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生産現場で効果を生むIoTデータ活用事例集

事例紹介

現場の意識改革から品質向上、工数削減、経営戦略への反映ま、幅広く企業の課題を改善

今回、製造業で導入いただいた、以下8社の企業の事例を掲載しております。導入事例の中では採用の背景や選定ポイント、導入効果をご担当社に語っていただいています。

◆◆導入事例 掲載企業とポイント◆◆
・ヤマハ株式会社様
  生産管理部門自らの手で、PDCAサイクルの高速化を ITベースで実現
  職長が 月次報告書 作成に要していた月間約50時間がゼロに

・富士ゼロックスマニュファクチュアリング株式会社様
  生産現場を変える、BI活用によるリアルタイムモニタリング
  データ可視化までのリードタイムが短くなり、仕事のやり方が変わった

・パナソニック株式会社 アプライアンス社様
  4M3Hの変化点、生産進捗、品質データなど、製造管理指標を一元的に見える化
  その時起きている変化点や工程異常に対して俊敏に対応が可能に

・東芝機械株式会社様
  IoTとの連携で自律協調型の工場経営を実現
  誰でも直感的に操作・ 認識できるダッシュボードでリアルタイム把握

・株式会社デンソー様
  現場主導の“カイゼン”の仕組みと スピードアップを国産BIで実現
  施策に対する実績を見える化し、効果検証も容易なり、自動化で集計作業コスト0に

・日立造船株式会社様
  全社的なBI基盤で高収益企業への変革を推進
  リアルに近いデータを見て状況を判断し、将来を予測

・大和ハウス工業株式会社様
  健康診断結果を事業所ごとに可視化し、健康増進の取り組みを促進
  グループ全体のトップから現場に までに見やすい情報を提供することが容易に

・株式会社タマディック様
  ビジネスの生産性向上とともに、働き方改革を促進
  3倍を超えるROIを達成

このカタログについて

ドキュメント名 生産現場で効果を生むIoTデータ活用事例集
ドキュメント種別 事例紹介
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取り扱い企業 ウイングアーク1st株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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Light IoTソリューション「MotionBoard for iXacs」
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ウイングアーク1st株式会社

このカタログの内容

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www.wingarc.com [ 本 社 ]〒106-6235 東京都港区六本木3-2-1 六本木グランドタワー TEL:03-5962-7300(代) [ 大 阪 ]〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田1-8-17 大阪第一生命ビル 11F TEL:06-6225-7481 [名古屋]〒450-6324 愛知県名古屋市中村区名駅1-1-1 JPタワー名古屋 24F TEL:052-562-5300 [ 福 岡 ]〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前1-15-20 NMF博多駅前ビル 2F TEL:092-292-1092 [ 仙 台 ]〒980-0021 宮城県仙台市青葉区中央2-9-27 プライムスクエア広瀬通 13F TEL:022-217-8081 [ 札 幌 ]〒060-0808 北海道札幌市北区北8条西3-32 8・3スクエア北ビル8F TEL:011-708-8123 [ 新 潟 ]〒950-0911 新潟県新潟市中央区笹口1-26-9 大和地所新潟笹口ビル 4F TEL:025-241-3108 [ 広 島 ]〒730-0022 広島県広島市中区銀山町3-1 ひろしまハイビル21 16F TEL:082-535-5291 〇各製品・サービスの仕様、デザイン等は、改良のため予告なく一部変更することがあります。 〇記載の会社名・製品名等は、弊社および各社の商標または登録商標です。
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ヤマハ株式会社 月次ベースの実績報告をMotionBoardで日次化 生産管理部門自らの手で、PDCAサイクルの高速化を ITベースで実現 ヤマハ株式会社(以下、ヤマハ) 楽器・音響生産本部 エレクトロニクス 生産統括部 豊岡生産部(以下、豊岡生産部)では、生産現場の海外シフ トの潮流において難易度が高い製品を、「高い生産性」かつ「高い品質」で 「納期通り」に生産することによって、「メイド イン ジャパン」のメリッ トと存在価値を社内外に対して示すことが工場経営課題となっている。 さらに、豊岡生産部は2014年4月からは分社化され、今まで以上に厳密 で明確なアウトプットが求められるようになる。 そのような背景をもとに、生産部門自ら「生産能率「」不良率「」非生産時間」 という3つの生産性指標の入力精度向上と、MotionBoardによる「リア ルタイムの見える化」に挑戦。情報システム部門ではなく生産現場自ら の手で、業務改善サイクルを「早く」回すための仕組みを完成させた。レ ポート業務の大幅な省力化と業務改善サイクルの高速化を実現した豊岡 生産部が次に目指すのは、海外工場を含めた指標統一と生産現場に損益 意識を浸透させた「セル別経営」だ。 採用の背景 選定ポイント 導入効果 ● 生産現場の管理者による生産実績の「集計」とい ● チャートなど表現力豊かなダッシュボードがプ ● 年間約500万円のレポート作成コストの削減 う「間接作業時間」の削減と、それらの付加価値 ログラミングレスで導入可能 作業への置換 ● 生産実績データのリアルタイム可視化による● 画面のスクラップアンドビルドが短期サイクル 経営層への生産実績報告のタイムラグにより、 で可能 PDCAサイクル速度の向上● 課題対応の遅れが発生 ● 可視化の仕組みを、生産現場が必要とするタイ ● 基幹ERPシステムに生産現場のニーズが的確な ミングで柔軟に変更できる環境の実現 タイミングで適切に反映されない Company Profile リアルタイム実績測定による ひとつの解として豊岡生産部がたどり着いた PDCAサイクルを のは、「直接作業はより細かな状況を把握して 改善し、間接作業にもメスを入れ合理化して削 1887年(明治20年)に創業し、昨年には125 減することで少しでも直接作業に充てられる時 周年と大きな節目を迎えたヤマハ。同社の売上 間を増やし、単位時間当たりの付加価値作業を ヤマハ株式会社 の約65%(2013年3月期)を占めているのが、 高くする」ということだった。それにより労務費 電子楽器をはじめピアノや管弦打楽器なども を抑える、もしくは現状の労務費で最大限のア 創業 : 1887年 所在地 : 静岡県浜松市中区中沢町 製造・販売している楽器事業だ。 ウトプットを創出することにより、「低コスト」 事業概要 : 楽器事業(ピアノ、電子楽器、管・弦・打楽 その楽器製品の売上のうち社内一の約41% 「高品質」「高い技術力」を実現し海外との差別 器、防音室、音楽教室、英語教室、音楽ソ フト、調律)、音響機器事業(オーディオ、 を占める電子楽器を製造するエレクトロニクス 化を図ることが急務と考えた。 業務用音響機器、情報通信機器)、電子部 生産統括部 豊岡生産部では、TPS(トヨタ生産 当時、必要最低限の生産実績は把握できて 品事業(半導体)ほか URL : http://jp.yamaha.com/ 方式)を採用して継続的に生産現場の直接作業 いたが、生産現場で今何が起きているのか、改 改善活動を推進してきたが、「間接労務費の増 善サイクルの基となる実績情報が適切なタイミ 加」「作業効率の低下」「非生産時間の増加」と ングかつ適切な工程で把握できていないのでは いった新たな課題を抱え、従来の直接作業だけ ないかという仮説を立てた。その仮説を ITベー の改善活動に限界を感じていた。また、中国や スで実証すべく、豊岡生産部は生産実績を必要 インドネシアに数千人規模の生産拠点を構える な頻度と工程で“見える化”するための ITツー ようになり、生産コストが安い海外工場と常に ルの選定に着手した。 比較対象にされ、豊岡生産部の存在価値が問 ITツールの選定は情報システム部門に頼る われるようになった。 ことなく、豊岡生産部自らが操作して比較検証 2
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その他製品 を行った。今回のプロジェクトをリードした楽 MotionBoard導入後の驚きの声! 器・音響生産本部 生産企画部 IT推進グループ (導入当時は豊岡生産部 品質生産技術課)主任 Before After の宮田 智史 氏は次のように話す。 「生産現場で作業員が記入用紙に手書きした生産日 「MotionBoardを導入することによって『生 「基幹ERPシステムでは、設定されている半 報を『指導員』と呼ばれる現場リーダーが紙から 産性』『品質』『非生産時間』の3つの観点で生 製品や完成品の数量ベースの生産実績しか参 Excelに転記し、それを『職長』と呼ばれる現場管理 産実績情報を日次ベースで参照できるように 者が月報として集計をしていましたが、本部や豊岡 なりました。『職長』がExcelでの月次報告書 照できません。一方で、生産現場の改善活動に 生産部のマネジメント層が生産計画に対する差異と を作ることに要していた月間約50時間の間 必要なデータは、完成品を作るまでに通るそれ して集計された報告を見ることができるタイミング 接工数がゼロとなり、週次の報告会議では ぞれの工程単位で『その製品のST(Standard は月次でした。この報告リードタイムでは業務改善 MotionBoardに表示される日次ベースの生 Time)に対してどれだけの人工と時間をかけて サイクルを回すうえで時機を逸していました」 産実績ダッシュボードを報告書代わりに使っ 生産して、どれだけ不良を出して、そのために ています」 どれだけ直接作業に関係のない時間を費やし たか』という時間ベースのデータです。それら を収集でき、さらに現場で仕様変更や運用が可 ベース設計の方法論をゼロから学んだうえで、 やしたり、ボタン化などのGUIの豊富さで簡易 能なローカルシステムが必要でした。豊岡生産 ツール選定をこなした。 的な操作性を実現したりと、その要件をしっか 部では、その要件を満たす ITツールを探してい 「多くのツールを実際に操作して自分たちで構 りと満たしています。MotionBoardのコンテ ました」 築・仕様変更・運用が可能か比較検証しました ンツが徐々に揃ってきた現在では、現場へのデ が、その要件を満たしたのは唯一MotionBoard ジタルアンドン導入について提供端末を何にす 生産現場に設置する でした。生産現場にはPC等の閲覧端末がない るか等を検討中ですが、稼働開始以降は、まず “デジタルアンドン”に、 ため、最終目標として各作業者への情報表示板 個人で業務用PCを利用している現場管理者や MotionBoardは最適 として“デジタルアンドン”を現場に配置する要 関連スタッフに対してWebブラウザーから 件がありました。タイマーによる画面自動切替 MotionBoardを閲覧してもらっています。 宮田氏は、今回のプロジェクトに関わるま 機能により色々な情報をデジタルサイネージを 先行して本格運用を開始した現場管理者か で、全く ITシステムの構築経験がなく、データ 使った広告のように表示することで表示量を増 らの反応は良好です。現場の生産技術スタッフ 楽器・音響生産本部 生産企画部 IT推進グループ 主任 宮田 智史 氏 3
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は、日常の業務の中で不良率ダッシュボードを 参照してドリルダウンやデータダウンロードを 行って不良原因と対策を検討していますし、毎 週実施している生産進捗会議で生産能率や生 産遅れ台数などを報告するための報告書代わ りにMotionBoardが使われています」 もちろん、MotionBoardのようなビュー ワーを導入しただけでは、「実績情報を適切な タイミングかつ適切な工程単位で把握する」と いう要件を満たすことはできない。実績入力の 仕組みを“紙とえんぴつ”から“タブレット”へリ プレースする改革を並行で進めた。 入力と出力の改革プロジェクトを 現場自ら進める 当初半年で稼働開始できるだろうという想定 だったが、実際は開始まで1年半かかった。そ の背景を宮田氏は次のように振り返る。 「MotionBoardを2011年2月に購入してす ぐに当時存在していた生産実績データを使って MotionBoardにより、日次ベースで生産情報が把握できるようになった “見える化”にトライしたのですが、様々な課題 が浮き彫りになりました。例えば、現場で収集 している実績情報の計上定義や精度が工程や セルごとにバラバラであることに気づきまし た。実はツール選定を開始する前から感覚的に その状況を理解していたのですが、“見える化” をすることで具体的に改善すべき指標とデータ が特定できたことにより、このままいい加減な 指標と入力データをもとに経営層に対してレ ポートし続けても全く意味がないという危機感 を抱くことができました。せっかく現場が工数 を割いて入力してくれた実績データですから、 PDCAサイクルに乗せるために何をすべきか、 豊岡生産部として考えねばなりません。1年半 という期間は、本当に行うべきことを見直すた めに必要な時間だったと考えています」 業務改善ポイントが明確になったあと、豊岡 生産部は指標の統一化と入力業務の簡易化と 標準化に取り掛かった。結果、完成したのが 「P O Pシステム(P o i n t O f P r o d u c t i o n System:生産時点情報管理システム)」である。 一般的に、POPシステムとは生産現場の作 業者や設備などあらゆる情報源から生のデータ タブレット端末を利用して、生産現場で システムにデータを入力 を収集し、生産現場の見えないロスや問題を POP データとして顕在化させ、現場管理者に分かり やすい形で可視化することで、データをもとに 改善活動を行っていくシステムを指す。 4
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「POPシステムが完成するまでは、その日に 現場の声を徹底的にヒアリングした。また運用 標で換算することによってセル単位で経営を 生産した実績を現場作業者が紙に記入し、それ 開始後には、現場の作業者が自分の生産ライン 行ってもらう構想があります。従来は、決めら を現場リーダーである『指導員』がExcelに毎日 の状況が見えるようになったことで、新たな要 れた時間通りに決められた台数を決められた品 転記をして、現場管理者である『職長』がその 望も出始めてきている。 質通りに作ることが求められていましたが、そ Excelデータから月次で報告書を作成していま 「私自身がもともと生産部にいたので、現場 れだけでは海外工場と差別化できません。例え した。報告書作成には職長が毎月多くの工数を のスタッフも意見を言いやすいのかもしれませ ばこれまでは、セルの作業者は自分が受け持っ かけていました」 ん。小まめに現場に声掛けすることで、ちょっ た工程で作業分割が悪くラインバランスが崩れ 「MotionBoardとその基となるデータソース とした相談や指標をどういう切り口で見たいと て手待ちやロスが発生すると、遅れている工程 を入力する『POPシステム』を手に入れたこと いった要望も吸い上げています。要望について を手伝ったり明日の仕事を前倒しで行ったり、 により、生産実績の報告を日次ベースで行うこ は、システムそのものだけでなくその後の運用 ちょっとスローダウンして自分の楽なペースで とが可能になりました。また、報告書を作成す や管理をどうやっていくかというところまで 作業するといったことがありました。これでは、 る工数をゼロにすることができ、報告の基とな ディスカッションしています」 そもそもの問題が見えなくなってしまい改善が る入力に要する工数を大幅に削減することがで 進みません。それではもう海外工場との競争に きました」 豊岡工場の次のステージとして 生き残っていけないでしょう。日本人は管理意 「われわれは、生産実績を評価するときに 「セル別経営」の模索 識や向上心も高いので、数字や情報を“見える 『生産能率』『不良率』『非生産時間』という3つ 化”し、自分たちや周囲の「調子」を数値やデー の指標を用いています。MotionBoardを導入 このようにヤマハでは、生産現場における タで把握できる環境を提供することで、作業者 することによって、『非生産時間』と呼ばれる直 “見える化”を実現しPDCAを回せるようにな 個人が金額やそれに代わる生産性指標をもと 接作業をしていない時間、つまり『間接作業時 るといった具体的な効能を得た。しかし同生産 に経営意識を持つことができ、自身のモチベー 間』を大きく短縮することができました」 本部では、次のステージを見据えている。 ションを上げ改善を行うことで、ボトムアップ 豊岡生産部の生産現場では2、3人がチーム につながると考えています」 になって「セル生産」を行っているが、セル単位 「基幹ERPシステムでは完成品単位での損益 現場改善手段としてのITツールは で損益を意識してもらうことによって現場での しか“見える化”できません。POPシステムで 現場自身で保守運用して機動力を発揮 経営意識を高めようという試みをしている。つ 手に入れた現場の生データで現場経営に必要 まり、「セル別経営」を目指すということだ。 な工程単位の損益を“見える化”していくことが 以前生産現場に勤務した経験から、“現場の 「自分たちのセルで生産している製品の生産 できると考えています。材料費、労務費、その 考え”を生かしたシステムを作りたかったとい 状況を自分たちが把握して自律的な改善サイク 他の経費など、それらすべてをセル単位に金額 う宮田氏は、今回のBIツールの導入に際して ルを回すだけではなく、金額やそれに代わる指 ベースで示すことで、自分たちのセルが赤字な のか黒字なのか、黒字にするために『生産能率』 『不良率』『非生産時間』をどう改善していくの か、MotionBoard+現場力でより高度な改善 を現場が自律的にできるようになって欲しいと 考えています」 導入製品・サービス MotionBoard 企業内外に溢れる情報を統合可視化し、PCだ けではなくスマートフォンやタブレットPCから、 いつでもどこでも情報入手を可能にする情報 インフラストラクチャ。 ※掲載内容は2013年8月現在のものです。 5
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富士ゼロックスマニュファクチュアリング株式会社 “良品条件”を追求する、高次元のモノづくり 生産現場を変える、BI活用によるリアルタイムモニタリング プリンターやデジタル複合機の部品・消耗品の製造を主事業とする富士ゼロッ クスマニュファクチュアリングでは、「XPW」(Fuji Xerox Production Way)※1 と呼ばれる独自の生産方式のもと、部品や設備の内製化や部材のジャストイン タイム生産など、生産現場の改革に向けたチャレンジを重ねてきた。そうした 中で進めてきたのが、Dr.Sum EAをベースとしたBI活用だ。 生産現場の日常業務と改善活動を支える基盤として、「部門別に必要な項目に 絞られた部品注文残検索」「部材の納期を追いラインをつなげる在庫シミュレー ション」「流動数曲線による引き溜め在庫コントロール」「ピーク電力削減を目 的とした電力の見える化」など、すでに多くの成果を上げている。 BIの適用業務は生産管理を中心としてほぼ全業務に及んでおり、ユーザー数約1,000人、メニュー数約2,000、開発ユーザー数約 70人へと利用が広がっている。“Dr.Sum EAがなければ、生産管理が成立しない”といわれるほどの状況だ。 この「XPW」による現場での改善活動、生産革新活動への取り組みが活発な同社では、データを生産革新に活かすという風土があっ た。そして、新たなチャレンジとして2014年末より取り組みを開始したのが、iPadによるダイレクト入力とBIを活用したリア ルタイムモニタリングだ。生産現場で発生する様々なデータを自動的にシステムに取り込み、不良削減などの改善につながる KP(I 重要評価指標)として表示するダッシュボードを構築した。生産現場における徹底した品質向上を目指し、不良を出さない“良 品条件”を探求し続ける同社の取り組みを紹介する。なお、こうした一連の取り組みは、富士ゼロックスが自社での改善活動を利 用ノウハウと共にお客様にソリューションとしてお届けする「言行一致※2」活動として展開している。 ※1 XPW…ダントツのお客様満足を得るために、最高のQCDと高い柔軟性および優れた環境性能を成立させるトヨタ生産方式をベースとした富士ゼロックス独自のモノづくりの考え方や取り組み方の総称。 ※2 言行一致…富士ゼロックスが自社で実践・検証したうえで、お客様にソリューションとして提供する一連の実践活動。 採用の背景 選定ポイント 導入効果 ● 各ラインの手書き日報をあらためてExcelに ● 製造ラインで起こっている様々な出来事を、直 ● 変不良を出さないための対処をタイムリーに 入力し、1次加工、2次加工を行うなど、煩雑な 感的に“見える化”できる 行えるようになった結果、不良が1/5 に減った 手間がかかっていた ● 生産現場自身が主体となって対応し、使いこな ● iPadを利用したダイレクト入力の徹底により、 ● 不良発生コストのさらなる削減 せる「ノンプログラミング」のツールであるこ 毎日約80分費やしていたExcelへの手入力工 ● ムリ・ムダ・ムラを発見し、生産性を向上させ と 数が0分に削減 る活動に人手がかかりすぎている ● 製造品種の変化、検査項目の変化、切り口の変 ● ラインの「よどみ」が見える化され、残業時間が 化などに素速く対応できる柔軟性 毎日1時間減った Company Profile 富士ゼロックスマニュファクチュアリング株式会社 設立 : 2010年 本社 : 神奈川県海老名市本郷2274 鈴鹿事業所 : 三重県鈴鹿市伊船町1900番地 事業内容 : 富士ゼロックスにおける日本国内の製造事業会社として、プリン ター・デジタル複合機およびトナーや感光体、転写ベルトなどキー コンポーネントの製造、および一部機種の組み立て生産を担当 URL : http://www.fxmfg.co.jp/ 6
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機械・電気機器 リアルタイムモニタリングの背景 データが可視化されるまでのリードタイムが 短くなると、仕事のやり方を変えられる 富士ゼロックスマニュファクチュアリングが新たなチャレンジとして取り組んでいる生産現場のリアルタイム モニタリングについて、同社の執行役員であり鈴鹿事業所長を務める古川 雅晴氏にその背景を伺った。 ―今回、MotionBoardを活用して生産現場のリアルタイム ―でも、あきらめなかったわけですね。 モニタリングに踏み出した狙いと、そこでもBI活用に注目した ポイントをお聞かせください。 古川氏 私は少し違った見方をしていて、「生産現場の仕事のや り方こそITによって変えられるはずだ」という信念を持ってい 古川氏 製造ラインで起こっている様々な出来事を、「赤(不具 ます。「モノづくりは“3現主義(”現場、現物、現実)を徹底せよ」 合発生)「」黄(注意)「」青(正常)」と色で示し、直感的に“見える化” とよくいわれますが、データが可視化されるまでのリードタイ できると知り、「これならいける!」と感じました。製造ライン ムを短くすることは、まさにその要求に応えるものだと思うの において、データが発生した時点でシステムに入力され、短いリー です。 ドタイムでダッシュボードに反映できるということは、非常に  これまではそれができなくて、週次や月次でデータを集計し 有益なことなのです。スピーディーに不具合などの問題点を解 ていたのですが、例えば3日前に起こったことを振り返ったと 決し、不良発生による後工程への影響を最小限に抑えることが しても、わかることはおそらく半分もないでしょう。リアルタ できるからです。 イムに近い形で可視化してこそ、現場での気づきが多いのです。 その仕組みをBIツールで実現したいと考えました。 ―すぐに導入が決まったのですか。  そこで2014年12月、まずは試用版としてMotionBoardを 導入し、実際に複写機部品の製造ラインで先行運用した効果を 古川氏 実はそうでもありません。経営トップは「良いシステ 示すことで、トップを説得したのです。 ムであることはわかるが、本当に君たちに使いこなせるのか」 と懐疑的な見方をしていて、すぐには了承してもらえませんで ―説得は功を奏したのですか。 した。仮に10分間隔でデータが更新されたとしても、それと同 じスピード感で手を打つことができなければ意味がないという 古川氏 おかげさまで、「このシステムに負けない仕事の仕方を のです。決してITを否定しているわけではなく、現在の仕事の しなさい」と了承を得ることができました。そして、導入が決定 やり方で人がITに追随できるのかを厳しく問われました。私た したのです。 ちにとっては耳の痛い指摘でしたが、まさに正論でした。 7
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「生産現場の見える化」に向けたトライアルを開始 2014年12月、富士ゼロックスマニュファクチュアリングは複写機部品の製造ラインを実証の場として、生産現場の リアルタイムモニタリングのトライアルを開始した。ここでの成果が、その後の正式導入および幅広い展開に結び 付いたのである。 背景にあった5つの課題と える化”を志向するようになった背景 i-Reporter)とMotionBoardを連携さ には、どういった課題があるのだろう せることで、その仕組みを実現するこ 対応方針 か。同社 需給管理部情報プロセス改 とになった。これらのソリューション 富士ゼロックスマニュファクチュ 革グループ 鈴鹿情報プロセス改革チー を選択した理由を、田中氏は次のよう アリングでは、従来、生産現場の状況 ムのチーム長を務める田中 俊毅氏は、 に語る。 を主に設備からのデータによりリアル 下表のような5つのポイントを挙げる。 「データが発生してもシステムに入 タイムで可視化できるシステムは存在  こうした経緯から着目したのが、「BI 力されない限り、それはデータとして していたが、手書きを伴う帳票で運用 を活用した生産現場でのリアルタイム は認識されません。また、その出力結 をしていた部分はその対象ではなかっ モニタリング」による課題解決だ。具 果は人間の行動に直結するものでなけ た。同社がタブレットの活用を含めた、 体的な手段として、株式会社シムトッ ればなりません。こうしたリアルタイ 生産現場におけるリアルタイムの“見 プスの ConMas i-Reporter※(3 以下、 ムモニタリングの課題は、生産現場の 試行錯誤によってのみ解決されるもの であり、システム部門を介して要件定 ❶ 実績入力工数の削減 義から始めるウォーターフォール型開 基幹システムで扱わないデータは項目や書式などが標準化されておらず、 発には向きません。生産現場自身が主 各ラインの独自の判断で作業者が日報に手書きしている。さらに、この手 体となって対応し、使いこなせる『ノ 書き日報をあらためてExcelに入力し、1次加工、2次加工を行うなど煩雑 ンプログラミング』のツールであるこ な手間がかかっている。 とが大前提でした」 ❷ 品質レポート作成工数の削減 ※3 iPadを利用した、デジタル入力と手書きを融合させた 品質管理部は、標準化されてないデータも集計して経営月報を作成するた   記録・報告・閲覧ソリューション め、毎週・毎月苦労して各ラインから上記のExcelデータをかき集めてい る。経営月報に記載するKPIのうち基幹システムで管理できているデータ は1/5程度でしかなく、そもそもデータベース化が不十分である。 ❸ 不良発生コストの削減 経営月報などのレポートは、“管理のための管理”という色合いが濃く、肝 心の「品質向上のための視点」でのデータ活用が不十分。収集しているデー タそのものも正確性が担保されているわけではない。 ❹ 生産性の向上 設備の一時的な停止、段取り替え時間、手待ち時間などが発生しているが、 短時間に済むがゆえに正確な実態をつかめていない。また、ムリ・ムダ・ム ラを発見し、生産性を向上させる活動に人手がかかりすぎている。 ❺ トレーサビリティの確保 商品の出荷後に不良の流出や、仕入れ材料の材質不具合などが判明するこ とがあるが、回収対象の商品をピンポイントで特定できない。したがって 範囲を広げて良品まで回収せざるを得ず、回収・廃棄コストが膨らむ。 需給管理部 情報プロセス改革グループ 鈴鹿情報プロセス改革チーム チーム長 田中 俊毅 氏 8
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生産現場におけるBI活用の実際 前述のソリューションの導入に向けたトライアルを経て、富士ゼロックスマニュファクチュアリングはi-Reporterと MotionBoardの導入を正式決定。まず、複合機部品の製造ラインで、2015年8月より本格的な活用を開始した。現在、 複数のラインでのリアルタイムモニタリングに向けた取り組みを進めている過程にある。 1. 複合機部品製造ラインでの品質管理適用事例 Excelへのデータ手入力に費やす バッチ作業を経て製造を行うとともに ータ入力がワンタッチで済むので、む 時間は毎日80分 目視検査を実施している。しかし、先に しろ以前よりも便利になった』と評価 も述べたようにその情報が集計される はすっかり好転しています(」鈴鹿事業 複合機部品の同製造ラインには約 のは早くても翌日であるため、不具合が 所 第一製造部 製造1グループ M7チ 30名の作業者が従事しており、各自が 改善されないまま20バッチ以上生産を ーム 竹尾 直人氏) 作成した日報を回収し、Excelに入力 続けることになってしまう。これを検査 「不良情報の入力に関しても、発生 するという手間をかけていた。これに 直後に見える化することで6バッチ程度 頻度の高いものから順にリスト表示し、 費やす時間は毎日約80分に及ぶ。入力 で食い止める、すなわち不良発生の影 タッチ操作で選択できるようにしまし 作業そのものも非常に煩雑で、日報に 響を最小限に抑えることが可能となる。 た。その後の集計も自動で行われます」 書かれているすべての情報を反映しき 現場の創意工夫で、Excelへの (鈴鹿事業所 第一製造部 製造1グルー れないほか、毎日1件以上の転記ミス 手入力の工数は「0分」に プ M7チーム 山下 宏樹氏) も発生していた。 「作業者は日報を作成する際に、氏 さらに、これらの入力後のデータを もっとも、現場が使いこなせないシ 名や担当工程、作業日、作業開始時間、 グラフ化し、発生した不良の原因を推 ステムでは意味がない。そこで同製造 終了時間などを手書きする必要があり 定、現場を確認し、実際に対策を打つ ラインでは、まずデータ入力に関して ましたが、これらもすべてワンタッチ までには2~3日のリードタイムを要 次のような工夫を凝らしてきたという。 で入力が可能。加えて、使用する金型 する。「価値を生まない入力作業を削 「全員が戸惑うことなくデータ入力 もバーコードで入力できるようにしま 減すること、すばやく不良原因を特定 を行えるように、これまで使ってきた した」(鈴鹿事業所 第一製造部 製造1 して不良を作り続けないようにするこ 紙の帳票レイアウトを、そっくりその グループ M7チーム 阪井 明夫氏) とは、製造ラインでも大きな課題でし ままiPad上に再現しました。当初、年 こうしたダイレクト入力の徹底によ た」と田中氏は語る。 配の作業者からは反対意見も多く寄せ り、これまで毎日約80分を費やしてい 具体的には同製造ラインでは、96個 られたのですが、『意外と簡単ですぐ たExcelへの手入力の工数は0分へと、 の製品をひとかたまりとして、4工程の に慣れることができた。ほとんどのデ 完全になくすことができたのである。 改善前 改善後 リーダーが日報を集め iPadで入力 Excelへ入力 自動でデータ化 紙をやめて作業者が直接入力 Excel手入力工数 80分/日→ 0分 日報完成ボタンを押す 作業日報を紙から iPadによるダイレクト入力に変更 9
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改善後 改善前 1日約20バッチ 翌日 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 17 18 19 20 1 2 3 最大で15バッチ以上早く不良の情報を得られる。 検査直後に 不良を作らない仕組みを実現 20バッチ以上生産見える化できると… してしまっている 6バッチ程で止められる A工程 B工程 C工程 D工程 検査工程 転記・集計作業 リアルタイムで見える化すると不良が減る原理 「不良を作り続けない仕組み」を 「赤」や「黄」のアラートが表示され であれば、その金型の異常を疑う。「時 ダッシュボードで実現 た場合は、不良の原因をすばやく推定 間帯」によって不良の発生頻度が上昇 する必要があるが、ダッシュボード上 しているのであれば、その間に何があっ 一方、入力されたデータのアウトプッ にはその手がかりとなる様々なKPIの たかを深掘りして調査する。 トがどのように行われているのかとい 推移もリアルタイムで示される。これ こうした地道な取り組みを繰り返 うと、全体責任者および各ラインのリー に基づいて、その場で対処すべきこと すことにより、「従来に比べて最大15 ダー、品質責任者のPCや製造現場の大 を判断するのだ。 バッチ以上も前の工程で不具合の状況 型モニター上に、過去24時間分のデー 例えば、「作業者」によって不良の違 をつかみ、その場で対処することが可 タが自動的に集計され、各工程の不良 いが表れているならば、該当者の作業 能となり、“不良を作り続けない仕組み” 発生頻度が「赤(多発)」「黄(注意)」「青 手順に他者との違いがないのかを疑う。 を実現することができました」と竹尾 (良好)」のサインで示される。 「金型」ごとに不良の違いが出ているの 氏は語る。 左から 第一製造部 製造1グループ M7チーム チーム長 小林 勝哉 氏 第一製造部 製造1グループ M7チーム 山下 宏樹 氏 大型モニターを見ながら状況を共有。 第一製造部 製造1グループ M7チーム 竹尾 直人 氏 対応を協議し素早く改善 第一製造部 製造1グループ M7チーム 阪井 明夫 氏 10
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一方、M7チームのメンバーは「生 た」といったプロセスも両者が共有す ては、鈴鹿事業所 第一製造部 製造1グ 産現場と品質管理の間の“風通し”が ることで、同じ目的に立った協働意識 ループ M7チームのチーム長を務める ずいぶん良くなりました」と口をそろ が醸成されていくのである。「そうし 小林 勝哉氏が、次のような方針を示し える。品質管理側からの指摘に対して たコミュニケーションを活性化する ている。 生産現場では、「彼らは現場の状況が 意味でも、MotionBoard は非常に重 「ダッシュボード上で見える化され わかっていない」などと時として感情 要な役割を果たしています」と山下氏 たデータを、作業者個人の責任追及の が先に立ち、ある種の敵対関係に陥っ は語る。 ために利用する考えは一切ありません。 てしまうことがある。しかし、見える ただ、今回のリアルタイムモニタリ そのラインで作業手順の統一が徹底さ 化された客観的なデータを間に挟め ングの仕組みによって特定の作業者に れていたのかどうか、そもそも守るべ ば、お互いに冷静に議論しあえるよう 関する情報まで、すべてが洗いざらい き作業手順が明確に定められていたの になる。「ある作業手順をこのように になってしまうことには少なからず抵 かどうか、私たちが突き詰めるのは、あ 変えてみたら、品質が○○%改善され 抗があったのも事実だ。この点につい くまでも不良の原因なのです」 2. 電子基板製造ラインでの品質・生産性改善事例 「ラインよどみ」も る日の特定の時間帯に不良が連続した これにより、検査工程における作業 ことがわかっても後の祭りで、詳細な 時間のバラツキが見えるようになった。 リアルタイムに把握 不具合調査を行うことは困難だ。「モノ 「不良が連続的に発生すると、検査待ち コピー機や複合機などの電子基板の はリアルタイムの1個流しであるにも 品が滞留して後ろの工程の作業者に手 製造ラインではSMT(Surface Mount かかわらず、情報はバッチ処理しかで 待ちが生じますが、こうした、いわゆ Technology:表面実装技術)や画像に きません。作業者は情報を整理するこ る“ラインよどみ”をリアルタイムに把 よる検査など自動化が進んでいるもの とに追われ、肝心の不具合解消のため 握でき分析の結果、よどみの原因を特 の、コネクタ部分のはんだ付けや目視 の時間をとれないという矛盾をはらん 定。よどみ改善として手組工程への品 検査など人手に頼っている部分も残っ でいました」と田中氏は語る。 質フィードバックや検査判定ごとの仕 ている。 そこで、i-Reporterを用いて不良情 組みを見直すことで、よどみがなくな 検査の担当者は、約30秒に1枚のタ 報をiPadからダイレクトに入力でき り、ラインの残業時間が毎日約1時間も クトタイムで製造ラインを流れてくる るようにするとともに、そのデータを 減りました。リアルタイムのデータが、 電子基板をチェックし、不良を発見し 最小限のタイムラグでMotionBoard 生産性改善につながりました」と田中 た場合に「その箇所を特定し、マスキ の画面に表示する。 氏は語る。 ングテープで示し、不良内容を紙(手組 修理シート)に記載して貼付する」とい ライン(11.3m) う一連の作業を行い、修理工程に回す。 手組工程 検査工程 時には不良が連続して流れてくるため、 「作業者は不良位置のマスキングや不 良モードを書くことで手いっぱいにな ①作業をする ②検査をする ることもあります」と田中氏は語る。 さらに大きな問題は、これらの紙で やりとりされる修理報告の扱いだ。そ ④結果を知らせる ③タッチで入力 の日の生産を終えたあと、まとめてデー タ入力を行っており、システム上でラ インごとの実績を把握できるのは、そ のさらに2~4日後になってしまう。あ 離れた場所でも作業の結果の善し悪しをすぐにフィードバック 11
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タクトタイム内でiPadでダイレクト入力 自動集計しMotionBoardでリアルタイム表示 複数ラインを担当するリーダーは iPadを持ち状態を監視 BI活用を支援する 「ダッシュボード画面を作る作業を 見える化の元になるデータの整備であ 情報プロセス改革チーム 誰かに任せきりにするのではなく、現 る。そこで鈴鹿情報プロセス改革チー 場にいる人たち自身が議論しあって試 ムが生産現場と共同し、「足りないデー 生産現場をリアルタイムモニタリン 行錯誤しながら作ったほうが、結果的 タをそろえていく」という体制を敷い グするBI活用を技術面から支えている にはるかに短い時間で、自分たちの意 ている。 のが、需給管理部情報プロセス改革グ に沿ったデザインや内容に仕上げられ 「リアルタイムモニタリングの取り ループ 鈴鹿情報プロセス改革チームで ます。また、その後のメンテナンスや拡 組みはまだ緒に就いたばかりですが、 ある。 張も容易になります。私たちが行って 様々な生産現場の文化を、『紙からデジ これまでExcelを使って手作業で いるのは、勉強会の開催や現場と一緒 タルへ』と変えていきたいと考えてい 行っていたデータ入力を自動化し、す に悩み、考えて、改善を支援することで ます」と、加藤氏は今後に向けた意気込 ぐに生産現場で見える化することが今 す」と語るのは、同チームの加藤 徳司 みを示す。 回のダッシュボード導入の狙いだが、 氏である。この、いわゆるEUC(エンド ラインごとに要望は異なり、見たいデー ユーザーコンピューティング)の取り組 タやその切り口はどんどん変わってい みに、ノンプログラミングで対応でき く。このような現場それぞれの事情に るMotionBoardがマッチしたわけだ。 あわせてダッシュボードの画面を作っ もっとも、現場の創意工夫だけでは ていくことになる。 どうにもならないものもある。それは、 需給管理部 情報プロセス改革グループ 鈴鹿情報プロセス改革チーム 加藤 徳司 氏 導入製品・サービス MotionBoard 企業内外に溢れる情報を統合可視化し、 PCだけではなくスマートフォンやタブレッ トPCから、いつでもどこでも情報入手を可 能にする情報インフラストラクチャ。 メンバーは大型モニターで作業状況を共有 12
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リアルタイムモニタリングの、その先 不良そのものを出さない “良品条件”を徹底追求する リアルタイムモニタリングの仕組みは生産現場で様々な効果を上げ始めたが、 これによって一連の取り組みがゴールに到達するわけではない。 富士ゼロックスマニュファクチュアリングでは、その先にある真の改革を 目指しているのである。古川 雅晴氏に今後の展望を伺った。 ―生産現場のリアルタイムモニタリングを実践してこられた、 けている日本国内の電力は、瞬電したり、電圧が低下したり、周 現在の手ごたえをお聞かせください。 波数が変動したりといった不良はまず起こりません。その裏側 で電力会社がどんなことを行っているのかというと、発電所や 古川氏 確実に不良が少なくなってきたという効果を実感し 変電所、送電などの現場の方々が右往左往しているわけではな ています。しかしながら、まだまだ私たちの期待値には届いて く、中央でモニタリングして指令を送っているだけです。電気 いません。 を作って送り届けるまでの途中のプロセスは非常に複雑なは ずですが、良品条件が見極められ、しっかり管理されているか ―どういうことでしょうか。 らこそ、それが可能なのでしょうね。  私たちはモノづくり全体をそういう世界にしたいのです。い 古川氏 不良を出さないための対処をタイムリーに行えるよ まの段階では理想論かもしれませんが、それをどこまで極めら うになりましたが、それは何らかの不具合が発見されてからの れるかによって、今後のグローバル市場での競争力にも差が現 話です。私たちが目指しているのは、「不良そのものを作らない」 れてくると考えています。 ことなのです。  実際に経営面ではこの理想像に近いことが実践されており、  私たちは「良品条件」と呼んでいますが、「これさえ守ってい 決して夢物語ではないと実現性に確信を持って臨んでいます。 れば絶対に不良を作らない」という条件が必ずあるはずです。 それが明らかになっていないために、不良が発生しているので ―経営面というのは、これまでDr.Sum EAをベースに取り す。作業工程による不具合、金型による不具合など、様々な不 組んでこられた、生産計画や調達業務、原価管理業務などの見 良の原因をリアルタイムモニタリングの仕組みの中に取り込 える化、会計精度向上といった成果によるものですか。 んでいますが、それらが監視・管理すべきKPIとして本当に正し いのであれば、不良は出ないはずです。でも現実には、少なくなっ 古川氏 そうです。Dr.Sum EAを導入したのは2013年ですが、 たとはいえ不良は出ています。私たちが気づいていない、認識 すでに情報プロセス改革チームによるサポートの手を離れ、様々 できていない良品条件がまだまだ残っているということです。 な生産現場が主体となった活用が進んでいます。その結果、各 それを解き明かして、モニタリングし、不良を作らないことが、 製造課のマネージャーは、担当製品の出来高をその日のうちに MotionBoardを生産現場で活用することの本当の目的です。 把握することが可能となりました。さらに、その実績データは 製造部、事業所へと自動的に上げられ集められていき、経営陣 ―とはいえ、不良をゼロにすることは容易なことでありませ は全体の出来高を把握することができます。 んよね。  こうした日々の数値を積み上げていけば、わざわざ集計し直 すまでもなく自ずと四半期や年間の決算も見えてきます。弊社 古川氏 おっしゃるとおりです。これまで製造業では、ある程 内では「締める」という言葉は、だんだん死語になってきている 度の不良が発生するのは仕方がない、不良の発生率が許容範囲 ほどです。 を下回っていれば良いとする考え方が支配的でした。私たちは  いま現在の状況を遅延なくモニタリングしながら、経営をタ そういった普通のモノづくりの壁を破って、一段上のレベルの イムリーに舵取りできるようになったことは、Dr.Sum EAに モノづくりに飛躍したいのです。 よる最大の成果です。それと同じことを品質管理の世界でも実 現すべくMotionBoardの活用を進めていきます。経営と生産 ―こうありたいという具体的なモデルはありますか。 現場のモニタリングを両立することができれば、それはまさに 古川氏 例えば電力会社です。私たちが事業や生活で供給を受 会社全体の見える化の実現です。 ※掲載内容は2016年2月現在のものです。 13
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パナソニック株式会社 アプライアンス社 IoTを基軸に高品質・高効率の工場を目指して、 4M3Hの変化点、生産進捗、品質データなど、 製造管理指標を25項目にわたり一元的に見える化。 パナソニック アプライアンス社では、家庭用燃料電池「エネファーム」の製造工 程において、高品質・高効率を目指した工場IoTの導入に取り組み、その進化を 加速させている。工場のあらゆるプロセスをつなぎ、デジタル化されたデータを MotionBoardで統合・一元管理することで、4M(Man、Machine、Material、 Method)の変化点、生産進捗、品質データなど、全25項目の製造管理指標の見える 化を実現。「人モノづくり」をはじめ、製品・工程設計力の向上、職人技の汎用化・自 動化、バラつきのない尖った品質などをテーマとした生産革新と品質革新を推進し ている。 採用の背景 選定ポイント 導入効果 ● 「人モノづくり」をベースとした工場 IoTへの取 ● さまざまなデータソースと柔軟に連携したデー ● あらゆるモノとプロセスをつないだデータをリ り組みを開始 タ入力が可能 アルタイムに見える化 ● これまで紙の台帳で管理していたデータのデ ● 製造現場が主導権をもって活用できる使い勝手 ● いま起こっている変化点や工程異常に対して俊 ジタル化と見える化 の良さ 敏に反応し、アクションを起こす工場への変革 ● 分散していたスモールデータをビッグデータ化 を支援 IoTは“魔法の杖”ではない 客さまの期待を超える付加価値をもった商品Company Profile 最終的には“人”が鍵を握る を創り出す、究極の工場 IoTを目指しています」 と、その根底にあるモノづくりのポリシーを示 都市ガスやLPガスなどの家庭用ガスを利用 す。 して発電すると同時に湯も沸かすことができる なお、同社が目指す「究極の工場 IoT」とは、 パナソニック株式会社 家庭用燃料電池「エネファーム」は、省エネ意識 単にテクノロジーの導入や活用のみによって成 アプライアンス社 の高まりを背景に順調に需要を伸ばし、国内の し遂げられるものではない。IoTによって多様 普及台数は2017年に20万台を突破した。そ なモノから情報を収集することが可能となる 設立 : 2012年1月1日 の半分以上のシェアを占めるのがパナソニック が、一方でそこからどんなデータを、どのよう 本社所在地: 滋賀県草津市 アプライアンス社だ。滋賀県の草津工場を拠点 に集め、どう使うのかが問われることになるか 事業内容: パナソニックの社内カンパニーとして、空 調・調理・家事・美容家電から店舗向け に、市場ニーズの高まりに応えるべく生産性を らだ。 ショーケースや自動販売機、燃料電池な さらに高め、2019年度末までに累計20万台の 高田氏は、「データの有効性を見極められる どの業務用デバイスまで、人々の豊かで 快適なくらし、快適な社会に貢献する商 生産を達成するという目標を掲げている。 のは、対象となるモノを知り尽くした製造現場 品を提供。 この計画を支える基盤として同社が注力して のプロフェッショナルのみです。どれだけモノ URL : https://panasonic.co.jp/ap/ いるのが、IoT(Internet of Things)の仕組み のデータが増えても、それを使いこなせる人材 を活用した高効率・高品質工場の実現だ。 が増えなければ、生産や品質の改革につなげ 同社 スマートエネルギーシステム事業部 草 ていくことはできません。また、モノは簡単に 津工場の工場長を務める高田 泰治氏は、「私た 増やしたり、改良したりすることが可能です ちは、各地域のガス会社様に向けたB2Bのビ が、現場の人材は一朝一夕で育てることはでき ジネスモデルのもとでエネファームを展開して ません」といった課題を挙げながら、「IoTは決 います。そうした中で、工場こそが最高のセー して“魔法の杖”ではなく、最終的なデータ活 ルスマンだと考えています。デジタルによる見 用の鍵を握っているのは、やはり人なのです」 える化を追求した『現場密着の IT』の使いたお と強調する。 しと、AIやセンシングなどの技術を駆使した こうしたことから同社が IoTへの取り組みの 『先進の IT』の使いこなしを高度に融合させ、お ベースとしているのが、「人モノづくり」という 14
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電気機器 コンセプトである。 MotionBoard導入後の驚きの声! 4M3Hに関するデータを集約し、 Before After 変化点を見える化する 例えば特定のパーツに設計変更が発 品質、生産進捗や、4M3Hの変化点など全25項目にわ 生した際に、それにあわせて管理工程 たる製造管理指標をMotion Boardで一元管理し、リ 工場における生産性や品質は、「Man(作業 図や作業指図書がきちんと修正されて アルタイムに見える化するとともに、情報の変化を高 いるかどうか、現場の作業と紐づけて 感度に示す。この情報を製造現場で共有することで、 者)」「Machine(機械設備)」「Materia(l 原材 ダイレクトに確認できる仕組みを作り いま起こっている変化点や工程異常に対して俊敏に反 料)」「Method(作業方法)」のいわゆる“4M”の たいと考えた。 応し、アクションを起こすことが可能となった。 要素の組み合わせによって決まる。また、「初め て」「変更」「久しぶり」の“3H”に起因するヒュー マンエラーを削減することで、効率を高めるこ とができると考えられている。 2015年、同社 草津工場における「人モノづ くり」をベースとした IoTへの取り組みは、まず この4M3Hに関するデータを集約し、その変化 点を見える化することから始まった。「例えば特 定のパーツに設計変更が発生した際に、それに あわせて管理工程図や作業指図書がきちんと 修正されているかどうか、現場の作業と紐づけ てダイレクトに確認できる仕組みを作りたいと 考えました」と高田氏は振り返る。 その基盤として導入したのが、ウイングアー クのMotionBoardである。パナソニック社内 ではすでに多くのBI製品を活用しており、それ ぞれの拠点や業務で高度なデータ分析の成果 も上げているが、そうした中で今回はなぜ MotionBoardだったのか。草津工場 製造二 課の課長を務める西久保正美氏は、次のよう スマートエネルギーシステム事業部 スマートエネルギーシステム事業部 スマートエネルギーシステム事業部 草津工場 草津工場 草津工場 に語る。 工場長 製造一課 課長 製造二課 課長 「私たちがMotionBoardを選んだ最大の理 高田 泰治 氏( 写真左) 吉野 強 氏( 写真中) 西久保 正美 氏( 写真右) 由は、データ入力が最も容易なツールだったこ とです。4M3Hをはじめ生産実績や進捗状況、 品質に関するあらゆるデータを私たちはこれま で紙の台帳で管理していました。まさにゼロか らスタートしたデジタル化への取り組みである だけに、製造現場のメンバー自身による試行錯 誤を通じて、究極の工場 IoTに対する思いを ダッシュボードに体現できるMotionBoardの 使い勝手の良さに、他のBIツールにはないメ リットを感じました」 バラツキのない尖った モノづくりとして 職人技の汎用化を目指す その後、「人モノづくり × IoT」の取り組みは 分析 /制御や最適化(標準化)を実現するフェー 燃料電池の工場のモノづくりポリシー ※掲載内容は2018年7月現在のものです。 15
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ズに入り、「不良が作れない」ことを狙いとする 熟練を要していたMEA塗工作業などの自動化 すべてのプロセスをつないだデータを 「作業ナビゲーション」と呼ばれるシステムが作 を実現したいと考えています」と構想を示す。 リアルタイムに見える化する基盤へ られた。 昨今、日本の多くの製造業が深刻な人手不 もともと作業ナビゲーションは、各工程の 足に直面しており、高齢化が進む熟練工がリタ さらに、同社が2018~2019年度に向けて 担当者に対して次に実施すべき作業の手順を イアしてしまったあと、どうやって現在の生産 進めているIoTの全体計画を俯瞰してみよう。 音声や画面で指示するなど作業のアシスト“補 性や品質を維持するのか。一日も早くこの手立 設計および生産準備のプロセスでは、製品・ 助”を行うことを目的として開発され、2009 てを講じることが求められている。そうした中 工程設計力の向上を目的とした「バーチャルモ 年頃から運用されてきたものだ。これをさらに でこれまで匠の領域とされてきた熟練工の技を ノづくり」の取り組みが始まった。VPS(Virtual 作業の“保証”を行うものへと進化させたので デジタルで汎用化し、次の世代に継承可能な資 Product Simulator)を導入して3D-CADと ある。 産に変えていく同社の取り組みは、この課題の 作業ナビゲーションの連携を図り、生産準備部 例えばクィックファスナーの挿入治具は、今 解決策としても注目されるところだ。 門が組み立て業務を主体としたモノづくりの検 までは挿入治具と挿入確認治具(ポカヨケ)を 使用し6つの手順で作業を実施し、気遣いし作 業をしていたのを、何とか生産性向上と更なる 品質の担保をしたいとのことから、ワンアク ション、ワンチェックの思想で、クィックファス ナーの挿入と同時に確認もできる新たな治具 自動 人モノづくり (ITポカヨケ)を開発し作業ナビゲーションとの 生 部設 産 品 製 モノの流れ 出 連携を実施し、IoTの利活用を進化することが 計 準 管 造 荷備 理 できた。又電動ドライバーと作業ナビゲーショ デバイス:MEA ST・FP 組み立て・検査工程 ンとの連携も進めながら、更なる品質の尖った 商品に仕上げていっている。 バーチャルモノづくり A I BigData〈 制御・最適化〉 「あらゆる工程の作業を標準化し、その確実 ❶ 製品・工程設計力向上 ❸ 極限のモノづくり(職人技を汎用化) ❺ 人モノづくり × IoT な実施を IoTによって見届けることで、品質の 実機の代わりに3Dデータ活用 ● AIを活用して、センシングデータを ● 作業ナビとカメラの融合で  人・設備へFF/FB   人作業を見える化 バラツキをなくします」と高田氏は強調する。 生産準備部門が組み立て業務を ● モーションセンサーによる、 主体としたモノづくり検証と伝達を MEA塗工自動機バラつきなく、   作業熟練レベルの見える化 さらに作業ナビゲーションはビデオカメラと 支援 究極の領域でのモノづくり実現 ● ITポカヨケ連動による不良が も連動し、作業者の“動き”を映像データとして  作れないシステム 一定期間保管している。「万一、製品に品質異 S C M ロボティクス BigData〈 変化検知〉 常を検知した際には、作業ナビゲーションの時 ❷ 日々完結のモノづくり ❹ 官能作業(職人技)の自働化 ❻ バラつきの無い尖った品質 間軸に基づいて映像データをトレースし、その 約900点/台の部品コードを管理 ● ロボテクを活用し官能作業を ● 部品メーカ×工程検査結果× 時にどんな作業が行われたのかを分析すること   デジタル化。データを自動設備と   市場データ連携による製品(性能)の● 員数管理をバーコードリーダー化  連動させ、高品質・高効率を実現   変化検知 で真因を究明します」と西久保氏は語る。 ● SAP連携  ● 音センサーによる、製品完成度の ● 部品管理業務の汎用化 これは、不良を起こした作業者を特定するた  見える化 めの監視を狙いとしているわけではない。作業 者に無理な姿勢を強いている作業操作や非効 率な手順を検証するなど、目的はあくまでもそ の工程に潜んでいる問題を明らかにし作業改 善することにある。同時に熟練作業者のお手本 ● モノ、プロセスをつなぎ、 となる動きも分析するなど、多角的な観点から アナログからデジタル化 生産性の継続的改善活動につなげているので されたデータをリアルタ ある。 イム見える化。新たな情 報(変化)を高感度に創出 また、工程の「バラツキのない尖ったモノづ くり」に向けて、職人技を汎用化するというチャ ● 4M変化、品質情報など、 レンジも開始した。草津工場 製造一課の課長 25の工場指標が見える を務める吉野 強氏は、「職人の動きをセンシン システム グしたデータをAI手法で分析し、そこから得ら れた学習モデルを各プロセスや設備にフィード 製造管理指標を見える化するMotionBoardのトップ画面 フォワード /フィードバックすることで、高度な 16
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証と情報共有を支援するものである。 や混合回転条件などが求められるインク作成を る製品完成度の見える化が実施されている。こ 職人技のデジタル化(汎用化)に関しては、先 最適化し、高品質・高効率化を実現することが れまでも完成品に対して人による官能検査は 述のバラツキのない尖ったモノづくりに加え、 考えられている。 行われてきたが、NG/OKの微妙な判断にはど ロボティクスを活用した官能作業の自動化にも 組み立ておよび検査工程においては、製品の うしても人によるバラつきが生じてしまう。そ 着手している。IoTで収集したデータを自動設 バラつきのない尖った品質」の追求が行われて こで振動センサーで収集したデータをもとに、 備と連動させることで、例えば精密な材料計量 いる。ひとつの事例として、振動センサーによ 分析し客観的かつ高精度な検査を実現する。 今後は、部品メーカーから提供されるデータ と工場のビッグデータ、さらに市場と連携さ せ、更なる製品完成度の見える化 /最適化等が 計画されている。 これによって同社の IoTへの取り組みは、設 計から出荷に至るすべてのプロセスをカバーす ることになる。そして、そこから発生するすべて のデータを集約するMotionBoardのダッシュ ボードは、現在では100以上のボードから構成 される「草津工場 見える化システム」へと発展 している。 「品質、生産進捗や、4M3Hの変化点など全 25項目にわたる製造管理指標を一元管理し、 リアルタイムに見える化するとともに、情報の 変化を高感度に示します。この情報を製造現場 MotionBoardと動画を連携 のメンバーは、責任者層も参加する日々のミー ティングで情報を共有し、情報に基づく迅速か つ的確な判断や、発生している問題点の対応策 をフォローします。 この見える化システムを最大限に活用するこ とで、いま起こっている変化点や工程異常に対 して俊敏に反応し、アクションを起こす工場へ の変革を図ります」と高田氏は語る。 お客様から「工場が変わったね!」と言われ続 けることが、工場の価値を最大化するという理 念のもと、同社は2020年以降の将来に向けて も草津工場を新たな顧客価値創造の拠点とし て位置づけ、未知の進化にチャレンジしていく 考えだ。 導入製品・サービス MotionBoard 企業内外に溢れる情報を統合可視化し、PCだ けではなくスマートフォンやタブレットPCから、 いつでもどこでも情報入手を可能にする情報 インフラストラクチャ。 4M3Hの変化点など製造管理指標を一元管理 17
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東芝機械株式会社 IoTとの連携で自律協調型の工場経営を実現 生産情報の“見える化”による現場改善 製造業に対する要求が、従来の「モノ」からプラスアルファの価値をもった「モノ+コト」に急速に変化 してきた。そうした中で東芝機械株式会社(以下、東芝機械)は、総合機械メーカーとして長年にわ 導入実績世界No.1を誇る 連帳式高速インクジェット印刷システム たり培ってきた技術と経験を活かし、IoTでデータを収集、集めたデータを分析し、スマートファク トリーに対応する「IoT+mプラットフォーム」を開発。外販拡大を見据え、社内のさまざまな工場で の実証を進めている。 その最先端で活動する材料加工事業部は、ウイングアークのMotionBoardをベースに多様な生産情 報の見える化を実現した。複数のExcelシートに分散していた情報を1つのダッシュボードに集約す るとともに、IoTで収集した機械や装置を集約して稼動データをダッシュボードに連携し、モニタリ ング。現場の知恵と経験を改善活動につなげ、自律協調型の工場経営を目指している。 採用の背景 導入ポイント 導入効果 ● 経営情報の見える化ツールとして情報システム ● 複数のExcelシートに分散していた生産情報を ● 生産状況がリアルタイムで把握 部門が先行して導入していた 1つの画面に集約 ● 現場の“気づき”が改善を促し毎月の生産性を着 ● 全社共通のIT基盤として展開したい ● 直感的に誰でも認識できるダッシュボードを 実に向上 作成 ● IoTダッシュボードとの連携で機械の停止時間 を半分以下に削減 製造業に付加価値を生み出す 解決」という3つのコンセプトに基づいた IoTを Company Profile 「IoT+m プラットフォーム」を提案 指向している。 東芝機械は、自動車、エレクトロニクス、光 IoT基盤の運用を支える 学、ナノテクなどの産業分野で用いられる射出 生産情報の見える化 成形機、押出成形機、微細転写装置、精密機 東芝機械株式会社 器、工作機械、電子制御装置、産業用ロボット 将来的に幅広い産業への外販を目指す「IoT など幅広い装置を手掛け、中でもダイカストマ +mプラットフォーム」だが、その大前提として 創業 : 1938年12月 本社所在地 : 静岡県沼津市 シンに関しては世界でトップクラスのシェアを 東芝機械がまず注力しているのが、社内工場に 事業内容 : 射出成形機、ダイカストマシン、押出成 有する総合機械メーカーだ。 おける実証だ。 形機、印刷機械、 工作機械、精密機 器、微細転写装置、産業用ロボット、電 しかし、グローバル競争が激しさを増し、機 「自社工場内では長寿命の大型機械製品も運 子制御装置、鋳物などの製造・販売 械単体での差別化が難しくなっており、いかな 用しており、予防保全に適した豊富なサンプル URL : http://www.toshiba-machine. co.jp/jp/ る付加価値を打ち出せるかが問われている。そ を収集することができます」と前原氏は語る。こ うした中、新たな重点戦略の一つに位置付けて うした現場 /実務レベルの事例から得られた知 いるのが IoT(Internet of Things)への取り組 見とノウハウをパッケージ化 /テンプレート化 みだ。 し、自社製品に組み込むほか顧客に提供する 同社 制御システム事業部 制御システム技術 サービスにも反映していく狙いだ。 部 技監の前原 弘之氏は、「東芝機械グループ 制御システム事業部が開発した IoTの共通 は総合機械メーカーとして多岐にわたる機械の 基盤を国内の主要工場に展開し、実証をス 豊富な知識と経験を有しています。特に制御装 タートさせているが、中でも先行しているのが 置については自社開発を行っており、生産現場 材料加工事業部だ。大型工作機械で用いられ に密接したトータルな IoTの提案が可能です」 るさまざまな部材を鋳造から仕上げまで一貫 と、自社のポテンシャルの高さを示す。 生産している加工現場である。 そして開発を進めているのが、「IoT+mプ 温度、湿度、振動、周波数、色などの多様な ラットフォーム」と呼ぶ工作機械 IoT活用ソ センサーからデータを集めてリアルタイムにモ リューションだ。「ゼロダウンタイムを目指して ニタリングする「スマート見える化」(監視 IoT) 突発故障を未然に察知」「新規のみならず既存 をベースに、集めたデータを分析することで 設備も含めた機械の状態を可視化」「スマート 「スマートメンテナンス」(保守 IoT)や「スマート ファクトリー化に対する課題を顧客との共創で マニュファクチャリング」(製造 IoT)につなげて 18
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機械 いくトータルなプラットフォームを構築した。 MotionBoard導入後の驚きの声! そしてこの IoT基盤の運用を支える、もう一 つの重要な要素として整備を進めているのが生 Before After 産情報の見える化を実現する仕組みだ。 A班c別ce進s捗sか状ら況直、接機レ械ポ別ー操ト業を達作成成率す、ラるイこンとのが負で荷き E製x造ceメlでン個バ別ーにを管集理めさてれミてーいテたィ多ング様なをデ行うー際タ 同事業部の副事業部長を務める桧作 秀文氏 ず情、報集、計品結質果情を報いのっ4たつんのEカxcテeゴlにリ送のっ生て産グ情ラ報フやを をにも一、つ説の明画の面流にれ集に約沿しっ、て誰フがレ直キ感シ的ブにル操に作画・ は、「生産計画や品質改善に関する多様なデー チExャcーelトでを管作理成しすてるいなたどが体、裁こをれ整らえのて情い報たを。横こ断のプ的 面認を識切でりき替るえダるッこシとュがボでーきド、を問実題現点。やラ要イン因ごの ロにセ見スるにの常はに困人難間でが、状介況在変し化、非へ効の率対的応なが作遅業れをて繰い と説の明実を績行とう達上成で率非、常予に算役の立消っ化てないどる生。産単状な況る タを見える化し、現場の知恵と経験を改善につ りた返。ますたこ、と各にラなイっンてのい担た当。者加がえて加作工・ら集れ計たしレたポ二ー次ト を集リ計ア表ルでタはイなムくにグ把ラ握フでやチきャるーよトうによなってた一こ ないでいくことで、最終的には自律協調型の工 は情報定が型社的内なにも散の在でし、、視必点要やなデ情ー報をタ探のし粒出度(すのメにッ と目で瞭、然各で班理が解品で質き改る善、可や視生化産の性効向果上もに大向きけなて 場経営を実現したいと考えています」と構想を シ手ュ間)取をっ柔た軟りに、変類更似すのるレこポとーがトでをき何なか人っもたが。作成し イ切ン磋パ琢ク磨トしをあもうた競ら争して意い識るを。芽生えさせてい 語る。 たりするなど非効率な作業が発生していた。 る。 もっとも生産情報の見える化はいまになって 始まったわけではなく、10年以上も前から取り 組んできたテーマだ。そこにはどんな課題が 情報が社内に散在し、必要な情報を探し出すの 上に集約し、誰もが直感的に操作・認識できる あったのだろうか。 に手間取ったり、類似のレポートを何人もが作 BIの仕組みが必要だ―。このように考えた前原 材料加工事業部では、大きく「班別進捗状況」 成したりするなど非効率な作業が発生していま 氏と桧作氏が着目したのがウイングアークの 「機械別操業達成率」「ラインの負荷情報」「品質 した」と桧作氏は語る。 MotionBoardである。 情報」の 4つのカテゴリの情報をKPIとして 「もともとMotionBoardという製品自体は Excelで管理し、関係者に公開することで見え 4つのExcelシートに分散していた 知っていましたが、SIパートナーのトーテック る化を行ってきた。だが、これらの生産情報を 生産情報を1つの画面に集約 アメニティ(以下、TOTEC)に招待された展示 横断的に見るのは困難で、全員が共通の認識を 会で初めてデモを見せてもらい、その画面の完 持つことができず、どうしても状況変化への対 本当の意味での生産情報の見える化を実現 成度の高さに驚きました。これなら私たちが望 応が遅れてしまう。また、「Excelの公開情報を するためには、これまでExcelで個別に管理さ んでいる生産状況の見える化をイメージどおり もとに各ラインの担当者が加工・集計した二次 れている多様なデータを一つのダッシュボード の形で実現できると確信しました」と桧作氏は 情報が活かされたら? ● 探すムダがなくなる ● 変化への対応力が向上する ● 類似資料作成のムダがなくなる ● 現場の知恵と経験が改善につながる ● 生産状況がリアルタイムで把握できる ● 自律協調型の向上経営になる ● 全員が共通の指標で共通の認識を持てる 見えれば気付く 変化を見える 気付けば動く ようにする 動けば変化する 技術・品質本部 材料加工事業部 制御システム事業部 「生産情報の見える化」へ 技術企画担当 副事業部長 制御システム技術部 主幹 桧作 秀文 氏(写真中央) 技監 工場における情報活用のメリット 青野 竜二 氏(写真左) 前原 弘之 氏(写真右) 19
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BIツール:MotionBoardの活用 1画面に集約 班別進捗状況 機械別操業達成率 4つの画面を開いていて確認して いたものが、一つの画面に集約 負荷情報 品質情報 直感的に誰でも認識できる 班別の機械生産状況をリアルタイムで把握可能 機械別の生産状況をリアルタイムで把握可能 (班長管理用ダッシュボード) (班長管理用ダッシュボード) 4つのExcel画面を1画面に集約 加工現場に設置した大型液晶ディスプレイに 生産状況をリアルタイムに表示 振り返る。 料加工事業部はTOTECの協力を得てプロトタ 体の生産状況をMotionBoardで見える化し、 また、「経営情報を可視化するツールとして、 イピング手法をベースにダッシュボード構築を サイネージ表示している。 すでに情報システム部門がMotionBoardを導 進め、同年8月時点ですでに20以上の画面を 「このダッシュボードには、ライン別の生産実 入していたことも大きなポイントです」と語るの 完成させている。 績や進捗状況も横並びでリアルタイムに表示し は前原氏だ。 例えば班長管理用ダッシュボードでは、それ ています。これがきっかけとなり班ごとの競争 「BI導入については『一部のアナリティクスだ ぞれの担当ラインの実績と達成率、予算の消化 心が生まれてきました。他のラインに負けない けでなく全社的に利用できるツールを』という など生産状況をリアルタイムに把握することが ように自分たちの生産性を高めるために何をす 基本的な考えがあり、すでに社内で実績のあっ 可能となった。特に加工途中の各部品について べきかを考えて行動する、お互いの向上心を刺 たMotionBoardを最有力候補としていまし その進捗率を青(順調)、黄(注意)、赤(遅れ)の 激しあう現場レベルでの切磋琢磨が以前にも た。そこにタイミングよく材料加工事業部から シグナルで表示し、迅速な対処を促している。 増して見られるようになりました」と、桧作氏は 相談を受け、迷わずMotionBoardを推奨しま さらにこの画面から機械別のダッシュボードを 手応えを示す。 した。多様な生産情報を管理している既存の 呼び出し、負荷状況や日々の稼働実績、工程ご Excelをそのまま活かし、その上に“かぶせる” とのマシンスケジュールなどを確認することも 気づけば動く、動けば変わる 形でデータを統合できることも一押しした理由 可能だ。 生産現場の改善サイクルを確立 です」 また、オフィスの目立つ場所に大型ディスプ こうして東芝機械は2017年4月、全社共通 レイを設置。操業計画と実績、品質コスト、不 一方、スマート見える化(監視 IoT)のダッ のBI基盤としてMotionBoardを拡大導入。材 良件数およびその内容など、材料加工事業部全 シュボードには、工場内の各機械や装置の稼動 20