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カラーコミュニケーションガイド

ホワイトペーパー

色のノウハウを紹介するガイド!アートやカラーサイエンスの初心者・上級者を問わず、正確な製品の色を確保し、ブランドイメージを維持、また購買意思決定の瞬間を左右する情報を提供します!

「ビジネスの成功につながる製品色」

皆様の事業にとって「製品の色」は重要でしょうか?それが正しい色であるかどうかは重要ですか?お客様の目を引く商品を店頭に並べていますか?それはお客様が自信を持って購入できる商品ですか?ブランドのイメージは即座に認識されていますか?

正確な色の商品は売り上げに影響します。調査によると、消費者の 7 割が、商品を購入する際パッケージの色を考慮することが分かっています。また変色したパッケージの商品は素通りすると報告されています。

本書は色のノウハウを紹介するガイドです。アートやカラーサイエンスの初心者・上級者を問わず、正確な製品の色を確保し、ブランドイメージを維持、また購買意思決定の瞬間を左右する情報を提供します。

色の基礎知識、色を測定/管理/コミュニケーション/出力する最善の方法、さらには極めて複雑なワークフローやサプライチェーンにおいても一貫かつ安定した色を確保する方法をご紹介します。

最新型の測色装置およびソフトウェアは、仕様を満たし、許容値範囲内に収まる色を確保します。本ガイドをぜひご活用ください。

このカタログについて

ドキュメント名 カラーコミュニケーションガイド
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
ファイルサイズ 6.9Mb
登録カテゴリ
取り扱い企業 エックスライト社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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1 カラー コミュニケーション ガイド
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ビジネスの成功につながる製品色 皆様の事業にとって「製品の色」は重要でしょう か?それが正しい色であるかどうかは重要ですか? お客様の目を引く商品を店頭に並べていますか?そ れはお客様が自信を持って購入できる商品ですか? ブランドのイメージは即座に認識されていますか? 正確な色の商品は売り上げに影響します。調査によ ると、消費者の 7 割が、商品を購入する際パッケー ジの色を考慮することが分かっています。また変色 したパッケージの商品は素通りすると報告されてい ます。 本書は色のノウハウを紹介するガイドです。アートや カラーサイエンスの初心者・上級者を問わず、正確な 製品の色を確保し、ブランドイメージを維持、また購 買意思決定の瞬間を左右する情報を提供します。 色の基礎知識、色を測定/管理/コミュニケーショ ン/出力する最善の方法、さらには極めて複雑なワ ークフローやサプライチェーンにおいても一貫かつ 安定した色を確保する方法をご紹介します。 最新型の測色装置およびソフトウェアは、仕様を満 たし、許容値範囲内に収まる色を確保します。本ガ イドをぜひご活用ください。 www.xrite.co.jp
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目次 カラーコミュニケーション ................... 4 カラーサイエンス ............................... 5 カラー測定のスケール ......................... 7 数値によるカラー表示 ....................... 11 CIELCH(L*C*h°) ......................... 13 色差、表記法、許容色差 ΔCIELAB および CIELCH .................. 14 CIE 色空間の表記法 .......................... 16 その他のカラー表記 .......................... 22 蛍光増白剤 ..................................... 23 色番号で測色 .................................. 24 45°/0°分光測色計 ............................ 25 積分球分光測色計 ............................. 26 多角度分光測色計 ............................. 27 用途 .............................................. 29 購買意思決定の瞬間 ......................... 30 用語集 .......................................... 31
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カラーコミュニケーション まずは、カラーコミュニケーションに伴う課題についてお話ししましょう。 こちらはカラーコミュニケーションの問題を 表す例です。このバラの色はどのように表現 することができるでしょうか?黄色とか、レ モンのような黄色とか、あるいは明るいカナ リアイエローとでも言うことになるかもしれ ません。他に人にも聞いて、意見を比較して みましょう。 色を認識して解釈するという作業は、極めて 主観的なことであると言えます。また、色の 認識は、眼の疲労や年齢、その他生理的な要 因によって、さまざまな影響を受けます。 このような年齢などの物理的要因を考慮しないとしても、色を見る人(観測者)はそ れぞれ一人一人が持つ個人的な判断基準に基づいて色を解釈しています。また、各自 一人一人が対象物の色をそれぞれの言葉で表現することになります。このような場 4 合、何か基準となるものがなければ、特定の色を客観的に誰かに伝えるということは 非常に難しい作業になってしまいます。さらに、このような基準があったとしても、2 つの色を正確に比較するための方法も必要となります。 この解決策として、色を明確に識別することができる測定器を用いることが考えられ ます。つまり、すべての色を識別し、数値に置き換えて表記することができる道具を 使えば良いということになります。 重要ポイント 色を認識して解釈するという作業は、極めて主観的なことであると言えます。また、 生理的な要因、今までの経験、環境の要素によって、様々なな影響を受けます。つま り、すべての色を識別し、数値に置き換えて表記することができる道具を使えば良い ということになります。
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カラーサイエンス このセクションでは、カラーサイエンスについて詳しく説明します。もうお分かりのように、か なり技術的な内容です。しかしながら、業界を問わず、仕様、コミュニケーション、測定、管 理、カラーレポートなどの作業には参考になるでしょう。詳細は、本ガイドの最終セクション「 常に正確な測定」をご覧ください。優れたカラーワークフローは、例え複雑なサプライチェーン でも、効果的・効率的にカラーデータを共有し、さらには市場進出への時間を短縮します。 色の属性 色は、色相(Hue)、彩度(サチュレーション / Chroma)、明度(Value / lightness)の 3 つ の要素によって構成されています。これら 3 つの属性から色を定義付けることによって、特定の 色を正確に識別し、他の色と見分けることができるようになります。 色相(ヒュー) 対象物の色を説明するとき、ほとんどの場合、まずその色相をとり上げようとします。簡単に言 えば、対象物の色を、図 1 の色相環は、色相から色相への色の連続性を示しています。図の色相 環のように、ブルーとグリーンの塗料を混ぜた場合、ブルーグリーン(青緑)になります。ブル ーとイエローを混ぜるとグリーン、レッドとイエローを混ぜるとオレンジになります。同じよう に、グリーンにイエローを混ぜると、イエローグリーン(黄緑)になります。 R 5 YR RP Y P 図 7:色相(ヒュー) GY PB G B 彩度 BG 彩度は、色の鮮やかさを表し、言い換えれば、その色がどの程度グレーがかっているか、または 純色相に近いかということを示しています。例えば、トマトと赤カブの色を考えてみます。トマ トのレッドは鮮やかで、一方赤カブのレッドはくすんでいるように見えます。
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図 8 は、中央から周囲に向かって彩度がどのように移行しているのかを示しています。 中央の色はグレー(濁色)で、周囲に向かっていくにしたがってより高い彩度(鮮や か)になっていきます。彩度はサチュレーションとも呼ばれることもあります。 R YR RP Y P 図 8:色度(Chromaticity) GY PB G B BG 明度(バリュー) 色の明るさの度合いを意味し、明暗で比較することができます。色の明るさの度合い を意味し、明暗で比較することができます。 6 例えば、トマトと赤カブを並べて置いた場合、トマトのレッドの方がより明るく見えま す。反対に、赤カブのレッドは暗い値になります。図 9 では、明度の特性を縦軸にして VALUE 示しています。 10 Hues at 7/ Value Horizontal slice through color tree 9 8 7 6 5 4 明度(バリュー) 3 10 色相 @7/明度 2 カラーツリーの水平線 1 図 9:明度を表現する 3 次元カラーシステム
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カラー測定のスケール 正確かつ一貫した色を確保するには、数値によるカラーコミュニケーションが不可欠です。このセクショ ンでは、その数値を計算し、それぞれの色を表現するいくつかの方法をご紹介します。 マンセル スケール 1905 年、アーティストの Albert H. Munsell 氏が考案したカラー オーダリング システム、すなわちカ ラースケールと呼ばれるものに “Munsell Scale In 1905” があり、現在でも使用されています。マンセ ル システムは、人間の視覚認識に基づいているということから、歴史的側面からも重要なものです。ま た、色の測定や定義の手段として測色計などが世の中に出る以前に考え出されたものです。マンセル シ ステムは、色相、明度、明度という 3 つの属性に数値を割り当てます。隣接するカラーサンプルは、視 覚認識を等分間隔にすることによって表現しています。 図 10 は、マンセル カラーツリーと呼ばれる モデルで、ビジュアルカラーを判断するため の物理的なカラーサンプルとなります。 色を評価する際、3 つの要因が必要となります。 • 光源(照明) • 対象物(サンプル) • 観測者/プロセッサー 図 10:Munsell Color Tree 7 (マンセルカラーツリー) 私たち人間は、対象物に光が当たるという相 互作用を眼で処理することによって、物を見 るという行為をおこないます。人間の眼を機 器や装置に置き換えるとした場合、眼で認識 するのと同じ色の違いを何をもって判断し記 録するのでしょうか。 CIE カラーシステム CIE “Commission Internationale de 'Eclairage”(英名:“International Commission on llumination”) は、測光法と測色法などの標準を制定する国際組織です。1931年、イルミナント(相対分光分布が規定 された光源)と観測者、そして業界や用途を問わず、数値を使って色を定義するという方法を定義し、 カラーオーダーシステムを規格化しました。 CIE カラーシステムでは、3 つの座標を使用して、ある色についてカラースペース内の位置を決定しま す。これらのカラースペースには、次のような情報が含まれています。 • CIE XYZ • CIE L*a*b* • CIE L*C*h°
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これらの数値を得るためには、その計算方法を理解する必要があります。前述のよう に、私たち人間の眼が色を認識するには、光源、対象物、観測者/プロセッサーの 3 つ が必要となります。これは装置を用いた手段においても、同じことが言えます。測色 装置でも、人間の眼で認識するのと同じように、対象物から反射された光の波長を集 め、フィルターをかけることによって色を認識します。この場合、測色装置は反射さ れた光の波長を数値として受け取ります。これらの数値は、可視スペクトルの範囲内 で複数のポイントで記録されます。これをスペクトルデータと呼びます。スペクトル データは、スペクトル曲線として表されます。このスペクトル曲線は、それぞれの色 で独自のもので、人間で言えば指紋に相当します。(図 11 参照) 300 120 120 120 300 300 100 100 100 120 120 120 250 250 250 100 2° Observ2e°r O(CbIsEe r1v9e3r2 1(°)COIEb s1e9r3v1e)r (CIE 1931) 80 80 80 100 100 200 200 220.00 10° Obser1v0e°r O(CbIsEe r1v9e16r0 4(°)COIEb s1e9r6v4e)r (CIE 1964) X = 62.04 60 80 80 80 X z(λ) z(λ) z(λ) 60 60 X 150 150 115.05 40 40 40 60 60 60 110y.00(λ) λ) y(λ) = Y = 69.72 y( 100 100 20 20 20 40 40 40 x(λ) x(λ) x(λ) 20 20 20 50 05.0550 Z = 7.34 分光測色計は、物体から反射した光 0 0. 0 00 400 400 5 0 0 4 0 0 5 0 0 6 0 0 5 0 0 6 0 0 7 0 0 6 0 0 7 0 0 704000 4 0 0 5 エ0 0 ネ 4 0 ル 0 ギ 5 0 ー 0 の 6 量 0 0 の 5 ス0 0 ペ 6 0 ク 0 ト 7 ル 0 0 デ 6 ー0 0 タ 7 0 0 700 380 4303 8 04 8 04 3 05 3 034 88 0 05 8 045 33 0 06 3 045 88 0 06 8 056 33 0 07 3 056 88 0 07 8 0673300 678800 730 780 WavelenWgathv e(nlemng)Wtha (vnemle)ngth (nm) Wをav、el可enW視gatスhv e(nlemng)Wtha (vnemlength (nm) ペクトルに沿) っていくつ WavelenWgathv e(nlemng)Wtha (vnemle)ngth (nm) 図 11:測定したサンプルのスペクトル曲線 かの間隔で測定します。スペクトルデ ータは、スペクトル曲線として表さ 8 色のカラー分光値または反射曲線を得ることによって、色を数学的にカラースペース れます。 にマッピングすることができます。 まず、反射率曲線を得た後、そのデータに CIE 標準イルミナント値を掛けます。この 時のイルミナントは、サンプルを評価する光源の分光分布をグラフィカルに表したも のです。それぞれのイルミナントは、色にどの程度影響を与えるのかという出力分布 を有しています。照明例: • A — 白熱光 • D65 — 昼光(図 12 参照) 120 120 120 • F2 — 蛍光灯 300 300 300 100 120 120 120 100 100 250 250 250 100 2° Observ2e°r O(CbIsEe r1v9e3r2 1(° Obser 80 100 100 )CIE 193v1e)r (CIE 1931) 80 80 200 200 220.00 10° Obser1v0e°r O(CbIsEe r1v9e16r0 4(°)COIEb s1e9r6v4e)r (CIE 1964) X = 62.04 60 60 60 X80 80 80 X z(λ) z(λ) z(λ) 150 150 115.05 60 40 40 40 60 60 Y = 69.72 110y.00(λ) y(λ) y(λ) = 20 40 40 40 100 100 20 20 x(λ) x(λ) x(λ) 20 20 20 50 0. 50 505 Z = 7.34 0.00 400 400 5 0 0 4 0 0 5 0 0 6 0 0 5 0 0 6 0 0 7 0 0 6 0 0 7 0 0 704000 4 0 0 5 0 0 4 0 0 5 0 0 6 0 0 0 0 5 0 0 6 0 0 7 0 0 6 0 0 7 0 0 700 380 4303 8 04 8 04 3 05 3 034 88 0 05 8 045 33 0 06 3 045 88 0 06 8 056 33 0 07 3 056 88 0 07 8 0673300 678800 730 780 WavelenWgathv e(nlemng)Wtha (vnemle)ngth (nm) WavelenWgathv e(nlemng)Wtha (vnemle)ngth (nm) WavelenWgathv e(nlemng)Wtha (vnemle)ngth (nm) 図 12:昼光(標準的な照明 D65/10°) PReerfcleecntat nRceefleInctteannsciety Reflectance Intensity Reflectance Intensity Reflectance Intensity RReleaftlievcetaSnpceectIrnatel nPsoiwtyer PReerfcleecntat nRceefleInctteannsciety Reflectance Intensity Reflectance Intensity Reflectance Intensity Reflectance Intensity Reflectance Intensity Reflectance Intensity RTerfilsetcimtaunlcues IVnatelunessity RReleaftlievcetaSnpceectIrnatel nPsoiwtyer Reflectance Intensity Reflectance Intensity Reflectance Intensity RTerfilsetcimtaunlcues IVnatelunessity
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次に、この計算値に CIE 標準観測者の値を掛けます。 CIE は 1931 年と 1964 年に、光の波長に対する人間の平均的な反応に基づいて(図 13)、標準観測者の概念を策定しました。簡単に言えば、標準観測者とは、普通の人間 が可視スペクトルを介してどのように色を認識するのかということを意味しています。 120 120 120 300 300 300 120 100 100 100 120 120 250 250 250 100 2° Observ2e°r O(CbIsEe r1v9e3r2 1(°)COIEb s1e9r3v1e)r (CIE 1931) 80 80 80 100 100 220.00 10° Obser1v0e°r O(CbIsEe r1v9e16r0 4(°)COIEb s1e9r6v4e)r (CIE 1964) 200 200 X = 62.04 60 80 80 80 X z(λ) z(λ) z(λ) 60 60 X 150 150 115.05 40 60 60 60 40 40 y(λ) y(λ) y(λ) = Y = 69.72 100 100 110.00 20 20 20 40 40 40 x(λ) x(λ) x(λ) 20 50 0 50 5.05 20 Z = 7.34 20 0.00 400 400 5 0 0 4 0 0 5 0 0 6 0 0 5 0 0 6 0 0 7 0 0 6 0 0 7 0 0 704000 4 0 0 5 0 0 4 0 0 5 0 0 6 0 0 5 0 0 6 0 0 7 0 0 6 0 0 7 0 0 7 000 0 380 4303 8 04 8 04 3 05 3 034 88 0 05 8 045 33 0 06 3 045 80 530 Wavelength (nm) Wav 8 06 8 06 3 07 3 056 88 0 07 8 0673300 678800 730 780 WavelenWgathv e(nlemng) th (nm) WavelenWgathv e(nlemng) th (nemle)ngth (nm) WavelenWgathv e(nlemng)Wtha (vnemle)ngth (nm) 図 13:CIE 2°/10°標準観測者 9 これらの数値を算出した後、データを XYZ の三刺激値に変換します(図 14)3 つの 値を求めることによって、色を数値的に定義することができるようになります。 300 120 120 120 300 300 100 100 100 120 120 120 250 250 250 100 2° Observ2e°r O(CbIsEe r1v9e3r2 1(°)COIEb s1e9r3ver (CIE 1931) 80 80 80 100 100 1) 220.00 10° Obser1v0e°r O(CbIsEe r1v9e16r0 4(°)COIEb s1e9r6v4e)r (CIE 1964) 200 200 X = 62.04 80 60 60 60 X80 80 X z(λ) z(λ) z(λ) 150 150 115.05 60 40 40 40 60 60 Y = 69.72 110y.00(λ) y(λ) y(λ) = 40 100 100 20 20 20 40 40 x(λ) x(λ) x(λ) 05.05 20 20 20 50 50 Z = 7.34 0 0. 0 00 400 400 5 0 0 4 0 0 5 0 0 6 0 0 5 0 0 6 0 0 7 0 0 6 0 0 7 0 0 704000 4 0 0 5 0 0 4 0 0 5 0 0 6 0 0 5 0 0 6 0 0 7 0 0 6 0 0 7 0 0 700 Wavelength (nm) Wavelength (nm) 380 4303 8 04 8 04 3 05 3 034 88 0 05 8 045 33 0 06 3 045 88 0 06 8 056 33 0 07 3 056 88 0 07 8 0673300 678800 730 780 WavelenWgathv e(nlemng) th (nm) WavelenWgathv e(nlemng) th (nm) WavelenWgathv e(nlemng)Wtha (vnemle)ngth (nm) 分光曲線 D65 照明 標準観測者 三刺激値 図 14:三刺激値 色度の値 残念ながら、CIEXYZ 三刺激値は目視した場合の色の属性と密接な相関関係があるとは 言えないため、色を定義する上で扱い難い部分があります。Y と明度はある程度相関し ているものの、X と Z は色相と彩度に相関していません。 したがって、1931 年の CIE 標準観測者が策定された時点で、色度座標 xyz を適用す るように委員会では推奨しています。これらの座標を使用して、図 15 の色度図を作成 しています。xyY の表記では、輝度(Y)と色度図で観るカラー(x,y)を識別すること によって、色を定義します。 PReerfcleecntat nRceefleInctteannsciety Reflectance Intensity Reflectance Intensity Reflectance Intensity RReleaftlievcetaSnpceectIrnatel nPsoiwtyer Reflectance Intensity Reflectance Intensity Reflectance Intensity PReerfcleecntat nRceefleInctteannsciety Reflectance Intensity Reflectance Intensity RTerfilsetcimtaunlcues IVnatelunessity Reflectance Intensity RReleaftlievcetaSnpceectIrnatel nPsoiwtyer Reflectance Intensity Reflectance Intensity Reflectance Intensity RTerfilsetcimtaunlcues IVnatelunessity
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図 16 で示す通り、色度図の周囲に沿ったすべてのポイントで色相を表しています。彩 度(クロマ あるいは サチュレーション)は、中央のホワイト(無彩色)エリアから図 の周囲に向かって高くなるように表され、100% の彩度とは純粋なスペクトルの色に相 当することになります。 10 図 15:CIE 1931(x, y) 色度図 Hue y Saturation x 図 16:色度図
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色の数値的表現 CIE は Yxy のような色度図の制限を解決するため、次の 2 つの代替/均等なカラースケールを推奨しました。 CIE 1976 (L*a*b*) または CIELAB, and CIELCH (L*C*h°)。 いずれのカラースケールとも、グリーンとレッドが同時に存在しないこと、同様にブルーとイエローも同時に存在 しないという、カラービジョンの反対色説という理論に基づいて作られています。その結果、赤/緑と黄/青の各 属性を単一の値で記述することができます。 CIELAB (L*a*b*) ある色を CIELAB で表す場合、L* で明度を、a* でレッド/グリーンの値を、b* でイエロー/ブルーの値をそれ ぞれ定義します。 図 17 と 18(共に次のページ)で、L*a*b* のカラープロット図を示しています。a*軸は左から右に移行すると、 レッドに向かって移行していることを意味します。B* 軸に沿って +b の方向への移行すると、イエローに向かっ ていることを示しています。中央の L* 軸は、底部で L* = 0(ブラックまたは全吸収)を意味しています。この 面の中央では、無彩色となります。 L*a*b* の値を使用して、図 17 の CIELAB カラーチャートで値をプロットし、花 A と花 B の色を定義します。 11 花 A: L* = 52.99 a*= 8.88 b*= 54.53 花 B: L* = 29.00 a*= 52.48 b*= 22.23
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+b* +100 100 +80 80 +60 70 +40 60 +20 -a* 50 -100 -80 -60 -40 -20 +20 +40 +60 +80 +100 花 A と B に対する a* および b* 値は、A と B のポイントとしてと認識される色空間 において交差します。これらのポイントは、それぞれの花の色相(カラー)と彩度 (鮮やかさ/くすみ)を指定します。次に、図 18 で L* の値(明度)を付加します +a* 40 と、それぞれの花の最終的な色が決定されます。 -20 CIELAB 図 1C7:oClIoELAB カ 90° r Spラaーcチeャート +b* Yellow 30 +10+0b* 100 -40 Hue +80 80 +60 70 20 +40 -60 60 a +20 m hro -a* C 50 1-8100°0 -80 -60 -40 -20 +20 +40 +60 +80 +1 00°0 Green Red -a* ++aa* * 40 10 -80 -20 30 -40 20 -60 12 0 -100 10 -80 -b* 0 -10B0lue -b* Lightness L* 270° CIE Color Space Notations -b* Lightness L* ∆L* - difference in lightness/darkness value “+” = lighter “–” = darker . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ∆a* - difference on red/green axis “+” = redder “–” = greener . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . Saturation C* +b* Yellow ∆b* - difference on yellow/blue axis “+” = yellower “–” = bluer . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ∆C* - difference in chroma “+” = brighter “–” = duller Green . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ∆H* - difference in hue -a* 10 20 30 40 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .S . . . . . . . . . . . . . . . 50 60+a* ∆E* - total color difference value aturation C* . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . Red ∆ECMC - total acceptable color difference value +b* Yellow ∆EH 1942 • ∆E*ab 1976 • ∆ECMC 1984 • ∆E94 1992 • ∆E -b* Hue 00 2000 Blue Green need help? Americas: 800 248 9748 -a* Europe / Africa / Middle East: +800 700 300 01 China: 021 644 81155 10 20 30 40 X-Rite is either a registered trademark or trademark of X-Rite, Incorporated in the United States and/or other countries. 50 60 PANTONE©, PantoneLIVE and other Pantone trademarks are the property of Pantone LLC. All other trademarks or registered www.xrite.com trademarks are the property of their respective owners. © X-Rite, Inc. 2016. All rights reserved. L10-410-EN (02/16) +a* 図 18:L* 値は中央軸で示されます。a* および b* 軸 Red -b* Hue Blue
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CIELCH (L*C*h°) CIELAB が直交座標を使用して色空間上の色を表示するのに対して、CIELCH は極座標 を使用します。CIELCH の色の表記法は、CIELAB から計算で導くことができます。L* で明度を、C* で彩度を、h° で色相角度をそれぞれ定義します。 L*C*h° の表現方法は、マンセル カラースケールのような初期のシステムと極めて容 易に関連付けられるという点で、CIELAB よりも利点があると言えます。 L* = 116 (Y/Yn)1/3 – 16 a* = 500 [(X/Xn)1/3 – (Y/Yn)1/3] b* = 200 [(Y/Yn)1/3 – (Z/Zn)1/3] L* =116 (Y/Yn)1/3 – 16 C* = (a2 + b2)1/2 h° = arctan (b*/a*) Xn, Yn, Zn は、測定に使用する標準イルミナント/観測者の基準となる白色の値にな ります。 13 L* = 116 (Y/Yn) C* (a2 = b2)1/2 h° arctan (b*/a*)
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色差、表記法、許容色差 ΔCIELAB/CIELCH 色の評価は、数値的な表現を超えた概念になります。通常、既知の基準色からの、色 の差異(色差:デルタ)による評価方法が使用されます。CIELAB と CIELCH は、2 つの対象物について、その色を比較する場合に使用します。 色差は、∆L* ∆a* ∆b* または DL* Da* Db*、∆L* ∆C* ∆H* または DL* DC* DH* (∆ や D は「デルタ」の記号で、差異を意味します)。 ∆L* ∆a* ∆b* とした場合、CIELAB 図上の全体の差異や距離は ∆E* と呼ばれる単一の 値で表すことができます。 ∆E*ab = [(∆L2) + (∆a2) + (∆b2)]1/2 次のページにある上・下の写真、花 A と花 C の色を比較してみましょう。大きくは双 方ともローズイエローとして分類されますが、横に並べて置いて比較するなど、もう少 し詳しく見た場合はどうなるでしょうか。色はどのように違うことになるでしょうか。 14 ∆L* ∆a* ∆b* の方程式を用いることによって、花 A と花 C の色差を表すことができ ます。 ∆L* = +11.10 ∆a* = –6.10 ∆b* = –5.25 全色差は、∆E*=13.71 で表すことができます。
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花 A: L* = 52.99 a*= 8.882 b*= 54.53 花 C: L* = 64.09 a*= 2.72 b*= 49.28 15 ∆L* = +11.10, ∆a* = –6.10, ∆b* = –5.25 ∆E*ab = [(+ 11.1)2 + (–6.1)2 + (–5.25)2]1/2 ∆E*ab = 13.71 花 A と花 C の色差の各値については、上記にまとめてあります。a* 軸では -6.10 に なっており、若干グリーン側に寄っており、レッドからは遠いということを示してい ます。b* 軸では、-5.25 になっており、若干ブルー側に寄っており、イエローからは 遠いということを示しています。L* 面では、+11.10 であり、花 C の方が花 A よりも 明るいということになります。 次に、同様に 2 つの花の部分を CIELCH で比較すると、色差は次のように表されます。 ∆L* = +11.10 ∆C* = –5.88 ∆H* = 5.49 C* の値が -5.88 ということは、花 C の方が彩度が低いことを示しています。また、 ∆H* の値が 5.49 ということは、花 C が花 A よりもグリーンの色相になっていること を示しています。一方、L* と ∆L* の値は、CIELAB も CIELCH も全く同じ値になり ます。
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CIE カラースペースによる表記法 ∆L* = 明/暗の差異 + = より明るい – = より暗い ∆a* = レッド/グリーン軸の色差 + = よりレッド – = よりグリーン ∆b* = イエロー/ブルー軸の色差 + = よりイエロー – = よりブルー ∆C* = 彩度の色差 + = より鮮やか – = より濁った ∆H* = 色相の差異 ∆E* = 全体の総色差値 図 17 を参照してください。 視覚上の色と許容色差 人間が色の違いを判断する場合、色に対する記憶力の差や眼の疲労度合、あるいは色 弱や色覚異常など、その能力はまちまちです。人間の眼はこういった視覚上の制限条 件に加えて、色相(レッド、イエロー、グリーン、ブルーなど)や彩度、さらに明度 の違いを同じレベルで認識することはできません。事実、平均的な観測者では、最初 に色相、次に彩度、そして最後に明度の差異を判断します。また、人間が許容できる 16 色は、楕円形にすることによって最適に表すことができます(図19)。 図 19:識別楕円 つまり、カラーマッチを認識できる許容色差は、明度や色相、彩度を使って 3 次元 の境界線によって構成され、これらは人間の視覚評価と近似していなければなりませ ん。CIELAB と CIELCH が、これらの境界線の設定に用いられます。さらに許容色差 に関する数式として、CMC と CIE94 を用いることによって、楕円形の許容色差を求め ることができます。 CIELAB の許容色差 CIELAB で許容色差を求める場合、∆L*(明度)、 ∆a*(レッド/グリーン)、∆b* (イエロー/ブルー)についての色差の限界を指定する必要があります。それらの限 界値から基準色を中心にした長方形の許容色差ボックスを作成します(図20)。
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a* b* Standard 図 20:CIELAB 許容色差ボックス この許容色差ボックスと視覚的に認識する楕円形と比較すると、いくつかの問題点が 挙げられます。ボックス形の許容色差の内側に楕円形が収まる場合:楕円形の外側に あり、かつボックスの内側にあるサンプル(右 15 図の黒で示された部分)は、数値的 には許容範囲内であっても、視覚上は許容できないことになります。一方、楕円形の 内側に許容色差のボックスが収まる場合: 視覚上は許容できても、数値上は許容範囲 外となる場合が存在することになります。(図 21 参照) Samples within the box b* and not in the ellipsoid are numerically correct but visually unacceptable b* 図 21:数値的な許容色差と視覚的な許容色差 17 Samples within the ellipsoid are visually acceptable a* a* CIELCH の許容色差 CIELCH を用いる場合には、∆L*(明度)、∆C*(彩度)、∆H*(色相)について、色 差に限界値を設ける必要があります。それには、基準色を中心に V 時型のボックスを 作成するようにします。CIELCH は極座標システムであるため、許容色差ボックスを 色相の角度方向に回転させることができます(図22)。 Standard ∆H* ∆L* 図 22:CIELCH許容色差のV字型 Chroma ∆C* Lightness Lightness (L*)
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この許容色差を先の楕円形と比較すると、人間の視覚認識により近いことが分かりま す。このことは、観測者と測定した値との不一致を低減することになります(図23)。 b* ∆H* ∆C* ∆H* ∆C* 図 23:CIELCH 許容色差の識別楕円 ∆H* ∆C* a* CMC 許容値 CMC は色空間ではなく、一つの許容色差システムと言えます。CMC 許容色差は、 CIELCH をベースに視覚評価と測定した色差をより一致させるためのものです。CMC 色差式は、英国の “Colour Measurement Committee of the Society of Dyers and Colourists” が開発し、1988 年にパブリックドメインとして認証されました。 18 測定値を CMC によって計算することによって、色相、彩度、明度を補助軸にして、基 準色を中心にした楕円形を数学的に定義することができます。楕円形は許容できる範 囲を表し、色空間内での対象となる色の位置によって、サイズと形状が自動的に変わ ります。 図 24 に、色空間における楕円形の変化を示しています。色空間のオレンジ部分にある 楕円形は、グリーン部分の楕円形よりも、細長くなっています。また、楕円形のサイ ズと形状は、対象の色の彩度や明度に応じても変わっていきます。
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オレンジの領域では、識別 楕円が詰め込まれた状態に なっています。 グリーン領域では、識 別楕円が大きくなって います。 図 24:色空間における識別楕円 19 CMC の数式を用いることによって、楕円形の全体サイズを変更し、視覚的に認識し得 る範囲とより一致させることができます。コマーシャルファクター(cf)の変化に合わ せて、視感評価と一致させるように、楕円形を大きくも、また小さくもすることができ ます。Cf値は許容色差を意味し、cf=1.0 の場合、∆E CMC CMC が 1.0 未満であれば 問題が無く、1.0 以上であれば許容範囲外となることを示しています(図 25 参照)。 Cross sections of the ellipsoid Hue and chromaticity tolerances become smaller as lightness increases or decreases Chroma Chroma Standard cf = 0.5 cf = 1 図 25:許容値のコマーシャルファクター(cf) Hue Hue
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一般的に人間の眼は、彩度(c)よりも明度(l)の差異に敏感なため、(l:c)の デフォルト比率は 2:1 になります。2:1 の比率は、明度と彩度について差異を 2 倍 にすることを意味します。CMC の数式を用いることによって、この比率を調整し、視 感評価とより一致させることができます(図 26 を参照)。 (1.4:1) (2:1) Hue Chroma 図 26:CMC 許容色差の識別楕円 CIE94 トレランス 1994 年、CIE は CIE94 と呼ばれる新しい許容色差の算出方法を発表しました。CIE94 20 は、CMC に似た楕円形を用いた許容色差の算出方法です。コマーシャルファクター(cf) と同様に、明度(kL)と彩度(Kc)の比率をユーザーがコントロールします。一連の 設定を行うことによって、l:c と cf の設定に応じて CMC の許容色差が変わるの と同じように、識別楕円のサイズと形状が変わっていきます。 CMC が織物業界で使用されることを目的にしているのに対して、CIE94 は塗料やコーテ ィング業界で用いられることを目的にしています。これら 2 つの許容色差の内どちらを 選択するかは、測定する対象物の表面について次の点を考慮する必要があります。 表面が不規則であったり、細かさが異なるような場合には、CMC の許容色差が適して いると考えられます。一方、規則的でなめらかな表面の場合には、CIE94 の許容色差が 適していると考えられます。 ΔE 2000 ΔE 2000 は CIE94(またはΔE94)以来の、ΔE 色差式の最初の大規模な改訂です。 色の明度領域によって L* の比率を変動する ΔE2000 は、L* が明度の知覚的な差異を 正確に反映することを前提とする ΔE94 とは異なります。ΔE2000 はグラフィックア ーツの用途において人気が高まっており、近い将来 ΔE94 に置き換わるとみられてい ます。 Lightness