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【事例集】モーションキャプチャシステム三次元計測

事例紹介

モーションキャプチャシステム OptiTrack ユーザーの声を集めた事例集を一挙公開

1mm以下の精度で 三次元計測がしたい。OptiTrack製品事例集

◆筑波大学様
世界最大の VR システム
◆名古屋工業大学様
ロボットの効率の良い走行を求めて
◆株式会社 aircord様
STEP INTO CARLSBERG 他
◆株式会社 BIRDMAN様
Flying Shoe Store|世界初!空中ストア/ crocs drone
◆武庫川女子大学様
スポーツ医学に関する研究におけるOptiTrack の導入
◆宇都宮大学様
飛行物体自律制御の研究
◆株式会社タクラム・デザイン・エンジニアリング様
“another shadow”やナビゲーションシステムの開発
◆独立行政法人 労働安全衛生総合研究所様
労働者の作業解析
◆應義塾大学大学院様
手全体に力覚を提示するグローブ型のインタフェース GhostGlove

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このカタログについて

ドキュメント名 【事例集】モーションキャプチャシステム三次元計測
ドキュメント種別 事例紹介
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登録カテゴリ
取り扱い企業 株式会社スパイス (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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1mm以下の精度で 三次元計測がしたい。 モーションキャプチャシステム OptiTrack ユーザーの声を集めた 事例集を一挙公開。 OptiTrack製品 日本正規代理店
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世界最大の VR システム 使用 OptiTrack システム  Prime 41 ×21 使用ソフトウェア  Motive:Body ソフトウェア 筑波大学 システム情報系 教授 岩田 洋夫氏(エンパワーメント情報プログラムリーダー) システム情報系 助教 圓崎 祐貴氏 グローバル教育院 エンパワーメント情報プログラム 3年次 髙鳥 光氏 システム情報工学研究科 知能機能システム専攻 2年次 榎本 嵩久氏 エンパワーメント情報プログラム http://www.emp.tsukuba.ac.jp/ バーチャルリアリティ研究室 http://intron.kz.tsukuba.ac.jp/wp-vrlab/ 国内最大級の教育用の設備を備えたエンパワーメントスタジオ エンパワーメント情報プログラムを専攻している学生の皆さんは、こ のスタジオを使って自分で考えたアイディアを形にし、発表する場が 与えられている。すべての作品は学生ひとりひとりが自分でアイディ アを出し、自らつくり、発表する。そして世間に知ってもらうことで更に ブラッシュアップした作品が出来上がる。そのアイディアを助けるのが このエンパワーメントスタジオにある様々な設備だ。 ラージスペース その中でも一際目を引くのがラージスペースという施設である。15m×25m 高さ 8mという広大な空間の床と壁は継 ぎ目がないアール構造になっており、そこが巨大なスクリーンになっている。 設計を担当された岩田先生が一番気に かけられた部分は床・壁に一切何も置かないということ。当然、床・壁がスクリーンになっているのでどこかにプロジェ クターを置かなければならないのだが、すべて高さ 8mのスクリーンの上に設置されている。 そしてこのラージスペー スでプロジェクターとともに設置されているのが OptiTrack システムだ。導入いただいたのは Prime 41 という OptiTrack の製品の中でも一番解像度が高くどのカメラよりも遠くのマーカーをとらえることができるフラグシップモデ ルである。
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OptiTrack 導入の理由 岩田先生曰く、ずばり導入にいったった理由は Prime 41 の計測範囲 が業界最大であるということだった。他のモーションキャプチャカメラで は成し得ない Prime 41 の最大の魅力を評価いただいたことになる。 Prime 41 は画角が 51°、解像度が 4.1MP、強力な LED が 30m先の マーカーも計測することができ、ラージスペースの巨大な空間をカバ ーできるのは Prime 41 しかないという大変うれしい言葉をいただい た。 岩田 洋夫先生 主にこのラージスペースなどの設備を使用するのは学生の皆さんである。 その一つがモーションベースという人を吊り下げながらラージスペースを空中浮遊できる大型クレーンのような機械を 使った作品である。このクレーンのような巨大な装置をコントロールするのは体験者自身でそこに OptiTrack システム が使われている。 翼を使って体を飛翔!? 榎本さんが開発したシステムでは体験者は反射マーカーのついた 3D メガネ、同じく反射マーカーがついた翼に模したアクリル板を装 着する。体験者はモーションベースに体を吊られ、腕に付けた翼で 大きく羽ばたくと飛翔することができるという、誰でも一度は夢見る “空を飛ぶ”ということを VR 体験できるコンテンツだ。 メガネに付いた反射マーカー、翼についた反射マーカーはそれぞれ 剛体として登録されており、周囲に取り付けられた Prime 41 カメラ が正確にそれらの三次元位置・姿勢をリアルタイムに計測する。メガ ネと羽の相対位置によってモーションベースで釣り上げられる位置 が変わるという仕組みである。 羽ばたかないとと下降してしまう仕様になっているらしく、常に腕を上 下に動かし羽ばたいていないと高度が落ちてきてしまう。弊社のスタ ッフも体験させてもらったが、中々辛そうだ(笑) 榎本さんは OptiTrack カメラシステムでメガネ部分と翼部分の反射 マーカーの位置・姿勢をリアルタイムに計測し、自ら作ったプログラ 榎本 嵩久さん ムにトラッキングデータをストリーミングすることでモーションベースを制 御している。 このコンテンツの制作にあたり、まずモーションベースの動作確認や位置把握、性能評価にも OptiTrack をご活用い ただいたとのこと。例えばどのくらいワイヤーを伸ばせばどの位置にモーションベースが来るのか、モーションベース
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の 6 自由度はどのように変化するのかなど OptiTrack を大いに活用しながら検証いただいた。これにより、計算時間 が少なくなり、自分の欲しいデータだけを取得することができたので作業時間が短縮できたとご評価いただいた。 映像の部分では体験者が動くとその人の視点にあわせて VR 空間の 映像も変化する。体験者が歩いたり、動いたりすることによって立体映 像が追従する要素をプラスしているのだ。これには人がどれだけ空間 内を移動したのかを正確に計測することが重要になってくる。 高鳥さんは、人がどれだけ移動したかを計測するアプローチでは、慣性 式ではなく光学式である必要があったと話してくれた。 慣性式の場合は姿勢を計測し位置は計算により算出するため位置精 度が期待できない。光学式でもこの広い空間(25×15×8m)を動きま わる物体を精度よく計測するとなると OptiTrack Prime 41 カメラ以外に ないのではないだろうか。また、3D メガネ・映像・モーションキャプチャ システムを eSync2 という外部同期デバイス 1 つで同期できる点もご評 価いただいた。 髙鳥 光さん 今後に期待すること 数多くの剛体をトラッキングしたときに、どれだけ遅延しているのかがソフトウェアで確認できるとよい、というリクエスト をいただいた。VR は遅延がシビアなリアルタイムコンテンツなので遅延を目視できるというのは重要なポイントだそう だ。また、骨格表示ができる Motive:Body では独自のスケルトン(骨格モデル)をユーザーが作成できるような機能が 欲しいとのリクエストをいただいた。現在はある程度決められた特徴点にマーカーを貼ることでスケルトンという骨格モ デル(CG マネキン)を生成する仕組みとなっており、マーカーを追加することは可能だが、オリジナルのスケルトンを 生成することはできない。ただ開発リストには重要項目としてリストアップされており近い将来カスタムスケルトンの生 成が可能になることを期待したい。
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ロボットの効率の良い走行を求めて 使用 OptiTrackシステム  Flex 13 カメラ 12台 使用ソフトウェア  Motive:Tracker ソフトウェア 2式 名古屋工業大学 機械工学科 佐野・田中研究室 佐野明人教授、福永大輝氏 佐野・田中研究室では主に「歩行・走行」と「触覚」の 2テーマの研究を行っています。歩行・走行では 2脚受動歩行ロボットや無動力歩行支援機などの研究を行っています。触覚では触覚コンタクトレンズ という微小な凹凸を知覚できるデバイスなどヒトの知覚メカニズムを解明し、様々な産業分野への応用 を試みています。 http://drei.mech.nitech.ac.jp/~sano/ OptiTrack導入の理由 佐野教授の研究者仲間の間で実際に OptiTrackをお使いいただいている方がいらっしゃり、評価が高かったことから 興味をお持ちいただきました。またコストパフォーマンスが高いことが購入に至った理由だそうです。コンパクトなカメラ のデザインも気に入っていただき、学部生や院生の方がどんどん使いこなしているのを見て佐野教授にも非常に喜ん でいただいております。 効率の良い走行を求めて・・・ さて今回は院生(M2)の福永さんに走行ロボットの研究についてお話 を伺いました。福永さんは効率の良い走行ロボットについて研究して います。7年ほど前に研究室で“起こし回転”という現象に注目したの が始まりです。起こし回転とは、1本のロッドを床面に斜めに適切に 投射すると、床面との衝突により水平方向の速度が上昇方向の速度 に変換され跳ね上がる現象のことです。モーターなしでも重力効果の みによって下りスロープを歩くロボットについては佐野先生が研究さ れている通りですが、福永さんの研究では起こし回転のようなロッド がバウンスするような動きを走行に応用しています。脚の開きが最大 の時に外部から上方に引き上げる力を加えると安定した走行ができる 福永大輝さん ことが知見としてありました。
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それをシステムで行う際に、OptiTrackFlex13 カメラと Motive:Tracker を使用してロボットの動きの計測を行い、リアルタイムでロボットの脚 がどのくらい開いているのか、三次元的に計測を行いながら、その計 測データを別の制御用プログラムにリアルタイムストリーミングし、ロ ボットを上に持ち上げるタイミングを制御していました。(リアルタイム ストリーミングするのは無償提供されている NatNet SDK の “起こし回転”を説明する映像 SampleClient.exe を使用されていました。)その結果、長時間連続での 走行を実現することが出来ました。 アメリカンクラッカーを走行ロボットの脚に見立てると、脚が最大に開 いた時に上に引き上げる力を与えると脚は閉じる方向に動きます。そ の要領で、福永さんは走行ロボットに新しくコイルと磁石を追加し、さ らに脚の開きデータをフィードバックせず、よりシンプルにあるリズム で電流の向き切り換え、脚の開きを補助することで、上に引き上げる 力がより少なくてもうまく走行できる実験に成功しました。 福永さんが開発している走行ロボット OptiTrackを使うことのメリットは? 現在はリアルタイムで脚の開きをフィードバックするためではなく、走 行ロボットの姿勢を解析するために OptiTrack を使用していただいて おります。カメラは天井付近のレールや壁についた板を利用し邪魔に ならないようにオリジナル治具で取り付けています。がっちりとした三 脚を用意しなくてもよいのはコンパクトな Flex13 カメラのメリットです。 しかもワイドレンズを使用しているので視野角が広く、あまり十分なス ペースが取れない研究室でも十分な計測ボリュームが確保できる点 はご満足いただいております。また Motive ソフトウェアのバージョンア ップにより、今まで手動で設定が必要だった三次元化の設定が環境にあわせて自動でデフォルト値を設定してくれる ことになったのは便利だと好評をいただきました。疑問点などを弊社の emailサポートにお問い合わせいただき問題 解決につながった点も評価いただきました。三次元で動作を取得し 3Dビューで動きを確認できるので、2次元の映像 や実際には覗くことができないようなアングルで被写体の動きを眺めることができ、新しい気付きや発見につながるこ ともあるそうです。
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今後に期待すること 研究では複数点のマーカーを剛体として登録せずに、マーカー単体の位置情報だけを取得したいこともあります。特 にリアルタイムに情報を取得されたい場合などは後編集でマーカーの入れ替わりを修正できても意味がありません。 剛体として登録されていない 2点間の距離や 3点で作り出される角度などをリアルタイムに Motive ソフトウェアから 出力できるようになると便利だとおっしゃっています。また収録データを解析するオフラインでの作業で、マーカー単体 のラベルが入れ替わった場合にある程度オートマティックにつなぎ合わせてくれるような機能があるとよいと感じてい るそうです。スピードアップやトラッキング精度アップにつながる根本的な部分の改善は、概ねどのバージョンアップで も実施されます。またマーカーを三次元化するためのエンジンや詳細設定なども充実してきているため、入れ替わり や厳しい条件でのマーカー検出については以前よりずっと改善していますが、より安定してミスの少ないトラッキング ができるよう期待したいと思います。
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STEP INTO CARLSBERG 他 使用 OptiTrack システム  Prime 17W×2 使用ソフトウェア  Motive:Body ソフトウェア  Motive:Tracker ソフトウェア 株式会社 aircord 橋本俊行氏 人見麻紀氏 aircord は、映像や光、テクノロジーを用いて開発を行うクリエイティブチームです。インタラクティブ、プ ロジェクション、デバイス、ロボティクスなどのデザインや企画、開発などを行っており、ハードとソフト双 方向からのアプローチで、新しい可能性に積極的にチャレンジしています。 OptiTrack 導入のきっかけ もともと、ライブ演出やイベント演出事例などで OptiTrack を使用されていた事はご存知だったとの事です。過去に人 気ロックバンドのライブで加速度センサーを用いた杖を使った演出を手掛けられた際に、より高速で遅延の少ないセン サーが必要だと実感された事がきっかけで、OptiTrack 製品の中で最も高速なキャプチャーが可能な Prime 17W をご 導入頂きました。
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STEP INTO CARLSBERG ボトルの中央部分に自分自身のホログラムが出現し、ダンスを踊りだすという CM です。Prime 17W と Motive:Body を 用いてダンサーのモーションデータを取得し、Kinect によってスキャンした自身の 3D モデルにモーションを流し込め ば、あたかも自分自身が踊っているようになるというワクワクするような演出です。 PLAY THE PING PONG 卓球台の上を飛び交うピンポン球をリアルタイムにトラッキングし、音と映像がシンクロする世界卓球 2015 の CM でも OptiTrack をお使い頂いています。Prime 17W なら、ピンポン球の高速な動きさえも難なくトラッキング出来たとの事で す。
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DRIFT TURN TABLE kz(livetune)さんの新曲「Party in the Car」の MV のために開発された、車の「ドリフト走行」を音楽に変換するシステ ムです。Prime 17W を用い、車に反射マーカーを取り付ける事によって車の走行をトラッキングされたとの事です。ま た、MV は東京・お台場で開催された世界最大級のダンスミュージックイベント「ULTRA JAPAN 2014」の TOYOTA 社 ブースでも上映されたそうです。 経験がモノを言う OptiTrack は基本的には三次元位置を計測するシステムですが、ライブ会場や CM 撮影の演出上、通常では想定し ていないような環境で使用することが多いそうです。 例えばスモークがたかれた場所でマーカーの認識に問題がないかなど、案件ごとに異なる内容に合わせた検証や、 現場の状況に合わせた若干の修正が必要になる場合もあるとのことです。 Optitrack はカメラの設営やキャリブレーションが簡単で、安定動作し、アプリケーション内において認識に関しての設 定項目が多いため、多様な現場にも柔軟に対応できる、と大変信頼を頂いています。 今後に期待すること ライブ会場のように高所にカメラを設置することが多いので、カメラのフォーカスもソフトウェアから制御できるとより柔 軟性が増す、というご意見や、演出内容によるマーカーのカスタマイズ(透明に近い反射テープや、ピンポン球に貼っ ても弾み方が変わらないような薄いテープなど)が可能になると、選択肢が増え、使い方の幅が広がるのではないか とのご意見を頂きました。
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Flying Shoe Store|世界初!空中ストア/ crocs drone 使用 OptiTrackシステム  Prime17W カメラ 6台 使用ソフトウェア  Motive:Tracker ソフトウェア 株式会社 BIRDMAN Technical Director / Device Engineer / Programmer コバヤシタケル氏 Device Designer / Programmer / Sound Designer 梶原洋平氏 BIRDMANではディレクター・デザイナー・プログラマー・デバイスチームと映像を全般的に制作するためのスタッフが 勢ぞろいしています。新しいことにチャレンジするのが好きで、いつでも新しい提案できるよう空き時間を見つけては社 内でテストをしています。今回もモーションキャプチャでドローンを制御できることは知っていたものの経験がなかった ので、クライアントに一緒にチャレンジしましょう!と提案。そこから素敵なプロジェクトが誕生しました。 2015年 3月、東京ミッドタウンに 4日間だけの『空中ストア』がオープンしました。非常に軽い crocsの Norlin を販売 するショップでなんとドローンが商品を運んでくれる前代未聞のショップでした。BIRDMANではこのプロジェクトに OptiTrackモーションキャプチャシステムを使ってドローンをコントロールしました。まずはこちらをご覧ください。 【crocs drone|世界初!空中ストア/ Mid-Air Shoe Store】
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【crocs drone - リハーサル|世界初!空中ストア/ Mid-Air Shoe Store】 商品のセールスポイントを特徴的にカッコよく表現していて、しかも楽 しい。こんなイベントの縁の下の力持ちが BIRDMANのコバヤシさん と梶原さんです。空中ストアの企画は昨年夏頃にスタートし、最初は 超音波、Kinect、測域センサなど主に画像解析を駆使するような 10 パターンくらいの方法で実験を繰り返していました。そんな中、Flex3 カメラと既に販売を終了している Arena をたまたま手にする機会があ り、この企画にモーションキャプチャを使用することを現実的に検討す ることになりました。 しかし Flex3ではスペック的に足りず、弊社にご相談いただき、新しいソフトウェア Motive と Prime17W カメラのデモを ご覧いただきました。カメラの調整からキャリブレーションまでスピーディに終了しすぐに精度の良いキャプチャ空間の 準備ができる Motive ソフトウェアが購入を決定したポイントでした。また、Prime17W カメラは 360FPSまで計測できる ハイスピードカメラでホバリングやゆっくりした動きだけではなく機敏な動きも可能な点もご好評いただいております。 本番に向けて ボディの下にカメラが付いているタイプのドローンは地面の映像から自身の位置をある程度制御できますが BIRDMAN さんが使っているドローンにはカメラがなく、また屋内なので GPSは使用できず、結局4つのモーターの絶 妙なバランスで上下左右の指令を出すしかない状態でした。もっと前、もっと右、ちょっと左、とスイカ割りと同じ要領で す。
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しかし慣性の法則で、指令を出してすぐに方向を変えてはくれないた め、指令を出す側は少しでも遅延の少ないハイスピードカメラであるこ とが求められます。Web カメラや Kinectだと 30FPSなので少しスピー ドがたりませんでした。Flex3 カメラを使用し、まずはホバリングに成 功。次に実際の現場で使用できるかテストを繰り返しましたが、なか なか思うように実現できず何度も何度もトライアンドエラーを繰り返す 日々。イベントまで刻一刻と迫り来る中、360FPSまで計測できるハイ スピードカメラ Prime17W+Motive に出会い、ドローンの制御に成功。準備が整ったところでラストスパートです。7mの 高さにカメラを設置した本番会場では広い空間をキャリブレーションするための自作の長い長いキャリブレーションワ ンドをミッドタウンで振りながら変な人と思われていたかもしれません、と。そして本番当日。記者会見では大勢の報道 陣に囲まれ大賑わいだったためカメラを取り付けたポールが動いてしまい、大勢の前で再度キャリブレーションをする ことになった以外は非常に安定して動作していたとご満足いただきました。 インタラクティブコンテンツを行う上で問題となる遅延が非常に少ない 点はもちろん、トラッキングしたいマーカーなのか不要な反射なのか を精査するためのフィルタなど細かい部分も使いこなしていただきま した。ドローンが運ぶのは軽量シューズのみならずバッテリーやシュ ーズを引き上げる磁石などで積載要領は予想以上に大きくなり、ドロ ーン制御としてはハイレベルだったそうですが、アッパレですね。 今後に期待すること 今後 OptiTrackに望むこととして、120°くらいの超ワイドレンズの搭載、複数エリアをつなぎ合わせること、マーカーレ スあるいは球体マーカー以外の形認識ができるようにすることなどリクエストをいただきました。貴重なご意見として今 後のバージョンに盛り込めるよう取り組めればと思います。
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スポーツ医学に関する研究における OptiTrackの導入 使用 OptiTrackシステム  Prime13 カメラ 12台  eSync2 1 台  A/V リモート 4 台 使用ソフトウェア  Motive:Body(旧:Arena)ソフトウェア  Motive:Tracker(旧:TrackingTools)ソフトウェア 小笠原一生先生 武庫川女子大学 小笠原一生氏 ※現在:大阪大学大学院医学系研究科 2011年 4月より武庫川女子大学にて講師をつとめる小笠原先生は主にスポーツ外傷のメカニズ ム解明に関するバイオメカニクス的研究を行っています。 https://www.facebook.com/ogasawara.lab 研究室のミッションは子供から高齢者まで、競技スポーツからレクリエーションまで、様々なレベル の「ヒト運動」を対象に、運動の巧みな制御方略や、効率的な学習方法を解き明かし、国民の健康 と安全なスポーツライフに資することだそうです。具体的には・・・ 1)スポーツ医工学、バイオメカニクス、電気神経生理、認知心理学を融合させた実験系にて上記 のミッションに挑戦しています。 2)スポーツ医学関連の新規なトレーニング機器、運動能力評価機器を開発しています。 3)企業からの依頼研究、製品評価実験等を行っています。 4)女性を中心とした若手研究者の育成を行っています。
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OptiTrack導入の経緯 以前所属していた産業技術総合研究所(茨城県つくば市),国立ス ポーツ科学センター(東京都北区)では Viconの MXカメラを 20台ほ ど使用していたという小笠原先生ですが、腕の運動など体の一部分 をキャプチャするというニーズにはもう少しコンパクトでシンプルなシ ステムが適するのではないかと感じていました。webで非常に安価な OptiTrackシステムを知り導入していただくこととなりました。スポーツ 分野での使用ということで当初 250Hz の S250e カメラを導入いただ きましたが、Prime13 カメラがリリースし、カメラをアップデートしてい ただきました。 元阪神タイガースの藪投手も小笠原研究室の院生! 元阪神タイガースの藪投手と一緒にモーションキャプチャを使って分析していらっしゃいます。 元阪神タイガースの藪投手との実験 今まではビデオカメラを使ってフォームをチェックしていましたが、モーションキャプチャで三次元デ ータが取得できるため、視点を即座に変更してフォームの変化を確認しやすいのが新鮮で評判が よいとおっしゃっていました。“モーションバンク” を作 るのを目指しており、例えばシーズン前後のデータを 見てフォームがどのように変わったかを比較したり、手 術受ける選手の手術前後のフォームを比較したりして 活用したいと考えています。先生のように数値データ が欲しい人は C3D、CSV 形式で位置・姿勢データを出 力し 、後から数値で解析し 、現場のコーチは Motive:Body で視点を変更して動きを確認す る画面
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Motive:Body ではリアルタイムに様々な角度から CG マネキンを確認しフォームをチェックしていま す。ユーザー様のニーズに合わせて幅広くお使いいただけるシステムであるというのは魅力だと 思います。 スポーツにおけるケガの研究では 小笠原先生はスポーツにおけるケガの研究をしています。特に膝前十字靱帯損傷という重篤なス ポーツ外傷の発生メカニズムの解明とその予防の研究に注力しているそうです。膝前十字靱帯損 傷は球技に多く発生するケガであり、ジャンプ着地や急な方向変換で起こります。膝は特定の方 向から外力を受けると脱臼して靱帯が損傷します。このメカニズムは諸説あるのですが、小笠原 先生のモデルによれば、「かかと」から着地した場合では、膝が特定の方向から外力を受ける確 率が高まることが予想されるとのことでした。そこで、この予想を実験的に確かめるため、Motive ソフトウェアによる三次元データとフォースプレートでの床反力データから着地時に膝に作用した 外力を計算したところ、やはり、かかとから着地して急に方向を転換する場合と、つま先から着地 して急に方向変換する場合と実際はひざにかかる負担が大きく変わっていることがわかりました。 また、ケガのリスクがある選手は、着地時の膝のブレが大きいこともモーションキャプチャを通じて 明らかになりました。これらの研究のアウトカムですが、モーションキャプチャ実験の様子をわかり やすく加工してスポーツ外傷予防の啓発資料として学生アスリートに提供しているそうです。
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クラシックバレエにおいて美しいと感じる回旋とは? 河野さん(修士 2 年)が研究しているのはクラシックバレエにおける肩の回旋動作(関節を回す動 作)についてです。見ている人が美しいと知覚する回旋量はどの程度のものなのか?!適度な回 旋を描けば美しいと知覚するはずだという仮説のもとプロのバレリーナとそうでない人の計測デー タを DAZスタジオというフリーソフトで CG化して比較しています。
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Vicon と比較すると? Vicon は非常に高価で歴史のあるモーションキャプチャシステムであり、オートラベル機能や他の 計測機器との連動については、標準機能として Vicon のソフトウェエアで処理できるそうです。今 のところ OptiTrack にはその機能はありませんが価格や性能を考慮しても OptiTrack の方が先生 には向いていると判断していただきました。というのも小笠原先生はプログラムも自身で使いこな す自称ちょっと変なバイメカ&体育系の人だそうで、SDKでいろいろ開発できるフレキシブルなとこ ろを活かして足りない機能をカバーしているそうです。以前 TrackingTools の時は剛体を定義しな ければマーカーにラベルが付けられず、自身でマーカー単体にラベルを付けていたので後処理の 時間が非常にかかっていましたが、Motive になってから単体マーカーでラベリングできるようにな りマーカーデータの後編集(クリーンナップ)もできるようになったので後処理にかかる時間が大幅 に短縮され本来の解析作業に時間をさけるようになりました。 ※オートラベル機能については将来の Motiveに搭載されるようリクエスト中です。 Motive + eSync2 + LabVIEW でどんな実験もできる? 前項で述べた通り先生は自分たちの実験をプログラムで組んでいます。現在、LabVIEW でフォー スプレートなどのアナログ信号を計測しているということですが「Motive と eSync と LabVIEW があ れば大概どんな実験でも組めますよ!」とおっしゃっていただきました。リアルタイムストリーミング では MatLab サンプルなどもサポートされ、研究者の皆さまにはどんどん使いやすいシステムにな ることを今後も期待したいと思います。
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飛行物体自律制御の研究 使用 OptiTrack システム  Flex3(旧 V100:R2)カメラ 6 台 使用ソフトウェア  TrackingTools ソフトウェア 宇都宮大学 大学院工学研究科 電気電子システム工学専攻 准教授 平田光男氏 平田光男氏 CD/DVD プレーヤなどの小型電気製品から自動車,航空機,宇宙機器といった産業応用機器まであ らゆる製品に使われ、産業の発展に多大な貢献をしている制御技術。平田研究室では、新しい制御理 論や制御技術の研究とそれらの実システムへの応用に関する研究を行っている http://hinf.ee.utsunomiya-u.ac.jp/ http://hinf.ee.utsunomiya-u.ac.jp/~hirata/ OptiTrack 導入の経緯 もともと Quanser 社製品のユーザーであった平田先生は、ある日 Quanser 社の新製品案内で QuaRC®*1 を使用した 物体の自律制御で OptiTrack が使用されていることを知る。そこでその当時学生が研究していた飛行物体の制御に OptiTrack を使用することを検討し始めた。 http://quanser.blogspot.jp/2009/02/vision-tracking-in-quarc-using.html 上記ではフィードバック制御の最も基本的な実験のひとつとされる倒立振子をエンコーダではなく OptiTrack を使用し たヴィジョントラッキングによって実施している例を紹介している。 OptiTrack を購入するに至った理由は、初期導入費用が安いことである。何か新しい研究を進める場合、どうしても最 初は予算がつかない。予算がつかないから研究に使用するシステムが導入できない。システムが導入できないから 満足できる研究ができない。そんな負の連鎖を断ち切ることができるのが OptiTrack だったというわけだ。三次元剛体 動作計測をスタートするためのミニマムのシステムであれば通常の研究費の範囲内に収まる。もちろん計測対象物の 大きさ、動作の種類、動作の範囲などにより構成は変わってくるわけだが、平田先生が行いたいと思っている飛行物 体1つの三次元剛体動作計測ではまず 4 台の FLEX:V100R2 カメラと TrackingTools ソフトウェアで最低限カバーでき たため導入していただくこととなった。この初期導入費用が安いというのは非常にメリットであるそうだ。 *1 MATLAB®の Simulink®上で動作するリアルタイムの制御ソフトウェア
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飛行物体自律制御の研究 実際に OptiTrack を使用して飛行体制御の実験を行っていたのは 2012 年 3 月に修 了された修士 2 年の皆川佳孝さん。飛行機(固定翼機)の形をしているが、通常の飛 行機のような飛行ではなく、機首にプロペラをつけロケットのように真上に向かって離 陸し、直立でホバリングさせることに成功した。Prop-Hanging Flight と呼ばれるこのよ うな飛行はアクロバット飛行の一種で熟練者でないとなかなか難しい。それを制御理 論で実現したことになる。 皆川佳孝さん さらにその後、オイラー角ではなくクオータニオンを用いることで、姿勢角に制約されない自由度の高い制御を実現。 ホバリング,方位角制御,円軌道制御,離着陸制御を成功させた様子はこちら。