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協働ロボット活用に必要な「協調安全」- 安全だけでなく安心も考える

ホワイトペーパー

新しい安全の考え方「協調安全」

協働ロボットには、どのようなリスクアセスメントをして安全を構築すればいいのでしょうか。
産業用ロボットと協働ロボットはもともとの製品コンセプトが異なりますが、危険やリスクに対する取り組み内容は同じであり、いかに労働災害を無くしていくのかという事を考えないといけません。
そのベースとなる のが「協調安全(Safety 2.0)」という新しい安全の考え方です。協調安全とは、人と機械・ロボットが同じ空間を共有して共同作業を行う場合には、人と機械・ロボットと現場の情報を使って状況に応じた安全行動を取ることで安全が構築できるという考え方です。

これまでの産業用ロボットを使った製造現場の場合、人とロボットは完全分業をしていたため、お互いの作業空間を完全に分離すれば、求められる安全性も生産性も確保できました。しかし協働ロボットになると、人とロボットが作業空間を共有し、分業と共同作業が入り混じり、作業領域内への人やモノの出入りが頻繁にあることから、従来のような画一的な安全の作り方に当てはめることはできません。そのため、人とロボット、作業空間内の状況をリアルタイムで把握し、その時々に応じて人とロボットが適切な行動を取れるような情報を ベースとした安全システムの構築が必要となります。刻々と変わる現場。高い安全性を保ち、安定して生産できる安全・安心のつくり方。それが協働ロボットで求められる協調安全です。

このカタログについて

ドキュメント名 協働ロボット活用に必要な「協調安全」- 安全だけでなく安心も考える
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
ファイルサイズ 968.1Kb
登録カテゴリ
取り扱い企業 IDEC株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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協働ロボット安全 協働ロボットの普及で大きく変わる製造現場 安全と生産性の両立をどう実現するか? 人とロボットの能力を最大限に発揮できる安全安心な作業現場の作り方 製造現場にロボットを導入し、自動化を通じて人手不足の解消や生産性を上げていこうという世界的な  トレンドが進んでいます。特に人と一緒に作業ができる協働ロボットへの興味・関心は高く、皆さまの会社でも 一度は「協働ロボットを導入しよう」という議論をしたことがあるのではないでしょうか。ここでは協働ロボット の検討や導入、または協働ロボットを使ったシステムを設計するにあたり、協働ロボットならではの新しい製造 現場の作り方、注意すべきポイントと、「安全性と生産性の両立」を解説します。 目 次 ● 人と一緒に働くための安全機能を備えた協働ロボット  ………………………… 2 ● ロボット導入には不可欠な「リスクアセスメント」  ……………………………… 2 ● リスク軽視で事故を起こした場合、最悪逮捕の可能性も ……………………… 3 ● 社会環境や産業現場の変化における新しい安全の考え方「協調安全」 ……………… 3 ● 協調安全に必要な安全関連製品をラインアップしているIDEC ………………… 4 ● 安全だけでなく安心も考えるIDEC   ~心理的な安心を実現する、IDECが提案する安全・安心機能~ …………… 5 ● ロボットと超接近しても安全安心な作業を可能にする「ANSHIN Sensor」 …… 6 ● 手が届かない位置からでも速やかに停止させるための非常停止アシストスイッチ ……… 6 ● 協調安全の構築もサポート 安全の専門家による安全コンサルティング ……… 8 1
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協働ロボット安全 人と一緒に働くための安全機能を備えた協働ロボット 協働ロボットは「人と協力して働くことができるロボット」「安全柵で囲う必要のないロボット」「人の作業を 補助できるロボット」などと言われ、省力化、省人化してコストダウンしたい、生産性をアップし売上を高めたい、 人的ミスを減らして品質価値を高めたいとの考えや、ティーチングが簡単、ISO規格に準じた措置がとられてい る、導入しやすいといった特長を挙げて紹介されることもあります。いずれも間違いではありませんが、協働ロボッ トの本質は「安全」であり、「人と一緒に働くための協働作業が認められたロボットのことを”安全機能を備えた” ロボット」というのが正解です。人やモノとの衝突防止や、ぶつかったらその場で止まる安全機能、指や手が 挟まりにくい構造や、万が一衝突しても相手に怪我や破損をさせにくい形状など安全に配慮した各種性能を備 えたロボット、それが協働ロボットです。安全設計が施されているから人と一緒に働くことができるのです。 ロボット導入には不可欠な「リスクアセスメント」 では、製造現場に協働ロボットを導入する、もしくは協働ロボットを使ったロボットシステムをつくるにあたり、 どんなことに気をつけたらよいのでしょうか。まず大前提として理解しておかなければいけないのが、ロボットを 導入する際には必ず事故の危険性を減らすための3ステップメソッドによるリスク低減方策を行い安全を構築す る必要があるということです。 協働ロボットはそれ自身に安全機能を備えているとは言え、あくまでメーカーが安全性を担保している責任範 囲は本体のみ。ハンドやビジョン、架台など周辺機器を組み合わせて作業ができるロボットシステムになると、 たとえ協働ロボットを使っていたとしても、それは必ずしも安全だとは言い切れません。例えば、ロボットの先端 部に尖ったハンドや溶接機を使ったり、大きな重量物を掴んで搬送させた場合、隣で作業している人や稼働 範囲に入ってきた人に先端が触れたり、ワークが足の上に落ちたらケガをする恐れがあります。協働ロボットも 産業用ロボットも同じロボットシステムであって、使う時には必ず危険がともないます。ロボットを導入したり、ロ ボットシステムをつくる時には、リスクアセスメントなどのリスク低減方策を行い、事前に考えうる限りの危険を 想定し、事故の可能性を減らすための方策を実行する。これを忘れてはいけません。 2
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協働ロボット安全 リスク軽視で事故を起こした場合、最悪逮捕の可能性も もしリスク低減方策を行わず、安全対策が不十分なロボットシステムで労災事故を起こした場合、その安全 責任はメーカーではなく、ロボットを導入したユーザー企業やロボットシステムを作ったロボットシステムインテグ レータが負うという事も考えられます。そうなると事故の調査のために生産を止めたり、場合によっては刑事罰 や民事罰に問われる可能性も考えられます。重大事故の場合は工場長や責任者が逮捕されることもあるので十 分に注意する必要があります。生産性を高めるには、ロボットや生産設備の速度を上げてタクトタイムを上げる か、生産が止まっている時間を減らすという事が一般的に考えられます。衝突などによりロボットが止まってしま うと、生産性が一時的に落ちてしまいます。ですので、安全にロボットを運用し止まらないような安全対策を行 い継続的に生産することによって生産性は向上します。童話の「うさぎと亀」のように、速く動いては止まりを 繰り返すより、一定のテンポで休まず止まらず生産を続けることが、結果的には多く生産でき、ムダな作業も減 らすことができます。安全性と生産性は両立できます。協働ロボットの活用は、人とロボットが協力して作業を 行うからこそ、安全性と生産性の両立を意識した現場づくりが必要になります。 社会環境や産業現場の変化における新しい安全の考え方「協調安全」 では、協働ロボットに代表されるような、人と機械が共存・協調する設備や協働ロボットを使ったロボットシ ステムを作り、導入する時には、どのようなリスクアセスメントをして安全を構築すればいいのでしょうか。産業 用ロボットと協働ロボットはもともとの製品コンセプトが異なります。しかしながら、危険やリスクに対する取り組 み内容は同じであり以下に労働災害を無くしていくのかという事を考えないといけません。協働ロボットという新 しいテクノロジーを使いこなすうえで、危険とリスクを想定し、安全をつくる必要があります。そのベースとなる のが「協調安全(Safety 2.0)」という新しい安全の考え方です。協調安全とは、ものづくりにおける安全を 推進している一般社団法人セーフティグローバル推進機構が規定している「人・モノ・環境が、情報を共有す ることで協調して安全を構築する安全の概念」です。人と機械・ロボットが同じ空間を共有して共同作業を行 う場合には、人と機械・ロボットと現場の情報を使って状況に応じた安全行動を取ることで安全が構築できる という考え方です。 3
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協働ロボット安全 Safety 0.0 Safety 1.0 Safety 2.0 • • 出典:厚生労働省・中央労働災害防止協会資料を一部流用。 これまでの産業用ロボットを使った製造現場の場合、人とロボットは完全分業をしていたため、お互いの作 業空間を完全に分離すれば、求められる安全性も生産性も確保できました。しかし協働ロボットになると、人 とロボットが作業空間を共有し、分業と共同作業が入り混じり、作業領域内への人やモノの出入りが頻繁にあ ることから、従来のような画一的な安全の作り方に当てはめることはできません。そのため、人とロボット、作 業空間内の状況をリアルタイムで把握し、その時々に応じて人とロボットが適切な行動を取れるような情報を ベースとした安全システムの構築が必要となります。刻 と々変わる現場。高い安全性を保ち、安定して生産でき る安全・安心のつくり方。それが協働ロボットで求められる協調安全です。 人とロボットの協働領域はなく 協働ロボットの能力を生かすため、 各々の稼働領域を完全に分離した 設定された協働作業空間で人とロボットの 安全の確保 協働作業が安全に実施できることが求められる。 人とロボットの協働領域 新しい安全確保の考え方 協調安全に必要な安全関連製品をラインアップしているIDEC 時間とともに変化する社会環境や生産現場を把握し、リアルタイムな情報を基に人や機械を制御して安全を確 保する。こうした協調安全のシステムはどうつくっていけばいいのでしょうか?協調安全は、レーザスキャナやライ トカーテンといった機能安全に特化したセンサやコントローラなどの安全機器を有効活用することで構築すること ができます。例えば協働ロボットを使ったピッキングシステムについて、セーフティレーザスキャナを架台に取り付 けてロボットの制御システムと連携し、周囲の人やモノの動きをリアルタイムに監視し、その距離に応じてロボット の動きを変化させて危険を低減します。具体的には、人が作業領域の外にいれば通常速度で素早く動き、領域 の内側の協働領域に入った時にはスピードを落として低速運転になり、更に近づいて危険エリアに侵入した場合 はロボットが自動停止し、同時に積層表示灯等による点滅やアラートで注意を喚起。こうすることで生産効率を落 とさずにロボットを最大限動かしながら衝突や干渉のリスクを最小限に抑えることができるようになります。 4
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協働ロボット安全 IDECは、安全・安心の制御機器の総合メーカーとして、セーフティコントローラからセーフティリレー、安 全スイッチ、セーフティレーザスキャナ、セーフティライトカーテン、イネーブルスイッチ、ティーチングペンダント など、協働ロボットを使ったロボットシステムの協調安全づくりに必要な製品を取り揃えています。また協調安 全の仕組みづくりなどにも積極的に参画し、基準や標準づくりにも取り組んでいます。 安全だけでなく安心も考えるIDEC ~心理的な安心を実現する、IDECが提案する安全・安心機能~ さらに最近では、作業員がロボットを意識せず、安心して作業が行える環境構築に向け、「安全」機能だけ でなく、「安心」も考えていく必要があるとIDECは考えています。IDECでは、作業者に安心感を持たす製品 の提案・提供を開始しています。どれだけ協調安全でロボットシステムを構築しても、作業員は頭では安全だと 理解していながら、心理的には「本当に当たったら止まるのか」「次はどう動くのか」「どこまで腕が伸びるのか」 といった不安や恐怖を抱えています。こうした状態は現場で働く作業員にとって良いことではありません。作業 効率も下がり、生産性にも影響を及ぼします。その解決には、作業員がロボットと一緒に働くことによる心理的 な不安や恐怖を取り除き、まるで人と作業しているかのように安心して作業ができるようにすることが大切で、 それを実現する製品を発売しています。 協働ロボットだし、 次にどう動く? ぶつかれば 向かってくるのか? 止まるはず・・・ どこまで アームが 動くのか? 作業に集中 できない・・・ 5
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協働ロボット安全 ロボットと超接近しても安全安心な作業を可能にする「ANSHIN Sensor」 1つ目が「ANSHIN Sensor」です。セーフティレーザスキャナやライトカーテンを使った協調安全は、ロボッ トに対して一定の距離がある時は、それを認識して制御をかけることができますが、ロボットに触れるレベルの 距離、超接近した時の制御はできません。そのため人とロボットは常に一定の距離を保つ必要があります。そ れに対してANSHIN Sensorは、ロボット本体にシールや湿布のように貼り付けて使うことができる非接触式の 静電容量センサで、ロボットに人やモノが超接近したことを検知してコントローラに伝達します。 これを使うことで緻密なロボット制御が不要となり、ロボット立ち上げ時間は格段に削減できます。また人は ロボットとの距離を意識せず、安心して作業ができるようになりますので、作業効率が落ちる事もありません。 協調ロボットが持つ荷重がかかると確実に止まるという安全性と当たる前に止まる、かつセンサのどこを触って も止まるという安心を兼ね備えた安全・安心のシステム構築が可能となります。ANSHIN Sensorは、協調安 全に効果的な製品を一般社団法人セーフティグローバル推進機構が認証する「Safety2.0」認証も取得し、 半導体製造装置メーカー等でも採用されています。 動画で確認 https://bcove.video/30rHKc0 手が届かない位置からでも速やかに停止させるための非常停止アシストスイッチ 2つ目が「ウェアラブルストップスイッチ&アシスト非常停止スイッチシステム」です。非常停止用押ボタンスイッ チは、ロボットシステムやAGV、モバイルロボットはもちろん、あらゆる機械の安全構築のための安全装置とし て取り付けられています。しかし協働ロボットやサービスロボット、AMR・AGVが広まっている最近では、安全 柵で囲われていない協働ロボット・サービスロボットが異常な動きをした際や、AMR・AGVが台車に荷物を載 せて搬送する場合、そもそもスイッチを押せない/押しにくい状況が発生している場合があり、そうした時にも 対応できる非常停止用押ボタンスイッチが求められていました。 6
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協働ロボット安全 そこで開発したのが「非常停止アシストスイッチ」です。作業員が身に着けるウェアラブル型スイッチ送信機 と受信機、アシスト機能付非常停止用押ボタンスイッチのセットで、作業員が身に付けたウェアラブル型のスイッ チを押すと非常停止用押ボタンスイッチが作動して機械を停止させるというものです。 ロボットが動いている、AGVが走っているなど非常停止用押ボタンスイッチが押しにくい状況下でも離れた場 所からウェアラブルスイッチを介して非常停止ボタンを押すことができます。もちろん非常停止ボタンは通常通り 直接押すことも可能ですので万が一、通信不良等でストップスイッチが作動しなくても、非常停止用押ボタンス イッチを直接押し、装置を緊急停止させることも可能であり、どんな場合でも確実に機械を停止させることがで きるようになっています。従来の非常停止用押ボタンスイッチの操作や機能はそのままに、アシスト機能として無 線機能を搭載したウェアラブルスイッチと組み合わせし使用する事で、安心をプラスしている製品です。 動画で確認 https://bcove.video/3Ce3O6L 7
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協働ロボット安全 協調安全の構築もサポート 安全の専門家による安全コンサルティング 協働ロボットの導入または協働ロボットシステム構築は、従来の産業用ロボットとはまったく異なります。協調 安全のような新しい安全の考え方を取り入れ、安全を構築する必要があります。そこでIDECでは、リスクアセ スメントのサポートを行い、製造現場の危険やリスクを低減する安全対策を実施できる「安全が分かる人材」 による、安全コンサルティングを提供しています。 IDECには、一般社団法人日本電気制御機器工業会が実施し、厚生労働省からも機械安全教育に有効な 資格として認定されている「セーフティアセッサ資格」の有資格者が430人在籍しています。なかでも最高位の セーフティリードアセッサ有資格者は、国内41人中11人がIDECの社員であり、国内外でリスクアセスメントの 支援、国際規格や国際標準の策定活動に携わっています。またロボットに関しても、ロボットアセッサ資格保有 者が93人おり、国内の有資格者の35%はIDECの社員が占めています。 安全コンサルティングではセーフティエバンジェリストと呼ばれる安全の専門家が講師となり、リスクアセスメ ントに必要な安全講習などを実施し、機械安全の基礎講座からリスクアセスメントのやり方、実際のリスクアセ スメント演習、ロボットシステムの安全対策などを提供しています。2005年開始以来、自動車や半導体、食品、 設備製造のお客様に対して200件以上実施してきました(2020年4月時点)。また安全セミナーは2000年から 約20年で1,700回以上実施し、4万人以上の方に受講していただいています。 8
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協働ロボット安全 IDECは、安全制御機器の第1号製品を1950年に発売して以来、70年以上にわたって安全に関する技術 をリードし、製造現場における事故や災害の防止、低減を支援してきました。「協働ロボットを導入したい」、 「人が安心して働ける環境をつくりたい」、「人とロボットが共存する現場をつくりたい」など、安全で困った 時は、ぜひIDECにご相談ください。 製品に関する詳細はこちら 本資料でご紹介した「非常停止アシストスイッチ」「ANSHIN Sensor」のデモを実施しています。  ご希望の方は、以下のお問い合わせ先にご依頼ください。 【問い合わせ先】IDEC株式会社 安全機器事務局    メールアドレス:kps_safety_campaign_01@idec.com 9