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溶接ヒューム健康障害防止措置義務付けについて

ハンドブック

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ドキュメント名 溶接ヒューム健康障害防止措置義務付けについて
ドキュメント種別 ハンドブック
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取り扱い企業 株式会社RYODEN (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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金属アーク溶接等作業を継続して屋内作業場で行う皆さまへ 金属アーク溶接等作業について 健康障害防止措置が義務付けられます 厚生労働省では、「溶接ヒューム」について、労働者に神経障害等の健 康障害を及ぼすおそれがあることが明らかになったことから、労働安全衛 生法施行令、特定化学物質障害予防規則(特化則)等を改正し、新たな告示 を制定しました。 改正政省令・告示は、令和3年4月1日から施行・適用します。 ※一部経過措置があります(令和4年4月1日施行) このリーフレットは、金属アーク溶接等作業を継続して屋内作業場で行う事業者向けの ものです。 屋外作業場や、毎回異なる屋内作業場で金属アーク溶接等作業を行う方は、リーフレッ ト「屋外作業場等において金属アーク溶接等作業を行う皆さまへ」をご覧ください。 ※「屋内作業場」とは、以下のいずれかに該当する作業場をいいます。 ・作業場の建屋の側面の半分以上にわたって壁、羽目板その他のしゃへい物が設けられている場所 ・ガス、蒸気または粉じんがその内部に滞留するおそれがある場所 ※「継続して行う屋内作業場」には、建築中の建物内部等で金属アーク溶接等作業を同じ場所で繰り 返し行わないものは含まれません。 1.新たに規制の対象となった物質 溶接ヒューム(金属アーク溶接等作業(※)において加熱により発生する粒子状物質)について、新たに 特化則の特定化学物質(管理第2類物質)として位置付けました。 ※金属アーク溶接等作業 ・金属をアーク溶接する作業、 ・アークを用いて金属を溶断し、またはガウジングする作業 ・その他の溶接ヒュームを製造し、または取り扱う作業 (燃焼ガス、レーザービーム等を熱源とする溶接、溶断、 ガウジングは含まれません) 溶接ヒューム 主な有害性(発がん性、その他の有害性) 性状 発がん性:国際がん研究機関(IARC)グループ1 溶接により生じた蒸気が空 ヒトに対する発がん性 気中で凝固した固体の粒子 その他 :溶接ヒュームに含まれる酸化マンガン(MnO) (粒径0.1~1㎛程度) について神経機能障害 三酸化二マンガン(Mn2O3)について 神経機能障害、呼吸器系障害 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 1
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2.特定化学物質としての規制 (1)全体換気装置による換気等(特化則第38条の21第1項) 金属アーク溶接等作業に関する溶接ヒュームを減少させるため、全体換気装置による換気の実施 またはこれと同等以上の措置を講じる必要があります。 ※「同等以上の措置」には、プッシュプル型換気装置、局所排気装置が含まれます。 「全体換気装置」とは、動力により全体換気を行う装置をいいます。なお、全体換気装置は、特定 化学物質作業主任者(→6ページ)が、1月を超えない期間ごとに、その損傷、異常の有無などに ついて点検する必要があります。 【全体換気装置の例】 【局所排気装置の例】 (2)溶接ヒュームの測定、その結果に基づく呼吸用保護具の使用 及びフィットテストの実施等(特化則第38条の21第2項~第8項) 「金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場」の場合 当該作業の方法を新たに採用し、または変更しようとするときは、以下の措置を講じることが 必要です(令和4年3月31日まで経過措置あり→8ページ)。 ※「変更しようとするとき」には、以下の場合が含まれます。 ・溶接方法が変更された場合 ・溶接材料、母材や溶接作業場所の変更が溶接ヒュームの濃度に大きな影響を与える場合 必要な措置の流れ ① 溶接ヒュームの濃度の測定 →3ページ 令 測定の結果がマンガンとして 和 0.05mg/㎥以上等の場合 左記以外 4 ② 換気装置の風量の増加 その他必要な措置 →4ページ の場合 年 3 月 31 ③ 再度、溶接ヒュームの濃度の測定 →3ページ 日 ま で ④ 測定結果に応じ、有効な呼吸用保護具を選択し、 経→4ページ 労働者に使用させる 過 ↓ 措 8 置 ペ あ ⑤(面体を有する呼吸用保護具を使用させる場合) | り →5ページ 1年以内ごとに1回、フィットテスト(※)の実施 ジ 2 ※当該呼吸用保護具が適切に装着されていることの確認をいいます。
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①③溶接ヒュームの濃度の測定等(測定等告示※第1条) 個人ばく露測定により、空気中の溶接ヒュームの濃度を測定します。 サンプラー ポンプ (注)個人ばく露測定は、第1種作業環境測定士、作業環境測定機関などの、当該 測定について十分な知識・経験を有する者により実施してください。 個人ばく露測定の詳細 ① 試料空気の採取は、金属アーク溶接等作業に従事する労働者の身体に装着 する試料採取機器を用いる方法により行います。 ※試料採取機器の採取口は、労働者の呼吸する空気中の溶接ヒュームの濃度を測定する ために最も適切な部位(呼吸域)に装着する必要があります。その際、採取口が溶接 用の面体の内側となるように留意します。 ② 試料空気の採取の対象者、時間は以下のとおりです。 ・試料採取機器の装着は、労働者にばく露される溶接ヒュームの量がほぼ均一で あると見込まれる作業(以下「均等ばく露作業」)ごとに、それぞれ、適切な 数(2人以上に限る)の労働者に対して行います。 ※均等ばく露作業に従事する一の労働者に対して、必要最小限の間隔をおいた2以上 の作業日において試料採取機器を装着する方法により採取が行われたときは、この 限りではありません。 ・試料空気の採取の時間は、当該採取を行う作業日ごとに、労働者が金属アーク 溶接等作業に従事する全時間です。なお、採取の時間を短縮することはできま せん。 ③ 試料採取方法は、作業環境測定基準第2条第2項の要件に該当する分粒装 置を用いるろ過捕集方法またはこれと同等以上の性能を有する試料採取方 法により行います。 ④ 分析方法は、吸光光度分析方法、原子吸光分析方法、左記と同等以上の性 能を有する分析方法により行います。 ※ 金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場に係る溶接ヒュームの濃度の測定の方法等 (令和2年厚生労働省告示第286号) 3
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②換気装置の風量の増加その他の措置(特化則第38条の21第3項) ① 溶接ヒュームの濃度測定の結果に応じ、換気装置の風量の増加その他必要な 措置を講じます(次に該当する場合は除きます。)。 ・溶接ヒュームの濃度がマンガンとして0.05mg/㎥を下回る場合 ・同一事業場の類似の溶接作業場において、濃度測定の結果に応じて十分に措置内容 を検討し、当該対象作業場においてその措置をあらかじめ実施している場合 ※「その他必要な措置」には、次の措置が含まれます。 ・溶接方法や母材、溶接材料等の変更による溶接ヒューム量の低減 ・集じん装置による集じん ・移動式送風機による送風の実施 ② ①の措置を講じたときは、その効果を確認するため、再度、個人ばく露測定 により空気中の溶接ヒュームの濃度を測定します。 ③ 個人ばく露測定による溶接ヒュームの濃度の測定等を行ったときは、 その都度、必要な事項を記録します(3年保存)。 ④呼吸用保護具の選択の方法(測定等告示第2条) ① 溶接ヒュームの濃度の測定の結果得られたマンガン濃度の最大の値(C)を 使用し、以下の計算式により「要求防護係数」を算定します。 要求防護係数 = 0.05 ②「要求防護係数」を上回る「指定防護係数」を有する呼吸用保護具を、以下の 一覧表から選択します。 指定防護係数※一覧(抜粋) 呼吸用保護具の種類 指定防護係数 取替え式 全面形面体 RS3又はRL3 50 RS2又はRL2 14 防 じ RS1又はRL1 4 ん 半面形面体 RS3又はRL3 10 マ RS2又はRL2 10 ス ク RS1又はRL1 4 使い捨て式 DS3又はDL3 10 DS2又はDL2 10 DS1又はDL1 4 電全面形面体 S級 PS3又はPL3 1,000 動 A級 PS2又はPL2 90 フ ァ A級又はB級 PS1又はPL1 19 ン 付半面形面体 S級 PS3又はPL3 50 き A級 PS2又はPL2 33 呼 A級又はB級 PS1又はPL1 14 吸フード形又は S級 PS3又はPL3 25 用 保フェイスシールド形 A級 20 護 S級又はA級 PS2又はPL2 20 具 S級,A級又はB級 PS1又はPL1 11 (注)RS1、RS2などは、防じんマスクの規格の規定による区分、S級、A級およびB級、PS1、 PS2などは、電動ファン付き呼吸用保護具の規格の規定による区分です。 ※ 電動ファン付き呼吸用保護具とエアラインマスクのうち、実際の作業時の測定等により得られた防護 係数がこの表に掲げる指定防護係数を上回ることを製造者が証明する特定の型式については、別に定め る指定防護係数を使用することができます。 4
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⑤フィットテストの方法(測定等告示第3条) ●フィットテストの方法 ① JIS T8150(呼吸用保護具の選択、使用および保守管理方法)に定める方法ま たはこれと同等の方法により、呼吸用保護具の外側、内側それぞれの測定対象 物質の濃度を測定し、以下の計算式により「フィットファクタ」を求めます。 呼吸用保護具の外側の測定対象物質※の濃度 (フィットファクタ)= 呼吸用保護具の内側の測定対象物質の濃度 ②「フィットファクタ」が、以下の「要求フィットファクタ」を上回っているか どうかを確認します。 呼吸用保護具の種類 要求フィットファクタ 全面形面体を有するもの 500 半面形面体を有するもの 100 ●フィットテストの記録の方法 確認を受けた者の氏名、確認の日時、装着の良否、上記の確認を外部に委託して 行った場合の受託者の名称を記録します。 (記録の例) 確認を受けた者 確認の日時 装着の良否 備考 甲山一郎 12/8 10:00 良 ●●社に委託して実施(以下同じ。)。 乙田次郎 12/8 10:30 否(1回目) 最初のテストで不合格となったが、マスクの 良(2回目) 装着方法を改善し、2回目で合格となった。 ※ 大気粉じん等、JIS T8150で定めるものです。 (参考)呼吸用保護具の種類 防じんマスク 【取り替え式・全面形面体】【取り替え式・半面形面体】【使い捨て式】 電動ファン付き呼吸用保護具 【全面形面体】 【半面形面体】 5
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(3)掃除等の実施(特化則第38条の21第9項) 金属アーク溶接等作業に労働者を従事させるときは、当該作業を行う屋内作業場 の床等を、水洗等によって容易に掃除できる構造のものとし、水洗等粉じんの飛散 しない方法によって、毎日1回以上掃除しなければなりません。 ※「水洗等」には超高性能(HEPA)フィルター付き真空掃除機が含まれますが、粉 じんの再飛散に注意する必要があります。 (4)特定化学物質作業主任者の選任(特化則第27条、第28条) 「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」を修了した者のうちから 作業主任者を選任し、次の職務を行わせることが必要です。 (令和4年3月31日まで経過措置あり→8ページ) ① 作業に従事する労働者が対象物に汚染され、吸入しないように、作業の方法を 決定し、労働者を指揮すること ② 全体換気装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置を1 か月を超えない期間ごとに点検すること ③ 保護具の使用状況を監視すること (5)特殊健康診断の実施等(特化則第39条~第42条) 溶接ヒュームを取り扱う作業に常時従事する労働者に対して、健康診断を行うこ とが必要です。 ● 金属アーク溶接等作業に常時従事する労働者に対し、雇入れまたは当該業務へ の 配置換えの際およびその後6月以内ごとに1回、定期に、規定の事項につい て健康診断を実施する(1次健診)。 ● 上記健康診断の結果、他覚症状が認められる者等で、医師が必要と認めるもの に対し、規定の事項について健康診断を実施する(2次健診)。 ● 健康診断の結果を労働者に通知する。 ● 健康診断の結果(個人票)は、5年間の保存が必要。 ● 特定化学物質健康診断結果報告書(特化則様式第3号)を労働基準監督署長に 提出する。 ● 健康診断の結果異常と診断された場合は、医師の意見を勘案し、必要に応じて 労働者の健康を保持するために必要な措置を講じる。 ■溶接ヒュームの健診項目 1次検診 ①業務の経歴の調査 ②作業条件の簡易な調査 ③溶接ヒュームによるせき等パーキンソン症候群様症状の既往歴の有無の検査 ④せき等のパーキンソン症候群様症状の有無の検査 ⑤握力の測定 2次健診 ①作業条件の調査 ②呼吸器に関する他覚症状等がある場合における胸部理学的検査等 ③パーキンソン症候群様症状に関する神経学的検査 ④医師が必要と認める場合における尿中等のマンガンの量の測定 ※金属アーク溶接等作業に常時従事する場合は、上記とは別に「じん肺健康診断」の実施 (じん肺法第7~9条の2)が必要ですのでご注意ください。 6
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(6)その他必要な措置 溶接ヒュームを取り扱う作業に関し、次の措置を講じることが必要です。 ① 安全衛生教育(安衛則第35条) 労働者を新たに雇い入れたときや、労働者の作業内容を変更したときは、 労働者が従事する業務に関する安全または衛生のため必要な事項について、 教育を行う。 ② ぼろ等の処理(特化則第12条の2) 対象物に汚染されたぼろ(ウエス等)、紙くず等を、ふた付きの不浸透性 容器に納めておく。 ③ 不浸透性の床の設置(特化則第21条) 作業場所の床は、不浸透性のもの(コンクリート、鉄板等)とする。 ④ 立入禁止措置(特化則第24条) 関係者以外の立入禁止と、その旨の表示を行う。 ⑤ 運搬貯蔵時の容器等の使用等(特化則第25条) 対象物を運搬、貯蔵する際は、堅固な容器等を使用し、貯蔵場所は一定の 場所にし、関係者以外を立入禁止にする。 ⑥ 休憩室の設置(特化則第37条) 対象物を常時、製造・取り扱う作業に労働者を従事させるときは、作業場所 以外の場所に休憩室を設ける。 ⑦ 洗浄設備の設置(特化則第38条) 以下の設備を設ける。 ・洗眼、洗身またはうがいの設備 ・更衣設備 ・洗濯のための設備 ⑧ 喫煙または飲食の禁止(特化則第38条の2) 対象物を製造・取り扱う作業場での喫煙・飲食の禁止と、その旨の表示を行う。 ⑨ 有効な呼吸用保護具の備え付け等(特化則第43条、第45条) 必要な呼吸用保護具を作業場に備え付ける。 7
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3.施行日・経過措置 屋内作業場における金属アーク溶接等作業の規制は、下表のスケジュールで 施行されます。 2020(令和2)年 2021(令和3)年 2022(令和4)年 規制の内容 1月 4月 7月 10月 1月 4月 7月 10月 1月 4月 7月 10月 溶接ヒュームの 現に、継続して金属アーク溶接等作業を行ってい 濃度測定 る屋内作業場は、令和4年3月31日までに溶接ヒ (4/1~) ュームの濃度の測定を行う必要があります。 ※測定を行った場合は、令和4年3月31日までに 換気風量の増加 「換気風量の増加その他必要な措置」を講じて その他必要な いただく必要があります。 措置(4/1~) 溶接ヒュームの濃度測定 ・呼吸用保護具の使用等 再度の溶接ヒュ ームの濃度測定 ・現時点でも、粉じん則の規定により、金属アーク (4/1~) 溶接等作業に従事する労働者に、有効な呼吸用保 護具を使用させなければなりません。 呼吸用保護具の ・令和4年4月1日以降は、特化則に基づき、溶接 選択・使用(4/1~) ヒュームの濃度測定結果に基づいて呼吸用保護具 フィットテストの を選択し、使用しなければなりません。 実施(4/1~) 特定化学物質 選任義務 作業主任者の選任 (4/1~) 全体換気の実施 特殊健康診断の実施 実施義務(4/1~) その他必要な措置 改正内容に関する通達・資料はこちら 厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12725.html 条文の参照は、電子政府の総合窓口(e-GOV)法令データ提供システム https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0100/ お問い合わせ・・・都道府県労働局または労働基準監督署 (所在案内: http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/location.html) 8 2020/10/14