1/8ページ
カタログの表紙 カタログの表紙 カタログの表紙
カタログの表紙

このカタログをダウンロードして
すべてを見る

ダウンロード(736.4Kb)

ろ過の領域とクロスフロー

ハンドブック

クロスフローろ過は、膜面に並行な流れを作り微細粒子等の溶質が膜表面に滞留しない状態でろ過を行います

サブミクロン~ナノレベルの物質のろ過では膜の孔径も対象物に従って微細になってきますので、ダイレクトろ過では溶質濃度によっては膜の目詰まりが頻繁に発生します。クロスフローろ過はこのような条件での分離・濃縮・精製に非常に有効な手段といえます。清澄ろ過だけではなく、製品の濃縮・精製といった機能として採用されるのもクロスフロー方式の大きな特徴です。

【掲載内容】
1.ろ過の領域と粒子の大きさ
2.膜ろ過の方式
3.膜の種類
4.クロスフローろ過の特徴と利点
5.濃縮と精製
6.評価用試験機
7.膜分離法の主な用途

◆詳細はカタログをダウンロードしご覧いただくか、お気軽にお問い合わせ下さい。

このカタログについて

ドキュメント名 ろ過の領域とクロスフロー
ドキュメント種別 ハンドブック
ファイルサイズ 736.4Kb
登録カテゴリ
取り扱い企業 岩井ファルマテック株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

この企業の関連カタログ

この企業の関連カタログの表紙
膜分離による作業効率、製品収率の改善
事例紹介

岩井ファルマテック株式会社

この企業の関連カタログの表紙
ナノレベル粒子の効率的な濃縮・精製
事例紹介

岩井ファルマテック株式会社

このカタログの内容

Page1

MSAP-029 ろ過の領域とクロスフロー 1.ろ過の領域と粒子の大きさ 2.膜ろ過の方式 3.膜の種類 4.クロスフローろ過の特徴と利点 5.濃縮と精製 6.評価用試験機 7.膜分離法の主な用途 岩井ファルマテック株式会社
Page2

1.ろ過の領域と粒子の大きさ 分離技術は食品、バイオ、エレクトロニクス、化学、環境等、あらゆるプロセスで使われている技術です。 分離技術のなかで膜分離法は多孔質等の分離機能を持つ薄膜を介し、粒子等の溶質成分と溶液を分離 する技術です。下図は溶液中に存在する粒子などの物質の大きさの領域とそれを分離する技術の目安を 可視的に表現したものです。 膜分離法は精密濾過、限外濾過、ナノ濾過、逆浸透などの方法があり、それぞれの方法に適した膜を利 用することにより、分子レベルから粒子レベルの大きさまで幅広い分離に適用できます。膜分離法はおも に圧力という物理的は力によって物質を分離するので、熱エネルギーを必要とする蒸留法などに比較して 、省エネルギーであるという利点をもってます。 精密ろ過(MF) 概ね 0.1um 以上 溶液中の固形物(主に粒子)を除去して溶液を清澄化したり(透過側が必要物)、菌体や動物細胞などを 濃縮する(濃縮物が必要物)為に使用されます。金属スラリーの分離、菌体の分離・濃縮など幅広い用途 で使用されています。 限外ろ過(UF) 概ね 0.001μm ~ 0.01μm 高分子(分子量1,000以上)のろ過が可能です。また分子量の違いによって高分子物質を選択的に濃縮し たり(分級)、高分子溶液中の低分子を除いたり(濃縮液が必要物で、精製という)、低分子溶液中から高 分子物質を除去(透過側が必要物で、ろ過という)する為に使用されます。 ナノろ過(NF) 概ね 0.001μm以下 分子量500以上の物質の濃縮や低分子除去に使用されます。また、ROに比べて比較的低圧で操作でき るので省エネルギー型の造水にも使用されます。 逆浸透(RO) 水は透過しますが、NaやCl以上の小さな分子を阻止します。海水淡水化、アミノ酸や塩類等の低分子物 質水溶液の濃縮に使用されます。
Page3

2.膜ろ過の方式 膜ろ過には全量ろ過方式(デッドエンド)とクロスフローろ過方式(タンジェンシャルフロー)の2方式が一般 的です。 全量ろ過方式は供給液の全量を膜でろ過する方法であり、使い捨てフィルター等がよく使用さ れます。これに対して、クロスフローろ過方式は膜面に対し平行な流れ(循環)をつくり、供給液を循環し ながらろ過をする方法です。懸濁物質やコロイドが膜面に堆積する現象を抑制することにより膜閉塞を防 止することができます。サブミクロン以下の微細な溶質・粒子で濃度が%レベルになるとデッドエンドろ過 では膜はすぐに閉塞してしまいます。このような用途にクロスフローは有効です。 また、クロスフローろ過で使われる膜は再生・再利用が基本です。逆洗や薬品洗浄によって膜は長期に わたって使用することができます。 デッドエンドろ過 クロスフローろ過 供給側供給 供給/供濃給縮//濃循縮環/側循環 ケーキ ろろ材材 ろろ過材層 ろろ液液 ろ液ろ液 このように、ろ過方式は溶質の濃度や大きさ等の液質、要求される分離性能、イニシャルコストやランニ ングコスト等を考慮し、最も適した方式が選ばれます。 全量ろ過方式はクロスフローろ過方式に比べ配管構成がシンプルで動力費も少なくて済みますが定期的 な膜の交換が必要となり、ランニングコストが比較的高くなります。 一方クロスフローろ過方式は、イニシャルコストはかかりますが膜は洗浄再生により繰り返し使用が可能 となるため、ランニングコストは低く抑えられます。
Page4

3.膜の種類 クロスフローで使用される膜の材質や形状は様々です。下図には代表的な形状の膜のモジュー ルを比較したものです。 有機膜はポリプロピレン(PP)、酢酸セルロース(CA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド (PI)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)等様々な材質のポリマーが実用化され ています。これらはRO~UFで一般的に使用され、形状はスパイラル、中空糸、および平膜カ セットが多く使われています。 一方、無機膜はアルミナ、ジルコニア、チタニアなどを焼結して、モノリスやチューブラー状に形 成されたものです。強度が強く耐久性に優れ、酸、アルカリ、有機溶媒等の耐薬品性にも優れて います。 それぞれには特徴、利点があり、用途に応じて最も適した材質・形状が選択されます。
Page5

4.クロスフローろ過の特徴と利点 クロスフローろ過は、膜面に並行な流れを作り微細粒子等の溶質が膜表面に滞留しない状態でろ過を行 う原理になっています。また、稼動中も透過液側から定期的に逆流洗浄を行うことによって膜の表面に付 着する物質を強制的に剥離させ、差圧上昇を防止するシステムを組み込む場合もあります。 しかし、長期間稼動してゆく間に、どうしても膜表面へ固形物や析出物の付着、吸着などによって透過性 能は徐々に低下していきます。このような場合は、インライン洗浄(薬液洗浄)によって膜の再生を行いま す。これによって、膜はさらに長期間使用を継続することが可能となります。 サブミクロン~ナノレベルの物質のろ過では膜の孔径も対象物に従って微細になってきますので ダイレクトろ過では溶質濃度によっては膜の目詰まりが頻繁に発生します。 クロスフローろ過はこのような条件での分離・濃縮・精製に非常に有効な手段といえます。 清澄ろ過だけではなく、製品の濃縮・精製といった機能として採用されるのもクロスフロー方式の大きな 特徴です。
Page6

5.クロスフローによる濃縮と精製 【濃縮】 原液中に分散する目的物質(有用物・不要物を問わず)を膜によって阻止し、液を透過させることによって 原液中の目的物質濃度を上げる操作です。有用物の場合は目的の濃度に濃縮した後に製品化あるい は次工程へと進みます。不要物の場合は、濃縮操作によって廃液の量を削減したり廃棄物の再利用へ の工程へ進めることが可能です。 【精製】 原液中に目的物質とイオン成分等の不純物が混在する場合、置換液(水やバッファー液)を投入しながら 循環ろ過を行うことによって、目的物(製品)を膜で阻止し、循環側に保持したまま不純物を含む液のみを 透過させます。ダイアフィルトレーション(溶媒置換)とも言われるこの操作によって液中の不純物は徐々 に系外に排出され、一定量の置換を繰り返す事によって、原液中の目的物純度を高めることが可能です 。ダイアフィルトレーションによって、前工程の反応によって生成する不純物や未反応物を除去して純度 の高い製品を製造することあるいは、次工程のために溶媒をすべて入れ替えることが可能です。 【濃縮工程】 【精製工程】
Page7

6.膜の選定と評価 クロスフローろ過にはタンク類、ポンプ、フィルターモジュール、バルブ類や圧力計を含む配管に加え、 計測機器、制御系統を含む設備化が必要です。そのため設備化の前に十分な膜の選定評価を行うこと が重要です。 誤った選定や安易な設計を行うと設備を導入した後に十分な性能が発揮できなかったり、膜の交換等に よるランニングコストが負担になります。 このようなことが起こらないよう、弊社では膜の選定のための技術サポート体制を整えています。 下に示した写真は少量での分離性能確認等の予備的な評価に非常に使われる卓上用の評価機です。 初めての液を扱う場合にろ過性能やおおよその設備概要を把握するのに便利な装置です。 この評価機でフィージビリティが確認できたらパイロット試験機で実用的な評価を行い、設備設計の緒元 等のデータを採取します。 セラミック膜卓上試験ユニット スピンフローセル 卓上型UF/NF/ROテストセル セラミック膜パイロット試験ユニット RO/NF/UFパイロット試験ユニット
Page8

7.膜分離法の主な用途 分離技術には、沈降、蒸留、吸着、抽出、透析、電気透析等多くの手法がありますが、膜分離技術はそ の中でも確実な分離、省エネルギー、短時間処理、スケールアップの容易さ等多くの利点を有しているた めに食品、医薬、バイオテクノロジー、エレクトロニクス、環境等広い産業で実用化されています。 【食品・飲料】 乳酸菌の濃縮・精製、 脱脂乳の製造、 生酒の除菌、 たんぱく質分離、 ジュースの濃縮 糖液の清澄・濃縮、 調味料の除菌・除濁、ワインの清澄ろ過、醤油のオリ下げ、等 【医薬・バイオテクノロジー】 抗生物質の精製・濃縮、血液製剤の精製・濃縮、 たんぱく質の濃縮・脱塩、 酵素の分離・濃縮、 溶媒中の有効成分の濃縮、等 【エレクトロニクス】 CMPスラリーの濃縮、 インク顔料の濃縮・精製、 シリコン研磨廃液の濃縮、回収 溶媒の清澄化、等 【化学】 各種レアマテリアルの濃縮・精製、 触媒、顔料等微細粒子の濃縮・精製、等 【環境・エネルギー】 廃温水回収によるエネルギーコスト削減、 各種排水の固液分離、等 岩井ファルマテック株式会社は長年にわたり膜分離の技術を蓄積し てきた経験豊富な会社です。国内で1、000件以上の膜分離設備の 納入実績があり、幅広い産業分野で生産の効率化、品質向上、 コストダウンに貢献しています。 =================================== 岩井ファルマテック株式会社 IWAI PHARMATECH CO.,LTD. 本社 〒144-0033 東京都大田区東糀谷 3-17-10 TEL 03-5737-7171 FAX 03-5737-7172 大阪支店 〒540-0029大阪府大阪市中央区本町橋1-5 本町橋タワー4階 TEL 06-6944-8666 FAX 06-6944-8667