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脱炭素・カーボンニュートラルへの転換とEVシフト(E-モビリティ)に潜む、バッテリ製造現場の課題と解決方法

ホワイトペーパー

E-モビリティの時代にむけて ー 二次電池・バッテリ製造工程における金属(主に銅)混入対策

世界規模で取り組む温暖化対策のひとつ、脱炭素・カーボンニュートラルへの国際的な転換とEVシフト(E-モビリティ)は加速しています。そして、E-モビリティの心臓部とも言えるバッテリ・二次電池の生産が強化されていってます。
しかし、バッテリ業界を悩ます問題があります。電極の短絡によって引き起こされる膨張や発熱・発火事故、これらは製造工程における金属微粉末の混入が原因であると分かってきました。
短絡のメカニズムや二次電池・バッテリ製造工程における金属(主に銅)混入対策。そしてIDECが提案するバッテリ製造現場における金属微粉末混入対策ソリューションなどを紹介いたします。

このカタログについて

ドキュメント名 脱炭素・カーボンニュートラルへの転換とEVシフト(E-モビリティ)に潜む、バッテリ製造現場の課題と解決方法
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
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取り扱い企業 IDEC株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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銅レス化製品 E-モビリティの時代にむけて 二次電池・バッテリ製造工程における金属(主に銅)混入対策 ■ 世界規模で取り組む温暖化対策。脱炭素・カーボンニュートラルへの国際的な転換とEVシフト 自動車のEV化は、脱炭素・カーボンニュートラルへの有力な解決策の ひとつとして世界中で取り組み強化が進んでいます。 国際エネルギー 機関(IEA)によると、現在、世界の総CO2排出量は約336億トン (2019年)とされ、このうち輸送部門(Transport)は24%となる 輸送部門: 24% 82億トンを占めています。つまりは世界が排出するCO2のうち約2割 を自動車が占めており、脱炭素・カーボンニュートラルを実現するため には自動車からのCO2排出量の低減は不可欠なものとなっています。 Source: IEA (2022). CO2 emissions by sector, World 1990-2019. All rights reserved. Global Light Vehicle Production Forecast By Powertrain 2018-2035 (Units) そこで、自動車をEV化(電気自動車化)することにより、脱炭素・ 110 100 Global カーボンニュートラルに貢献するために、世界各国でガソリン車規制と 90 80 70 EV化の推進などによるEVシフトが前向きに進められており、EV販売台 60 50 数は年々伸びています。世界各国が、近い将来にむけたガソリン車の 40 30 CAGR: 27% 新車販売禁止の意向を示し、それを受けて、自動車メーカー各社もEV 20 10 0 開発を推進しており、次々とEVの新モデルを出して車種を増やすなど、 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 2031 2032 2033 2034 2035 Petrol 71.1 67.2 55.2 54.8 54.5 56.0 57.4 57.8 57.4 56.2 53.8 50.8 47.2 43.5 39.3 34.2 28.4 20.6 今後、世界各地においてもEVの普及率が高まっていくことは、間違い Diesel 15.1 13.6 10.4 9.8 8.4 7.4 6.6 5.8 5.0 4.2 3.6 3.0 2.5 2.1 1.8 1.5 1.3 1.1 NGV 1.0 1.0 1.0 1.1 1.1 1.1 1.1 1.1 1.1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.4 0.3 0.2 ないでしょう。世界の電気自動車市場は、2020年の250万台から27% HEV 2.4 2.8 2.9 3.4 4.1 5.0 6.0 6.7 7.5 8.2 8.9 9.5 9.9 10.1 10.1 9.9 9.3 8.9 PHEV 0.9 1.1 1.2 1.8 2.2 2.6 3.1 3.8 4.3 5.0 5.6 6.1 6.8 7.2 7.5 7.6 7.5 7.2 のCAGR(年平均成長率)で成長し、2030年には2800万台に達する EV 2.0 2.2 2.5 5.2 6.2 7.5 9.2 11.1 13.4 16.2 19.5 23.6 28.0 33.0 38.7 45.5 53.7 63.5 FCEV 0.03 0.04 0.04 0.06 0.08 0.10 0.14 0.18 0.23 0.30 0.40 0.52 0.69 0.89 1.16 1.51 1.97 2.57 と予想されています。 Pre-war 92.5 87.8 73.2 76.2 79.6 83.1 86.6 89.5 91.3 93.1 94.7 96.2 97.9 99.8 101.9102.8104.6105.9 Global 92.4 87.8 73.2 76.2 76.6 79.9 83.6 86.6 88.9 91.0 92.6 94.3 95.8 97.3 99.0 100.5102.4104.1 Source; Ultima Media. Automotive Battery Supply Chain Summary 2022. All rights reserved ■ 世界で進むEVシフトとバッテリ生産の強化 Lithium-Ion Battery Demand vs. Production Capacity Forecast 2020-2030 (GWh) 7000 7000 6500 6500 6000 6000 5500 5500 今後のEV需要の急拡大に備え、その心臓部とも言えるバッテリ・2次 5000 5000 電池の供給体制の整備も急ピッチで進んでいます。自動車メーカーは 4500 4500 4000 4000 EV化への対応を強化し、EV生産に向けた大規模な設備投資を始めて 3500 3500 います。そしてEV用バッテリ市場は盛り上がっており、バッテリメーカー 3000 3000 が生産能力の強化・拡大を進めているほか、自動車メーカー自らが、 2500 2500 2000 2000 バッテリの安定確保を目指してバッテリ製造に乗り出すといった動きも 1500 1500 出てきています。 1000 1000 500 CAGR: 27% 500 0 0 202 202 202 202 202 202 202 202 202 202 203 203 203 203 203 203 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 Consumer 60 72 83 95 110 126 145 167 192 220 253 279 306 337 371 408 Storage 20 24 29 35 41 50 60 72 86 103 124 142 164 188 217 249 Electric CV 25 35 45 57 73 94 117 147 184 229 282 347 427 525 646 794 Electric PV 140 203 260 333 426 545 681 838 1031 1268 1559 1886 2283 2762 3342 4044 References: Required capacity 475 575 695 841 1018 1232 1466 1737 2050 2419 2891 3455 4128 4933 5895 7045 Stated plans 459 704 959 1353 1756 2310 2761 3179 3529 3783 4072 IEA (2022). CO2 emissions by sector, World 1990-2019 Daniel, Harrison (2022). Source; Ultima Media. Automotive Battery Supply Chain Summary 2022. All rights reserved Automotive from Ultima Media. Automotive Battery Supply Chain Summary 2022 1 GWh Demand (Columns) GWh Capacity (Red Line) Million units
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銅レス化製品 ■ バッテリ業界を悩ます金属微粉末の混入問題 EVのバッテリには、リチウムイオン電池が採用されています。リチウ カバー 負極 ムイオン電池は、携帯電話やスマートフォン、デジタルカメラなど セパレータ 絶縁版 モバイル機器で広く使われており、最も身近で一般的な二次電池となっ ていますが、一方で膨張や発熱、発火事故が何件も報告されています。 その多くは電極の短絡によ って引き起こされ、短絡の原因については、 ケース セパレータ 負 正 はっきりした原因究明には至っていませんでした。しかし最近になって 極 極 分析が進み、短絡の原因・メカニズムが解明されてきており、充放電 デンドライト させた際に負極側に発生する樹状突起(デンドライト)が何度も充放電 が繰り返されることで成長し、セパレータを突き破って正極と接触し、 そこで短絡が発生するということが分かってきました。しかもそのデンド 正極 ライトのもととなるのが、製造工程で発生し、セルに混入した金属微粉 であるところまで突き止められています。 ■ リチウムイオン電池で短絡が起きるメカニズム リチウムイオン電池のセルの内部は、セパレー ① 金 属粉が電解液に混入 充電器 タによって正極と負極が仕切られ、電解液で 放電 充電 ② 混 入した金属が充溶電解し 正極から負極に蓄積 満たされています。電気を流すと、充電時は 充電器 放電 充電 充電 正極から溶け出たリチウムイオンが負極に移動 セパレータ e してその電位差によって電気が内部に蓄えら セパレータ 電解液 負 電 セ 電 正 極 解 パ レ 解 極 れ、電力を使う時は、負極に溜まっていたリチ 電解液 液 ー 液 e 負 電 セタ 電 正 パ ウムイオンが正極に移動することで電力を発生 負 正 極 解 レ 解 極 極 極 液 ー 液 タ する仕組みとなっています。この電解液に金属 負 正 析出 溶出 極 極 微粉末が混入していると、充放電時に混入した 析出 溶出 金属が溶解(イオン化)して正極から負極に移 電流の流れ 動し、負極側で析出して固体化して鋭く尖った ③ デンドライト発生 電流の流れ ④ ショート(短絡)発火 樹状突起(デンドライト)となります。充放電 が繰り返されるとデンドライトは大きく成長して セパレータを突き破って正極側まで伸びていっ て性能劣化を引き起こし、最終的には正極と 接触し、そこで短絡が発生します。 金属微粉末は目に見えないほどの微小なもので、バッテリの製造 放電時の電流の向き 工程・製造現場には金属微粉末の発生源がいくつもあり、大量に飛散 放電時の電子の向き し混入してしまっているのが現実です。しかもこの短絡は、リチウム カーボンなど リチウムイオン 酸化物など イオン電池よりも安全性が高く、EV向けとして採用と普及が期待され ている全固体電池でも同様に発生する可能性があると言われています。 放電時 全固体電池は電解質が固体になったとはいえ、その構造は液体電解質 充電時 放電時 のリチウムイオン電池と同様。金属微粉末が混入しているとイオンマイ 充電時 グレーションからデンドライトが形成されていきます。全固体電池の方 固体電解質 負極 正極 が発生しにくいというだけであり、金属微粉末の混入問題はバッテリ・ 二次電池製造工程では避けられない課題となっています。 2
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銅レス化製品 現場で金属加工をしていなくても、銅や鉄、 アルミニウム、カーボンなどさまざま種類の 金属微粉末は、製造プロセスや、製造装置 内部などの製造現場のいたるところで発生し ています。また操作パネルのスイッチや扉の 開閉のヒンジなども操作時には金属微粉末を 発生させ、混入元となります。 ■ 金属微粉末を発生・飛散させないIDECの銅レス化製品 装置に取り付けてあるスイッチや非常停止ボタン、安全スイッチなど も金属の接点がある機構部品であり、操作時に金属微粉末を発生さ せて飛散しており、金属微粉末の発生源となりえます。また製造ライ ンの近くに設置されている制御盤なども同様です。 IDECではこれらの製品について、自動車メーカー、バッテリメーカー、 バッテリ製造装置メーカーなどEV・電気自動車関連業界向けに、金属 微粉末を発生させず、飛散させない二次電池製造ライン対応製品を 提供し、ラインアップを増やしています。これらを採用することによっ て二次電池の製造ラインを「銅レス化」でき、工程不良を未然に防ぐ ことができます。 銅レス化製品では、筐体に覆われて外に飛散する恐れのない内部機構 には従来通り銅を使って性能・定格はそのままに、外部と露出している 金属部分には銅からSUSや樹脂等に置き換え、または特殊な銅レスメッ キを施しています。これによって銅の微粉末の発生・飛散を元から断ち、 デンドライト化の可能性を最小限に抑え込んでいます。現在、銅レス化 製品としてカタログ標準品となっているのは、押ボタンスイッチ、照光 押ボタンスイッチ、表示灯、セレクタスイッチ、非常停止用押ボタンス イッチ、安全スイッチです。また製造装置の操作権限管理や入退室管理、 トレーサビリティ等で活用が広がるRFIDシステムについても、銅レス 対応スマートRFIDリーダをラインアップしています。さらに鍵付き セレクタスイッチも銅レス化対応製品に加わる予定です。 ■ IDEC標準品の二次電池製造ライン対応状況 機種 対応状況 押ボタンスイッチ 照光押ボタンスイッチ 対応済 表示灯 製品情報はこちら セレクタスイッチ 鍵付セレクタスイッチ 未対応 非常停止用押ボタンスイッチ 対応済( X Nパドロック対応タイプ、 HWプッシュロックキーリセットは除く) 安全スイッチ 対応済( た だし、HS5D樹脂製操作ヘッドタイプ、 及び、HS6Bのみ) 3
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銅レス化製品 ■ IDECが提案するバッテリ製造現場における金属微粉末混入対策ソリューション モバイル機器など民生品と異なり、EVでのバッテリ不良やトラブルは人命に関係する大事故につながりかねません。 そのため自動車メーカーや電池製造メーカー、そして、これらのメーカーへ製造装置を納めるバッテリ製造装置メーカー IDEC においては、重要課題である「金属微粉末の混入問題」。IDECではバッテリ製造現場における金属微粉末混入に対応 対応製品は 次ページに するソリューションをご提案しております。 電極工程 ロールで連続して流れてくる金属箔の上に、ペースト状の電極材料を塗布、乾燥、プレスされて電極が作られる。正極はアルミ箔の上に コバルト酸リチウムやマンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム等を、負極は銅箔の上に黒鉛や炭素系材料を成膜する。 組立工程 検査工程 セルを接続してパッケージ化する工程(検査・パッ 電極はロール状のまま組立工程に送られ、必要なサイズにカットされ、 ケージング)では各セルは活性化され、検査された セパレータと貼り合わされ積層される。積層された電極とセパレータ 後、バッテリケースに並べられてパッケージ化され、 はケースに入れられ、電解液を注入、封止されセルが完成。 完成品となる。 お問合わせはこちら 4
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銅レス化製品 ■ IDECが提案するバッテリ製造現場における金属微粉末混入対策ソリューション/対応製品 電極工程 表面への銅の露出が無くバッテリ製造に適したHMI製品 3 14 1 6 5 Push-in式 フラッシュシルエット® フラッシュシルエット® 1 5 3 コントロールユニット スイッチ スイッチ 4 14 HWシリーズ CWシリーズ LB/LBWシリーズ 14 2 5 2 7 8 9 6 5 4 5 6 1 3 3 10 11 12 13 1 3 5 4 2 5 4 2 7 8 9 7 8 9 10 11 12 13 10 11 12 13 スマートRFIDリーダ プログラマブル表示器 KW2D形 HG※G/HG2J形 計量・混練 塗工・ロールプレス スリット 組立工程 検査工程 5 6 2 6 1 3 6 6 4 6 2 5 3 4 5 6 5 14 7 8 9 2 6 2 3 10 11 12 13 1 4 3 1 4 5 1 5 1 3 4 7 8 9 2 5 7 8 9 4 7 8 9 4 10 11 12 13 1 7 8 9 10 11 12 13 5 2 3 10 11 2 10 11 1 3 4 7 8 12 13 12 13 9 2 3 10 11 巻回 スタッキング 注液 12 13 充放電 検査・スクリーニング 作業者の「安全」を確保する安全製品 装置やオペレータの快適性向上に適した盤内および周辺製品 1 2 7 8 9 6 10 11 12 13 14 安全スイッチ 非常停止用押ボタンスイッチ 安全 強制ガイド式リレー セーフティ LED照明 スリム/ 小形コントローラ スイッチング電源 レール式端子台 小形光電スイッチ HS5L形 XN4E形 パドロック、ハスプ リレーモジュール RF1/RF2形 コントローラ LF3D形 ユニバーサルリレー FT1A形 PS3V/PS5R-V形 Klippon Connect SA2E形 銅レスタイプ 銅レスタイプ HR6S/HR5S形 FS1A形 RU/RJ/RV8形 Push-in式 Aシリーズ 5