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『今さら聞けないHACCP入門』食品工場の何が変わり、どう対応していくのか

ハンドブック

食品工場の何が変わり、どう対応していくのか。対応事例も解説!

今、世界の食の安全基準は先進国をはじめ「HACCP(ハサップ)」がスタンダードになりつつあります。日本でも2014年に義務化が決定し、東京オリンピックに向けて日本の食の安全を世界にアピールするべく導入企業が増えています。義務化の最終期限は2021年6月。未導入の企業は準備を急ぐ必要が出てきそうです。

とはいえ「HACCPって結局何?」「具体的にどんなことをすればいいの?」といった不安を抱える企業も多いのではないでしょうか。そこで今回は、食品工場の何が変わり、どう対応していけばいいのか。対応事例も交えて解説するハンドブックをお届けします。

▼『今さら聞けないHACCP入門』掲載内容
●そもそもHACCPとはなにか
●HACCPによって変化すること
●HACCP対応の具体例
●HACCPによって発生する新たな業務

このカタログについて

ドキュメント名 『今さら聞けないHACCP入門』食品工場の何が変わり、どう対応していくのか
ドキュメント種別 ハンドブック
ファイルサイズ 436.7Kb
登録カテゴリ
取り扱い企業 エレコム株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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今、世界での食の安全基準は先進国をはじめ「HACCP」が広まっています。日本 でも2014年にこれまでの食品安全管理に変わってHACCPの義務化が決定しまし た。また、2020年の東京オリンピックに向けて日本の食の安全を世界にアピール するため、導入企業も増えてきています。 2018年の段階で約42%*の食品製造業がHACCPを導入しており、義務化の最終期 限も2021年6月となっているため、未導入の企業は準備を急ぐ必要が出てきそう です。 *農林水産省 食料産業局食品製造課「平成30年度食品製造業におけるHACCPに 沿った衛生管理の導入状況実態調査」2019年6月 1.そもそもHACCP(ハサップ)とは何か? Hazard Analysis Critical Control Point 危害要因 分析 重要 管理 点 それぞれの頭文字をとって「HACCP」と表記します。日本語で文章にすると「食 品加工の行程の中の衛生管理において、特に重要で危険な要素を分析した上で、 事前に重要で管理が必要な点を明確にして対応する管理手法」のことです。 もともとHACCPは1960年代にアメリカで宇宙食の安全性を確保するために開発さ れた「食品の衛生管理の方式」でした。その後、食品の国際化に伴い、食べ物の 安全性を担保するための考え方として、食品規格(Codex)委員会からHACCPが 発表され、国際的に認められた基準になりました。 これをきっかけにアメリカやEU、カナダ、オーストラリア、韓国、台湾など先進 国の多くで義務化されています。そのため、日本から諸外国に輸出する際は、輸 出先国が求めるHACCPの考え方と同じ安全性を担保することが必須条件です。関 税障壁がなくなることで輸出入のニーズが高まれば、さらにHACCPへの適用の必 要性は高まります。 こういった食品流通のグローバル化と各国の対応状況により、日本でも義務化に 至った背景があります。
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次にHACCPの7原則について説明します。 (1) 危害要因分析の実施 工程ごとに原材料由来や工程中に発生し得る危害要因(健康に悪影響を もたらす原因となる可能性のある食品の状態)を列挙し、管理手段を全 て挙げます。 (2) 重要管理点(CCP)の決定 危害要因を除去・低減すべき、特に重要な工程を決定(加熱殺菌、金属 探知等)します。 (3) 管理基準(CL)の設定 危害要因分析で特定した重要管理点(CCP)を適切に管理するための基 準(温度、時間、速度等々)を設定します。 (4) モタリング方法の設定 重要管理点(CCP)が正しく管理されているかを適切な頻度で確認し、 記録します。 (5) 改善措置の設定 モニタリングの結果、管理基準(CL)が逸脱していた時に講ずべき措置 を設定します。 (6) 検証方法の設定 HACCPプランに従って管理が行われているか、修正が必要かどうかを検 討します。 (7) 記録と保存方法の設定 記録はHACCPを実施した証拠であると同時に、問題が生じた際には工程 ごとに管理状況を遡り、原因を追及する際の助けとなります。
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そしてHACCPには「HACCP に沿った衛生管理」 と 「HACCP の考え方を取り入 れた衛生管理」の2種類があります。 「HACCP に沿った衛生管理」 HACCPの7原則に基づき、食品等事業者自らが、使用する原材料や製造 方法等に応じ、計画を作成し、管理を行う必要があります。対象は 「HACCP の考え方を取り入れた衛生管理」の対象にならず、かつ事業規 模が大きな事業者となります。 「HACCP の考え方を取り入れた衛生管理」 小規模事業者向けに簡便な記録を行うことが想定されていて、比較的容 易に取り組めるものです。 対象は小規模事業者(一つの事業所において50人未満)などです。 「HACCP に沿った衛生管理」 と 「HACCP の考え方を取り入れた衛生管理」の 対象は、巻末に記載の「厚生労働省 HACCP に沿った衛生管理の制度化に関する Q&A 2018年8月発行、2019年2月更新」をご覧ください。 HACCPについてこれまでの内容をまとめてみると、製造工程の全てを記録管理し、 対応する必要はなく、あくまで「危害要因を集中して管理する考え方」であるこ とがわかります。 そして義務化されるのは2021年6月以降ですが、この期日までに義務化を行えな かった場合に罰則があるのかというと、今のところは明確な規定はありません。 事業者が衛生管理計画の策定、およびその遵守を行わない場合、まずは行政指導 が行われることになっています。さらに行政指導に従わず、人の健康を損なうお それがある、飲食に適すると認められない食品等を製造等した場合には、改善が 認められるまでの間、営業停止などの行政処分が行われることもあり得ます。 なお、食品衛生法には「都道府県知事などは公衆衛生上必要な措置について、第 一項の規定により定められた基準に反しない限り、条例で必要な規定を定めるこ とができる」とあるため、都道府県にて定められる条例にて罰則が課せられる可 能性があります。 *参考:厚生労働省 「『食品衛生管理の国際標準化に関する検討会中間とりまと めに関する説明会』の開催結果について」 2016年12月
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2.HACCPによって変化すること では、HACCPの導入によって、衛生管理や実業務はどのように変化するのでしょ うか。一見、導入が大変そうに感じるHACCPの考え方ですが、メリットもあるの で、その点も踏まえて整理してみます。 まず、これまでの完成品サンプルの抜き出し検査による衛生管理方法では、何か 問題が起こった場合「どのタイミングで」「どの工程で」問題が発生したのかが わかりません。生産ラインを止めて確認することは難しく、止めることにより大 きなコストもかかります。さらに問題発生後の完成品破棄というロスの発生も考 えられ、工場運営、コスト面で大きな影響が出ることもあり得ます。 しかし、HACCPの考え方による衛生管理であれば、原材料の仕入れ段階から完成 品までの間で、危害要因を事前に設定して関所で記録監視を行なっているため、 問題が発生した時点で、すぐに原因を把握して対応ができます。そのため、従来 と異なり、完成品になる前に問題を発見して対応できるようになります。それに よって、従来の問題点だった工場運営、コスト面の影響を軽減することが可能と 考えられます。 さらに生産工程における各業務についても、重要な点である危害要因とその管理 基準、モニタリング方法が明確化されているので、問題検知の早期化、対処方法 が明らかになり、対処までの時間を短縮できるようになります。
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3.HACCP対応の具体例 それではHACCPを導入する際の具体例を見てみましょう。 例えば、パンの製造の場合、まずは製品の概要を「製品説明書」として書き出し ます。どこの小⻨粉や原材料を使用しているのか、焼成、放冷、包装はいつ行う のか、消費期限はいつまでなのかなどを製品説明書として作成します。その後、 製造工程の一覧図を作成していきます。ここでは各担当者が集まって工程図を作 成します。以下のようなイメージです。 (1) 原材料の小⻨粉、およびイーストは製パン用の生イーストを指定のメー カーから購入します。その他の材料も指定のものを仕入れてきます。 な お、水は水道水を使用します。 (2) すべての原材料は、清潔でよく管理された覆いのある車で配達され、す べての資材に破損がなく、仕様があっていることを確認し、ロット番号 を付けて資材保管庫または冷蔵庫で保管します。 (3) 戻ってきた通函は洗剤洗浄し、水ですすいだ後、室温で乾燥させ、破損 や落ちない汚れが付着しているものを除き、適切なもののみ保管庫に保 管します。 (4) 原材料は所定の重量を計量し、ミキシングして中種を調製し、発酵させ ます(28℃、90分)(第一発酵)。 (5) 中種に残りの原料を加えてミキシングし、本生地を作製、発酵させます (フロアタイム20〜30 分)。 (6) 手作業で分割して丸めて、中間発酵(10〜15分)後、成形し、二次発酵 させます(38℃、40〜60分)。 (7) 窯に入れて焼成します(220℃、13〜14分)。 (8) 窯出しの後、放冷します(20〜30分)。 (9) 専用の上着と手袋を着用した作業者が、手作業でポリプロピレンの袋に 個包装します。 (10) 金属探知を経て、通函に入れて出荷します。 (出典:厚生労働省「HACCPモデル例」)
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これらの工程は担当者それぞれで役割分担して日々の業務が行われているため、 担当者を集めて細かく書き出し、全員で確認します。 ここまでできたら、HACCPの7原則の1つ目の危害要因リストの作成に入っていき ます。例えば仕入れてきた小⻨粉や、ミキシング中に金属⽚の混入が万が一発生 したら危険度が高いと想定される場合、危害要因と設定します。また何かしらの 病原微生物が材料中にいる場合も危害要因として考えられます。このように想定 され得る最悪な危害要因を全て洗い出していきます。 その上で、その危害要因はどうすればクリアできるのかを考えていきます。これ が「CCP(クリティカル・コントロール・ポイント)」です。金属⽚の混入に対 しては仕入れ時やミキシング時に金属探知機を通せばその場で検知できるので、 これがCCPとなります。また病原微生物がいた場合、85℃で1分以上の加熱で病 原微生物の死滅するとわかっているので焼成工程で対処とします。この85℃で1 分などが「CL(クリティカル・リミット)」で、安全かどうかの閾値となります。 このように工程表にHACCPの危害要因とCCP、およびCLを策定していきます。 洗い出したHACCPの工程表を、各担当者同士で検証します。必要・不必要なども ここで検証します。できあがったHACCPの工程表をまとめてHACCPプランをま とめます。 ここからは現場での話になり、作成したHACCPプランをもとに工場運営を行い、 危害要素を定めてCCPやCLを定めた関所ごとに問題がないかを定期的に確認、記 録します。 パン工場を例にあげましたが、食品を扱う全ての業種においてHACCP導入が義務 となるため、このような流れで進めていく必要があります。製品や業態による HACCPの手引書は、各地方自治体や協会が発行しているのでそちらを参考にして ください。
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4.HACCP対応によって発生する新たな業務 HACCP導入によるメリットもありますが、対応のために増える業務もあります。 一番にあげられるのは記録・管理することです。例えば、定期的に温度や時間の チェックを行い、その結果を記録する必要が出てきます。また、記録された情報 を管理するとなると、日々蓄積される情報量が増えていきます。紙で記録してい くと記録用紙の補完方法の準備、保管場所自体の確保など、管理するための業務 が増加し、記録結果を見返す際にも情報を探すことに時間がかかってしまう可能 性も考えられます。また、記録用紙や、記録のためのペンなどが異物混入にもつ ながる恐れがあるので、さらにそのようなリスクを回避するための派生業務も発 生します。 こういった業務負荷の増加や異物混入のリスクを懸念して、現場のペーパーレス 化を進める企業が増えてきています。 次で具体的な事例をご紹介いたします。
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5.対応事例 ある食品製造メーカーでは、紙を使ってHACCP運用のために品質管理の記録を 行っており、以下のような課題が発生していました。 ・ 管理帳票の破損・紛失 ・ 管理帳票を事務所に取りに行く手間 ・ 手書き後にデータを入力していたため、記録用Excelへの二重入力、なら びに入力ミスが発生 ・ チェックシートを回収して内容を確認しているため、異常検知にタイム ラグが発生 ・ 記録用Excelに大量のマクロが使用されており、異動・退職した場合の引 継ぎミスが発生 ・ Excelファイルで運用していたため、他部署とのデータ共有が不十分 いずれもデータの記録・活用における課題ですが、特に管理帳票の破損・紛失 (異物混入リスク)や、異常検知のタイムラグはHACCPの運用としては望ましく ありません。 そこで、管理帳票のペーパーレス化を行い、入力端末のタブレット化を進めまし た。結果として、異物混入リスクもなくなり、リアルタイムな入力による異常の 検知の早期化や、情報の一元管理による分析、監視などのデータ活用が促進され ました。 また、二重入力などの工数も削減、現場でマニュアルが確認できるようになり、 作業品質も均一化されるなど、多数の効果を得ることができ、計測対象のデータ を拡大することも検討されています。
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6.タブレット・サービスのご紹介 ペーパーレスを実現するためには、パソコンやタブレットのような電子端末が必 要です。入力作業なども簡単に、かつ効率的に行えるタブレットが非常に便利で す。さらに食品工場など水が多い場所では濡れることも予想されるので、タフな 端末でなければなりません。 そこで、過酷な環境下でも高いパフォーマンスを発揮する『ZEROSHOCKタブ レット』をご紹介します。 この端末は現場を支援する業務用に特化したタブレットで、あらゆるシーンのIT 化で生産・管理効率を高めてくれます。防滴、防塵、耐衝撃とタフなので現場で 安⼼して使用できる点も特⻑です。またWi-Fiに加えSIMカードでの通信利用も可 能です。さらに⻑期使用も安⼼の最⻑5年の国内保守サポートや、Windows10 OS を最⻑10年間利用できるので、アプリを⻑期的に使っていくことができます。 その他にも現場で嬉しい手袋モードやさまざまなオプションで、ご要望に合わせ た対応が可能です。 製品詳細はこちら: https://www.elecom.co.jp/download/web_catalog/pdf/business/CS- 33D066T.pdf
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『ZEROSHOCKタブレット』と組み合わせることで、点検表への記入をいつもの Excelにそのままタブレットで簡単にできるようになる『点検エース for Excel®』 というサービスもご紹介します。 使い慣れたExcel表をそのまま利用することができるので、操作も簡単!写真をタ ブレットで撮影して、貼り付けることも可能です。さらに、オフライン環境でも 利用できるので、どこででも記録業務を行えます。 サービス詳細はこちら: https://www.elecom.co.jp/download/web_catalog/pdf/business/CS- 34D035T.pdf これらのタブレット・サービスを活用して、HACCP対応で必要となる記録業務の 効率化や異物混入リスク軽減への対応をぜひご検討ください。 タブレット・サービスの詳細については下記までお問い合わせください。 ■ZEROSHOCKタブレット エレコム株式会社 TEL: 0120-975-579 受付時間:10:00〜19:00 月曜日〜金曜日 (祝・祭日、夏期、年末年始定休業日を除く) ロジテックINAソリューション株式会社 購入前お問合せ窓口【PCソリューション営業部】 ※はじめに、カスタムPCについてのご相談であることをお伝えください。 TEL: 0570-006409(オーロジテック) E-mail:pc-info@logitec.co.jp ■点検エース for Excel® 株式会社ビジー・ビー TEL:03-3470-3171 E-mail:info@busybee.co.jp 受付時間:平日10:00〜18:00(土日祝日を除きます)
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本資料について 本資料は2019年10月時点の情報を基に作成した内容です。記載内容については各省 庁や団体の発表情報を基に作成していますが、HACCPへの対応を保証するものでは ありません。 また、本資料で紹介する製品・サービスについては2019年10月時点のものです。最 新情報については連絡先までお問い合せください。なお、本連絡先は製品・サービス に関する問合せ先であり、HACCP対応に関するお問合せは受け付けておりませんの でご注意ください。 参考文献 厚生労働省 「食品衛生管理の国際標準化に関する検討会中間とりまとめに関する説明会」の 開 催結果について 2016年12月発行 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku- Soumuka/0000145932.pdf 厚生労働省 HACCP に沿った衛生管理の制度化に関するQ&A 2018年8月発行、2019年2月更新 https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000483069.pdf 農林水産省 食料産業局食品製造課 「平成30年度食品製造業におけるHACCPに沿った衛生管理の導入状況実態調査」 2019年6月発行 http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/syokuhin_doukou2/ 厚生労働省 食品製造におけるHACCPによる衛生管理普及のためのHACCPモデル例 【焼菓子】 2019年10月閲覧 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500- Shokuhinanzenbu/0000126920.pdf 公益社団法人日本食品衛生協会 HACCP(HACCP導入のための7原則12手順) 2019年10月閲覧 http://www.n-shokuei.jp/eisei/haccp_sec05.html 発行元 エレコム株式会社 販売推進課 法人営業企画チーム TEL:06-6229-1418 発行日:2019年10月21日