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ボールタービン(R)【食品の安全と品質に寄与する先進の撹拌体】

その他

洗浄カンタン、撹拌のその先へ...

【掲載内容】
◆ボールタービン(R)誕生
◆食品業界における従来の撹拌羽根の課題
◆ボールタービン(R)の構造とミキシング原理
◆特徴
・泡立たない
ボルテックス(渦)が発生しにくい形状により,高速回転させても空気の巻き込みが抑制される。また,傾斜した溝が泡残りを防止する。
・高粘度対応
強力な吐出流と吸上流が,高粘度液体を隅々まで撹拌する。撹拌開始後 15秒でボールタービン(R)は容器底に沈んだ溶質を勢いよく分散しているが,6 枚羽根のパドル翼は容器底に沈んだ溶質をかろうじて巻き上げている程度で,撹拌能力に大きく差がでていることが分かる。
◆具体的導入事例
◆撹拌のその先へ

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このカタログについて

ドキュメント名 ボールタービン(R)【食品の安全と品質に寄与する先進の撹拌体】
ドキュメント種別 その他
ファイルサイズ 387.9Kb
登録カテゴリ
取り扱い企業 エムレボ・ジャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

この企業の関連カタログ

この企業の関連カタログの表紙
高粘度対応ボールタービン エムレボ2.0
製品カタログ

エムレボ・ジャパン株式会社

このカタログの内容

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[混合・攪拌・乳化機器] 食品の安全と品質に 寄与する先進の撹拌体 エムレボ・ジャパン株式会社 代表取締役 荻野 忠彦 ため,非常に有効な選択肢の一つとなると考え Ⓡ 1 「ボールタービン 」誕生 ている。 食品業界における 撹拌機の撹拌羽根(インペラ)の形状は,撹 2 従来の撹拌羽根の課題 拌の目的,溶液の状態,撹拌機の性能等に応じ て様々な種類が存在する。弊社は撹拌コンサル ●沈殿してしまう ティングカンパニーとして,自社製品の他,他 食品業界でよく使用されるピッチドパドル翼 社製品もお客様の相談・要望に応じて提案して やプロペラ翼などの通常の撹拌羽根は,下向き きた。 の水流が発生する方向に回転する。このため, そんな中で既存の撹拌羽根では対応が困難で 沈殿物がタンクの隅に押しやられて堆積した あるにも関わらず,改善要望が最も多かった依 り,溶け残りが発生したりするなど,分散や溶 頼が「泡立ちを抑えながら目的の撹拌を行う」 解の撹拌で問題が発生する。 である。これらの改善要望を満たすことに特化 また,撹拌羽根の回転方向を逆にすることで し,「ボールタービンⓇ」(写真 1)は開発され 撹拌羽根の真下の沈殿は解消しやすくなるが, た。特に食品業界においては,泡立ちすること タンクの隅の沈殿物はむしろ増えることが多く により消泡材を使用しなければならない等の課 て分散や溶解の問題を解決できないだけでな 題を有しており,泡立ちを抑えながら沈降物を く,撹拌羽根で発生した上向きの水流により液 巻き上げる撹拌や粘度の高い溶液の撹拌が多い 面に乱れが発生しやすくなり,溶液の飛散や気 体の混入などの別の問題が発生する。 ●泡立つ 泡立ちは,液面の波立ちや渦巻きにより溶液 に気体が混入することで発生することが多い。 この波立ちや渦巻きは,生産効率を上げるた めに撹拌羽根の回転数を上げたりサイズを大き くしたりすると発生しやすく,長時間の撹拌や 写真 1 ボールタービン ® 泡立ちやすい溶液の撹拌で問題となる。 5・2018 ―75―
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なお,邪魔板を使用することで波立ちや渦巻 生し,吐き出された溶液分だけ撹拌容器の底の きを防止することが可能だが,タンクの洗浄が 溶液が吸い込まれて巻き上げ流が生成される。 煩雑になりやすい,邪魔板の下に沈降物が残り またボールタービンⓇの斜めに傾斜した溝か やすいなどの別の問題が発生する。 ら吐出される溶液は,溶液を斜め上方に吐き出 ●粘度が高くて混ざらない すと共に,吐出後に容器の壁面に衝突してさら 一般に,ディスパーサーやホモディスパーの に上下に移動するため,容器の液面近くから容 ような円板の円周にノコギリ状の歯がついた高 器底の隅まで効率よく撹拌することができる。 粘度用の撹拌羽根は,溶液をせん断することで このように,ボールタービンⓇを溶液の中で 乳化や溶解促進または溶質の塊を破砕・分散す 回転させることにより,溶液の吐出と吸入が連 るための羽根であり,効率よく全体を撹拌する 続して発生することにより撹拌が行われてい ことや沈降防止には向かない。 る。 また,パドル翼やプロペラ翼などの撹拌羽根 は,羽根の周囲しか溶液が動かず,全体を撹拌 4 特徴 できない。 Ⓡ 3 ボールタービン の構造と 4 - 1 吸い上げる ミキシング原理 斜めに大きく開いた角溝が,横方向に強力な 図 1,図 2に示すように,ボールタービンⓇ は,本体の液面の側に設けられた回転軸を接続 するボス部分と,本体の容器の底側に中心から 放射状に設けられた複数の溝と,この複数の溝 が接続しないように設けられた空間とで構成さ れている。 なお,複数の溝は,中心部から外周に向かっ て斜め上方に傾斜している。また,本体には通 常の撹拌羽根のような突起がない。 上記構造をもつボールタービンⓇの撹拌原理 を以下に説明する。 まずボールタービンⓇを撹拌容器の溶液の中 図 1 ボールタービン ® 側面図 に浸漬させるとボールタービンⓇに形成された 溝に溶液が入り込み満たされる。この状態で ボールタービンⓇを回転軸周りに回転させる と,溝の側面が溶液を押し始めて遠心力を与え るため,ボールタービンⓇは半径方向外側に向 けて溶液を吐出する。この結果,ボールタービ ンⓇの下側の中心に設けられた空間に負圧が発 図 2 ボールタービン ® 下面図 ―76― 食品機械装置
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吐出流を作りだして沈降物を吸い上げる。写真 2で観察されるように,撹拌開始 10 秒後,ボー ルタービンⓇが竜巻状の吸上流を形成し,斜め 上方に吐出しているのに比べて,4枚羽根のパ ドル翼は吸上流を形成できていない。 また,写真 3で観察されるように,撹拌開始 後 20 秒でボールタービンⓇは水面近くまで撹拌 が完了しているが,4枚羽根のパドル翼はよう やく容器の下半分程度撹拌している状態であり, 写真 2 撹拌開始 10 秒後(撹拌条件 回転数 100rpm      粘度水程度 容量 3 リットル) 撹拌効率に大きく差がでていることが分かる。 4 - 2 泡立たない ボルテックス(渦)が発生しにくい形状によ り,高速回転させても空気の巻き込みが抑制さ れる。また,傾斜した溝が泡残りを防止する。 4 - 3 高粘度対応 強力な吐出流と吸上流が,高粘度液体を隅々 まで撹拌する。 写真 3 撹拌開始 20 秒後(撹拌条件 回転数 100rpm      粘度水程度 容量 3 リットル) 写真 4で観察されるように,撹拌開始後 15 秒でボールタービンⓇは容器底に沈んだ溶質を 勢いよく分散しているが,6枚羽根のパドル翼 は容器底に沈んだ溶質をかろうじて巻き上げて いる程度で,撹拌能力に大きく差がでているこ とが分かる。 4 - 4 洗浄カンタン シンプルな形状により,洗浄性に優れている。 写真 4 撹拌開始 15 秒後(撹拌条件 回転数 600rpm      粘度 100mPa・s 容量 3 リットル) 表 1 ボールタービン ® と撹拌羽根(インペラ)の比較 5・2018 ―77―
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表 2 具体的導入事例 以上、表1の通りである(ある特定の条件での その手段や道具や理論は何だって構わないとい 撹拌比較であり,すべての条件で性能を保証す う事実である。 るものではない)。 よって弊社はお客様に最適な撹拌の提案をす ることを大前提としているため,自社製品のみ 5 具体的導入事例 ならず,他社製品に関しても,最適だと思われ るものを積極的に提案している。各種形状の撹 食品業界を含め,他業界での具体的な導入事 拌翼(インペラ)は,永年蓄積したノウハウを 例は表 2の通りである。 基に使用され続けているものであり,用途を特 定すれば非常に有用である。そのため,ボール 6 撹拌のその先へ… タービンⓇは従来の撹拌翼(インペラ)に置き 換わる商品ではなく,今まで解決できなかった 弊社は撹拌コンサルティングカンパニーとし 課題に対して新たな付加価値を提供する商品と て,2011 年夏以降現在までに,3,000 件近い案 して考えている。 件を対応してきた。そんな中で痛切に感じるこ 「撹拌のその先へ…」が弊社の行動指針であ とは,お客様が求めていることは,「希望して り,撹拌できたという結果にコミットし,食品 いる撹拌ができた」という結果のみであって, 業界においてお役に立てれば幸甚である。 ―78― 食品機械装置