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パワートレイン向けHILテストに関する主要な検討事項

製品カタログ

組込制御デバイスのテストを行うために、組込先となるシステム本体を使用するのは、安全性、可用性、コストの面で現実的ではないことがあります。HIL(Hardware-in-the-Loop)シミュレーションは、そのようなケースにおいて、より効率的にデバイスをテストするためのリアルタイムテスト手法です。HILテストでは、組込制御デバイスとのインタフェースを備える物理システムを、リアルタイムハードウェア上のシミュレーションによって代替します。シミュレータの出力は、実際の物理システムの出力を再現したものとなります。組込コントローラは、実際のシステムに組み込まれているかのように振る舞います。HILシミュレーションは、システム本体を使用してテストを行う前に、仮想環境において組込制御デバイスの詳細をテストすることを可能にします。このアプリケーションノートでは、パワートレイン向けのHILテストに最適なテスト手法について説明します。

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ドキュメント名 パワートレイン向けHILテストに関する主要な検討事項
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ナショナルインスツルメンツ アプリケーションノート パワートレイン向け HIL テストに関する 主要な検討事項 概要 組込制御デバイスのテストを行うために、組込先となるシステム本体を使用するのは、安全性、可用性、コス トの面で現実的ではないことがあります。HIL(Hardware-in-the-Loop)シミュレーションは、そのようなケー スにおいて、より効率的にデバイスをテストするためのリアルタイムテスト手法です。HIL テストでは、組込 制御デバイスとのインタフェースを備える物理システムを、リアルタイムハードウェア上のシミュレーション によって代替します。シミュレータの出力は、実際の物理システムの出力を再現したものとなります。組込コ ントローラは、実際のシステムに組み込まれているかのように振る舞います。HIL シミュレーションは、シス テム本体を使用してテストを行う前に、仮想環境において組込制御デバイスの詳細をテストすることを可能に します。このアプリケーションノートでは、パワートレイン向けの HIL テストに最適なテスト手法について説 明します。 目次 エンジン用 ECU 向け HIL テストの概要 ............................................................................................................................... 1 HIL シミュレーションとは? ............................................................................................................................................. 1 HIL シミュレーションによる効率化 ...................................................................................................................................... 1 HIL テスト用ソフトウェアの基本 ......................................................................................................................................... 2 シミュレーションの基本 ....................................................................................................................................................... 3 プラントモデルとモデルソース ......................................................................................................................................... 3 確定性により、確度の高いシミュレーションを保証 ........................................................................................................ 4 種類の異なるパワートレインに対応するための主要な検討事項 .......................................................................................... 4 燃焼機関向けのパワートレイン ......................................................................................................................................... 4 ハイブリッド型、電動型のパワートレイン ....................................................................................................................... 8 テストカバレッジの最大化 ................................................................................................................................................... 9 テストケースの構築 .......................................................................................................................................................... 9 安全性 ................................................................................................................................................................................ 9 機能性 ............................................................................................................................................................................... 11 性能 .................................................................................................................................................................................. 11 要件の作成、トレーサビリティ、実現 ............................................................................................................................... 12 要件のトレーサビリティの重要性 ................................................................................................................................... 12 テストの自動化 ................................................................................................................................................................ 12 ECU 用 HIL システムを適切に選択する .............................................................................................................................. 13 オープン性、拡張性、柔軟性 .......................................................................................................................................... 13 HIL テストシステムでは柔軟性が重要 ................................................................................................................................ 13 グローバルなサービス、サポート ....................................................................................................................................... 14
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エンジン用ECU向けHILテストの概要、HILシミュレーションとは?、HILシミュレーションによる効率化

エンジン用 ECU 向け HIL テストの概要 HIL シミュレーションとは? 閉ループ制御システムでは、センサを使った測定によって、制御されているシステムの状態を取得します。そのうえで、 その状態の情報をコントローラにフィードバックします。自動車の場合、望ましい動作条件が得られるように、ECU(電 子制御ユニット)がセンサによる測定結果を利用してアクチュエータの値を決定します。例えば、エンジン用の ECU では、 スロットルの位置、エンジンの速度、排気ガス中の酸素濃度に関する情報を使用します。そして、エンジンのパフォーマ ンスが最高になり、なおかつ有害な排気ガスの量が最少になるように、燃料噴射器の位置、点火プラグのタイミング、吸 気量を制御するために、アクチュエータに送信する適切なコマンドを決定します。そうした制御が正しく行われているか 否かを判断するためには、最終的にはシステム全体の物理テストを実施する必要があります。しかし、HIL シミュレーシ ョンを使用することによって、現実の車両やエンジンを使わなくても、ECU の詳細をテストしてその動作を把握すること ができます。 図 1. HIL テストシステムを構成する主な要素。HIL テストシステムは、ECU と接続される物理システムの動作を シミュレーションによって実現する。 HIL シミュレーションによる効率化 HIL シミュレーションは、ECU と接続される物理システムの動作を模擬するもの(複製)だと言えます。その複製は、刺 激信号を生成したり、テスト結果のデータをロギングしたりするなど、テストを管理する役割を担います。エンジン用の ECU 向けに刺激信号を生成する際には、テストに必要な一連のエンジンの速度(アクセルの踏み込みをシミュレーション によって模擬する)と、車両の負荷(さまざまな道路の状態を再現する)を生成する処理を伴うこともあります。また、 すべてのコンポーネントが正しく動作していることを確認するために、システム全体の監視も行います。さらに、システ ムの理想的な応答と比較するためにテスト結果のロギングも実行します。 HIL シミュレーションは、物理テストを完全に置き換えるものではありません。しかし、HIL シミュレーションを利用すれ ば、テストにかかるコストの削減と製品の品質の向上を図ることが可能になります。以下、HIL シミュレーショによって 得られるメリットについてまとめます。  開発の初期段階でテストを実施できる: 修正に要するコストを抑えられる。納期への影響が少ない初期段階で設計 上の問題を発見できる  テストにかかるコストを削減できる: 物理システムが不要になる分だけ、テスト用の設備に対する投資、修繕費、 保守費用を削減できる  テストカバレッジを向上できる: 安全性の確保や装置の損傷防止について、物理テストを行うのが現実的ではない 極限状態でのテストが行える  テストの柔軟性を拡大できる: 外部要因に依存することなく、テストを拡張できる(例えば、真夏の時期に冬場の 道路の条件を適用して、テストの対象となる自動車のシミュレーションを行うことができる)  テストの再現性を高められる: ECU において、特定の条件下でしか起こらない不具合であっても再現することが可 能になる ni.com/hil | 1
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HILテスト用ソフトウェアの基本

図 2. 一般的な HIL テストシステムに共通して含まれるハードウェアコンポーネント HIL テスト用ソフトウェアの基本 HIL シミュレーションを利用する本質的な理由は、開発/テストのプロセスにおける作業効率を高めることです。したがっ て、HIL シミュレーションで使用するハードウェアとソフトウェアツールは、技術者がテストシステムの構成(コンフィ ギュレーション)、保守、運用に時間を割くことなく、ECU のテストに集中できるようにするものでなければなりません。 HIL テストに使用するソフトウェアは、使いやすいだけでなく、さまざまな要件の変更に対応できるだけの柔軟性を備え ている必要があります。HIL システムの価値は、短縮できた時間と、製品の改善の度合いによって決まります。 納期に対する要求が非常に厳しい業界では、最初のテストをできるだけ早い時期に行わなければなりません。そのために は、物理的な I/O デバイスにシミュレーションモデルを迅速かつ容易に接続でき、ECU のパラメータが変更されたときで も容易に構成を更新できるようになっている必要があります。また、テストシステムは構成できるだけではなく、ECU を 動作させるためのテスト用のプロファイルを作成/実行できるようになっていなければなりません。加えて、仮想的な自動 車を動作させるには、ECU に適用される可能性のある環境変数を表現する信号のパターンを供給する必要があります。例 えば、EPA(米国環境保護庁)のドライブサイクルテストを実施したい場合には、テストの実行に必要な速度の設定値を用 意するとともに、道路の状況も再現しなければなりません。テスト用のプロファイルを作成する手段には、多くの選択肢 があります。 従来のプログラミング言語や、スクリプト言語、グラフィカル表示、高度なデータ再生などが候補になりますが、多くの 場合、最適な方法は ECU の要件によって異なります。HIL テストシステムは、そうしたさまざまな ECU の要件に対応で きるものでなければなりません。 ni.com/hil | 2
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シミュレーションの基本、プラントモデルとモデルソース

シミュレーションの基本 プラントモデルとモデルソース シミュレーションモデルは、DUT(テストの対象となる組込制御デバイス)によって実際に制御されている機械システム のように振る舞います。機械システムにおける実際の物理現象を再現するためには、数学的ツールが使用されます。そう したツールによって生成された信号は、配線を介して DUT に入力されます。従来、物理シミュレーションは、流体力学、 応力特性、物性など、機械的プロセスに関連する数理学の高度な知識を必要とする非常に難しい処理でした。 図 3. さまざまなモデリング環境を使用することにより、効率的かつ効果的に HIL テストを実行できる。 現在では、システムの構築に使用される数学的な知識がなくても、物理システムや電気システムをモデル化できるように するために、COTS(商用オフザシェルフ)のツールが数多く提供されています。物理シミュレーション、特に自動車のパ ワートレイン向けの HIL テストの分野に向けては、多くの選択肢が用意されています。以下に、自動車用の一般的なモデ リングツールを列挙するとともに、それぞれの特徴をまとめます。 GT-SUITE(Gamma Technologies 社) - GT-SUITE は、自動車向けのさまざまな機能/ライブラリを備えたシミュレーシ ョン用ソフトウェアです。初期の概念設計や、システム/サブシステム/コンポーネントの詳細な解析、設計の最適化、根本 原因の解析などの用途に使用します。モデリングの対象になるサブシステムや、物理的な領域、モデリングのレベルをま たがってシステムの統合モデルを作成するために、GT-SUITE のアーキテクチャはユニークな機能を提供します。 BOOST/CRUISE(AVL LIST 社) - BOOST は、仮想エンジン向けに開発されたシミュレーションツールです。エンジン の性能や音だけでなく、排出ガスの後処理装置の有効性までも正確に予測するための高度なモデルを備えています。エン ジンの開発時に活用することによって、トルクやパワーだけでなく、最適な排気、燃費、乗り心地(音、過渡的な動き) など、対象となる自動車のコンセプトを支える要素について検討することができます。 一方の CRUISE は、自動車のシステムに関する日常的な開発タスクと駆動系の解析に向けたシステムレベルのシミュレー ションツールです。概念設計から出荷までの開発プロセス全体を対象としています。従来型の自動車のパワートレインに 加え、高度なハイブリッドシステムや電気自動車にも対応しています。パラメータの最適化やコンポーネントのマッチン グを行うための機能も提供しており、実用的かつ現実的なソリューションの実現をサポートします。 SimulationX(ITI 社) - SimulationX を使用すれば、すべての技術系システムコンポーネントの相互関係の評価を実施す ることができます。モデリング、シミュレーション、物理的効果の解析のための包括的な CAE ツールであり、標準ソフト ウェアとも言えるものです。1 次元(1D)の機械系、3D のマルチボディシステム、動力伝達系、水力学系、空気力学系、 熱力学系、電気系、電気駆動系、磁気系、制御系に関して、すぐに使用できるモデルライブラリを用意しています。 CarSim(Mechanical Simulation 社) - CarSim を使えば、乗用車、レーシングカー、軽トラック、特定用途車の動的挙 動のシミュレーションが行えます。シミュレーションによるテストの内容を動画で表示できるほか、演算によって得られ た 800 以上の変数のプロット/解析を行ったり、Microsoft Excel などのソフトウェアにエクスポートするためのデータを 出力したりすることが可能です。 ni.com/hil | 3
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確定性により、確度の高いシミュレーションを保証、種類の異なるパワートレインに対応するための主要な検討事項、燃焼機関向けのパワートレイン

確定性により、確度の高いシミュレーションを保証 HIL テストが有効であるか否かは、シミュレーションによってどれくらい正確に ECU 周辺を表現できるのかによって決ま ります。シミュレーションモデルは、ECU のコマンドに対して数学的に正しく応答しなければなりません。加えて、それ らの応答は、シミュレーションの対象となる実際の機械システムと時間的な面で矛盾しないことが必要です。このような 理由から、ほとんどの HIL アプリケーションは、リアルタイムシステムを使用して確定的に実行する必要があります。ま た、リアルタイムシステムを使用すれば、ECU の機能や堅牢性を正確に把握するために、リアルタイム対応のテストシー ケンスを実行することも可能です。リアルタイムシステムが高い忠実度で機械システムを確定的に表現できるのであれば、 閉ループシステム全体の性能を最適化/調節するために ECU のパラメータのキャリブレーションも行えるかもしれません。 ダイナモメータを使用したテストから実験室で行うテストにどれだけ移行できるかは、リアルタイムシステムの性能に大 きく依存します。また、その性能は、テストに必要なコストと時間にも大きな影響を及ぼします。 種類の異なるパワートレインに対応するための主要な検討事項 HIL シミュレーションを使用して、パワートレインを制御するモジュール(PCM:Powertrain Control Modules)のテスト を行う場合、テストシステムに対しては新たな要件が生じます。PCM は特殊な役割を担うので、汎用のマイクロコントロ ーラだけでなく専用のコプロセッサも併用されます。例えば、燃焼機関向けの PCM は、回転位置や、ノック、シリンダの 圧力、正確なアクチュエータ制御など、高速なエンジンに固有の信号を処理する必要があります[2]。PCM を使用するテ ストでは、そのための特殊な I/O 群やコプロセッサに対応し、PCM と同等の性能を発揮できるテストシステムが必要にな ります。そこで、PCM 向けのテストシステムでは、現実のモジュールと同じように I/O の高度化を十分に実現できるよう、 専用のコプロセッサが使用されます。また、メーカーは、PCM(ハードウェア/ソフトウェア)の新製品を頻繁にリリース しますが、通常、テストシステムは長期にわたって使用されます。つまり、テストシステムに対しては、基本的な要件と して非常に高い柔軟性が求められることになります。 こうしたニーズを満足できる理想的なデバイスとして注目を集めているのが FPGA です。最先端の PCM のテストについ ては、ニーズが目まぐるしく変化しています。FPGA の優れた性能と高い柔軟性は、そのような状況に非常に適しています [3]。FPGA を導入すれば、並列処理や、設計の拡張性、ピン間での応答時間の超高速化、設計の移植性、製品の寿命期間 を通したアップグレードの可能性など、多くのメリットを享受することができます。それらのメリットによって、適応性 に優れた強力なテストシステムを構築することが可能となります。しかし、通常、FPGA のプログラミングは、FPGA を専 門とする技術者、つまりは限られた貴重な人材が担う仕事です。そうした人材に頼らなくても済むようにするには、FPGA をプログラミングするための高度なソフトウェアと、アクセスが容易な既成の FPGA ライブラリが必要になります。それ らを利用できるようになれば、FPGA をベースとするテストシステムを実装(デプロイ)できる可能性が大きく高まりま す。 燃焼機関向けのパワートレイン 燃焼機関向けの ECU は、基本的にはエンジンの回転を制御する役割を担います。そのために、この種の ECU は、綿密に 設計されたエンコーダホイール(その一例は図 4 に示すクランクホイール)からのフィードバックによってクランクシャ フト等の回転位置を監視し、燃料噴射装置とスパークプラグを動作させて動力を発生させます。 図 4. 最新型のクランクホイールには、このような特異で複雑なパターンを特徴とするものがある。 燃焼機関向け ECU のための HIL テストシステムでは、ペダルなどを使ったユーザからの入力を計測するだけでなく、燃焼 機関に特有の信号の計測/生成についての定義も行います。表 1 は、エンジン用の ECU に関する典型的な信号についてま ni.com/hil | 4
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とめたものです。 名称 種類、テスト装置における信号の方向 説明 アクセルペダルの位置(APP) アナログ出力 ドライバーのフットペダル エアフロー アナログ/デジタル出力(センサの種類 エンジンに入る空気の量の計測 に依存) インテークマニホールド圧力 アナログ出力 空気の密度に影響 (IMP) インテークマニホールド温度 アナログ出力 空気の密度に影響 (IMT) 燃料圧力 アナログ出力 噴射装置の作動時間当たりに投入される燃料量に影響 クランク アナログ/デジタル出力 高速信号。回転位置の情報 (センサの種類に依存) カム アナログ/デジタル出力 高速信号。回転位置の情報 (センサの種類に依存) ラムダ/O2 アナログ出力 排出物の化学的性質のフィードバック ノック アナログ出力 高速信号。シリンダの振動のフィードバック スロットル位置 アナログ出力 スロットルボディのフィードバック スロットルコマンド デジタル PWM 入力 ECU のスロットルの設定値 スパーク アナログ/デジタル入力 高速信号。パルスのエッジは、エンジンの位置に応じた 充電開始位置と放電位置を表す 高速信号。パルスのエッジは、エンジンの位置に応じた 燃料噴射装置 アナログ/デジタル入力 燃料注入の開始時間と終了時間を表す。シリンダの 1 回転当たりのパルスは複数でも可 表 1. テスト装置を構築する際に考慮すべきエンジン用 ECU の典型的な信号 図 5 に示したのは、エンジン用 ECU 向けの典型的なテスト装置です。負荷とスイッチを省略し、ブロックダイアグラムと して示しています。このテスト装置は、低速(1 kHz)から中速(10 kHz)のモデルを実行するために、CPU 上で動作する リアルタイム OS を備えています。この CPU は、モデルの実行と同期して更新される低/中速信号用のディスクリート I/O (アナログ、デジタル)やバス通信に対応します。これらのコンポーネントは、ECU 向けのあらゆるテストシステムにお いて中核を成すものです。ただ、燃焼機関向けの ECU に特化したコンポーネントとして、FPGA に角度処理ユニット(APU) を実装したコプロセッサが追加で使用されます。 図 5. エンジン用 ECU 向けの典型的なテスト装置。このブロックダイアグラムには、 FPGA に実装された APU 用コプロセッサが含まれている。 APU は、高速かつ高い忠実度でエンジンの回転シミュレーションを実行します。回転シミュレーションとは、速度の値を ni.com/hil | 5
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入力として受け取り、シミュレーションにおける回転位置の値(0~360 度)を時間の経過に応じて連続的に送出するプロ セスです。ECU は、その回転位置に応じてエンジンの制御を行うようにプログラムされています。ECU の検証では、テス ト装置によって回転位置のシミュレーションを実施し、得られた回転位置と対応づけて計測を行います。 図 6. シミュレーションにおいて可変リラクタンスセンサから送信された回転信号 CPU を回転シミュレーションから解放することにより、いくつかのメリットを得ることができます。1 つは、専用ハード ウェアを使用することで、スレッドのスケジューラといったリアルタイム OS のハイレベルな構成要素からの干渉を受け ずに、APU を極めて高速に動作させられることです。1 万 rpm で 0.1 度の分解能を達成するには、回転シミュレーション を最低でも 600 kHz で実行しなければなりません。これは汎用の CPU では非現実的な値です。 2 つ目のメリットは、APU と CPU を同期させることなく実行できることです。そのため、CPU は、APU コプロセッサか ら角度に基づく情報を収集しつつ、物理プラントのモデルを一定の時間間隔で実行できます。このことは、多くのプラン トのモデリングとリアルタイム OS のツールチェーンにとって有利に働きます。 3 つ目のメリットは、APU を I/O ピンの近くに配置することにより、回転シミュレーションと、シミュレーションにおい て位置に関連づけられたデータとの間を、遅延を抑えて接続できることです。イベントが発生した時刻から、イベントが 位置に関連づけられた時刻までの遅延は、計測誤差に直結します。APU を I/O と同じ FPGA ファブリック上に配置するこ とで、その計測誤差を回避することができます。 先述した ECU の信号、FPGA 上の APU コプロセッサ、エンジンの物理モデルの 3 つを組み合わせることで、エンジン用 の ECU に向けた HIL テスト装置の閉ループが完成します。図 7 は、このシステムにおいて、アクチュエータを現実の負荷 として使用した場合のデータフローを示したものです。 ni.com/hil | 6
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図 7. エンジン用 ECU 向けの HIL システムにおける閉ループのデータフロー 燃焼機関向けパワートレイン用 ECU のための HIL システムでは、燃料噴射装置の作動状況を計測することがもう 1 つの 重要な検討事項となります。この計測を最も効果的に行う方法の 1 つは、実際の車両に搭載されるのとまったく同じよう に、テストシステムに現実のアクチュエータを搭載することです。噴射装置までの経路に、電流の計測を行うための信号 調節カードを介して ECU を接続すれば、テストシステムの FPGA によって電流の計測が行えます。それにより、FPGA は、 噴射装置を介して流れる電流を計測し、ソレノイドがいつオン/オフしたのかを判断することができます(図 8)。 図 8. ディーゼル燃料の噴射装置における電流/電圧の軌跡を観測することにより、タイミングを正確に捕捉するには 電流の計測が不可欠であるということが明らかになった。 ni.com/hil | 7
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ハイブリッド型、電動型のパワートレイン

ガソリン噴射装置の場合、より簡単な代替手段があります。それは、ECU のデジタル出力を直接計測し、噴射装置にオン のコマンドが送られているときと、オフのコマンドが送られているときを検出するというものです。ただ、ソレノイドを 開くには、活性化のために一定量の電流を流す必要があります。そのため、実際の噴射装置を流れる電流を計測するほう がより正確な結果が得られます。また、実際の負荷を噴射装置の出力に接続していない場合には、ほとんどの ECU では傷 害が発生していると診断されます。 ハイブリッド型、電動型のパワートレイン ハイブリッド型のパワートレインや電動型のパワートレインでは、多くの場合、ECU は複数の独立型電源によって生成さ れる電力を管理しなければなりません。例えば、ハイブリッド型のドライブトレインには、1 つの内燃機関と 1 つ以上の 電動モータが含まれます。したがって、ECU は、使用するハイブリッド型ドライブトレインの種類にかかわらず、動力学 速度がもともと大きく異なる 2 つの結合されたプラントを、安全かつ反復可能な方法で制御しなければなりません。その ため、制御システムの安定性を確保するには、大規模なテストを実施する必要があります。 例えば、氷で覆われた道路を走行するという条件下では、ホイールが突発的に牽引力を失うことがあります。加速してい るときにこの状況が発生すると、モータの速度が大きく上昇するので、安全性を保つための処理が必要になります。しか し、ダイナモメータ上でこの安全動作を物理的に再現することは不可能です。また、テスト用のトラックで再現するのは 難易度が高いうえに時間もかかります。安全に関しては、こうした特異な条件に対応できるよう複雑な制御アルゴリズム を開発して検証を行わなければなりません。量産型の車両に求められる品質レベルを保証するためのテストでは、非常に まれな動作条件も考慮する必要があります。 提供:富士重工業. 図 9. ハイブリッド型のパワートレインに対応するためには、HIL テストにおいて検討すべき項目が増加する。 ハイブリッド型と電動型のうち、いずれのドライブトレインを採用する場合でも、ECU のテストの複雑化は避けられませ ん。いずれの場合も、電動モータを駆動するには、ECU によって高速の PWM 信号を生成し、パワーエレクトロニクス系 のハードウェアを駆動する必要があります。テストの対象となる ECU から送信される高速デジタル信号に対して、HIL テ ストシステムを正確に応答させるには、シミュレーションを 1 μs 程度の極めて高速なループレートで実行しなければなり ません。電動モータは磁気飽和やコギングトルクといった複雑かつ非線形な挙動を示すので、直接モデル化するのが困難 です。このことが問題をより複雑にします。線形モデルを使用して ECU の基本機能をテストすることも可能ですが、テス ト、チューニング、最適化をより厳密に行うには、より複雑な挙動もモデル化する必要があります。 従来のシミュレーションシステムでは、1 μs のループレートを達成することはできませんでした。そのため、制御システ ムのテストの内容に制限が生じ、高価なダイナモメータやフィールドテストに頼る必要がありました。牽引力の損失とい った例では、発生する可能性があるすべての動作状態において安全性が確保されることを確認しなければなりません。そ のためのフィールドテストには多大なコストがかかります。しかも、場合によっては実現が不可能なこともありました。 それに対し、シミュレーションの速度と忠実度の向上を図ることができれば、シミュレーションによって反復性の高いテ ストを実施できるようになります。その結果、物理テストのレベルで、時間の短縮とコストの削減を実現することができ ます。 ni.com/hil | 8
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テストカバレッジの最大化、テストケースの構築、安全性

シミュレーションの周期を 1 μs のレベルに引き上げるには、電動モータ/パワーエレクトロニクスに対応する HIL テスト システムの設計においてパラダイムシフトが必要です。そのような高いレートでシステムのシミュレーションを行えるよ うにするにはどうすればよいのでしょうか。そのための鍵は、従来のプロセッサベースの HIL システムから FPGA ベース のシミュレータへと移行することです。 従来のプロセッサベースの HIL システムでは、通信バスによってプロセッサと I/O が分離されます。そのため、最高速で もわずか 50 kHz 程度のレートしか達成できませんでした。シミュレーションでは、1 つの時間ステップの間に、入力をサ ンプリングし、データをプロセッサに転送して、その結果を I/O ノードに返した後で出力を更新します。通常、PCI/PXI バ スでは、通信における遅延がシミュレーション時間全体の 3/4 ほどを占めます。それに対し、FPGA に演算処理を移行する と、その処理自体が高速になります。ただし、高速化を図るうえでの肝はその点ではありません。FPGA を採用することに より、単一のデバイス上に処理ノードと I/O ノードを配置し、通信で生じる遅延を最小限に抑えられることが最大のポイ ントです。 モータの駆動について高度なシミュレーションをリアルタイムで行う際には、次の点が課題になります。それは、シミュ レーションの忠実度と速度の組み合わせを最適化することです。機能レベルの HIL テストを実行する際には、シンプルな 定数パラメータや線形モデルを使用するだけで十分です。しかし、モータについて高度なテストと最適化をより安定して 行うには、多くの場合、シミュレーションの忠実度を高めなければなりません。演算を複雑化させることなくシミュレー ションの忠実度を向上させたい場合には、モデルパラメータの代わりにルックアップテーブルを使用します。そのうえで、 シミュレーションを反復する度に、それらのパラメータを更新するという手法が有効です。 有限要素解析の結果や、実験的に導出されたテーブルを使用することにより、コギングトルクや磁気飽和といった複雑か つ非線形な挙動をシミュレーションすることができます。その結果、複雑な事象に対しても適切に応答するコントローラ を設計することが可能になります。そうしたケースでは、シミュレーションのためにモデル化を行うのではなく、ルック アップテーブルによって複雑な挙動を捕捉する手法が有効です。 テストカバレッジの最大化 テストケースの構築 ECU 向けのテスト計画を策定してテストケースを開発するプロセスでは、設計チームとテストチームの緊密な連携が不可 欠です。このプロセスでは、ECU に関する要件をまとめたドキュメントの作成が重要なステップになります。通常、ECU に関する要件は、安全性、機能性、性能という 3 つのカテゴリに分類されます。 安全性 製品を設計する際には、FMEA(故障モード影響解析)と呼ばれるプロセスを適用します。それにより、システムで発生し うる故障や、それらが及ぼす全体的な影響を定性的に特定します。FMEA は、1940 年代の後半に軍事システムの信頼性を 専門とする技術者によって開発されました。それが、現在もなお活用されているということです。発生しうる故障が特定 できたら、各故障の詳細について記述するとともに、発生確率、重大度、全体的なリスクを表す値(確率と重大度の積と して算出)を割り当てます。表 2 に、FMEA 表の一例を示しました。 コンポーネント/サ 故障モード 故障が 影響の リスク ブシステムについて 兆候 影響 (原因) 発生する確率 重大度 指標 の説明 出力が不適切または コンポーネント システムの故障またはデバイス 誤配線 ゼロ、もしくは D III III–D A の損傷が生じる恐れがある モータの回転のみ 複数のピンがはんだ システムの故障またはデバイス 短絡 D III III–C 付けで接触している の損傷が生じる恐れがある コンポーネント ヒューズが ボードからモータへの ボードからモータへ C IV IV–E B 飛ぶ 出力がない 信号が送信されない 欠陥のある 欠陥のある端子からの ボードからモータへ正しい E V IV–E 端子 出力がない 信号が送信されない 表 2. 設計技術者は、安全性に関するテストケースを作成する際の有用な出発点として、FMEA 表を作成する。(提供:Quanser 社) ni.com/hil | 9
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FMEA が完了したら、設計技術者は、最もリスクの高い項目について、そのリスクを緩和するための機能を追加します。 例えば、機械部品の故障を検出するセンサを追加すれば、ソフトウェアによって車両をリンプホームモードへ自動的に移 行させることができます。それにより、さらなる損傷を防ぐことが可能になります。このようなリスクを緩和するための 機能のテストは、ECU の検証と妥当性確認において重要な役割を果たします。各項目のテストケースを設計するには、設 計チームから FTA(フォルトツリー解析)の結果を入手する必要があります。図 10 に示したのは FTA 結果の一例です。 図 10. FTA 結果は、セーフティクリティカルなテストケースを作成する際に参考にすべき重要なドキュメントである。 FTA 結果をフローチャートとして使用することにより、FMEA でリスクが非常に大きい(「非常に大きい」と判定するため のしきい値は、製品の管理部門が設定する)と判定された項目に対するテストケースを設計することができます。故障に よって非常に危険な状況が生じうることを考えると、HIL シミュレーションによってそうした項目のテストを実施するた めに行う投資は、十分に意味のあるものだと言えます。 自動車や航空宇宙の分野では、機能安全規格に順守することが求められます。こうした規制産業の分野では、安全に関す る要件に対して妥当性確認を行う際に、テストの正確さについて十分に配慮する必要があります。検証が正しく行われて いない場合、プロジェクトが生産の段階に進んだときや、安全性が重要な状況において、極めてネガティブな結果を招く 恐れがあります。また、電子工学的な複雑さが全般的に増加することから、同じ時間内でより多くの項目をテストするた めに、一部の検証を自動化する必要が生じます。ただ、テストを自動化するために、何らかのツールを使用したとしても、 それが期待どおりに機能しているとは限りません。テストを自動化するためのツールを自社開発するとなると、特に機能 安全に配慮した設計を行いたい場合には開発費用が膨大な額になってしまいます。また、妥当性確認には具体的かつ詳細 なドキュメントが必要です。そうしたドキュメントを正確に作成する作業には時間がかかるので、使用するツールは適切 な成果物を生み出すものでなければなりません。結果として、人手を介して認証を得る(マニュアル認証)のが唯一の方 法であるということも想定されます。 機能安全に関するテストを実施するプロジェクトにおいて、認証を受けた COTS の検証ツールを使用すれば、そうしたニ ーズに対応できるとともに、テストツールに求められる信頼性を確保することが可能になります。実際、NI のアライアン スパートナーである CertTech 社は、NI のテスト自動化ソフトウェアツールである TestStand 用の認証キットを開発してい ます。TestStand は即座に実行が可能なテスト管理用ソフトウェアです。自動テストシステムの開発から、実行、実装まで を短期間で行えるよう支援することを目的として設計されています。ISO 26262 や DO-178C といった規格では、認証ツー ルを使用する際の要件が定められています。CertTech 社の技術者は、規制産業や機能安全規格に関して豊富な経験を有し ており、そうした要件についても十分に理解しています。TestStand 用の認証キットは、NI TestStand の最もよく使用され る機能に対する総合的な要件とテスト範囲を網羅しています。それだけでなく、提示された要件を検証するためのテスト ni.com/hil | 10
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機能性、性能

に対応可能であるとともに、必要に応じてすぐにカバレッジを拡張可能なフレームワークを備えています。また、CertTech 社はコンプライアンスに必要な成果物として、ツールによってドキュメントを生成しています。認証キットの目的は、テ ストを再設計する必要に迫られた場合に、その検証プロセスにおいて完全な透過性を確立することです。そのような観点 から、ツールによって生成されるドキュメントは必要不可欠なものだと言えます。CerTech 社が提供する TestStand 用認 証キットを使用することで、それらのドキュメント生成にかかる時間を最大で 95%短縮することができます。 ISO 26262 や DO-178C といった最新の機能安全規格では、プロジェクトにおいて人手によるレビューを実施しない検証/ 妥当性確認の作業には認証ツールを使用することを求めています。そのため、TestStand などに認証ツールを適用すること がより重要になります。これらの規格では、テストが適切に行われていないツールが及ぼす影響について評価することが 求められています。加えて、ISO 26262 などの規格で TCL(Tool Confidence Level)と呼ばれているレベルのうち、どれに 該当するかを定義することも求められています。TCL を決定する主要な要素は、T(I Tool Impact)と TD(Tool Error Detection) の 2 つです。TI は、TI1 と TI2 の 2 段階に分かれています。ソフトウェアツールの不具合が開発製品に対して影響しない 場合には TI1 を選択します。影響する場合は TI2 となります。一方の TD は、TD1、TD2、TD3 の 3 段階に分かれています。 不具合を検出し回避できる可能性が高い場合は TD1、中程度の場合は TD2、低い場合には TD3 を選択します。つまり、テ ストツールの TCL レベルの違いは、ユーザに課せられる余分な負担の度合いを表します。 Tool Error Detection TD1 TD2 TD3 Tool Impact TI1 TCL1 TCL1 TCL1 TI2 TCL1 TCL2 TCL3 表 3. ISO 26262 で規定される TCL は、ツールの認証に要するユーザの作業量の差を表す。 ユーザにとって最も価値が高いのは TCL2 に指定されたツールです。TCL1 に分類されたツールは、安全性に大きな影響を 及ぼすことがない、または既に高い信頼性を有しているからです。そのため、追加の認証やドキュメントはあまり必要に なりません。一方、TCL3 と評価されたツールは信頼性が低いので、何らかの形での認証が必要になります。例えば、コン パイラツールは要求される品質確認レベルの最も高い TCL 3 に分類されます。 機能性 ECU の機能をハイレベルでテストするのは難しいことではありません。また、機能を 1 つずつテストする方法について理 解するのは容易なことです。ただ、組込ソフトウェアの詳細を知ることによって、潜在的に脆弱な期間、つまり積極的に テストを行うことが求められる遷移期についての理解が容易になります。そのため、機能テストの設計を行う際には、安 全性のテストと同様に、ECU の設計チームとの密接な協力が不可欠です。 特定の ECU の機能を状態図と組み合わせれば、テストケースを作成する際の指針として使用することができます。 性能 安全性や機能を評価する場合とは異なり、性能に関するテストの開発では、ECU の設計チームと協力体制を築くことが最 善だとは限りません。通常、性能に関するテストの開発は、ユーザの視点から行われるべきです。設計チームとしては許 容可能だと考えられることでも、ユーザにとっては許しがたいことがあります。こうしたことは捕捉すべき重要なフィー ドバックだということです。燃費(マイル/ガロン)などのように、ユーザにとって問題になる性能については、政府によ ってテストの手順が定義されています。その手順はテストケースとして直接実装することが可能です。図 11 のグラフは、 市街地での走行(FTP-75)について、米国政府が定めた条件です。これは、テストに適用すべき速度と時間の経過の関係 を表しています。 ni.com/hil | 11
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要件の作成、トレーサビリティ、実現、要件のトレーサビリティの重要性、テストの自動化

図 11. 車両の燃費性能に関しては、各国政府が標準的なテストの条件を定めていることが多い。このグラフに示した FTP-75 の走行周 期はその一例である。 性能に関しては、バスにおけるメッセージのタイミング、ECU における CPU の使用率、ECU のイベントに対する応答時 間といった事柄に対するテストも必要です。この種のテストに対応するためには、追加でいくつかの機能/能力が必要にな ることがあります。ECU のキャリブレーション機能や、マイクロプロセッサのパラメータを読み込むためのデバッグ用デ ータリンク、あるいは許容可能なバスメッセージの振る舞いを検証するための後処理としてデータログにタイムスタンプ を付加する機能などです。NI DIAdem を使用して解析を実行する方法については、「Viewing Time Correlated NI VeriStand Data Logs(時間に関連づけられた NI VeriStand のデータログを確認する)」(英語)をご覧ください。 要件の作成、トレーサビリティ、実現 要件のトレーサビリティの重要性 組込ソフトウェアを含むソフトウェアの品質を保証するには、開発プロセスのすべての段階にわたって要件を追跡できる ようにしておく必要があります。一般的なソフトウェア開発プロセスには、調査、定義、開発、テスト、実装といった段 階があります。相互関係を確立したり、ソフトウェアの変更による影響を解析したりするには、トラッキングが行えるこ とが重要です。特に不具合によって発生する多大なコストが生じたり、人命に影響が及んだりする分野の場合、トラッキ ングはソフトウェア開発プロセスにおける一般的な要素となっています。 要件に対し、適切なトレーサビリティを確保できていないソフトウェア開発プロジェクトがあったとします。その場合、 出来上がったソフトウェアは、システムの安全性と信頼性に多大な影響を及ぼす不具合を抱えている可能性が高いという ことがわかっています。わずかな変更だと思っていても、実際にはそれによって大きな悪影響が生じるかもしれないとい うことです。また、最終的な製品がプロジェクトの開始時に定義されていたすべての要件に対応できていない可能性もあ ります。 製品のリコールには多大なコストがかかります。そうした可能性を懸念する企業と共に、安全性に関する規制を扱う機関 は、要件の管理に向けて多くの標準規格やベストプラクティス、ソフトウェアツールを開発してきました。本稿の読者が 次のプロジェクトに着手する際には、トレーサビリティを確保することが義務づけられているかもしれません。 テストの自動化 最近のテストシステムでは、最上位のレベルから個々の計測器に至るまで自動化を図れるようになっています。ただし、 自動化の作業は、さまざまなベンダーの数多くのツールや複数の OS をまたがる複雑なタスクになる可能性があります。 またその一部は、リアルタイム対応の HIL システム上で実行しなければならないかもしれません。現在使用中のツールに ついては、ベンダーが互換性を保証していることを確認しておく必要があります。テストの自動化は、高い費用対効果で 要件のトレーサビリティを確保するうえで重要な要素になります。 自動化にあたってやるべきことは、テストスクリプトを実行して仮想的な自動車を動作させることだけではありません。 先進的な考えを持つ組織は、テストを自動化するためのフレームワークを使用することによって、テストの実行と自動化 を 1 つのステップとして扱っています。そうしたフレームワークを利用することで、人が介在することなくバッチでテス ni.com/hil | 12
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ECU用HILシステムを適切に選択する、オープン性、拡張性、柔軟性、HILテストシステムでは柔軟性が重要

トを実行できるようになります。また、テストによって得られたデータの解析やレポートの作成などを含む後処理も自動 化することが可能です。テストシステムを構成するだけで、自動的にテストを実行できるようになります。加えて、テス トを自動化することにより、製品の要件とテストケースを、テストの結果と自動的にリンクさせられます。そのため、技 術者のチームは効率的に情報交換を行えるようになります。テストを実行して得られたデータと要件を人手によって比較 する必要もなくなるので、作業効率も向上します。 ECU のテストチームは、テストカバレッジが十分に高いテストケースのライブラリを開発することを、より高いレベルの 目標として掲げるべきです。そのライブラリは、ECU の品質について高い信頼性を確立するための重要な要素になります。 テストケースのライブラリは、自動化とスケジューリングの機能を実現するために拡張することができます。それにより、 夜間にテストを自動的に実行したり、ソフトウェアの変更時に回帰テストを実行したりすることが可能になります。回帰 テストのレポートを適切なタイミングで生成することにより、組込ソフトウェアの新たなバグが数週間も存在し続けると いったことを防止できます。それにより、修正が困難になるような事態を回避することが可能になります。 ECU 用 HIL システムを適切に選択する オープン性、拡張性、柔軟性 HIL システムを選択する際、最初に検討すべきことは、コンポーネントを購入して自社でシステムを構築するのか、それ ともすぐに使用可能なターンキーシステムを購入するのかということです。ターンキーシステムのベンダーのほとんどは、 コンポーネントは販売していません。一方、コンポーネントのベンダーは、販売チャンネルを介してターンキーシステム を提供していることがあります。 コンポーネントを購入する場合、コンポーネントの統合に関する専門知識を有したエンジニアリング担当者が必要になり ます。この点はデメリットだとも言えますが、システムの拡張性とカスタマイズの自由度が高くなるというメリットもあ ります。一方、ターンキーシステムを購入する場合、エンジニアリングの面での負担は軽減されます。ただし、そのシス テムが現在/将来のニーズを満たすことが保証されていなければなりません。そのような保証を得るための 1 つの方法は、 「オープン」で「拡張可能」なプラットフォームを購入することです。多くのベンダーがサポートするオープンなプラッ トフォームを選択すれば、最高の価値が得られるとともに、投資が無駄になるのを防ぐことができます。 HIL テストシステムでは柔軟性が重要 テストシステムに HIL シミュレーションを組み込む際には、多くの選択肢について検討することになります。テストのコ ストを継続的に削減するためには、開発プロセスの中で HIL シミュレーションを実用的に使用できる柔軟なソリューショ ンを選択することが重要です。HIL シミュレーションのソリューションには、開発サイクルにおいて生じる変更に即座に 適応できることが求められます。テストのプロセスや構成に小さな変更が生じたら、HIL シミュレータを大幅に変更しな ければならないといった事態は避ける必要があります。現在も革新は続いていますが、1 つのベンダーによって、すべて の最新技術の開発期間、品質、コストに対するニーズが同時に満たされることを期待してはなりません。それに対し、COTS のツールを使用したオープンな HIL シミュレーションのソリューションを採用すれば、ECU のテストに必要な技術をいつ でも組み込めることが保証されます。 ni.com/hil | 13
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グローバルなサービス、サポート

図 12. 柔軟な HIL テストシステムであれば、将来にわたって要件とプロジェクトの拡張に対応できる。 HIL システムは組込テストの分野で広く使用されるようになりました。しかし、現在も一連のテストの中では別のステッ プとして扱われています。HIL テストに関する戦略を選択する際には、組込ソフトウェアの検証方法だけでなく、HIL テス トシステムをテストのワークフローに組み込む方法について必ず検討しなければなりません。テストについて、より包括 的な視点を持つテストツールベンダーであれば、テストの特定分野に注力しているベンダーよりも価値の高い提案が行え ます。 NI の HIL プラットフォームは、変化する要求に対応するために、拡張とカスタマイズが行える COTS のソリューションで す。NI のツールは小型のデスクトップシステム上で使用できることに加え、モジュール型のアーキテクチャとオープンな ソフトウェアをサポートしています。そのため、Embraer 社の航空機である Iron Bird 向けのシミュレータのように、多く のチャンネルを備え、同期に関する要件が厳しい分散型システムにも適用できるよう拡張を施すことが可能です。NI は、 産業用制御機器や民生用電子機器など、さまざまな分野のニーズに対応する製品を設計しています。そうした要求の厳し いアプリケーションに必要な性能、信頼性、柔軟性を、HIL シミュレーションを実施する技術者にも提供しています。その ため、NI は組込ソフトウェアのテスト分野において、理想的なパートナー企業として認知されています。 グローバルなサービス、サポート HIL システムから最大の価値を得るには、初期のシステムを拡張することに加え、システムを正常な運用状態に保つとと もに、システムに実装されたツールを扱う人材を教育することも必要になります。技術的なサポートやシステムの保守、 予備の部品の確保、トレーニングなど、適切なサービスを提供するベンダーを選択することで、投資に対する利益を最大 化することが可能になります。 開発業務は、複数の国/地域で分散して行われるケースもあります。そのため、世界中で同様のサポート方法とインフラス トラクチャを提供しているベンダーを見い出すことも重要です。NI は、50 ヶ国に拠点を構えるグローバル企業です。世界 中のサポートチームでは、経験豊かな技術者が、お客様の HIL テストを成功に導くために取り組みを行っています。そう ni.com/hil | 14
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した理由からも、NI は、組込ソフトウェアのテスト用ツールを提供する企業として高い信頼を得ています。 ni.com/hil | 15
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参考資料: 1. Horner, T., “Knock Detection Using Spectral Analysis Techniques on a Texas Instruments TMS320 DSP(スペクトル解 析手法によるノッキングの検出、Texas Instruments 社の DSP 製品である TMS320 によって実現),” SAE Technical Paper 960614, 1996, doi:10.4271/960614. 2. Viele, M., Stein, L., Gillespie, M., and Hoekstra, G., “A PC and FPGA Hybrid Approach to Hardware-in-the-Loop Simulation(PC と FPGA によるハイブリッド手法を適用した HIL シミュレーション),” SAE Technical Paper 2004-01-0904, 2004, doi:10.4271/2004-01-0904. Ⓒ 2015 National Instruments. All rights reserved. DIAdem、LabVIEW、MATRIXx、National Instruments、NI、ni.com、NI TestStand、NI VeriStand、SystemBuild は、National Instruments Corporation(米国ナショナルインスツルメンツ社)の商標です。 S imul ink ®は The MathWorks 社 の 登 録 商 標 で す 。 本 文 書 中 に 記 載 さ れ た そ の ほ か の 製 品 名 お よ び 企 業 名 は 、 そ れ ぞ れ の 企 業 の 商 標 ま た は 商 号 で す 。 Nat iona l Ins t ruments の ア ラ イ ア ン ス パ ー ト ナ ー は 独 立 し た 事 業 者 で あ り 、Nat iona l Ins t ruments と は 、代 理 店 、パ ー ト ナ ー シ ッ プ 、ジ ョ イ ン ト ベ ン チ ャ ー の 関 係 に あ り ま せ ん 。20544