
Qb VGP
Q2 R3
CSP
検出抵抗
GND
図 12 .PFCゲート駆動回路接続例
表.7 PFCゲートドライバ関係しきい値 各規格値の詳細は特性仕様書をご確認ください。
項目 記号 条件 規格値
ソース駆動能力 Iout(so)P Vc2=VB=12V , VGP=0V -600 mA
シンク駆動能力 Iout(si)P Vc2=VB=12V , VGP=12V 600 mA
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2.3.6 PFC部各種保護機能
2.3.6.1 PFC過電流保護機能
過電流保護は図 13のように MOSFETのソース-GND間に接続された過電流検出抵抗(R121)により
決定される電圧を CSP端子で監視することで行います。
CSP端子電圧が Vcsp 0.5V以上になると主スイッチをオフします。通常動作時の最大ドレイン電流以
上、かつチョーク飽和電流以下で過電流検出ポイントを設定して下さい。
なお、MCZ5209SNにはゲートオン直後のノイズによる過電流保護の誤動作防止の為、ゲートオン信
号が入ってから一定期間、過電流検出を受け付けないリーディングエッジブランク時間 (TLEB) を設けて
います。(図 14)
スイッチングノイズによる誤動作防止のため、図 13のようにコンデンサ(C121)を挿入してください。コン
デンサは CSP-GND 間直近に接続してください。コンデンサ容量は 1000p~10000pF 程度を推奨します。
また、R126を追加することによりさらにノイズによる誤動作を抑制できます。抵抗値は 47~1kΩ程度
を推奨します。CSP端子の設計方法は 3.1.8項 をご参照下さい。
Q141 TLEB
VGP
1 主スイッチID
CSP R126
+0.5V
2
CSP端子
SGND
6 C121 R121
VGP端子
図 13 . CSP端子接続例 図 14 . 過電流保護 動作シーケンス
表.8 PFC過電流保護機能関係しきい値 各規格値の詳細は特性仕様書をご確認ください。
項目 記号 条件 規格値
過電流保護しきい値 Vcsp FBP=1.0V 0.5 V
リーディングエッジブランク時間 Tleb CSP=1.0V 220 ns
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2.3.6.2 PFC出力過電圧保護、低入力電圧保護、FBP端子オープン/ショート保護
出力過電圧保護(OVP)は、図 15のように FBP端子電圧が Vo(ref)×1.08 以上になると、ゲート出力を
停止して出力電圧の上昇を抑えます。これにより、電解コンデンサ等へのストレスを低減できます。
PFCは一般的に商用周波数に反応しないように応答を遅く設計しますので、起動時や負荷急変時など
の過渡的な状態で出力電圧が一時的に上昇することがありますが、この保護機能は有効な対策となりま
す。
低入力電圧保護は、入力電圧が低下し FBP端子電圧が Vfbp(off) 0.35V以下になると、PFC部が停止
します。これにより、ゲートが出力されなくなりますので MOSFETやその他部品へのストレスを低減できま
す。
なお、FBP端子電圧が Vfbp(on) 0.45V以上になると PFC部は発振を開始します。
また、FBP端子がオープンもしくは GNDショートでも、FBP端子電圧が 0.35V以下になりますので、
本保護機能により PFC部が停止します。
PFC OUT
COMP
4
3.0V= Vo(ref)
R132
ON Time Controller
C133 C132
R111
~
R114 Vo(ref) x 1.08 PFC Gate OFF
0.45V/0.35
FBP PFC STOP
5
R115
図 15 . FBP端子内部ブロック図
表.9 PFCオープン保護機能関係しきい値 各規格値の詳細は特性仕様書をご確認ください。
項目 記号 条件 規格値
FBP過電圧保護しきい値 Vfbp(H) Vo(ref)*1.08 V
FBPオープン保護しきい値 1 Vfbp(on) 0.45 V
FBPオープン保護しきい値 2 Vfbp(off) 0.35 V
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2.4 LLC部
2.4.1 発振制御部 FBL端子 (12pin)
MCZ5209SN の発振周波数は FBL 端子に接続されたコンデンサ Ct の充放電時間により決定されます。
FBL端子が放電されている期間がハイサイドまたはローサイドがオンしている期間、充電している期間が
ハイサイドおよびローサイドが同時にオフするデッドタイム(DT)となります。
FBL端子が充放電を繰り返すことにより、ハイサイドおよびローサイドが交互にオン・オフします。
図 16に FBL端子の接続図および動作シーケンスを示します。なお、FBL端子充電開始電圧は動作モー
ドにより異なります。各動作モードでの動作シーケンスは図 17をご覧ください。
FBL
FBL
FB
VGH
Ct
Rt VGL
PC1
DT DT DT DT
図 16. FBL端子接続図(左)および動作シーケンス(右)
Vfbl(top)
FBL
Vfbl(bottom)1
VGH
VGL
(A) 通常動作モード
Vfbl(top)
FBL
Vfbl(bottom)1 Vfbl(bottom)1
Vfbl(bottom)3 Vfbl(bottom)3
VGH
VGL
(B) アクティブスタンバイモードおよびバーストモード
図 17. 各動作モードにおけるゲートオン・オフタイミング
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FBL端子には Ctコンデンサの他に最低発振周波数設定用 Rt抵抗および動作発振周波数およびに最
高発振周波数設定用 FB抵抗を接続します。
出力電圧のフィードバックは FB抵抗にシリーズ接続されたフォトカプラ PC1で行います。
PC1に電流が流れることにより FBL端子の放電期間が短くなるため、発振周波数が高くなります。
発振周波数は Rt抵抗および FB抵抗により決定します。図 18には、Rt抵抗値を変化させた時の発振
周波数およびデッドタイムの関係を示します。
Rt vs frequncy
600
Ct=2200pF
500
Ct=1800pF
400 Ct=1500pF
300 Ct=1000pF
Ct=820pF
200
100
0
0 5 10 15 20 25 30
Rt [kohm]
frequency vs dead time
800
Ct=2200pF
700
Ct=1800pF
600 Ct=1500pF
Ct=1000pF
500
Ct=820pF
400
300
200
0 50 100 150 200 250 300 350 400
frequency [kHz]
図 18. Rt抵抗と発振周波数(上)および発振周波数とデッドタイム(下)の関係
表.10 LLC FBL端子関係しきい値 各規格値の詳細は特性仕様書をご確認ください。
項目 記号 条件 規格値
FBL充電電流 Ifbl(charge) FBL=4.0V -9.0 mA
FBL充電停止電圧 Vfbl(top) 4.75 V
FBL充電開始電圧 1 Vfbl(bottom)1 3.35 V
FBL充電開始電圧 2 Vfbl(bottom)2 Tss(3) 2.35 V
FBL充電開始電圧 3 Vfbl(bottom)3 ASTBY=open 2.25 V
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dead time [ns] frequency [kHz]
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2.4.2 ゲートドライバ出力 VGH端子、VGL端子 (22、16pin)
ゲート出力は VGL(ローサイド MOSFET)、VGH(ハイサイド MOSFET)端子より出力されます。
LLCゲートドライバ駆動能力は、0.24A(Source)/0.40A(Sink)です。この値は、信号系誤動作を
引き起こさずに MOSFETを十分高速にドライブできるように設計されています。
一般的に用いられる駆動回路の例を図 19(A)に示します。Qgの大きい MOSFETなどを使用される場
合は図 19(B),(C)のようにシンクダイオードを接続してください。シンクダイオードを使用する場合には小容
量ショットキーダイオードなどを用い、ハードリカバリーダイオードは使用しないでください。
推奨ダイオード例として 新電元製 D1NS4(アキシャル)や M1FM3(面実装)があります。
A)
Qa
Qb
VG(L/H)
PGND / VS
B) C)
Qa Qa
VG(L/H)
Qb Qb
VG(L/H)
PGND / VS PGND / VS
図 19. LLCゲート駆動回路接続例
ハイサイド MOSFET駆動用フローティング電源(VB)は、図 20に示すように Vc2端子の
レギュレータ出力コンデンサを電圧源として高圧側へ向かうダイオード D233と
フローティング平滑コンデンサ C239によるブートストラップ回路により生成されます。
外付け D233によるブートストラップ回路採用によりローサイドとハイサイドの電位差が
最小限に保たれ、過渡的にも安定した駆動用電源が供給できます。
C239には MLCCを用い、その値は 0.1u~1.0uFを推奨します。また D233には高速かつ
ソフトリカバリー特性を持った 600V耐圧以上のものを用いて下さい。新電元製 D1NK60
或いは D1FK60(面実装)を推奨いたします。(PFC出力電圧を約 400Vとした場合。)
Np
C239 D233
D1NK60
D1FK60
VGH VS VB VGL Vc2 PGND
図 20. ハイサイドドライバ部回路
表.11 LLC部ドライブ能力関係しきい値 各規格値の詳細は特性仕様書をご確認ください。
項目 記号 条件 規格値
ソース駆動能力 Iout(so)L Vc2=VB=12V , VGL=VGH=0V -240 mA
シンク駆動能力 Iout(si)L Vc2=VB=12V , VGL=VGH=12V 400 mA
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2.4.3 LLC部各種保護機能
2.4.3.1 LLC過電流保護機能 CSL端子、CSO端子 (11、10pin)
MCZ5209SNの LLC部には過電流保護機能を備えており、CSL端子で検出を行います。
CSLおよび CSO端子の接続例を図 21に示します。
MCZ5209
SGND CSO CSL
Np
R225 C221
Ipk
R227 C223 C222 R226 R221
図 21. CSLおよび CSO端子接続例
図 21のように共振コンデンサ C221に流れる電流を電流検出抵抗 R221で検出し、分割抵抗 R225
および R226で分割して CSL端子へ接続します。各抵抗値の算出方法は 3.2.5項をご覧ください。
CSL端子には正負両方向にそれぞれ 3つのしきい値を備えており、その電圧レベルによって 3つの保護
機能が動作します。ここではそれぞれの保護機能を OCP1、OCP2、di/dtと定義します。
表.12 LLC OCPの 3つの機能
記号 名称 CSL端子しきい値条件
① OCP1 Cycle by cycle OCP CSL端子電圧が±0.525Vを超えた時
② OCP2 Frequency limit OLP CSL端子電圧が±0.350Vを超えた時
③ di/dt Capacitive mode protection CSL端子電圧が±0.070Vを下回った時
*OCP : Over current protection 、 OLP : Over load protection
【OCP1】
OCP1は CSL端子が±0.525Vを超えると動作します。
図 22はハイサイド MOSFETがオンしている期間に OCP1検出が動作した例を示しています。
ハイサイド期間中は、CSL端子電圧が+0.525V以上になると OCP1検出が動作します。
ローサイド期間中も同様に、-0.525V以下になると OCP1検出が動作します。
FBLマスク期間 内部フィルタディレイ
Vfbl(top)
Vfbl(msk)
4.5V
(a)
Vfbl(bottom)
+0.525V
CSL 0V
-0.525V
VGH
VGL
図 22. OCP1動作シーケンス
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