1/18ページ
カタログの表紙 カタログの表紙 カタログの表紙
カタログの表紙

このカタログをダウンロードして
すべてを見る

ダウンロード(2Mb)

基本講座「音と測定」

ホワイトペーパー

「音とはどのようなものか」という基本から、 音を測定して可視化する方法やデバイスの選定、データの解析方法まで 詳しく解説します。

私たちの身の回りにはさまざまな音の問題があります。工事音や、ビルの機械や設備の音、自動車やバイクの音などの騒音問題があります。

職場の環境の音を小さく快適にしたいというニーズもあります。作業する場所の騒音レベルが低いかどうか調査をし、場合によっては改善をすることもあるでしょう。他には、自動車のエンジン音や、ドアを閉めるときの音をもっと心地よく、快適にしたいというニーズもあります。製品開発時に、予測しない騒音が生じ、その場所を突き止めるということもあるでしょう。

本書では、「音とはどのようなものか」という基本的なところから解説した後、音を測定して可視化する方法やデバイスの選定、データの解析方法について解説します。

==============================================================================
アンリツはスペクトリス(株)HBK事業部の騒音測定器を取り扱っております。
お気軽にお問い合わせください。

このカタログについて

ドキュメント名 基本講座「音と測定」
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
ファイルサイズ 2Mb
登録カテゴリ
取り扱い企業 アンリツ株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

Page1

White Paper 基本講座「音と測定」 本書では、「音とはどのようなものか」とい う基本から、 音を測定して可視化する方法やデバイスの選定、データの解析方法まで 詳しく解説します。
Page2

目次 1. はじめに ................................................................................................ 4 2. 音とは何か ............................................................................................. 4 音圧とは何か ............................................................................................................... 4 音圧レベルについて ....................................................................................................... 5 音の周波数と周期・波長 ................................................................................................. 6 ・周波数 6 ・周期 6 ・波長 7 ・位相 7 音の速度と各特性の関係 ................................................................................................. 7 3. 音の伝わり方 ........................................................................................... 7 周波数による違い ......................................................................................................... 7 ・距離減衰 ................................................................................................................ 8 ・回折 8 ・屈折 8 ・干渉 9 ・反射、吸音、透過 .................................................................................................... 9 4. 音の測定方法 ......................................................................................... 10 音の測定に必要なもの .................................................................................................. 10 ・マイクロホン ........................................................................................................ 10 ・マイクロホンアンプ ............................................................................................... 10 ・データ収集ハードウェア.......................................................................................... 10 ・騒音計 10 マイクロホンの構造 ..................................................................................................... 11 測定環境と音場の種類 .................................................................................................. 11 ・自由音場 .............................................................................................................. 11 ・拡散音場 .............................................................................................................. 12 ・音圧音場 .............................................................................................................. 12 2
Page3

マイクロホン選定時の注意点 ........................................................................... 12 5. 測定データの解析方法 ............................................................................. 12 音圧レベルの時刻歴波形と重み付け ................................................................................ 12 ・1/3オクターブバンド分析 ........................................................................................ 13 ・FFT分析 .............................................................................................................. 14 6. 音の測定結果をどのように評価するか ......................................................... 15 ・音響パワー ........................................................................................................... 15 ・音源探査 .............................................................................................................. 15 ・音質評価 .............................................................................................................. 16 7. 測定現場でよくある“困りごと” ................................................................. 16 ① 測定器の持ち運び、電源、マイクロホンケーブルの配線が煩わしい ............................... 16 ② 騒音発生源の特定に時間がかかる.......................................................................... 17 8. 音測定に便利な測定機なら、アンリツに ...................................................... 17 3
Page4

音圧とは何か

1. はじめに 私たちの身の回りにはさまざまな音の問題があります。工事音や、ビルの機械や設備の音、 自動車やバイクの音などの騒音問題があります。 職場の環境の音を小さく快適にしたいというニーズもあります。作業する場所の騒音レベル が低いかどうか調査をし、場合によっては改善をすることもあるでしょう。他には、自動車 のエンジン音や、ドアを閉めるときの音をもっと心地よく、快適にしたいというニーズもあ ります。製品開発時に、予測しない騒音が生じ、その場所を突き止めるということもあるで しょう。 本書では、「音とはどのようなものか」という基本的なところから解説した後、音を測定し て可視化する方法やデバイスの選定、データの解析方法について解説します。 2. 音とは何か 音圧とは何か 音は「空気の圧力が変動する現象」です。音の強さを「音圧(Sound Pressure)」といいま す。音圧の単位は「パスカル(Pa)」です。音圧は、大気圧を基準とした微小な圧力変動で す。飛行機離陸時の音圧は 200Pa程度で、健聴者が聞くことが可能な最小音圧は 20μ Pa 程度です。10万 Pa程度である大気圧と比較して非常に小さい値です(図 1)。 図 1:大気圧と比較すると、音圧はとても小さな波 4
Page5

音圧レベル(dB)について

音圧レベル(dB)について 人が聞くことのできる音圧の範囲はとても広く、その数値の桁数にも幅があります(図 2)。 図 2:音圧(µPa)表示と音圧レベル(dB)表示 音の大きさを数値として扱いやすくするために、一般的には音圧を音圧レベルに変換して表 現します。「音圧レベル」は、健聴者が聞くことができる最小音圧 20μ Paを基準としてど の程度大きいかを示します。単位は「デシベル(dB)」です。 音圧レベルは、次の計算式で求めます。 5
Page6

音の周波数と周期・波長、・周波数、・周期

音の周波数と周期・波長 音は空気の振動であり、圧縮と膨張を繰り返して振動しています。音は振動なので、以下の 特性を持っています(図 3)。 図 3:波長と位相のずれ 以下は、音の周波数に関する用語です。 ・周波数 1秒間に繰り返される振動の回数を「周波数」といいます。 ・周期 「周期」とは 1回の振動にかかる時間です。1秒を周波数で割ると周期を算出できます。 6
Page7

・波長、・位相、音の速度と各特性の関係、周波数による違い

・波長 1周期の距離を「波長」といいます。 ・位相 「位相」とは、周期的な振動の位置を表します。2つの振動のタイミングがずれている 場合は、「位相がずれている」といいます。 音の速度と各特性の関係 音の速度は、常温・常圧の空気中では約 340m/sです。例えば、周波数 100Hzの音は周期 は 1÷100=0.01s、波長は 340÷100=3.4mとなります。 3. 音の伝わり方 周波数による違い 以下の図 4では、人が耳で感じる音の大きさは周波数によって聞こえ方が異なることを示し ます。 図 4:人が耳で感じる音の大きさ 7
Page8

・距離減衰、・回折、・屈折

また図 4の緑色の線は、「静寂かどうか」の境界です。緑色の線より音圧レベルが大きい場 合、つまり緑の線より上側の領域であると音が聞こえます。同図の通り、500~5kHzに比 べて低周波および高周波域では、静寂の境界が高くなります。 ・距離減衰 音の「距離減衰」とは、音源からの距離が遠くなればなるほど音圧レベルが小さくなる 性質のことです(図 5)。 図 5:音の距離減衰 ・回折 音は障害物があっても回り込んで伝わります。これを「回折」といいます(図 6)。どの 程度回り込むかは障害物の大きさや音の波長などによって変わります。 図 6:音の回折 ・屈折 音も「屈折」します。光の屈折と同じように、音も異なる媒体では進路が折れ曲がりま す(図 7)。夜に、遠くの鉄橋を渡る列車の音が聞こえるのは音の屈折によるものです。 8
Page9

・干渉、・反射、吸音、透過

夜間には、地表面に冷たい空気が、上空には暖かい空気が層をなすことがあります。こ れにより温度の違う空気では音速が変化するため、音の進む方向が屈折し、いったん上 空にむかった音が地表に戻ってくることがあります。それによって昼間は聞こえない遠 くの音が聞こえたりすることがあるのです(参考:名古屋市博物館)。 図 7:音の屈折 ・干渉 2つの音源がある場合に、互いに強め合って大きくなったり、逆に打ち消し合ったりし ます。これを音の「干渉」といいます(図 8)。ノイズキャンセリングはこの性質を利用 しています。 図 8:音の干渉 ・反射、吸音、透過 音は障害物にあたって「反射」したり、「吸音」されたり、「透過」したりします(図 9)。 9
Page10

音の測定に必要なもの、・マイクロホン、・マイクロホンアンプ、・データ収集ハードウェア、・騒音計

図 9:音の反射、吸音、透過 4. 音の測定方法 音の測定に必要なもの 音の測定に必要な道具は、主に以下です。 ・マイクロホン 「マイクロホン」とは音の圧力変動を感知して電気信号に変換するトランスデューサー です。 ・マイクロホンアンプ 「マイクロホンアンプ」はマイクロホンの電気信号を増幅させます。 ・データ収集ハードウェア PCなどにデータを取り込むためのハードウェアです。解析ソフトとセットになっていま す。解析ソフトでは、数値に換算したり、グラフにして可視化したりします。 ・騒音計 騒音計(サウンドレベルメータ※)とは、マイクロホンやマイクロホンアンプ、データ 収集ハードウェアを集約した測定器です。図や数値を表示するモニターが付いています。 (図 10)。 ※日本産業規格(JIS)では「サウンドレベルメータ」と呼ぶ。 10
Page11

マイクロホンの構造、測定環境と音場の種類、・自由音場

図 10:騒音計(サウンドレベルメータ)の例 マイクロホンの構造 計測器でよく使用されるコンデンサマイクロホンの構造をご説明します。マイクロホンは先 端に「ダイアフラム」という金属膜が貼られています。内部には対向するようにバックプレ ートが配置されており、コンデンサーを形成します(図 11)。 図 11:計測用コンデンサマイクロホンとは マイクロホンに音圧がかかると、ダイアフラムが振動してバックプレートとの距離が変動し 電荷を出力します。この電荷をプリアンプで電圧換算し計測します。 測定環境と音場の種類 音は測定する環境や空間によって伝わり方が異なります。音が伝わる空間を音場といいます。 「おんば」と読まれることが多いです。 ・自由音場 自由音場は周囲からの反射が全くない空間です。広い野原のように外来音、反射音がな い場所をイメージするといいでしょう。また、無響室も自由音場になります。 11
Page12

・拡散音場、・音圧音場、音圧レベルの時刻歴波形と重み付け

・拡散音場 拡散音場は、音の反射によってあらゆる方向から音がくる空間です。例えば大浴場は拡 散音場といえるでしょう。 ・音圧音場 音圧音場は同じ音圧レベルと位相の音がくる空間です。例えば、人間の耳の通り道を模 擬した人工耳のような小さい空間は音圧音場です。 マイクロホン選定時の注意点 マイクロホンを使って測定可能な音圧レベルや周波数は、ダイアフラムの材質や形状などの 物理特性によって違いがあります。 ジェットエンジンのように音圧レベルが大きい場合は低感度のマイクロホンを使用しなけ ればなりません。また、ハードディスクの回転騒音のように微小な音を測定する場合は高感 度マイクロホンを使用します。 そして、使用する音場にも注意が必要です。例えば自由音場型マイクロホンは自由音場での 利用を想定し、マイクロホン軸に対して 0°の一方向から到来する音に対して平たんな特性 となるように設計されています。これを拡散音場で使用してしまうと、平たん特性を得られ なくなり、特に高周波において強く影響します。 5. 測定データの解析方法 音圧レベルの時刻歴波形と重み付け 時刻歴波形とは、測定した音圧レベルを時間で表したグラフです。横軸が時間、縦軸が音圧 レベルです(図 12)。 12
Page13

・1/3オクターブバンド分析

図 12:時刻歴波形の例 また、時刻歴波形はさまざまな周波数の振動が含まれており、グラフではノイズのように見 えてしまいます。そこで、「実効値」に変換して耳に聞こえる音圧レベルとの相関を見やす くするために、データ処理します。実効値とは、周期的に変化する数値を 2乗し、ある一定 時間で平均した値の平方根です。 「重み付け」は、電子回路のフィルターの一種で、低周波のみを通過させる「ローパスフィ ルタ」を例にすればイメージしやすい人もいるかもしれません。実効値を計算する際に、あ る一定時間で平均化する処理を「重み付け」といい、値を時定数(動特性)といいます。 音の解析の場合、「Fast」または「Slow」といわれる時定数がよく使われます。人間の耳が 感じる特性に近づける場合は Fastを使い、ある音の平均の音圧レベルを示す場合には Slow を使用することがあります。 ただし現在は、音の平均については「LAeq(A特性時間平均サウンドレベル、または等価 騒音レベル)」が使われます。Slowは、新幹線、鉄道騒音測定など、一部の環境測定などで よく使用されます。 図 13:音圧レベルの時間変化の例 音の分析法には、「FFT分析」「1/3オクターブバンド分析」があります。 ・1/3オクターブバンド分析 「オクターブ」とは「周波数が 2倍」という意味です。「1/3オクターブバンド分析」で 13
Page14

・FFT分析

は、周波数 2倍の期間を 3分割して結果をグラフに示して分析します(図 14)。 図 14:1/3オクターブバンド分析の例 ・FFT分析 時刻歴波形を周波数領域に変換する演算を「FFT分析」といいます(図 15)。FFT分析 は、音に限らずさまざまな物理現象の分析に用いられます。周波数分解能や窓関数、オ ーバーラップ率などの設定があり、設定により結果が異なるため注意が必要です。 図 15:FFT分析の例 1/3オクターブバンド分析は人間の聴覚特性と近いため音響分析ではよく使われます。 「1/3」以外も使われる場合があり、「1/Nオクターブバンド分析」といわれ、1/6や 1/12 などがあります。オクターブバンドフィルターの仕様については、IEC 61260(日本産業規 格「JIS C 1513」)で定められています。従って、同じ測定結果を得ることが容易です。 14
Page15

・音響パワー、・音源探査

6. 音の測定結果をどのように評価するか 以下では、音の測定結果をどのように評価するのか、用語と共に紹介します。 ・音響パワー 「音響パワー」とは、音源が持つエネルギーです。音源は音を発する機械やデバイス、装 置や電気機器です。音響パワーは測定環境に依存しません。音源からの距離など、環境に 影響を受けない数値であり、客観的に捉えられるので騒音規制値として使われています。 音響パワーに関しては、「JIS(日本産業規格)」や「ISO(国際標準機構)」などで規格が 定められています。そのため、計測する際は参照する規格を確認しましょう。 ・音源探査 「音源探査」とは、「音がどこから発生しているのか」を調べる手法です(図 16)。 図 16:音源探査の例 マイクロホンアレイという、多数のマイクロホンを格子状や球状のフレームに配置した測 定器を使います。上空を通過する飛行機のどの部分から音がでているのか調査したり、ス マホや補聴器などの小さなデバイスを対象としてどこから音が出ているのかを調査した りします。 15
Page16

・音質評価、① 測定器の持ち運び、電源、マイクロホンケーブルの配線が煩わしい

・音質評価 「音質評価」とは、音圧データを基に人間の感覚に近い指標を算出して評価する手法です。 「車のエンジン音が心地いい」「音がやわらかい」など主観的である人の感覚を、客観的 な指標に落とし込んで定量的に評価することが目的です。 7. 測定現場でよくある“困りごと” ここでは、音響を実際に測定する際、よくある困りごとの事例と解決方法を紹介します。 ① 測定器の持ち運び、電源、マイクロホンケーブルの配線が煩わしい いざ騒音測定をやってみようとなると、現場で意外と困るのが、持ち運びや機器の取り扱い のしやすさです。例えば、以下のような声が聞こえてきます。 「複数の騒音計を使う場合、接続ケーブルが多いので煩雑となり作業性が悪化する」 「離れた場所からでも操作可能な測定器にして作業性を高めたい」 しかし持ち運びしやくポータブルな機器であること優先してしまえば、機能を損なうようで は測定に支障を来すこともあります。 今は、ポータブルな機器ながら高性能なものも登場しています。そのような測定機なら、例 えば大型商業施設など複数個所に測定したい設備がある場合などで、測定場所まで移動した 後に、手間なくすぐに測定を始められます。 16
Page17

② 騒音発生源の特定に時間がかかる

② 騒音発生源の特定に時間がかかる 騒音が「どこで」「どのユニット(部品や設備の部位など)から」発生しているか、短時間 で原因箇所を特定し、効果的な対策を行いたい場合があります。音源可視化装置を使用すれ ば、より短時間に騒音問題を診断、可視化して、理解、解決することができます。 以下は、赤外線カメラのように、音源を画像に重ね合わせることで騒音を可視化するという 便利なツールです(図 17)。 図 17:騒音源の探索(左:定常的騒音を後処理で可視化 右:騒音をリアルタイムで可視化) 8. 音測定に便利な測定機なら、アンリツに アンリツでは、さまざま精密騒音計を取りそろえています。例えば、アンリツが扱うホッテ ィンガー・ブリュエル・ケアーの精密騒音計 B&K2245シリーズ(デンマーク製)は質量 370g、全長 30cm、薄さ 4cm以下でポケットに入るコンパクト設計です。iOS対応の専用 アプリを用いてリモート操作可能で簡単に測定できます。また、PCとワイヤレス接続して データ抽出も可能です。 また、音源可視化装置には、対象物の大きさ、移動の有無、画像表示の細かさ、騒音の周波 数・レベルに応じてさまざまな技術と測定装置があります。1つの音源可視化装置で電気基 板の微小ノイズからジェット機の通過騒音までをカバーすることはできません。 17
Page18

音源可視化装置の例 センサーからデータ取得、そして分析まで全て自社製品で提供できるメーカーは HBKだけ です。実績に裏打ちされた専門知識で、お客さまの多種多様な音源可視化ニーズに合わせて、 最適のシステムを提案できます。 騒音計測でお困りの方、使いやすい計器をお探しの方は、ぜひアンリツまでお問い合わせく ださい。 お見積り、ご注文、修理などは、下記までお問い合わせください。 記載事項は、お断り無しに変更することがあります。 アン リツ株式会社 環境計測カンパニー 営業本部 パートナーソリューションチーム 〒24 3-8555 神奈 川県厚木市恩名 5-1-1 お問 い合わせ TEL. 046-296-6661 E-mail. contact-ps@anritsu.com http s://www.anritsu.com/ja-JP/partner-solutions/products/sound-level-meter/ ■記載内容は2021年9月現在のものです。 No. ES-GPB21331 (1.00) 18