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3Dデータ、CADデータって何ですか? 樹脂加工品のプロフェッショナルが徹底解説!基礎知識ハンドブック

ハンドブック

切削加工に使用する為のデータ CAD作成時に使用するデータの互換性等について分かりやすく解説しております。

CADデータは設計開発から製造現場まで、幅広く活用されるようになりました。
3Dデータを受け渡す際に注意しておきたいことをまとめておきましたので、
新入社員の教育や改めて押さえておきたい基礎的な知識としてお使いください。

このカタログについて

ドキュメント名 3Dデータ、CADデータって何ですか? 樹脂加工品のプロフェッショナルが徹底解説!基礎知識ハンドブック
ドキュメント種別 ハンドブック
ファイルサイズ 1.5Mb
取り扱い企業 古賀電機株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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3D データ、CAD データって何ですか? こんな質問から始まる基礎知識 古賀電機株式会社
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Q:3D データ、CADデータって何ですか? A:まず、3D データを作るソフトで大きく分けると、CAD(Computer Aided Design)で作る 3DCAD データ、CG(Computer Graphics)で作る 3DCG データの 2 種類があります。 また、3D形状の表現についても、下記のような種類があります。 ・【ワイヤーフレーム(Wire Frame)】CAD で使用 形状を点と線のみで形作られたデータです。 初期の CAD や CAM に使われた形式ですが、現在はサーフェスやソリッドで形状を表現していま す。 点と線のみで形成されたデータ ・【サーフェス(Surface)】CAD・CG で使用 曲面や平面を定義している厚みのないデータです。 その為、体積や質量の概念はなく、閉ざされた立体形状であっても中身の無い空洞になっている データです。 定義された曲面や平面で形成された 厚みのない空洞になっているデータ
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・【ソリッド(Solid)】CAD で使用 体積や質量の概念があり、閉ざされた立体形状には中身が詰まったデータになっています。 また、図面のように正確な寸法や形状から作られていますので、有機的な複雑形状(人や動物の 形状)については苦手です。 体積や質量を持った中身が詰まったデータ ・【ポリゴン(Polygon)】CG・3D スキャンのデータで使用 三角形平面や四角形平面からなる多角形を寄せ集めたサーフェス形状です。 この形式は 3D プリンターなどで作るフィギアなど、人や動物のような有機的複雑形状を得意と しているファイル形式で、地表の形状や 3D スキャンのデータとしても使われています。 これはサーフェスと同じで閉ざされた立体形状であっても中身の無い空洞になっているので体積 や質量の概念はありません。 三角平面の寄せ集めで表現しているため、 曲面を正確に表現しようとすれば 多くの三角平面が必要になる このように 3DCAD データはソリッドデータのように立体形状に中身が詰まったデータ。 3DCG データはポリゴンのように閉ざされた立体形状であっても中身の無い空洞になっている データとなります。
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Q:3D プリンター用と切削加工用では 3D データに違いがあるのでしょうか? A:3D プリンターには STL 形式と呼ばれるファイル形式のポリゴンデータを使います。 切削加工用にはポリゴンデータだとデータ量が多すぎて、データを間引きする必要が出てきます。 その為、CAM では使いにくく、図面のように正確な寸法や形状から作られた 3D のソリッドデータ を使うのが一般的です。 Q:最近、「3D データを下さい」ってよく言われますが、何に使うのでしょうか? A:工作機械を動かす為のプログラム作成時に使用します。 CAM ソフトでプログラムを作成するのですが、その時に先ず図面を見ながら 3D データを作成して、 その形状を削り出すために最適な加工条件を設定して、その加工条件に基づいた加工プログラムが 作られます。 ①図面 → ②3D データ作成 → ③加工条件設定 → ④加工プログラム作成 → ⑤部品加工 3D データを頂ければ②の 3D データ作成の工程が短縮され、3D データ作成ミスも防げるからです。 ①図面 → ②加工条件設定 → ③加工プログラム作成 → ④部品加工
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Q:中間ファイルってよく聞きますが何でしょうか? A:メーカーが異なる CAD・CAM 同士で、データの受け渡しをする際のファイルフォーマットです。 CAD ソフトで作成されたデータは、そのままだとネイティブデータと呼ばれるソフト固有のフォー マットになります。 異なる CAD ソフトでは、そのネイティブデータを読み取ることが出来ず、正確な形状を再現できな かったりします。 その為、中間ファイルと呼ばれる比較的互換性のあるファイルフォーマットに変換してから、異なる CAD・CAM 同士でデータの受け渡しをします。 Q:データの受け渡しの時には、どのファイルフォーマット形式にしたらいいでしょうか? A:中間ファイルフォーマットには様々な形式がありますが、 ①Parasolid(パラソリッド) ②STEP(ステップ) ③IGES(アイジェス) が、3D データの中間ファイル優先順位になります。 【Parasolid(パラソリッド)】:拡張子*.x_t;*.x_b Parasolid は厳密に区分すれば中間ファイル形式ではなく、ソリッドカーネルが提供する外部用 ファイルフォーマットになります。 同じカーネルを採用している CAD・CAM であればデータ交換がとてもスムーズに行えるのが 特徴です。 ただし、最終形状のソリッドに対応していますが、形状以外の属性・仕様(寸法公差・幾何公差・ 材質等)には対応しておりません。 【STEP(ステップ)】:拡張子*.step;*.stp ISO(国際標準化機構)が標準化に向けて取り組んでいる、製品データの表現と交換のために定め た国際標準規格です。 IGES のデータ交換率が良くない点を補う仕様になっていますが、あまりにも壮大な適応範囲と なってしまい、普及に追いついていません。 その為、実際の CAD・CAM に取り込むときには、バラバラの曲面・平面群を接合し、ソリッド 状態に変換させて使用する点は IGES と変わりません。
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【IGES(アイジェス)】:拡張子*iges;*igs 米国の ANSI(米国規格協会)が取り決めた CAD データ交換のための中間ファイルフォーマット です。 元々は 2D データを扱うファイルフォーマットでしたが、その後 3D データにも対応できるように 改善されました。 ほとんど全ての CAD・CAM に対応している優れた汎用性を持っていますが、仕様が曖昧でソフ トメーカーの解釈が違うケースがあり、対応しているバージョンもまちまちで、データの交換率が あまりよくありません。 実際の CAD・CAM に取り込むときには、バラバラの曲面・平面群を接合し、ソリッド状態に 変換させて使用します。 1996 年 9 月の IGES5.3 が最終版とされました。 Q:「3D データと図面データを下さい」って言われましたが、どちらも必要ですか? A:ほとんどの中間ファイル形式には、形状以外の属性・仕様(寸法公差・幾何公差・材質等)には対応 しておりません。 その為、3D データの最終形状ソリッドだけではなく、部品を製作するに当たって重要な属性・仕様 の詳細がわかる図面データの両方が必要になります。 最近では「JT」や「STEP AP242」と呼ばれる中間ファイル形式を使って、形状以外の属性・仕様を 網羅できる 3D 図面形式が広がりつつありますが、多くの場合は 3D データと図面データの両方で運 用してるのが現状です。 Q:「CAD ソフトのカーネルは何を使ってますか」と聞かれましたが、カーネルって何ですか? A:カーネルとは 3D モデリングをしていく際に、どのように閉じた立体形状にするのかを決めている モデリング機能のライブラリになります。 点・線・面・立体の作成や変更・削除・演算など、3D 形状を取り扱う機能がこのカーネルによって 決められています。 このように、CAD の中枢的機能を司っているのが、このカーネルと呼ばれるモデリング機能になる のです。 CAD ソフトの構成 ソフトの各 オプション メーカー固 有の機能 カーネル(中 枢的機能)
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Q:それぞれのカーネルで何が違うのですか? A:例えば球体や円柱のような単純なモデリングであっても、曲線の分割数が違います。 DESIGNBASE CATIA Pro ⁄ ENGINEER I-DEAS ACIS Parasolid 8 面 2 面 1 面 1 面 4 面 2 面 1 面 1 面 CAD 同士でデータの交換をする場合、同じカーネルを採用している CAD 同士であれば、形状が 正しく再現される確率は高くなります。 Q:渡した中間データが「面抜け」「面化け」「読み取れない」などと言われました。何が悪かったので しょうか? A:中間ファイルで受け渡しをしていても、このような問題が起きる場合があります。 その原因は大きく分けると 3 つあります。 ①トレイランス(許容誤差)の違い CAD によって面と面、立体と立体と間にトレイランス(モデリング精度)が設定されており、 その誤差の範疇であれば隙間があっても面と面、立体と立体が結合されるのです。 その為、面・立体が抜けてしまったり、面・立体が結合されてしまったりするのです。
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CAD 名 トレイランス(モデリング精度) CATIA 0.1 SOLIDWORKS 0.00001 I-DEAS 0.01 SOLIDWORKS では離れていても CATIA だと結合され、 CATIA だと結合されているのに SOLIDWORKS では離れてしまう事がある。 ②カーネル(モデリング機能)の違い カーネルの違いで単純な立体であっても曲線の分割数(縫い合わさる数)などが違っている為、 ブーリアン演算と呼ばれるソリッドを「和」「差」「積」などの演算で形成した形状が再現できない こともあります。 和 差 積 ③不安定な形状の存在 微細な面や尖った面、不安定に演算された部分がある場合は、ネイティブデータ(CAD 固有の データ形式)では形成されていたとしても、中間ファイルに変換して渡すと、その不安定な形状が 再現できないケースや、読み取りすら出来ないこともあります。 変にフィレットされた部分は 鋭角になっている面が繋がり合った部分は 不安定に演算された部分となりやすい 不安定に演算された部分となりやすい 弊社では CAD ソフトでは SOLIDWORKS を導入ており、 CAD/CAM ソフトでは VISICAM と MasterCAM をそろえています。