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制御機器の基礎知識(1)プログラマブルコントローラ(PLC)とは

ハンドブック

プログラマブルコントローラ(PLC)編

プログラマブルコントローラ(PLC)の仕組みや選び方を説明した制御機器の基礎知識【プログラマブルコントローラ(PLC)編】。2019年3月改正版。
下記章がありますが、本章では、PLCの基本的な事項を紹介。
他の章やPLC/FAシステム機器のカタログはPLC特集 https://jp.cluez.biz/feature/page/105/ にてご確認ください。

1. プログラマブルコントローラ(PLC)とは
2. PLCシステム設計
3. プログラミング
4. 据付け、配線と試運転段階
5. 保守と保管
6. トラブル事例

※規格に関しては、必ず現行規格のご確認をお願いいたします。
※NECA Webサイトにも、PLC編を掲載しています。https://www.neca.or.jp/standard/howto/plc/

このカタログについて

ドキュメント名 制御機器の基礎知識(1)プログラマブルコントローラ(PLC)とは
ドキュメント種別 ハンドブック
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このカタログの内容

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プログラマブルコントローラ(PLC) 編 プログラマブルコントローラ (PLC)とは
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制御機器の基礎知識 【PLC】 プログラマブルコントローラ(PLC)とは 目次 1.1 PLC の発展 ··················································································································· 2 1.1.1 PLC の誕生と発展 ···································································································· 2 1.1.2 PLC の基本構成とその動作 ························································································ 4 1.1.3 PLC の動作概要 ······································································································· 5 1.1.4 PLC の今後の動向 ···································································································· 6 1.2 PLC の特徴 ··················································································································· 8 1.3 PLC を正しく使用していただくために ··············································································· 9 Copyright 2019 NECA All right reserved
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1 プログラマブルコントローラ(PLC)とは 1.1 PLC の発展 プログラマブルコントローラ(以下 PLC)とは、JIS B 3501 に以下のように定義されている。 「ディジタル又はアナログ入出力を介し,種々の機械及びプロセスを制御するために,論理,順序,計 時,計数及び算術演算のような特有機能を実行し,使用者が使う命令を内部に記憶するためにプログラマ ブルメモリを使用し,工業環境下で使用するために設計されたディジタル演算電子システム。PLC 及び関 連周辺装置は,容易に工業制御システムに統合でき, 容易にそれらの意図した機能すべ てを利用できるように設計されてい 有接点リレーシーケンス制御 無接点リレーシーケンス制御 る。 フォン・ノイマンによる 言い換えると PLC とは、 ストアードプログラムの コンピュータ a) 工業環境用に開発したプログラ IC 技術 マブルな電子制御装置。 1968 b) 使用者のアプリケーションシス G M の要求仕様 テムに合致した制御を実行する ①プログラミング及びプログラムの変更が容易 ②保守修理が容易 ために、使用者が提供された ③リレー制御システムより信頼性が高い PLC ④リレー制御システムより小形 専用の命令(ラダー図言語 ⑤上位コンピュータと結合できる など)を使用してプログラムが ⑥リレー制御システムより経済的 ⑦AC115 V までの入力 できる装置。 ⑧AC115 V,2 A の出力 ⑨基本システムを容易に拡張 c) 入出力(アナログ量/ディジタ ⑩4K 語までの拡張可能なメモリ ル量など)を備えた電子制御装 1969 米国 置。 B edford Associates 社が世界初の PLC として MODICON 084 であるといえる。 を開発 以下、PLC はどのような背景から 1970 日本 出現し、発展したのか振り返ってみ 制御機器メーカを中心に国産第 1 号 PLC を開発 る。 コンピュータ技術(とくにマイクロ 1.1.1 PLC の誕生と発展 コンピュータ)、各種 IC 技術 シーケンスの制御には古くから、 IC 実装技術 発展 メカニカルなカムシャフト方式やド 小形・低価格・高機能 ラム式などあるが、いずれも単純な 制御の域を出なかった。その後、電 光技術,通信技術,LSI 技術 FA システム化 磁リレーが出現し、リレーと配線を 多様化,高層化,標準化,グローバル化 組み合わせることで比較的簡単なシ ーケンス制御を実行できるリレー制 御システムが使用されるようになっ た。 図 1.1-PLC の発展過程 2 Copyright 2019 NECA All right reserved
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シーケンス制御は時代の要求にともない、ライン制御から集中制御、統括制御、さらには分散制御へと 発展した。これらの制御をリレー制御システムで実現するためには、リレー配置と配線の再設計、再調整 による仕様変更や拡張のための多大の労力と時間を必要とするようになったため、リレー制御でこれらの 要求に応えていくことに限界が迫っていた。 一方、1945 年にフォン・ノイマンが開発したストアードプログラム方式のコンピュータ技術は、プログ ラムの再設定にハードウェア的な素子配列や配線の変更を必要とせず、容易にプログラムを変更できる汎 用性の高さと 1968 年頃からの IC 技術の発展とともに急速に普及・発展した。 このような背景の中で 1968 年自動車メーカの GM(General Motors)社が、制御装置に具備すべき 10 項 目にわたる条件(要求仕様)をメーカに提示した(図 1.1 参照)。 提示された要求仕様を上記コンピュータ技術で実現し、リレー制御システムに替わる新しい制御装置と して PLC が開発された。以来 50 年を経過した今日、「PLC とは何か?」から話を始めなければならなかっ た時代から、PLC は FA システムの中核として重要な制御機器に大きく成長している。図 1.2 は PLC の納 入先をエンドユーザ及びセットメーカ別に調査した結果である。PLC は FA で使用されるさまざま製造装 置を出荷する機械装置メーカに納入され、PLC の持つ、機能性、柔軟性、拡張性、保守性、信頼性の高さ から、多種多様な製造装置を制御する心臓部として使用されている。エンドユーザの多様さからも、PLC が FA システムの中核として重要な位置を担っていることがわかる。また、IC、LSI 技術の進歩に伴って、 処理速度の高速化、小形軽量化、コストの低下を促し、それが採用に拍車を掛けてきた。現在の PLC は一 昔前のものに比べて、命令実行時間で約数百倍の高速性を、単位面積当たり I/O 点数で約十数倍の小形化 を実現し、高機能なモジュール(例えば、PID 機能、位置決め機能、高級言語処理機能など)を使用して 簡易計装、NC 装置への展開も多くなされている。 エネルギー 環境関連 1.0% 3.0% 配電盤 1.0% その他 その他 7.1% 自動車 9.3% 19.2% 盤メーカ 窯業 11.1% 5.6% 電機・電子 9.1% 製紙・繊維 8.1% 機械装置 食品 機械 メーカ 4.0% 半導体 16.2% 85.1% 2.0% 鉄鋼 18.2% ・エンドユーザ業種別分布 ・セットメーカ業種別分布 2018年度 PLC ユーザ調査報告書(JEMA発行) 図 1.2-PLC の用途拡大 また、MPU の処理も高級なデータ演算処理、ファイル処理機能、診断機能、高級言語処理機能などを充 実させる方向にある。 さらに、FA におけるシステム指向はますます強くなり、それにともない階層化/分散化システムに対応 できる PLC が要求されている。上位は、イーサネットと接続してインターネットの活用をはかるものもあ る。コントローラ間では、高速で大量のデータリンク機能を有しており、省配線効果が大きな下位通信で 3 Copyright 2019 NECA All right reserved
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は、種々のリモート入出力が準備されるようになってきている。 近年、IoT、AI、ビッグデータに代表される ICT(Information and communication technology)の飛躍的向 上がモノから様々なデータを収集、解析することを可能とし、ネットワークによる社会インフラと産業現 場の融合が急速に進んでいる。PLC はこれら情報収集と解析を担うため、ネットワーク機能の強化、分析 /学習による高度な判断機能の獲得を目指していくと考えられる。 1.1.2 PLC の基本構成とその動作 図 1.3 に PLC 構成の概念図を示す。基本的な構成は汎用コンピュータと同じである。汎用コンピュータ との主な違いは、多入力、多出力をリアルタイムに処理する点、プログラム言語が異なる点である。以下、 各部分の概要を説明する。 周辺装置(HMI) 通信、アプリケーション プログラミング/モニタ装置 専用モジュール 入力 出力 押しボタン SW 電磁開閉器 SW MPU セレクタ 入力部 演算部 出力部 電磁バルブ リミット SW 表示灯 メモリ部 ユーザプログラムメモリ 電源部 データメモリ 図 1.3-PLC の構成概念図 a) MPU 部 MPU とは、主処理装置(Main Processing Unit)のことでアプリケーションプログラムの命 令実行処理など、PLC の基本動作を制御する中枢部にあたる。MPU は、アプリケーションプログラム に従い、外部と接続された入力スイッチなどの ON/OFF 状態を入力部を経由して読み込み、演算し、 結果を出力部を経由してモータなどへ外部出力する。MPU は 8 ビット処理のものから 32 ビット処理 のものまで PLC の規模などにより種々使用されている。特に最近では、専用の ASIC(Application Specific LSI 特定用途:PLC 向けに開発した LSI)を開発し高速高機能化を達成している PLC も多い。 b) メモリ部 メモリは、シーケンスの手順(ユーザがアプリケーションの制御を、メーカが提供する命 令語でプログラムした塊)のユーザプログラムと入出力/数値などのデータを格納するためのメモリ である。メモリの容量は機種により大きく異なる。また、ユーザプログラムメモリはメモリタイプも 種々あり、これらについては第 2 章を参照のこと。 c) 入力部 入力部はリミットスイッチ、押ボタンスイッチ、各種センサ(ディジタル/アナログ共に) が入力コネクタ(もしくは、端子台)を経由して接続される。接続された外部信号を、PLC で扱う内 部信号レベルに変換する機能を持つ。 d) 出力部 MPU 部で演算された結果は、出力部を経由して外部機器(ディジタル/アナログ共に)に接 続される。その機能は、以下のとおりである。 1) 高電圧・大電流を要求するモータ、ソレノイドなどを駆動できるようにレベル変換し増幅する。 4 Copyright 2019 NECA All right reserved
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2) PLC 内部信号を外部機器と接続できるようにレベル変換する。 e) 周辺装置 代表的な周辺装置としては、PLC と親和性が高くシステム全体の動作状態をグラフィカル に表示することが可能なプログラマブル表示器やプログラミング及びデバッグ、モニタリングなど PLC の運用をサポートするパソコン用のアプリケーションソフトがある。 f) 電源 外部商用電源から変換して、MPU 部などを動作させるための内部電源を供給する部分である。 以上が、PLC を構成する基本要素であるが、高機能な PLC では、通信とのインタフェース、各種アプリ ケーション専用モジュール(位置決め制御、プロセス制御など)とのインタフェースも具備している。 1.1.3 PLC の動作概要 図 1.4 に PLC の内部動作の概要をフロー図で示す。 PLCはフローに示す一連の処理をサイクリックに繰り返すことで リレー制御システムと同様なラダー制御を実行することができる。 共通処理 a) 共通処理 PLC が故障していないかを診断、及び MPU が演算 処理をするための種々の設定の確認を主に実行する。診断の内 容は、時間の監視、ユーザメモリのチェック、入出力(以降 I/O I/O リフレッシュ と略す)のチェック、バッテリのチェックなどである。 b) I/O リフレッシュ MPU は演算処理の前に外部入力信号を入力 部経由にて I/O メモリに読み込み、そのデータを用いて演算を 演算処理 (命令語実行) 行う。また演算後、I/O メモリに格納されている演算結果を出 力部経由して外部へ出力する機能をいう。 注記 他の方式としてダイレクト処理方式と呼ばれ、一括で入 各種サービス処理 力全点、出力全点のリフレッシュを処理するのではなく、 (通信/周辺) 演算処理時に任意の入出力点数を直接に外部入 力を取り込んだり出力したりする信号処理を行うもの 図 1.4-PLC の動作概要 もある。 c) 演算処理 図 1.5 に示すように、演算処理はユーザプログラムメモリに格納された命令語を順次読出 し、命令語に従った処理の実行をする。 演算の処理は、主に MPU と I/O メモリ間で実行される。 0 番地 LD 00 00 01 10 OR 10 AND NOT 01 10 OUT 10 n 番地 END 図 1.5-ユーザプログラムメモリ d) 各種サービス 1) 通信サービス処理 上位-PLC 間、PLC-PLC 間、PLC-下位間などの通信からの要求に対する処 理を行う。PLC のスキャンタイムに影響を与えないように通信処理用の MPU を搭載している PLC 5 Copyright 2019 NECA All right reserved
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もある。 2) ツールサービス プログラミングコンソールなど PLC サポートツールに対してのサービスを行う。 ツールによっては、モニタ時、表示の応答性をより速くするため、そのインタフェースに専用の MPU を搭載しているものもある。 以上の処理は、順番に制御されるが、処理の高速化のために各処理を並行して実行する PLC もある。 1.1.4 PLC の今後の動向 1.1.1 で述べたように、PLC は様々な装置を制御する心臓部として組み込まれ、多種多様な業種で利用さ れながら用途を拡大し、利用される業種からの要求に基づきますます進化していくことが予想される。以 下に注目すべき PLC の進化の動向を示す。 a) システム化 PLC のネットワーク機能の強化で、製造現場のあらゆるモノがネットワークに接続され るようになり、社会インフラと生産現場の連携が可能となることで、様々な顧客要求を製品、設備な どに反映できるマスカスタマイゼーションを実現できるようになる。また、設備の詳細な情報を取得 /分析することで実現する自己診断/自己補修などを実現しようとしている。 b) 高機能化 分析/学習機能の追加により、蓄積した情報から、製造工程における自己判断が可能とな り製造工程における不良検出や最適化などを設備自身で獲得していくようになる。これまでは熟練工 にしか判断できなかった異常検出を実現するなど、高度な判断が可能となりつつある。 c) IPC(Industrial PC) 産業用に特化した PC。実装される OS(オペレーティングシステム)によっ ては PLC と同様にリアルタイム制御を得意とするもの、汎用 OS を実装し、市販のアプリケーション プログラムを実行できるものなど、さまざまである。 制御は主にソフトウェアが担うため、プログラミング言語のオープン化やソフトウェアによる機能 追加が可能で、IoT、AI、表示器との親和性が高い。 d) 標準化(規格化)・オープン化 PLC の規格化が IEC[International Electro-technical Commission 国 際電気標準会議(国際的な産業社会における標準規格化団体)]で進められ発行されている(IEC 61131、 IEC 61010 など 表 1.1 参照)。 また、その JIS 化も推進されている。 上記規格に基づいたオープン化(ソフト PLC)、マルチベンダによるネットワークのオープン化も 推進されている。さらに、近年 EC 指令に代表される安全規制への取り組みがなされており、それに 対応した PLC が市場に投入されている。 6 Copyright 2019 NECA All right reserved
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表 1.1-PLC の規格化 IEC No. Title JIS 番号 名称 IEC 61131-1:2003 Programmable controllers – JIS B 3501:2004 プログラマブルコントローラ ー Part 1: General information 一般情報 IEC 61131-2:2017 Part 2: Equipment requirements and JIS B 3502:2011 装置への要求事項及び試験 tests IEC 61131-3:2013 Part 3: Programming languages JIS B 3503:2016 プログラム言語 IEC/TR 61131-4:2012 Part 4: User guidelines - - IEC 61131-5:2000 Part 5: Communications - - IEC 61131-6:2012 Part 6: Functional safety - - IEC 61131-7:2000 Part 7: Fuzzy control programming - - IEC/TR 61131-8:2017 Part 8: Guidelines for the application - - and implementation of programming languages IEC 61131-9:2013 Part 9: Single-drop digital - - communication interface for small sensors and actuators IEC 61010-1 Safety requirements for electrical JIS C 1010-1:2014 測定用,制御用及び試験室用電気 :2010+2016 equipment for measurement, control, 機器の安全性 and laboratory use 第 1 部:一般要求事項 Part 1: General requirements IEC 61010-2-201:2017 Part 2-201: Particular requirements JIS C 1010-2-201 第 2-201 部:制御装置の個別要求 for control equipment :2016 事項 注記 IEC での規格化は、SC65B/WG7 にて実施されている。 e) プログラミング/保守環境の強化 以下の動向がある 1) JIS B 3503(IEC 61131-3)のプログラム言語対応。ソフト生産性を向上させる構造化が可能な SFC (Sequential Function Chart)に対応し、テキスト形式言語として IL(Instruction List)、ST(Structured Text)ならびに図式言語として LD(Ladder)、FBD(Function Block Diagram)が利用可能なプログ ラミングツールの提供。 2) 操作性などを向上させた、マニュアルレスツールの提供。 3) デバッグ/メンテナンスを飛躍的に向上させるモニタ機能及び、シミュレーション機能の提供。 f) セキュリティに対する要求 従来、PLC は外部のネットワークにも接続されず、パソコンのような汎 用のコンピュータウィルスの影響も受けないため、サイバー攻撃の対象とみなされていなかったが、 PLC のネットワーク機能の強化が進むにつれ、制御システムを対象としたサイバー攻撃も増加傾向に あり、決してセキュリティ面で「安全」とはいいがたい状況になってきている。 制御システムに対する不正な攻撃や不慮の操作による、制御システムプログラムや生産情報などの 機密情報の漏洩・改ざん・喪失といったトラブルを回避し、制御システムをより安全に運用する観点 からも、制御システムに対するセキュリティ向上が重要な課題とて捉えられつつある。 g) 安全確保に対する要求 近年、FA 現場において安全確保に対する要求が厳しく求められている。安全 PLC は、一般の PLC とは異なり、安全規格(IEC 61508)で要求される故障監視・自己診断機能を備 えている。定期的に自己診断することで、安全 PLC 自体の故障(電源、CPU、I/O 回路等)を監視し、 異常時にはシステム全体を安全状態で停止させる。また、安全 PLC に接続されている安全入出力機器 7 Copyright 2019 NECA All right reserved
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(ライトカーテン、コンタクタ等)の故障時においても、安全状態で停止させることができる。 1.2 PLC の特徴 表 1.2 に PLC、リレー制御、マイコン制御の特長とその評価比較を示す。 表 1.2-リレー制御,マイコン制御(SBC)と PLC 制御との比較 方式 リレー制御 マイコン制御(SBC) PLC 制御 項目 初期投資 ○ 各部品は安価に入手可能 ○ 各部品は安価に入手可能 × 製品単価は高額 リレー制御のため、複雑な制 プログラムにより、複雑な プログラムにより、複雑 制御機能 × ○ ○ 御はできない 制御も可能 な制御も可能 プログラム/デバック期間が 製造作業とプログラミン 長く、完成までの多くの工 部品点数が多く、制御対象毎 グ作業が同時に行えるた 構築/ 数がかかる △ に回路設計、配線作業が必要 × ○ め工数を短縮できる 運用費 製品のライフサイクルが短 で多くの工数がかかる 製品のライフサイクルが いため、設備の更新費用が 長い 多く発生 プログラムによる動作変更 プログラムによる動作変 動作、仕様変更や拡張には回 が容易 更が容易 仕様/ × 路の再設計、再配線が必要で △ 仕様変更や拡張には I/O 部 ○ 豊富な I/O 部の品揃えに 動作変更 多くの工数がかかる の品揃えが乏しく変更しに より、仕様変更や拡張に くい も柔軟に対応可能 専用装置となることが多い 豊富な自己診断機能によ 故障原因の追跡には、かなり保守性 △ × ため、一部の作業員にしか ○ り、異常箇所の追跡機能 の経験的技術が必要 保守できない が容易 FA 環境に非常に優れている FA に特化していないため、 FA 環境に対して高い耐性 信頼性 △ が、リレー接点の寿命による △ FA環境にたいする耐性は高 ○ をもっている。 接触不良の発生率が高い くない。 エンドユーザ、盤メーカ、機械メーカ等のユーザ視点による PLC 導入のメリットを抽出し、表 1.2 の評 価比較から PLC の導入メリットをまとめた。その結果を以下に示す。 a) 高経済性 最近の PLC には ASIC、マイクロプロセッサなど高度に集積化された半導体素子が使用さ れていることや、高密度実装技術の適用によりモジュール化、小形化が進み、PLC のハードウェア自 身のコストパフォーマンスが非常に高い。また PLC の特長として有する柔軟性、高信頼性、それに保 守の容易性を加味すると、従来のリレー制御システムと比較して抜群に高い経済性を有する。 b) 柔軟性 リレー制御システムでは、制御対象毎に回路設計、配線作業が必要であるが、PLC を適用し た場合には、PLC メーカ標準のハードウェアと簡単なプログラミングにより、高機能な制御が実現で きる。図 1.6 にリレー制御システムと PLC 制御システムの製作工数の比較図を示す。図 1.6 に示すよ うに、PLC を適用したシステム設計の特長のひとつは、システム完成までの工程で並行作業ができる 点である。PLC は一般に制御対象機械の最大入出力点数が明確になれば、ある程度システムの構造設 計や製造作業を開始することができ、それと並行して、シーケンス設計やプログラミング作業が行え るため、システム作成の工数を短縮することが可能である。またシーケンス変更に配線作業を伴わな い、装置の増設がユニットやモジュール単位で行えるといった点も PLC の有する柔軟性の特長である。 8 Copyright 2019 NECA All right reserved
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リレーシステム 計 製試据現 画 地 ・ 付調 設 造験け整 計 PLC システム 製 計 造試据現 画 付地・ 調 設 プ験け整 計 ロ グ ラ ミ ン グ 日数 図 1.6-リレーシステムと PLC システムの工数の違い c) 高信頼性 リレー制御システムでは、接点の寿命などにより接触不良の発生確率が高くなり、信頼性 が低下する恐れがある。 PLC は構成素子を半導体化、IC 化しているため本質的に信頼性は高い。故障なしで運転できる時間 (期間)の平均値を MTBF(平均故障間隔)(Mean Time Between Failures)と言うが、PLC の計算上の MTBF は中規模クラスで数万時間以上である。また過去の運転実績からの実際の MTBF はその倍以上 になるとの報告もある。 d) 保守の容易性 リレー制御システムなどは、故障原因の追跡には、かなりの経験的技術が必要であり また、機械的な作業が伴うため故障箇所の発見までに相当な時間を要する場合がある。 予防保全についてもリレー制御システムは点検箇所が多くまた点検作業も頻繁に行う必要がある。 この点 PLC は、現場作業者でも操作に取扱いが容易な動作表示機能、異常表示機能やモニタリング機 能、また自己診断機能など異常箇所の追跡機能を有しているため保守性に優れている。 1.3 PLC を正しく使用していただくために 技術が発展し、個々の部品の信頼性が向上したとは言え、100 %故障しないと断言できるものはあり得 ない。我々が良く知っている人工衛星やロケットの打ち上げにおいて膨大な費用と先端技術を使い、多く の優秀な技術者が参画して 2 重 3 重のバックアップを準備しても失敗する場合もある。PLC についても同 様なことが言える。最近の PLC の頭脳部分には、マイクロプロセッサ、LSI、ASIC が多用されて、その部 分だけを取れば一昔前と比較して桁違いに信頼性は向上しているが、それ以外の機械的な接触部分(例え ばコネクタなど)やはんだ付け部分など、寿命を考慮すべき部分がまだまだ存在する。表 1.3 に信頼性向 上のために実施すべき対策をまとめた。この表が示すように、メーカが PLC の開発/製造の段階で取り込 むべきこと、また一方でユーザが使用上で考慮すべきこともある。これらすべてが実施されて、はじめて 信頼性の高い、故障の少ないシステムが運用されるといえる。 9 Copyright 2019 NECA All right reserved
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表 1.3-信頼性向上のための対策 分類 メーカ側での対策 ユーザ側での対策 信頼性の高い部品を使う 仕様の範囲内での使用 部品をディレーティングして使う 使用環境のチェック 安定した回路と冗長度 日常・定期点検 運転期間を長くする対策 エージング 耐環境設計 高い品質管理 保守性を考えた実装設計 保全マンの教育と保全体制 自己診断機能の具備 予備品の常備 故障時間を短くする対策 メンテナンス体制 計測器の常備 ユーザへの保全教育 システム診断プログラムの採用 過去のトラブル事例を分類すると以下のようになる。 a) メーカ側の責任に起因するもの 部品の偶発故障、組立不良、設計ミスなど。 b) ユーザ側の責任に起因するもの 機種の選定ミス、配線ミス、操作ミス、仕様を逸脱した使用など。 c) 不可抗力によるもの。 特に a)、b))については、PLC のトラブル発生時にクレームとして、メーカとユーザ間で原因、責任の所 在に関して、やりとりがあるところである。今後とも PLC の発展、拡大を図るためメーカ側は信頼性向上 のための飽くなき研究開発が必要であり、ユーザ側は、PLC 機能の限界を十分把握した上で正しく使用す る必要がある。いずれにしてもユーザの PLC に対する期待-経済性、機能性、柔軟性、拡張性、保守性、 信頼性など-が全ての面で実現された時、はじめて「PLC の正しい使い方」がなされたと言える。そのた めに、ユーザはメーカ側からマニュアルや技術資料など必要な情報を入手し、PLC システムを構築するこ とが必要である。 また、アプリケーションの安全性についても十分に考慮する必要がある。 アプリケーションの制御システムを決定する上で以下の項目に対してリスクマネージメントを行い、許 容できる程度までにリスクを軽減する必要がある。 a) 人に対する安全 安全柵、エリア指定など。 b) 機械設備に対する安全 故障時のフェイルセーフ対策、データの信頼性を高める対策(データのチェ ック)、バックアップ回路など(2.5.2 も参照)。 本書は過去、メーカ側とユーザ側間の幾多の交渉を通じ、メーカ側が得た経験、情報を基に PLC 適用時 の正しい使い方に関して編集したものである。第 2 章以降にシステムを構築し正常稼働する上での留意事 項を説明する。 ・第 2 章 PLC システム設計 ユーザのアプリケーションシステムを設計する際の、基本的フローに従った、PLC の選定基準及び、 検討項目を説明する。 ・第 3 章 プログラミング 各種 PLC 言語の内容説明と具体的事例でのプログラミング方法について説明する。 ・第 4 章 据付け・配線と試運転 実際に PLC システムをユーザの現地にて稼働させる上での PLC の開梱から制御盤への据付け、環 10 Copyright 2019 NECA All right reserved
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境対策、デバッグ、試運転までの注意事項を説明する。 ・第 5 章 保守と保管 PLC システムをより効果的に稼働させていくための考慮すべき事項(予防保全、事後保全、保守用 備品など)について説明する。 ・第 6 章 トラブル事例集 使用する上で、過去経験したトラブルに対しその対策を説明する。 11 Copyright 2019 NECA All right reserved
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制御機器の基礎知識 -選び方・使い方- 1 プログラマブルコントローラ(PLC)とは PLC 編 執筆者所属会社 IDEC 株式会社 パナソニック デバイスSUNX株式会社 三菱電機株式会社 オムロン株式会社 株式会社ジェイテクト 制定:1985 年 10 月 改正:2000 年 4 月 改正:2010 年 12 月 改正:2017 年 9 月 改正:2019 年 3 月 制御機器の基礎知識 -選び方・使い方- プログラマブルコントローラ編 1 プログラマブルコントローラ(PLC)とは 2019 年 3 月 1 日第 5 版 編集 PLC・FA システム技術専門委員会 発行 (一社)日本電気制御機器工業会 〒105-0013 東京都港区浜松町 2-1-17 松永ビル TEL 03 (3437) 5727 FAX 03 (3437) 5904 URL:https://www.neca.or.jp E-mail:webmaster@neca.or.jp 無断複写・転載を禁じる。 12 Copyright 2019 NECA All right reserved