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最新の溶接技術動向や品質管理のポイントにも触れながら、アルミニウム溶接の基礎をご紹介
アルミニウムは、軽量かつ、高耐食性、加工性の良さで、今や私たちの暮らしに欠かせない金属です。特に近年では、自動車産業における燃費向上や環境負荷低減のニーズから、強度や耐食性を高めたアルミニウム合金の採用が加速しています。
しかし、その優れた特性を持つ一方で、アルミニウムの溶接は 一般的な鉄鋼材料と比較して難しい と言われており、この溶接の難しさは、アルミニウムが持つ独特の物理的・化学的特性に起因します。
本稿では、最新の溶接技術動向や品質管理のポイントにも触れながら、アルミニウム溶接の基礎をご紹介します。
掲載内容
1.アルミニウムの種類と特性
2.アルミニウム溶接について
3.アルミニウム溶接機 お役立ち情報
◆詳細はカタログをダウンロードしご覧いただくか、お気軽にお問い合わせ下さい。
このカタログについて
| ドキュメント名 | アルミニウム溶接の基礎 MIG / TIG 編 |
|---|---|
| ドキュメント種別 | その他 |
| ファイルサイズ | 7.8Mb |
| 登録カテゴリ | |
| 取り扱い企業 | パナソニック コネクト株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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スライド 1
アルミニウム溶接の基礎
MIG / TIG 編
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スライド 2: はじめに
はじめに 2
アルミニウムは、軽量かつ、高耐食性、加工性の良さで、今や私たちの暮らしに欠かせない金属です。
特に近年では、自動車産業における燃費向上や環境負荷低減のニーズから、強度や耐食性を高めたアルミニウム合金の採用が加速し
ています。
しかし、その優れた特性を持つ一方で、アルミニウムの溶接は 一般的な鉄鋼材料と比較して難しい と言われており、
この溶接の難しさは、アルミニウムが持つ独特の物理的・化学的特性に起因します。
本稿では、最新の溶接技術動向や品質管理のポイントにも触れながら、アルミニウム溶接の基礎をご紹介します。
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スライド 3: Agenda
Agenda
1. アルミニウムの種類と特性
2. アルミニウム溶接について
3. アルミニウム溶接機 お役立ち情報
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スライド 4: アルミニウム合金の種類
アルミニウム合金の種類 4
アルミニウム合金は 添加元素によって特性が変化します
合金 主要添加元素 用途例 硬質 / 軟質
1000系 純アルミニウム 建材、電線、照明器具 軟質
2000系 銅 航空機、低温タンク 硬質
3000系 マンガン アルミ缶 軟質
4000系 シリコン 建材、自動車部品(ピストン) 軟質
5000系 マグネシウム 船舶、鉄道車両 硬質
6000系 シリコン、マグネシウム 窓枠、サッシ、ドア 硬質
7000系 亜鉛 航空機材 硬質
母材に対して正しい溶接ワイヤを選択ください。 溶こち接ら手帳のダウンロードは
溶接手帳のダウンロードは
組み合わせは溶接手帳など各種溶接関連資料を
こちら
ご参照ください。
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スライド 5: アルミニウムの特性 ①
アルミニウムの特性 ① 5
軟鋼と比較して 約1/2の温度で溶け、熱は約4 倍 伝わりやすい。
軟鋼の融点は約 1 500 ℃、アルミニウムの融点は約 660 ℃で、熱伝導率はアルミニ
ウムが軟鋼の約 4 倍です。
また、アルミニウムの表面は酸化被膜で覆われており、その融点は約 2 070 ℃です。
この酸化被膜を除去することが、良好な溶接をするためのポイントです。
材料が薄板の場合やギャップが大きい場合 溶接中に急速に熱が伝わるため、 酸化被膜の方が融点が高いので、
は溶け落ちが発生しやすい ビード外観を一定に保つことが難しい 先にアルミニウム自体が溶けてしまう
• アルミニウムの融点:約660 ℃
• 酸 化 被 膜 の 融 点 :約2070℃
直流TIGでアルミを溶接したサンプル。
(ビードの裏側) 表面の酸化被膜は溶けず、内部だけが溶けている。
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スライド 6: アルミニウムの特性 ②
アルミニウムの特性 ② 6
熱歪みや水分・油分などの不純物混入の対策が必要。
熱が伝わりやすい分、急熱急冷による溶接割れを引き起こしやすく、
熱による歪みも顕著に発生します。
さらに、溶けたアルミニウムは凝固時に水素ガスを吸収する特性があります。
この際に水素ガスの元となる水分や不純物は、ブローホールなどの溶接不良の原因になります。
急熱・急冷により溶接割れが発生 水分を巻き込み、気泡が発生
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スライド 7: アルミ溶接について
アルミ溶接について 7
これらの性質から、アルミニウムの溶接が難しいとされる主な理由は以下の2点です。
① 溶接品質の向上には、前後工程を含めた工程管理 と高度な入熱制御 が必要。
② 溶接不良の対策項目は 複雑で多岐にわたり、煩雑。
ここからは アルミ溶接について解説します
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スライド 8: アルミ溶接について※
アルミ溶接について※ 8
MIG溶接 TIG溶接
溶け込みが深く 溶接速度が速い※ スパッタが発生せず溶接外観が美しい
スパッタが発生する 薄板に対し高い溶接性を発揮
厚板に対し高い溶接性を発揮 溶け込みが浅く 溶接速度は遅い※
【主な用途】 【主な用途】
適応板厚目安:3 ㎜ ~ 25 ㎜ 適応板厚目安:0.8 ㎜ ~ 8 ㎜
自動車部品などの大量生産部品 圧力容器や金属配管などの気密性が必要なもの
鉄道車両やアルミ船舶部品などの板厚が大きい部材 建築材や装飾品などの外観重視のもの
※アルミMIG溶接とアルミTIG溶接を客観的に比較した場合です。
アルミTIGにおいても電流を上げるなどの条件調整によっては
溶け込みや速度の傾向が変化する可能性があります。
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スライド 9: アルミ溶接について
アルミ溶接について 9
MIG溶接 機種選定 TIG溶接
溶接電源は、パルス機能付き パルス機能は必須ではないが、
のものが選定されることが多い。 外観や溶け込みの調整に便利な機能。
※2025年12月現在、パナソニックの交直両用のTIG溶接機には
すべてパルス機能が搭載されています。
直流出力でも溶接ができるため 溶接電源は、交流出力ができるものが
交流出力は必須ではない。 選定される。
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スライド 10: アルミ溶接について
アルミ溶接について 10
MIG溶接 TIG溶接
Q.パルス機能が必要な理由? パルス機能 Q.パルス機能が必須ではない理由?
A.広い電流域でアークが安定しスパッタが少なくなるため A.交流出力であればパルス無しでも溶接が可能なため
パルス溶接とは、高い電流と低い電流を交互に出力する溶接法です。 TIG溶接の場合、アルミMIGとは異なり、交流出力であればパルス溶接でなくても
安定した溶接が可能です。
アルミMIG溶接におけるパルス溶接はワイヤの溶滴移行を制御するために
用いられます。ワイヤの加熱と冷却を繰り返してスプレー移行のような TIG溶接におけるパルス溶接は、アークの集中性を調整し外観や入熱をコントロール
理想の溶滴移行で、広い電流域で安定した溶接を行うことができます。 するための機能です。
パルス無しでアルミMIGの溶接する場合、一定の電流以上ではスプレー移行に
なるため、スパッタが少なく安定した溶接ができますが、その他多くの電流域では
アークが不安定となり、スパッタが多くなります。 溶接法 電流波形 ビード外観 主な用途や効果
安定したアークで
アルミMIG溶接適応電流域イメージ パルス無し 薄板から厚板まで
※ワイヤ径 φ1.2㎜ 5000番台ワイヤ、アルゴンガス 100%の場合 広く適用
ローパルス 均一なビード形状
パルス
(0.5~25 Hz) 板厚違いや裏波溶接など
有 外観と入熱の微調整可能
パルス
スパッタ多く、アーク不安定 ミドルパルス きめ細かな均一ビード
無
(25~500 Hz) アークが集中し溶加棒の
挿入が容易
(A) 0 100 200 300
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スライド 11: アルミ溶接について
アルミ溶接について 11
MIG溶接 TIG溶接
Q.交流出力が必須ではない理由? 交流出力 Q.交流出力が必要な理由?
A.直流出力でも酸化被膜が除去できるため A.直流出力では酸化被膜が除去できないため
直流 直流 交流
トーチ:+極
トーチ:-極
+,-を交互出力
陽イオン 電子イオン 母材:-極
陽イオン 電子イオン 陽イオン 電子イオン
母材:+極
TIG溶接では、トーチ側が-極になります。
MIG溶接機を含む半自動溶接機では、トーチ側が+極になります。
その場合、母材表面の酸化被膜を除去できず、内部のアルミ自体
その場合、加速した陽イオンが母材に衝突し母材表面の酸化被膜
を先に溶かしてしまうため良好な溶接ができません。
を破壊分解するため、通常通り溶接ができます。
交流出力をすることで陽イオンによるクリーニング作用が得られる
※この酸化被膜を破壊する現象をクリーニング作用と言います。
ため、必須の機能となります。
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スライド 12: アルミ溶接まとめ
アルミ溶接まとめ 12
MIG溶接 TIG溶接
早い 溶接速度 遅い
大きく、深い 溶込※1 小さく、浅い
自動 ワイヤ送給 手作業※2
スパッタ、スマット発生 溶接外観 光沢があり美しい
パルス機能付き 溶接電源 交流出力
※1 アルミMIG溶接とアルミTIG溶接を客観的に比較した場合です。
アルミTIGにおいても電流を上げるなどの条件調整によっては
溶け込みや速度の傾向が変化する可能性があります。
※2 溶接電源により自動送給オプションあり
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スライド 13: アルミ溶接 お役立ち情報
アルミ溶接 お役立ち情報 13
以上のように、アルミMIG / TIG溶接にはそれぞれに特徴があります。
ここからはそれぞれの特長を活かした機能や、
作業の幅を広げるためのお役立ち情報をご紹介します。
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スライド 14: アルミ溶接 お役立ち情報集 MIG溶接機編
アルミ溶接 お役立ち情報集 MIG溶接機編 14
薄板対応のMIG 外観が優れたMIG
交流でTIG並みの極薄板も うろこ状のビード形成
YD-350AZ4 ローパルス機能
YD-400NE1
直流MIG溶接では困難な低入熱を実現。 通常のMIG溶接では難しいうろこ状のビード形成を
TIGで施工するような極薄板やギャップ裕度が拡大。 ウィービング動作無しで形成しやすくするための機能です。
TIG溶接からMIG溶接への置き換えで生産効率の向上を 詳細は動画をご覧ください。
実現できる可能性があります。 ➡機種詳細はこちら ➡動画はこちら
機種詳細はこちら 動画はこちら
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スライド 15: アルミ溶接 お役立ち情報集 TIG溶接機編
アルミ溶接 お役立ち情報集 TIG溶接機編 15
難易度低減に貢献 緻密な溶接を可能に
ワイヤを自動で送給 より緻密な入熱制御
TIG用 YE-10NJ1 交流周波数 機能
YC-350NA1 / YC-300BP4など
アルミTIG溶接にて溶接電流の設定以外で、交流周波数で入熱や
TIG溶接は片手で溶接トーチを保持し、もう片方の手で手動で
アークの集中性の調整が可能です。
溶加棒を溶融プールに挿入する作業の難易度が高い溶接法ですが
様々な局面でお客様の好みに合わせた作業ができます。
本製品は、トーチスイッチと同期して溶接ワイヤを自動送給
させることで作業難易度を下げることができます。
➡動画はこちら
動画はこちら
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スライド 16: アルミニウムの溶接を成功させるためのヒント
アルミニウムの溶接を成功させるためのヒント 16
1.脱脂 2.酸化被膜の除去 3.材料の管理
油分が残っていると、塗装やメッキのように 酸化被膜が残っていると溶接のアークが不安定 溶接材料や母材に水分が含まれていると、
溶接の密着性を低下させたり、ブローホール になったり、溶融プールの形成が阻害される 溶接欠陥の原因となります。溶接前の水分除去
の原因となることがあります。 可能性があります。ステンレス製ワイヤーブラシ や、保管時には母材や溶加棒・ワイヤも湿気や
事前にアセトンなどでふき取る手法が一般的 で溶接箇所を丁寧に擦り、酸化被膜を物理的に 汚れが付着しないように適切に保管することが
です。 除去する手法があります。ワイヤーブラシは 重要です。 高温多湿を避け、床や壁に直接触れ
他の金属に使用したものは避けてください。 ないように風通しの良い場所で保管します。
4.ガスやガス経路の管理 5.作業環境 6.適切な溶材の選択
溶接電流や使用するノズルの口径などに ヒューム対策などの作業者への安全対策を アルミ合金は種類が多く、それぞれ特性が
合わせてガス流量の設定を正しく行います。 講じつつ、作業場の湿度管理も重要です。 異なります。母材の種類や組み合わせに
また、ガスホースの破損や汚損、結露による また、溶接作業場付近でほかの金属の粉塵や 合わせて、適切な溶加材を選定することが
水分の混入なども溶接不良につながるため、 異物の混入が起きないように配慮する必要が 重要です。
定期的なメンテナンスが必要です。 あります。
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スライド 17: アルミ溶接のロボット化について
アルミ溶接のロボット化について 17
アルミニウム溶接のロボット化には、
アルミニウム自体の特性および、各溶接法の特性を理解した上での対策と、
対象ワークに対して最適な工法を選択する必要があります。
また、熱歪みが発生しやすいため治具の設計構想時には注意が必要で、
時にはセンサーでの狙いずれ対策も検討しなければならない可能性もあります。
難易度の高いアルミニウムの溶接ですが、ロボット化することで
熟練作業者の技量に左右されず常に一定の品質での溶接ができることが期待されます。
パナソニックの溶接ロボットシステム
「TAWERS」ならロボット化を実現できるかもしれません。
ア資ル料ミはニウこちムら溶接 ロボット化
アルミニウム溶接 ロボット化
資料はこちら
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スライド 18: 溶接に関するご相談
溶接に関するご相談 18
Webサイトからもご相談いただけます
• 製品や溶接に関する技術的なお問い合わせ
• 機種選定に関するご相談
• お見積りのご依頼
等のご相談はWebサイトでも承っております。
お気軽にお問い合わせください。
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